2/22 DEEP 後楽園ホール興行 観戦記

Mask_Takakura2008-02-22

最近はあんまり観戦記を書いていないけど、実はDEEPにはマメに通っていたりします

本日は後楽園ホールでDEEPを観戦。


PRIDEが消滅し、新たにDREAMや戦極といった団体が立ち上がる中で、苦境に立たされているのがDEEPである。観客動員数こそ、キックボクシングによる「選手によるチケット売り」の傾向を強めたお陰で常に満員をキープしているが、実際には純粋なDEEPファンの数は…恐らく以前より減っていると思われる。


PANCRASE修斗が、その長い歴史の中で「団体のファン」を作り上げたのに対し、お抱えの選手が存在しないDEEPは、時代に合わせてエースを切り替える事で他団体時代を生き延びてきた。村浜武洋美濃輪育久田村潔司、桜井"マッハ"速人、長南亮桜井隆多今成正和前田吉朗しなしさとこ…etc。そんな試行錯誤の末、ようやく掴んだのは「PRIDEへの通過点」という地位。だが、そのPRIDEは昨年、無残に消滅。

そして今、DEEPを振り返れば、近年はあまりにも「PRIDEへの通過点」に徹したために、その歴史は非常に薄い内容になってしまった。まあ有明コロシアムまでの初期興行(DEEP 1st〜6th)は、今でもインパクトが強いんだけど…桜井"マッハ"速人がリングに上がった辺りからは、急速に「PRIDEへの通過点」の色を強めてしまい、DEEPとしての色は失われていく事になる。実際には「長南亮 vs 桜井"マッハ"速人」「長南亮 vs 桜井隆多」など歴史を彩る好勝負が実現しているにも関わらず、その闘いぶりの記憶が薄いのは…彼らが主戦場をPRIDEに移した事に他ならないのではないか?…イヤ、桜井は今でもDEEPが主戦場だけどね。


…ってなワケで「歴史が『圧倒的に』薄い」という弱点を持つDEEPが今宵、団体に新たな歴史を創るべく動いた。王者だった長南亮UFCに転出した為、空位となったDEEPミドル級の新王者を決めるトーナメントが開催されるのだ。「DEEPミドル級 第四代王者決定トーナメント」、今日の興行では一回戦が行われる。出場するのは桜井隆多松井大二郎石川英司福田力中西裕一白井祐矢、RYO、大類宗次朗の八名。「他団体で活躍していた選手」「DEEP生え抜きの選手」が入り混じったメンバーの中で、準決勝に歩を進めるのはどの四人か?


その他にも本日は、DEEP女子フライ級の初代王者決定1DAYトーナメントが開催されるなど、内容は盛り沢山。そんなDEEPを観戦すべく、A席6500円を購入して会場入り。…高いなぁ。本当に近年の総合格闘技の興行は、値段が高すぎるよなぁ。まあ選手のギャラの高騰が原因なんだろうけど…本当になんとかならんかねぇ。この調子だと、来年〜再来年には一番安い席でも8000円代に突入するんじゃないの?嫌な時代だな。


観客の入りは約九割、とりあえず満員。まあ、このうちの何人が「純粋なDEEPのファン」なのかは分からんけどねぇ。

第三試合 イマイチ!

65kg契約 5分2R
北田俊亮(172cm/65.0kg/パラエストラ千葉)
△寺田功(166.5cm/65.0kg/ALLIANCE-SQUARE)
[判定 0−0]

寺田は赤や黄色といった、派手なモヒカン姿で試合に挑む。なかなか鮮やかだねぇ。んで、試合は両ラウンド共に「お互いに上になったり下になったり」という感じで、グラウンド中心の展開に。どちらかというと、北田の方がそういう展開を望んでいたように見えたな。


1R、北田は組み付いて引き込んだり、寺田のパンチにカウンターのタックルを合わせてテイクダウンを奪ったりで試合を作る。下からは鉄槌を浴びせつつ三角絞めを狙い、上からもインサイドガードから鉄槌やパンチをコツコツ。対する寺田も、北田のタックルを潰すなどで対抗するも、ここまではやや北田に押されている。

迎えた2R、北田は序盤こそタックルで寺田の腰を引いてテイクダウンを奪ってパンチを落としたが…この後は北田のタックルに対して、寺田は首相撲で対処。膝蹴りでダメージを与え、潰してグラウンドで上になってパンチを落とす。しかし北田も、下から三角絞めを仕掛けて鉄槌を浴びせる等で対抗。

試合終了。全体を通して言えるのは「両者共に、決定的な場面がない」という事で、当然ながら判定の結果は0−0のドロー。


なんとも地味な試合だった。それ以上の感想はないかな。

第四試合 またまたイマイチ!

