11/2 Krash 後楽園ホール興行 観戦記 Ver1.1

Mask_Takakura2009-11-02

なんでこんなことになったんだかねぇ…

本日は後楽園ホールにてKrushを観戦。


2009年6月23日、偽装結婚の容疑により金田敏男会長が逮捕。これにより、僕が好きだった全日本キックという団体はあっさりと解散。まあ正直、金田会長に関しては色々な人から悪い噂を聞いていたけど…まさかこんな形で、老舗の人気キック団体が終焉を迎えるとは思わなかった。まさに「一寸先は闇」だな。


しかし、ショーは続く。興行自体は同団体の興行部長だった宮田充氏が、「株式会社グッドルーザー」という会社を設立して引き継ぎ。これに伴ない、興行の名称もKrushへと変更された。K-1ルールによるイベントで、近年の全日本キックの人気企画だったKrush。その名前を興行の名称に冠する事に対しては、少なからず抵抗を感じているオールドファンは多く、ぶっちゃけ僕もその一人なのだが…。今のところ、今回の一件に伴うジムの分裂などは起きていないようである。


う〜ん、大きな混乱が起きなかったのには安心したけど、興行は正直キックルールで続けて欲しかった。

今日はかなり豪華です

本日のKrush、見所は何といってもライト級GPの準決勝&決勝戦。日本のキックボクシング界の軽量級の猛者を集めた16人制のトーナメント。大月晴明や桜井洋平といった強豪が参戦する中で勝ち上がったのは、元全日本キックフェザー級四天王だった山本元気山本真弘石川直生の三人に、MAキックから刺客である"狂拳"竹内裕二を加えた4人。日本最高峰のメンバー同士によるK-1ルールによる潰し合い、その準決勝では石川 vs 竹内、そして三度目のW山本対決が実現する。いいねぇ、どちらも魅力的なカードだねぇ。


また今日のKrushでは70kg Tournamentの決勝戦も行なわれる上、かつてNJKFで将来を嘱望されていた「悲運のプリンス」久保優太や、そして全日本キック時代からの人気者である「闘う修行僧」前田尚紀なども出場する。こんなメンバーが揃う興行が不入りになるハズもなく、観客はギッシリの満員に膨れ上がった。

珍しい組み合わせで観戦します

「でも正直、もし全日本キックが何事もなく続いていれば、恐らくは立ち見に列を成すほどの超満員になっていたんだろうなぁ…」なんて言っていたら、隣で観戦していたプロレス観戦仲間のタカハシさん(http://blog.livedoor.jp/hardcore_heaven/)が「たまにはプロレスでもそんなこと、言ってみたいモンだよ…」とボヤいていた。ふ〜む、団体によっては満員をキープしているプロレス団体もあるけど、タカハシさんが支持している全日本プロレスとDDTは好不調の差が激しいもんなぁ。


そして今日はもう一人、「今日は久保の復帰を観に来た」というフリジッドスターさん(id:frigidstar)が隣にいる。ぬぬぅ、ぶっちゃけその人生の流転劇を知ってしまった色々と聞いてしまっただけに、今日の表舞台への復帰は中々に感慨深い…というのは解かるなぁ。まだまだ若いし、センスのある選手だと思うから頑張って欲しいねぇ。


ってなワケで、今日はこの三人と立見席で観戦。チケット代は4000円也、このメンツでこの値段はホントに安いと思う。

第三試合 泥試合

Krush ライト級GP 2009 リザーブファイト 3分3R + 延長3分1R
久保優太(175cm/59.9kg/アンリミテッドジム/元NJKFフェザー級 王者 & 元WPMO世界スーパーフェザー級 王者)
水落洋祐(173cm/60.0kg/はまっこムエタイジム/元全日本フェザー級 三位)
[判定 2−0]
※水落は1Rにダウン1

今日はこの試合から観戦開始。


Krushのライト級GPのリザーバー決定戦、その候補に選ばれたのは…4月に火災現場から女性を救出して消防署から感謝状が贈られた水落洋祐と、9月に村浜武洋KOで下し、一年半ぶりキック界に復帰したばかりの久保優太の二人だ。

水落洋祐はライト級GPの一回戦で桜井洋平を撃破する金星を挙げるも、二回戦で石川直生の右ハイキックを喰らってKO負け。今日は桜井を破った実績が評価されての出場だろう。しかしまあ、桜井が水落に負けるとはなぁ…。どんだけ、K-1ルールに向いてないんだよ(苦笑)。

一方の久保優太は、10代でNJKFのチャンピオンになる等で将来を嘱望されたが、悪い大人達に翻弄された結果、最近まで「やりたくても試合ができない状態」に追い込まれた上、通っていた大学は休学せざるを得なくなってしまった、という過去を持っている選手だ。まだ22歳になったばかりの久保、顔にはまだ「あどけなさ」が残っているというのに、苦労しているよなぁ…。


