10/31 El Dorado ディファ有明興行 観戦記

Mask_Takakura2006-10-31

悪役(ヒール)の黄金郷、その名はEl Dolado

本日は平日だというのに、わざわざディファ有明でEl Doladoを観戦。


今年七月、dragon doorの後継イベントとして旗揚げしたEl Dolado、だがその道程は順風満帆とはいかなかった。ベビーフェースのエース格と目されていた石森太二が離脱した事により「ドキッ!ヒールだらけのプロレスイベント」と化す事になる。VOODOO-MURDER:S(近藤修司、"brother"YASSHI)、DISASTERS BOX(大鷲透、高木"JET"省吾)、STONED(景虎大間まぐ狼佐藤秀佐藤恵)、そして菅原拓也…と現役で各団体で大暴れしているヒールばかりがズラリと揃ったこの団体、今日はゲストまでもがItalian four Horsemenというヒール集団だから始末におえない。あっと、そういえばDISASTERS BOXは今はベビーフェースなんだっけ?

んで、今日の観戦の動機は非常に単純。メインイベントにて近藤と景虎が菅原を交えて3WAYで闘うらしい、という話を聞いたからだ。僕の好きなレスラーが三人で激突すると聞いたなら、これを観ない手はない、というかね。あとは、二月に観戦したdragon doorが今、どうなっているかが気になったのも動機だなぁ。他団体では縦横無尽の活躍をする彼らの、ホームでの激闘に期待したい。


ってなワケでチケットを購入、当日券でA席が3000円でた大変に格安…なのはいいが、受け付けのネーチャンの手際の悪さには少々苛立った。常連客との立ち話は後にしてくれよ、頼むから。次にパンフレットを購入、1000円。あんまり内容のないパンフだったが、これも旧闘龍門からの伝統かねぇ?客席の入りは、ディファ500人バージョンで約八割、ちょっと苦戦している感じだな。客層は圧倒的に女性客が多かった。多分、旧闘龍門の層とかぶっているんだろうねぇ。

El Doradoにもオープニングはある、しかし…

その源流は旧闘龍門にあるEl Dorado、当然ながらオープニングトークも存在するんだけど…、社会人をやっているとどうしてもこの時間には間に合わない、というか。ま、お陰で試合は全部見られるから一長一短なんだけどね。

第一試合 う〜ん、面白いんだけど…

六人タッグマッチ
○ミラニートコレクションa.t.(162cm/60kg)
 モリ・ベルナルド(174cm/88kg/DDT/Italian four Horsemen)
 フランチェスコトーゴー(170cm/102kg/DDT/Italian four Horsemen)
 with
 アントーニオ本多(168cm/73kg/DDT/Italian four Horsemen)
vs
 大鷲透(180cm/120kg/悪冠一色)
●高木“JET”省吾(173cm/82kg/悪冠一色)
 Ken45゜(172cm/80kg/悪冠一色)
[12分35秒 ナターレビアンコ] (自ら回転する程の勢いで叩きつける変形の大外刈り)

第一試合は、El DoradoというよりはDDTって感じのカード編成だなぁ。


まずは悪冠一色が入場しリング上でKEN45゚がエアギターを奏でれば、大鷲はキョトンとしながらもエアドラムを合わせる。最後はトライアングルを持たされた高木が「チーン」と鳴らして終了。その悲しげな音に客席はバカウケ。

続いてItalian four Horsemenが入場。マイクを握った本多は「ゴキゲン、Fuck!」と客席に挨拶、「お前らに一言、もの申〜す!」と某芸人の決め台詞を無断拝借、「KEN45゚のエアギターは百歩譲ってヨシ。大鷲のエアドラムも五百歩譲ってヨシ。しかし高木は許せんっ!お前はただのトアイアングルの生演奏じゃねぇか!」ともっともなツッコミ。言い方がかなり慣れてるなぁ。

客席の爆笑の中、本多は「お前ら、インチキエアバンドじゃねぇかっ!」と捲くし立てるが、大鷲は「お前らだって、インチキイタリア人だろっ!」と切り返す。そんなこんなでしょーもないやり取りが続いたが、Italian four Horsemenの隠し玉として入場してきたミラニートを悪冠一色が急襲。大鷲曰く「今日はお前を踊らせねぇ!」。客席から「えええぇぇぇ〜っ!?」という不満の声が漏れる中で試合開始。


