6/13 PRO-WRESRING NOAH ディファ有明興行 簡易観戦記 ver1.1

6月13日は三沢光晴の命日です

今日はディファ有明PRO-WRESTLING NOAHを観戦。


6月13日は「プロレス界の盟主」である三沢光晴の一周忌だ。

僕が思い出すのは、彼の死後から一週間後に行われた後楽園ホールでの興行。この日のメインイベントは潮崎豪&KENTAvs佐々木健介中嶋勝彦。「KENTAvs中嶋」「潮崎vs健介」という図式になると思いきや…、KENTAは健介に突っかかり、潮崎と中嶋がライバル心を剥き出しにするという予想外の展開で試合は進む。全員が三沢の死の穴を埋めるべく一切手を抜かずに全力でぶつかり合い、試合時間も30分を超えた。「これぞNOAH!!」といえる大激闘は、潮崎が粘る中嶋に豪腕ラリアット〜ゴーフラッシャーと畳み掛けてのフォール勝ちして終焉。その熱戦は、三沢の死と地上波撤退とのダブルショックに襲われたNOAHファンの不安を一掃、観客は大歓声で激闘を終えた四人を支持したが…。

選手全員がリングを降りた後、会場に流れてきたのは…三沢の入場曲「スパルタンX」。再び現実の時間は動き出した。大歓声はそのまま三沢コールへと代わり、次々に緑と白の紙テープがリングへ投げ入れられる。観客の三沢コールは悲痛なまでに大きくなっていったが、どんなコールが大きくなっても、リングの上には三沢の姿はない。僕は死後一週間が経過しても、そしてこの興行を観戦しても三沢の死がピンと来ていなかったのだが、さすがにこの光景を見た時は、痛いほどにその死を実感した。エメラルドの巨星は堕ちたのだ。



2009年6月22日、PRO-WRESTLING NOAH後楽園ホール興行の試合後の様子。緑と白の紙テープで、リングは三沢の墓標となった。

だから僕は今日、ディファ有明に来た。周りのプロレスファンは後楽園ホールに行く人も多かったが、僕は迷うことなくディファに来た。

正直、僕だって新日本プロレスのBEST OF THE SUPER Jr.の決勝は観たい、かなり観たい、本当に観たい。それにNOAHは、今月末(6/26)にもラッシャー木村の追悼興行をディファ有明でやるし、来月には有明コロシアムで大きな興行を行なうので、ファンの中には「今日でなくとも良い」という心理が働い人も多いのだろう。

でも今日の僕はNOAHに来た。それが夢を与えてくれた人への「恩返し」だと思うのだ。


…と、エラそうには書いたものの。


実は今日、僕は会場では観戦することができなかった。というのも、会場に特別に立見席を準備したにも関わらず、それでも観客が超満員になってしまったのだ。う〜ん、我ながらマヌケだ。こうなる事は充分に予想できたのになぁ。やっぱり、あと一時間早く家から出るべきだった…。

ってなわけで今日は、かつてレストランMAHORAだった場所(現在は選手の控え室とかで使われている)にパブリックビューイング席が作られたので、今日はそこからモニターで観戦したのだった。う〜ん、生で観戦したかったなぁ。



左は今日の対戦カード、右は三沢光晴著の「ドンマイ!ドンマイ!」の宣伝。どちらもパブリックビューイングの観客に無料で配られたもの。

第一試合 そりゃこうなるよね

シングルマッチ 15分一本勝負
石森太二(165cm/77.0kg/GHC Jr.ヘビー級タッグ 王者)
△リッキー・マルビン(169cm/79.0kg/GHC Jr.ヘビー級タッグ 王者)
[時間切れ]

第一試合は、GHC Jr.ヘビー級タッグ王者同士の対戦。石森はこの試合の後、BEST OF THE SUPER Jr.の準決勝を闘わなくてはならないので、それを配慮しての試合順という事なのだろう。んで、いざ試合が始まれば、さすがに両者ともルチャ経験者だけあって手の合う攻防が続いた。そういえば三沢ルチャ・リブレの経験者だったねぇ。


いきなりマルビンが美しいトペを披露して観客を魅了した後、序盤は両者のジャベによる攻防、中盤は石森の左肘攻めvsマルビンの左足攻めという図式で試合は続く。そして終盤は石森が得意のヘッドシザース系の空中殺法と大技を連発、次々に炸裂したが…。15分はあっという間に過ぎ去って試合はドローに。試合後、マルビンはBEST OF THE SUPER Jr.の準決勝に向かう石森にエールを贈っていた。