70kg契約 5分2R
△Barbaro44(171cm/69.5kg/クラブバーバリアン)
△井上誠午(174cm/69.7kg/和術慧舟會GODS)
[判定 1−0]

この試合は1Rがグラウンド中心、2Rはスタンド中心となった。


1R、Barbaroは強気にパンチを振り回すも、井上のカウンターの左ジャブを浴びる等でガードが甘い。それでも前に出るBarbaroが井上に右フックを浴びせてダウンを奪う。

観客が歓声を上げる中、Barbaroは倒れた井上の上からパンチを浴びせ、肩固めを極めつつマウントを奪う。ピンチの井上は必死にグラウンドから脱出し、Barbaroを豪快に投げ捨ても…Barbaroはグラウンドで逆転、バックを奪ってスリーパーを狙う。長い時間、Barbaroはスリーパーを仕掛け続けたが、これは極まらず。それでもBarbaroは、身体を反して上になった井上の足を捕って、すかさず関節技を狙う。試合終盤にも左フックを浴びせるなど、ここまではBarbaroが優勢だ。


2R、1Rと同じくBarbaroは強気な姿勢を崩さずに前に出て、フックを連発して井上の顔面から鼻血を誘う。だが井上は裏拳で反撃し、ガードの甘いBarbaroに右ストレートを浴びせると、怯むBarbaroにワンツーの連打を入れる。更に井上は右ローを多用、Barbaroの動きを止めていく。Barbaroは攻める事ばかり考えすぎだな。

劣勢に回ったBarbaroはタックルで井上からテイクダウン、グラウンドに活路を見い出すも…展開なくブレイク。試合終了直前には、井上の左ストレートを喰らってしまった。


試合終了。判定は…1Rの圧倒的攻勢を支持したジャッジの一人がBarbaroを勝者とするも、残り二人は引き分けと判断、最終的にはドローとなった。敗者のように花道を後にするBarbaroに対して、井上は応援団の祝福を受けながら勝者のように花道を歩いていた。


う〜ん、最初のBarbaroの右フックは派手だったけど…全体的には、これまた地味な試合だったかなぁ。

第五試合 なんだかなぁ…

無差別級 5分2R
滑川康仁(181cm/89.0kg/Team M.A.D)
●カルロス・トヨタ(183cm/95.0kg/ブラジル/HARD COMBAT)
[1R2分58秒 アキレス腱固め]

カルロス・トヨタはHARD COMBATの総帥で、MARSでは山宮恵一郎を相手にドローに持ち込んだ経歴の持ち主。といっても、この時の試合自体は非常に退屈な展開だったけどね。対する滑川は、昨年末のストーカー市川戦からの仕切り直し。市川戦はなんともやり難そうだったが、今回は持ち味を発揮できるか?


試合開始と同時に両者は突進して組み付いたが、やがて滑川が巻き込んでテイクダウン。クロスガードで防御するトヨタに対し、滑川は鉄槌とバスターで対抗。この後は展開なくブレイクに。DEEPのブレイクはZST並に早いな。

再開後、試合は再び殴り合いになるも…滑川は片足タックルを仕掛けてテイクダウンを奪い、足を捕って関節技を仕掛けた。嫌がるトヨタは鉄槌で必死に防御するも、やがて滑川はアキレス腱固めをガッチリと極める。程なくしてトヨタがタップ、試合は終了。



ぬぅ。一本勝ち自体は鮮やかなんだけど…ちょっと実力差があったように見えたなぁ。恐らくトヨタは足関節技に対する免疫がないんだろうなぁ。

第六試合 妙に白けた!

