10/17 PANCRASE 新宿FACE興行 観戦記 Ver1.0

PANCRASE初の新宿FACE興行は、軽量級が中心の興行に

本日は新宿FACEにてPANCRASEを観戦、なんだけど…。


PANCRASEとしては初となる新宿FACEの興行は、軽量級を中心にカードが組まれた。PRIDE崩壊後のPANCRASEフェザー級、ライト級、バンタム級、そしてフライ級といった軽量級戦線を中心に興行を構築しているんだけど、観戦記を書かなくなったこの一年半で「すっかり選手がわからなくなっちゃった…」という状態に陥ってしまった。

というワケで今回は、約一年半に及ぶお休みから復活して観戦記を書いた次第。これから他の団体も、マイペースにボチボチと書いていきますのでヨロシク。


ちなみにチケット代は5500円、ドリンク代は500円。昨今の総合格闘技興行は本当にチケット代が高いよ。観客の入りは満員だったけど、超満員じゃなかったのは意外だったなぁ。PANCRASEといえど、有名選手を呼ばなけりゃ観客動員力はこんなモンなのかねぇ。

第一試合 覚えなきゃ、覚えなきゃ

フライ級 5分2R
○田沼良介(163cm/55.5kg/リバーサルジム横浜グランドスラム/チームZST)
●中村圭志(164cm/55.4kg/坂口道場 一族)
[2R 2分24秒 TKO]
※グラウンドでのパンチ連打

う〜ん、第一試合に出ている選手というだけじゃなく、PANCRASEのフライ級戦線は本当に選手がわからないや。これを機に覚えていかにゃならんな。



1R、序盤は距離を置いて打撃戦が展開されるも、田沼は首相撲からの膝蹴りを連打して一歩リード。その後、田沼はテイクダウンを奪うと、インサイド〜ハーフ〜サイドと移行してパスガード。中村は隙を見て立ち上がるも、田沼は再び首相撲から膝蹴りを繰り出すと、片足を掴んできた中村の腕を掴んで捻る。

ここで1Rは終了。ふ〜む、ここまで中村は終了直前にヒットした左ストレート以外に有効打がないねぇ。

んで、こうなると俄然、勢いが付くのが田沼の方だ。2R、いきなりテイクダウンを奪った田沼は、ニーベリーの状態から中村の顔を細かく踏み付け、そのままマウントへ移行してパンチを連打。中村はクロスガードで粘ろうとするも、田沼は上をキープし続けてパウンドを連発。反撃ができない中村の様子を見たレフェリーが試合を止めた。

第二試合 GOKITA、GOKITA

ライト級 5分2R
○太田純一(173cm/70.2kg/GOKITA GYM)
高橋克典(177cm/70.1kg/GRABAKA)
[1R 2分9秒 TKO]
※グラウンドでのパンチ連打

あれ?GOKITA GYMって修斗系じゃなかったっけ?まあ、今は親会社が同じドンキホーテだから、あんまり修斗PANCRASEだっていうのは意味がないのかもしれんけどさ。



試合開始、序盤は打撃戦。ここはリーチの長い高橋が展開を有利に進めるだろうと、思われたが…。高橋のローをキャッチした太田はすかさずテイクダウンを奪うと、勢いで有利なポジションを作って一気にパンチを連打。ロープ際という不利な状況も手伝い、高橋は反撃もままならない。

太田はそのままパンチを連打。やがてブレイクが掛かるも、高橋のダメージは大きい。その様子を見たレフェリーが試合を止めた。


うん、最初の二試合はどちらも一本勝ちだ。なかなか幸先がいいね。

第三試合 駿河道場、駿河道場

バンタム級 5分2R
○遠藤大翼(172cm/61.2kg/和術慧舟會 駿河道場)
佐藤将光(174cm/61.2kg/坂口道場 一族)
[判定 2−0]

正直、友達との絡みで和術慧舟會 駿河道場の話は聞く機会が多いんだけど、これまであまり意識をして選手を観た事がないんだよなぁ。いい機会だ、これを機に覚えていこう。



1R、組み合う両者、佐藤が遠藤をコーナーへと押し込んで足を踏み付ける。ブレイク後、遠藤は反撃のワンツー〜ハイを見せる。リーチが長いのは佐藤で右ローは有効打だったが、遠藤は前蹴りで牽制。再び組み付く両者、佐藤がコーナーへ押し込んで踏み付けるも、展開なくブレイク。遠藤が距離を詰めてワンツーで攻めると、コーナー際での右ストレートがヒット。佐藤も打撃で反撃、両者のワンツーが交差する中で1R終了、ここまでは互角だね。

