8/12 ベラトールFC セミノールHRH&C興行 ネット観戦記 ver1.0

海外の総合格闘技が簡単に見れる時代になったんだなぁ…

とりあえず、無料のネット放送があったので、PCにて初となるベラトールFCを観戦。う〜ん、普段は海外になど目も向けない僕ではあるが、以前に比べて海外の試合を見る機会も随分と増えたもんだなぁ。


今日の興行で注目すべきは…、やはり女子115pond級トーナメントに出場する藤井惠の存在だろう。今年6月に初参戦して以来、ベラトールFCの舞台を主戦場にしつつある藤井。日本では敵なしの彼女が海外のトーナメントを制覇することは、日本の女子格闘技界が再び注目される切っ掛けになるだろう。アウェイの土地、情報の少ない相手、「負ければ終わり」というプレッシャー。日本とは違う環境の中、彼女は何を残していくのだろうか?


今日はそんな藤井の闘いを見届けるために、G1真っ只中の新日本プロレスを蹴っての観戦だ。決して、当日券がSOLD OUTだったので、スゴスゴと家に帰って観戦しているワケではないのだ!…いや〜、本当に今の新日の人気って、ナメられねぇなぁ…。

第二試合 あら、秒殺じゃない!

ベラトールFC ヘビー級トーナメント 一回戦 5分3R
○ネイル・グローブ(199cm/120.0kg/イギリス/ロンドン大学空手会)
●エディ・サンチェス(188cm/110.9kg/アメリカ/ノースカントリー・ファイトクラブ)
[1R 1分32秒 TKO]
※レフェリーストップ

例によって例のごとく、海外の選手には疎いワタクシ。とりあえずネットで選手の事を調べてみたところ、エディ・サンチェスは元UFCの常連。対するネイル・グローブは39歳の大ベテラン、2m近い体格が大きな武器なようだ。成程、確かにサンチェスと並ぶとかなりの体格差を感じるな。


試合開始。まずはサンチェスが前に出るも、そこへグローブの右ストレートがカウンターでヒット。その場で崩れるサンチェスに対して、グローブは上から潰してグラウンドへと誘うと、インサイドからパンチを連打。パンチを落とすグローブの勢いが凄まじい。体格差から来る余裕だろうか。




サンチェスは下からのクロスガードでやり過ごしてグラウンドを脱出するも、勢いに乗るグローブは再びサンチェスを潰して再びグラウンドでパンチを連打。いいパンチが入らずに一度立ち上がるグローブ、サンチェスも立ち上がったが、グローブは首相撲からの膝蹴りをサンチェスに入れると、金網際でブン回しの右のハンマーパンチをヒットさせる。崩れるサンチェスをグローブが追撃したところでレフェリーが試合を止めた。



サンチェスのダメージは浅いようだったが、ここまでの展開を考えると止めたのは正解だと思うね。


第三試合 あら、圧倒的じゃない!

ベラトールFC 女子115pond級トーナメント 一回戦 5分3R
藤井惠(160cm/52.3kg/日本/AACC)
●カーラ・エスパーザ(155cm/52.2kg/アメリカ/チーム・オーヤマ)
[2R 57秒 腕十字固め]

アメリカでは「メガメグ」の異名を持つ藤井惠ジョシカクの歴史の初期から活躍し、総合格闘技の戦績は20戦20勝無敗1KO16SKOというパーフェクトスコアを持つ藤井。HOOK N SHOOTやBodog Fightといった海外のリングでも闘った経験のある藤井は、今年6月にベラトールFCに初出場。この舞台でサラ・シュナイダーをマウントパンチでKOした藤井は、その実績を認められて女子115pond級トーナメントへの出場を果たした。




セコンドにジョシュ・バーネットを従えて入場してきた藤井、一回戦の対戦相手はアメリカで大学レスリングを二度制覇しているカーラ・エスパーザだ。



1R、両者がパンチで牽制し合う中で、藤井がワンツーと右ミドルでエスパーザに圧力を掛ける。藤井のパンチは中々早い。対するエスパーザも打撃を返したが、その蹴り足を掴んだ藤井が金網へと押し込む。エスパーザは金網際で入れ替わると一度離れ、藤井が放ってきたタックルを切ると、前に出てのワンツーで藤井を下がらせる。ふ〜む、さすがに海外は勝手が違うのかな?