DEEP女子フライ級 初代王者決定1DAYトーナメント 決勝戦 5分2R
しなしさとこ(148cm/44.6kg/フリー/SMACK GIRLフライ級 女王)
●SACHI(153cm/44.6kg/禅道会広島支部)
[1R2分58秒 腕十字固め]
※しなしが初代王者に

この試合はDEEP女子フライ級の初代王者決定1DAYトーナメントの決勝戦。つまり勝った方が、DEEP女子フライ級の初代王者となる。このトーナメントを生き残ったのは…お馴染みしなしさとこと、禅道会のSACHI。ちなみに一回戦は僕が会場に駆けつける前に行われており、しなしは浜田福子に判定で、SACHIは永易加代に腕十字を極めて勝利。ぬぅ、どうせなら一回戦も見たかった。


それにしても…しなしって人も、妙に王座ってモノに拘るねぇ。DEEPでは格下ばかりを相手にして勝利を重ねるも、肝心なDEEP女子ライト級(48kg)王座決定戦では、渡辺久江を相手に完全KO負け。僕はこれを機に「もっと練習して、渡辺にリベンジを挑む」と思っていたんだが…。イザ蓋を空ければ、佐伯繁代表に新しい階級(DEEP女子フライ級(45kg))を作ってもらって、その階級で王者になろうっていうんだから、こっちとしては呆気にとられるばかり。柔道ですら48kgが一番下なのにねぇ。大体、45kgの選手なんて世界にどれだけいるんだよ…。



ってなワケで、いつまでもグチッていてもキリがないので試合。

最初はお見合いの状態が続いたが、焦れたしなしがタックルを仕掛ける。SACHIはこれを潰してグラウンドでバックを奪うと、すかさずスリーパーの体勢へ。DEEP女子のエースであるしなしのピンチに観客からは歓声が上がったが…これが極まる事はなく、試合はスタンドへ戻る。



先程の寝技で手応えを得たのか、SACHIは再びしなしをグラウンドに引き込む。だが、グラウンドはしなしの領分。労せず上になったしなしは、すかさず腕を掴んで腕十字の体勢へ。一転してピンチを迎えたSACHIは必死に堪えるも、しなしはポジションを替えつつ再び腕十字の体勢へ。今度はガッチリと極まってSACHIがタップ、試合終了。


晴れて王者となったしなしは、涙を流して大喜びしつつ「念願のベルトを獲ることができて嬉しいです。次はもう一つ、ベルトを獲れるよう頑張ります」と挨拶していた。そうか、しなしはSMACK GIRLフライ級の女王でもあったなぁ。まあ、ロクに防衛戦もやっていないベルトにどれだけの価値があるのかは知らんけどさ。



しかしまあ、新王者になった事は「良かったねぇ」とは思うけど…そんなに涙を流して喜ぶ程の事なのかなぁ。いつも自分よりも格下の相手ばかりと闘って、一度保持した王座はロクに防衛もせず、いざ新しいベルトを獲得したら号泣。なんだか白々しいというかねぇ。

ま、このベルト奪取を機に、しなしがどんどん自分よりも強い選手と対戦するようになったら…このベルトにも、そして流した涙にも価値が出るだろうけどね。

第七試合 まあまあ

DEEPミドル級 第四代王者決定トーナメント 一回戦 5分3R
福田力(182cm/83.6kg/GRABAKA)
桜井隆多(178cm/83.9kg/R-BLOOD/元DEEPミドル級 王者)
[判定 3−0]

さてさて…ここからは、UFCへと出陣した長南亮が返上した、DEEPミドル級王座を巡るトーナメントの一回戦が四試合。

その第一試合で、「事実上の決勝戦」といっても過言ではない程の好カードが実現。DEEPミドル級の第二代王者であり、DEEPでは長南のライバルとして知られている桜井隆多と、元KILLER BEE(現在はCRAZY BEEと改名)所属で、現在はGRABAKAに所属する福田力の対戦だ。

桜井は昨年10月の興行で、福田の先輩に当たる石川英司を相手にTKO勝利を修めている。対する福田は昨年、AKAで打撃を修行。凱旋試合では佐藤光留をボコボコにして葬った。僕としては、グラウンド中心なら桜井が勝ち、スタンド中心なら福田が勝利するだろう、と予想。



