7/5 K-1 MAX 代々木第一体育館興行 簡易観戦記 Ver1.0

最近はTwitterばっかりやってます、会場でもツイートしまくってました

今日は代々木第一体育館K-1 MAXを観戦。


今年5月2日、ついに開幕したK-1 MAX 63kg級ではあるが…。各選手の気持ちが空回りしたのか、全十一試合中でKOは二試合という地味な興行となってしまった。やっぱりキックボクシングとK-1ってまったく別な競技だから(僕の中では、K-1はボクシングに近い競技)、キックボクサーはルールの違いに戸惑ったんだろうなぁ。まぁ、K-1の63kg級って長い間「やるやる詐欺」状態だったからね。

そんなこんなで「開幕したが、世間にはまったく期待されていない」という、昔からのキックボクシングファンからすれば悲しい状況で迎えたK-1 MAX -63kgのFinal Roundだが…。今度こそ、今度こそライト級の本物の闘いが世間に届くことを祈りつつ観戦。特にキックボクシングでの活躍を生で観てきた久保優太石川直生、そして大和哲也には多大な期待を掛けつつ観戦したが…いや〜、本当に見事に爆発したね!約一名を除いて(苦笑)。




ってなワケで、チケットは当日に購入。A席6000円。大きい会場だと安い席も余っているから助かるね。パンフは未購入、殆ど知っている選手だしね。観客の入りは最終的には約五割。いきなり会場をJCBホールから代々木第一に移したのだから、この入りもやむなしか。っていうか、さっきからブォー!ブォー!ってうるせぇなぁ。誰だよ!会場にブブセラ持ち込んこんでるのは!(笑)

第一試合 一言感想ツイート「素晴らしい!」

K-1 MAX -63kg Japan Tournament 二回戦 3分3R + 延長3分1R
松本芳道(175cm/63.0kg/八景ジム/(新日本)日本ライト級 王者)
上松大輔(173cm/62.9kg/チームドラゴン/ISKA世界ライト級王者)
[3R 2分45秒 TKO]
※パンチ連打/上松は2Rにダウン1

試合前の予想ツイート(一部編集)

いかにTVで「K-1 MAX無敗!」と持ち上げても、上松のKrushやキックルールでの惨敗ぶりを見るとなぁ…。でも大月戦を見る限り、松本にも強力な武器があるようにも思えないし…。上松のKO、2Rで。ラウンド数は適当。でも、1RKOはないだろう。




試合の感想

ふ〜む。僕は上松の勝利を予想したけど、まあこの結果を知っても驚きはしないなぁ。

っていうか、僕は松本に謝らなきゃいけないなぁ。前回の大月戦では、大月の動きばかり追っていて松本選手の事をまるで見ていなかった事を、この予想で露呈してしまったよ。一見、派手な上松のパンチのラッシュも殆どキッカリと防御していたし(但し、2Rのアッパー連打は危なかったけど)、要所で見せたテンカオもかなりエグいし、丁寧に入れていくカウンターのパンチも綺麗だったし、実は非常に試合巧者だったのね。松本は非常に素晴らしい!選手でした、本当にスイマセン。

対する上松は、一度ダウンを奪われてからの攻めが強引すぎたね。やっぱりK-1ルールは上中下に打撃を揺すらないとパンチは入らんよ。松本みたいにね。




予想の結果

大ハズレ。う〜ん、とにかく松本の闘い方が頭からスッポリと抜け落ちていたのが敗因だな。反省反省。




第二試合 一言感想ツイート「思ったよりも…」

K-1 MAX -63kg Japan Tournament 二回戦 3分3R + 延長3分1R
久保優太(175cm/62.85kg/アンリミテッドジム/Krush ライト級GP 2009 準優勝)
尾崎圭司(169cm/62.9kg/チームドラゴン/K-1 MAX 日本トーナメント2007 第三位)
[判定 3−0]

試合前の予想ツイート(一部編集)

これは久保きゅんの判定勝ちで。そもそも僕には尾崎が強いイメージは皆無なのだ。リーチ差を加味しても、久保きゅんが左ミドルで蹴りまくるイメージ以外の試合運びが浮かんでこないなぁ。あと、尾崎はどこかで苦しまぎれの裏拳を放つだろう。




試合の感想

う〜ん。正直、安全運転している時の久保きゅんの試合は、見ていて面白味には欠けるよなぁ(笑)。リーチの短い尾崎の間合いの外からの左ミドルの連打とパンチ。これだけで尾崎は、2Rあたりから「僕は何をすればいいの?」状態になっていたね。正直、僕が思ったよりも…、久保は疲れることなく準決勝に進出したなぁ、と。もう少しくらいは尾崎が何かをすると思っていたんだが。

っていうか、今のままなら何回やっても久保が勝つような試合内容でありながら、尾崎はインタビューで「久保選手は優勝候補だから」「優勝候補の久保選手にダメージを与えられた」「延長だったら必ず勝てた」って言っていたらしいんだよなぁ。何なんだろうねぇ?正直、尾崎は70kgの頃の方が自分の持ち味を出せていたような…。




予想の結果

勝者は当たり、展開も当たり、尾崎の裏拳は1R終盤でアクセントで使ったのみなのでハズレ(笑)。まあまあ、予想の範疇内の試合内容だったけど、僕が想像した以上に一方的だったなぁ。




第三試合 一言感想ツイート「やっぱりね」

K-1 MAX -63kg Japan Tournament 二回戦 3分3R + 延長3分1R
○才賀紀左衛門(168cm/62.5kg/大誠塾)
石川直生(177cm/62.75kg/青春塾/元全日本スーパーフェザー級 王者)
[判定 3−0]
※石川は1Rにダウン1

試合前の予想ツイート(一部編集)

正直、石川の頑張りをずっと見てきた者としては石川に勝ってほしい。Krushトーナメントでの鬼神のような強さを発揮して欲しいと思うが…こういう所で負けるのが似合うのも石川というか。紀左衛門が2RにKO勝利で。




試合の感想

石川は、真弘が大和に敗れ、元気が羅紗陀に敗れ、そして前田尚紀が米田貴志&TURBOに敗れた今、「全日本フェザー級四天王」の最後の星となった。あの声援の多さはそういう背景もあっての事なんだろうなぁ。対する紀左衛門は、観客からのブーイングを凄く楽しんでいた、若いのに根性がプロだよねぇ。


んで、試合についてだが…やっぱりねって感じですな。


ハッキリ言って今日の石川は、尾崎と並ぶくらいのダメな選手だったと思う。一度ダウンを奪われてからは、焦ってるんだか何だか知らないが気持ちばかりが空回り。一発狙いの大振りな打撃を連発するあまり紀左衛門のペースに呑まれちゃうのって…。何年、キックボクシングをやってるんだよ!

まあ、K-1ルールの改正により「掴む行為そのものが禁止」になったらしいので、首相撲からの膝蹴りを得意とする石川は武器を一つ失った、というのはわかる。でも石川はKrushで「前蹴りやパンチで距離を離し、左ミドルと右ローを刻んで下半身に意識をズラし、右ハイや飛び膝でKOする」という闘い方を確立していたハズ。今回の負けに対して言い訳ができないのは、本人も痛いくらいに自覚しているだろうなぁ。つくづく、序盤にダウンを奪われた事を猛省して欲しいね。「相手を焦らして勝利を奪う」タイプの闘い方の石川としては、一番やってはいけないミスだからねぇ。




対する紀左衛門、自らが発した「K-1ルールでは俺の方が先輩」という言葉を有限実行した形。アゴの弱い石川に右ストレートを浴びせてダウンを奪った後は、ポイントを守るべく「付かず離れず」の闘い方をした紀左衛門。2R終了直前に放った浴びせ蹴りも素晴らしかったし、要所で見せる空手仕込みの蹴りも良かった。あどけない顔に似合わず、闘い方は熟練者っぽくて面白かったなぁ。まあ、ディフェンシブな闘い方なのでK-1っぽくはなかったけど、僕は面白かった。

あと、これは書いておこう。紀左衛門、試合前には石川の事をE.T.呼ばわりとかしていたけど、試合が終わった後はちゃんと石川と握手したり、伏して礼したりしていて、ちゃんと礼節を弁えて(わきまえて)いましたよ。なかなか気持ちのいいところがあるというか、いい青年だと思いましたよ。




予想の結果

勝者は当たり、展開は…予想なしか。んで、フィニッシュラウンドはハズレたけど「序盤に紀左衛門がダウンを奪って、石川が取り返せずに判定負け」という展開は、想定の範囲内かな。

それにしても、石川も長年のキックボクシング経験のせいか、ドランカーのような倒れ方をしたよなぁ。本人のモチベーションも心配だけど、それ以上にダメージの蓄積が心配。有限実行を積み重ねてK-1まで辿り着いた選手なので、もう一回チャンスを与えて欲しいけどなぁ…。




第四試合 一言感想ツイート「魂の入った名勝負」

K-1 MAX -63kg Japan Tournament 二回戦 3分3R + 延長3分1R
大和哲也(171cm/62.9kg/大和ジム/WMCインターナショナル & WBCムエタイルール日本ライト級 王者)
●裕樹(170cm/63.0kg/リアルディール/元RISE 60kg級王者)
[1R 3分3秒 KO]
※左フック

試合前の予想ツイート(一部編集)

とりあえず大和の左ボディはシャレにならない。多分、裕樹がローを効かせ始める前に効いちゃうと思う。予想は大和の3RKOで。それにしても、TVでの大和の扱いが小さい。どう見ても、実力No.1だと思うのだが。




試合の感想

試合時間は短かったけど、魂の入った名勝負になったね。裕樹の右ローもいつも以上に全身全霊だったし、大和の左ボディ&右ストレート&左フックの日本人離れした破壊力は相変わらずだし。お互いに気合の入っているのが、代々木第一の広い会場全体に伝わっていたと思う。

フィニッシュの左フックも鮮やかで強烈だった。恐らく会場のお客さんの多くは、この時点では大和の優勝を確信していたんじゃないかなぁ。「この時点では」の話だけどさ。




予想の結果

勝者は当たり、展開はハズレ、フィニッシュラウンドはハズレ。ズバリ言って僕は大和の左ボディばかりに注目していたけど、本当はパンチもキックも一発一発が強烈な選手なんだよね。スッカリ忘れてたなぁ。しばらくの間、キックボクシングで大和を見ていなかったのが敗因だな。




第五試合 一言感想ツイート「これはこれで面白い」

K-1 MAX -63kg Japan Tournament リザーブファイト 3分3R
宮田和幸(172cm/62.95kg/Brave)
渡辺一久(167cm/62.8kg/フリー/元プロボクシング日本フェザー級 王者)
[判定 3−0]
※渡辺は2Rにダウン1、3Rにダウン1、宮田は3Rにダウン1

試合前の予想ツイート(一部編集)

単純に体重差の問題で宮田が圧勝するんじゃないかなぁ。っていうか、ファイヤー原田vs渡辺が実現しないかねぇ。このカードでファイヤーさんが勝ったら俺は号泣すると思う。




試合の感想

う〜ん、これはこれで面白い試合でしたな。お互いにK-1ルールに慣れていないなりに、一生懸命K-1の試合をしようとしていたのが微笑ましかった。特に渡辺が1Rに連発していた、ダッシュからの右ローとかは「一生懸命、練習したんだろうなぁ」と思わせられたね。まあ、宮田の左ローで「足にダメージを負ってダウンを喫する」という欠点は相変わらずだったけどね。

渡辺も3Rにパンチのラッシュでダウンを奪い返したりしたし、大味な展開ながらも見せ場はあって、思ってたよりは面白かったね。箸休めにはちょうど良い、というかねぇ。




予想の結果

勝者は当たり、展開はハズレ、フィニッシュラウンドは…予想なしか。う〜ん、僕は宮田がもっとノッシノッシと前に出て圧力をかけまくる展開を予想していたんだが、さすがに打撃系格闘技の舞台で、ボクシング経験者にアマレスラーが体格差のみを武器に圧力を掛けるのはムリだったか(笑)。




第六試合 一言感想ツイート「二人とも硬かったなぁ」

K-1 MAX -70kg World Championship Tournament 一回戦 3分3R + 延長3分1R
長島☆自演乙☆雄一郎(175cm/70.0kg/魁塾/K-1 WORLD MAX 2010 -70kg Japan Tournament 優勝)
アンドレ・ジダ(172cm/69.1kg/ブラジル/ユニバーシダデ・ダ・ルタ)
[判定 2−0]

試合前の予想ツイート(一部編集)

ジダは初来日の際に宍戸大樹を相手に何もできずに惨敗しているのだが、まあつまり本当のところはあんまり強い選手ってイメージがないんだよなぁ。そんなこんなで自演乙が1RKO。ここで自演乙はここでつまづくようではK-1 MAX 70kg級は背負えない。




試合の感想

今日の自演乙はエヴァンゲリオン使徒サキエルの姿で入場。ハイ、これがこの試合の最大の見せ場です。対するジダはセコンドに桜庭を従えてストロングマシンのマスク姿で入場。そんな事よりも左肩も紋々がヤバい。テレビで放送できないだろ、この紋々は。いや、放送しちゃったけどさ。




んで、試合の方は…二人とも硬かったなぁ。元々タイプ的にも似ている二人はお互いに様子を見すぎるあまり前半は展開に乏しくなり、後半は両者ともに大振りなパンチを連発するばかり。正直、なんとも大味な印象の残る試合になってしまった。まぁ、前半はジダが硬く攻めてきたので、自演乙も硬くならざるを得なかったんだろう。っていうか、ああいう相手にはもっとローを蹴って意識を下にズラさないと、パンチは当たらないよねぇ。



…あ〜、そうか。ひょっとしたら自演乙は去年、クラウス&シュー・イェンと国際戦で二連敗しているから、今日は手堅く攻めたような気がするなぁ。でも僕としては、いつも通りのイケイケラッシュで序盤にKOを奪って欲しかったね。



予想の結果

勝者は当たり、展開はハズレ、フィニッシュラウンドはハズレ。う〜ん、勝つには勝ったけど、正直ジダを相手にこの内容ではK-1 MAX 70kg級は背負えないだろう(キッパリ)。




第七試合 一言感想ツイート「これも魂入ってたけど、テレビじゃカットされるだろうなぁ」

K-1 MAX -70kg World Championship Tournament 一回戦 3分3R + 延長3分1R
佐藤嘉洋(184cm/70.0kg/名古屋JKファクトリー/K-1 WORLD MAX 2008 世界三位)
山本優弥(176cm/69.8kg/青春塾/K-1 WORLD MAX 2009 世界三位)
[判定 2−0]

試合前の予想ツイート(一部編集)

この二人は全日本時代に対戦し、その時は佐藤が六回もダウンを奪う圧勝劇に。今回は闘うルールは違うけれど、元々優弥はリーチの長い相手に極端に弱いという欠点もあるから、ここは佐藤が判定勝利で。




試合の感想

昔から優弥を見てきたnar氏曰く「優弥、青春塾にいってから(空修会館から移籍)ベストパフォーマンスだったんじゃないかな」。確かに全日本キックでの一回目の対戦と比べて、優弥は随分と佐藤を攻め込めたと思うなぁ。

nar氏曰く「相性的にも最悪なんで勝ちを望むのはね…。変な膝蹴りとか捨てて、手数、特に左ミドルを使うスタイルに戻ったのは嬉しいですね!」。今日の優弥は、序盤から「自分の攻め」で佐藤と渡り合っていた。左ボディもいいのを入れていたし、いや〜…強くなったなぁ(しみじみ)。あの佐藤から判定で1R取れただけでも、今日の優弥の収穫は凄く大きいと思う。




まあ、それでも佐藤の牙城を崩せなかった事実は事実として残るんだけどさ。佐藤の攻めは機械のように正確だったなぁ。特に左ジャブは要所で優弥の動きを止めていた。アレは簡単には崩れないだろう。やっぱり国内ではダントツの強さだ。今年は是非、世界制覇を成し遂げて欲しいところだねぇ。



それにしても、「これも魂入ってたけど、テレビじゃカットされるだろうなぁ」と思っていたら、まさかまさかのカットなし。佐藤の試合が3R通して流れるのって凄く珍しいよね。



予想の結果

勝者は当たり、展開は予想なし、フィニッシュラウンドは当たり。いや〜、それにしても…。地上波の解説陣も指摘していたけど、五年前の対戦と比べて二人とも成長したんだなぁ…。




第八試合 一言感想ツイート「凄い…」

K-1 MAX -63kg Japan Tournament 準決勝戦 3分3R + 延長3分1R
久保優太(175cm/62.85kg/アンリミテッドジム/Krush ライト級GP 2009 準優勝)
松本芳道(175cm/63.0kg/八景ジム/新日本キック日本ライト級王者)
[1R 1分21秒 KO]
※左ハイキック

試合前の予想ツイート(一部編集)

僕の予想では上松vs久保きゅんか。ひょっとしたら、このカードなら久保きゅんはラウンドこそ消費するも、上松に「何もさせないまま」判定勝利するのではないか?と予想。上松はパンチが得意なので、接近戦では久保きゅんはパンチを使ったりスウェーを使ったりで派手に動くと思われる。




試合の感想

もう、この試合に関しては何もいう事はありませんね。両者の実力が拮抗する中で出た、静寂を破る左ハイ。凄い…ただただ凄い…。普段はヘラヘラしているのに、いざリングに上がればこうだから、久保きゅんはますます人々の目を惹き付けるんだよなぁ。目の前で闘うこの青年の微笑みは天使か?悪魔か?