というワケで試合開始。1R、サウスポーの久保はいきなりパンチのラッシュと左ハイで水落を攻め込むと、中盤はボディへパンチを集中。連打連打で水落からダウンを奪う。と、ここまでは一方的な展開で、試合はこのまま久保がKO勝ちするかに思われたが…久保はボディへパンチやテンカオで更なるダメージを与えるも、なんとか耐え切った水落は1R終盤には回復、得意のワンツーと右ローで挽回を図る。うん、水落は器用な選手ではないけど、根性はいいんだよなぁ。



2R、パンチに合わせて水落は右ローを放ち続け、これが効いた久保の動きが鈍くなる。だが久保の伸びるボディストレートや左ミドルを喰らい続けている水落も苦しくなり、次第に両者のクリンチが目立つように。ありゃりゃりゃりゃ、1Rとは打って変わってのグダグダぶりだなぁ…。



3Rは2Rと同じような展開。久保は距離が開いて左ストレート、右フック、左ミドル、そしてテンカオ。対する水落は近距離から単発のパンチと右ロー。手数こそ久保が上だったが、時間が経過すると両者はバテバテの状態になり、共にクリンチを繰り返していた。ぬぬぬぬぬぅ、観る側には厳しい展開になっちゃったかぁ。



試合終了。判定の結果、1Rにダウンを奪った久保が3−0で勝利。



う〜ん、両者の実力差や1Rの動きを観るにつけ、久保がもっと圧勝すると思っていたんだけどなぁ。ブランクが長かったから、試合勘が戻ってないのな?それとも、近年はミドルや膝蹴りで闘う事が多かったから、K-1ルールへのシフトが難しいのかな?

何れにせよ、久保は折角の晴れ舞台なのに、強さを発揮できなかったなぁ。ホントに残念だ。


そう思っていたことが、僕にもありました。

第四試合 超一撃

Krush ライト級GP 2009 準決勝戦 3分3R + 延長3分1R
石川直生(177cm/60.0kg/青春塾/元全日本スーパーフェザー級 王者)
●"狂拳"竹内裕二(171cm/60.0kg/菅原道場/WMAF世界スーパーフェザー級 王者 & MA日本スーパーフェザー級 王者)
[2R 2分27秒 KO]
※左飛び膝蹴り

Krushのライト級GP、準決勝の第一試合は、ちょっと展開の読めないカードが組まれた。「人智を超える男」石川直生と「Krush実行委員長」"狂拳"竹内裕二との一戦だ。


今年に入ってから、大晦日Dynamite!!への出場を猛アピールしている石川直生。本人は肘あり膝ありのキックルールによる出場を望んでいるが、そんな石川を嘲笑うかのように、今年に入ってからの全日本キックK-1ルールのイベントであるKrushを連発。挙句の果てにはKrushそのものが興行になってしまったワケだが、そんな中で石川は、自らの強さをアピールするために敢えてライト級GPに出場。

K-1ルールといえば、参戦当時の佐藤嘉洋小比類巻太信、そして桜井洋平を見ればわかる通り「長身で膝蹴りや肘打ちを得意する選手」には向いていないルールだ。そして石川は、60kg級としては177cmという長身の選手である。下馬評では大苦戦が予想されたが、蓋を開ければ…。石川は一回戦でTURBOを大逆転の右ハイでKO、二回戦の水落洋祐戦ではダウンを奪われつつも右ハイでKOするなど神懸り的な強さを発揮、ライト級GPの台風の目となっている。う〜む、5月にはK-1 60kg級のエースである上松大輔を相手に大苦戦していた選手と同一人物とは思えん。


そんな石川と対戦するのは、5月のKrush山本真弘KOした実績を持つ"狂拳"竹内裕二。ライト級GPの一回戦では大高一郎を壮絶な殴り合いの末にKO、二回戦では梶原龍児インサイドワークに追い込まれながらも、なんと試合時間残り1秒というところでダウンを奪って大逆転勝ち。前述の真弘戦と合わせて「勝負強さ」には定評のある選手だ。

石川は6月に行なわれた「野良犬電撃作戦」にて、前田尚紀を相手に4Rまで試合を有利に進めながらも、5Rに前田のプレッシャーに圧されてドローに持ち込まれた過去があり、インファイトを得意とする竹内との相性は決して良くない。その劇的な試合展開から、自ら「Krush実行委員長」と名乗る竹内を相手に、石川はどのような試合をするのだろうか。


1R、両者は距離を開けての牽制合戦に終始する。リーチに優る石川は右のジャブを伸ばして距離を測りながら、左ミドルと右ローを散らしていく。対する竹内、時折パンチを放ちながら前にでるも、殆どの時間は様子見に徹する。石川の左ミドルを喰らって、逆にニヤリと笑う竹内。観客はドッと沸いたが…、石川の懐に入れずに苦しくなっているようにも見える。



