いよいよS-CUP2006、しかし大迷走

この期に及んで、そんな「どんでん返し」があったとは!

明後日にはS-CUPを開催しなきゃならんのに、ここに及んでイヴァン・メンジヴァーとイアン・シャファーが欠場とは…。今年は手早く両国国技館を押さえたまではいいけれど、選手探しがここまで迷走するとは思わなかった。最初からK-1 MAXを意識しすぎたら、思ったよりもFEGが力を貸してくれなかったって事なのかねぇ?いずれにせよ、キックの外国人招聘ルートをK-1 MAXがおさえてからは、昔からカード編成が外国人頼りだったSBは大打撃を受けているな。


いずれにせよ、今年のS-CUPは例年に比べて没個性になってしまった。やっぱり選手が弱かったとしても、散打枠とか、どこかドロ臭い選手が上がった方がS-CUPらしいというかね。「SB vs K-1 MAX」というコンセプトを打ち出した時点で、劣化版K-1 MAXへの道を歩んでしまうのは宿命づけられていたのだろう。


いや、クラウスがダメ、ドラゴもダメ、シャファーまでもが欠場となった今、もはや「SB vs K-1 MAX」という対立概念すら成り立っていないワケだが(苦笑)。だいだいダマッシオ・ペイジのどこがK-1なんだよ。僕は今年一年のSBを「方向性が定まらずに迷走している」と評した事があったが、今回のS-CUPはまさにその集大成となってしまった。


無理して両国国技館での開催を掲げたのがマズかった。例年通り、横浜文化体育館での開催にしときゃ良かったんだよ…。

S-CUP 2006 迷走するメンバー、そして見えなくなるテーマ

S-CUP 2006 一回戦 3分3R + 延長3分1R
宍戸大樹(日本/シーザージム/SB日本ウェルター級 王者)
ジョーダン・タイ(ニュージーランド/レイ セフォー ファイトアカデミー)


S-CUP 2006 一回戦 3分3R + 延長3分1R
緒形健一(日本/シーザージム/SB日本スーパーウェルター級 王者)
ダマッシオ・ペイジ(ジャクソンズ・サブミッション・ファイティング)


S-CUP 2006 一回戦 3分3R + 延長3分1R
ダニエル・ドーソン(オーストラリア/SBオーストラリア ファイブリングス/PABAスーパーウェルター級 王者)
ヴァージル・カラコダ(南アフリカ/スティーブズジム)


S-CUP 2006 一回戦 3分3R + 延長3分1R
アンディ・サワー(オランダ/シーザージム オランダ・チーム サワー/S-CUP2002&2004 覇者)
マルフィオ・カノレッティ(ブラジル/シッチ マスター ロニー)


S-CUP 2006 リザーブファイト 3分3R + 延長3分1R
ライアン・シムソン(スリナム/バゾーストジム/S-CUP1997 覇者)
菊池浩一(日本/寝屋川ジム/SB日本ウェルター級 一位)


S-CUP 2006 準決勝戦 & 決勝戦

宍戸大樹 vs ジョーダン・タイかぁ、宍戸にしてみれば無名で強いタイを相手に勝っても全然おいしくないし、負けたら負けたで九月のK-1 MAXの事もあるし、またネットでクソミソに言われるんだろうなぁ。まずはこのハードルの高い一戦に勝たない事には、SB日本人勢に未来はないだろう。


緒形は昨今の発言を聞いていると来年あたりに引退すると思われるが、最後のS-CUPでは是非、宍戸とのエース対決を実現して欲しいね。ま、一回戦の相手のダマッシオ・ペイジはPANCRASEで観る限りではセオリー無視で後半はスタミナ切れ…って感じだから、ベテランの緒形が星を落とす事はまずないと思われる。やはり問題は宍戸が勝ちあがるかどうかにある。


ダニエル・ドーソン vs ヴァージル・カラコダはボクシング対決だけど、まあこれはボクシングでしっかり実績を残している上、SBルールに慣れているドーソンが圧勝するだろう。で、マルフィオ・カノレッティを倒したアンディ・サワーと準決勝で激突か。そうか、サワー vs ドーソンは文句なく観たいなぁ、マジで面白そうだ。


…とはいえ、やっぱりメンジヴァーとシャファーの欠場は痛い、痛すぎる。

S-CUP ワンマッチ こちらは内容充実

エキスパートクラス 3分5R
及川知浩(日本/龍生塾/SB日本スーパーフェザー級 王者)
石川剛司(日本/シーザージム/SB日本フェザー級 一位)


オープニングマッチ フレッシュマンクラスルール 3分3R
尾崎圭司(日本/チーム ドラゴン)
金井健治(日本/ライトニングジム)


オープニングマッチ フレッシュマンクラスルール 3分3R
鈴木友則(日本/湘南ジム)
阿部マサトシ(日本/AACC/修斗バンタム級 世界三位)

まずに尾崎圭司 vs 金井健治に注目したいなぁ。尾崎は八月にR.I.S.E.で「努力する天才」須藤信充に敗れて以来の復帰戦、対戦相手は土井広之の弟分の金井健治、こちらも三月にムエタイ戦士に敗れて以来の復帰戦。お互いに体調が万全なら力強い打ち合いが観られる事だろう。引き出しの多い尾崎の方が強いと思うけど、土井譲りのローキックが炸裂すれば金井にも充分勝機があると思う。


で、及川知浩 vs 石川剛司。及川は白星配給ムエタイ戦士に不覚をとってからの復帰戦、石川は反対にムエタイ戦士を小外刈りでKOしてこの一戦に望む。お互いにハードパンチャーだけど、スタミナに難のある石川に対して及川は何度も5R戦を経験している事を考えれば及川が勝つと思うね。石川得意の絞首刑は、この試合では出ないだろうなぁ。

本当にS-CUPの意味を知りたいのなら

ま、どんなに見切り発車状態になるにせよ、昔からSBはS-CUPを糧にして成長する。S-CUP2002ではアンディ・サワーを発掘、サワーはシェイン・チャップマンと二人で「外国人最強時代」を作り上げた。S-CUP2004では選手の相次ぐ欠場を宍戸大樹が救い、その存在が一気にブレイクした。


しかし、彼らの存在が認められたのは、S-CUPが終わった次のSBの興行からである。S-CUP2002で当時のエースである土井広之を倒したサワーは、次の興行で外様エースである後藤龍治と激闘を繰り広げた事によりSBファンに認知された。S-CUP2004でブレイクした宍戸は、次の興行でムエタイ戦士をKOした事によりエースの地位を不動のものにした。


つまりS-CUPという興行は、実は次のSBの興行とワンセットなのである。だからS-CUPを観る人は、必ず次のSB、12/3 後楽園ホール興行にも注目していて欲しいね。


というか、S-CUPのSBにはハズレがないんだよ。SBを生で観たい人にはマジでオススメ。