恐らく会場のお客さんの多くは、この時点では久保きゅんの優勝を確信していたんじゃないかなぁ。「この時点では」の話だけどさ。




予想の結果

まず、対戦カードが予想と違うのだが…。ズバリ言って、久保きゅんvs松本だったとしても僕の予想は変わらなかっただろう。そう考えると勝者は当たり、展開はハズレ、フィニッシュラウンドはハズレですな。いや〜、あんなトンでもないハイキックが出るとは、まったく予想できなかったよ…。久保きゅんの恐ろしさを改めて知った、というかねぇ。




第九試合 一言感想ツイート「これまた凄い!」

K-1 MAX -63kg Japan Tournament 準決勝戦 3分3R + 延長3分1R
大和哲也(171cm/62.9kg/大和ジム/WMCインターナショナル & WBCムエタイルール日本ライト級 王者)
●才賀紀左衛門(168cm/62.5kg/大誠塾)
[2R 2分13秒 KO]
※左フック

試合前の予想ツイート(一部編集)

僕の予想では紀左衛門 vs 大和。僕が石川 vs 紀左衛門の勝者を紀左衛門にしたのは、その身体の分厚さ(&石川の打たれ弱さ)を見て考えたんだけど、大和も63kg級としてはいい身体だからなぁ。何の問題もなく、大和が左ボディを効かせて3RKOするんじゃないかなぁ。




試合の感想

いやいや、これまた凄い!と思えるKO劇になったなぁ…。紀左衛門は何もできなかったねぇ。まあ大和がジリジリと前に出てくる圧力というのは、こっちが見ている以上に凄いんだろうなぁ。様子見のパンチと蹴り以外の攻撃が出てこない紀左衛門に対して、少しづつ少しづつ前蹴りや左ボディを効かせて、最後はワンツー。やっぱり自分の武器を持っている選手は強いね。

恐らく会場のお客さんの多くは、この時点で優勝の行方が読めなくなっていたんじゃないかなぁ(笑)。





予想の結果

対戦カードは当たり、勝者は当たり、展開は当たりの範疇かな?フィニッシュラウンドはハズレ。う〜ん、こういう試合を見ると、大和に対する僕の評価をもっともっと修正しないとイカンなぁ。前から「強い」とは思っていたけど、ここまでKOの山を築くとは思わなかった。




第十試合 一言感想ツイート「もっと見たい」

K-1 MAX -70kg World Championship Tournament 一回戦 3分3R + 延長3分1R
アルバート・クラウス(175cm/70.0kg/オランダ/チーム・スーパープロ/K-1 WORLD MAX 2002 世界王者)
中島弘貴(176cm/70.0kg/バンゲリングベイ・スピリット/K-1 WORLD MAX 2010 -70kg Japan Tournament 準優勝)
[判定 3−0]
※中島は1Rにダウン1

試合前の予想ツイート(一部編集)

これはもうクラウスの1RKOで。僕は中島くんはSBに上がっていた頃から見ているので思い入れがあるけれど、ガードの甘さは相変わらずだしなぁ。クラウスが世界の壁の厚さを見せ付ける試合をすると思う。




試合の感想

シュートボクセ・ジャパンをアピールするためか、中島はヴァンダレイ・シウバの入場曲である「Sand Storm」で入場。う〜ん、僕はバンゲリングベイ・スピリット所属なんだから、新田明臣の入場曲の「Samba De Janeiro」で入場して欲しかったなぁ。

んで試合については…。ぶっちゃけ僕は、この試合はどうひっくり返っても中島が勝てるとは思っていなかったし、恐らくは多くの人が僕と同じ心境だったと思う。そんな状況下で、むしろ彼が「何をするのか」を見ていたんだけど…。実際、今日の中島はよくやったと思うなぁ。「ガードを固めて左ローやボディを重ねる」というのは本来の中島のスタイルではないと思うけど、これから世界の強豪と対戦する上ではそういった戦法も必要になるだろう。




時折、飛び膝蹴りを放ちつつも、堅実にガードを固めて左ローを重ねる中島だが、今日はその闘い方に答えが出る前に終わってしまった印象。まぁ、クラウスがほぼ無傷だったのがすべての答えだと言う人もいるかもしれないが、例えば5Rあったらあの左ローでクラウスは崩れそうになる場面はあったのか?なかったのか?彼がこれからもっと強くなっていく上で、あの闘い方が正しかったのか?



そういう意味で「見たい、もっと見たい。彼の成長を見続けていたい!」、そう思わせる試合だったなぁ。



予想の結果

勝者は当たり、展開、フィニッシュラウンドはハズレ。クラウスも今日は慎重だった。まぁ、今日は彼にとっても大事なWorld Championship Tournamentの初戦だしねぇ。




第十一試合 一言感想ツイート「鳥肌たった!スゲェ!ただただスゲェ!」

K-1 MAX -63kg Japan Tournament 決勝戦 3分3R + 延長3分2R
大和哲也(171cm/62.9kg/大和ジム/WMCインターナショナル & WBCムエタイルール日本ライト級 王者)
久保優太(175cm/62.85kg/アンリミテッドジム/Krush ライト級GP 2009 準優勝)
[3R 1分26秒 KO]
※左フック/大和は1Rにダウン1、久保は3Rにダウン2、二度目のダウンでKO/大和が優勝

試合前の予想ツイート(一部編集)

僕の予想では久保きゅんvs大和。NJKFでやれ…いや、当時は久保きゅんはフェザー級で大和がライト級だからできないか。決勝では久保きゅんはダメージはないけど、体力はかなり消耗していると予想。逆に大和は体力消費は少ないけど、裕樹のローを喰らってダメージが中くらい。とりあえず、スタミナを消耗して機動力を失った久保きゅんに、大和がボディを効かせて3RKOすると予想。大和の準決勝でのダメージがキーかな?




試合の感想

鳥肌たった!スゲェ!ただただスゲェ!…というのは試合後、真っ先にツイートした文章だが、本当にそうとしか言いようのない内容だったね。これまでとは一転、Krushの決勝戦に出た時のような「K-1モード」となった久保きゅんに対して、それに動じず圧力を掛けてパンチを返す大和。大和のパンチを潜ってかわす久保きゅん、左ボディで久保きゅんの動きを止めに掛かる大和。関係者を含めて、僕の周りの何人かが指摘していたけど…。藤田真 元NJKF理事長!この試合を見ていましたか?あなたが育てた子供達の闘いは今、世間に届きましたよ!




スウェーやダッキングを連発しつつ、1Rにワンツーを決め、右フック〜左ストレートでダウンを奪った久保きゅん。これで完全に気持ちが乗った久保きゅんは、これまで以上に積極的にダッキングとパンチを繰り返す。殆どガードをせずに上体のみでパンチをかわす久保きゅんに対して、大和は2Rにカウンターの右ストレートと左フックで逆襲、ダメージの大きい久保きゅんを3Rに右ストレートでダウンを奪い、久保きゅんの左フックを喰らいながらも左フックで大和がKO勝利、かぁ。



う〜ん、ズバリ言って久保きゅんの敗因は自分のディフェンスのセンスに酔い過ぎたことだと思うけど、それもまた彼の魅力であり、だからでこそこれだけの試合に発展したからなぁ。何より、K-1での試合である事を意識して、最後までKOに拘った、その姿勢がいいじゃないか。素晴らしいね。



それにしても、このトーナメントの大和は強かった。結局、KOを奪ったのはすべて左フックかぁ…代名詞の左ボディにしてもそうだけど、自分の武器を持っている選手は強いなぁ。そして優勝後のコメントが素晴らしかった!

大和哲也のコメント

勝つ自信はあったけど、今日出た七人の選手はみんな強くて、
ここに上がりたいと指をくわえて見ている選手もまだまだいると思います。
みんなで切磋琢磨してここを盛り上げていきましょう!
僕は僕なりの色で塗り上げていきます!

どうよこの二十二歳!僕は選手には人間性はあんまり求めないんだけど、その僕ですら心が震えた殊勝すぎるくらいに殊勝なコメント!いや〜、今日は本当に文句なし!優勝、おめでとう!




予想の結果

対戦カードは当たり、勝者は当たり、フィニッシュラウンドも当たり…だけど、展開は大ハズレだね。正直、二人が無傷で決勝に上がるというのは予想できなかったなぁ。そして試合内容もこんなにドラマチックになるなんて…。こんな展開、誰も予想できないって!




K-1 MAX -63kg Japan Tournament、ちょっといい話

おまけで、決勝に上がった二人のちょっとしたエピソードをば。

大和哲也(元ツイート http://twitter.com/Masked_Takakura/status/17794777558 に加筆)

大和哲也という選手で思い出すのは、後楽園でいつも、入場曲の宇宙戦艦ヤマトに合わせて大声で「やっまっと!やっまっと!」と応援していたあの青年。噂では脳に障害を持つというこの青年は、試合前であろうがインターバル中であろうが、いつも変わらない大声で彼を応援していた。あまりに熱心に応援するので、NJKFが賞を上げようとしたという話もあるくらいだ。誰よりも熱く大和を応援していたあの青年は、今日はテレビの前で喜んでいるのかな?それとも会場のどこかで大和を応援したのかな?

久保優太(元ツイート http://twitter.com/frigidstar/status/17795261004 )

久保がテコンドーを始めた少年時代。久保には応援していた選手がいた。ある大会、その選手は担架で運ばれる程のダメージを負い、敗れてしまった。試合後、その選手の元に足を運んだ久保少年に、その選手は一枚のサインを渡した。そこには、こんな言葉が書いてあった。「強くなれ」、と。

雑感

開幕戦から一転、メチャメチャ面白かったK-1 MAX -63kg Japan Tournament。ハッキリ言って今日は、70kg級のテレビ放送は邪魔だったなぁ。アニメ系のスポンサーを獲得してくれた自演乙のガチガチな試合よりも、もっと放送すべき試合はあったと思うしね。中島の試合が見れなくてガッカリした人が多かったのにはちょっとビックリしたけどさ。

んで、ちょっと冷静になって考えたのは…。あれだけの感動の優勝劇を果たした大和哲也ですら1Rで倒してしまう、センチャイ・ソーキングスターの存在、そしてムエタイという大きな壁のことだなぁ。ムエタイというと首相撲や膝蹴りのイメージが強いけど、真に怖いのはムエタイの競技人口から来るトップ選手のフィジカルの高さだからねぇ。ブアカーオやランバーみたいに、あの階級でK-1ルールに順応するタイ人が出てきたら、恐らく誰も勝てない気がするなぁ…。

あとは…。HIROYAはどうするんだろ?この先、闘うとしたらこの階級だと思うんだけど、とても昨日の決勝の二人に勝てるとは思えないんだけどねぇ。まぁ、まだ若いから、これから色々なものを吸収して、順調に強くなればいいんだけどねぇ…。


以上、長文失礼。

7/6 19時女子プロレス UST放送観戦記

帯広というと豚丼ですが、僕の家の豚丼はむしろステーキ丼みたいだったなぁ

北海道帯広市出身の高倉仮面が、19時女子プロレスを初めて観戦。今、僕はちょっと理由があって、ずっと家にいるんだけど…僕の仕事は忙しい時は午前様が当たり前なので、こういう時でもないと19時に家にいるっていうのは難しいからなぁ。とりあえず、どんなものやら見せてもらいますか。

帯広というと「白樺」のジンギスカンだけど、モンゴリアンチョップは潰れたなぁ

開始と同時に出てきたのは、デスクに座っている都宮ちいとGENTARO。まずは今日の対戦カードと出場レスラーについてザックリと説明。ああ、こういうのは僕みたいな初見の人には非常にありがたいね。そして、この間にもUSTのソーシャルストリームにより、twitterなどを通して彼らの実況に関する感想が次々と流れていく。まぁ、チャットみたいなノリだけど、観戦者の反応がダイレクトに伝わるのって、やっている側からしても面白いんだろうなぁ。

帯広は札幌生まれなのに、なんで帯広なんだろ?

シングルマッチ 15分一本勝負
志田光(164cm/55kg/アイスリボン)
●帯広さやか(158cm/55kg/19時女子プロレス代表)
[8分44秒 片エビ固め/]
※ブレーンバスター

ってなワケで試合。ちなみに今日は帯広さやかの復帰戦なのだそうな。いや、怪我とかではなくただ帰省していただけらしいけどね(笑)。


志田光は柔道をベースに持つプロレスラーで、JEWELSにグラップリングルールで参戦した事もあるらしい。対する帯広さやかは社会人女子野球リーグで副将を務めていたスポーツウーマンで、今年デビューしたばかりなのに19時女子プロレスの構想をブチ上げて、代表に就任したアイデアマン。但し、とにかくドジな事でも有名なようだ。ちなみに志田は22歳、帯広は23歳。一見、若く感じるが、志田はデビューして一年半、そして帯広はデビューしたてである事を考えると、かつての女子プロレス界を知る者としては遅咲きのデビューだと感じるなぁ。何せ昔の全日本女子プロレスには「25歳定年制」があったくらいだしね。


んで今日の試合は、典型的な若手同士の対戦に。派手な技は一切使わず、主に組み技で試合が組み立てられていく。片逆エビ固めやサーフボードストレッチで帯広の腰を攻める志田に対して、帯広もコーナー際の踏み付けや片逆エビ固めを返すなどで応戦。



志田を踏みつける帯広。ちなみにレフェリーは真琴。

帯広は若手らしい打点の高いドロップキックやミサイルキック、そしてスリーパーで絞め上げるなどで健闘するも、やはりキャリアの差はいかんともしがたく、志田はカナディアン・バックブリーカーで帯広の腰にダメージを与えると、最後は垂直に落とさない正調のブレンバスターで帯広からフォール勝ち。ほほう、ブレンバスターがフィニッシュになるとは思わなかったなぁ。


左:志田の荒業カナディアン・バックブリーカー。女子の身体の柔らかさだと威力は半減か?
右:フィニッシュとなったブレンバスター。二人とも、顔の写った写真がなくて申し訳ない。

うん、いかにも若手同士の対戦という感じで、気持ちが前に出ていてナカナカ面白かったなぁ。そして試合中にも流れ続けるソーシャルストリーム。「絞めろ帯広!」「ドロップキック、打点が高い!」「頑張れ志田!」「今日の帯広は良かった!」ってなノリの書き込みがタイムリーに流れていた。選手は後でこれらを読んで、励みにしたり反省したりするんだろうなぁ。観戦者の反応がダイレクトな分だけ、選手の心に届く分も大きいだろうしね。


ちなみに試合後は映像は実況席へと戻り、試合後の選手へのインタビュー、そしてアイスリボンの宣伝をしていた。この放送を通してアイスリボンの存在を知った人もいるのかなぁ?

雑感

さっきも書いた事だけど…。「USTを通して、19時に女子プロレスを配信する」ことよりも、USTのソーシャルストリームを通じて「試合の感想」が選手にダイレクトに伝わるのが大きいのかなぁ、と感じたなぁ。文字通りファンとレスラーが「女子プロレス」という一つの空間を、より強く共有できる感覚になれたのが面白かったなぁ。成程、こりゃあまた見たくなるわ。


以上、長文失礼。

6/27 StrikeForceサンノゼHPパビリオン(米国)興行 一試合だけ観戦記

Mask_Takakura2010-06-27

序文…その時、歴史が動いた!

とりあえず、StrikeForceで大事件が起こったので速報がてら観戦記をば。もちろん、いつも通り僕の備忘録としての色合いの方が強いです。基本的に海外の格闘技は、その時は頭に入ってくるけど、抜けるのも早いんだよねぇ…。

試合…その時、歴史が動いた!

ヘビー級 5分3R
ファブリシオ・ベウドゥム(193cm/108.1kg/ブラジル)
エメリヤーエンコ・ヒョードル(183cm/103.8kg/ロシア)
[1R 1分9秒 三角絞め]

StrikeForceでは無冠ながらも、無敗幻想により総合格闘技界の頂点の一角として君臨するエメリヤーエンコ・ヒョードル。今回の試合にあたり、下馬評の中には「試合の間隔が開きすぎて、モチベーションの維持ができていないのでは?」という意見もあったが、基本的にはPRIDE時代は格下だったファブリシオ・ベウドゥムに負ける事はないだろう、という楽観的な意見も多かったようだ。でも忘れてはいけない、ベウドゥムはアブダビ・コンバットを二度制し、ムンジアルの重量級を連覇したした実績の持ち主だという事を。っていうか、僕は観戦するまでスッカリ忘れてた(笑)。


試合開始、まずは牽制で大きな左ローを放つベウドゥム。だがヒョードルは意に介さず、プレッシャーを掛けてベウドゥムを追い詰める。意を決したベウドゥムが頭を下げてフックを連打すると、ヒョードルはこれを真っ直ぐ見据えてフックを返し、右フックがヒットしてベウドゥムはダウン。

観客の歓声の中、ベウドゥムの蹴り上げをかわしつつヒョードルインサイドへ。ところがその瞬間、ベウドゥムは既に三角絞めの体勢に移行。外したヒョードルは強引にサイドを奪おうとしながら鉄槌を放つも、ベウドゥムは横に一回転しながら再度ラバーガードの体勢へ移行、下から腕十字を極める。身体を潜らせてカバーしようとするヒョードル、ベウドゥムはこれを三角絞めに捕らえる。二度、身体を横に捻って逃れようとするヒョードルだが、柔術王者の三角絞めは簡単には外れない。やがてヒョードルがタップして試合は終了。


う〜ん、ヒョードルの敗戦が云々という前に、一つの試合の中に色々なドラマが凝縮したいい試合だった。特に最初にヒョードルが右フックでダウンを奪った場面が、あまりにも「今まで通りのヒョードル」だっただけに、ベウドゥムの三角絞めがいかにガッチリ極まろうとも「ヒョードルなら、アッサリと外すのでは?」という思いは最後まで消えなかった。それだけに、ヒョードルがタップした場面は衝撃的だったなぁ。

識者の意見を読んでいると、一回目の三角絞めはベウドゥムを担いで逃れたものの、その後の追撃で深追いし過ぎて二回目の三角が極まってしまった、との事。その後で身体を捻っていたのは。もう一度担ぎを狙っていたんだけど、結局ベウドゥムの三角が深く極まっていたから逃れられなかった、という事らしい。成程ねぇ。また、フィニッシュは三角絞めではなく、腕ひしぎ三角固めのようだ。確かに後で動画で確認したら、極まっていたのは腕の方に見えたなぁ。


まあ、いずれにせよ、チャンスを最大限に活かして勝利を得たベウドゥムには「お見事!」の一言だね。

雑感…その時、歴史が動いた!