2R、遠藤は牽制のワンツーから、距離を詰めてパンチを振るう。佐藤はクリンチ、コーナーで膠着する両者。ブレイク後、佐藤は左ハイを見せると、またしても遠藤をコーナー際へと追い詰める。遠藤は突き放してワンツー。すると、コーナーへの押し込みに体力を使ったのか、佐藤が苦しい表情を浮かべる。それでも佐藤はテイクダウンに執念を見せたが、遠藤はこれを堪える。

そして更にスタミナをロスした佐藤を、今度は遠藤の打撃が襲う。右ストレート、右ハイをヒットさせると、ワンツーで佐藤を追い込む。佐藤は首相撲からの膝蹴りで反撃するも、遠藤は尚もワンツーで攻め立てる。佐藤が打撃で応戦する中で試合は終了。



判定の結果は2−0で遠藤の勝利。実力拮抗の中、遠藤が競り勝ったねぇ。お見事でした。

第四試合 飛行機、飛行機

フェザー級 5分2R
○川那子祐輔(173cm/65.8cm/秋本道場Revo龍tion)
●宮路智之(184cm/65.7kg/和術慧舟會 TLIVE)
[判定 2−0]

宮路は特攻野郎Aチームのテーマで入場。コングの「飛行機だけはカンベンな!」ってネタ、今の若い連中は知らねぇんだろうなぁ。大統領だってブン殴るし、Wrestle Maniaにも出場したのになぁ。それにしても、フェザー級で184cmって脅威だなぁ。隣で観戦しているセイントマンKブラックさん(id:saint_K)が「いよいよ、こういう時代が来たかぁ」と呟いていたのが印象に残る。


1R、川那子はタックルを仕掛けるも、これをキャッチした宮路は身長差に任せた強引なフロントチョークを極めると、そのままグラウンドへと引き込んでしまう。更には長い足を活かしたラバーガードからの三角絞めや腕を狙らった攻めを披露。う〜ん、宮路が強い。一旦ブレイクが掛るも、川那子は再び組み付き、宮路は引き込んでグラウンド。1R終了直前、宮路は腕十字を狙う。



と、1Rは宮路がリードした展開だったが…。

2Rは開始早々にバックを奪った川那子が試合を作る。胴を4の字で絞めた川那子は、バックマウントからパンチを入れつつスリーパーを狙う。一転して苦しくなった宮路は何とか半立ちの状況を作るも、川那子は尚も宮路におぶさってのスリーパー狙い。崩れる宮路からマウントを奪う川那子。ピンチに陥った宮路は秘技・TKシザースで何とか逆転、スタンドでバックを奪うも、ここまでの展開でスタミナをかなりロスしている様子。



終盤、川那子は距離を離してパンチで攻める。宮路の表情に疲れが見える中、川那子はガブってパンチを入れつつテイクダウン…というところで試合は終了。



判定の結果、2−0で川那子が勝利。1Rと2Rで別な試合を見ているかのようだったなぁ。まあ、それでも宮路はこれから強くなると思うので、今後に期待だね。

第五試合 階級、階級

バンタム級 5分2R
○清水隼人(172cm/60.8kg/アンプラグド国分寺)
●斉藤良(173cm/61.2kg/和術慧舟會 TLIVE)
[1R 4分25秒 TKO]
※グラウンドでのパンチ連打

キックではライト級くらいの体重でも、総合だとバンタム級になるのね。


試合開始、まずは斉藤がタックルを仕掛けるも、清水は巴投げの容量でリバース、猪木アリ状態が続いた後でブレイク。この後、同じような展開となるが、それでも斉藤はしつこくタックル、ついにテイクダウンに成功すると袈裟固めの体勢へ移行。



だが清水は頭を絞められつつもバックへ移行、足によるボディシザースで斉藤を絞め付ける。両者、立ち上がっての打撃戦の中、清水のパンチがクリーンヒット。崩れる斉藤を清水が追い討つが、斉藤は引き込んで逆転のヒールホールド。大きな見せ場に会場が盛り上がったが…。