まずはモリが軽快な動きを見せる。これに触発された大鷲、ヘッドスプリングに挑戦するも大失敗。客席から笑いが起こる中、体の小さいミラニートが悪冠一色に捕まった。大鷲のチョップや踏み付け、KEN45゚の逆片エビ固めに悶絶するミラニート、しかし休場明けの高木のジェットパンチは回避に成功。すかさず大鷲は高木を「アイツ、休みボケじゃねぇか!」と罵倒、客席が笑いにつつまれる。ふ〜む、大鷲は客席を相手にする事に慣れているなぁ。

ようやくミラニートが脱出に成功、イタリア連合軍(仮)による反撃が始まった。まずはミラニートのプランチャ、続いてトーゴーもプランチャを披露。モリは高木に垂直落下式ブレンバスターを浴びせ、トーゴーがセントーンで続く。

そして試合は乱戦模様に。照準をミラニートに合わせた悪冠一色、高木のフックと大鷲のノド輪落としが炸裂、ミラニートは青息吐息。更には息巻く高木のジェットパンチがトーゴーに炸裂。終盤の流れを掴んだ悪冠一色だったが…、最後に笑ったのはイタリア連合軍(仮)。まずはミラニートのスワンダイブ式ミサイルキックが高木にヒット。怒った高木はラリアットで反撃するも、トドメの一発を放つ際に本多のイタリアンパウダーを浴びてしまう。視界を失った高木にミラニートがすかさずナターレビアンコを決めて3カウントを奪った。


負けた大鷲はマイクを握ると「ウチのジェットに何てことをしてくれちゃったんですか!」と激怒するも、ミラニートの健闘は素直に認め「五分間だけ、このリングを好きに使っていいぞ」と一言残してリングを引き上げる。残ったイタリア連合軍(仮)、まずはミラニートが「僕のダンス、見たいですかぁ?」と煽るが、音楽が鳴るのと同時に踊り始めたのは本多。その妖しげな動きに客席が爆笑に包まれる中、本多に蹴りを入れたミラニートが本家のダンスを披露。最後はItalian four Horsemenも華麗なステップでダンスに加わり、締めは全員でポージング。トーゴーのマッスルポーズは相変わらずのカッコ良さだった。


そりゃそうと、試合にしても小ネタにしても、なかなか面白かったとは思うんだけど…これはEl DoladoじゃなくてDDTの面白さだよなぁ、多分。正直、僕はEl Doladoならではのモノが観たかった、というかねぇ。ま、カードがカードだから仕方がないんだろうけどさ。

第二試合 う〜ん、寒いなぁ…

タッグマッチ
エル・ブレイザー(165cm/65kg) ※みちプロでは義経
 飯伏幸太(181cm/75kg/DDT)
vs
 清水基嗣(170cm/72kg)
●キング・ポコダ(170cm/70kg)
[9分28秒 体固め]
※ライトニングストラック(リバース450°スプラッシュ)

闘龍門の流れを踏襲するEl Dorado、DRAGON GATEと同じく第二試合はお笑い枠。伝統らしい。


で、全身が黄金に包まれたポコダが色々と独白するも…これがメチャクチャ寒い!

大鷲からもらった北海道土産の人形を手にしたポコダ、第一声は「彼は『まりもっこり』、僕は『ぽごもっこり』で〜すっ!」。…なんというか、文章に起こしても寒いなぁ。まあ彼の場合、その寒さがちゃんと芸になっているから一応はこちらも安心して見れたけどね。芸人でいえば…たむらけんじのような感じかな。

周りの人が人形をいじりすぎた為に「まりもっこり」が動かなくなった事を嘆くポコダ、その悲しげなため息と共に試合開始。


試合内容については、あんまり印象に残らなかったのでダイジェストで。

とにかく圧倒的に弱いポコダ、飯伏のキックを喰らい放題、弱音も吐き放題。静まり返る客席、「立てっ、もっこり!」という女性の声も飛び出す中、どうにかタッチを受けた清水はミサイルキック、フィッシャーマンズDDT、回転式ブルドッキングヘッドロックで反撃するも、客席はまったく盛り上がらず。

ブレイザーはトップロープに飛び乗ってのスワンダイブ式ケブラーダという離れ業で客席を沸かせたが…、盛り上がったのはここだけ。飯伏のキックを耐えまくったポコダだったが、最後はブレイザーのライトニングストラックの前に力尽きた。


試合後、KEN45゚が登場。ポコダに向かって「高梨っ!お前は本当にそんな事でいいのかっ!?」と奮起を促す。ポゴタは握手で応え、次期シリーズのタッグトーナメントでのタッグ結成を表明。

