11/28 PANCRASE 後楽園ホール興行 二試合なのにはワケがある観戦記

Mask_Takakura2007-11-28

そうは言っても、突然のメールというのは嬉しいものです

本来、僕はこの日のPANCRASEを観戦する予定はなかった。


理由は簡単で…仕事が遅くなってしまい、後楽園ホールに到着するのが、どうあがいても20:00を過ぎるからである。もっとも今日は仕事中も「PANCRASEがあるから、早く終わらせなきゃっ!」ってな感じではなかったんだけどね。寧ろ「カードも良くないし、いつもの観戦仲間も全然来れないみたいだしなぁ。今日は観なくていいか」って感じだった。

そんな気持ちで19:00頃に会社を出ようとした時、珍しくセイントマンブラックKさん(id:the_saintK:以下、クロさん)からメールが届いた。

From セイントマンブラックK 18:58
来てますか?


おっと、今日のPANCRASEには久々にクロさんが観戦に来たらしいなぁ。嗚呼、なんてタイミングが悪いんだろう。今日は誰も観戦しに行かないのになぁ。

ま、とりあえずは返信しておくか。

From 高倉仮面 19:04
なんと今日は、psyzohさん(id:psyzoh)もzen(http://zenzen.jugem.jp/)さんも僕も観戦しない予定だったりします。みんな、PANCRASEが見たくないワケではなく、三者三様の事情で、という感じです。


まあ、僕は行けないことはないのですが、到着が八時を回っちゃうんです…。行きたくないワケじゃないんですけどね。


そうなんだよなぁ。今日は皆、諸事情で観戦できないらしいんだよね。なんでこんなタイミングで、普段は忙しいクロさんだけがPANCRASEを観戦できるのだろう。馴染みのメンバーが居ないと知ったら、クロさんガッカリするだろうなぁ…。

そうは言っても、突然のメールというのは困惑するものです

おっ、返信が届いた。

From セイントマンブラックK 19:08
まだ始まったばっかだよ。
桜庭の舎弟はパウンド秒殺で爆笑!


成程、成程。直接は書いていないけど…、これは「来いっ!」と言っているな(苦笑)。

う〜ん、さっきのメールに「到着が八時を回っちゃうんです…」って書いたハズなんだけどなぁ。こちとら、未だに東京にも入っちゃいないのに「まだ始まったばっかだよ」とか言われても…。第一「桜庭の舎弟」こと高橋渉が負けたって事は…この時点で第一試合は終了したって事でしょ?僕のために、もっと粘れよ高橋。


でもなぁ…、久々の観戦となるクロさんのお誘いを断るのも悪いしなぁ。悩ましいわぁ〜。


………。


…ヨシ、こうしよう。とりあえず後楽園ホールには向かうだけ向かって、到着時間が遅くなったら生観戦を諦めて、クロさんに会うようにしよう。

そうは言っても、突然のメールというのは楽しいものです

From 高倉仮面 19:17
秒殺ということは、僕にとっては大変に都合が悪いです(苦笑)。


う〜ん、一応そちらに向かいますが、多分四試合も観れればイイトコかな。それで5500円は高い…。立ち技なら3000〜4000円だもんなぁ…。


ぬぅ、我ながらメールの内容に本音が出ているな(苦笑)。ま、何にせよ、このメールを出した事で後戻りはできなくなったワケだ。これは急がにゃならん。

おっ、メールだ。

From セイントマンブラックKさんより 19:25
今、二試合目終了


そうか、二試合目が終わったか。やはり今日は四試合ぐらいしか観戦できなさそうだな。ヤレヤレ。

あ、今日の興行には「水野竜也 vs 河野真幸」があったんだっけ。PANCRASEの舞台に久々に登場した大型日本人選手の水野と、全日本プロレス出身の河野の対戦か。大型日本人同士の対決は観ておきたいトコロだな。う〜ん、一体何試合目なんだろ?ウム、この試合に間に合うようなら、今日は生観戦するか。


と、ここで僕は大事なことに気がついた。

そうは言っても、突然のメールは色々と書きたくなるものです

「…ん?そういえば今日は何試合あるんだ?」


僕はさっきから「今日は四試合くらい観戦できる」とか連呼してたけど…。よくよく考えれば、それは今までの観戦経験を元に、僕が勝手に「どうせ今日は、全部で八試合くらいだろう」と思っていたダケだな。つまり「本当のところ、今日は何試合あるのか」については、僕はまるで知らないのだ。

