7/31 JEWELS 新宿FACE興行 観戦記 Ver1.0

Mask_Takakura2010-07-31

最近は色々と女子の試合を観ている気がする

本日は新宿FACEJEWELSを観戦。


SMACK GIRLから「ジョシカク」という単語が生まれたように、「ツヨカワ(強くて、可愛い)」という単語を生み出したJEWELSが、ついに王座の制定に乗り出した。今回のJEWELSでは、初代ライト級女王決定トーナメントの一回戦が行なわれる。このトーナメントに参戦するのは長野美香、ハム・ソヒ、石岡沙織といったJEWELSの看板選手達。総勢八名のトーナメントで、準決勝戦へ進出するのは誰なのか?


チケット代は4000円、観客は超満員。今のJEWELSには、新木場1stRING新宿FACEという会場が良く似合う。ちょうど良い会場というかねぇ。

最近は入場式をやる団体が減りました

試合開始前には、全選手による入場式が行なわれた。選手を代表して挨拶したのは瀧本美咲。


新宿FACEはエアコンが効いていて涼しいですが、最後には皆さんが熱くなるような試合を見せます。今日はビールを片手に応援をよろしくお願いします」。



第一試合 最近のAACCは男子が大変そうだけど、女子は順風満帆ですなぁ

56kg契約 5分2R
○村田恵美(168cm/54.7kg/AACC)
●HARUMI(154cm/55.5kg/BLUE DOG GYM)
[1R 1分18秒 腕十字固め]

村田はAACC所属で168cmの長身の持ち主、今回がJEWELSデビュー戦。対するHARUMIは元巴組で、これまで五戦五敗。う〜ん、こりゃズバリ言って「AACC所属の村田恵美が、鮮やかにデビュー戦を飾る!」って色合いの強いマッチメイクだな。




試合開始、まずはリーチの長い村田が右ハイで牽制。これを見たHARUMIはカウンターの胴タックルで素早く組み付いたが…。村田は上背を活かしサバ折りを掛けつつテイクダウンを奪うと、アッサリとマウントを取ってからセオリー通りの腕十字。これが極まってHARUMIがタップ。



う〜ん、予想以上に一方的だったなぁ。それにしてもAACCの女子部は人材が多いね。


第二試合 最近は女子のコスチュームも色々とありますねぇ

52kg契約 5分2R
アミバ(158cm/51.9kg/DEEP OFFICIAL GYM IMPACT)
●深岬パトラ(154cm/51.0kg/空手道禅道会 松本支部)
[2R 2分27秒 腕十字固め]

青木真也と寝技の練習を重ねるアミバは黒をピンクを基調としたタイガーキング風のコスチューム姿で入場。対する、対する禅道会所属の深岬パトラはアラビア風の衣装で入場。成程、寝技のアミバvs打撃の深岬というワケね。




1R、空手出身の深岬が、鋭いパンチの連打でアミバを攻め込む。やがて組み付く両者、この後は展開なくブレイクに。再開後、再び深岬がパンチで攻勢。だがアミバは、深岬からテイクダウンを奪うと、アッサリとパスガードを決めてサイド、そしてマウントとポジションを移行。

パンチを放ちつつ腕十字を狙うアミバ、深岬は必死に防御。ならばとアミバは、ニー・オン・ザ・ベリーから膝十字を極めに行く。これも深岬に防がれたが、アミバは尚もサイドをキープし続ける…が、ここでブレイクに。両者スタンド、深岬がパンチでアミバを追い込んでこのラウンドは終了。成程、寝技ならアミバ、立ち技なら深岬というワケね。




2R、グラウンドでの展開に自信を持ったアミバは、序盤からタックルを仕掛けてテイクダウンを奪うと、すかさず腕十字を狙って行く。必死に逃げる深岬、しかしアミバは逆向きにマウントを奪うと、遂に腕十字を極めた。レフェリーが止めて試合終了。



う〜む、前回も一本勝ちだし、そろそろアミバはもう少し上の選手とやってもいいんじゃないの?うわばら。


第三試合 最近は勝ち星に恵まれていなかった関でしたが…!

