3/22 DRAGON GATE 両国国技館興行 観戦記

Mask_Takakura2010-03-22

ちょっと実験で、写真をバカみたいに使ってみました

本日は両国国技館にてDRAGON GATE(ドラゴンゲート)を観戦。


この日は横浜アリーナではDREAM、後楽園ホールでは修斗が開催されており、「う〜む、果たしてどれを観戦したものか?」とかなり迷ったのだが、「興行の命運は『風前の灯』」と言われて久しいDREAMは、とりあえず地上波が観ればOKかな?ということで真っ先に切った。んで、修斗DRAGON GATEの間でかなり迷った…というよりは、やや修斗の方に心が傾いていたのだが…。

正直、メインイベントが上田将勝vs勝村周一郎というカードの弱さがどうしても受け入れられず、結局はDRAGON GATEを観戦することにしたのだ。それにしても「なんで、こんなカードなのっ!? こんなの鉄板で、上田の勝ちに決まってるジャン!」と思っていた修斗のメインで、まさかまさかの大番狂わせが起こるとは。あの上田が勝村に一本負けするとはなぁ。世の中に絶対などない、ということか。

勝村、無敗王者上田から一本(bout reviewへのリンク)

http://www.boutreview.com/2/reports/shooto/100322shooto.html


閑話休題、話をDRAGON GATEに戻そう。そんなワケで、いつものように興行の開始寸前に当日券にて会場入りしようと思い、近所のスーパー銭湯でのんびりした後で両国国技館に向かってみると、そこにはチケットを求める人々の長蛇の列が。う〜む、興行は始まっているというのに、何でこんなに列が出来ているんだろ?「あまりの盛況ぶりに、開始時間を過ぎても長蛇の列が!」って雰囲気でもないしなぁ。第一、DRAGON GATEほどの百戦錬磨の団体が、観客の捌き方を知らないワケがないし。なんか、この列は客寄せのためにわざと作っているダケのような気がするね。

ちなみに、この列にいた人々はみんな優待券を手にしていた。優待券による入場だと、なんと1000円で会場入りできるらしい。これは安いなぁ、僕もどこかで貰って来れば良かったなぁ。ま、今日は一番安い席を3000円で購入して入場しているから、あんまり大きな痛手ではないけどね(苦笑)。


観客の入りは、一面をモニターや花道用に潰した上で八割程度。満員ではあるけど、超満員ではないくらいの入り。空席も目立ったが、それでも先日生観戦した戦極よりは入っていると言える。ふ〜む、今日は大箱興行の割にはカードも弱いし、ストーリー作りも薄いなぁ、と感じていたので、僕はこの入りでも「健闘しているなぁ」という印象。でもぶっちゃけ、興行前にかなりの数の優待券をバラ撒いたようなので、この客入りを額面通りには捉える事はできないかな。

第二試合 意外とおとなしい試合だったような

ハンディキャップマッチ 30分一本勝負
 神田裕之(175cm/88.0kg/Deep Drunkers(元REAL HAZARD))
 新井健一郎(176cm/85.0kg/Deep Drunkers(元REAL HAZARD))
菅原拓也(178cm/93.0kg/フリー/Deep Drunkers(元REAL HAZARD))
 Kzy(172cm/75.0kg/Deep Drunkers(元REAL HAZARD))
vs
横須賀享(173cm/77.0kg/クネスカ(元REAL HAZARD))
 K−ness.(174cm/83.0kg/クネスカ(元REAL HAZARD))
[12分37秒 体固め]
※十三不塔

昨年末から今年始めに掛けて、DRAGON GATEでは軍団の垣根を超えた世代闘争が勃発。その中でREAL HAZARDは神田裕之、新井健一郎横須賀享K-ness.斎藤了堀口元気といった、ベテラン軍と新世代軍の間に挟まれた世代の選手がとして集結し、REAL HAZARDは「第二世代軍」を名乗るようになる。だが、本来のREAL HAZARDは無法者が集うヒール集団。一部の人間のあまりの悪辣ぶりに愛想を尽かしたメンバーが次々に離脱し、結局はあっという間に空中分解。っていうか、世代闘争が終われば、意見の合わない者同士が組んでいる義理はないわな。


そんなこんなでREAL HAZARDに残った神田と新井、そして世代的には若手軍にいるハズの菅原拓也、Kzyの四人は、ブランド力を失ったREAL HAZARDの名前を捨て、新たにDeep Drunkersとしての活動を開始。初お披露目となった先日の後楽園ホールの興行では、REAL HAZARD時代のチームメイトである横須賀とK-ness.に制裁を加えて圧勝。だが、これでは満足しないDeep Drunkersは、この両国で4対2のハンディキャップマッチを要求。理不尽な要求に怒るK-ness.を尻目に、横須賀がこれを受諾して試合は成立。