ふ〜む、こうして考えると「ヒョードル幻想」には色々な副産物もついていて、その中には「ヒョードルは首が短いから、三角絞めは極まらない!」なんていうのもあったなぁ、と思い出した(苦笑)。あと、「ヒョードルのグラウンドパンチはダイヤも砕く」というのもあるから、それを自らが信じすぎちゃったところもあるのかなぁ、という気がした。いずれにせよ今回の敗北は、ヒョードルの身体的な衰えによる敗北ではなく、気持ちの問題だったのなぁ、という気がするね。


何にせよ、僕の中での「ヒョードル幻想」はまだ消えていないなぁ。まあ、この敗北を受けての次戦は真価が問われることにはなると思うけどね。頑張れヒョードル


以上、長文失礼。

6/19 VALKYRIE ディファ有明興行 観戦記 Ver1.0

中井りんはもっと注目されてもいい選手かな?

本日はディファ有明VALKYRIEを観戦。


今日は全五試合、非常にコンパクトサイズなVALKYRIEだが、セミファイナルに組まれた藪下めぐみvs中井りんはファン注目の一戦と言えるだろう。柔道での実績をバックに、長い間女子格闘技のトップ戦線を走ってきた薮下。そして海外進出を見据えて、周りが心配になるような肉体改造を続ける中井。辻結花vsV一から続く「世代交代マッチ」とも言えるこの一戦。下馬評は中井が有利だが、藪下は覆すことができるのか?

またメインイベントでは、VALKYRIE女子フライ級の初代王者決定トーナメントの決勝戦として玉田育子と大室奈緒子が激突。世界でも珍しい階級である-45.4kg級の最強を決める一戦、両者ともにグラウンドを得意としているが、一本勝ちは見れるのか?


というわけでチケットを購入、4500円。全五試合の割にはちょっと高い。観客の入りは…かなり厳しい。ディファ有明のBバージョンにして約四割程度かなぁ。正直、この入りはかなり厳しいねぇ。

第一試合 3分2Rって言われると、新日本キックを思い出すかな?

ノーヴィスルール 女子フェザー級 3分2R
○バタフライナイフユカ(MMA/修斗ジム BLOWS)
●sakura(和術慧舟會東京本部)
[判定 3−0]

第一試合は、みんなが忘れかけていたノーヴィスルール(グラウンドでの顔面パンチはナシ)による一戦。パンフレットでsakuraは「少しでも楽しんでもらえるように頑張ります」、バタフライナイフユカは「切り刻んでやるぜぇ〜(照)」とコメント。ふ〜む、照れるのに何でバタフライナイフなんて名乗ってるんだろ(笑)。




1R、スタンドでの打撃戦の中で、ユカがテイクダウンを奪い金網際でハーフマウントになるも、試合は膠着しブレイク。再びスタンドになるも、ユカはパンチを武器に前に出て、sakuraを金網際へと押し込みつつ腿への膝蹴りと肩パンチを連発。sakuraも差し替えて攻め込むも、試合に進展はなくブレイク。ここで1Rは終了。う〜ん、展開が乏しいのぉ。



2R、ユカは左ジャブで牽制すると、前に出るsakuraにタイミングよく左ジャブを当ててダウンを奪い、そのまま上になってサイドから腕十字を狙うも、これはsakuraにリバースされてしまう。チャンスを得たsakuraだが何もできずにブレイク、ユカはパンチを出しながら前に出てsakuraを金網へと押し込んだが、ここで試合は終了。あっという間だったなぁ。



判定の結果、3−0でユカが勝利。



う〜む、全体的に実力差はなかったように感じるけど、試合のポイントを切り取ると文句なくユカの勝利になる、という感じだなぁ。しかしまあ、グラウンド中心の展開だと3分2Rって本当に短く感じるなぁ。


第二試合 コスチュームがソックリなのって避けられないのかな?

女子バンタム級 3分3R
スギロック(和術慧舟會A-3)
森岡恵(和術慧舟會岩手支部)
[2R 2分20秒 TKO]
※バックマウントパンチ連打

この試合ではスギロック森岡恵も、ほぼ同じコスチュームで入場。ふ〜む、見分けがつかなくなるなぁ。パンフレットにて、岩手出身の森岡は「田舎者が一生懸命闘うところを観て下さい!」とアピール。可愛いね。対するスギロックは前回の試合で鰻を食べたら勝ったので、また鰻を食べるそうな。そういえば、もうすぐ丑の日だな。神田「きくかわ」の鰻は旨い。




1R、森岡は右ロー主体の攻撃で、スギロックはこれにワンツーを返す。そして森岡はタックルを敢行するも、スギロックはアッサリと切ってしまう。今度がスギロックのワンツー〜右ローを武器に前に出ると、森岡は再び胴タックルを敢行。金網際での主導権争いが続いたが、離れた後はスギロックがキレのある右ロー重ねる。



2R、スギロックが更に右ローを重ねていくと、森岡は前に出られなくなる。それでも片足タックルを敢行したが…。



スギロックはタックルを切り、森岡を亀にするとバックマウントを奪ってパンチを落としていく。盛岡の身体が完全に伸びた状態になってもスギロックはパンチを落とし続け、これを見たレフェリーが試合を止めた。



ふむ、両者の右ローの切れ味の差で決着がついた感じだねぇ。前回は判定決着で勝利しつつも西村広和代表には怒られたというスギロック。今回は文句なしの一本勝ちだから、とりあえずは怒られずに済みそうだ。


第三試合 葛西は前回は格上の藪下めぐみ戦だったけど、今回は実力を発揮できたかな?

女子ライト級 3分3R
○あやめ(和術慧舟會RJW/HTW)
●葛西むつみ(パラエストラ東京)
[判定 3−0]

あやめはPerfumeの「One Room Disco」に合わせてダンスを踊りながら入場。う〜ん、僕はPerfumeのPVはけっこう観る方なんだけど、彼女達のダンスってもはやアスリートの領域だよなぁ。対する葛西の入場曲がメチャクチャカッコ良くて驚いた。何というアーティストの曲なんだろうか?



■ではPerfumeの「One Room Disco」を…誰だお前らっ!?


1R、葛西は前に出てパンチ〜右ローを放てば、受けて立つあやめもパンチを返していく。やがて葛西が胴タックルを敢行するも、あやめはこれをスタンドでガブって顔面にパンチを連打。それでも葛西は強引に金網へと押し込んでいく。展開なくブレイク、再びあやめは前に出ると、葛西に組み付いて腰投げを放ってテイクダウンを奪うと、金網際でサイドを奪って顔面にパンチを入れ、立ち上がった後もパンチを落としていく。1Rはあやめのペースだね。




2R、お互いに距離を置いて相手の出方を警戒する中、葛西が片足タックルを敢行。しかし、あやめは再び腰投げを放ってテイクダウンを奪ってしまう。それでも葛西は組み付いたまま立ち上がり、尚もしつこくあやめを崩しに掛かる。そして、ついにテイクダウンを奪うとインサイドからパンチを落としていく。だが、あやめは直ぐに立ち上がると、再び葛西に投げを放つ。と、ここで葛西は下から腕十字を仕掛ける。極まれば逆転勝利、というところだったが、ここで2Rは終了。葛西が一矢、報いたね。



3R、あやめは序盤に腰投げを放ってテイクダウンに成功すると、亀になって防御する葛西の上になってパンチを入れる。葛西はあやめの腕を巻き込んで防御するも、あやめは横からボディへ膝蹴りを入れる。それでも葛西は捕った腕を下から極めようとすると、あやめが警戒して立ち上がる。葛西はグラウンドから組み付いてあやめを金網際へと押し込み、強引に投げを放つも失敗。労せずグラウンドで上になったあやめは、試合終了まで葛西の頭部に強引にパンチを落とし続けた。



ここで試合は終了。判定の結果、3−0であやめが勝利。



ふ〜む、全体的に金網際での攻防が続き、あやめが腰投げを決めまくって勝った…ってな感じだね。葛西も極める姿勢を見せて見せ場は作ったが、あやめのポジショニングに苦戦したのは痛かった。


なんかこの企画、手作り感があって良かったかな?

今日は全五試合という短い興行ということもあり、今回は休憩前のタイミングでミニトークショーが開催された。登場したのはV一、WINDY智美、そしてプロデューサーでもある茂木康子の三名。まずはVが6月6日のSBで、谷村郁江を相手に判定勝利した事を報告。続いてWINDY姐さんが、イタリアで開催された総合格闘技「XC-1」でマリア・エリザベート・デ・シルバ・タバレス(長い名前だ)を相手に逆転勝利したことを報告。

VはSBでの勝利よりも辻の勝利の影響が大きく、プレゼント攻めのせいで太ってしまったそうな(笑)。WINDY姐さんのイタリアでの試合は1Rは肩固めを極められ、2Rも劣勢という苦しい展開だったが、3Rにハイキックを決めてKO勝ちだったという。おお!素晴らしい!




この後、三人による「リングと金網の違い」についてのトークが行われ(全員「ケージはいい!」という結論)、最後は今後の予定についての告知。VはGirls S-CUP 2010への出場が決まっているが、本人曰く「Girls S-CUPは『ツヨカワ』がテーマだそうなので、私も茶道とか習って女らしくする」と宣言し観客の笑いを取っていた。続いては、打撃系でありながらGirls S-CUP 2010には呼ばれていないWINDY姐さん(苦笑)。次の試合はPANCRASEで決まっているようだが、それ以降は再びVALKYRIEに参戦するとの事。

最後は茂木プロデューサー。今年はちょっと難しそうだが、来年にはVとWINDY姐さんの試合を組みたいとの事。おお、それは楽しみだが…まずはそれまでにWINDY姐さんは寝技対策をバッチリやらないとね(笑)。



第四試合 思った以上に一方的だったかな?

女子ウェルター級 3分3R
中井りん(修斗道場四国)
藪下めぐみ(FIGHT CHIX)
[判定 3−0]

本日のセミファイナルは、女子格闘技ファン注目の一戦。女子格闘技のパイオニアである藪下めぐみに、期待のホープである中井りんが挑む一戦だ。


女子格闘技の門戸を開いた存在とも言える藪下めぐみ。2000年12月に行われたReMix WORLD CUP 2000にて、巨体の強豪グンダレンコ・スベトラーナに勝利した藪下は、その後も所属団体であるJd'、全日本女子プロレスSMACK GIRLG-SHOOTO、K-GRACEと様々なプロレス団体、そして女子格闘技団体で総合の試合をこなしてきた。最近は負ける事も多くなったが、36戦19勝17敗1KO10SKOの戦績は立派なものだろう。今も尚、女子総合格闘技のトップ戦線を走り続ける彼女に、今日は「リアル美獣」が闘いを挑む。

前回のVALKYRIEで、日本人女性離れした筋肉を披露した中井りん。立って良し&寝て良しの闘いぶりに加えて、試合後には側転&バク転を決めるという運動神経&サービスの良さも手伝って、女子格闘技界の台風の目となっている中井。既婚者&四国在住という事もあり、なかなか試合ができないのが難点ではあるものの、これまでの戦績は6戦6勝無敗2KO2SKOという完璧なもの。今日は格上の相手に挑む中井、V一に続く「女子格闘技の世代交代」を実現できるか?




1R、いつも通りに中井は金網の中をサークリング。藪下が様子を見る中、中井の放つパンチが異様な切れ味を見せる。そして強烈なワンツーの連打を見せると、この時点で藪下の表情が強張ってしまった。正直、この時点でこの勝負は「見えてしまった」が、中井は接近戦で藪下に組み付くと、パワーにまかせて強引に押さえ込んで藪下を崩してパンチを連打。その過程で中井が金網を掴んだせいでブレイクとなるが、この後も中井は藪下の一本背負いを潰し、グラウンドでは腕十字を仕掛けるなどで優位を保つ。う〜む、柔道の猛者としても知られる藪下に腕十字を仕掛けるとはなぁ…。



2R、藪下は開始直後に裏拳を放って状況の打開を図るも、中井は再び藪下に組み付いて潰しに掛かる。亀になって防御する藪下の上になった中井は顔面にパンチを入れると、バックマウントを奪って腕十字を狙う。



藪下はこれを外し始めてグラウンドで上になると、金網際のサイドからパンチを入れていく。だが中井は脚を捕ってリバースを決めると、逆にパンチを落としていく。ぬぅ、ここまでは一方的だし、多分3Rも同じような内容になるな…。



3R、中井はスタンドでラッシュを仕掛けると、左ボディを藪下に浴びせていく。さらには首相撲から顔面へ膝蹴りを放ち、上からガブって顔面にパンチを入れていく。藪下は亀になって防御するも、中井はバックからパンチを浴びせる。嫌がる藪下がガードポジションに移行しても、中井は上からパンチを連打。どの体勢になっても殴られてしまう藪下はどうにかグラウンドから脱出するも、中井はスタンドでもバックから組み付いてパンチを浴びせる。苦しくなった藪下は浴びせ蹴りで観客を沸かすも、結局は中井に反撃できないまま試合を終える事となった。



判定の結果、3−0で中井が勝利。中井は退場際に得意の側転&バク転を披露して観客を沸かせた。こんなに筋肉を付けても、まだこういう事を軽々とこなすのね。いやはや、凄い人だ。



う〜ん。藪下はもう少し何かできると思っていたんだけど…スタンドでは中井の打撃にビビっちゃって、グラウンドでは亀になって動けなくなるという。藪下は柔道出身なだけに、この体勢になると動けなくなるんだねぇ。

そして中井も、もっと圧倒的な力の差を見せ付けると思っていたんだがねぇ。肉体改造しただけあって今日はパワーで藪下を圧倒したけど、なんかその分だけ戦略性とか技術的なモノとかが落ちているように感じるね。正直、魅力が半減しちゃったかも。全体を通して見ると、決して期待外れだったワケじゃないけど「…こんなものかねぇ?」という感が否めないなぁ。




ちなみに中井の私服はこんな感じ。個性的だったので思わず撮っちまったい。


第五試合 意外と一方的だったかな?

VALKYRIE女子フライ級 初代王者決定トーナメント決勝 5分3R
○玉田育子(AACC)
●大室奈緒子(和術慧舟會東京本部)
[判定 3−0]

本日のメインイベントは、VALKYRIE女子フライ級 初代王者決定トーナメントの決勝戦。一回戦でハッピー福子を破った玉田育子と、同じく一回戦で高木佑子を破った大室奈緒子による一戦だ。お互いにグラップリングを得意としながらも玉田はレスリングがベース、大室は柔術がベースとバックボーンはまったく違う。またリーチは玉田が圧倒的に優位ながらも、大室も打撃では臆するところがない。世界でも珍しい-45.4kg級の最強を決める一戦は、同時にVALKYRIEの旗揚げ戦では引き分けだった二人の決着戦でもあるのだ。勝つのはどちらか?