う〜ん、正直カード編成の時点で結果が見えちゃっていたので、あんまり気合を入れて観戦できなかったなぁ。まぁ第一試合だし、あんまり文句言っちゃダメだな。

第二試合 ファミリー軍団vs悪役商会の萌芽が…

タッグマッチ 30分一本勝負
田上明(192cm/120.0kg)
 志賀賢太郎(187cm/102.0kg/フリー)
vs
 川畑輝鎮(180cm/110.0kg)
●起田高志(178cm/113.0kg/健介オフィス)
[12分1秒 スモールパッケージホールド]

う〜む、田上は社長業が忙しいのか、身体全体が本格的にプヨプヨしているね。やたらとデカい赤パンツと相まって、本格的に晩年の馬場さんに似てきたなぁ。三沢と田上は全日本プロレスでの決起軍の頃からの仲か。当時からどこか一歩引いた場所で活躍していた田上も、まさか自分が三沢の死を受けて社長になるとは露にも考えていなかっただろうなぁ…。


ってなワケで、第二試合はNOAHでは『息抜き枠』なのでサラッとね。先発は志賀と川畑による元パンパーズ対決となるも、大きな見せ場もないまま川畑が起田にタッチ。起田は志賀のヘッドシザースを首の力による強引な逆立ちで抜けて観客を沸かせるも、志賀からタッチを受けた田上社長のセクハラによる猛攻(乳首や股間にタッチ)を前に大苦戦。

そんなこんなで捕まった起田は田上社長のフロントキック、乳首摘み式コブラツイストなど喰らって悶絶。それでも何とかピンチを免れると、二度目の元パンパーズ対決(割愛)を挟み、タッチを受けた起田が志賀と田上に連続タックルをかまして猛反撃(起田はアメフト出身)。だが田上のまさかのスモールパッケージホールドを敢行、不意を突かれた起田はあっさりとフォール負けを喫した。


まあまあ、この枠はこんなモンでしょう。今日は三沢の一周忌だから「田上火山が噴火するかなぁ?」とも思ったけれど…。これはこれでいいんじゃないなぁ。

第三試合 若い力が育っています

タッグマッチ 30分一本勝負
谷口周平(183cm/105.0kg)
 青木篤志(170cm/82.0kg)
vs
 金丸義信(173cm/85.0kg/DIS OBEY/GHC Jr.ヘビー級 王者)
平柳玄藩(170cm/85.0kg/DIS OBEY)
[14分17秒 変形ジャーマンスープレックスホールド]

第三試合は、金丸以外は2005年にデビューした選手同士による対決となった。2005年のNOAHといえば、佐々木健介小橋建太が伝説の試合をやった東京ドーム興行を思い出すなぁ。あの興行のメインは三沢光晴川田利明の一戦だったんだけど、三沢のコンディションの悪さばかりが如実に現れてガッカリしたのを覚えているなぁ。特に三沢がタイガースープレックをやろうとして、ブリッジが作れずにオースイスープレックになってしまったシーンは、露骨に三沢の衰えを痛感したモンだった…。


先発は金丸と青木で、谷口と平柳と続き、やがて平柳が捕まる、という展開。青木が平柳に決めたドロップキックの打点が「高くて美しいなぁ」なんて思っていたら、今度は青木がDIS OBEYの二人に捕まった。金丸はいきなりのディープインパクト(トップロープからの飛び付き式DDT)で一気に勝負に出たが、これは青木がしのぐ。他にも要所で平柳のツバ攻撃(目潰し用)に悩まされた青木だが、スクールボーイとニールキックでピンチを脱出。

タッチを受けた谷口は、この面子の中ではダントツに大きい身体を利用したパワースラム四連発で会場を沸かせる。この流れを受けた青木もノーザンライトスープレックス、フロッグスプラッシュで追撃。金丸は必殺タッチアウト(捻りを加えた垂直落下式ブレンバスター)で反撃したが、谷口&青木の勢いは止まらない。最後は谷口が平柳に強烈な俵投げを連発、相手をファイヤーマンズキャリーで担ぎ上げてからの変形ジャーマンスープレックスでフォール勝ちを収めた。


う〜む、金丸は若手でもないのに、以前よりも身体つきが良くなっていたなぁ。青木は金髪を止めて茶髪にしていたけど、随分とベビーフェイスっぽくなっていたなぁ。髪の色だけで印象ってあんなに変わるモンかねぇ。そして谷口の身体は随分と大きくなったね。潮崎のライバルとして名乗りを挙げる日も近いのかな?