1R、右ローで牽制する桜井に対して、福田は首相撲でコーナーに押し込み、ボディへの膝蹴りやアッパーなどで攻め込む。対する桜井は中盤、ガードの甘い福田に左ストレートを入れ、前に出る福田にカウンターの右ストレートを入れて印象点を挽回。

終盤、福田は桜井からテイクダウンを奪って半立ちの状態からパンチを落とし、パスガードを決めてサイドを奪うと、ネックロックを仕掛けたりパンチを落とす等で攻勢。このラウンドは福田が制したな。



2R、福田は序盤に首相撲からのフックと膝蹴り。喰らった桜井の腰がガクッと落ちる。チャンスを得た福田は、ガブって桜井を亀の体勢に追い込み、横からパンチを入れる。だが桜井はこの体勢から強引に福田の腕を捕り、一気に腕十字の体勢へ。桜井応援団の大歓声の中、福田の腕は確実に伸びていったが…長いピンチの後で、福田はどうにか脱出。

その後、福田はグラウンドで上からパンチをコツコツと入れ、スタンドでは首相撲から膝蹴りで桜井を攻めた。ラウンド終了、恐らくこのラウンドは桜井が制しただろう。だが、全体的には福田のペースだ。


3R、福田のプレッシャーが強まる。コーナー際での首相撲からの膝蹴りやパンチで優位に立つ福田に対し、桜井の表情は曇る一方。福田はテイクダウンを奪うと、パスガードを決めてサイド、そしてマウントを奪う。

GRABAKA応援団の歓声の中、確実に真っ直ぐなパンチを落とす福田に対し、桜井はどうにか亀の体勢を経て半立ちの状態に逃れるも、福田はガラ空きの顔面に膝蹴りを一発。「グラウンド状態での顔面への膝蹴り」はDEEPでは反則、福田にイエローカードが提示された。

残り30秒。福田は首相撲からの膝蹴りやアッパーを浴びせるも、今度はバッティングのアクシデント。再開後、桜井がタックルでテイクダウンを奪ったところで試合終了。


判定の結果は3−0で福田の勝利。両者の格付けを考えれば、この結果は波乱と言っていいだろう。



う〜ん、僕は両者の実力は拮抗していると思っていたが、思った以上に実力差があったな。福田はトーナメントのメンバーの中では、実力が頭一つ抜けているかもね。

第八試合 非常に残念!

DEEPミドル級 第四代王者決定トーナメント 一回戦 5分3R
中西裕一(180cm/83.9kg/フリー/前PANCRASEミドル級 王者)
石川英司(178cm/82.9kg/GRABAKA)
[判定 2−1]

DEEPミドル級 第四代王者決定トーナメントの一回戦。その第二試合は「一昔前であれば、PANCRASEで実現していた対戦」となった。つい最近までPANCRASEのミドル級王者だった中西裕一と、かつてはPANCRASEの所属ジムだったGRABAKA石川英司による一戦だ。

で。過去のPANCRASEの試合を調べたところ…このカードは2004年12月の興行で一度実現していた。この時は石川が判定で勝利を修めたが、その直後に石川は怪我による長期欠場を余儀なくされていた。復帰後は精細を欠いている石川だが、この中西戦で完全復活を遂げられるか?


1R、石川はいきなりテイクダウンを奪うも、中西は下から腕を捕って応戦して立ち上がる。グラウンドを拒否された石川は、組み付いてからの膝蹴りでダメージを与える。ブレイクの後、中西は右ストレートを石川の顔面に叩き込むも、石川は怯まずにコーナー際で中西の片足を捕って崩しに掛かる。しかし中西はその過程で逆転、エプロン際ギリギリで石川の左腕を捕ってチキンウィングアームロックを仕掛けた。

中西応援団は歓声を上げるも、チキンウィングを仕掛けた場所が悪い。石川の身体は既にロープの外にあるのだ。結局、これが極まる事はなく、業を煮やした中西が石川の顔面に膝蹴りを入れたところでブレイクに。ちなみにこの膝蹴りは反則、中西には口頭による注意が与えられる。