2R、石川は1Rと変わらず右ジャブを伸ばして距離を開け、右ローと左ミドルで竹内の動きを牽制。対する竹内は相変わらず懐に入ろうとしない…のだが。よくよく見ると、竹内は石川の打撃に合わせてパンチを放っているではないか。ああそうか、竹内は元々カウンター狙いだったのか…。対する石川は、竹内との距離が詰まると左のテンカオを使って遠ざけている。成程、この試合は間合いがポイントだったのね。



決着は一瞬にしてついた。距離を詰めた石川が左ボディを放つと、これに反応した竹内が右ストレートを放つ。これは石川の顔面を霞めたが…。石川は右ハイで竹内の意識を逸らすと、ガラ空きのガードに左の飛び膝蹴りを一閃。モロに喰らった竹内はリング上で大の字で倒れてピクリとも動かず。

物凄いKO劇に観客が総立ちで大歓声を贈る中、石川は歓喜のガッツポーズを…とってない?何やら、石川の様子がおかしい。リングで座り込む石川、セコンドがその頭をタオルで巻く。どうやら負傷したようだ。う〜ん、あの分厚い巻き方を見る限り、ひょっとしたら決勝戦には出てこないかもしれないな。大丈夫かなぁ…。



いや〜。それにしても、Krush GPにおける石川の強さは神懸っているなぁ!向いていないと言われているK-1ルールでよくもまあ、ここまで尋常じゃない強さを発揮できるもんだよ、ホント。この勢いがあれば元気は勿論の事、過去に三回負けている真弘にも勝てるかもしれないぞっ!


それだけに決勝戦には是非、出場して欲しいのだが…。

第五試合 名人戦

Krush ライト級GP 2009 準決勝戦 3分3R + 延長3分1R
山本真弘(167cm/59.9kg/藤原ジム/元全日本フェザー級 王者)
山本元気(166cm/59.8kg/DTS GYM/元全日本スーパーフェザー級 一位)
[延長判定 3−0]
※本戦判定 0−0

Krushのライト級GP、準決勝の第二試合は、三度目の名人戦山本真弘山本元気によるW山本対決だ。


これまでに二度、60kg級トーナメントを制してきた「スピードマスター」山本真弘。元々、K-1ルールに向いている選手と言われていた真弘は、3月には国崇を破り、4月にはK-1の舞台で祐樹を下すなどで実力を発揮。最近、徐々に始動しつつあるK-1 60kg級戦線に向けて順風満帆のように思われたが…。5月に"狂拳"竹内裕二と対戦した真弘は、得意のフットワークで竹内を翻弄しながらも、ダウンを狙っての打ち合いの中で右フックを喰らい、まさかのKO負けを喫してしまう。

竹内へのリベンジ、そして三度目の最強の証明のためにライト級GPに出場した真弘は一回戦で青津潤平を判定で下すと、二回戦ではKick Returnの決勝戦で対戦した大月晴明と対戦。1Rに大月の豪腕を被弾してダウンを喫しながらも、直後に大月が犯した反則(サッカーボールキック)によりポイント上は一命を取り留めた(ダウンなし、大月は減点1)真弘は、試合後半から徐々に追い上げて判定勝ちを拾う。運を見方に付けた真弘は、IKUSA GPの決勝を争った石川が待つ決勝へと駒を進めることができるか?


そんな真弘と対戦するのは、Mr.Krushとの呼び声も高い「右の殺し屋」山本元気。但し、最近は左ボディも怖いんだけどね(笑)。

昨年11月、超満員に膨れ上がった後楽園ホールの中で桜井洋平との頂上対決に挑んだ元気は、各ラウンドでダウンを奪った末にKOで完勝し、その実力を満天下に知らしめた。3月には梶原龍児を判定で破っている元気は、ライト級GPの一回戦では60kgまで体重を落としてきた尾崎圭司を、そして二回戦では「闘う修行僧」前田をそれぞれ判定で下している。ゲーオ・フェアテックスに二度敗れた頃は引退も考えていたという元気だが、Krushの存在で完全に息を吹き返したと言っていいだろう。


この両者の対戦は過去二回実現しており、戦績は1勝1分で真弘がリード。但し、この1勝は非常に僅差の判定結果で、実力的にはまったくの五分と見られているこの二人。真弘のスピード、元気の破壊力が観ている者をグイグイと惹き付ける名人戦の実現は嬉しいのだが…。果たしてこの二人が3Rで決着なんてつけれるのかぁ?