1R、玉田はワンツー〜右ローで牽制すると、胴タックルで大室に組み付きテイクダウンを奪う。ハーフマウントの体勢になった玉田は、大室の顔面にパンチを入れる。下から足を挟んで防御する大室に対して、玉田は尚も顔面にパンチを落としつつジックリとパスガードを狙う。やがてパスに成功した玉田は、サイドに回って尚もパンチを続ける。大室は亀になって防御するも、これを崩した玉田はマウントへ移行。嫌がる大室が背を向けると、玉田はスリーパーを狙っていく。ここで1Rは終了、ここまでは完全に玉田のペースだねぇ。



2R、1Rの展開で自信を持った玉田は、再びタックルで大室を金網際へと押し付けて大室の体勢を崩していく。大室を金網に押し付けつつバックマウントをガッチリと奪った玉田、大室は必死に逃れてハーフガードの体勢に戻すも、玉田はこの体勢からパンチを落としつつ尚も逃げようとする大室を逃さない。それでも立ち上がった大室だが、玉田はしつこく崩しに掛かりつつ首相撲からボディへ膝蹴りを入れる。

だが、この間にスタンドで良い体勢になった大室は逆に玉田を崩そうとする。玉田は金網際で粘ったが、大室はついにテイクダウンに成功。大室応援団の歓声の中、大室はインサイドからパンチを落としていく。だが、ここで2Rは終了。ようやく大室が一矢、報いたなぁ。




3R、序盤はスタンドでの打撃戦となったが、これまでの流れでグラウンドに自信を付けている玉田が自らタックルを仕掛けてテイクダウンを奪う。ハーフマウントの体勢になった玉田は、今回は比較的あっさりとパスガードを決めてサイドへ移行するとボディへ膝蹴りを入れ、大室の隙を見て腕十字を仕掛ける。だが大室はこれを逃れると、反対に洗濯挟みで玉田の首を絞めつけた。

思わぬ裏技に観客の一部が驚いたが、玉田はこれを外すと再びサイドを奪って肩固めの体勢へ。そして、これは極まらないと見るや再び膝蹴りをボディへ入れる。大室は再び洗濯挟みを仕掛けたが、これを外した玉田は再び膝を入れつつ腕十字を仕掛ける。大室は必死に逃れるも、玉田はバックマウントを奪った。ピンチの連続となった大室は必死に逃れ、どうにかスタンドに戻ったが、玉田は最後までパンチや蹴りで大室にプレッシャーを掛け続けた。




試合は終了。判定の結果は3−0で玉田の勝利。これにより、玉田はVALKYRIE女子フライ級王者となった。玉田は喜びながらフジメグを始めとしたAACCのチームメイト達と抱き合っていた。うむ、いい風景だ。



それにしても、僕は勝手に「大室が圧倒する」と思っていたんだけど…。結果としては玉田が終始圧倒しちゃったなぁ。まあ、最近の玉田の身体は割とバキバキだし、そういう意味では運動能力の差が出ちゃった感はあるねぇ。正直、今のままでは大室では玉田には勝てないだろうなぁ。個人的に大室はいい選手だと思うので、今回の敗北をバネにまた立ち上がって欲しいなぁ。


雑感

う〜ん…。苦しいなぁ、と。


正直な話をしてしまうと、やっぱり全五試合で、基本は3分3Rっていうのは、やっぱり短いよなぁ。期待していた藪下vs中井、そして大室vs玉田が一方的な試合ながらも判定になった事で、今日の興行の印象はますます薄まってしまった感があるねぇ。引っかかりのない興行だった、というか。


どうもV一vs辻結花を終えてからのVALKYRIEは、興行全体が「燃え尽き症候群」に陥っているように見えてしまうなぁ。選手の陣容が少ないのは重々承知しているつもりだが、やっぱりそれなりの料金を取っているのであれば、試合数はもう少し増やして欲しいなぁ、というのが本音だよなぁ…と、今日の客入りを見ながら考えさせられたのだった。




以上、長文失礼。

6/13 PRO-WRESRING NOAH ディファ有明興行 簡易観戦記 ver1.1

6月13日は三沢光晴の命日です

今日はディファ有明PRO-WRESTLING NOAHを観戦。


6月13日は「プロレス界の盟主」である三沢光晴の一周忌だ。

僕が思い出すのは、彼の死後から一週間後に行われた後楽園ホールでの興行。この日のメインイベントは潮崎豪&KENTAvs佐々木健介中嶋勝彦。「KENTAvs中嶋」「潮崎vs健介」という図式になると思いきや…、KENTAは健介に突っかかり、潮崎と中嶋がライバル心を剥き出しにするという予想外の展開で試合は進む。全員が三沢の死の穴を埋めるべく一切手を抜かずに全力でぶつかり合い、試合時間も30分を超えた。「これぞNOAH!!」といえる大激闘は、潮崎が粘る中嶋に豪腕ラリアット〜ゴーフラッシャーと畳み掛けてのフォール勝ちして終焉。その熱戦は、三沢の死と地上波撤退とのダブルショックに襲われたNOAHファンの不安を一掃、観客は大歓声で激闘を終えた四人を支持したが…。

選手全員がリングを降りた後、会場に流れてきたのは…三沢の入場曲「スパルタンX」。再び現実の時間は動き出した。大歓声はそのまま三沢コールへと代わり、次々に緑と白の紙テープがリングへ投げ入れられる。観客の三沢コールは悲痛なまでに大きくなっていったが、どんなコールが大きくなっても、リングの上には三沢の姿はない。僕は死後一週間が経過しても、そしてこの興行を観戦しても三沢の死がピンと来ていなかったのだが、さすがにこの光景を見た時は、痛いほどにその死を実感した。エメラルドの巨星は堕ちたのだ。



2009年6月22日、PRO-WRESTLING NOAH後楽園ホール興行の試合後の様子。緑と白の紙テープで、リングは三沢の墓標となった。

だから僕は今日、ディファ有明に来た。周りのプロレスファンは後楽園ホールに行く人も多かったが、僕は迷うことなくディファに来た。

正直、僕だって新日本プロレスのBEST OF THE SUPER Jr.の決勝は観たい、かなり観たい、本当に観たい。それにNOAHは、今月末(6/26)にもラッシャー木村の追悼興行をディファ有明でやるし、来月には有明コロシアムで大きな興行を行なうので、ファンの中には「今日でなくとも良い」という心理が働い人も多いのだろう。

でも今日の僕はNOAHに来た。それが夢を与えてくれた人への「恩返し」だと思うのだ。


…と、エラそうには書いたものの。


実は今日、僕は会場では観戦することができなかった。というのも、会場に特別に立見席を準備したにも関わらず、それでも観客が超満員になってしまったのだ。う〜ん、我ながらマヌケだ。こうなる事は充分に予想できたのになぁ。やっぱり、あと一時間早く家から出るべきだった…。

ってなわけで今日は、かつてレストランMAHORAだった場所(現在は選手の控え室とかで使われている)にパブリックビューイング席が作られたので、今日はそこからモニターで観戦したのだった。う〜ん、生で観戦したかったなぁ。



左は今日の対戦カード、右は三沢光晴著の「ドンマイ!ドンマイ!」の宣伝。どちらもパブリックビューイングの観客に無料で配られたもの。

第一試合 そりゃこうなるよね

シングルマッチ 15分一本勝負
石森太二(165cm/77.0kg/GHC Jr.ヘビー級タッグ 王者)
△リッキー・マルビン(169cm/79.0kg/GHC Jr.ヘビー級タッグ 王者)
[時間切れ]

第一試合は、GHC Jr.ヘビー級タッグ王者同士の対戦。石森はこの試合の後、BEST OF THE SUPER Jr.の準決勝を闘わなくてはならないので、それを配慮しての試合順という事なのだろう。んで、いざ試合が始まれば、さすがに両者ともルチャ経験者だけあって手の合う攻防が続いた。そういえば三沢ルチャ・リブレの経験者だったねぇ。


いきなりマルビンが美しいトペを披露して観客を魅了した後、序盤は両者のジャベによる攻防、中盤は石森の左肘攻めvsマルビンの左足攻めという図式で試合は続く。そして終盤は石森が得意のヘッドシザース系の空中殺法と大技を連発、次々に炸裂したが…。15分はあっという間に過ぎ去って試合はドローに。試合後、マルビンはBEST OF THE SUPER Jr.の準決勝に向かう石森にエールを贈っていた。


う〜ん、正直カード編成の時点で結果が見えちゃっていたので、あんまり気合を入れて観戦できなかったなぁ。まぁ第一試合だし、あんまり文句言っちゃダメだな。

第二試合 ファミリー軍団vs悪役商会の萌芽が…

タッグマッチ 30分一本勝負
田上明(192cm/120.0kg)
 志賀賢太郎(187cm/102.0kg/フリー)
vs
 川畑輝鎮(180cm/110.0kg)
●起田高志(178cm/113.0kg/健介オフィス)
[12分1秒 スモールパッケージホールド]

う〜む、田上は社長業が忙しいのか、身体全体が本格的にプヨプヨしているね。やたらとデカい赤パンツと相まって、本格的に晩年の馬場さんに似てきたなぁ。三沢と田上は全日本プロレスでの決起軍の頃からの仲か。当時からどこか一歩引いた場所で活躍していた田上も、まさか自分が三沢の死を受けて社長になるとは露にも考えていなかっただろうなぁ…。


ってなワケで、第二試合はNOAHでは『息抜き枠』なのでサラッとね。先発は志賀と川畑による元パンパーズ対決となるも、大きな見せ場もないまま川畑が起田にタッチ。起田は志賀のヘッドシザースを首の力による強引な逆立ちで抜けて観客を沸かせるも、志賀からタッチを受けた田上社長のセクハラによる猛攻(乳首や股間にタッチ)を前に大苦戦。

そんなこんなで捕まった起田は田上社長のフロントキック、乳首摘み式コブラツイストなど喰らって悶絶。それでも何とかピンチを免れると、二度目の元パンパーズ対決(割愛)を挟み、タッチを受けた起田が志賀と田上に連続タックルをかまして猛反撃(起田はアメフト出身)。だが田上のまさかのスモールパッケージホールドを敢行、不意を突かれた起田はあっさりとフォール負けを喫した。


まあまあ、この枠はこんなモンでしょう。今日は三沢の一周忌だから「田上火山が噴火するかなぁ?」とも思ったけれど…。これはこれでいいんじゃないなぁ。

第三試合 若い力が育っています

タッグマッチ 30分一本勝負
谷口周平(183cm/105.0kg)
 青木篤志(170cm/82.0kg)
vs
 金丸義信(173cm/85.0kg/DIS OBEY/GHC Jr.ヘビー級 王者)
平柳玄藩(170cm/85.0kg/DIS OBEY)
[14分17秒 変形ジャーマンスープレックスホールド]

第三試合は、金丸以外は2005年にデビューした選手同士による対決となった。2005年のNOAHといえば、佐々木健介小橋建太が伝説の試合をやった東京ドーム興行を思い出すなぁ。あの興行のメインは三沢光晴川田利明の一戦だったんだけど、三沢のコンディションの悪さばかりが如実に現れてガッカリしたのを覚えているなぁ。特に三沢がタイガースープレックをやろうとして、ブリッジが作れずにオースイスープレックになってしまったシーンは、露骨に三沢の衰えを痛感したモンだった…。


先発は金丸と青木で、谷口と平柳と続き、やがて平柳が捕まる、という展開。青木が平柳に決めたドロップキックの打点が「高くて美しいなぁ」なんて思っていたら、今度は青木がDIS OBEYの二人に捕まった。金丸はいきなりのディープインパクト(トップロープからの飛び付き式DDT)で一気に勝負に出たが、これは青木がしのぐ。他にも要所で平柳のツバ攻撃(目潰し用)に悩まされた青木だが、スクールボーイとニールキックでピンチを脱出。

タッチを受けた谷口は、この面子の中ではダントツに大きい身体を利用したパワースラム四連発で会場を沸かせる。この流れを受けた青木もノーザンライトスープレックス、フロッグスプラッシュで追撃。金丸は必殺タッチアウト(捻りを加えた垂直落下式ブレンバスター)で反撃したが、谷口&青木の勢いは止まらない。最後は谷口が平柳に強烈な俵投げを連発、相手をファイヤーマンズキャリーで担ぎ上げてからの変形ジャーマンスープレックスでフォール勝ちを収めた。


う〜む、金丸は若手でもないのに、以前よりも身体つきが良くなっていたなぁ。青木は金髪を止めて茶髪にしていたけど、随分とベビーフェイスっぽくなっていたなぁ。髪の色だけで印象ってあんなに変わるモンかねぇ。そして谷口の身体は随分と大きくなったね。潮崎のライバルとして名乗りを挙げる日も近いのかな?

第四試合 NOAHのファンは温かい

タッグマッチ 30分一本勝負
齋藤彰俊(178cm/120.0kg)
 井上雅央(180cm/106.0kg)
vs
 佐野巧真(180cm/108.0kg)
相島勇人(178cm/105.0kg/フリー)
[17分34秒 片エビ固め]
※スイクルデス

2009年の今日、広島グリーンアリーナ三沢と最後に対戦したのが齋藤彰俊だ。その齋藤がコールを受けると、リング上には大量の紫の紙テープが投げられた。複雑な気持ちで今日の日を迎える齋藤の心理を察しての、NOAHファンの計らいと言えよう。優しいなぁ、いい光景だなぁ。そしてフリーの立場ながらもこの興行に参戦した相島勇人は、キングスロードへの参戦時に三沢に声を掛けられ、それ以来NOAHのリングに上がるようになった経緯があるそうだ。ふ〜む、あのキングスロードにもいい話があったとはねぇ…って、これはあくまで「三沢が良い人」だという話なダケか。


先発は井上と相島、レスリングを中心とした意外と長めの攻防。続いて齋藤と佐野、こちらはキック主体の攻防だったが、齋藤は腹の肉が付き過ぎていて、蹴りを出すのが辛そうだ。やがて試合は井上の独壇場に。股を裂かれるなどのコミカルな動きを連発して笑いをとる。そういえば三沢に「天狗のお面」を被らせたのは井上だったなぁ。そんな中、齋藤は相島に花道を使ってのDDTを敢行して主導権を握ると、超長滞空ブレンバスターで観客を沸かせる。

相島からタッチを受けた佐野が反撃、ソバットとフットスタンプで井上の腹を攻めていくも、やがて両軍は分断。リングには相島と齋藤が残り、まずは相島はスピアーで攻め込んだが…齋藤は裏落とし二連発、投げっぱなしのジャーマンスープレック二連発、ラリアット、デスパニッシュ(相手をリバースDDTの体勢に捕らえて胸元へラリアット)、そしてスイクルデス(延髄斬り)と畳み掛けて相島をフォール。


齋藤が勝った瞬間、会場だけではなくパブリックビューイングの観客からも自然と拍手が発生。齋藤はお客さんに礼をして会場を後にした。う〜ん、いい光景だ、しみじみといい光景だなぁ。

第五試合 なんか印象に残らんなぁ

タッグマッチ 30分一本勝負
佐々木健介(180cm/115.0kg/健介オフィス)
 森嶋猛(190cm/160.0kg)
vs
 杉浦貴(178cm/102.0kg/GHCヘビー級 王者)
本田多聞(188cm/127.0kg)
[17分24秒 体固め]
ノーザンライトボム

第五試合は、杉浦&本田の「元自衛隊アマレスタッグ」が、元GHCタッグ王者の健介&森嶋組に挑む一戦となった。ふむ、これは真っ向からのパワーのぶつかり合いを望めそうだな。それにしても、三沢の一周忌という興行で、現役のGHCヘビー級王者である杉浦がセミ前に出場したのか。いいのかねぇ、こんなカード編成で。ああ、そういえば健介と三沢って一回も一騎打ちはやってなかったよなぁ。今思えば、ちょっと見たかったかも。


先発は杉浦と森嶋。杉浦の巻き投げを連発、巨体の森嶋が何度も宙を舞う様子は中々に派手で壮観だ。続いて健介と杉浦。健介の逆水平チョップがかなり厳しく、早くも杉浦の胸は真っ赤に腫れ上がる。杉浦もエルボーで反撃しつつ本田にタッチしたが、ここで本田が健介の逆水平チョップの前にアッサリと捕まってしまう。

串刺しラリアットや監獄固めで攻め込まれる本田、更には嶋の圧殺殺法にも苦しめられた。特に全体重を掛けたボディプレスは強烈そのもの。ピンチに見舞われた本田だが巨体の森嶋をバックドロップで投げ捨てて反撃。タッチを受けた杉浦も森嶋を雪崩式ブレンバスターとジャーマンスープレックスで投げ捨てた。観客の歓声の中で、杉浦の二度目のジャーマンスープレックスを狙うも、これは森嶋のヒッププレスに潰された。

タッチを受けた健介は杉浦と真っ向勝負、スピードもパワーも互角。すると、杉浦に触発された本田は回転地獄五輪で健介を絞め、必殺技であるデッドエンド(ベリートゥバック)を敢行。健介のピンチに森嶋が乱入するも、杉浦はヒップアタックを空中でキャッチするとジャーマンスープレックスで投げ捨てる。チャンスを得た杉浦組だったが両軍は分断、リングに残ったのは本田と健介。本田は本日二度目となる回転地獄五輪とデッドエンドを狙うも、どちらも未然に防いだ健介は、森嶋のヒップアタックのアシストを得てノーザンライトボムを敢行、粘る本田を葬った。


ぬぬぅ、しばらく森嶋を生で観る機会がなかったんだけど、お腹周りがどんどん凄い事になっていくなぁ。若いうちはいいけど、こりゃあ晩年は苦労するぞ…。それにしても、試合自体はソツがなさ過ぎて感想が書きにくいなぁ。つまんないワケではないけど、面白いワケでもない、というかねぇ…。

第六試合 なんか全日本っぽい試合だなぁ

六人タッグマッチ 45分一本勝負
 高山善廣(196cm/125.0kg/高山堂)
 鈴木みのる(178cm/102.0kg/PANCRASE MISSION)
○KENTA(173cm/80.0kg)
vs
 モハメドヨネ(185cm/110.0kg/DIS OBEY)
 池田大輔(180cm/100.0kg/風天プロ)
●橋誠(180cm/96.0kg/フリー)
[16分53秒 片エビ固め]
※go 2 sleep

本日のセミファイナルは、なんとなく不思議な六人タッグ戦。NOAHの生え抜きはKENTAくらいで、高山、池田、橋という「NOAHの旗揚げに参加しながらも、途中で離脱した面々」が大量参戦!という、同窓会的な色合いの強いカードとなった。う〜む、一応「三沢一周忌ならではのカードが実現!」という言い方はできるのかな?ちなみに、この試合を裁くレフェリーは全日本プロレスでお馴染み和田京平NOAH的には違うけど、三沢という意味ではこの人も同窓会メンバーと言えるだろう。ま、みのる&和田レフェリーなら、試合内容は保障されたようなモノだね。っていうか、ぶっちゃけのカード、全日本プロレスでやった方が盛り上がりそう(笑)。


ヨネ組の入場の後、高山組は選手が別々に入場、KENTA、みのると続き、高山の入場時にヨネ組が奇襲を掛けた。だが実力差は大きく、直ぐに高山組のペースとなるも、何やら様子がおかしい。タッグを組んでいるハズのみのるとKENTAが対立したのだ。橋に攻撃する順番を巡って言い争う両者、続けて放ったKENTAのフロントキックはみのるに誤爆。う〜ん、みのるはこのテの小ネタが好きだねぇ。

やがて身体の小さいKENTAがヨネ組に捕まるも、パートナーであるハズのみのるは逆さ吊りにされたKENTAを挑発。机を持ち出して攻撃しようとする池田を和田レフェリーが身体を張って制したりする中で(当然、観客は「京平コール」一色)、KENTAはどうにかピンチを脱出してタッチ。もちろん、タッチの相手はみのるではなく高山だ。

ここで池田はペットボトルの水を持ち出し、高山と和田レフェリーの禿げた頭にぶちまける(「京平カッパ」に因んだ攻撃)も、試合の趨勢は変わらず。みのるは橋をしこたま攻撃した後で、嫌々ながらもついにKENTAにタッチ。これには観客が大いに沸いた。

そして始まるKENTAの猛反撃。橋にブサイクへの膝蹴りを浴びせると、続いてはノーガードの張り手合戦。観客の大歓声の中、これを制したKENTAはバズソーキックを顔面に叩き込むと、最後は必殺go 2 sleepで粘る橋を退けた。見事に勝利を収めた高山組だったが、結局KENTAとみのるの不仲は続き、勝利アピールの時もいがみ合いを展開していた。みのるは最後の最後まで徹底しているなぁ。


う〜む、最後の張り手合戦では長期欠場から復帰したKENTAではなく、NOAHを解雇された橋の方に声援が集まったのが印象的だなぁ。そしてこの試合でまったく存在感を発揮できなかったヨネ。正直、GBHは好きじゃない僕でも、DISOBEYとGBHを並べて語るのはおこがましく感じた。 やっぱりヨネにヒールは向いてないんじゃないの?