清水は巧く足を抜いて上のポジションを奪うと、ここからパウンドを連打。次々に打撃を喰らった斉藤はグッタリ、ここでレフェリーが試合を止めた。



短い時間に試合の流れが二転三転。こってり目の試合が続いた後だったのでスカッとしたなぁ。二人の今後の活躍に期待。

第六試合 カツオ、カツオ

フライ級 5分2R
○矢島雄一郎(165cm/56.5kg/禅道会総本部/チームZST/2009年 NEO BLOOD TOURNAMENT フライ級 準優勝)
●カツオ(173cm/56.4kg/K太郎道場)
[1R 4分47秒 TKO]
※腕十字固め

カツオといえば、DRAGON GATEのカツオは今、どうしてるんだろ?一時期はサイバーコング・シートとして出ていたみたいだけどねぇ。それはそれとして、K太郎道場のカツオの方はサザエさんの挿入歌で入場。ヤケに応援団にウケていたのが印象に残った。



1R、まずはリーチに優るカツオが右ローを連発してプレッシャーを掛ける。更にカツオはワンツーを放ちつつ矢島に組み付き、テイクダウンを奪って細かい踏み付けを連発。矢島はどうにか脱出するも、今度はカツオの右ハイを喰らってしまう。



だが矢島は左右のローと前蹴りで自分の打撃の距離を掴むと、カツオが放った右ローをキャッチしてテイクダウンに成功。そしてグラウンドでは矢島が華麗な動きを見せる。カツオの腕を捕った矢島はあっという間の腕十字。観客の歓声の中、ピンチに陥ったカツオは身体を捻って脱出を図るが、矢島は体勢が悪くなっても捕った腕を離さず、そのまま腕を伸ばして再び腕十字へと移行。

必死に耐えるカツオだが…最早、脱出不能なのは誰の目にも明らか。やがてレフェリーが試合を止めた。



ふ〜む、最後の腕を捕ってからの流れが綺麗だったなぁ。矢島の名前はしっかり覚えておこう。

第七試合 El Dorado、El Dorado

ミドル級 5分2R
○長井憲治(181cm/83.7kg/U-FILE CAMP赤羽)
●豪(178cm/83.2kg/フリー)
[1R 1分28秒 TKO]
※フットチョーク

フリーで出場する豪は、先日のPANCRASEミドル級王座戦竹内出を苦しめ、ドローへと持ち込んだ強豪である佐藤豪則の双子の弟で、昨年末に崩壊したプロレス団体、El Doradoではパワーファイターとして活躍していた選手。個人的にEl Doradoは思い入れのある団体で、何度か観戦記も書いていた。それだけに、ここは豪に頑張って欲しい。



試合開始、まずは豪が長井をコーナー際へと押し込んでテイクダウンを奪ってサイドへ移行。だが長井は、下から横三角風のフットチョークで逆襲。僕は「まあ、これは豪が何とか捌くだろう」と思っていたが、豪はロクな反撃も出来ずに失神してしまった。



あらららら、豪はダメだったかぁ。最初にサイドとった時はいけるかなぁ…と思ったんだがなぁ、無念。まあ、今後はプロレスに行くのか、総合を続けるのかは判らないけど、頑張って欲しいなぁ。

第八試合 勝ちたい執念、勝ちたい執念

フェザー級 5分2R
○内山重行(167cm/65.8kg/GRABAKA/2009年 NEO BLOOD TOURNAMENT フェザー級 優勝)
●齋藤裕俊(167cm/65.6kg/和術慧舟會GODS/2008年 NEO BLOOD TOURNAMENT フェザー級 優勝)
[判定 3−0]

一年違いのNEO BLOOD TOURNAMENTの優勝者でも齋藤は25歳なのに対して、内山はなんと36歳。10歳以上の年齢差とあらば、ここは内山を応援したくなるのが人情というものだね。それにしても内山の身体はバキバキだ、見習わなくては…。



1R、斎藤はダッシュパンチをヒットさせるも、内山は払い腰を連発して応戦。両者スタンド、斎藤は重い右ローで攻めるも、グラウンドに自信のある内山はタックルからバックを奪い、そのまま被さってスリーパーを仕掛ける。内山が外して再びスタンド、内山の左がヒットするも、斎藤も右を返して反撃する。ここまでは互角。