続いて清水がマイクを持ち、STONED卍丸とのタッグ結成をアピール。この二人は前シリーズにてシングル戦で対決。その際に新木場1stRINGの備品を色々と壊しまくったらしく、優勝賞金を借金の返済に充てようとしているらしい。やがて卍丸がリングに登場、あっさりと「じゃ、組もうか」と言ったのも束の間、清水をボディスラムで叩き付けてリングを後にした。


う〜ん、全然盛り上がらなかったなぁ。試合内容がどうであろうと、観客が最初からリング上の光景にまったく期待をしていない、というかねぇ。ブレイザーがいかに華麗に宙を舞おうが、飯伏がどんなに激しく蹴ろうが、何をしても観客の盛り上がりが一瞬で消えてしまう。女性客が多い今日の客層、恐らくその殆どは誰か一人の選手を目的に来ている「おっかけ」だと思われるが、彼女達にとっては彼等のプロレスなんてどうでもいいのでは?と思わされるくらいに、まったく熱のない反応だった。

悪冠一色の面々は旧闘龍門(現DRAGON GATE)に参戦していたが、闘龍門X出身選手はその経験が少ない選手が多い。女性の多い場所への露出が少ない分、彼らはハンデを背負っている気がする。ま、ソレを打ち破るも、打ち破れずに戦線離脱するのも彼ら次第って事になるんだろうけど、今のままでは学芸会の領域を脱していないと思う。頑張れ、もっと頑張れっEl Dorado!

第三試合 う〜ん、気が小さいなぁ

シングルマッチ
田上明(192cm/120kg/PRO-WRESTLING NOAH)
ベアー福田(177cm/110kg)
[8分14秒 エビ固め]
※ダイナミックボム

El Doradoの中では珍しく日本人の大物との対決路線を打ち出している福田。普段はみちのくプロレスを主戦場にしているため、ジュニア戦士を相手に豪快なファイトをしているが…、今日の相手は「全日本四天王」の中でも最巨漢の田上だ。福田は自分より大きな相手に、スケールの大きいプロレスを見せれるのか?

ちなみにオープニング映像によると、福田は田上のスタミナ切れを狙う作戦らしいが、どっからどう見ても福田の方が先にスタミナを切らしそうな体型。大丈夫かぁ?


で、第二試合に続いて印象の薄い試合だったのでダイジェストで。

特に大きな攻撃を持たない福田、チョップを浴びせても田上の倍返しの憂き目にあう。田上の得意技である開脚ハイキックやギロチンホイップを喰らってヘロヘロになる福田だが、どうにかラリアットやフライングボディプレスで反撃。だが実力差はどうにもならず、結局は田上のノド輪落とし二連発〜ダイナミックボムの連続技であっさりと3カウントを奪われた。

そしてこの間、会場が沸く事はなかった。客が福田の反撃に期待していないのだ。第二試合といい第三試合といい、闘龍門X出身選手はどうにも客を沸かせる事に苦戦しているな。


ちなみにこの試合の構図は、El Doradoの前身であるdragon doorでの川田利明 vs 大鷲透とまったく同じ。あの時は大鷲が、川田に殆ど何もできないまま敗北していたっけ。

これはDRAGON GATEの選手にも言える事なんだけど、どうも闘龍門系の選手はメジャー選手に対して変に気を使いすぎている気がするねぇ。自分達がやっているプロレスに劣等感があるのだろうか?もっと堂々と攻めないと、逆にわざわざリングに上がってもらっている選手に失礼だと思うのだがなぁ。

第四試合 う〜ん、乗り切れん

六人タッグマッチ
 辻本恭史(173cm/80kg/南京都高校レスリング部OB会)  ※“brother”YASSHI(悪冠一色)
沖本摩幸(165cm/68kg/南京都高校レスリング部OB会)  ※ジャンピングキッド沖本、みちプロではラッセ
 日野本裕介(178cm/95kg/南京都高校レスリング部OB会) ※火野裕士(KAIENTAI-DOJO)
vs
 バラモンシュウ(169cm/73kg/STONED) ※みちプロでは佐藤秀
 バラモンケイ(168cm/70kg/STONED)  ※みちプロでは佐藤恵
卍丸(175cm/69kg/STONED)      ※みちプロでは大間まぐ狼
[18分13秒 ジャーマンスープレックスホールド]

