ダニー・クロファット、そしてカンナム・エクスプレスが好きだった

PRIDEがUFCに買収されたとか、いやアレは提携だとか、色々とあるようですな。デマやらガセやら真実やら色々と情報が飛び交っているようですが…、僕はダニー・クロファットが好きでした。

というワケで、昔に書いた文章を手直ししてUPします。何故このタイミングにこんな文章を上げるのかについてですが…、ズバリ言って意味はありません。



ダニー・クロファットは、かつて全日本プロレスの常連外国人だった選手だ。


クロファットは何かと目の離せない選手だった。小さな体というハンデを克服すべく、来日する度に新しい技を披露していた。伸びのあるトラース・キック、切れのあるDDT、ブレンバスターは超高速式、ブレンバスターのように持ち上げてから前に落とすフェースバスター、カナディアン・ロッキーバスター。必殺技は本家が欠場中に盗んだタイガードライバー。二代目タイガーマスクがやるソレよりも、タメやキレが抜群だったのを覚えている。


またクロファットは、観客の空気を読むのが巧い選手でもあった。超世代軍時代の小橋とのシングルでは、顔面を拳で殴りながらヘラヘラと笑うヒールを演じる。馬場さんの16文キックを喰らえば、目を丸くしながらフレアーウォークで倒れるお茶目な野郎に早替わり。観客を沸かせる為なら尻を出す事もいとわない。鼻が高く彫りの深い顔立ちは中々にハンサムだったが、それ以上に表情の豊かな選手であり、外国人選手でありながらファンも多かった。


しかし彼の真骨頂は、やはりダグ・ファーナスとのタッグ、「カンナム・エクスプレス」だろう。彼を知っている人であれば、これに異論を唱える人はいないハズだ。序盤で挨拶代わりに必ず見せるダブルのフライング・ショルダータックルを皮切りに、次々に繰り出される合体攻撃の数々。雪崩式フェースバスター、ミサイルキック 〜 ジャックナイフ式パワーボム、ダブル・インパクト、合体雪崩式DDT…etc。テンポよく繰り出される技の数々に観客は魅了された。技のクロファットとパワーのファーナス…タッグとしての役割も、チーム内のパワーバランスも絶妙だった。


カンナムの全盛期は決して長くはなかった。カンナムのライバルは、前述のブルドックスやマレンコ兄弟、フットルース(川田&冬木)やデビューしたての小橋といったところ。天龍同盟の末期に全盛期を迎えたこのチームは、全日本の闘い模様が「超世代軍 vs 正規軍(後の聖鬼軍)」へ移行するのに合わせて、テレビへの露出も減っていった。それでもアジアタッグ圏に小橋と菊地がいる頃は、まだチョコチョコと出番もあったのだが…それも長くは続かなかった。


その後、彼等は何度か世界タッグ戦線に乗り込むも…ベルト奪取までには至らず、やがて主戦場をアメリカへと遷移する事になる(ECWではタッグ王座を獲得している)。それでも、稀に日テレにクロファットが映った時、彼はいつでも後楽園ホールを沸かせていた。試合後に大クロファットコールが発生した事もあった。そんな勇姿を見る度に、地方に在住していた僕は「もっとカンナムをテレビで映せよっ!」と本気で怒っていたっけ。


大きい選手を好む馬場さんの采配に踊らされてしまった悲運のチーム、カンナム・エクスプレス。確かに体はジュニアだったが…後に急造タッグであるムーブメント(ジョニー・エース&バート・ガン)がアッサリと奪取に成功した世界タッグを、何故タッグとしての完成度が高いカンナムが獲れなかったのだろうか。納得がいかないんだよなぁ、今でも。


あれから月日は経ち…今のプロレス界では、サイズの小さい選手が大きな選手を倒すのが当たり前の時代となった。今のプロレス界の流れにカンナムが存在すれば、恐らくはどの団体でもアッサリとベルトを奪取する事ができるだろうになぁ。早すぎたのかなぁ…いや、早すぎたからでこそ彼らは伝説になったのか。


というワケで、彼らの勇姿を。負けているけど。

1992/05/25 カンナム・エクスプレス vs 小橋&菊地組


もう一本。こっちは勝ってる。

1995/04/08 カンナム・エクスプレス vs 小橋&菊地組