1R、序盤から積極的に打撃を交換する両者。真弘はいつも通りに軽快なステップを踏みながら、ワンツーや左ローを放つ。対する元気はズンズンと前に出てのワンツーと右ミドルで応戦する。中盤、元気の右フックがヒット。観客から歓声が沸くも、真弘は怯まない。元気は尚もワンツーで攻めるが、真弘はヘッドスリップでかわしてしまう。う〜ん、相変わらずの名人戦ぶりだ。



2R、過去二回の両者の対戦と大きく違うのは、元気が右ミドルを多用するようになった事か。ヒット&アウェイを繰り返す真弘に対して、打撃の打ち終わりに必ず右ミドルを入れる元気。喰らい続けた真弘の左腕が腫れ上がる。こうして徐々に、試合の主導権は元気に傾いてきていたが…。

中盤、元気のワンツーに合わせた真弘の右フックが、カウンターでヒット。観客から歓声が沸く中で真弘は、左ハイで元気の動きを牽制。ちょっと動きが止まった元気だが、それでも身体ごと前に出て力強いパンチと右ミドルを放つ。対する真弘は、頭を振りながら前に出て軽快なパンチと左ミドルで応戦。苗字は同じでも、スタイルはまったく違う両者、その実力は互角。まさに名人戦だなぁ。



3R、序盤は距離を開けての蹴り合い。元気は右ミドルを放ち、真弘は左ミドルで応戦。その微妙な距離に、試合の緊張感が増していく。迎えた中盤、ここで元気が勝負に出た。接近しての左ボディを二連発、そして右ミドルで真弘のスタミナを削り、更には接近戦でワンツーを叩き込む。観客の歓声を背に元気は右ハイを繰り出すも、真弘は得意のスウェーでかわすと、終盤には左ミドルからワンツーで元気を追い詰める。だが元気も右ストレートで逆襲。そしてここで試合は終了。ダメだ、5R制ですら決着のつかない名人戦が、たったの3Rで決着がつくワケがないよなぁ…。



というワケで、本戦の判定結果は案の定の0−0、名人戦は延長戦に突入である。まあ、そりゃそうなるよ。


延長R、今度は真弘が勝負に出る。本戦よりもプレッシャーを強めた真弘は、身体を振りながらの左ミドルと素早いワンツーで元気を攻めていく。これに呼応した元気も右ミドルと力強いワンツーで応戦。延長になっても尚、積極的に攻め合う両者に観客の視線は釘付けに。いや〜、やっぱりこの二人に3R制は短いよ、ホント。

中盤、元気の右フックがヒット。観客からは歓声が沸いたが、これが真弘の負けん気に火を付けた。失点を挽回すべく更に前に出た真弘は、積極的にワンツーを繰り出してアッパーをヒットさせる。元気が右ミドルで応戦すれば、真弘は左ミドルで対抗。今度は元気の右フックがヒット、だが真弘は怯まずに左ミドルを繰り出した後、左ストレートを叩き込む。試合は最終盤、観客の大歓声の中で、真弘は積極的にワンツーを繰り出し、元気もワンツーで応戦。両者の打撃は試合終了まで止まる事がなかった。



試合は終了。一緒に観戦していたフリジッドさんは威力で優る元気を支持、タカハシさんは打撃の的確さで真弘を支持。ちなみに僕は手数の差で真弘を支持。で、判定の結果は3−0で真弘の勝利。う〜ん、決して元気が弱いワケじゃないんだけど…今回は延長の終盤で、微妙ではあるけど差がついたかなぁ、という気がするね。


それにしても、三度目のW山本対決はまたしても名人戦になったなぁ。破壊力の元気に、スピードの真弘、かぁ。でも、本当にこの二人の強さに優劣を付けるのなら、ハッキリ言って10Rくらいやらないとダメだよなぁ。この二人ならそれくらい闘っても体力的に問題ないと思うし、一度でいいからやって欲しいんだがなぁ。

神は残酷にして悪戯好き

10分の休憩時間の後、リング内に無情のアナウンスが流れる。準決勝戦を劇的KOで勝利した石川だったが、フィニッシュの飛び膝蹴りを放つ前に被弾した右フックで左目尻をカットしていたのだ。成程、試合直後に石川がヘタリ込んでいたのは、これが原因か。そして…その傷は深く、石川は無念のドクターストップを宣告されたのだ。「あああああ、これはマジでガッカリだあああぁぁぁ〜っ!」、その想いは観客も同じようで、一斉に「あああぁぁぁ〜っ!」とか「えええぇぇぇ〜っ!?」といった声が会場内に響いた。


で、トーナメントでこういう事が発生した場合は「負け上がり」となるのが格闘技界の常識なのだが…ご承知の通り、対戦相手の竹内は壮絶なKO負けを喫したばかりで、とても試合ができる状況ではない。となると、ここで活きてくるのがリザーバーの存在だ。こうしてKrushの決勝戦は、まさかまさかの山本真弘 vs 久保優太に!