僕はこの団体で進行していたアングルにはまったく疎いのだが、試合前の映像によると前の興行にて"brother"YASSHI vs ジャンピングキッド沖本 vs 火野裕士による「南京都高校レスリング部OB最強決定戦」が行なわれたが、試合の途中にSTONEDの乱入があり、これに怒った三人がトリオを結成して試合に挑む…という流れらしい。よくわからんが、そういう事らしい。


まずは南京都高校レスリング部OB会が入場。レスリング部らしく吊りパン(ツーショルダータイツ)姿で登場するYASSHIと沖本に客席は爆笑。YASSHIの吊りパン姿はかなり新鮮だな。続いて、最後まで吊りパンを着用する事を拒んでいた火野が、ラメ入りの吊りパンで入場。客席が更に爆笑に包まれる中、YASSHIは「一番嫌がっていたオマエが、一番気合が入ってるやんけ!」と鋭いツッコミ。

ちなみにこの試合ではOB会は選手コール時に全員別な名前で呼ばれた。YASSHIと沖本は本名で呼ばれ、火野はこの試合用のリングネーム「日野本裕介」が使用された。だからこれ以降は、その名前で記述する事にする。

で、辻本に挑発されてながら入場してきたのは、みちのくプロレスのヒール軍団のSTONED。怪しげな衣装のシュウ&ケイ、そして卍丸の手には電動芝刈り機。危ないなぁ。それにしても三人とも、しばらく見ないうちに随分と逞しくなった。いい表情をしてるよ。


試合開始、まずはOB会が流れを掴む。辻本のプランチャを皮切りに、沖本の飛びつき式フランケンシュタイナー、日野本のタックルが次々に炸裂。客席からも歓声が沸いたが、程なくして辻本がSTONEDに捕まった。

辻本に浴びせられる容赦のない攻撃。シュウ&ケイによるミドルキックの連打、卍丸は髪の毛を掴んでのフライングメイヤー。STONEDはイス攻撃、ゴミ箱攻撃、タオルによる首絞め等でやりたい放題。グッタリする辻本を起こしながら、シュウ&ケイが憎々しげな表情で「お前ら、こいつをしっかり応援してやれよっ!」と客席を煽る。シュウ&ケイは挑発が上手くなったな。

ケイに照準を絞ったOB会が反撃を開始。まずが日野本がエクスプロイダーでケイを投げ捨てる。三人による対角線攻撃もヒットし、辻本と沖本による連続リバースプレス、日野本のフライングボディプレスが決まる。トドメは沖本の450゚スプラッシュ…しかしフォールしてもカウントが数えられない。試合に巻き込まれたレフリーが倒れていたのだ。これには客席もガッカリ。

STONEDは沖本に攻撃を開始。卍丸は竹刀で沖本をメッタ討ち、シュウ&ケイはゴミ箱やイスといったアイテムを駆使して攻撃。ストンピングを一斉に浴びせ、シュウ&ケイの合体キック、卍丸の垂直落下式ブレンバスターが決まる。大ピンチの沖本、しかし卍丸のフォールをカウント2で返せば客席から歓声が沸く。

ここから一気にOB会が流れを取り戻す。沖本はニールキックで卍丸に反撃、それを日野本がダイビングヘッドバットで追撃する。辻本までもがダイビングヘッドバットで宙を舞えば、三人はカットに入ったシュウ&ケイにもヘッドバット喰らわせる。最後は日野本がプランチャでシュウ&ケイの動きを止める中、沖本が卍丸ジャーマンスープレックスホールドを決めて3カウントを奪った。


勝利を修めたOB会、まずは辻本が沖本に向かって「お前はOB会を卒業だっ!お前に教える事は何もないっ!」と突然の卒業宣言。沖本は「まだ三人で組んだばっかりじゃないですかっ!」と突っ込むも辻本は無視。日野本には「お前はまだまだや。タッグトーナメントはお前とオレでエントリーやなっ!」と話し、次期シリーズでのタッグ結成を示唆。

沖本は「お、オレのパートナーは?」と聞くも、辻本は「お前はお前のパートナーを探せ。ジャーマンもしっかり決めれるようになったやんけ」と煙に巻く。最後は三人で円陣を組み「南京〜っ!ファイト、オーッ!ファイト、オーッ!ファイト、オーッ!」で締めた。