横須賀は条件として、この試合に勝利すればDeep Drunkersを解散させることを宣言。だがしかし、やはりというか、なんというか…。いざ試合が始まると、所詮は多勢に無勢。横須賀はアッサリとDeep Drunkersの面々に捕まってしまった。う〜む、威勢の良さだけで太刀打ちできる連中ではないよなぁ…。




代わる代わる、Deep Drunkersのメンバーからの制裁を受ける横須賀。ここは我慢の時間帯である。




やがて横須賀が反撃してK-ness.にタッチ、ここからはクネスカの時間だ。Deep Drunkersの中では一番の若手であるKzyに焦点を絞り、K-ness.が猛攻を掛ける。横須賀も息を吹き返し、菅原に一矢報いるも…。




やはり四対二は分が悪い。Deep DrunkersDRAGON GATE伝統の凶器であるカラーボックスを使用して形勢を逆転すると、神田裕之の必殺技である下克上エルボーも決まってしまった。



最後は新井健一郎がこれ見よがしにコーナーに登る中、K-ness.の目の前で菅原が十三不塔を決めて、横須賀を完全KO。Deep Drunkersの初の大一番は、自らの存在を満天下に知らしめるデモンストレーションとしては最高の形で結末を迎えた。



失意のどん底へと堕ちるクネスカ。観客のブーイングの中、威勢良く勝利を収めたDeep Drunkersは花道の上で勝利の美酒に酔っていた…のだが、意外にもマイクアピールはなし。



試合内容は細かく書かなかったけど、内容は典型的な『DRAGON GATEでの新ヒール軍団のお披露試合』を思い浮かべれば問題ないかと。DRAGON GATEを見慣れている人にとっては「いつもの『ヒール枠』の試合」って感じかな。

第三試合 もっと熱い試合になると思っていたんだが…

オープン・ザ・ブレイブゲート選手権試合 3WAYマッチ 60分勝ち残り戦
スペル・シーサー(169cm/77.0kg/Seesaas/オープン・ザ・ブレイブゲート 王者)
vs
澤宗紀(173cm/85.0kg/格闘探偵団バトラーツ)
vs
堀口元気(173cm/75.0kg/WARRIORS)

前王者のK-ness.を破り、デビュー以来初の王座となるオープン・ザ・ブレイブゲート王座を戴冠したスペル・シーサー。だが、勢いもそのままに乗り込んだZERO1でのNWAインターナショナルライトタッグ選手権では、澤宗紀の前に敗れてしまう。だが、澤がフィニッシュ直前に使用した伊良部パンチが思わぬ因縁を呼んだ。「あれは反則!」と主張するシーサーは、ブレイブゲートの挑戦者として澤を指名する。だが、これに待ったを掛けたのが堀口元気。「順番ではオレが挑戦するハズだったのに!」と主張し、結局は3WAYマッチにより決着をつけることとなった。


ってなワケで選手入場となったが…。観客の歓声は、格闘探偵団バトラーツに所属し、DRAGON GATEにとってはまったくの外様であるハズの澤に集中していた。まあ、メディアなんかはあんまり取り上げないけど、澤はどこへ行っても人気があるからねぇ。試合も熱いし、もう少し上背があればメジャーからも引っ張りだこになるんだろうけどなぁ…。




一本目 堀口は愛されています

○スペル・シーサー(169cm/77.0kg/Seesaas/オープン・ザ・ブレイブゲート 王者)
堀口元気(173cm/75.0kg/WARRIORS)
[7分20秒 ヨシタニック]

そんなこんなで始まった3WAYマッチ。まずは堀口が久々に観客を「H・A・G・E!」と煽りまくるも、この試合の主役は俺だ!と言わんばかりに、絶好調のシーサーは二人まとめてのコブラツイスト、そしてロメロ・スペシャルで観客を魅了する。




やられてばかりではいられない。堀口はトペ・コンヒーロで場外へと舞い、澤は堀口の髪の毛をやたらと触りつつ、スリーパーで絞め上げていく。やめてやって!堀口はリアルH・A・G・E寸前なんだからさ!