2R、組み付いてのロープ際の攻防が続く中、中西はテイクダウンを奪ってマウントへ移行。石川は必死に逃れて亀の体勢になるも、中西はその上の乗ってスリーパーを仕掛ける。そういえば中西は、この体勢からの攻めが得意だったなぁ。

しかし石川は体勢を入れ替えてグラウンドで上になると、立ち上がってローを放つ。そしてここで一旦ブレイクが入る。石川が左目の下から出血したのだ。ドクターチェックの後で試合は再開、石川が中西をコーナー際へと押し込んで打撃を放つ中で2Rは終了。ふ〜む、ここまでは中西が押し気味だね。


3R、開始早々に左フックをヒットさせた石川はグラウンドでも上になるも、得意のパンチが出せずに苦戦。対する中西は立ち上がって逃げようとしたが、石川は再びグラウンドへ持ち込むと、今度は徹底して鉄槌を落とす。中西は尚も逃げよとしたが石川は逃がさず、立ち上がってローを放つなどで優位に試合を進めた。うむ、このラウンドは確実に石川が取ったな。


試合終了。判定は非常に難しいものとなったが…1Rの関節技が決め手になったのか、2−1のスプリットながらも中西が勝利し、三年前のリベンジを果たした。


ふ〜む。長期欠場から復帰した後の石川って、かつてのような身体の張りがないのが気になるんだよなぁ。恐らく怪我した箇所は、完全には治っていないのだろう。練習量とかも制限している気がするね。良い選手なだけに、この敗北は残念だ。

第九試合 面白かったかな?

DEEPミドル級 第四代王者決定トーナメント 一回戦 5分3R
松井大二郎(177cm/83.2kg/フリー)
●RYO(183cm/83.5kg/ランズエンド・ZERO-1 MAX)
[判定 2−1]

DEEPミドル級 第四代王者決定トーナメントの一回戦。第三試合は「お互いにプロレスに関わる者同士の対戦」となった。かつては高田道場所属のPRIDE常連として活躍した松井大二郎と、プロレス団体のZERO-1 MAXで活躍する崔領二の実兄、RYOによる一戦だ。

プロレスといえば、松井はかつてバトラーツでプロレスラーとして闘っていた時期があったなぁ。対するRYOは弟と違ってプロレスの経験はなく、スピリットMCなる興行でミドル級トーナメントを準優勝した経歴の持ち主だ。ちなみにセコンドには崔領二の姿があった。



1R、序盤はお互いに様子を見ていたが、やがて松井は引き込んでグラウンドへ持ち込み、いきなり下から腕十字を極める。RYOは半立ちの状態から松井ごと持ち上げてのバスターを決めるも、松井は腕にガッチリを喰らいついて離れない。

ならばとRYOは、再三再四に渡る鉄槌やパンチで松井の腕十字を振りほどき、インサイドガードから尚も鉄槌を落としていく。う〜ん、松井は「極めどころ」で極めれなかったのは痛いな。まあ、松井が関節を極める場面なんて見た事ないけどさ(苦笑)。


2R、松井は片足タックルを仕掛けるも、直後にRYOのローブローを喰らって悶絶。それでもタックルを仕掛ける松井、RYOはこれを潰してマウントを奪う。松井は後ろを向いて打撃を避けたが、RYOは胴にガッチリと足を喰い込ませ、積極的にスリーパーを狙う。松井はどうにか逃れてスタンドに戻すも、RYOはその顔面にストレート一閃。この一撃で松井の顔からは鼻血が。

だが、この流血でスイッチが入ったのか、ここからは松井が反撃に転じた。右ストレートを入れてRYOを怯ませると、続けて放ったワンツーがクリーンヒット。RYOがダウンすると観客からは歓声が。勝機を得た松井はマウントを奪い、勢いよく鉄槌やパンチを浴びせていく。僕としては「このままいけば『松井のKO勝ち』かなぁ?」と思っていたが…、結局はRYOに逃げられてしまう。まあ、松井がグラウンドパンチでKOする場面なんて見た事ないけどさ(苦笑)。