この試合は盛り上がったなぁ。体格の大きい日野本の攻撃はダイナミックだったし、STONEDのヒールとしての徹底振りも良かったし、相変わらず辻本のやられっぷりも良かったし。それでも客席全体に熱が伝わるって程には盛り上がらないんだよなぁ。何なのだろうかねぇ?選手側や主催側の問題もあるのだろうけど、客があんまりプロレスの内容で盛り上がろうとしていない、というかねぇ…。

恐らくだが、今日の客はこのOB会のアングルに乗り切れていないんだろうなぁ。ま、やっている事は確かにEl Doradoならではの事だけど、本当に客が辻本…いやYASSHIに求めている像はこうではないような気がする。やっぱりYASSHIはYASSHIらしく「カス野郎っ!」を連呼するヒールであって欲しいというかねぇ。となると、そんなYASSHIと釣り合うくらいのベビーフェイスが必要になるのだが…いないなぁ、El Doradoには。せめてミラノ・コレクションA.T.がいればねぇ…。

第五試合 う〜ん、読みきれん

3WAYマッチ
近藤修司(173cm/103kg/悪冠一色)
vs
菅原拓也(178cm/93kg/悪冠一色STONED?)
vs
 KAGETORA(170cm/90kg/STONED) ※みちプロでは景虎
[20分47秒 片エビ固め]
キングコングラリアット菅原拓也STONEDに加入し、KAGETORAを追放

El Doradoには二大ヒール軍団が存在する。一つはかつてDRAGON GATEで大暴れしていた悪冠一色、そしてもう一つはみちのくプロレスで大暴れしているSTONED。で、このメインイベントでは、そのどちらにも結成当初から参加している菅原拓也を巡って両軍のボスと菅原自身が3WAYで争う。悪冠一色のボスは近藤修司STONEDのボスはKAGETORA。実力者として知られる二人に菅原が入る事で、どのような闘い模様が展開されるかが見物だ。

ちなみに渦中の人、菅原は「人気者は困るねぇ〜。ま、俺は俺が良ければそれでいいんだけどね」と有頂天。顔立ちが端正なせいか、こういう傲慢な台詞が菅原にはよく似合う。


試合開始。最初は距離を取って様子を伺っていたが三人だが、やがてタックル合戦を展開。場外に降りると菅原はイス攻撃でKAGETORAの動きを止める。リング上は近藤と菅原。近藤は「目を覚ませっ!」と叫びつつチョップやハンマーアームを菅原に叩き込む。しかし菅原はストンピングやニードロップで反撃、スリーパーで近藤を絞め上げる。これを復活したKAGETORAがカット、ダメージが大きい近藤がリング外へ逃げる中、KAGETORAチンロックやアームロックで菅原を痛めつける。菅原は人気者だな。

リング上は再び三人に。菅原は近藤にパンチを叩き込み、KAGETORAは菅原をフロントネックロックに捕らえる。これを近藤がカット…と、目まぐるしく試合展開が変わる中、近藤は菅原とKAGETORAをまとめて逆片エビ固めで絞め上げる。パワーが売りの近藤の面目躍如だ。

更に混沌とするリング上。近藤はKAGETORAを場外ブレンバスターで投げ捨て、KAGETORAは菅原を頭から落とす。近藤のランサルセがKAGETORAに決まり、菅原のニールキックが近藤を襲う。張り手やチョップをお互いに叩き込む三人、続いての丸め込み合戦の中では、KAGETORAは虚を突いて二人まとめて横入り式のエビ固めに捕らえる。フォールこそ逃したが、思わぬ秘技に客席から驚きの声が上がる。

いよいよ試合は佳境へ突入。菅原はケブラーダで華麗に宙を舞ってKAGETORAに体を浴びせる。近藤は二人まとめて持ち上げてのブロックバスターを披露、更にはジ・オリジナル(相手を宙に高く舞い上げてからのアバランシュホールド)を菅原に決める。KAGETORAラリアットを菅原に叩き込み、返す刀で近藤には垂直落下式ブレンバスター。菅原はKAGETORAに必殺・十三不塔を決めたが、直後に近藤のキングコングラリアットを喰らう。この展開の中でKAGETORAは左膝を負傷、それでも一生懸命にスプレーで冷やしつつ試合に挑んでいた。根性は認めるけど…そういうのは大怪我のもとだと思うのだが。

最後はラリアットの乱打戦となったが、菅原を持ち上げた近藤はそのまま喉元にキングコングラリアットを叩き付ける荒業を披露。客席から驚きの声が飛ぶ中で、最後は近藤が正調のキングコングラリアットで菅原からカウント3を奪った。