思わぬ組み合わせに観客は…ガッカリしている。まあ、そりゃそうなるわな。尋常ではない石川の強さや、真弘に対日本人で初黒星を与えた竹内に比べるとなぁ…。リザーブファイトの久保を観る限り、真弘には絶対に勝てるワケがないしねぇ…。


そう思っていたことが、僕にもありました。

恒例のご挨拶タイム

Krush ライト級GPの決勝に向けてのアナウンスが終わった後、リング上にはK-1 WORLD MAX 2009で第三位となった山本優弥が登場。期待に応えられなくて申し訳ない、これからも応援してください…といった趣旨の挨拶を行なった。まあ優弥はまだ若いし、今年の活躍をバネに来年さらに活躍して欲しいね。



続いて登場したのは…11月22日のR.I.S.E.で、菅原勇介と初代 R.I.S.E. 65kg級王座を争そう吉本光志と、12月4日に濱崎一輝と闘い、来年2月にはチェコプラハでドラゴとの再戦が決まった山内裕太郎。吉本は「負けたら帰ってくるリングはない」という悲壮な想いを熱く語り、山内は三連敗中だけど、いい練習ができている事をアピール。そうかぁ、この二人は元々AJジムの所属だから「全日本キックの解散=練習場所を失った」って事なのか…。特に山内は、もっと知られて良いキックボクサーだと思うので是非、頑張って欲しいなぁ。



最後に登場したのは、11月7日をもって引退が決まった大宮司進MAキックのKING COMBAT 2002、全日本キックのライト級最強決定トーナメント、NJKFの真王杯60kg級、そして全日本キックのKick Return…。キック界の軽量級トーナメントには欠かせない選手だっただけに、引退は残念だなぁ。



第六試合 順当也

60kg契約 3分3R + 延長3分1R
前田尚紀(166cm/59.8kg/藤原ジム/元全日本フェザー級 一位)
上松大輔(173cm/60.0kg/チームドラゴン/ISKA世界ライト級 王者)
[2R 2分6秒 KO]
※右フック

Krush GPの決勝戦を前にして「闘う修行僧」前田尚紀が登場、今日の興行はつくづく豪華だなぁ。1月にはバンタム級最強の呼び声も高いNJKFの米田貴志を敵地で下した前田は、6月には石川直生とのタイトルマッチに挑み、勝利こそできなかったがドローへ持ち込んでいる。そんな前田にライト級GPへの出場権が与えられるのは当たり前の話で、事実一回戦では「キック界の名物男」ファイヤー原田KOで下したが…、続いての山本元気戦では、元気のプレッシャーにジリジリと圧されて判定負けを喫してしまった。

全日本キックフェザー級四天王の中では唯一、準決勝へ駒を進められなかった前田。5月に石川直生とのイケメン対決に敗れ、このリングでの雪辱に燃える「K-1 60kg級のエース」上松大輔を相手に快勝なるか?



1R、立ち上がりの攻防の中で上松がワンツー〜左ミドルを放つと、モロに喰らった前田が苦しい表情を浮かべる。観客に動揺が走る中、チャンスを迎えた上松は左テンカオで前田を追い打ち、手数を増やして攻め込む。だが前田はこれを堪えると前に出てのワンツーと右ローで徐々に持ち直す。危ない危ない。

これに対して上松も闘い方を、前田の打撃にカウンターを切り返す戦法へと変更。終盤、前田が前に出て試合は打ち合いへと発展するも、ここで上松の右ストレートが的確に前田を捉えていく。一発がカウンタで入り、喰らった前田は思わずスリップ。う〜ん、今のはダウンを採られてもおかしくないタイミングだったなぁ。



前田劣勢という展開で迎えた2R、1Rのスリップで目が醒めた前田がギアを上げる。異様なプレッシャーと共に前に出て、積極的にワンツーを放つ。対する上松は、下がりながらのワンツーとボディブロー、そしてテンカオで対抗。



だが前田が尚もプレッシャーを強めて前に出ると、得意のワンツー〜右ローで上松をコーナー際へと追い込む。観客から歓声が沸く中で、前田は得意の左右のメッタ打ち。上松は必死に防御するも、そのガードを打撃でこじ開けた前田は、顔面へ右フックを叩き込む。モロに喰らった上松はダウン、レフェリーがカウントを数えるも、上松はピクリとも動かず。前田らしい試合ぶり、そして勝ちっぷりに観客からは大歓声が沸き起こった。



うん、これぞ前田の試合だね。僕としては正直、マッチメイクの時点で「なんだかんだで実力差がありそうだなぁ」と思っていたけど、何もかもが予想通りだった、というか。



対する上松は、完全に壁にブチ当たったねぇ。昔から「強いとは思うけど、日本のライト級のトップ選手と当たるとツラそうだなぁ」と思っていたけど、そういった選手とこんなに実力差があるとは思わなかった。でも「K-1ライト級のエース」という看板を背負っている以上、何らかの方法で壁を破らないと、この先がもっと厳しいよねぇ。

う〜ん。ちょっと考えたんだけど、上松って器用貧乏な印象があるから、何か必殺技を身につけるといいかもなぁ、師匠の前田憲作みたいにさ。もっとも「ブラスター・ソード」とか「ハイパー・サイクロン」とか、技に大仰な名前をつける必要はないけどね(笑)。

その無念をバネに、大晦日の舞台に立ってくれ!