第七試合 メインも比較的あっさり目

三沢光晴メモリアルマッチ 60分一本勝負
潮崎豪(183cm/110.0kg)
 丸藤正道(176cm/90.0kg/IWGP Jr.ヘビー級 王者)
vs
 秋山準(188cm/110.0kg)
小川良成(180cm/90.0kg)
[21分34秒 片エビ固め]
※豪腕ラリアット

本日のメインイベントは「三沢光晴メモリアルマッチ」と題して行われる。出場するメンバーの中では丸藤以外は三沢のタッグパートナーの経験者であり(秋山とは超世代軍として世界タッグ王座を獲得。小川とは「アンタッチャブル」として活動し、アジアタッグ王座と世界タッグ王座を奪取。潮崎とは第二回グローバル・タッグ・リーグでタッグを結成して優勝)、丸藤は三沢の付き人の経験がある(アンタッチャブルに所属していた頃)という、三沢とは縁の深い面子同士による一戦となった。成程、これはメインイベントに相応しいメンバーだね。


先発は小川vs潮崎。顔見せ程度の攻防が続いた後で両者はタッチ、秋山vs丸藤となったが…両者は早くも激しい技の読み合いを披露して観客を沸かせると、丸藤に代わって登場した潮崎の得意技である逆水平チョップを、秋山はすべてブロックしつつエルボーを叩き込む。やがて秋山組は潮崎の右腕を集中的に攻撃するも、これを何とか振り切った潮崎は、ここぞとばかりに逆水平チョップを敢行。バッシーン!という轟音が会場に響き、観客は大いに沸いた。

「ふ〜み、試合は始まったばかりだというのに、ここまで随分と『見せ場』が多かったなぁ。試合のテンションの維持とか、大丈夫なのかなぁ?」なんて思っていたら、今度は潮崎からタッチを受けた丸藤が秋山組に捕まった。普段は「華のある巧さ」で観客を魅了する丸藤が、小川の「渋味のある巧さ」の前に翻弄される。小川が両腕をクロスしてのサーフボードストレッチ、そして拷問式のカベルナリアで絞め上げれば、秋山はショルダースルーで丸藤を高々と投げ捨てる。そんなこんなで、かなり長時間に渡って秋山組に捕まっていた丸藤だったが、試合時間が15分を過ぎたあたりでようやく脱出して潮崎にタッチ。う〜ん、今日の丸藤は諸先輩方を前に大人しくしているように見えるね(笑)。

潮崎は得意のトラースキックと逆水平チョップ、そしてジャーマンスープレックで秋山&小川を一気に攻め込む。秋山のエクスプロイダーを喰らう場面もあったが、すかさず剛腕ラリアットを叩き込んで倍返しだ。倒れこんだ後で両者は共にタッチ、小川のサミングをすかした丸藤はトラースキックを入れるも、小川は得意のバックドロップで勝負に出る。これは丸藤がクリアしたが、危ない場面だったな。

丸藤はお返しの打撃のラッシュを浴びせようとするも、小川はすべてかわしてチンクラッシャー。それでも丸藤はキッチリと不知火を決めると、潮崎がムーンサルトプレスで追撃。だが、小川はローリングで逃れると、潮崎に必殺バックドロップホールドを決めた。これ以上ないタイミングで必殺技を出した小川だが、3カウントは奪えず。やや意気消沈する小川に対して、逆にこれで勝機を得た潮崎がローリングの袈裟斬りチョップを連発して一気に攻め込み、最後は剛腕ラリアットの一閃で先輩小川をマットへと沈めた。

闘いが終わればノーサイド。四人は全員で腕を上げて観客の声援に応えていた。


ふ〜む、なかなかの熱戦ではあったけど、これが「三沢の一周忌」だという事を考えると、随分とアッサリと試合が終わった印象があるなぁ。僕はてっきり、試合後に「スパルタンX」が掛かるモンだと思っていたんだが…。まあ、いつまでも「三沢におんぶにだっこ!」というワケにはいかないか。

雑感

会場前には献花台が置かれ、興行の開始前に一分間の黙祷が行われた三沢光晴の一周忌興行。



会場前に置かれた三沢の献花台。その花の量はハンパなものじゃなかった。

だが蓋を開ければ、興行の中では三沢の死には一切触れず、あくまで試合で観客を満足させるという、飾る事を嫌うNOAHらしい興行となったように思う。僕としては「三沢の死を感じさせない興行」にならなかったのはちょっとだけ残念なんだけど、序文にも書いたようにNOAHはこの後で「ラッシャー木村 追悼興行」や有明コロシアムでの大一番が控えているから、底力を発揮するのは抑えたのだろう。


う〜む、やはり今日の興行で現在のNOAHについて「あーだ!こーだ!」を判断するのは野暮だな。まあ逆に言えば「ラッシャー木村 追悼興行」とか有明コロシアムでの興行も観戦すれば、今のNOAHについて何かしらの判断ができるのだろうし。今はただ、偉大なるレスラーを偲んで黙祷を捧げることにしよう。


以上、長文失礼。

6/6 SB 後楽園ホール興行 観戦記 ver1.0

今、格闘技界でもっともコストパフォーマンスがいいのは、間違いなくSBだと思う

本日は後楽園ホールSBを観戦。


前回4/11の興行で、ボーウィー・ソーウドムソン vs 梅野孝明という年間ベストバウト候補を生み出したSBではあるが…。さすがに激戦のダメージは大きく、梅野は今回の興行を欠場。うん、その方が良い。しっかり休んで、また凄い試合を見せてくれ。


で、その梅野の穴を埋めるべく宍戸大樹が立ち上がった。このところは梅野にメインイベントの座を譲っていた宍戸が久々にメインに登場し、K-1 MAXで活躍していたヴァージル・カラコダを迎え撃つ。おお、これは中々良いカードじゃないの。またセミファイナルでは、前回の興行で宍戸を相手に苦い思いをした、元プロボクシング日本ミドル級王者の鈴木悟が再び来襲し、前SB日本スーパーウェルター級王者の金井健治と激突する。おっと、これも何気に良いカードだなぁ。

今日はその他にも、SBの女子TOP3(渡辺久江、V一、RENA)が揃い踏みを果たしたり、YOUNG CAESARS TOURMENT55の準決勝〜決勝が行われるなど、なかなか内容は盛り沢山。来るべきGirls S-CUP 2010に向けて、女子TOP3は良い勝ち方が出来るだろうか?トーナメントについては、優勝候補は「K-1甲子園からの刺客」日下部竜也だと思うが、外様の優勝を彼を止める選手がSBから出てくるのか?こちらも楽しみだな。

う〜ん、今日のSBはバラエティに富んでいるね。去年は何かと地味な興行が続いた印象のあるSBだけど、今年はローカル局での放送を開始したせいか、興行に力が入っている印象があるなぁ。


そんなこんなでチケットを購入したのだが、B席3000円が売り切れていたのでA席5000円を購入。あら、売れ行きが好調じゃないですか。まぁ、5000円くらいなら普通に払えるしね。観客の入りは満員。まぁ、満員じゃなきゃ「何で、3000円の席を売ってないのっ!?」って事になるしねぇ。

第一試合 アッサリと決着がついちゃった

スーパーフェザー級 3分3R + 無制限延長R
○菅原悠次(172cm/59.9kg/シーザー力道場)
●ベン・ヘンリー(173cm/59.7kg/英国/AACC)
[1R 1分52秒 TKO]
※3ダウン

本日の第一試合、菅原悠次もベン・ヘンリーも観た目にはヒョロヒョロの身体で「まともな試合になるのかなぁ?」なんて思っていたのだが…。ちなみに菅原の戦績は5戦4勝1敗1KO、ヘンリーの戦績は6戦1勝2敗3分。ふむ、体格は似ていても戦績には差があるね。




試合開始、まずは様子を見る両者。菅原はワンツー〜右ローで攻め、ヘンリーもローを返したが…。菅原が圧力を掛けて前にでると、右のパンチがヒット。大きく怯むヘンリーに菅原はラッシュを掛けて、パンチの連打であっという間に3ダウンを奪ってしまった。




ふ〜む。ヘンリーは打撃ルールというよりは、プロの場そのものに慣れてない感じだったなぁ。


第二試合 シーザー力道場の新星が決勝戦へと進出

YOUNG CAESARS TOURMENT55 準決勝戦 3分3R + 無制限延長R
○伏見和之(162cm/55.0kg/シーザー力道場/SB日本スーパーバンタム級 三位)
●元貴(170cm/55.0kg/立志会館/SB日本フェザー級 四位)
[判定 3−0]

ここからは、YOUNG CAESARS TOURMENT55の準決勝戦が二試合。一回戦では蹴りで勝利を飾った伏見和之だが、元々はプロボクシングのA級ライセンスを持つ選手。元貴は打撃のバランスが良い選手という印象があるが、二人が闘えば伏見が勝つのではないかと予想。




1R、伏見が攻める。ワンツー〜左ボディのコンビネーションで元貴に入れると、ワンツー〜左フックがヒット。元気もパンチを返すが、プロボクシングのライセンスを持つ伏見はかわしてフック、左ボディ、フックと返していく。パンチの冴える伏見に対して、攻めが後手に回る元貴は右ローを放ち、ワンツーと続けるも伏見はしっかりガード。元気の左ボディに対して、伏見も左ボディを返す。ここまでは伏見がリード。



2R、伏見の攻撃を前に下がりがちな元貴に対して、伏見は前に出て右ロー、左ボディ、左右のミドル、テンカオと様々な打撃で圧倒。元貴も右ローを返したが、これはローブローに。「あぅ!」という声と共に伏見は悶絶して試合は中断。

再開後、元貴はパンチの連打で一気に攻め込むも、伏見はワンツー〜ハイで応戦。お互いに積極的にパンチを交換する展開の中、伏見のボディへの膝蹴りが効いてきたのか、元貴の動きが鈍っていく。




3R、両者のパンチが交差する中、伏見が裏拳を放てば、二発目がクリーンヒット。怯む元貴に、伏見は一気にラッシュを仕掛ける。ワンツーの連打、そして膝蹴りを武器にガンガン前へ出る伏見。右アッパーと左ボディも駆使して攻め込む伏見を前に、元貴は下がり続ける一方だったが、残り30秒の時点でようやくパンチを返し始める。だが、一度火のついた伏見の勢いは最後まで止まらなかった。



ここで試合は終了。判定の結果、3−0で伏見が勝利。


うむ、伏見は前回の試合とは一転、今回は得意のパンチで勝利を飾ったね。決勝戦での闘いぶりにも注目しよう。



第三試合 優勝候補が圧倒的な力で決勝戦へ進出

YOUNG CAESARS TOURMENT55 準決勝戦 3分3R + 無制限延長R
日下部竜也(163cm/54.85kg/大石道場/K-1甲子園2008 第三位)
●尹戸雅教(163cm/54.85kg/立志會館/SB日本スーパーバンタム級 四位)
[3R 2分41秒 TKO]
※尹戸は3Rにダウン2、二度目のダウンでTKO

YOUNG CAESARS TOURMENT55の準決勝戦、第二試合には優勝候補の日下部竜也が登場。トーナメントの一回戦で強烈な左ボディと、突き刺すようなソバットでリングの中を大暴れした日下部、その闘いぶりは多くのファンの脳裏に焼きついた事だろう。対する尹戸雅教の一回戦は、終始クリンチからの膝蹴りが繰り返されるという不本意な内容に。対戦相手の減量失敗による減点で準決勝に進出したが、ここは一回戦の分を取り戻すような活躍を期待したいところだ。




1R、日下部がサークリングで尹戸の出方を見る。時折、お互いのローが交差するも、静かな展開が続く。先に動いたのは日下部、ワンツーを二連発してから右ローを放つ。対する尹戸は左ストレートと左ボディを返すと、日下部の蹴り足を掴んで動きを封じる。お互いに攻撃を繰り出して行く中、日下部は要所で左テンカオを尹戸の腹に入れて体力を削って行く。



2R、尹戸がワンツーを放ち、日下部は強烈な左ボディを返す。日下部の蹴り足を掴んでドラゴンスクリューを狙う尹戸、日下部は右アッパーとダッシュ右ストレートで応戦し、左前蹴りで突き放して左ミドルを放ち、左ロー、右ストレート、右ミドルと次々に打撃を繰り出して攻め込む。劣勢の尹戸は投げによる逆転を狙うも不発。段々と一方的になってきたなぁ。



3R、日下部は左ハイ、左前蹴り、左ミドル、右ローと蹴り技を駆使して前へ出る。自分の間合いで闘えない尹戸は前蹴りで日下部を突き放し、近距離戦はクリンチで逃れる。だが日下部の勢いは止まらない。強烈な左ボディを叩き込めば、喰らった尹戸がダウンを喫した。う〜ん、恐るべき高校生だ。

勝機を得た日下部がラッシュを仕掛ける。ワンツーに加えて廻し蹴りや飛び膝蹴りといった派手な技で一方的に攻める日下部は、再び左ボディを効かせてラッシュを継続。防戦一方でロクな反撃ができない尹戸の様子を見たレフリーが試合を止めた。




う〜ん、やっぱり日下部は強いなぁ。特に左ボディはとても高校生が放つ一撃には見えない、というかねぇ。そして決勝戦の相手はプロボクシングのA級ライセンスの持ち主か。うん、これはいい打ち合いを期待できそうだなぁ。


第四試合 SBの軽量級戦線の明日を占う一戦は大激闘に

59kg契約 3分3R + 無制限延長R
○島田洸也(172cm/58.9kg/シーザー力道場/SB日本スーパーフェザー級 四位)
●崎村暁東(164cm/58.85kg/グラップリングシュートボクサーズ(GSB)/SB日本フェザー級 二位)
[延長判定 3−0]
※本戦判定 1−0

名古屋のジムであるGSB所属の崎村暁東は過去二回、スーパーバンタム級の王座に挑戦しているが、未だに王座は戴冠していない。だが、過去には修斗からの刺客である井口摂やマモルを撃破している実力者である。対する島田洸也はここ最近、鈴木博昭や石川剛司、歌川暁文といったSBフェザー級のトップどころに敗北してスランプに陥っている印象。そんな両者の対戦は、SBの軽量級戦線の明日を占う一戦と言えるだろう。




1R、序盤から積極的に打撃を交換する両者、崎村はワンツー〜左ロー〜膝蹴り、島田はワンツー〜右ロー。お互いに休むことなく打撃を交換、島田は右ロー、膝蹴り、ワンツーといった打撃を駆使し、崎村はパンチや左ローを返す。そして接近すれば投げ狙う両者。1R終了、手数の多い島田が右ローで僅かにリードか。



2R、島田は変わらずワンツー〜右ローで攻め込み、崎村も変わらずパンチと左ローを返す。中盤に差し掛かると、両者は近距離で殴り合うように。お互いにロクにガードも固めずに打撃を交換すれば、派手な展開に観客からは歓声が沸く。

この打ち合いでも若干優勢だったのは島田、崎村のパンチをかわして左ボディを叩き込む。対する崎村は島田を持ち上げてからの叩き付け技で応戦、尚も打ち合う両者に観客からの歓声が止まらない。




3R、尚も続く二人の打ち合いだったが、優位に立ったのは崎村の方。島田の左ボディに対して、崎村はワンツーの連打からの左ミドルの猛攻。島田がワンツー〜膝蹴りを繰り出せば、崎村は足を止めてワンツー〜左ローを返していく。共に一歩も譲らない両者の殴り合いが展開されたが、序盤の攻め疲れも手伝って島田には疲労の色が見える。

これを見た崎村はソバットで追い討ちを掛けるも、島田は終盤にカウンターの右ストレートを叩き込んで挽回。最後はやっぱりボッコボコの殴り合い、試合終了時には両者に大きな拍手が起きた。




判定の結果は、島田がジャッジ一人の支持を受けるも、残り二人は差をつけずにドローで延長戦へと突入。観客は好勝負のボーナストラックに歓声を上げる。



んで、延長Rになっても、やっぱり続く殴り合い。両者のパンチが交差する中でも島田は右ロー、崎村は左ローを放っていく。崎村は投げで島田を崩すも、中盤に島田の右の拳がヒット。崎村はソバットで応戦したが、島田は崎村をコーナーへと追い詰めてパンチを連打する。

観客の歓声の中、劣勢となった崎村もパンチを返し、ワンツー〜左ミドルで押し返すと、終盤にはワンツーをヒットさせて挽回。だが島田もワンツーを返し、最後はやっぱり至近距離でのボッコボコの殴り合い。試合が終われば、観客は拍手と歓声で両者の健闘を讃えた。




延長判定の結果、中盤のラッシュが功を奏して島田が3−0で勝利した。



う〜む、なかなかの大激闘だったけど、最後は島田が若さで押し切った感じになったなぁ。島田はこれを契機に再浮上できるといいね。ただ、崎村は本来はスーパーバンタム級の選手だから、本来はもう少しキッチリと勝たないとダメな気もするけどねぇ。