なんとかグラウンドに持ち込みたい藤井は再びタックルを敢行するも、エスパーザは粘った末に金網際で藤井を突き放す。それでも金網際で組み付いた藤井は、足を掛けてエスパーザのバランスを崩すと、そのまま足を捕ってヒール・ホールドを狙う。これを逃れるエスパーザだったが、その過程で藤井はついにグラウンドで上になる。下から組み付き、クロスガードでガチガチに防御を固めるエスパーザに対して、藤井はそのお尻に膝蹴りを放つ。

ここで早めのブレイクが入り、ラウンドの残り10秒の時点でエスパーザは自ら組み付くも、藤井は腕を掴んで回転して上になる。ここで1Rは終了。うん、藤井は最初と比べると、自分の闘い方に自信を持ったように見えるな。




2R、まずは軽い打撃で様子を見る両者だったが、やがてエスパーザがワンツーを繰り出しつつ前に出て藤井に組み付くと、レスリング力を活かして藤井を崩しに掛かる。だが藤井は崩れていく過程の中で足を掴んでヒールホールドへ。そして、これがダメと見るや背中を向けているエスパーザの右腕を掴んで腕十字の体勢へ。これが極まってエスパーザがタップ、藤井が見事な一本勝ちを修めた。いや〜、これは鮮やか!



僕はあんまり藤井って選手は好きじゃない。いつも表情はどこか飄々としていて、何かを背負って闘うことがないように見えるので、なかなか感情移入ができないのだ。それでも、こうして海外で結果を残されてしまうと、僕のような人間でも藤井の存在を認めざるを得なくなってしまう。う〜ん、ここまで来たら、是非優勝して欲しいのだが…。


第四試合 あら、また秒殺じゃない!

ミドル級 5分3R
ヘクター・ロンバード(175cm/84.1kg/オーストラリア/アメリカン・トップ・チーム/ベラトールFCミドル級 王者)
●ハーバート "ウィスパー" グッドマン(185cm/83.2kg/アメリカ/フォックスバレー・グラップリングクラブ)
[1R 38秒 KO]
※グラウンドパンチ連打

あぁ!ヘクター・ロンバードって、懐かしい名前だなぁ!典型的な筋肉ダルマで、吉田道場の所属でPRIDE武士道に出場して、郷野聡寛ゲガール・ムサシを相手に序盤は圧倒するんだけど、飛ばし過ぎるあまりに段々と失速して判定で負けていた、あの選手かぁ。で、調べてみると現在の戦績は28戦25勝2敗1分1無効試合10KO6SKO。おお!つまりPRIDE武士道での敗北以外は負けなしって事か!いや〜、確かに昔見たときから「闘い方をしっかりと覚えたら、強い選手だろうなぁ」とは思っていたが、まさかこんなに凄い戦績になるとは思ってもいなかったなぁ。

そんなロンバードの今日の相手は、2007年1月にデビューしてから、今日まで24戦のキャリアをハイスピードで積み上げているハーバート・グッドマン。ベラトールFCには初参戦となるようだ。


試合開始、まずはゴツイ身体のロンバートがパンチを振り回しつつ前に出る。対するグッドマンは距離をとって構えたが…。ロンバートはお構いなしに前に出ると、ぶん回し式の右のパンチがクリーンヒット。




金網際で崩れるグッドマン、ロンバートはそのまま倒してグラウンドでパンチを連打。これを見たレフェリーが試合を止めた。う〜ん、早いなぁ。



PRIDE武士道に参戦してた頃、ロンバードといえば「前半は飛ばして、後半がガス欠」ってイメージがあったけど、今日の試合を見る限りではあの頃から闘い方を変えてはいないっぽいなぁ。きっと、ロンバードってUFCでは通用しないんだろうなぁ…。でもまぁ、この試合に関して言えば、ロンバードの良い所が凝縮していたな。


第五試合 あら、強豪じゃない!

ベラトールFC 女子115pond級トーナメント 一回戦 5分3R
ジェシカ・アギラー(160cm/51.4kg/アメリカ/アメリカン・トップ・チーム)
●リン・アルバレス(157cm/51.9kg/アメリカ/ショーグンMMA)
[1R 4分1秒 肩固め]

この試合は、先ほど藤井惠が勝利して準決勝への進出を決定した女子115pond級トーナメントの、もう一つの一回戦。対戦するのはアメリカン・トップ・チームに所属しているジェシカ・アギラーと、グラウンドを得意としているリン・アルバレス。アギラーも寝技を得意としているようなので、この試合はグラウンド中心になりそうだな。


試合開始、まずは距離を取る両者。アルバレスはパンチでプレッシャーを掛けたが、アギラーは前に出てアルバレスに組みつくとテイクダウンを奪う。ハーフマウントになったアギラーはパスガードを決めてサイドに回る。もがくアルバレスを押さえ付けるアギラー、対するアルバレスはどうにかクロスガードに戻すとラバーガードを仕掛けるが、アギラーはこれをクリア。う〜ん、アギラーは強いな。グラウンドでの安定感が抜群だ。




アギラーは再びパスガードを決めると、そのまま肩固めへ。アルバレスはどうにかしのいでガードポジションに戻してラバーガードで反撃。だが、これを外したアギラーが再び肩固めを仕掛けると、これが極まってアルバレスがタップ。



う〜ん、当たり前の話ではあるが、海外の女子格闘技の世界にも「強豪」っているもんだなぁ。このアギラーのグラウンドの安定感を前にして、藤井はどうしのぐのだろうか…?まぁ、当たるとしたら決勝だから、今はあんまり考えなくても良いかもしれないけどね。


第六試合 あら、膠着じゃない!