3R、再びRYOが主導権を握る。まずは右ストレートを顔面に叩き込み、タックルに逃れる松井を潰す。尚も両者スタンド。松井のローブローによる試合中断を挟んで、今度は松井のワンツーがヒット。だがRYOは怯まずに組み付いてテイクダウンを奪い、サイドを奪ってボディへ膝蹴りを入れる。松井は亀の体勢になって逃れるが、RYOは立ち上がってのサッカーボールキックで追撃。う〜ん、ここに来てRYOが「勝利への執念」を見せているなぁ。

尚も攻めるRYO。立ち上がる松井から再びテイクダウンを奪い、マウントから鉄槌を浴びせていく。終盤、松井はリバースに成功して足関節技を仕掛けるも、RYOは鉄槌やパンチを浴びせて防御。またまた亀になって打撃を逃れる松井のボディを蹴ろうとして、その一撃がスッポ抜けたところで試合は終了。


さて判定。試合全体を見渡せば、RYOの方が攻めるシーンが多かったのだが…実際の判定結果は2−1のスプリットで松井の勝利。ふ〜む、1Rの腕十字、2Rのワンツーによるダウンが決め手になったな。



まあ、試合のレベルは高くなかったけど「攻防が簡単に一転する展開」は面白かったな。それにしても松井の身体は相変わらずのマッチョボディだったなぁ、フリーなのにねぇ。どこであの身体を維持してるんだろ?

第十試合 何もかもグダグダだな!

DEEPミドル級 第四代王者決定トーナメント 一回戦 5分3R
白井祐矢(174cm/83.8kg/Team M.A.D)
●大類宗次朗(178cm/83.9kg/SKアブソリュート)
[判定 3−0]

DEEPミドル級 第四代王者決定トーナメントの一回戦、最後の試合は「DEEPの生え抜き選手同士の一戦」。柔道出身でありながらマッチョボディを誇る白井祐矢と、2006年のフューチャーキング・トーナメント優勝者である大類宗次朗の対戦となった。ふ〜む…今日は桜井や石川を押し退けて、この二人がメインを張るのか。なんだか不思議な感じがするなぁ。



1R、まずは白井が右ミドルと右ストレートを放ちつつタックルで組み付くも、大類はバックに回って腿に膝蹴り。白井は強引にテイクダウンを狙うも、グラウンドで上になったのは大類。サイドから鉄槌を浴びせる大類に対して、白井はどうにか立ち上がったが、大類は尚もバックからおぶさってスリーパーを狙う。白井はしつこい大類を振り落とし、試合は振り出しへ戻った。

両者スタンド、白井は右ミドルでダメージを与えると、グラウンドへと引き込んだ大類の上になり、半立ちの状態から重いパンチを落とす。またラウンド終了直前にはテイクダウンを奪い、中盤の失点を挽回する。


2R、序盤に大類の右ストレートがヒットするも、白井は怯まずに組み付いて大類をコーナー際へ押し込むが…、展開がなくブレイク。大類は白井を崩してグラウンドで上になり、パスガードを決めてサイドを奪う。だが白井は強引に脱出、再び大類をコーナー際へと押し込む。そして、またまた展開がなくブレイクに。

両者スタンド。大類の左ストレート、白井の右ストレートがヒットする中で、両者はまたしても組み付きながらコーナー際へ。んで、やっぱり展開がなくブレイクに。う〜ん、なんだかグダグダになってきたなぁ。


3R、序盤に大類が右ストレートを入れる。だが、この後は二度「コーナー際の攻防〜ブレイク」。会場の空気がダレる中、突然白井の右ミドルがクリーンヒット。苦しい表情を浮かべる大類は、ダウンを誤魔化すかのように白井に組み付くと、テイクダウンを奪ってサイドを取る。しかし白井はすぐグラウンドを脱出、逆に大類をテイクダウンしてマウントの体勢。だが大類もすぐにグラウンドを脱出、試合は再びスタンドへ。ぬぅ、なんだかせわしないのぉ。

そして次の瞬間、大類が放った膝蹴りが白井の金的を直撃。これで白井は悶絶、試合は長い中断状態へと突入した。う〜ん、この試合のグダグダぶりを象徴するシーンだな。

やがて試合は再開したが…この後は試合終了まで、三度の「コーナー際の攻防〜ブレイク」といった展開。そんな中、白井は右ミドルや右フックを入れ、試合終了直前にはタックルでテイクダウンを奪った。ぬぅ、展開はグダグダだったたけど…打撃は有効打になっていたみたいだし、これは白井の勝ちだね。