第五試合 蘇ったDEEP女子部のエースだが、Girls S-CUP 2010に向けては課題が残った

女子48kg契約 2分3R + 延長2分2R
渡辺久江(160cm/47.9kg/池袋BLUE DOG GYM/元DEEP女子ライト級 王者)
●山田純琴(155cm/47.8kg/y-park/NJKF BONITA BOXEOアトム級 一位 & J-GIRLSアトム級 一位)
[判定 3−0]

ここからはSBの女子TOP3が揃い踏みし、Girls S-CUP 2010に向けた闘いに挑む。


そのトップバッターとして、前回の4月の興行で格闘技界への復帰を果たした渡辺久江が登場。「復帰後は全部KO!」だと豪語する渡辺は、その公約通り復帰第一戦をKOで勝利。そんな渡辺の今日の対戦相手は、2002年11月にSMACK GIRLの舞台で対戦した山田純琴。この時は渡辺がKO勝利を飾っているが、今回は山田の本業である立ち技の舞台。山田としては、リベンジを果たしたいところだ。




1R、山田はサークリングをしながらヒット&アウェイで渡辺を攻め込む。出入りを繰り返しながら右ローや右ボディを放つ山田に対して、渡辺はじっくりと様子見。時折、渡辺は左ミドルを放つも、山田は渡辺の蹴りにパンチ合わせていく。このラウンドは互角。



2R、1Rに様子を見た渡辺が前に出るようになる。山田もまたフットワークを駆使しながらワンツーを連打。散発的に打ち合いは発生していたが、渡辺は中盤に首投げを決めてシュートポイントを1p獲得。だが山田はこれにめげずワンツーを連打。右のパンチが次々にヒットしたが、渡辺もカウンターのパンチで反撃。



3R、渡辺は左ミドルと左ローで牽制するも、勝利へ執念を燃やす山田はワンツーを繰り出しつつ前に出る。中盤、山田のワンツーがヒットすると、慌てた渡辺が打ち合いに挑む。だが、これ以降も山田の右フックが何回かヒットしたが、渡辺はカウンターのパンチで反撃。う〜ん、渡辺の攻撃が後手に回っているのが気になる…。



ここで試合は終了。判定の結果、2Rにシュートポイントを奪っていたのが功を奏して渡辺が勝利するも、渡辺は「連続KOとか、調子いいこと言ってすみませんでした…。また1から、連続KO目指して頑張ります…」と自信なさげに挨拶して、そそくさと退場していった。



う〜ん、渡辺にとっては課題の多い一戦だったなぁ。山田の体格を観るに付け、本来は45kg〜46kgが適正体重の選手だと思うのだが、今回はリーチの差を活かすことができなかった印象。正直、2Rのシュートポイントを考慮しても、本来ならドローくらいの内容だと思う。つまり、打撃だけなら渡辺は負けていたと思うんだよね。本来は階級が下の選手にこの内容というのは、やっぱりヤバい印象が強くなっちゃうよなぁ。

まぁ、華のある選手だとは思うからGirls S-CUP 2010では頑張って欲しいのだが…正直、今のままでだと、自身の優勝には赤信号が灯ったように感じたなぁ。



第六試合 VALKYRIEのエースだが、Girls S-CUP 2010に向けては課題が残った

女子52kg契約 2分3R + 延長2分2R
○V一(153cm/51.6kg/Max柔術アカデミー & Yogaスタジオ/VALKYRIEフェザー級 王者)
●谷村郁江(161cm/51.7kg/リアルディール/J-GIRLSバンタム級 八位)
[判定 3−0]

SB女子TOP3揃い踏みの二番手として出場するのはV一、VALKIRIEの舞台で辻結花に勝利した事で注目を浴びている選手である。打撃技をシーザージムで練習しているVであるが、真に恐ろしいのはGirls S-CUP 2009で自身を準優勝へと導いた投げ技だ。今年は本気で優勝を狙っているというV、VALKYRIE王座との二冠王達成の為にも、今日の試合は負けられない。対戦相手はK-1 MAX -63kg級にも出場した裕樹を排出した博多発の格闘技リアルディールからの刺客、谷村郁江。東京へは初進出だという。




1R、お互いに積極的に打撃を交換する中、Vは早速の腰投げでシュートポイントを1p獲得すると、尚も組み付いての投げを狙う。終盤、Vは右ストレートをヒットさせると、再び腰投げでシュートポイントをもう1p獲得。ふ〜む、とりあえずこの時点でポイント的には勝負アリだな。あとは、この試合でVが何を見せるかだな。



2R、1Rの失点を挽回すべく谷村が動く。身長差を活かし、Vのリーチの外から積極的にワンツーを放つ。Vは腰投げで反撃するも、ポイントには至らず。谷村は尚も右ストレートで攻め込み、Vの組み付きには膝蹴りで対応。Vがスタンドでバックを奪えば、投げられまいとしゃがんで防御。これは反則なので谷村にイエローカードが提示されるも、Vは1Rと比べると苦戦しているなぁ。谷村が自分のペースを取り戻した、とも言えるかな?



3R、2Rの闘いぶりで自信をつけた谷村がガンガン前に出て攻め込む。Vに接近してパンチを放てば、アッパーやストレートがヒット。打撃では劣勢のVは組み付きに行くが、谷村は膝蹴りで反撃し、ブレイクの後で距離が開けば左ストレートを叩き込む。Vは終盤、積極的に組み付いては腰投げを狙っていくも、谷村は投げられまいと抵抗し続けた。う〜ん、相手にこういう闘い方をされるとVは苦しいねぇ。



試合終了。判定の結果、1Rに奪ったシュートポイントが大きく物を言い、3−0でVが勝利。



う〜む、今日のVは勝ったとは言え、試合内容は決して良い出来とは言い難いなぁ。相手に投げ技を粘られてしまうと、体格的には恵まれていないVは遠距離から相手に一方的に攻撃されてしまう、というかねぇ。

今年のGirls S-CUP 2009には世界から色々な選手が出場すると聞いてるし、そうなると体格的にも大きい選手と闘う事になるだろうしねぇ。まぁ、投げに免疫のない選手であれば圧勝できるんだろうけど、首相撲や膝蹴りが出来る相手には勝てないんじゃないかなぁ?

僕としては、Vの優勝には赤信号が灯ったように感じたなぁ。



第七試合 SB女子部のエースだが、Girls S-CUP 2010に向けては課題が残った

女子50kg契約 2分3R + 延長2分2R
○RENA(160cm/50.0kg/及川道場/Girls S-CUP 2009 王者)
●☆MIKA☆(155cm/49.8kg/ワイルドシーサー群馬)
[判定 3−0]

SB女子TOP3揃い踏み、そのトリを飾るのは「SB女子部のエース」RENA。前回の興行では怪我のために渡辺久江との対戦が流れてしまったRENAだが、このところは精力的に試合をこなしていた事を考えると、いい休みになったかもしれない。Girls S-CUP 2009では吉田正子、石岡沙織、そしてV一という錚々たる面々を破って王者となったRENAの今日の対戦相手は、ムエタイの選手である☆MIKA☆。これでドゥオンダーオ・ミカって読むらしい。ちなみにドゥオンダーオはタイ語で星という意味らしい。へ〜っ。




1R、お互いに様子を見る静かな立ち上がりだったが、RENAは右ローと右ミドルでMIKAを牽制すると、いきなり組み付いての首投げを決めてシュートポイントを1p獲得。尚も右ストレートや前蹴りで攻めるRENAに対して、MIKAはムエタイ選手らしく組み付いての膝蹴りで応戦。だがRENAは尚も右ミドルや右ローでMIKAを牽制し、ワンツー〜右ミドルで攻め込んでいく。



2R、1Rで流れを掴んだRENAが、前に出て重い右ローを放つ。更には積極的に組み付いて投げを狙うRENAに対して、MIKAは膝蹴りで応戦していく。徐々にMIKAの方から組み付く機会が増えていく中、RENAはMIKAを外掛けで押し倒して抵抗するも、MIKAのしつこい組み付きを前に、思うように攻め込む事が出来ない。



3R、2Rの流れで自信を得たMIKAが、積極的に前に出てRENAに組み付いて膝蹴りを狙う。RENAは距離が離れればワンツー〜右ミドルで反撃するも、MIKAはお構いなしにRENAに接近。こうして完全に攻めあぐねてしまったRENAだが、終盤に腰投げを決めてシュートポイントを1p獲得。だが、最後まで前に出てくるMIKAを前に手を焼いてしまった。



試合終了。判定の結果、シュートポイントの差で3−0でRENAが勝利。勝ったRENAは観客席に自身のTシャツを投げ込むファンサービスで、観客から喝采を浴びていた。



ぬぬぅ。渡辺やVに続いて、今日はRENAまでも内容がイマイチだなぁ。SBの選手としては、打撃と投げのバランスの良いトータルファイターという印象のRENAだけど…今日はMIKAの組み付きを捌けず、自分のペースで試合が出来なかったね。

元々、打撃に破壊力があるタイプの選手ではないRENAだけに、どんな相手にでも自分のペースを貫いて闘うことが重要と言えるだろう。それだけに、相手のペースに呑まれてしまった今日の内容だと、RENAの優勝には赤信号が灯ったと思うなぁ。



第八試合 すっかり影の薄くなった「SBの絞首刑人」

スーパーフェザー級 3分3R + 無制限延長R
○石川剛司(170cm/60.0kg/シーザージム/SB日本スーパーフェザー級 三位)
●テイラー "NINJA" マコーリストン(162cm/60.0kg/米国/ハウフ・グレイシー柔術アカデミー)
[判定 3−0]

ここからは、SB総合格闘技の試合が二試合。


スーパーフェザー級の主役争いで、鈴木博昭に出遅れた感のある石川剛司。シーザージム所属の恩恵でコンスタントに試合を消化している石川だが、猛威を奮ったスタンディング・スリーパーも今は昔、このところは勝っても負けても印象に残らない試合が続いているだけに、この辺りで存在感を再アピールしたいところだろう。

今日の対戦相手はハウフ・グレイシー柔術アカデミーの所属で、ダレン・ウエノヤマを師匠に持つ柔術戦士、テイラー "NINJA" マコーリストン。ムエタイの練習も重ねており、戦績は少ないながらもMMA及びムエタイの試合で無敗という逸材なのだそうな。だが、戦績が浅い事を考慮すれば、石川としてはキッチリと勝ちたいところだろう。




1R、テイラーは序盤から左ローとワンツーで石川を攻め込むと、鋭いタックルを敢行。このタックルが中々強烈で、投げられまいと粘る石川は思わずロープを掴んでしまって、レフェリーから注意を受ける。再開後、テイラーはサークリングで石川の様子を見つつ打撃を放ち、ジワジワと石川をロープ際へと追い込む。う〜む、不気味だ。

だが石川は前に出るテイラーを相手にロープ際でクルリと入れ替ってワンツーを放つ妙技を見せると、ここからは積極的にフックを放って攻め込む。組み付いて来るテイラーは外掛けで倒す石川、尚も投げを狙ってタックルを仕掛けるテイラーだったが、ラウンド終了直前に石川の左ボディがクリーンヒット。




2R、序盤から組み付いてくるテイラーを外掛けで倒す石川は、逆に右ミドルを連発してダメージを与えていく。頼りにしていたタックルが通用しないテイラーは、ワンツー〜右ミドルや飛び膝蹴りといった打撃技で攻めるも、本命の投げは石川が相撲からの投げや外掛けで応戦。徐々に石川のプレッシャーが強くなってきた。

中盤以降、益々両者の組み付きは増えたが、石川は左右のボディと組み付いての膝蹴りを連打してテイラーの体力を削っていく。こりゃ、勝負ありだな。あとは石川がKOできるかどうか、だが…。




3R、石川はプレッシャーを掛けて前に出る。右ミドルを放つ石川に対して、テイラーは組み付いての投げを狙う。バックに回ってバックドロップを狙う場面もあったが、この時点でテイラーは完全に勢いを失っていた。う〜ん、自分の土俵である投げ技が通用しないんじゃ、そりゃ気力も萎えるわな。といっても、総合格闘技の選手がSBルールで投げ技を狙い過ぎるあまり、勝手に体力を消耗していくのは「よくあるシーン」なんだけどね。

そんなテイラーに対して石川はコーナーでパンチを入れると、一気にラッシュを仕掛ける。苦しくなったテイラーはタックルで逃れるも、石川は左ボディからのパンチ連打で更に攻め込む。テイラーは再びタックルに逃げる中、最後は組み付いての投げの打ち合いとなった。う〜ん、倒しきれなかったかぁ。




判定の結果、2−0で石川が勝利。なんで2−0なんだろ?試合内容自体は石川の勝ちで問題ないでしょ。



とはいえ石川、試合も勝利こそしたものの、終わってみれば今日もまた「印象に残らない試合」だったような。う〜ん、戦績自体は三連勝なわけだし、そろそろ格上の選手との一戦が観てみたいのだが…。


第九試合 SB vs 修斗は壮絶な打ち合いに!

スーパーライト級 3分3R + 無制限延長R
○鈴木博昭(167cm/65.0kg/ストライキングジムAres/SB日本スーパーフェザー級 一位)
●不死身夜天慶(173cm/65.0kg/シューティングジム横浜/修斗ライト級 環太平洋九位)
[延長判定 2−1]
※本戦判定 0−1

このところ、SB軽量級の主役の座に君臨しているのが鈴木博昭。石川剛司を秒殺KOし、歌川暁文には二連勝、そして及川知浩とは1勝1敗と、SB軽量級のトップどころを総ナメにしていることもさることながら、年齢が25歳と唯一の20代である事も大きな武器だと言えよう。SB軽量級に新時代をもたらす選手に成長した鈴木、今日は修斗からの刺客との対戦のために、いつもよりも5kg重い体重で試合に挑む。

鋭いパンチを武器に修斗で活躍してきた不死身夜天慶は、修斗はビッグマッチ以外は観戦しない僕でも知っている名前だが、実は2007年2月に田村彰敏に敗れて以来、修斗の舞台で五連敗を喫している。そういう意味では、今日の試合は彼にとっては「修斗で再び勝利するための『最終調整』」的な意味合いが強いのだろう。同門のマモルはSBで活躍中したが、不死身夜は「SB軽量級の主役」を相手にどのような試合を展開するのか?




1R、鈴木は挨拶代わりの左ミドルで不死身夜を転倒させる。観客から驚きの声が沸いた後、両者のローが淡々と交差する展開となる。不死身夜は右ローで鈴木は左ローだ。やがて不死身夜は右ローに加えてワンツーを武器に前に出ると、鈴木は左ローに加えて右ハイや左ストレートと、打撃を上下に散らして真っ向から応戦。この打ち合いは互角、早くも観客からは歓声が沸く。



2R、不死身夜はプレッシャーを掛けつつ左ボディ、左フック、右アッパー、右ストレートとパンチで攻め立てる。対する鈴木もパンチで応戦し、前蹴りで不死身夜を突き放して左ローを放つ。だが体格に優る不死身夜の圧力は非常に強く、再び前に出て右フックと左ボディを放ってくる。普段は下がることがない鈴木が、ジリジリと下がっているのが印象的だ。

だが鈴木は終盤にワンツーを入れると、前蹴りで突き放して右ハイをヒットさせる猛攻。これが効いた不死身夜は後ろに下がったものの、前に出る鈴木に右フック〜左ボディを叩き込んで応戦、ここからはラウンド終了まで両者は激しい打ち合いを展開。勢いよく殴り合う両者に、観客からは歓声が上がる。




3R、2Rに流れを掴みかけた鈴木がプレッシャーを掛けて前に出る。左ミドルを放ち、不死身夜のガードの上に左ハイを連発する鈴木。対する不死身夜はこれまでと変わらず左右フックとボディで応戦。鈴木は右のボディストレートを入れるも、不死身夜は右ストレート、ワンツーを返して応戦、終盤は両者による壮絶な殴り合いを展開。両者のフックが入るたびに、観客からは大歓声が沸いた。う〜ん、壮絶な試合だ。




ここで試合は終了。判定の結果はジャッジ一人が不死身夜を支持するも、残り二人はドロー裁定。試合は延長戦へと突入だ。壮絶な試合のボーナストラックに、観客からは歓声が沸く。



延長R、再び両者のローする中で、鈴木は左ミドルと右ハイ、不死身夜は右フックと左ボディで応戦。壮絶な打ち合いは尚も続いたが、中盤に鈴木が左ローを連打すると、不死身夜の動きが鈍ってしまう。左ボディでカバーする不死身夜に対して、鈴木は尚も左ローを連打して嫌がらせ、意識が下半身に移った不死身夜に右ストレートを叩き込む。ついに両者の均衡は破れたが、不死身夜は終盤、失点を挽回すべく前に出てパンチを連打。だが鈴木も、不死身夜が攻め終わったところにパンチを返して行った。再び繰り広げられた壮絶な打撃戦に、観客からは大きな歓声が沸いた。



判定の結果、左ローの連打が決め手になり、2−1で鈴木が勝利。観客からは両者に大きな拍手が。



う〜ん、いつもよりも5kg重い試合だったせいか、不死身夜の打撃が思ったよりも重かったせいか、今日の鈴木は結構、慎重だったなぁ。それでも打ち合いを展開した末にキッチリと勝利を飾るんだから大したモンだ。「一発の打撃が重い」という、SB軽量級にはいないタイプとの闘いを制したしたのは、本人にとっても良い経験になっただろう。

そして不死身夜もまた、正面から堂々と闘ったね。パンチの切れ味はかなりのモノで、鈴木は何度も危ない場面があったしなぁ。今日は敗れてしまったけど、ここでの経験が修斗総合格闘技での闘いに活かされると良いなぁ、と素直に思ったね。

いやいや、ホントに良い試合でした。



第十試合 若い二人による決勝戦は、想像以上の大激闘に!