第四試合 NOAHのファンは温かい

タッグマッチ 30分一本勝負
齋藤彰俊(178cm/120.0kg)
 井上雅央(180cm/106.0kg)
vs
 佐野巧真(180cm/108.0kg)
相島勇人(178cm/105.0kg/フリー)
[17分34秒 片エビ固め]
※スイクルデス

2009年の今日、広島グリーンアリーナ三沢と最後に対戦したのが齋藤彰俊だ。その齋藤がコールを受けると、リング上には大量の紫の紙テープが投げられた。複雑な気持ちで今日の日を迎える齋藤の心理を察しての、NOAHファンの計らいと言えよう。優しいなぁ、いい光景だなぁ。そしてフリーの立場ながらもこの興行に参戦した相島勇人は、キングスロードへの参戦時に三沢に声を掛けられ、それ以来NOAHのリングに上がるようになった経緯があるそうだ。ふ〜む、あのキングスロードにもいい話があったとはねぇ…って、これはあくまで「三沢が良い人」だという話なダケか。


先発は井上と相島、レスリングを中心とした意外と長めの攻防。続いて齋藤と佐野、こちらはキック主体の攻防だったが、齋藤は腹の肉が付き過ぎていて、蹴りを出すのが辛そうだ。やがて試合は井上の独壇場に。股を裂かれるなどのコミカルな動きを連発して笑いをとる。そういえば三沢に「天狗のお面」を被らせたのは井上だったなぁ。そんな中、齋藤は相島に花道を使ってのDDTを敢行して主導権を握ると、超長滞空ブレンバスターで観客を沸かせる。

相島からタッチを受けた佐野が反撃、ソバットとフットスタンプで井上の腹を攻めていくも、やがて両軍は分断。リングには相島と齋藤が残り、まずは相島はスピアーで攻め込んだが…齋藤は裏落とし二連発、投げっぱなしのジャーマンスープレック二連発、ラリアット、デスパニッシュ(相手をリバースDDTの体勢に捕らえて胸元へラリアット)、そしてスイクルデス(延髄斬り)と畳み掛けて相島をフォール。


齋藤が勝った瞬間、会場だけではなくパブリックビューイングの観客からも自然と拍手が発生。齋藤はお客さんに礼をして会場を後にした。う〜ん、いい光景だ、しみじみといい光景だなぁ。

第五試合 なんか印象に残らんなぁ

タッグマッチ 30分一本勝負
佐々木健介(180cm/115.0kg/健介オフィス)
 森嶋猛(190cm/160.0kg)
vs
 杉浦貴(178cm/102.0kg/GHCヘビー級 王者)
本田多聞(188cm/127.0kg)
[17分24秒 体固め]
ノーザンライトボム

第五試合は、杉浦&本田の「元自衛隊アマレスタッグ」が、元GHCタッグ王者の健介&森嶋組に挑む一戦となった。ふむ、これは真っ向からのパワーのぶつかり合いを望めそうだな。それにしても、三沢の一周忌という興行で、現役のGHCヘビー級王者である杉浦がセミ前に出場したのか。いいのかねぇ、こんなカード編成で。ああ、そういえば健介と三沢って一回も一騎打ちはやってなかったよなぁ。今思えば、ちょっと見たかったかも。


先発は杉浦と森嶋。杉浦の巻き投げを連発、巨体の森嶋が何度も宙を舞う様子は中々に派手で壮観だ。続いて健介と杉浦。健介の逆水平チョップがかなり厳しく、早くも杉浦の胸は真っ赤に腫れ上がる。杉浦もエルボーで反撃しつつ本田にタッチしたが、ここで本田が健介の逆水平チョップの前にアッサリと捕まってしまう。

串刺しラリアットや監獄固めで攻め込まれる本田、更には嶋の圧殺殺法にも苦しめられた。特に全体重を掛けたボディプレスは強烈そのもの。ピンチに見舞われた本田だが巨体の森嶋をバックドロップで投げ捨てて反撃。タッチを受けた杉浦も森嶋を雪崩式ブレンバスターとジャーマンスープレックスで投げ捨てた。観客の歓声の中で、杉浦の二度目のジャーマンスープレックスを狙うも、これは森嶋のヒッププレスに潰された。

タッチを受けた健介は杉浦と真っ向勝負、スピードもパワーも互角。すると、杉浦に触発された本田は回転地獄五輪で健介を絞め、必殺技であるデッドエンド(ベリートゥバック)を敢行。健介のピンチに森嶋が乱入するも、杉浦はヒップアタックを空中でキャッチするとジャーマンスープレックスで投げ捨てる。チャンスを得た杉浦組だったが両軍は分断、リングに残ったのは本田と健介。本田は本日二度目となる回転地獄五輪とデッドエンドを狙うも、どちらも未然に防いだ健介は、森嶋のヒップアタックのアシストを得てノーザンライトボムを敢行、粘る本田を葬った。