近藤に完敗した菅原は「近ちゃん…お前はやっぱり強いよ。今まで迷惑を掛けてすいませんでした」と反省の弁。「僕は悪冠一色が大好きです。もう一回これを着て、五人でやってくれませんか?」と語って近藤と抱擁。客席からも温かい拍手が起こった。

だが次の瞬間、菅原は近藤に強烈な一撃。そこへ卍丸やシュウ&ケイが合流、全員で近藤に制裁すると、返す刀でKAGETORAも私刑を加える。客席からブーイングが起こる中、マイクを持った菅原は「ヘイ近ちゃん、こういう事だっ!」とまさか悪冠一色との決別宣言、KEGETORAには「お前はぬるいんだよっ!」とSTONED追放宣言。更に大暴れする菅原&卍丸&シュウ&ケイによる新生STONED。ボコボコにされる近藤とKAGETORA

そこへ登場したのは近藤の盟友である大鷲と…、まさかまさかのディック東郷っ!客席から大きな歓声が起こる中、STONEDを一蹴した東郷は「俺はこの団体とは関係ないが、お前らみたいな連中が大嫌いなんだよっ!」とまさかのベビーフェイス発言。続いて近藤が「このカス野郎っ!お前を信じた俺がバカだったっ!東郷さんっ!トーナメント、オレと組んであいつらをぶっ倒してくれますかっ!」とまさかの共闘宣言。ガッチリ握手する近藤と東郷に客席から今日一番の大歓声が沸き起こる。確かにこの二人からは、プロレス界屈指の名タッグの予感がするぞ。

続いて大鷲が「おいっ!KAGETORAっ!お前、このままでいいのかっ!お前に力を貸してやるっ!この俺様とタッグトーナメンに出るぞっ!」と、こちらもまさかの共闘宣言。一瞬、握手をためらったKAGETORAだが最後にはガッチリと握手。強力タッグが次々に誕生する中、近藤は菅原に「お前は誰と組むんだっ!」と捲くし立てる。

菅原は「シュウ&ケイはそのままタッグで出るだろ?で、卍丸は清水とタッグだもんなぁ…。俺、組む奴がいねぇじゃん」とタッグトーナメントを回避する発言で前置きしつつ「トーナメントには、超凄ぇパートナーを連れてくるからなっ!」と不気味な予告をして会場を去っていった。客席からは「お兄ちゃんっ!」という声。確かにZERO-1 MAXで共闘している藤田ミノルが来れば凄いな。

リングに残ったのは近藤&東郷、大鷲&KAGETORA。近藤は「俺達は決勝で必ずアイツらを倒すっ!」と宣言、大鷲は「優勝するのはお前らじゃねぇ、俺達だっ!」と返す。近藤は「じゃあ、お前らもカス野郎だな」と発言。睨み合う両者、El Doradoは新たなる闘いの火種を巻きつつTo Be Continueとなった。


感想をば。試合自体は要所に驚くような場面はあったものの、全体的には今一つかなぁ。さすがに終盤の展開はテンポが良かったけど、序盤の近藤 vs 菅原とかKAGETORA vs 菅原は間延びした展開だったというかねぇ。特に近藤 vs 菅原は両者の因縁を考えるのであれば、もっと激しくても良かったと思う。ま、3WAYっていう試合形式が難しいのはわかるけど…正直、三人の技量不足だと思うね。

ただ、最後の近藤と東郷のタッグ結成は読めなかった。客席から今日一番の拍手と歓声が起きたのも、このタッグが結成した瞬間だったし。全日本プロレスで一番旬なレスラーと、インディー界を渡り歩く大ベテランによるタッグ。凄いなぁ、この二人の活躍は観たいなぁ。

雑感

El Doradoについての感想は「正直、寒かった」っていう一言ですなぁ。残念ながらね。


全体的な雰囲気としては「客が乗り切っていない、華やかさのないDRAGON GATE」という感じ。女性ファンが多いにも関わらず、彼女たちが会場から何かを求めたり期待する雰囲気が皆無だったのが悲しかった。折角、格団体でトップで活躍するヒールが集結しているのにねぇ。大ベビーフェイスが一人いるだけで、その雰囲気もガラッと変わるとは思うんだけど…。やっぱりミラノ・コレクションA.T.が欲しいよねぇ、大真面目にさ。


それにしても、東郷と近藤のタッグかぁ。前身であるdragon doorのフレーズを使うなら「想定外のタッグ」というかねぇ。いいタッグだなぁ、観たいなぁ。


以上、長文失礼。