YOUNG CAESARS TOURMENT55 決勝戦 3分3R + 無制限延長R
日下部竜也(164cm/54.85kg/大石道場/K-1甲子園2008 第三位)
●伏見和之(162cm/55.0kg/シーザー力道場/SB日本スーパーバンタム級 三位)
[3R 1分35秒 KO]
※左ボディブロー

現在はファントム進也が持つ、SB日本スーパーバンタム級王座。その次期挑戦者を決定すべく行なわれているYOUNG CAESARS TOURMENT55も、いよいよ決勝戦。勝ち上がったのは、プロボクシングのA級ライセンスを持つ伏見和之と、K-1甲子園2008で第三位の実績を残した日下部竜也の二人だ。驚くべきはこの二人の若さ、日下部は17歳、伏見は19歳だという。YOUNG CAESARSの名前通りの若さを持つ二人の対戦は、SBの未来を占う一戦とも言えるだろう。




1R、日下部は準決勝と同じく、まずはサークリングで様子を伺う。両者ともにローで牽制する中、先に動いたのは日下部、ワンツー〜右ロー、アッパー等で攻め立てる。伏見はボディストレートで応戦したが、日下部は得意の左ボディを叩き込む。大きな軌道を描く、強烈な日下部の左ボディ。「ドスッ!」という、鈍くて大きな音が響けば、観客が驚きの声を上げる。

しかし伏見もワンツーや左ミドルで反撃、終盤には左フックをヒットさせる。日下部は各種パンチや左ローで応戦、ここから両者は休むことのない打ち合いを展開。ラウンドが終了すれば、観客からは大きな拍手と歓声が沸いた。




2R、日下部は右ロー〜左ボディで攻め込めば、伏見もパンチで応じ、試合は再び打ち合いに発展。観客から歓声が沸く中、パンチを得意とする伏見のワンツーがヒット。日下部は右ローで応戦するも、伏見が再びワンツー〜右ローを返していく。若い二人の意地の張り合い、凄いなぁ。

日下部は裏拳や左ハイで奇襲を掛けると、伏見は左フックで応戦。気がつけば、再び真正面からの打ち合いを展開する両者。観客の歓声の中、伏見は右フック〜左ボディで攻め込むも、日下部は終盤に得意のバックスピンキックを浴びせると、モロに喰らった伏見が下がる。これを見た日下部は一気にラッシュを仕掛けてダウンを奪った。観客の歓声の中、立ち上がった伏見に日下部がラッシュを仕掛けるも、伏見は打撃を打ち返して応戦し、連続ダウンを逃れる。う〜ん、伏見は死んでないね。素晴らしい。




3R、2Rの流れで勢いに乗った日下部が勝負に出る。リングを廻りながら左ハイ〜パンチで攻め、失点を挽回すべく追ってくる伏見を前蹴りで突き放すと、一気に前に出て大振りのフックと左ボディを打ち込む。怯む伏見に日下部がワンツーの連打を叩き込み、その締めは得意の左ボディ。観客の歓声の中で再び伏見がダウンを喫し、立ち上がった後も動きが鈍い。この様子を見たレフェリーが試合を止めた。



準決勝戦、そして決勝戦を見事な闘いぶりで勝利を飾った日下部には大きな歓声が沸き、そして決勝戦で敗れた伏見にも大きな拍手が起きた。



いや〜、凄い試合だったなぁ。二人の打撃はかなりの重さで、とても55kg級の試合には見えなかったし、それ以上に二人とも十代というのが信じられないような内容だった。こりゃ、日本のキック界の将来は明るいねぇ!マジで。…っていうか、日下部がまたSBに出てくれるか、ちょっと心配だったりするんだけどさ(苦笑)。それにしても、本当に素晴らしい試合だった!


第十一試合 「パンチ vs ロー」という構図は、立ち技格闘技の永遠のテーマです

スーパーウェルター級 3分3R + 無制限延長R
鈴木悟(183cm/69.85kg/バンゲリングベイ・スピリット/UNIT-K/元プロボクシング日本ミドル級 王者)
●金井健治(172cm/69.8kg/ライトニングジム/SB日本スーパーウェルター級 一位)
[判定 3−0]

この試合は、今年行なわれるであろうS-CUP 2010に向けての重要な一戦である。


前回4月の興行に初出場、元プロボクシング王者でありながら宍戸大樹にバックドロップを決めた鈴木悟。セコンドに大野崇を従えた鈴木はSBルールへの高い適応力を見せ付けたが、最後は宍戸にフロント・スリーパーを極められてしまい敗北。だが試合自体は終始、鈴木ペースだった上に最後の絞めもブレイク後にファイティング・ポーズをシッカリと取っていただけに、鈴木としては「俺は負けていない!」という意識が強いだろう。今日は右ローを得意とする相手なだけに苦戦も予想されるが、S-CUP 2010への出場を考えると「負けられない一戦」だと言えるだろう。


そんな鈴木と対戦するのは…。苦労に苦労を重ねた末に、どうにかS-CUP 2008への出場を果たした経験を持つ金井健治。「SBの魂」緒形健一や「東洋のハルク」梅野孝明と比べると実力が一枚落ちる印象のある金井ではあるが、実際には梅野を相手にあと一歩のところまで追い詰めるだけの実力の持ち主なのだ。前回はフィジカルの高いイ・スンファンを相手に交通事故のような敗北を喫した金井だが、今日はS-CUPへの連続出場を掛けて元プロボクシング日本王者に挑む。




1R、まずは金井が得意の右ローで様子を伺い、元プロボクシング王者の鈴木はワンツーで応戦。序盤は静かな展開だったが…。ここで鈴木が不意に放った右ストレートがクリーンヒット、モロに喰らった金井がダウンを喫した。

観客が騒然とする中、なんとか立ち上がった金井は右ローで反撃するも、尚も鈴木のパンチが伸びる。前に出てプレッシャーを掛けつつ、腕の長いリーチを活かして遠距離からワンツーを放つ鈴木に対し、金井は右ローを放って応戦すれば、鈴木は早くも左脚を気にし始める。こうしてジワジワと自分のペースを取り戻した金井は、左のフックで鈴木を攻めていく。




2R、鈴木はリーチの長い左ジャブを連打して金井を遠ざけるも、金井は右ローと左インローで鈴木の左脚を集中攻撃。更に腰投げを放った金井は、右ローのダメージで意識が下に向いている鈴木に左フックを叩き込む。

尚も右ローと左フックを武器に攻め込む金井、左ミドルもヒットした。鈴木はワンツー〜左ボディのコンビネーションで挽回を図ると、積極的にバックドロップを狙ったり、アッパーやフックを駆使したり、左ジャブ〜右ストレートを入れたりで反撃するも、終盤に前に出た金井が再び左フックを鈴木の顔面に叩き込んだ。ぬう、ポイントでは負けているけど、試合の流れ自体は完全に金井のペースだな。




3R、やはり鈴木は左ジャブを伸ばして距離を置こうとするも、そこへ金井の左フックがヒット。怯む鈴木のバックに回る金井、鈴木は何とか堪える。鈴木に注意が与えられた後、リーチの長い鈴木の左ボディが金井を襲い、更には右ローを連打。1Rのアドバンテージを活かすべく、鈴木も必死なのだ。

だが金井は中盤に膝蹴りと左フックを入れると、これみよがしに右ローを連発。左脚のダメージが大きく動けない鈴木、金井は再び左フックを叩き込むと、怯む鈴木に右ローを放つ。試合の流れを完全に掴んだ金井は、ポイントを挽回すべく投げを狙うが、必死になった鈴木は思わずしゃがんで防御。これは反則、レフェリーは鈴木にイエローカードを提示。

残り時間はあと僅か。金井の猛チャージに対して、鈴木はワンツーを連打して逃げ切りを図る。だが、もう後がない金井は元プロボクシング王者を相手に真正面から殴り合いを挑んでいく。観客の歓声の中、打ち勝っていたのは金井の方。右ローと左フックが何回も鈴木の顔面にヒットすれば、観客も歓声で金井の攻撃を支持した。




観客の歓声の中で試合は終了。僕としては1Rは鈴木の10-8、2Rは金井の10-9、3Rも金井の10-9でドローになるといいなぁ、なんて思いながら判定結果を待ったが、その結果はジャッジ三名が全員29-28、3−0で鈴木の勝利に。そうかぁ、みんな2Rはドローと見たかぁ、確かにその見方もアリだよなぁ…。



う〜ん、試合のペース自体は完全に金井のモノだったし、延長になれば金井が確実に勝てる試合展開だっただけに、最初のダウン&試合中にポイントに繋がる技が無いのが痛いなぁ。金井が決して弱い選手ではない事は、SBを長年観戦してきた人なら誰もが知っているだけに、この一戦は勝って欲しかったんだけどなぁ…。無念。


第十二試合 宍戸の魅力と強さがギッシリと凝縮された試合

スーパーウェルター級 3分5R + 無制限延長R
宍戸大樹(174cm/70.0kg/シーザージム/SB東洋太平洋ウェルター級 王者)
ヴァージル・カラコダ(178cm/70.0kg/南アフリカ/FBIジム)
[3R 2分15秒 KO]
※左フック

メインイベントの座に、「SBの日本人エース」宍戸大樹が久々の登場だ。


このところは「東洋のハルク」梅野孝明にメインの座を譲っていた宍戸大樹だが、梅野が欠場した今回、久々にメインに出場。昨年はシュートボクセ・アカデミーのルイス・アゼレードに完勝するなどで強さを見せ付けた宍戸だが、「ムエタイの壊し屋」ボーウィー・ソーウドンソンに敗れて以来、長年務めていたメインイベントの座を梅野に譲っていたのだ。今回は久々に有名選手との一戦に挑む宍戸、ここはキッチリと勝利して存在感を再アピールしたいところだ。


そんな宍戸の対戦相手とは、K-1 MAXでお馴染みヴァージル・カラコダ。かつてK-1で活躍したマイク・ベルナルドを育てた名伯楽として知られるスティーブ・カラコダを父に持つヴァージルはS-CUP 2006への出場経験も持っていたが、この時は強豪ダニエル・ドーソンを前に、ほぼ何もできずに敗北。K-1 MAXでも敗北がかさみ、出場機会が減ってしまっているカラコダだが、ここは宍戸にキッチリと勝ってK-1に再アピールしたいところ。しかし、調整不足を感じさせるお腹の肉がちょっと気になるねぇ。


ちなみにこの試合の煽り映像では、泉谷しげるの名曲「春夏秋冬」が流れていた。成程、色々なことがあった両者だけど…今日ですべてが終わり、今日ですべてが変わり、今日ですべてが報われて、今日ですべてが始まるワケか。いいねぇ。




1R、宍戸はサークリングでカラコダの様子を伺いつつ、右ローと左ミドルで蹴って行く。対するカラコダは宍戸を追って行くが、その追い方にプレッシャーが感じられない。そんなカラコダに、宍戸は左ミドルと右ローを次々に重ねて行く。ぬぅ、カラコダは露骨に調整不足な上、大した作戦もないようだなぁ。

ここまで攻撃らしいものがないカラコダだが、宍戸に何とか接近すると右ストレートと左ボディを放つ。特に左ボディは流石の鋭さで観客からは驚きの声が上げたが、宍戸は裏拳、ソバット、右ハイといった大技を連発。宍戸の試合ぶりからは余裕を感じる。そんな宍戸にカラコダはワンツーで反撃するも、宍戸はワンツー〜右ローのコンビネーションで応戦。気が付けばカラコダは顔面から流血した上、右目が大きく腫れている。宍戸のパンチを喰らってのものだろう。




2R、このラウンドも宍戸は右ローと左ミドルが攻撃の中心で、合間に裏拳、ソバット、前蹴りを放ってカラコダを撹乱。自分の距離を作った上で左ストレートを叩き込み、カラコダからダウンを奪う。うん!あらゆる打撃で相手のペースを乱した上で、自分の打撃で相手を仕留める!これぞ宍戸の攻めの真骨頂だ!

立ち上がるカラコダ、ダメージはなさそうだ。再開後、カラコダの様子を見た宍戸はラッシュを仕掛けない。逆に失点を挽回すべく前に出てパンチを振るうカラコダを前蹴りで突き放し、ジワジワと間合いを詰めて左ミドル、テンカオ、前蹴り、ソバットと多彩な技で困惑させる。カラコダは距離を詰めてのパンチで反撃するも、宍戸は組み付けば膝蹴りを放ち、離れれば左ミドルでカラコダに付け入る隙を与えない。う〜ん、この時点で勝負アリだな。




3R、もはや試合は一方的。まったく自分の試合が出来ないカラコダは、宍戸が攻めるのを待ちながらカウンターを狙う作戦に出る。そんなカラコダを、宍戸はこれまでと変わらず左ミドルと右ロー、そしてサイドキックで蹴り続ける。更には左ボディや右ハイも放つ宍戸、打撃を上中下へと分ける攻めは宍戸の真骨頂だ。



すっかり自分を見失ったカラコダはワンツーで反撃するも、宍戸は左ミドルとサイドキックで自分の距離を作り直して左ストレートを叩き込む。この一撃を喰らったカラコダはヨロヨロと後ろへと下がってしまう。リング外へと落ちそうになるカラコダ、この様子を見たレフェリーが試合を止めた。



うん!久々に宍戸の「宍戸らしい試合」を観た!正直、カラコダはかなりの調整不足で、今日の宍戸にとってはイージーな相手だったとは思うが…。それ以上に、宍戸が「自分らしい試合」でKO勝利を飾ったのが大きいね。豊富なスタミナをベースに、あらゆる種類の打撃を駆使して相手を混乱させた上で、地味な技で相手の体力や機動力をジワジワと奪いつつ、タイミングの良い打撃で相手をKOするという。今日はそんな宍戸の闘い方がすべて出た試合だと思う。

試合後のマイクアピールではS-CUP 2010の制覇と、二敗しているアンディ・サワーへのリベンジを目標に掲げた宍戸。今日の試合ぶりをサワーを相手に出すことができれば、その目標もアッサリと実現できるだろう。…多分(苦笑)。



雑感

うん!面白かった!


興行全体を通して「実力拮抗の接戦」も多かったしね。熱い試合が続いた良い興行だったと思う。島田洸也vs崎村暁東、鈴木博昭vs不死身夜天慶、鈴木悟vs金井健治と好勝負が続いたけれど…。出色なのは、何といってもYOUNG CAESARS TOURMENT55の決勝戦日下部竜也vs伏見和之だよね。とても十代同士の試合には見えない程に洗練された試合で驚いたよ、ホント。いやいや、二人とも末恐ろしいね。


あとは…。メインイベントにおける宍戸大樹の闘いっぷりだね。まあカラコダはイマイチだったけど、宍戸が自分のスタイルを貫いて勝利したのって地味に久しぶりなんじゃないかなぁ。マイクアピール時の満面の笑みは、本人にとっても会心の勝利だった事を如実に現わしていた、というか。うん、宍戸は完全復活だね!


以上、長文失礼。

5/23 JEWELS 新木場1stRING興行 観戦記 ver1.0

こんなに薄い序文でどうもスイマセン…

本日は新木場 1st RINGでJEWELSを観戦。…っていうか、僕は新木場 1st RINGって初めてなんだけど、この会場…狭いよ。タダでさえ超満員なのに関係者が頻繁に出入りをするモンだから、立見席が修羅場すぎる…。ちなみにチケット代は5500円。う〜ん、立見でこの値段は高すぎるよ…。




さてさて。僕自身は旗揚げ戦以来、本当に久々の観戦となるJEWELSだが…。正直、石岡沙織を中心にビジュアルの良い選手がズラリと並んでいること以外は、ぶっちゃけ僕には情報らしい情報がなかったりする。何せJEWELSって、晩年のSMACK GIRLの前座選手達が中心で、僕は仕事の関係で前半戦を観戦できない事が多かったから、あんまり選手も知らないんだよね。まあ今日は、勉強させてもらう気持ちで観戦させてもらいますよ、ええ。

第一試合 いい試合だー!

57kg契約 5分2R
アミバ(168cm/56.0kg/DEEP OFFICIAL GYM IMPACT)
●HARUMI(154cm/56.0kg/池袋BLUE DOG GYM)
[1R 3分45秒 腕十字固め]

う〜ん、晩年のSMACK GIRLは仕事の都合で前半戦を観戦する機会がめっきり減り、金曜日開催が重なったJEWELSの観戦回数が極端に少ない僕は、彼女たちがどんな選手かわかからないなぁ。とりあえず、アミバ青木真也と練習している選手で、HARUMIはVALKYRIE虎島尚子の復帰戦を務めた元巴組の選手か。ふ〜む、肩書きだけならアミバの方が有利っぽいなぁ。




試合開始、アミバがパンチを繰り出しながらタックルを仕掛け、HARUMIをコーナーへと押し込む。HARUMIはアミバの圧力から逃れようとするも、アミバはしつこく攻め続けてテイクダウンを奪った。だがHARUMIは下から首を捕って抵抗し、流れの中でリバースに成功して上になる。う〜ん、目まぐるしいなぁ。



下になったアミバはラバーガードから三角絞めを狙って応戦、対するHARUMIは脚を掴んで極めに行く。ノンストップの一進一退の攻防となったが、アミバは脚を極めんと倒れこんだHARUMIからマウントを奪うと、そのまま腕十字をガッチリと極めた。程なくしてHARUMIがタップし試合は終了。



第一試合からなかなか派手なグラウンドが観れたなぁ。アミバ選手、お見事でした。うわばら。


第二試合 ワンサイドゲームだー!