ここでライト級GPの決勝を欠場することになった石川が挨拶。決勝に出られない事をファンに詫びた後で「『まだ言うか!』っていう感じですけど…、何とか自分の力で大晦日をこじ開けようと思ってます!」と、Dynamite!!への出場を再アピール。観客は大歓声で石川の姿勢を後押ししていた。

確かに、ライト級GPにおける石川の活躍は凄かった。慣れないルールの中でKOの山を築いてきた石川には是非、Dynamite!!の舞台に立って欲しいのだが…。谷川貞治プロデューザー、本当になんとかなりませんかねぇ?



第七試合 消耗戦

Krush 70kg Tournament 2009 決勝戦 3分3R + 延長3分2R
中島弘貴(176cm/69.8kg/バンゲリングベイ・スピリット)
廣野祐(181cm69.7kg/NPO JEFA/J-NETWORKミドル級 王者)
[再延長判定 3−0]
※本戦判定 0−0/延長判定 0−0/中島が優勝

いよいよトーナメントの決勝戦。まずは70kg Tournamentの決勝からだ。4人制という小さい規模で行なわれているこのトーナメントだが、「K-1ルールによる70kgのトーナメント」と来れば…。その先にあるのは、当然K-1 MAXの舞台。出場する選手にとって、これほど「おいしい話」もないだろう。

そんなトーナメントを勝ち上がったのは…。一回戦でK-1 MAX推薦選手である蜜山剛三を判定で下した廣野祐と、一回戦で全日本キックの中量級のエースだった山内裕太郎を判定で下した中島弘貴の二人だ。


廣野祐J-NETWORKの現ミドル級王者にして、同団体の前スーパーウェルター級王者。Krushの舞台でも活躍しており、3月には山内裕太郎、7月にはGRABAKA横田一則をそれぞれ破っている。特に横田戦は、前半こそ相手の勢いに苦戦したものの、後半に入ると得意の左アッパーと左ストレートで横田から二度のダウンを奪って判定勝ちし、キックファンの溜飲を下げた。あの試合における横田はみっともなかったなぁ。いくら廣野に効かされたとはいえ、あんなにバテバテになるとはねぇ…。


対する中島弘貴はあのシュートボクセ・アカデミー日本支部(現在は消滅)出身の選手で、つい最近までSBの舞台で活躍していた選手だ。そして、ここまでの戦績は10戦10勝無敗7KOという素晴らしさで、その才能に惚れ込んだシーザージムが声を掛けたという話もある。現在はバンゲリングベイ・スピリットに身を置き、ニコラス・ペタスを師匠と仰いでいる。至近距離からの無酸素ラッシュを得意とする中島、勝ってK-1 MAXへの切符を手にすることはできるか?



1R、打ち合いを得意とする中島が接近し、試合はいきなり乱打戦に突入。大振りなパンチを繰り返す中島に対して、廣野のパンチは中々に的確。どうやら技術は廣野の方が上のようだ。それでもワンツーを放つ中島だが、廣野はこれを捌いていく。終盤、得意とするパンチの連打が当たらない中島は少し頭を冷やし、間合いを開けてコツコツと右ロー当てていく。対する廣野はワンツーと左のテンカオ、そして左ローでこれに応戦。う〜ん、中島はちょっと苦戦しているかな?



2R、インターバル中にスタミナを回復した中島は再び前に出て、接近戦ではワンツーとテンカオを放ち、離れると右ロー。廣野は左のテンカオで距離を開け、左ミドルでこれに応戦。中盤の打ち合いでは、中島の右ボディを入れ、廣野は左アッパーをヒットさせる。

終盤、中島はガードの固い廣野との距離をとって、右ローをコツコツ蹴る作戦に切り替える。だが廣野は左テンカオを中島のボディへ入れ、接近戦では左ストレートや左アッパーを中島の顔面に叩き込む。う〜む、微妙に廣野がリードしているなぁ。



3R、中島はこれまでと変わらず接近戦ではワンツーとテンカオで攻め、距離が離れると右ロー。対する廣野は、接近戦ではワンツーと左アッパーを使用、近づきすぎた場合はテンカオで距離を離して左ミドル。接近戦で打ち合いになると廣野が有利で、特に左アッパーは何度も中島にヒット。だが中島も終盤、右ストレートを何発かヒットさせて応戦。