おお、更に大事な事を思い出したぞっ!そういえば今日は何故か、PANCRASE GATEが五試合も組まれてなかったかっ!?ぬぬぅ、今日はそれに合わせて本戦のカードも多少、削られている可能性が高いなぁ…。


うむ。とりあえずこのテの話は、現場の人に聞いてみるか。

From 高倉仮面 19:28
今日は何試合でしたっけ?水野と河野の試合(第四試合かな)が本命なんですが…。


おっと、返信が来た。早いな。

セイントマンブラックKさんより 19:31
六試合。次だよ。
ひょっとしたら休憩かな。


な、な、なんだとおおおーっ!

そうは言っても、突然のメールは大パニックになるものです

高倉仮面 19:34
ろ、ろ、六ってっ!半分も観れないじゃないですか(爆笑)。
マジでどないしよ…。


オイオイッ、このペースだと今日は良くて三試合、最悪の場合は二試合しか観れないじゃないかっ!何だよっ、最初からソレが分かっていたら、今日は「行かない」って選択肢を選んだのになぁ…。

う〜む…。今日はクロさんからの誘いをスッパリと断れなかった時点で「僕の負け」だな。…ええい、こうなりゃヤケだっ!このペースなら第四試合の水野vs河野には間に合いそうだし、今日は何がなんでも生観戦してやるわ!


ん?このタイミングに更なるメール?何ですかい?

セイントマンブラックKさんより 19:42
休憩ないわ。
四試合め始まる。


なにをおをおをおーーーっ!?


イヤイヤ待て待てっ!普通なら「前座が五試合&本戦が六試合」の興行の場合、本戦が三試合も終わったら、その時点で一回休憩を入れるでしょうが!? なんだって今日に限って、このタイミングに休憩が入らないかなぁ! …っていうか、ぶっちゃけ…僕のために休憩を入れてくれよっ、マジでっ!


とはいえ、こっちもあと少しで後楽園ホールに到着するんだっ!よ〜しっ!こうなったら、第四試合の2R目だけでも観戦するんだっ!

セイントマンブラックKさんより 19:50
休憩。


クロさんソレ、もう知ってますよ。何せ僕は今、会場に着いたのですから…。


ああ、なんで…なんでこんな時に、お目当ての試合が秒殺決着になるんだろうねぇ。あ〜あ、5500円も払って損した…。観客の入りは約六割。カードも弱いし、今日はこの入りでも仕方ないんじゃかな。


※第一試合〜第四試合は未観戦なので、試合結果を知った上での一言寸評です。あしからず。

第一試合(未観戦) 負けたのかぁ…。

ライト級 5分2R
小路伸亮(168cm/75.0kg/KILLER BEE)
高橋渉(172cm/70.0kg/チーム桜畑)
[1R 52秒 KO]
※グラウンドパンチ連打

僕はSBに上がっていた頃から高橋を観ていたので、この秒殺は素直に残念。

第二試合(未観戦) これはまた、懐かしい感じのカードだな

ウェルター級 5分2R
和田拓也(171cm/74.9kg/SKアブソリュート)
●梁正基(183cm/85.0kg/スタンド)
[判定 3−0]

「和田が判定で勝利した」って事は…。和田はスタンドでの展開を得意とする梁からテイクダウンを奪って、グラウンド中心で試合を動かしたのかな?と推測。で、試合速報サイトなどを読むと…、どうやら僕の読みで正解だったようだ。

第三試合(未観戦) ぬぬぅ、これは厳しい結果だなぁ

フェザー級 5分2R
○浅野倫久(163cm/65.0kg/KILLER BEE)
●村山トモキ(170cm/61.0kg/AJジム)
[判定 3−0]

全日本キックから出向し、総合格闘技に挑戦し続けている村山だが、今回は浅野の再三再四のタックルをまったく捌けずに完敗したようだ。う〜ん、村山は総合格闘技では5戦1勝4敗1KOかぁ。まったく芽が出ないのぉ。

第四試合(未観戦) なんだって、こんな時に秒殺かねぇ…

ヘビー級 5分2R
水野竜也(186cm/97.1kg/U-FILE CAMP登戸/PANCRASEヘビー級 二位)
河野真幸(192cm/108.0kg/NEW JAPAN FACTORY)
[1R 3分28秒 KO]
※グラウンドパンチ連打