だが、王者になってからのシーサーは勢いが違う。雪崩式フランケン・シュタイナーに、二人まとめての横入り式エビ固め。ノリにノッてるシーサーが、挑戦者二人を翻弄していく。



今度は澤vs堀口が開戦。猪木ばりにナックルを落とす澤に対して、堀口は必殺のバックスライド・フロム・ヘヴン(逆さ押さえ込み)を決めるも、澤はカウント2でクリア。



二人の闘いに、横から入るシーサー。まずはうるさい澤を蹴散らすと、堀口と真っ向から激突。堀口はもう一つの必殺技であるビーチブレイクの体勢に入るも、シーサーはこれをヨシタニックで切り返し、そのままカウント3を奪った。



でも、この試合は3WAYの勝ち抜き戦。フォールの後もまだまだ続くよ!

二本目 澤のマイクが聞きたかった

○スペル・シーサー(169cm/77.0kg/Seesaas/オープン・ザ・ブレイブゲート 王者)
澤宗紀(173cm/85.0kg/格闘探偵団バトラーツ)
[11分3秒 ヨシタニック]
※シーサーが防衛に成功

いよいよ因縁の二人による対決だ。両者の意地が正面からぶつかりあう。




一進一退の攻防の中、澤の必殺技であるお卍固めが決まった!シーサー、万事休すかっ!?



だが、これを切り返すシーサー。ならばと澤は因縁の原因となった伊良部パンチを繰り出そうとしたが、これをシーサーは後の先による掌打で未然に防ぐと、澤にも必殺ヨシタニックを決めた。澤はこれを返せずにカウント3。これによりシーサーは初防衛に成功。



試合が終わればノーサイド。三人はそれぞれにお互いの健闘を称えあった。



んで、試合が終わった後は何かあるのかな?と思ったら、第二試合に続いて大きな動きはなし。マイクもなしのアッサリ味、これは意外。酷いボケとムチャブリの嵐となる澤のマイクは是非、この両国という会場で聞きたかった。

第四試合 わざわざメキシコから呼んだのに

タッグマッチ 30分一本勝負
吉野正人(172cm/75.0kg/WORLD-1)
 B×Bハルク(178cm/78.0kg/WORLD-1)
vs
 ドラゴン・キッド(161.8cm/70.0kg/WARRIORS)
●フベントゥ・ゲレーラ(165cm/86.0kg/メキシコ)
[14分7秒 ソル・ナシエンテ]

メキシコのCMLL&AAA、アメリカのECW&WCWWWE&TNA、そして日本の新日本プロレスと、世界中のプロレス団体で活躍を続けるフベントゥ・ゲレーラ。先日の後楽園ホールで来日し、CIMA率いるWARRIORSとの衝撃合体を果たした男が、今日は十年前のWCWで交流があったというドラゴン・キッドとタッグを結成。対戦相手は吉野正人&B×Bハルク。スピードとパワーを兼ね備えたWORLD-1の二人に、盟友タッグはどう立ち向かうのか?


まずはハルクが入場、帯同している女性ダンサー四人と派手なダンスを踊って観客を魅了するが、段々とキレがなくなってきている気がするのは本人のやる気の問題だろうか?




対する盟友タッグの入場。フービーはキッドに合わせてマスクを着用しての入場なのだが…観客の声援はイマイチ。う〜む、数年前に行われたAAAの日本ツアーでは大人気だったんだがなぁ。ま、DRAGON GATEに来る外国人は、いつも初来日の時は反応は薄いんだけどね。



試合前、お互いに睨み合う両軍。こうやって見ると、フービーのマスク姿はDRAGON GATEの光景に馴染んで見える。カッコいいなぁ。



試合開始、まずはキッドvs吉野、フービーvsハルクによる顔見せムーブ。四人ともにルチャの定番の動きで観客を沸かせる。



そんな中、捕まってしまったのはキッド。ハルクのムーサルト・セントーン、吉野の長滞空式ブレンバスター、そしてハルクのサイドバスター+吉野のフットスタンプという合体攻撃など、WORLD-1の波状攻撃を喰らってしまう。




やられてばかりではいられない、WARRIORSの反撃だ。キッドの飛び付き式のヘッドシザース、そしてデジャブ。これにフービーも回転式レッグラリアート、そしてフービー・ドライバー(みちのくドライバーII)で続く…のだが、派手な動きを連発するハルク&吉野、そしてキッドと比べると、フービーの動きはイマイチ地味である。ぬぬぅ。