48kg契約 5分2R
関友紀子(147cm/47.1kg/FIGHT CHIX)
●MIYOKO(155cm/47.7kg/GRABAKAジム)
[2R 50秒 チョークスリーパー]

GRABAKA所属のMIYOKOは、全日本ブラジリアン柔術選手権大会の女子アダルト青帯ガロ級で優勝した実績の持ち主。対する関友紀子は、あらゆるジョシカク団体で試合をこなす苦労人。ある年には一年間に十試合もこなしたそうな。う〜ん、なんか関って便利に使われているよなぁ…。




1R、まずは関がパンチを繰り出しながらMIYOKOに組み付く。力強い立ちレスリングでテイクダウンを狙う関だが、みよこは組み付いたままこしのぐと、逆にテイクダウンを奪って腕十字を狙う。関は立ち上がるもMIYOKOはバックを奪ったまま何度も関を崩そうとする。関は粘った末に一旦離れると、再び組み付いて立ちレスリングでMIYOKOをコントロールし、離れ際にパンチを放つ。

だが終盤、MIYOKOは自ら関に組み付いてテイクダウンを奪うと、ハーフマウントからパスガードを狙っていく。必死に逃れる関、約一分間の攻防の末に1Rは終了。今日の関はなかなか力強いが、グラウンドの展開には一抹の不安が残るなぁ。




2R、またしてもMIYOKOは自ら組み付いたが、関は立ちレスリングを駆使して力強く投げを放つと、倒れたMIYOKOのバックを奪ってスリーパーを極める。これが極まって関が一本勝ち。



何かと苦労人のイメージの強い関が久々の勝利!いや〜、これは嬉しい!素直に嬉しい!


第四試合 最近はモンゴル人が色々な格闘技で活躍してますねぇ

63kg契約 5分2R
○超弁慶(158cm/61.0kg/ガムランナック)
エスイ(172cm/63.0kg/モンゴル/SMASH 小路道場)
[1R 4分34秒 腕十字固め]

得意の打撃でJEWELSで勝利を重ねる超弁慶の今日の対戦相手は…。TAJIRI率いるSMASHからの刺客、小路道場所属のエスイ。モンゴル出身のエスイは、「♪チンギス・ハーンフビライ・ハーン!」「♪私はハーンの末裔」「♪モンゴリアン・チャレンジャー」という怪しい曲で登場。う〜ん、どんな選手かがまるで想像できんが、172cmという長身は、小柄な超弁慶にとっては脅威だろう。




試合開始と同時に、エスイはダッシュして飛び膝蹴りを放つも、超弁慶はこれを捌いてスタンドでバックを奪い、エスイを崩してテイクダウン。ハーフマウントからパスガード、アッサリとマウントを奪った超弁慶が腕十字、スリーパーなどを狙っていく。防戦一方のエスイは亀になって防御、超弁慶は上になって抉じ開けようとするも、エスイはこれを振り落として上になる。



チャンスを得たエスイはインサイドガードからパンチを落とすも、エスイが身体を起こしたところを超弁慶がTKシザースを決めて上になる。ここから足を掴んで足関節を狙う超弁慶、エスイは上になってパンチを落として必死に抵抗。超弁慶が足を離し、エスイがハーフマウントになったところでブレイクが掛かる。



スタンドで試合再開、超弁慶は得意のパンチをエスイに叩き込む。嫌がるエスイは超弁慶に組み付いて鮮やかな腰投げを決めるも、超弁慶は投げの勢いを利用してグラウンドで回転して上になり、そのまま腕十字を極めて一本勝ち。



う〜ん、エスイは今回がデビュー戦という事もあり、自分の体格を活かしきれてなかったなぁ。まぁ、器はある選手だと思うので、長いリーチを活かした打撃の練習をしっかりやって、グラウンドでの防御方法をちゃんと覚えれば、案外良い選手になると思うけどね。


第五試合 最近のSBは女子の試合が良いアクセントになっているなぁ

SBルール 53kg契約 2分3R + 延長2分2R
高橋藍(168cm/53.0kg/シーザージム)
●エミNFC(165cm/53.0kg/ナゴヤファイトクラブ)
[3R 1分19秒 TKO]