試合終了、判定の結果3−0で白井が勝利。



う〜ん、掴みどころのない試合だったなぁ。こんなに何度も「コーナー際の攻防〜ブレイク」を見せられるとは思わなかったよ。何だか、数年前の総合格闘技を見ている気分だった。まあ闘った本人達には非常に申し訳ないけど…この試合のグダグダぶりは、なんだか今日の興行を象徴していたなぁ。

それにしても最後のローブローは、最悪のタイミングで起きたアクシデントだったなぁ。あれで会場を後にした観客のなんと多いことか…。

彼らが席を立つ理由、それは…僕がここまで書いてこなかった、今日の興行における『致命的な失敗』に由来する。これについては、雑感のところにまとめて書く。

雑感

正直…試合内容がイマイチだったのを含めて、今日はハッキリと「ダメな興行」だと言えるだろう。


何せ、興行が終了したのが22:30だったのだからねぇ…。こんなに遅くに興行が終了したのは「PRIDE GP 2000 決勝戦」以来だよ。


正直、「嫌な予感」はしていたんだよなぁ。休憩明けに行われた「DEEP女子フライ級 初代王者決定戦」のスタートが20:30で、第八試合の「中西裕一 vs 石川英司」のスタートはなんと21:00過ぎだったしねぇ。この時点で、僕は一緒に観戦していたフリジッドスター氏(id:frigidstar)と冗談交じりに「興行が終わるのは22:30過ぎだな」なんて話していたけど…。

それにしたって、まさかメインイベントが22:00過ぎにスタートするとは思わなかった。今日はメインイベントに近づけば近づく程、観客の数が減っていったなぁ。そして、この流れにトドメを刺したのが…メインイベントの3Rで起きたローブローによる中断。この時点で22:15を過ぎているのに、一向に試合が再開する気配がなければ、皆が帰るのも当たり前というかねぇ。


こんな興行になってしまった原因は色々とある。

まず19:00に本戦を開始するような興行でありながら「全部で十試合もカードを組み、そのうち四試合が5分3R制」っていうのが、そもそもムチャな話。そりゃ「すべての試合が秒殺」とかだったら、興行も早く終わるだろうけど…、今日は判定決着が多かったからねぇ。「全試合が判定決着」という展開を想定すれば…2R制の試合を二試合くらい削るか、せめて全試合を5分2R制にしないとねぇ。

あと、悪名高い「ファイティングロード提供のオープンフィンガーグローブ」を使用していたのも、興行を長引かせた原因の一つだろう。とにかくこのグローブ、すぐに外れちゃう事で有名で、一試合に確実に二回は「グローブを直すための中断」が入るんだよね。確かにこのグローブは「無料提供」されるからだから、主催者として喜んで使いたいのだろうけど…正直、観客側にしてみれば、くだらない理由で何度も試合を中断されるのは、苦痛以外の何物でもないよ、ホント。同じグローブを使っていたPANCRASEが、早めにbodog製のグローブに切り替えたの大正解だという事を、今日の興行で改めて実感したなぁ。

あとは…まあ今日は「反則による中断」も妙に多かった気がするなぁ。でも、これは素直に「主催者様、お気の毒です」と思ったかな。


まあまあ、何にせよ…まずは一回の興行における試合数を、もう少し減らして欲しいなぁ。それがダメだというのなら、試合数の多い興行をやる時は平日でも18:00〜18:30からの開始にしないとねぇ。まあ僕のように、職場から後楽園までの距離が遠い人は、最初の数試合は泣きを見る事になるけれど…それでも帰りが遅くなるよりはマシだと思うなぁ。

なんていうか、もっと「観客に優しい興行」を打って欲しいね。色々と苦しい立場に立たされているDEEPだけど…、こんな時だからこそ「観客からの確かな信頼」が必要なのでは?こんな興行では、観客の足は遠ざかる一方ですぜ。佐伯繁代表、是非ご一考を。


以上、長文失礼。