そんな中、吉野がフロムジャングルを決めると、すかさずキッドがクリストを決める。観客にもわかりやすい形で、両軍の意地が交差する。



派手な大技を連発する両軍、そして技の先を読む選手たち。キッドのトップロープからの攻撃はハルクに迎撃され、WORLD-1の連携はキッドが自らカット。



いつもよりも高さが尋常ではない吉野のミサイルキックがキッドに決まり、両国の観客を沸かせるも…、それらのムーブの中にフービーの姿はない。むむむぅ。



今度はキッドとフービーの合体攻撃、高さが尋常ではない雪崩式フランケン・シュタイナーが吉野に決まるも、フービーのフォールはハルクがカット。



試合は終盤へと突入、両軍は必殺技を連発。キッドのウルトラ・ウラカンラナ、ハルクのオーバーヘッドキックやE.V.O.(変形エメラルド・フロージョン)、フービーの名前はわからないけどなんか大技(苦笑)が決まる中で…。




勝負を決めたのは吉野。得意のトベルジーニョ(飛び付いて回転してからのアーブブリーカー)から、最後はソル・ナシエンテ(変形の三角絞め)。必殺技のフルコースを決められては、フービーはギブアップするしかなかった。ぬぅ、ゲストであるはずのフービーが負けるのは意外だな。



キッドと吉野といえば、DRAGON GATEでも随一のスピードの持ち主であり、ハルクといえばDRAGON GATEでは比較的大きい身体でありながら、華麗な飛び技を連発するレスラー。そんな彼らが、両国という大舞台で目一杯のプロレスをするモンだから…。大物ゲストのはずのフービーが、彼らの影に隠れてしまった。

う〜ん、キッドと吉野&ハルクは普段からしょっちゅう試合で顔を合わせているだけあって、一つ一つの攻防が噛み合っていたけど、彼らの攻防が白熱するほどに、フービーの居場所はなくなっていったような気がするなぁ。折角、メキシコからはるばる来日したというのに、こんな扱いでいいのかねぇ?

第五試合 今日、最大のサプライズ

オープン・ザ・トライアングルゲート選手権試合 六人タッグマッチ 60分一本勝負
 曙(203cm/210.0kg/フリー/オープン・ザ・トライアングルゲート 王者)
望月成晃(175cm/90.0kg/無所属/オープン・ザ・トライアングルゲート 王者)
 ドン・フジイ(175cm/105.0kg/無所属/オープン・ザ・トライアングルゲート 王者)
vs
アブドーラ・ザ・ブッチャー(186cm/150kg/スーダン)
 NOSAWA論外(179cm/88.0kg/東京愚連隊)
 MAZADA(172cm/87.0kg/フリー/東京愚連隊)
[13分3秒 体固め]
※ミドルキック連打/王者組が防衛に成功

今年1月に来日し、新日本プロレスでCHAOSの面々とタッグを結成するも、最後はアイアン・フィストによる地獄突きでおいしいところを持って行ったアブドーラ・ザ・ブッチャーが今宵、DRAGON GATEに登場。なんでも、曙の腰回りに合わせて作成された特注のオープン・ザ・トライアングルゲートのベルトの存在を知り、「あれならオレにも巻ける!」と意気込んでいるのだそうな。いかにも子供だましな参戦理由ではあるものの、入場曲である「吹けよ風、呼べよ嵐」が流れれば、僕を含めた年配のファンは無条件に大歓喜。いや〜、まさか2010年にして生ブッチャーを観戦できるとは思わなかったなぁ。


だが、現実は厳しい。さすがに還暦を過ぎているだけあって、歩くのもシンドそうな様子のブッチャー。自軍のコーナーの色を間違えるなど、試合勘に関しても鈍っている様子。いつだって流れる月日は残酷だ。




試合前に睨み合う両軍、曙とブッチャーの存在感が凄い。ちなみにDRAGON GATEの選手権試合では、試合前に記念撮影をするのが定番なのだが、この段取りを判っていないブッチャーは撮影に応じなかった。ひょっとしたら「今から対戦する相手と、一緒に写真になんか写れるか!」という感覚による行動なのかもしれん。っていうか、その方が幻想が膨らむからそっちにしよう(笑)。



先発はNOSAWAと曙。まずはNOSAWAがボディスラムで曙を投げ飛ばす…ワケもなく、あっさりとハンマーパンチを喰らってしまった。この後、MASADAも加勢するも、やっぱり曙の返り討ちに合ってしまう。うむ、これぞ愚連隊の定番ムーブ(苦笑)。



自分では勝てないと見たNOSAWAはブッチャーとタッチ。観客の大歓声の中、曙が雲竜型の構えを見せると、ブッチャーは得意の空手ポーズで応戦。これには観客がドッと沸いた。いいなぁ、これこそプロレスの間だよなぁ。



この後、攻撃の焦点を望月に絞って攻めたブッチャー&愚連隊。ブッチャーの凶器攻撃(もちろんフォーク!)により望月が流血に見舞われる中、ピンチを察したフジイが試合に乱入、あろうことかブッチャーの額にペンチによる凶器攻撃を仕掛ける。これでブッチャーは額から流血、思わぬところで王者組に捕まった上に曙のボディアタックまで受けてしまう。おお、還暦を過ぎたレスラーに対して、なんという容赦のない攻撃の数々!