SB本体における女子部のエースがRENAなら、高橋藍SBJEWELS出張所における女子部のエースと言えるだろう。凛とした表情から繰り出される鋭い打撃は、JEWELSの中でも存在感を放っている。今日はセコンドに金井健治を引き連れて入場した高橋、対戦相手は名古屋からの刺客であるエミNFC。




1R、序盤から高橋が得意のワンツー〜右ミドルのコンビネーションで主導権を握る。合間に右ストレートや右フックをバシバシと当てた高橋、組み付いてからの膝蹴りでも高橋が一枚上だ。エミもパンチで反撃しているが、正直ちょっと実力差がある感じだ。



2R、高橋は組み付いての膝蹴りでエミの体力を奪うと、1Rの高橋の打撃で顔の腫れ上がったエミに右フックを入れる。この後、何度も組み付いての膝蹴りを放って攻勢をキープする高橋、接近戦でのアッパーもエグい。



それでも後半、何かが吹っ切れたエミがパンチで猛攻を掛けたが、高橋は右ストレートを入れてダウンを奪う。う〜ん、正直この時点でストップを掛けた方がいいような…。



3R、尚も吹っ切れているエミはガムシャラに前に出てパンチを連打するも、高橋はこれを冷静に捌いていく。そして後半、エミが攻め疲れを起こしたところに高橋は逆襲のパンチの連打。鼻血を流して防戦一方になるエミの姿を見たレフェリーが試合を止めた。



僕としては、この試合のストップのタイミングはちょっと引っかかった。正直、この試合展開から考えるにつけ、エミが高橋に勝てないことは観客の誰もが気付いていたハズ。確かに2R後半〜3R前半のエミの頑張りは素晴らしかったけど、僕は2Rのダウンの時点で試合を止めても良かったように思うんだよなぁ。

JEWELSは「見込み一本」とかも積極的に取っていることを考えると尚更、というかねぇ。JEWELSが提唱する「ツヨカワ路線」からはかけ離れた陰惨さだったように思う。 この試合のレフェリーは、SBでもお馴染み北尻俊介氏だったんだけど…。男子の試合とは違うんだから、もう少し早く止めればいいのになぁ…と、10年来のSBファンが意見してみる。



第六試合 最近の試合が2009年10月なので、これが9ヶ月ぶりの試合となる瀧本でしたが…

48kg契約 5分2R
○瀧本美咲(155cm/48.0kg/空手道禅道会 横浜支部)
●リサ・ニュートン(155cm/46.6kg/イギリス/Team Akurei)
[1R 2分10秒 チョークスリーパー]

昨年10月、ライバル団体であるVALKYRIEの舞台で茂木康子との「友情対決」を制した瀧本美咲がJEWELSのリングに登場。現在、戦績が25戦11勝11敗3分1KO7SKOという実績で、今日は勝ち越しを掛けた試合となる。対戦相手は、SMACK GIRLが開催したWORLD REMIX TOURMENTを見てジョシカクを始めたというリサ・ニュートンだ。




試合開始と同時に、鋭い左ジャブで瀧本を攻め込むリサ。観客が驚きの声を上げる中、瀧本は組み付いてテイクダウンを狙うも、リサは突き放して左ジャブを伸ばす。鋭く伸びるパンチに手を焼く瀧本、再び組み付くもこれもリサに切られる。



そこで瀧本は丁寧にストレートを当てると、これを嫌がったリサが片足タックルを仕掛ける。千載一遇のチャンスに瀧本は、リサの首を捕る。リサはテイクダウンを狙うも、その過程でバックを奪った瀧本がグラウンドでスリーパーを極めると、ガッチリと極まってリサがタップした。



序盤は苦戦した瀧本だが、終わってみれば綺麗な一本。勝った瀧本の表情が本当に嬉しそうだ。うん、これは見事な一本でしたな。


最近のジョシカクは海外の試合も多いねぇ

休憩前には、この興行を怪我で欠場した杉山しずか、そして海外で試合を行なう藤井惠と赤野仁美がリングインして挨拶を行なった。




第七試合 最近のAACC女子部は本当に強い選手ばかりだ

JEWELS初代ライト級 女王決定トーナメント一回戦 5分2R
浜崎朱加(158cm52.2kg/AACC)
●イ・ハンソル(168cm/52.2kg/韓国/CMA KOREA UF GYM)
[1R 48秒 チキンウィング・アームロック]