SBレディースクラスルール 63kg契約 2分3R + 延長2分1R
○超弁慶(158cm/60.4kg/ガムランナック)
●尾関煌(163cm/62.8kg/龍生塾)
[2R 1分36秒 TKO]
※尾関の出血による

第二試合はSBルールでの試合。しかしまあ、超弁慶って名前は凄いよなぁ。インパクトが強い名前というか。最初はHIROKOに惨敗した選手ってイメージしかなかったけど、その後は勝利を重ねていたみたいだね。今日の相手は、SBスーパーフェザー級王者である及川知浩がかつて所属していた龍生塾に所属する尾関煌。




1R、尾関は右ローを放つも、超弁慶がプレッシャーを掛けて前に出る。お互いにあまり打撃を出さずに様子を見る中、超弁慶がパンチを繰り出すと尾関は下がって捌こうとする。静かな展開が続くが、超弁慶は後半に組み付いての投げを連発して尾関を嫌がらせていく。



2R、超弁慶は出会い頭に右ストレートを叩き込むと、モロに喰らった尾関がダウン。更に首投げでシュートポイントを1p稼いだ超弁慶は、これ以降は積極的な前に出て得意のパンチを連発。尾関もパンチで対抗するも、超弁慶はその打ち終わりにカウンターの右フックを何度も当て、組み付いては尾関を倒していく。やがて超弁慶のパンチで尾関の鼻からは出血が。ドクターチェックが入り、やがて試合がストップ。



うむ、今日の超弁慶は完勝だったね。っていうか、正直もう少し強い選手を当てても大丈夫だと思うんだが…。まぁ、SBルールで闘う女性なんて極端に少ないだろうしなぁ…。

第三試合 デビュー戦なのに一方的だー!

52kg契約 5分2R
吉田実代(161cm/51.8kg/マッハ道場)
●鹿児島陽子(160cm/51.9kg/品川CS)
[1R 3分36秒 KO]
※パンチ連打

う〜ん、これは本当にまったく知らない選手同士の対戦だなぁ。とりあえず吉田実代はマッハ道場に所属し、鹿児島陽子は、僕が昔お世話になったkansenki.netの主宰である品川主宰が率いる品川CSの所属か。それならとりあえず、昔の縁もあるので鹿児島の方を応援しますか。ちなみに吉田はこれがデビュー戦だそうで。




試合開始直後からパンチを打ち合う両者。序盤、吉田は右のパンチを連続で当てるも、鹿児島も右ストレートを当て返す。やがて鹿児島が組み付き、ロープ際で吉田の腿に膝蹴りを連打。ブレイク後、両者が再びパンチを交差させる中、吉田の左ジャブがヒット。鹿児島も右のパンチを返し、組み付けば腿へ膝蹴り。だが二度目のブレイクの後、吉田がプレッシャーを掛けてパンチの連打を放つと、右のパンチが次々にヒット。抵抗できない鹿児島の様子を見たレフリーが試合を止めた。



あだだだだ、これはなんとも一方的な…。まぁ、単純に実力差があったね。とりあえずデビュー戦を圧勝で終えた吉田は今後の飛躍に期待。そして、いいところなく敗れた鹿児島はここからの再起に期待。


第四試合 号泣だー!

52kg契約 5分2R
○セリーナ(164cm/51.2kg/ノルウェー/チーム・ヘルボーイ・ハンセン)
長野美香(161cm/52.0kg/S-KEEP/CORE)
[判定 3−0]

JEWELSの旗揚げ当時は石岡沙織と並んで「JEWELSのエース」と目されていた長野美香ではあるが…。ぶっちゃけ、休憩前のこのタイミングで試合を組まれているあたりに、今日はメインに出場する石岡との差を感じるねぇ。FRIDAYでセミヌードになったり、アイスリボンでプロレスやったりなど、ジョシカク以外の舞台での活躍も目立つ長野の今日の対戦相手はヨアキム・ハンセンが率いるチームに所属するセリーナ。日本ではまだ白星のない選手だが、あのハンセンの弟子とあれば予断は禁物だろう。


1R、長い腕を伸ばしてパンチで牽制するセリーナ、特に右が良く伸びる。対する長野は得意のグラウンドに持ち込みたいが、セリーナの打撃を警戒する余り前に出れない。それでも中盤、長野はタックルを仕掛けてテイクダウンに成功するも、下から腕を掴んでくるセリーナに対して何もできない。ブレイクの後、長野は再びセリーナに組み付くと首投げを決めてグラウンド移行。パスガードを狙う長野、だがセリーナはスルスルと抜けてバックを奪うとスリーパーを仕掛ける。ここで1Rは終了。得意のグラウンドで何もできずに苦戦する長野、ここからどうする?




2R、長野は序盤にタックルを仕掛けてテイクダウンに成功、まずはサイドポジションにつく。しかし、やはりセリーナはスルリと脱出すると、逆にバックを奪ってからリバースを決め、ハーフマウントの状態へ。セリーナ応援団の歓声の中、ここからはパスガードを狙うセリーナと、グラウンドからの脱出を目論む長野による鍔競り合い(つばぜりあい)となった。

そして長い時間を掛けて、この勝負に競り勝ったのはセリーナ。パスガードを決めてマウントを奪ったセリーナは、下でもがく長野を制しつつ、時折腹へ鉄槌を落としていく。長野は必死に抵抗するも、試合はそのまま終了していった。




勝ち星のない相手に何もできなかった長野が人目も憚らず(はばからず)に号泣する中で判定結果が読み上げられ、3−0でセリーナが勝利。



う〜む、今日の長野は完敗だったなぁ。本人の練習不足なのか、それとも周りのレベルが上がっているのか。試合後は号泣していたけど、ジョシカクの世界はどんな美人でも最終的には「悔しかったら強くなれ!」って世界だからなぁ。強くなるしかないよ、ホント。ソレとは別に、美人の涙はそれはそれでイイモノだったけどね。…我ながら最低だな。


休憩前の顔見せだー!

休憩前には藤井惠、渡辺久恵、山田純琴などの面々がリングインして挨拶。マイクを握ると離さない渡辺は、リングアナに時間を急かされながら挨拶していた。

更に、かつてSMACK GIRLで活躍して引退した久保田有希が復帰の挨拶。う〜ん、「色々とあって」の復帰なので手放しには喜べないが、かつてファンだった者としては、やるからには結果を残して欲しいね。



第五試合 素晴らしい表情だー!

SBレディースクラスルール 54kg契約 2分3R + 延長2分1R
高橋藍(172cm/53.9kg/シーザージム)
●大石ゆきの(159cm/53.9kg/OISHI GYM)
[判定 3−0]
※高橋は2Rにシュートポイント1

正直に言うと、SBの観戦歴がそれなりに長い僕でも、この高橋藍という選手を観た記憶がない。でも何かで一回観たことはあるんだよなぁ…と、彼女の入場曲である「アイアイ」を聴きながら考える。う〜む、思い当たるフシがない…。そんな高橋の相手はまだ16歳の女子高生キックボクサー、大石ゆきのだ。ちなみに今日の会場には緒形健一、梅野孝明、金井健治といった歴代SB日本ウェルター級王者が集結。そして高橋のセコンドは石川剛司だ。


1R、長身の高橋がワンツー〜右ミドルのコンビネーションを連続で繰り出しながら前に出れば、大石も左ジャブ〜右ローのコンビネーションを返して応戦。両者は休むことなく打撃を打ち合ったが、ここで高橋は接近戦で大石の腹に膝蹴りを何度も入れてペースを握る。う〜ん、高橋のテンカオの打ち方には慣れを感じるなぁ。




2R、1Rからの流れを受けて両者は序盤から打ち合いを展開。その中で高橋は首投げを敢行すると、ワンツー〜右ミドルのコンビネーションに加えて前蹴り、左ミドル、膝蹴り、そしてショートアッパーを駆使して大石を圧倒。そして高橋は、再び首投げを綺麗に決めてシュートポイントを1p獲得。対する大石、高橋の打撃の前に劣勢となるも、高橋と接近すればワンツーと右ローをキッチリと返して応戦していく。



3R、これまでとは一転、高橋は組み付いてのボディへの膝蹴りを連発して大石を攻め込む。対する大石は、これまで通り右ローが攻めの中心。高橋は至近距離での膝蹴りに加え、近距離ではワンツーとショートアッパーを連発して攻勢をキープ。大石も右ローを返し、両者が休むことなく打ち合う中、中盤に高橋がフロントスリーパーを極めようとする。これは大石が逃れてブレイク、そして両者は最後まで激しく打ち合い続ければ、試合終了後には両者に大きな拍手が寄せられた。



判定の結果、3−0で高橋が勝利。



うむ。結局、高橋藍という選手の事を思い出すことはできなかったけど、今日の試合ぶりでその名前をシッカリと覚えさせてもらったよ。顔も会場映えするし『凛』としたいい表情する選手だね。この選手はまた観たくなる選手だなぁ、シーザージムは本当にいい選手を育てるねぇ。まあ、セコンドの石川のリング上での態度は何とかした方がいいと思うけど(苦笑)。


第六試合 規格外だー!

無差別契約 5分2R
○HIROKO(180cm/73.2kg/マスタージャパン)
江本敦子(164cm/71.4kg/フリー)
[判定 3−0]

SMクラブの女王様という異色の肩書きを持つHIROKOだが、180cmというジョシカク離れした体格でここまで10戦9勝1敗1KOの好成績を誇る。唯一、赤野仁美を相手に喫した敗北も前回の興行(3月)でリベンジを達成。いよいよ「国内に敵なし」の状態になりつつあるHIROKOの相手は、闘牛・空の名前でプロレスラーとして活躍、そしてマスクを脱げば柔術の強豪として男子とも積極的に試合を行なう江本敦子だ。




1R、体格に優るHIROKOは積極的に前に出ると、長いリーチを武器に打ち合いを仕掛けていく。強烈な首相撲から江本を簡単にテイクダウンするHIROKO、グラウンドではボディめがけて強烈な鉄槌を落とす。ブレイク後、接近戦は危険と見た江本は下がって闘おうとするも、HIROKOは圧力を掛けつつこれを追いワンツーを連打、そして右ストレートがヒットして江本はダウンを喫してしまう。



だが、江本はダウンの過程の中でHIROKOの足を捕える。劣勢の展開の中でやっと掴まえたチャンス、嫌がるHIROKOは強烈な鉄槌を落として抵抗するも、江本しつこく足を捕えてアンクルホールドを狙っていく。だが、結局は極めることができずにブレイク。う〜ん、狙いは良かっただけに惜しいなぁ。

それでも「寝技なら勝機がある」と見た江本は、HIROKOに組み付いて引き込んでいくが、逆に「グラウンドは危険」とばかり警戒したHIROKOはすぐに立ち上がってしまう。ラウンド終了前、HIROKOが重い右ローや膝蹴りをバシバシと蹴っていくと、江本の足が流れてしまう。ぬぅ、効いてるなぁ。




2R、勝利を磐石にしたいHIROKOは1Rとは一転、自らは前に出ずに右ローを連発し、合間にストレートやアッパーを放つ。江本は左のジャブで応戦するも、HIROKOが前に出て来ないので組み付く機会が減ってしまいジリ貧の展開に。突然のニールキックで撹乱しようとする江本だったが焼け石に水、HIROKOは江本の立ち上がり際にパンチを入れてコーナー際へと追い詰める。



それでも中盤、打撃に意識が集中しているHIROKOに、江本はバッチリのタイミングでタックルを決める。恐らくこれが江本にとっては本命の攻撃だったと思われるが、HIROKOはこれを冷静に捌いて失敗に終わらせる。そして、このタックルでより警戒心を強めたHIROKOはまったく前に出なくなってしまった。

ならばと江本は二度、強引にHIROKOに組み付いて引き込みを狙うも、これはいずれも失敗。逆にHIROKOはスタンドで右ロー〜ワンツー、その後でワンツーをヒットさせて攻勢を奪う。もう後がない江本は最後の最後にHIROKOの右腕の掴んでの引き込みに成功。千載一遇のチャンスに江本はしつこく掴み続けたが、結局はHIROKOが逃れてブレイクに。




そして試合は終了。判定の結果、打撃で圧倒したHIROKOが3−0で勝利。



う〜ん、ちょっと観ない間にHIROKOは随分と強くなったなぁ。上背を活かした首相撲、そして強烈な右ローは、僕がHIROKOを初めて観た時に武器として身につけて欲しかったものだったけど、特に首相撲は僕の想像以上に強烈だった。う〜ん、こうなってくると本格的に国内には敵がいなくなっちゃうなぁ。こりゃ、いよいよ海外かぁ?


お疲れ様だー!

試合終了後、江本はリングに残り続け、この試合を最後に引退する事を発表。「最後も自分らしくボコボコに殴られて負けてしまいましたけど、総合格闘技も悔いはありません!」と涙ながらに挨拶し、10カウントゴングと共にリングを後にした。




江本の試合で印象に残っているのは、2008年7月5日に行われたDEEP Xでの、ジャリズム山下しげのりとのグラップリングマッチだなぁ。とにかく、入場から派手に振舞って、リング上でもお笑いタレントである山下を喰ってやろうという姿勢は、プロレスラーの魂を感じて凄く好感を持てた。残念ながら試合では負けてしまったけど、彼女の根の部分にある負けん気とサービス精神は、きっとこれからの人生でも間違いなく役に立つだろう。


総合格闘技、そしてプロレスも引退するという江本だが、柔術はこれからも続けるそうだ。彼女の格闘家人生は、まだまだ終わらない。


江本 敦子 2010年5月13日 引退
総合格闘技戦績 6戦2勝4敗1SKO

第七試合 お見事だー!

52kg契約 5分2R
○石岡沙織(156cm/51.9kg/空手道禅道会小金井道場)
市井舞(158cm/51.5kg/アイスリボン)
[2R 2分41秒 腕十字固め]

本日のメインイベントには、JEWELSのエースである石岡沙織が登場。そのビジュアルの良さと、寝技と打撃のバランスの良さで旗揚げ戦からJEWELSのエースへと抜擢された石岡沙織。JEWELSの旗揚げ前は8戦5勝3敗2SKOだった戦績も、現在は12戦8勝4敗1KO3SKOまで伸ばしてきた。今回は怪我による欠場からの復帰戦となる石岡の対戦相手は、元我闘姑娘でDEEPではしなしさとこを相手に勝利を修めたこともある市井舞だ。

さてさて、試合前の記者会見で市井は執拗に「右フックで石岡のアゴを破壊する」と挑発。これを聞いた石岡は会見中にボソッと「当たらないから!」と主張、怒りを露にした。そして選手の入場。プロレスラーらしく観客に笑顔を振りまく市井に対して、石岡は全身を黒い稽古着で固め、入場曲の出だしを「クラッシュ」にして入場。ふ〜む、今日は「黒の石岡沙織」というワケか。なんか、こういうプロレスチックなパフォーマンスを見るとSMACK GIRLを思い出すなぁ。ちなみに市井のセコンドには藤井惠が付いていた。成程、AACCで練習しているのね。




1R、まずはスタンドでの攻防。市井が左右のローで牽制すれば、石岡は距離を詰めて攻める。市井はフットワークで距離を稼ぐも、尚も詰め続けた石岡の右ストレートがヒット。だが市井は右ローを返すと、予告通りに右フックを叩き込んだ。やがて両者はどちらからという事なく打ち合いを挑んだが、この流れの中で石岡は組み付いてテイクダウンに成功。



下になった市井はなんとか逃れようとするも、石岡はパスガードを決めてサイドに付いた。市井はリバースを決めて上になるも、このタイミングで石岡は下からの腕十字を極めてきた。市井は極められまいと粘るも、石岡は今度はスイープを決めてマウントを奪い、改めて腕十字を極めようとする。何度も何度も仕掛けられる石岡の腕十字を前に、市井は逃れるのが精一杯の状態だ。う〜む、グラウンドでの実力差は歴然だなぁ。



2R、序盤からパンチの打ち合いとなったが、グラウンドでは一枚上手の石岡は市井に組み付きロープ際へと追い込むと、離れ際に右ストレートを叩き込む。一撃を喰らって怯む市井、石岡は改めて組み付くと足を掛けてテイクダウンを決めた。う〜ん、こりゃ石岡の勝利は時間の問題だなぁ…。



何とかパスされまいと粘る市井、だが石岡はついにパスガードを決めると、すかさず腕十字を仕掛ける。市井はどうにかこれをしのぐも、石岡は流れの中でシッカリとマウントを奪うと再び腕十字。これが極まって市井がタップ。石岡はメインの大役を、最高の形で務め上げた。



う〜ん、石岡は暫く見ないうちに随分とエースらしくなったなぁ。「立場が人を変える」っていうのは、こういう事を言うんだろうなぁ。何かと「かわいさ」ばかりがクローズアップされがちな石岡だけど、今日は表情からは意志の強さを感じたね。

あと、僕としては負けた市井の方も試合開始時と終了時に笑顔だったのも印象に残った。プロレスラーとして、そういう風に振る舞うよう教育されていたんだろうなぁ…。まあ、表情が良いというのは観る側には大きなアピールになるよなぁ。



雑感

これまではなかなか予定が合わずに観戦できずにいたJEWELSだが、とにかく休憩以降に出てきた選手達の成長振りには大いに驚かされた。エース然としていた石岡、本当に強くなったHIROKO、そしていい表情で闘う高橋。特に高橋の表情は、同性の観客に共感を与えられるものだと感じた。あの表情は本当にいいね。


一本勝ちが多かったし、熱戦も続いた。ビジュアルばかりが先行しているイメージのあるJEWELSだけど、今日は内容も充分に伴っていた。これならタイミングが合えば、また観戦したくなるね。JEWELS、オススメです。




以上、長文失礼。