だが、愚連隊が加勢してピンチを脱出したブッチャーは、何とこのタイミングで、倒れた曙に対してランニング・エルボードロップを一閃!観客は往年の名レスラーが繰り出す必殺技に歓喜したが、フォールは望月&フジイが慌ててカット。当然、二人の行為にはブーイングが飛んだ。



いずれにせよ、再びペースを掴んだブッチャーは、お気に入りの望月に再びフォークを突き立てる。望月はこれで再び流血。ふ〜む、女性に人気があるDRAGON GATEの中で、ここまで明らさまな流血戦は非常に珍しいな。



ブッチャーが掴んだペースに愚連隊の面々も続く。今日は基本的にブッチャーの脇に回っている愚連隊だが、要所要所で試合の緩急をコントロールしているのはさすがだと言わざるを得ない。



だが、望月はドロップキックでピンチを脱出、ここから王者組の猛攻が始まった。曙の上手投げとボディプレス、望月のソバット、フジイの喉輪落としなどが炸裂、愚連隊は一気に劣勢に回ってしまう。




それでもNOSAWAはシャイニング・ウィザードで反撃し、望月を捕まえてトップロープからのダイビング凶器攻撃を敢行するも、これは何とブッチャーに誤爆!ああ、70歳近いレスラーに何てことを!



これを機に、王者組が勝負に出る。愚連隊を簡単に蹴散らした後、攻撃の焦点はブッチャーに絞られた。曙の掟破りの逆エルボー・ドロップ、そしてランニング・ボディプレスを喰らうブッチャー。大ピンチの中、得意の地獄突きやヘッドバットで何とか窮地を脱出しようとするブッチャーに声援が集まる。




だが、望月はブッチャーを自軍コーナーに立てかけると、容赦のない左ミドルキックを猛連打。喰らい続けたブッチャーは力なく倒れ、なんとそのまま望月にカウント3を許してしまった!



な、なにいいいぃぃぃ〜っ!ブッチャーが日本人にフォールとられるのって何十年ぶりよっ!?四天王プロレスの黎明期の小橋ですら、ブッチャーには負けたというのになぁ…。いや〜、この結末には心底、ビックリした!



だが負けた後、闘志が衰えないブッチャーは曙を見据えて再戦をアピールすると、観客にもブッチャーコールを要求。観客が「ブッチャーッ!ブッチャーッ!」と声援を贈ると、上機嫌な様子で会場を後にしていった。アレ?最後のマイクって、今年の新日本の東京ドームでの様子と同じジャン(笑)。




しかしまあ、プロレス界のレジェンドからカウント3を取るとはなぁ。前の試合のフービーの扱いといい、神をも恐れぬDRAGON GATEといったところか。恐るべしと捉えるべきか、空気読めと言うべきか。


第六試合 久々にCIMAとGammaの本気を見た

オープン・ザ・ツインゲート統一タッグ選手権試合 タッグマッチ 60分一本勝負
鷹木信悟(178cm/88.0kg/KAMIKAZE)
 サイバー・コング(178cm/120kg/無所属)
vs
●CIMA(174cm/82.0kg/WARRIORS/大阪06/オープン・ザ・ツインゲート統一タッグ 王者)
Gamma(170cm/92.0kg/フリー/WARRIORS/大阪06/オープン・ザ・ツインゲート統一タッグ 王者)
[24分52秒 片エビ固め]
※ラストファルコンリー/鷹木&サイバー組が新王者に

犬猿の仲から一転してのタッグ結成から一年、このたびCIMA&Gamma組が『大阪06』なるチーム名で本格的に始動することを宣言。持ち技のキレ味、負けん気の強さ、茶目っ気のある反則技、マイクパフォーマンス。どれをとっても日本のプロレス界でも随一の実力を誇るこの二人にとって、鷹木信悟とサイバー・コングの存在など、ただの若手でしかないのだ。今回のオープン・ザ・ツインゲート統一タッグ王座の防衛戦についてCIMAは「ビッグマッチでの初防衛戦で王者は負けない。これはプロレス界の鉄則や!お前ら、プロレス界の鉄則を舐めるなよ!」と豪語する。