ここからは、JEWELS初代ライト級女王決定トーナメントの一回戦が四試合。


その第一試合には、僕は初観戦となる「藤井惠の後継者」浜崎朱加が登場。ベースとなる格闘技は柔道で、昨年の修斗全日本アマチュア選手権で、女子バンタム級で優勝という実績の持ち主だ。対するイ・ハンソルは一昨年の韓国柔術大会で優勝した実績の持ち主。柔道vs柔術というワケね。




…なんて思っていたら、決着は一瞬でついた。試合開始と同時に、ハンソルにいきなりタックルを決めた浜崎はそのままテイクダウンを奪うと、アッサリとパスガードを決めてチキンウィング・アームロックの体勢に。ハンソルは必死に粘ったが、結局逃げ切れずにタップして試合は終了。



この間、わずか48秒。成程、「藤井惠の後継者」というのは伊達じゃないのね。浜崎朱加、かぁ…。その名前、覚えておきます。


第八試合 最近のヨアキム・ハンセンは日本にいるらしいですねぇ

JEWELS初代ライト級 女王決定トーナメント一回戦 5分2R
長野美香(161cm/51.8kg/CORE)
●セリーナ(ノルウェー/チーム・ヘルボーイ・ハンセン)
[1R 2分52秒 腕十字固め]

JEWELS 初代ライト級女王決定トーナメント 一回戦。その第二試合は、前回興行からわずか二ヶ月後に組まれたリベンジマッチ。ヨアキム・ハンセンが率いるチーム・ヘルボーイ・ハンセンに所属するセリーナに対して、完敗を喫した長野美香がリベンジ戦に挑む。


これまで日本では勝ち星のなかったセリーナ。だが前回の試合では、JEWELSの看板選手の一人である長野を相手に打撃でも寝技でも完封して圧勝。反対に得意の寝技で何も出来なかった長野はよほど悔しかったのか、試合終了と同時に人目も憚らず(はばからず)に号泣してしまった。

あの試合からわずかに二ヶ月。一見、無謀なように思えるリベンジ戦。何も出来ずに完敗し、号泣した長野の姿はJEWELSファン、そして僕の記憶の新しいところに焼きついている。やるからには、キッチリとした形で白星を挙げないと、長野を新しい目で観るのは難しいだろう。




試合開始、まずはセリーナがパンチを伸ばして様子を見るも、早くも組み付いて長野をコーナー際へと押し込む。反対に首を捕って投げを放つ長野だったが、グラウンドで上になったのはセリーナだ。



だが、長野は諦めない。下からラバーガードを仕掛け、腕を捕った長野が腕十字を仕掛ける。セリーナは慌てて逃げるも、長野は流れの中でグラウンドで上になると、掴み続けた腕にもう一度、腕十字を仕掛ける。今度はガッチリと極まった。



二ヶ月前の敗北号泣劇からは一転。勝った長野は「どうだ!」と言わんばかりの表情で勝ち名乗りを受けた。


ふ〜む。今日の長野だが、前回の完敗劇のことを考えると、よくこれだけ見事な一本勝ちを挙げられたなぁ、と関心させられるね。まぁ、意外と前回が「気を抜き過ぎた」というダケのことかもしれないけど…イヤイヤ、そういう事を言っちゃいけないな。今日の長野のは見事な一本勝ちだったんだから。



第九試合 最近の女子プロレスのことは判りませんが、アイスリボンは良くやっていると思います

JEWELS初代ライト級 女王決定トーナメント一回戦 5分2R
○ハム・ソヒ(158cm/51.6kg/韓国/CMA KOREA)
市井舞(158cm/51.8kg/アイスリボン)
[判定 3−0]

JEWELS初代ライト級女王決定トーナメントの一回戦。その第三試合には、優勝候補の筆頭として挙げられているハム・ソヒが登場。


2007年2月に初来日して以来、辻結花藤井惠、そして引退したMIKUといったトップ選手にこそ敗れてはいるが、渡辺久江、Edge、石岡沙織、瀧本美咲という一つ下のラインの選手にはすべて勝利しているのだ。従来はキックボクサーだが、グラウンドも得意としているソヒの一回戦の相手は、しなしさとこを破った実績を持つ市井舞。市井としてはプロレスラーの魂を見せ付けたいところだが…。