ぬぬぅ、しばらく森嶋を生で観る機会がなかったんだけど、お腹周りがどんどん凄い事になっていくなぁ。若いうちはいいけど、こりゃあ晩年は苦労するぞ…。それにしても、試合自体はソツがなさ過ぎて感想が書きにくいなぁ。つまんないワケではないけど、面白いワケでもない、というかねぇ…。

第六試合 なんか全日本っぽい試合だなぁ

六人タッグマッチ 45分一本勝負
 高山善廣(196cm/125.0kg/高山堂)
 鈴木みのる(178cm/102.0kg/PANCRASE MISSION)
○KENTA(173cm/80.0kg)
vs
 モハメドヨネ(185cm/110.0kg/DIS OBEY)
 池田大輔(180cm/100.0kg/風天プロ)
●橋誠(180cm/96.0kg/フリー)
[16分53秒 片エビ固め]
※go 2 sleep

本日のセミファイナルは、なんとなく不思議な六人タッグ戦。NOAHの生え抜きはKENTAくらいで、高山、池田、橋という「NOAHの旗揚げに参加しながらも、途中で離脱した面々」が大量参戦!という、同窓会的な色合いの強いカードとなった。う〜む、一応「三沢一周忌ならではのカードが実現!」という言い方はできるのかな?ちなみに、この試合を裁くレフェリーは全日本プロレスでお馴染み和田京平NOAH的には違うけど、三沢という意味ではこの人も同窓会メンバーと言えるだろう。ま、みのる&和田レフェリーなら、試合内容は保障されたようなモノだね。っていうか、ぶっちゃけのカード、全日本プロレスでやった方が盛り上がりそう(笑)。


ヨネ組の入場の後、高山組は選手が別々に入場、KENTA、みのると続き、高山の入場時にヨネ組が奇襲を掛けた。だが実力差は大きく、直ぐに高山組のペースとなるも、何やら様子がおかしい。タッグを組んでいるハズのみのるとKENTAが対立したのだ。橋に攻撃する順番を巡って言い争う両者、続けて放ったKENTAのフロントキックはみのるに誤爆。う〜ん、みのるはこのテの小ネタが好きだねぇ。

やがて身体の小さいKENTAがヨネ組に捕まるも、パートナーであるハズのみのるは逆さ吊りにされたKENTAを挑発。机を持ち出して攻撃しようとする池田を和田レフェリーが身体を張って制したりする中で(当然、観客は「京平コール」一色)、KENTAはどうにかピンチを脱出してタッチ。もちろん、タッチの相手はみのるではなく高山だ。

ここで池田はペットボトルの水を持ち出し、高山と和田レフェリーの禿げた頭にぶちまける(「京平カッパ」に因んだ攻撃)も、試合の趨勢は変わらず。みのるは橋をしこたま攻撃した後で、嫌々ながらもついにKENTAにタッチ。これには観客が大いに沸いた。

そして始まるKENTAの猛反撃。橋にブサイクへの膝蹴りを浴びせると、続いてはノーガードの張り手合戦。観客の大歓声の中、これを制したKENTAはバズソーキックを顔面に叩き込むと、最後は必殺go 2 sleepで粘る橋を退けた。見事に勝利を収めた高山組だったが、結局KENTAとみのるの不仲は続き、勝利アピールの時もいがみ合いを展開していた。みのるは最後の最後まで徹底しているなぁ。


う〜む、最後の張り手合戦では長期欠場から復帰したKENTAではなく、NOAHを解雇された橋の方に声援が集まったのが印象的だなぁ。そしてこの試合でまったく存在感を発揮できなかったヨネ。正直、GBHは好きじゃない僕でも、DISOBEYとGBHを並べて語るのはおこがましく感じた。 やっぱりヨネにヒールは向いてないんじゃないの?