ましてや今日のCIMAには、絶対に負けられない理由があった。サイバー・コングの存在だ。実はコング、『首の負傷と精神的不安定』を理由に昨年11月に一度、DRAGON GATEを退団しているのだ。今日は復帰第一戦となるコングだが、『一度は逃げ出した人間が、復帰戦で王座に挑戦』という事実は、王者にとって面白いわけはない。この試合は、常に第一線で活躍して団体を守ってきたCIMAが、挑戦者組にどんな意地の見せ方をするかが見物なのだ。




リングの真ん中に仁王立ちになり、観客の様子を伺うCIMA。この男はこういう仕草だけで観客を魅了できる、日本では数少ないレスラーの一人だと思う。



これに対して鷹木が向かっていくも、CIMAとGammaはベテランならではのインサイドワークで翻弄する。しかし今日は、鷹木を見下ろすGammaの眼が大真面目だ。今日の一番に賭ける並々ならぬ思いを感じる。



試合はまだまだ序盤戦、鷹木は大阪06に反撃してコングにタッチ。CIMAに真正面からチョップを仕掛けるコングだが、CIMAはまったくの涼しい顔。マスク越しにでも、コングの表情が怒っているのがわかる。



だが、コングを怒らせるのは大阪06の作戦だった。突進してきたコングをカニ挟みで倒すCIMA、そこへGammaがハサミを手にして乱入し、コングの髪の毛の一部を切ってしまった。これには観客も驚きの悲鳴を上げざるを得なかった。



大阪06の暴挙に怒りを隠せない鷹木が乱入するも、二人は巧みな試合運びでその動きを封じてしまう。それにしてもGammaの足攻めは見事だ。反則殺法ばかりが目立つGammaだが、こういった試合の巧さも見逃してはならない。




インサイドワークで勝負してくる大阪06に、鷹木はパワーで対抗。二人まとめてブレンバスターで投げ捨てる姿は、まさに鷹木の真骨頂だといえるだろう。



タッチを受けたコングが猛攻を掛ける。Gammaに強烈な逆水平チョップを連発すると、リフトアップで高々と持ち上げた。こちらも鷹木のパワーに負けていない。



だが、これに待ったを掛けたのがCIMA。リング内に乱入してコングに突っかかったと思えば、鷹木とGammaが試合をしている間もリング外で因縁をつける。よっぽどコングの存在が気に食わないのだろう。



大阪06の猛攻が始まる。Gammaは鷹木をブレンバスターで投げ捨て、DRAGON GATEでは巨漢のコングをバックドロップに切って捨てる。CIMAもボディスラムでGammaに続き、更には鷹木とコングを二人まとめて相手にする。インサイドワークだけではない、大阪06にはパワーもあるのだ。




ここまで、大阪06に攻められる場面が多い鷹木だが、Gammaをブレンバスターで投げ捨てると続けてデスバレーボムを決める。いざ反撃に転じれば、力強い攻撃を連発できるのが挑戦者組の強みだ。



CIMAは鷹木にパーフェクトドライバーを決めるも、ここでコングが介入。なんとか流れを変えたい挑戦者組だったが…。



ここをCIMA&Gammaは、なんとシュバイン&Gammaスペシャルの競演で迎撃。やはり大阪06は巧くて強い。



一気に勝負に出るCIMA&Gamma。CIMAのクロスファイヤーからGammaの美技、スカイツイスター・プレスへと繋ぐ黄金連携だ。それにしても、今日のGammaは「きれいなGamma」だ。要所でツバ攻撃や竹刀攻撃を使ったりしたけれど、基本的には挑戦者の技を真正面から受けている。カッコいいなぁ。



大ピンチを迎えた挑戦者組だが、ここをしのぐと猛反撃を開始。まずはコングがハンパーパンチの乱打で攻め込むと、鷹木&コングの合体雪崩式ブレンバスターがCIMAに決まる。



そしてGammaには、完璧な形でサイバーボムが決まる。一転して大ピンチを迎えた大阪06だが、Gammaはカウント2でクリア。これには観客が大歓声に沸く。



更にはCIMAにダブルインパクトの洗礼。元々パワーはDRAGON GATEの中でも随一の二人、一度動きだすと挑戦者組の勢いはまったく止まる様子がない。



CIMAとコングのパワーボムを巡る攻防。意地でもコングの技を喰らうまいとするCIMAに対して、何としても投げ捨てようとするコング。両者の意地が交差し、観客は二人に対する大歓声に包まれたが…。一度は切り返しそうになったCIMAだったが、最終的にせり勝ったのはコングの方だ。フルパワーでリングに叩きつけられたCIMAのダメージはかなり大きい。