1R、市井は半身の構えから、サイドキックや裏拳といった大技でソヒを攻め込むも、ソヒはこれを受け流しつつ、鋭いワンツーと右ミドルを放つ。その重さに観客から驚きの声が上がる中、これを嫌がった市井がタックルを敢行するも、ソヒはこれを突き放すとコーナー際でパンチを連打。リング上では度胸のある市井が、ソヒの打撃を怖がっているのが印象的だ。



こうしてペースを握ったソヒは、スタンドでバックを奪いテイクダウン、そのままスリーパーの体勢へ移行。上半身を起こして逃れる市井、ソヒはこれを寝かしつけて肩固めを仕掛ける。型の上ではガッチリと極まったかのように見えたが、これは極まりきらなかった。ならばとソヒ、再びバックを奪ってスリーパーを仕掛けたが、市井は亀の体勢を経てスタンドへと戻す。



1Rも残り僅か、市井は半身の構えから裏拳の奇襲、この後でソヒに組み付いて引き込むも、ソヒは冷静に捌いて腹へとパンチを落とした。ここで1Rは終了、恐らく市井が半身になるのは、ソヒの打撃を受け過ぎないよう警戒しているのだろう。



2R、1Rとは一転、市井が正面に構えた。これを見たソヒは鋭いワンツーと、重い右ミドルを放つ。対する市井はパンチを出しつつ裏拳やサイドキックを見せたが、その攻撃が妙に「やぶれかぶれ」に見えてしまう。そんな市井に、ソヒは左ストレートを叩き込んでダメージを与えると、タックルからテイクダウンを奪い、パスガードから腕十字を狙っていく。



グラウンドで劣勢の続く市井、何とかソヒの腕狙いを防いだものの、ソヒは尚もグラウンドでバックを奪う。だが市井はここで身体を反転させ、グラウンドで始めて上になる。観客の歓声の中、インサイドから腹にパンチを落とす市井だが、これ以上の有効打が出てこない。両者立ち上がってスタンド、市井は再び引き込み、ソヒがインサイドからパンチを落とす中で試合は終了。



判定の結果、3−0でソヒが勝利。



ふ〜む…。正直、今日の市井は試合前から心で負けているように見えた。…これは彼女を貶める意味で言っているのではなく、素直な驚きである。僕は市井に対しては「どんな相手と闘っても、勝っても負けても笑顔を忘れない選手」だという印象があり、その市井が笑顔も作れずにリング上でビビッていることに驚いたのだ。つまり、ソヒの強さがそういう性質のものなのだろう。う〜む、やはり優勝候補の筆頭と言われるだけのことはあるな…。


第十試合 最近できた「ツヨカワ」という単語に、物申す一戦

JEWELS初代ライト級 女王決定トーナメント一回戦 5分2R
○能村さくら(158cm/51.4kg/CB IMPACT)
●石岡沙織(156cm/51.9kg/空手道禅道会 小金井道場)
[判定 3−0]

JEWELS初代ライト級女王決定トーナメントの一回戦、トリである第四試合に「JEWELSのエース」である石岡沙織が登場。


JEWELSの旗揚げ以来、エースとしてメインのリングに上がり続ける石岡。JEWELSでの戦績は6戦5勝1敗1KO3SKOと圧倒的だ。前回の試合では第九試合に出場した市井舞と対戦。「右フックでアゴを破壊する!」と豪語する市井に対し、試合前から不機嫌モードの石岡は逆に右ストレートを何度も叩き込み、最後は腕十字を極めて勝利、JEWELSファンに「石岡は怒らせると怖い」という印象を植え付けた。

「ツヨカワ」という言葉が良く似合う端正な顔立ちと、打投極のバランスの良さで今日もメインに出場する石岡。今日の対戦相手は、1998年に正力杯 全日本女子柔道選手権大会 57kg級で第二位の実績を残した事のある能村さくらだ。