河野はAKAでの打撃修行を慣行したようだが…、試合速報サイトなどを読むと「河野は寝技で圧倒され、左フックを浴びて倒れ、グラウンドでパンチを喰らってKO」って流れらしい。う〜ん、AKAで修行した河野が打撃でKO負けですかい。福田力はAKAの修行で強くなったのにねぇ。

第五試合 世界の壁は厚かった

PANCRASEフェザー級 5分3R
○マルセロ・サンドロ(172cm/63.8kg/ブラジル/ノヴァ・ウニオン/修斗ライト級 世界九位&米大陸一位)
●DJ.taiki(172cm/63.8kg/フリー/PANCRASEフェザー級 一位)
[判定 3−0]

さて、ここからは生観戦による観戦記だ。っていうか、今日は二試合しか観戦できねぇのか。ヤレヤレ。


休憩明けの第一試合は、中々興味深いカードだと言えるだろう。修斗ライト級の世界ランカーであるマルセロ・サンドロと、PANCRASEフェザー級のNo.2であるDJ.taikiによる対戦だ。ノヴァ・ウニオン所属のサンドロはグラウンドを得意としているであろうから、taikiとしてはスタンドに拘って試合を進めたいところだ。


1R、意外にも、序盤のスタンドでの攻防で主導権を握ったのはサンドロ。なかなかシャープなストレートを連打してtaikiを一気に追い詰めると、組み付いてテイクダウンを奪った。尻で立ってバランスを保とうとするtaikiに対し、サンドロはボディへパンチを落としてダメージを与える。しかし、この後は展開なくブレイクに。

試合再開後、今度はtaikiが右ハイ〜ワンツー、そして右ローでプレッシャーを掛ける。だがサンドロはこれに臆することなく打撃で対抗。アッパーとワンツー連打で堂々と応戦すれば、パンチを浴びたtaikiの鼻からが流れる。サンドロは試合終了前に再びテイクダウンを奪うと、ハーフマウントから肩固めを狙う。下から頭部に掌打を浴びせて防御するtaikiだが、ここまでは圧倒的に押されいる状態だ。


2R、開始早々にtaikiは左ハイを浴びせるも、サンドロは臆さずにワンツーを連打し、タックルでtaikiをテイクダウンしパンチをコツコツを浴びせる。この後は展開がなくブレイクになるも、サンドロは下がるtaikiに向かってボディブローやフックを浴びせつつ再びタックルでテイクダウンに成功。そしてグラウンドでは展開がなく再びブレイクに。試合終了直前にもサンドロは、taikiの左フックにタックルを合わせてテイクダウンを奪った。

う〜ん、サンドロはいかにもノヴァ・ウニオン所属の選手って感じだね。つまり「テイクダウンは上手いけど、その後の攻めが繋がらない」ってことね。隣でクロさんが退屈しているのも頷ける話だなぁ。


3R、ようやくtaikiが攻める。右ローや左ジャブでサンドロを牽制すると、サンドロのタックルにテイクダウンを許しながらも、すぐに立ち上がる。これまでとは一転して前に出ての攻めを見せるtaiki、左ミドルの連打や積極的な左ハイでプレッシャーを掛ける。ここにきて、ようやくtaiki本来の動きが出てきたなぁ。

だがサンドロはワンツーの連打からのタックルでtaikiをテイクダウン、この流れを断ち切ってしまう。この後も二度のテイクダウンでtaikiに付け入る隙を与えないサンドロ、もう一度テイクダウンに成功したところで試合は終了。


判定の結果は3−0でサンドロが勝利。マイクを持ったサンドロは「PANCRASEで試合ができた事を光栄に思います。日本のファンは最高です」と殊勝なコメントを残した。


う〜ん、PANCRASEでは実力者として知られているtaikiだけど、終わってみれば「完敗」だったなぁ。まあサンドロはこれまで9戦無敗だし、taikiは試合前から「世界のトップレベル」と評しているし、こういう結果になる事は不思議ではないんだけどね。とはいえ、あのtaikiがここまで完璧な敗北を喫するとはなぁ…。なんとなくだけど、前田吉朗との試合が実現したとしても、サンドロは同じような試合展開で勝っちゃいそうだなぁ。