2R、距離を置いての打ち合い。両者のガードが低くくなる中で内山の左が何回かヒット。こうして打撃戦をリードしたのは内山の方だったが、年齢のせいかスタミナを失っているようだ。それでも動く内山、タックルを仕掛けてバックを奪うと、レスリングで斉藤をコントロールしてコーナー際を押し込んでモモカンを入れる。ここで斎藤が目尻をカットモモカンではなくパンチによるものだろう。


追い詰められた斉藤は前に出てパンチを繰り出すも、内山はカウンターのパンチで迎撃すると、左を連続でヒットさせる。ジワジワとリードを奪った内山は、勝利を決定づけるべく、タックルでテイクダウンを奪ってパンチをコツコツと当てていった。



この最後の頑張りが効いた。判定の結果、3−0のストレートで内山が勝利。



う〜ん、勝ちに拘る執念で得た勝利かぁ。内山のこの一勝の価値は大きいように思うなぁ。

第九試合 メンチ、メンチ

ライト級 5分2R
○平山敬悟(180cm/70.2kg/パラエストラ八王子/チームZST)
●エリヤ(174cm/70.2kg/坂口道場 一族)
[1R 20秒 KO]
※左フック

試合開始時、エリヤは平山に対してメンチを切っている。まあ、それはいいんだけど、エリヤのセコンドに付いている坂口征夫までもがメンチを切るのはどうか?どうなのか?



試合開始と同時にダッシュするエリヤ、平山を首相撲に捉えて膝蹴りを連打する。完全にペースを握ったエリヤは、平山を倒してサッカーボールキックを放つ。荒れ模様の展開に会場が盛り上がる中、それでも平山は何とか立ち上がる。

エリヤはトドメを刺すべく尚も前にでるも、ここで平山の左フックがガツンとクリーンヒット。モロに喰らったエリヤが倒れると、まるで立ち上がる気配がない。思わぬ大逆転劇に観客が歓声を挙げる中で、平山はマイクでベルトへの挑戦をアピールした。そしてエリヤは平山の勝利者撮影が終わっても動く気配がなく、担架で運ばれていった。


ふ〜む、これでチームZST勢は全勝、そして坂口道場一族は全敗かぁ。「世界の荒鷲」への道は遠いねぇ…。

第十試合 スカッと、スカッと

ウェルター級 5分2R
○鈴木槙吾(172cm/77.0kg/ALLIANCE)
●岩見谷智義(173cm/76.5kg/高田道場/PANCRASEウェルター級 一位)
[1R 2分16秒 TKO]
※グラウンドでのパンチ&キック連打

今日のメインには高田道場の岩見谷が登場。グラウンドを得意とするも、あまりにも動かないため「文鎮」と揶揄される事も多い岩見谷だが、今日はスカッと勝つ事ができるかな?



試合開始。まずは岩見谷がタックルを繰り出して鈴木の上になる。鈴木はもがくも岩見谷はガブリの体勢を経てインサイドへと移行。だが鈴木は下から手を掴んで堪えると、下から岩見谷の顔面を蹴り上げる。

これが効いた。モロに喰らってグラつく岩見谷、鈴木は立ち上がって一気にパンチのラッシュ。一発がヒット、ダウンする岩見谷。鈴木がパンチやサッカーボールキックで追い討ちを掛ける中、レフェリーが慌てて試合を止めた。

勝った鈴木はコーナーに登ってのムーンサルト(バク転)やファイヤーバード(二回転式の前転)で喜びをアピールしつつ、「ランキング一位の岩見谷選手に勝ったので、僕もチャンピオンベルト目指して頑張ります!」とコメント。運動神経がいいんだねぇ。



それにしても…今日唯一のランカーだった岩見谷がスカッと負けちゃったよ。まあ、スカッと負けたから、観てる側はスカッとしたけどね。終わりよければすべて良し、というかね。

雑感

全十試合という一見、長そうな興行でありながら、終わってみれば熱戦&一本勝ちの連続で、最後まで退屈せずに観戦できた。う〜ん、やっぱり興行はテンポだね。そして新宿FACEという会場は本当に観易いし、写真も撮りやすいよなぁ。いや〜、知らない選手ばかりだけど、なかなかいい興行だったよ。

坂本常務、これからも定期的に新宿FACEでの興行、お願いしますね。


以上、長文失礼。