ここで試合は終了。「う〜ん、全体的には廣野が若干リードしている気がするが、クリーンヒットがないからドローになるかもなぁ…」と思っていたら、判定の結果は0−0のドロー。この結果に廣野応援団は怒り出したが、まあ本当に微妙な差だからなぁ…。



延長R。中島はこれまでと同じく、序盤は積極的に前に出てワンツーとテンカオを放ち、距離が開けば右ローを放つ。対する廣野もこれまでと同じ、離れると左ミドル、接近戦ではワンツーと左アッパー、そしてテンカオ。ひたすら打ち合いを繰り返す両者の闘いは完全に消耗戦で、時間が進むたびにクリンチの回数が増えていった。う〜む、ちょっとグダグダだなぁ。

そんな展開で迎えた終盤、中島はテンカオの連打で廣野のスタミナを削り、広野はボディストレートで中島の体力を奪う。そして終了直前、廣野の右フックがクリーンヒット。廣野応援団から歓声が沸く。



ここで延長Rも終了。廣野応援団は今度こそ勝利を確信していた様子だったが、判定の結果は0−0でまたしてもドロー。まあ、最後の右フックだけでは差にならんよねぇ…。



再延長R、やはり中島の作戦は変わらない。接近すればワンツーとテンカオを放ち、距離が離れれば右ローで蹴る。すると、ここに来て右ローが効いてきたのか、廣野が前に出られなくなる。手数も減った廣野に対して、中島はテンカオと右ローで攻め込む。廣野はパンチで抵抗、左フックや右ストレートを放つも、中島は最後までワンツーと右ローで攻め続けた。



再延長R終了。判定の結果は3−0で中島が勝利。Krush 70kg Tournament 2009を制すると同時に、自身の無敗記録を11勝へと伸ばした。勝った中島はマイクで「谷川さん、来年2月のK-1MAXの日本代表トーナメントに出してください!トーナメントで優勝して、またKrushのリングに帰って来たいと思います!」とアピールした。



う〜ん、4人制ではあるけどトーナメントを優勝したワケだから、中島にも出場資格はあると思うけど…。今日の試合ぶりを見る限りでは正直、活躍は望めないよなぁ…。まぁ、その潜在能力はシーザージムも認めたくらいだし、焦らずゆっくりと強くなっていけばいいとは思うけどね。



第八試合 大逆転

Krush ライト級GP 2009 決勝戦 3分3R + 延長3分2R
山本真弘(167cm/59.9kg/藤原ジム/元全日本フェザー級 王者)
久保優太(175cm/59.9kg/アンリミテッドジム/元NJKFフェザー級 王者 & 元WPMO世界スーパーフェザー級 王者)
[判定 3−0]
※久保は3Rにダウン1/山本が優勝

いよいよKrush ライト級GPの決勝戦。16人の猛者の中を勝ち上がってきたのは「スピードマスター」山本真弘と「人智を超える男」石川直生だったが…。既に記述している通り、石川は怪我により決勝を欠場。石川に変わって山本と対戦するのは「悲運のプリンス」久保優太である。


正直、多くのファンが本当に落胆していた。山本真弘 vs 石川直生という好カードが流れたのもさる事ながら、リザーブファイトの闘いぶりから「どうせ真弘が圧勝して、終わりだろう」と思っていたからだ。久保が好きな僕ですら、タカハシさんに「今の久保では、真弘には勝てないでしょうね…。かつて真弘が圧勝した水落を相手に大苦戦する久保が、真弘のスピードについていけるワケがないし…」と説明していたくらいだしなぁ…。


久保優太では絶対に、山本真弘には勝てない


そう思っていたことが、僕にもありました。



1R、序盤はお互いに様子見の状態。真弘は懐の深い久保に対して、インとアウトを繰り返しながらのワンツーで攻める。対する久保は、リーチを活かして真弘の間合いの外からワンツーと左ミドルを放つ。久保が放つパンチに対し、真弘が素早く反応してワンツーを返している。やはりスピードでは真弘が数段上か…。

すると、ここで久保が思わぬ潜在能力を発揮。真弘のストレートを、ヘッドスリップでかわしたのだ。その動きに観客が驚きの声を上げる中、久保は距離が開けば左ミドルを確実に入れ、更には左ストレートや右ハイで真弘を追い込んでいく。まさかまさかの久保の攻め、誰も予想できなかった展開に観客から歓声が起こる。

実は隣で観戦しているフリジッドさんは、昔から久保のディフェンス・テクニックに目を付けていた。「スウェーを多用するのはいいけど、自分のセンスだけでかわしている感じがするから、見ていて危なっかしい」。今まで僕はその言葉を聞きながらも、何となくピンと来なかったんだけど…。まさかこんな場面で、そのテクニックが爆発するとはねぇ。