最後に残ったのは鷹木とCIMAだ。激しい攻防の中で、畳み掛けたのは鷹木の方だ。パンピング・ボンバーでCIMAを一回転させると、デスバレーボムへと繋ぎ、フィニッシュは強烈なラストファルコンリー。これを決められては、さしものCIMAもカウント3を聞かざるを得なかった。




とにかく大激闘だったこの試合。特に勝負を決めた鷹木とCIMAはしばらくの間、立ち上がる事ができなかった。



う〜ん、これはいい試合だった。いわゆるDRAGON GATEらしい試合ではなかったけど…。若さと力で正面突破を目指す鷹木&コングと、技とインサイドワークで正面からはね返すCIMA&Gammaが真っ向から激突する「正統派の好勝負」だったね。出戻り一戦目で王座に挑戦するコングの存在が許せないCIMAの怒り、それを舐められまいと奮闘するコングの意地、王座奪取に固執する鷹木の執念、得意の反則技を殆ど使わずに勝負に挑んだGammaの心意気。そのすべてが試合の中で巧く表現されていた、非常にプロレスらしい好勝負だったなぁ。

ちなみに今日は大激闘を制した鷹木だけど、意外にもマイクはなし。あれ?鷹木って寡黙そうなキャラクターの割には「おしゃべり好き」だという印象があるんだけどなぁ。これは意外だなぁ。



第七試合 YAMATOは今、一番愛されている選手です

オープン・ザ・ドリームゲート選手権試合 シングルマッチ 60分一本勝負
○YAMATO(172cm/82.0kg/KAMIKAZE)
土井成樹(173cm/82.0kg/WORLD-1/オープン・ザ・ドリームゲート 王者)
[31分56秒 片エビ固め]
※ギャラリア/YAMATOが新王者に

今日のメインイベントは、デビュー十年目の土井成樹と、デビュー四年目のYAMATOによるオープン・ザ・ドリームゲート選手権。

この一年間、両者が歩んできた道はまったくの正反対。DRAGON GATEという団体の中で曙や金本浩二という外敵を相手に王座を防衛し続け、気が付けば王座の防衛回数は8回にも及んだ土井成樹。対するYAMATOは新日本プロレスのBEST OF THE SUPER Jr.に参戦し、獣神サンダー・ライガー金本浩二に勝利し、SUPER J-CUPでも試合巧者の外道を撃破、同大会で三位という戦績を残した。団体の中で王座を防衛する事で自らの価値を高めた王者に対して、他団体で活躍することで自分自身と団体の存在をアピールしたYAMATO。なかなか面白い対比だが、声援を集めていたのはYAMATOの方だった。ふ〜む、確かにYAMATOは新日本ファンにも愛されていたからなぁ。




そんな二人が繰り広げた攻防はグラウンド中心の内容となった。序盤はオーソドックスなレスリングによる攻防。他団体ならいざ知らず、DRAGON GATEの若い選手がこういう攻防をするのは珍しい。




そんな中、最初に主導権を握ったのは和術慧舟會出身のYAMATO。アキレス腱固めやテキサスクローバーホールドなどを駆使し、徹底した左脚攻めで土井を追い詰める。




対する土井も、しつこいまでの右腕攻めで応戦。この手の地味な攻めは本来はYAMATOが得意とするものだが、今日は土井もそれに付き合っているな。




ペースを握った土井は、YAMATOをロープに縛り付けてドロップキックを放つ。なかなかにエゲツない一撃だ。



この後、土井は場外へと逃げたYAMATOにトペ・コンヒーロを浴びせるも、リング内ではYAMATOがキッチリと反撃。倒れこむ両者に黄色い声援が飛び交う。



そして、このタイミングでYAMATOは土井の左脚にアンクルホールドを極める。地味な技を繋いで試合を組み立てるのがYAMATOのスタイルなのだ。



これに対して土井も投げ技で反撃。得意技のDOI555(どいファイズ)も繰り出した。持ち技こそ多くないが、動く時はやたらと派手なのが土井の特徴である。



だが、尚もYAMATOはアンクルホールドで土井を攻め込む。YAMATOの徹底した左脚攻めに、観客の声援は熱くなる一方だ。



そしてYAMATOは、ここで必殺技のスリーパーホールドを繰り出し、ここからはスリーパーを巡る攻防へ。流れの中で土井もスリーパーを極めたりしたが、その返し方も熟知しているYAMATOはカニ挟みで脱出に成功。う〜ん、魅せるねぇ。