第七試合 メインも比較的あっさり目

三沢光晴メモリアルマッチ 60分一本勝負
潮崎豪(183cm/110.0kg)
 丸藤正道(176cm/90.0kg/IWGP Jr.ヘビー級 王者)
vs
 秋山準(188cm/110.0kg)
小川良成(180cm/90.0kg)
[21分34秒 片エビ固め]
※豪腕ラリアット

本日のメインイベントは「三沢光晴メモリアルマッチ」と題して行われる。出場するメンバーの中では丸藤以外は三沢のタッグパートナーの経験者であり(秋山とは超世代軍として世界タッグ王座を獲得。小川とは「アンタッチャブル」として活動し、アジアタッグ王座と世界タッグ王座を奪取。潮崎とは第二回グローバル・タッグ・リーグでタッグを結成して優勝)、丸藤は三沢の付き人の経験がある(アンタッチャブルに所属していた頃)という、三沢とは縁の深い面子同士による一戦となった。成程、これはメインイベントに相応しいメンバーだね。


先発は小川vs潮崎。顔見せ程度の攻防が続いた後で両者はタッチ、秋山vs丸藤となったが…両者は早くも激しい技の読み合いを披露して観客を沸かせると、丸藤に代わって登場した潮崎の得意技である逆水平チョップを、秋山はすべてブロックしつつエルボーを叩き込む。やがて秋山組は潮崎の右腕を集中的に攻撃するも、これを何とか振り切った潮崎は、ここぞとばかりに逆水平チョップを敢行。バッシーン!という轟音が会場に響き、観客は大いに沸いた。

「ふ〜み、試合は始まったばかりだというのに、ここまで随分と『見せ場』が多かったなぁ。試合のテンションの維持とか、大丈夫なのかなぁ?」なんて思っていたら、今度は潮崎からタッチを受けた丸藤が秋山組に捕まった。普段は「華のある巧さ」で観客を魅了する丸藤が、小川の「渋味のある巧さ」の前に翻弄される。小川が両腕をクロスしてのサーフボードストレッチ、そして拷問式のカベルナリアで絞め上げれば、秋山はショルダースルーで丸藤を高々と投げ捨てる。そんなこんなで、かなり長時間に渡って秋山組に捕まっていた丸藤だったが、試合時間が15分を過ぎたあたりでようやく脱出して潮崎にタッチ。う〜ん、今日の丸藤は諸先輩方を前に大人しくしているように見えるね(笑)。

潮崎は得意のトラースキックと逆水平チョップ、そしてジャーマンスープレックで秋山&小川を一気に攻め込む。秋山のエクスプロイダーを喰らう場面もあったが、すかさず剛腕ラリアットを叩き込んで倍返しだ。倒れこんだ後で両者は共にタッチ、小川のサミングをすかした丸藤はトラースキックを入れるも、小川は得意のバックドロップで勝負に出る。これは丸藤がクリアしたが、危ない場面だったな。

丸藤はお返しの打撃のラッシュを浴びせようとするも、小川はすべてかわしてチンクラッシャー。それでも丸藤はキッチリと不知火を決めると、潮崎がムーンサルトプレスで追撃。だが、小川はローリングで逃れると、潮崎に必殺バックドロップホールドを決めた。これ以上ないタイミングで必殺技を出した小川だが、3カウントは奪えず。やや意気消沈する小川に対して、逆にこれで勝機を得た潮崎がローリングの袈裟斬りチョップを連発して一気に攻め込み、最後は剛腕ラリアットの一閃で先輩小川をマットへと沈めた。

闘いが終わればノーサイド。四人は全員で腕を上げて観客の声援に応えていた。


ふ〜む、なかなかの熱戦ではあったけど、これが「三沢の一周忌」だという事を考えると、随分とアッサリと試合が終わった印象があるなぁ。僕はてっきり、試合後に「スパルタンX」が掛かるモンだと思っていたんだが…。まあ、いつまでも「三沢におんぶにだっこ!」というワケにはいかないか。

雑感

会場前には献花台が置かれ、興行の開始前に一分間の黙祷が行われた三沢光晴の一周忌興行。



会場前に置かれた三沢の献花台。その花の量はハンパなものじゃなかった。

だが蓋を開ければ、興行の中では三沢の死には一切触れず、あくまで試合で観客を満足させるという、飾る事を嫌うNOAHらしい興行となったように思う。僕としては「三沢の死を感じさせない興行」にならなかったのはちょっとだけ残念なんだけど、序文にも書いたようにNOAHはこの後で「ラッシャー木村 追悼興行」や有明コロシアムでの大一番が控えているから、底力を発揮するのは抑えたのだろう。


う〜む、やはり今日の興行で現在のNOAHについて「あーだ!こーだ!」を判断するのは野暮だな。まあ逆に言えば「ラッシャー木村 追悼興行」とか有明コロシアムでの興行も観戦すれば、今のNOAHについて何かしらの判断ができるのだろうし。今はただ、偉大なるレスラーを偲んで黙祷を捧げることにしよう。


以上、長文失礼。