ライト級 5分3R
イーブス・エドワーズ(178cm/70.0kg/アメリカ/アメリカン・トップ・チーム)
●ルイス・パロミーノ(173cm/70.1kg/アメリカ/MMAマスターズ)
[判定 3−0]

この日、最後に放送された試合は、両者ともに僕には馴染みの薄い者同士の一戦。放送時間枠が余ったから流されたのかな?とりあえずイーブス・エドワーズUFCの元常連で、PRIDE武士道にも参戦経験があり、戦績が50戦を超える大ベテランだ。対するルイス・パロミーノはベラトールFCの常連のようだ。


1R、いきなりエドワーズの右がヒットすると、パロミーノはバランスを崩してしまう。ワンツーを放って挽回を図るパロミーノだが、エドワーズはこれにタックルを合わせてテイクダウンを奪う。インサイドに入ったエドワーズは右のパンチを落としつつパスガードを狙うも、下からベッタリとくっつくパロミーノをパスできずに苦戦。すっかり試合は膠着、観客からは容赦のないブーイングが。

やがてエドワーズは上半身を起こしてパンチを落としたり、右肘を落としたりでパロミーノにダメージを与え、ようやくパスガードに成功。更にマウントを狙ったエドワーズだが、これは失敗。再び時間を掛けてパスガードを決めるエドワーズだが、結局は際の攻防で競り負けてパロミーノに立たれてしまう。1Rはここで終了。う〜ん、決め手に欠ける展開だなぁ。




2R、まずはスタンドで様子を見る両者。エドワーズが牽制のパンチを繰り出すのに対して、パロミーノはキレの良い右ローでお返しをする。静かな展開のまま1分30秒が経過したが、ここでようやく打ち合いを演じる両者。エドワーズはこの攻防でタックルを敢行するも、これはパロミーノが切り、右ミドルを一発入れる。エドワーズは再びパロミーノに組み付くと、体勢を低くしてタックルを仕掛けるパロミーノを上からガブったが、この体勢のまま試合は膠着。

パロミーノは立ち上がり、タックルでエドワーズを金網へと押し付けてテイクダウンを狙う。エドワーズは金網際で粘り続けると、強引にフロントチョークを仕掛けたが、これはパロミーノがアッサリと外した。とはいえ、ここまでは劣勢のパロミーノ。逆転を狙ってソバットを放ったが、これは自らバランスを崩してコケてしまった。あらら。




観客のブーイングの中で迎えた3R。いかに観客が怒っていても、両者はスタンドで様子を見合う。パロミーノはパンチで圧力を掛け、エドワーズがパンチを返して試合の主導権を握り返す。そんな状況が長い時間続く。パロミーノは右ハイをヒットさせるも、エドワーズはワンツーを放ってプレッシャーを掛けていく。

パロミーノはパンチと左ローを返し、特に左ローはエドワーズに少なからずダメージを与えていた。だが終盤、パロミーノが放ったワンツーに合わせてエドワーズがタックルを仕掛けてテイクダウンに成功。ハーフマウントの体勢から最後までパスガードを狙っていった。




ここで試合終了。観客のブーイングの中で判定結果が読まれ、3−0でエドワーズが勝利。

正直、あんまり面白くはなかったなぁ。パロミーノの打撃のプレッシャーがもっと強ければ、もっと面白い試合になったんだろうけど、エドワーズの寝技に翻弄されて自分の闘いが出来ていなかった気がするなぁ。



雑感

まあ、最後の試合はイマイチだったけど、全体的には一本勝ちが続いたし、まあネットで見る分には面白かったかなぁ。ぶっちゃけ、男子の一本勝ちはちょっと大味だった印象もあるんだけど、女子の試合の方は一方的でありながらも、勝った選手の方に確かな実力を感じたなぁ。う〜ん、こうなってくると女子115pond級トーナメントの行く末が気になるね。


どうやらベラトールFCは次回もネット上で無料放送をするみたいだし、こりゃ次回も見なきゃイカンな。


以上、長文失礼。