尚もYAMATOはスリーパーに拘るが、土井は雪崩式で背中から落としたり、雪崩式のDOI555を決めたりでなんとかYAMATOの攻めを凌ぎきる。小さい技と大きな技が行ったり来たりする、緩急の効いた攻防。DRAGON GATEらしからぬ試合展開でありながら、観客は二人の試合にグイグイと惹きつけられていく。




雪崩式を連発して主導権を握った土井の必殺技、バカタレ・スライディングキックが見事に決まった。だが、二発目を繰り出すべくロープに飛んだところでYAMATOに攻められ続けた左脚に痛みが走り、土井は思わず転倒。YAMATOの地味な攻めがここに来て活きてきた。う〜ん、好勝負だなぁ。



YAMATOは、またしてもスリーパーで土井を絞め上げた後…。



その体勢から土井を持ち上げ、もう一つの必殺技であるギャラリアへと繋げる。だが、その直後には土井のもう一つの必殺技であるマスキュラー・ボムが決まった。勝負の行方が見えない展開に、観客は今日一番の歓声を上げる。



この攻防で先に立ち上がったのは土井。再びマスキュラー・ボムの体勢へと入るも、これをYAMATOはまさかのSTFで切り返すと、再三再四のスリーパーで土井を絞め続ける。う〜ん、YAMATOの攻めはしつこいね。




あまりにもしつこいスリーパーで体力を失った土井に対して、YAMATOは満を持してギャラリアを二連発!さすがの王者も、これを返す力は残っていなかった。



激闘を終えた両者に大歓声が上がったが、精も根も尽き果てた両者はしばらくの間、立ち上がる事ができなかった。


YAMATOのマイク(スポナビより転載して編集)

このベルト、最高峰の、誰でも手に入れられるものじゃない。オレは1回挑戦したけだけで、メシもノドを通らなくて、夜も眠れなくて、オレはこんなベルトを1回挑戦するだけでボロボロなのに、土井は1年3カ月も守り続けました。今のオレにはそうそうできない世界です。でも、今日勝ったのはオレだ! 土井成樹はいつでもこのベルトを引っぺがしに来いよ。オレは強い挑戦者は大歓迎だ。来月、最強決定トーナメントのKING OF GATEが始まります。オレが勝っているこの場所がDRAGON GATEの頂点。KOGで優勝して、このことをもう一度満天下に知らしめてやる。こんなエラそうなこと言ってるけど、このベルトに挑戦できるようになるまで長かった(ここで、涙に咽ぶ)。


2年前のオレは皆にバカにされて、でも、そんなオレの背中を押してくれたのは、オレを応援してくれる皆です。オレは、オレは本当に感謝しています。オレをずっと応援してくれたファンの気持ちにオレはありがとうって言いたいです。今日ドリームのベルトを取ったことで、ちょっとは恩返しできましたか。(ここからは力強く)だけど、オレはもう泣いちゃいられないんだよ。オレがこのドリームのベルトを持って、オレたちと一緒にいい夢見ようぜ。明日からまた新たな戦いが始まります。皆、またこの場所でオレたちと戦って、泣いたり、そしてまた最後に笑いましょう。今日はありがとうございました!

今日の興行で唯一のマイクアピールをする新王者。最初は泣きながら喋っていたYAMATOだが、最後は王者としての自覚を持ち、明日へ向かって歩んでいくことを力強く宣言。観客は大歓声でYAMATOの戴冠劇を祝福。




いや〜、これはいい試合だった。DRAGON GATEのシングル戦が面白かったのって、本当に久しぶりだなぁ。ちょっと攻防がDRAGON GATEっぽくなかったのが引っかかるけど、シングル戦では「やりたい技をやって、ハイおしまい!」みたいな試合が多いDRAGON GATEの中にあって、この試合は説得力に溢れていたように思う。比較的DRAGON GATEには辛口な僕ですが、この試合に関してはテンポも良かったし、本当に文句がないです、ハイ。YAMATO、王座戴冠おめでとう!


雑感

前半は盛り上がりに欠けてしまったけど、とにかく今日はセミのオープン・ザ・ツインゲート統一タッグ選手権と、メインのオープン・ザ・ドリームゲート選手権の試合内容が充実していて、本当に面白かったなぁ。すべての力と技を出し切った感のある鷹木&コングとCIMA&Gammaによる正面からの激闘、そして静と動のコンストラストが素晴らしかったYAMATOと土井の死闘。う〜ん、今日に関しては「終わり良ければ、すべてヨシ!」って感じです。

でも…。実はちょっとだけ「面白かったけど、DRAGON GATEらしい面白さではないよなぁ…」と感じてもみたり(苦笑)。


以上、駆足で失礼。