それにしてもウマハノフ・アルトゥールといい、ガジエフ・アワウディンといい、そしてこのサンドロといい…。最近のPANCRASEには妙に強豪が集うなぁ。

第六試合 涙はなくとも、感動の戴冠劇

ミドル級 King of PANCRASE 5分3R
竹内出(180cm/81.7kg/SKアブソリュート/PANCRASEミドル級 一位)
中西裕一(180cm/81.2kg/フリー/PANCRASEミドル級 王者)
[判定 3−0]
※竹内が新王者に

本日のメインイベントは、ミドル級のKing of PANCRASEを賭けたタイトルマッチにして、昨年十二月に行われた試合の再戦だ。


「ベルトに一番近くて、一番遠い男」竹内出は、これが四度目の同王座への挑戦となる。

2002年10月、修斗ランカーの肩書きを引っさげてPANCRASEへの参戦を果たした竹内は、その第一戦でいきなりネイサン・マーコートを撃破すると、当時のミドル級王者である國奥麒樹真への挑戦を表明。その後、王座はマーコートへと移ったものの、2003年3月に竹内は同王座のタイトルマッチに挑む。だが、この試合で竹内はマーコートの左フックを喰らって失神。初めての王座挑戦は「秒殺負け」という無残な結果となった。

それでも竹内は二年に渡り、地道に白星を重ね続けた後に、2005年5月に再びマーコートとのタイトルマッチに挑んだが…。竹内はまたしても、マーコートチョークスリーパーの前に敗れてしまう。この「二度に渡る完敗劇」は、PANCRASEファンに「マーコートが王者のうちは、竹内は王座に着く事は不可能だろう」と思わせるには充分なものだった。

再び一年半の歳月が流れ、マーコートUFCへと転出。これに伴いミドル級王座は空位となり、2006年12月に竹内は中西裕一との王座決定戦に挑む。しかし…。下馬評では「竹内が圧倒的に有利」と言われたこの試合で、竹内は序盤に中西の膝蹴りを喰らって大流血に見舞われ、まさかの敗北を喫してしまう。試合自体は、その大流血さえなければ竹内有利の内容だっただけに、この時ばかりはPANCRASEファンの誰もが竹内のベルト運のなさを嘆いたものだった。

そう、竹内にはベルト運がない。PANCRASEにおける竹内の戦績は16戦11勝3敗2分1KO。つまり竹内は「王座戦以外は無敗」という事になる。にも関わらず、肝心の王座戦はすべて敗北。「ベルトに一番近くて、一番遠い男」、それが竹内出なのだ。同王座の初挑戦から四年半。屈辱を味わい続けた男は、それでも尚、今宵四度目の王座戦へと挑む。


待ち受けるは、竹内を下してミドル級王者となった中西裕一なのだが、こちらはある意味で竹内以上の屈辱を受けている。

なんといっても中西は、昨年12月に新王者になったにも関わらず、このタイトルマッチまでPANCRASEでは一切試合が組まれなかったのだから驚きだ。その背景には「中西が新王者となった際、応援団が無断でリングに上がって騒いだ」という事実が関係している気もするが…なんとなく、まったく関係がない気もするような。

いずれにせよ「PANCRASEから忘れられた王者」、それが中西裕一という男なのだ。戴冠から約一年、その存在をアピールするには、この試合に勝つことは必須だろう。


というワケで、両者ともに様々な思いで挑んだであろうこの一戦は…前回とは一転、非常に地味な展開に終始した。

1R、下がりながら打撃を放つ中西に対して、胴タックルで組み付いて青コーナー際へと押し込む竹内。中西はどうにか堪えていたが、やがて竹内がテイクダウンに成功。SKアブソリュート応援団の声援の中、サイドを奪った竹内は鉄槌と膝蹴りをコツコツと入れる。中西はガードポジションに戻すも、竹内はラウンド終了まで小さい打撃を放ち続けた。

2R、下がりながら打撃を放つ中西に対して、胴タックルで組み付いて青コーナー際へと押し込む竹内。中西はどうにか堪えていたが、やがて竹内がテイクダウンに成功。SKアブソリュート応援団の声援の中、サイドを奪った竹内は鉄槌と膝蹴りをコツコツと入れる。中西はガードポジションに戻すも、竹内はラウンド終了まで小さい打撃を放ち続けた。