1R、まずは石岡がワンツーを放つと、これが能村にヒット。観客からは歓声が沸いたが、能村は石岡に組み付くと首相撲でコントロール、足払いを決めてテイクダウンを奪い、アッサリとサイドへと移行して首を捕らえに行く。



一転してピンチを迎えた石岡はどうにかガードポジションに戻したが、能村は再びパスガードを決めてサイドに付き、その首を狙いつつ石岡をガッチリと押さえ込む。ブリッジを作って逃れようとする石岡だが、能村の押さえ込みは強く、石岡は思うように動けずに大苦戦。それでも石岡がガードポジションに戻したところでブレイク。だが、今日はこの時点で、多くの観客が石岡の敗北を予想しただろう。それくらい、能村のポジションキープ力は圧倒的だったのだ。



両者スタンド、能村は打撃を繰り出す石岡に首相撲を仕掛け、腰投げを決めてテイクダウンを奪い、フロントチョークを極めに掛かるが、ここで1Rは終了。「JEWELSのエース」、絶体絶命の大ピンチだ。



2R、序盤はお互いにパンチを出し合う打撃戦となるも、やがて石岡が組み付いて首相撲から膝蹴りを放つ。


だが能村はテイクダウンを奪うと、再びハーフマウントから石岡を押さえ込む。まったく身動きの取れない石岡をパスガードしてサイド、そしてマウントを奪った能村は膝を落としつつ、バックに回ってスリーパー、そして腕を掴んで腕十字とやりたい放題だ。



それでも能村の腕十字を返した石岡は、この試合で初めてグラウンドで上になる。千載一遇のチャンスに観客からは歓声が沸いたが、能村はすかさず下から腕十字を仕掛け、その過程でグラウンドで上を奪い返す。観客の歓声が溜息に変わる中、能村は首を捕ってフロントチョークを仕掛ける。


結局、最後までグラウンドで石岡をコントロールし続けた能村は最後まで一本勝ちに拘り、残り30秒の時点で足関節を捕りに行く。その過程の中で石岡はニー・オン・ザ・ベリーの体勢になったが、残り10秒では何もすることも出来ない。



こうして試合は終了。判定の結果、3−0で能村が勝利。敗れた「JEWELSのエース」は、力のない表情でリングを降りていった。


いや〜、この試合は単純に能村が強かった。特にグラウンドでの力の差は歴然としていて「石岡は何回やっても、能村には絶対に勝てないだろう」と思わせるだけのパワーの差があったように思う。

能村の強さは「ツヨカワ」を提唱するJEWELSとは一線を画す「ひたすら強い」という質のもの。「カワイイ」とかそういう雑念を感じさせない強さだった、というか。正直、JEWELSの一つ上のステップである、DEEPで観戦したい選手だなぁ。まずはこのトーナメントでの活躍を見届けますかねぇ。




対する石岡は、言い訳のできない程の完敗劇。結果論ながらも、能村を攻略するにはグラウンドよりもスタンドの方、それも「徹底したアウトボクシング」をやるのが一番良かったと思うのだが…。

まぁ、これだけ完敗してしまうと、「JEWELSのエース」の座を奪い返すのは本当に大変だと思う。だが、エースというのはそういう壁を乗り越えていかなくてはならない運命にある。ここからの奮起、そして再起には大いに期待したい。



雑感

興行のテンポが良く、一本勝ちの連続で面白い興行だったが、今日はそれ以上にメインのインパクトが大きい。「ツヨカワ」の第一人者だった石岡沙織が、「ひたすら強い」能村さくらに敗れてしまったのは、JEWELSの根底を崩しかねない出来事のように感じた。結局、JEWELSという興行も、格闘技というまな板の上に乗っているワケなので、強い選手が勝つのは「当たり前」なのだが…。なんというか、今日はなんだか「ミもフタもない」ものを観た気になってしまった(笑)。それをやっちゃあオシマイよ!というかねぇ。




反面、JEWELS初代ライト級トーナメントは強い選手が揃った!という印象があるので、この先の準決勝と決勝は素直に楽しみ。ただ、次回は12月17日(金)なんだよなぁ。随分、期間が開いちゃうのがちょっと気になるね。



以上、長文失礼。