2R、1Rの流れで勢いに乗った久保はリーチ差を活かしつつ、真弘のお株を奪うヒット&アウェイで攻め込む。対する真弘は全日本キックにはいなかったタイプの選手を前に、やや慎重になる。久保が意表をついて膝蹴りを放てば、真弘は思わずスリップ。水落に苦戦した久保が、真弘を相手に試合を支配するとはなぁ。

久保はノーガードで挑発。この状況を何とかした真弘は接近して打ち合いを挑むが、久保はパンチを上半身だけでかわし、逆に左ストレートを叩き込む。距離が離れれば左ミドルと左ローで追撃する久保を前に、真弘の攻撃は空を切るばかりだ。う〜む、スピードは互角。ならばリーチ差とキックも得意な久保が有利なのか。本当に読めなかった展開だなぁ。



迎えた3R。後がない真弘は積極的に久保に打ち合いを挑むも、その度に久保は真弘のスピードに喰らいついてくる。真弘は左ストレートを連打し、右フックをヒットさせるが、久保は左ストレートで逆襲。尚も打ち合いは続き、今度は久保のワンツーがヒット。お互いに一歩も引かない打ち合いに、観客から歓声が沸く。



それでも試合は真弘劣勢のまま進んでいき、いよいよ終盤へ。本当に後がなくなった真弘は尚も打ち合いを挑み、これに久保が応える。お互いにヒットを重ねていったが…。



最後に笑ったのは真弘の方だった。プレッシャーを使ってようやく久保をコーナーに追い詰めた真弘が、意を決してラッシュを仕掛ける。ガードを固める久保に左右のパンチを浴びせた真弘は、顔面に右フックをヒットさせた後、怯む久保に左フック一閃。モロに喰らった久保はここで痛恨のダウン!そしてこの逆転劇を前に、観客は総立ちで大歓声を贈る。いや〜っ、強い!金が掛かった時の真弘は本当に勝負強いっ!

大歓声の中、真弘は立ち上がった久保をKOすべく前に出る。これを久保がどうにか捌く中で試合は終了。観客はもう一度、大歓声で真弘の大逆転劇を支持した。



判定の結果は3−0で真弘が勝利。真弘はこれでIKUSAの60kg級トーナメント、全日本キックの60kg級トーナメントに続いて三度目のトーナメント制覇である。



マイクを持った真弘は「本当は60kgを卒業しようと思っていたけど…これじゃあ、まだまだですね」と久保の強さを認めた後、「次は石井宏樹選手とやりたいですっ!闘う場所はどこでもいいんでっ!」と、現時点においてこの階級では最強だと思われる選手との対戦をブチ上げた。おお、ここで石井の名前を出したかっ!スゲェ!

でもなぁ…。もし実現すれば、国内でも最高級の闘いになるのは間違いないけど、何せ石井はキック界でも鎖国で有名な新日本キックの所属だからなぁ。果たしてスンナリと実現するかなぁ…。



いや〜、それにしても…トーナメントのアヤとはいえ、久保は本当に頑張った!数年前のグリフォン(id:gryphon)さん主催の忘年会で彼の名前を出し、みんなに「誰だよ?」と言われた身としては、この闘いぶりは非常に感慨深いよ。タカハシさん曰く「3Rの序盤までは勝利を掴んでいたのに、最後の最後にそれが夢になってしまうという…」。確かに判定結果の詳細では、全員が29-28をつけていたんだよなぁ。つまり2Rは、久保が取っていたんだよねぇ。それを想うと惜しかった、本当に惜しかった…。

この闘いぶりを見て、それでも久保の準優勝を「タナボタ」と言う人は野暮な奴だと思う。久保くん、今日の活躍に胸を張れっ!!



雑感

いや〜っ、本当に最後の最後まで面白い興行だった!


観客が総立ちになった石川のKO劇、何ラウンドでも観ていたくなるW山本対決。人気者の前田がKOで興行に華を添え、70kg Tournamentの決勝はちょっとグダっちゃったけど、計5Rに渡る激闘に。そして最後に、まったく期待していなかった久保が潜在能力を発揮。かつて後楽園ホールを連続で超満員にしてた全日本キックが蘇ったかのような…勢いがあって、ドラマがあって、驚きがあって、感動のある興行だったなぁ。観戦後も色濃い余韻に浸れるような、久々に「凄い興行」に立ち会えたと思う。いや〜っ、観に来て良かった!


それにしても、優勝した真弘はこれが三度目の60kg級トーナメント制覇。石井との対戦は政治的な障害も多そうだが、実現すれば「夢のカード」と言えるだろう。個人的に、打撃の破壊力が半端ではない石井はK-1ルールでも充分に活躍できると思うのだが…。でも石井がラジャダムナン王座に拘る姿も観てみたいような…。


まあ、いいさ。今日は真弘の強さを素直に褒めよう。真弘、優勝おめでとうっ!




以上、長文失礼。