ちなみに2Rの文章は、1Rのものを丸々コピーして張ったダケのもの。…イヤ、手抜きとかじゃなく、本当に1Rと2Rの攻防がまったく同じだったのだ。その攻防もさる事ながら、竹内が中西を追い詰めるコーナーや、テイクダウンを奪った場所までキレイに同じだったのには驚いた。ま、試合展開自体は…見ての通り、ちょっと退屈な感じなんだけどさ。


3R、下がりながら打撃を放つ中西に対して、胴タックルで組み付いて青コーナー際へと押し込む竹内。…と、1R、2Rとまったく同じ書き出しを使ってみたが、この後でレフェリーによるブレイクが入った為、同じ文章を使うのはここまで。チッ、無粋なレフェリーめ。

再開後、ペースを握ったのは中西。左右のフックと膝蹴りで竹内を流血させると、コーナー際へと押し込みつつ、その傷口に頭部を擦り付けたり、パンチを入れたりして嫌がらせ。ブレイク後、竹内のタックルをコーナー際で堪えた中西は、同じ戦法で一発逆転を狙ったが、竹内のテイクダウン狙いのしつこさに根負けして場外へと逃げようとしてしまう。この行為に対して、レフェリーからは口頭注意が。

残り時間はわずか。中西は最後まで諦めずに左右のパンチと膝蹴りで一気に攻めるも、竹内は下がりながらこの打撃を捌き、ついに試合終了のゴングが鳴った。新王者となった事を確信している竹内は、SKアブソリュート応援団の歓声に手を振って応えていた。


判定の結果は3−0で、文句なく竹内の勝利。自らのジンクスを破り、四度目の王座挑戦でついにミドル級王座を獲得した竹内は「五年前にちょうどこの(PANCRASEの)リングに参戦して(ネイサン・)マーコートに勝って、二戦目で持っていこうと思っていたベルトを獲るつもりだったのが、丸五年もかかりました…」と静かに語る。気がつけば観客からは、拍手が自然発生。会場は温かい空気に包まれた。

竹内は尚も語る。「途中、何度も諦めそうになりましたが…三十代の半ばでも、まだまだ『実力は伸びている』と感じるところがあります。そして色々な人の支えがあって、ようやくここまで来れました。皆さん、本当にありがとうございます」 。観客は竹内に素直に拍手を贈り、興行は感動的な雰囲気のまま幕を降ろした。



入場時に連れてくるイズルガールこそ華やかながらも、その闘い方は「地味」というより他はない竹内。グラウンドでのポジション取りはピカイチでも、極めっ気はまったくなく、相手をKOする打撃も持っていない。その「プロらしからぬ闘いぶり」は時に批判の対象にもなったが…それでも彼は地道に判定勝利を重ね続け、今日「王座戦は全敗」という自らのジンクスを破り、ついに新王者となった。

竹内の姿を昔から観戦してきた人であれば、この戴冠劇は素直に喜べるものだと思う。



さてさて。晴れて新王者となった竹内の今後の展望だが…、PANCRASEの中には彼のライバルとなる選手が存在しないのが悩みの種だなぁ。この先、どうするんだろ?SKアブソリュート・ロシア所属のガジエフ・アワウディンが所属を離脱すれば、丁度よいライバルになり得る気もするが…う〜ん、あんまり現実味はないなぁ。

あらららら。この先、竹内が歩むのは、ペンペン草一つ生えない荒廃した道なんだな。前途多難だなぁ。本当にどうするんだろ?

※筆者注
この後、現役ライトヘビー級王者の近藤有己の「ミドル級転向」が告知され、PANCRASEは「近藤有己vs竹内出」という切り札を持つ事になる。まあ、これ自体は素直に歓迎すべきものなんだけど…いくら近藤が現役王者だからって、ミドル級に転向した途端に同級の暫定王者になってしまうのはどうか?どうなのか?

雑感

観戦したのはたったの二試合。たったの二試合だったんだけど…満足度はそこそこあるから不思議なもんだ。

やっぱりメインイベントがハッピーエンドに終わったのが良かったんだよね。「終わり良ければ全て良し」とはよく言ったモンだよ、ホント。


以上、長文失礼。

おまけ

帰りはクロさんとサシで居酒屋へ。僕は普段、年上の人とサシで飲む機会など皆無なので、なかなか貴重な体験をさせてもらった、というかね。クロさん、この時はどうもでした。

行った居酒屋はココ、「まぐろ酒場 魚箱」

http://www.walkerplus.com/tokyo/gourmet/DETAIL/V-TOKYO-4RTAZ096/