4/29 DREAM さいたまスーパーアリーナ興行 簡易観戦記

今回は都合により、集まった面々のセリフはカットしております(苦笑)

新宿にある某スポーツバーにてDREAMをPPV観戦。今回はセイントマンブラックK(id:saint_k)さん、フリジッドスター(id:frigidstar)さん、psyzoh(id:psyzoh)さん、PON(id:pon_taro)さん、どらちゃさんと僕を含めた六名。なかなかの大所帯で、これだけの人数が「いきなりスポーツバーでPPV観戦」をするには無理があるのだが…、さすがに新宿という街は懐が深く、ちゃんとこの人数がいきなり入ってもPPV観戦が可能な店が見つかってしまったのだ。いや〜、さすがは新宿。


さてさて。ハッキリ言って今回の興行に関しては賛否がハッキリと分かれているようだ。ライトな層にはウケが良く、ヘビーな層にはウケが悪い、という傾向があるようだ。ま、僕の感想は「なんだかんだ言って、結構面白かったんじゃないのかなぁ?」てな具合ですね。


では、一試合毎の感想をば。

第一試合 バカサバイバー、生き残る

DREAM ライト級GP 2008 一回戦 1R10分 + 2R5分(インターバル90秒)
青木真也(180cm/69.8kg/日本/パラエストラ東京)
●J.Z.カルバン(173cm/69.9kg/ブラジル/アメリカン トップチーム)
[判定 3−0]

2Rの5分間のみを観戦したが、青木は何度も引き込みを仕掛け、グラウンドではオモプラッタから足による腕十字を極めるなどでカルバンを圧倒。判定勝利が告げられると同時に男泣き。後でスポナビの記事を読むと、1Rは苦戦する場面もあったみたいだけど、後半だけを見る限りでは青木の完勝でしたな。っていうか、2Rのオモプラッタによる腕十字を極めた時、カルバンはタップしてなかったっけ?なんとなく、そう見えたんだけどねぇ…。


いづれにせよ、トーナメントの大本命が生き残ったのは良かったんじゃないかな。KIDがフェザー級への転向を表明し、宇野の選手生命の寿命は近づき、川尻が今一つパッとしない現状において、青木はDREAMライト級戦線の生命線なのだから、関係者もこの勝利には一安心したと思うねぇ。

第二試合 ♪私は(ドジで)、強い(つもり)

DREAM ミドル級GP 2008 一回戦 1R10分 + 2R5分(インターバル90秒)
金泰泳(180cm/84.0kg/日本/正道会館)
ミノワマン(175cm/83.4kg/日本/フリー)
[判定 3−0]

これまた2Rの5分間のみ観戦。正道会館の方の金ちゃんに右ローを効かされ、接近すればテンカオやストレートを喰らい、意を決して放ったタックルは捌かれてしまうミノワマン。「火事場のクソ力」が発揮されるような事もなく、そのままズルズルと判定負け。僕自身、1Rの様子については何も情報を得ていないんだけど(スポナビの記事も読んでない)、まあ「推して知るべし」って感じだなぁ。いや〜っ、ミノワマン…美濃輪は本当にダメになっちゃったなぁ。いつから、こんな風になってしまったのやら…。

記者会見でのミノワマンと桜庭のやりとり(スポナビへのリンク)

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/headlines/etc/20080429-00000016-spnavi_ot-fight.html

桜庭和志は「美濃輪選手にいつもの赤いパンツといつもの入場曲で入場してほしいです」と不思議発言。

(〜中略〜)

ポカンと口を開けて困り果てたのがミノワマン。観客と一体となって絶叫する入場シーンは1つの名物だが、「入場曲のリクエストは初めて。でも理由があって今の曲に変えているので…」と苦笑するしかなかった。

ふ〜む、「理由があって今の曲に変えている」か…。ちょっと言い方を替えれば「理由があって今のキャラを演じている」って事にもなるのかなぁ。いずれにせよ、「Real UnderWorld King」で入場していた頃の美濃輪の魂は、どこへ消えたのやら。

思えば、キン肉マンが会得した「火事場のクソ力」は、最初は絶体絶命のピンチをローリングクラッチホールドで切り返す程度の力でしかなかったものを、幾多のライバルとの死闘を得て、より強大な力としていったのだ。ロビンマスクの息子であるケビンマスクは、何度も死線を乗り越えて大渦(メイルストローム)パワーを手に入れた。美濃輪も本物の「火事場のクソ力」を手に入れたいのなら、熊を相手にキン肉ドライバーを決めるくらいの心意気が欲しいのだが…、今の彼からはそういうところを微塵も感じないのが悲しいなぁ。


あと、正道会館の方の金ちゃんは凄いね。ベースは空手で総合格闘技デビューは遅いのに、立派に成長しているよ。二回戦での活躍も期待したいところだね。

第三試合 記憶が薄いため、文章は短めです

DREAM ミドル級GP 2008 一回戦 1R10分 + 2R5分(インターバル90秒)
ユン・ドンシク(183cm/83.6kg/韓国/チーム ユン)
大山峻護(178cm/83.9kg/日本/フリー)
[判定 3−0]

最初から見ていたワケではないんだけど、今回も大山の入場曲は「Age of Asia」だったのかな?大山にはあんまり思い入れはないんだけど、あの曲だけは好きなんだよね。


んで、試合内容はどうにも印象が薄かったけど…、お互いに上になったり下になったりしながらも、全体的にユンが寝技で圧倒していたような。ぬぬぅ、今回の観戦は慣れないアルコールを摂取していたせいか、どの試合も今一つ記憶が薄いなぁ…。


まあ、ユンはどんどんいい選手になっているよね。PRIDEに上がった頃から比べると、目に見えて顔つきが良くなった。ふ〜む、「男子三日会わざれば、活目して見よ」って奴かね。

第四試合 あっという間に終わったため、文章は短めです

DREAM ミドル級GP 2008 一回戦 1R10分 + 2R5分(インターバル90秒)
○ゼルグ・"弁慶"・ガレシック(188cm/83.9kg/クロアチア/チーム トロージャン)
●マゴメド・スルタンアクメドフ(188cm/83.4kg/ロシア/CLUB VOLK HAN)
[1R 1分40秒 腕十字固め]

ヴォルク・ハンの弟子」という肩書きを持つスルタンアクメドフは、その師匠の曲でリングイン。RINGSファン感涙ものの演出といえるが…正直、十年以上も前の記憶を引っ張り出すDREAMのやり口には辟易させられる。果たして、ヴォルク・ハンが現役バリバリの頃からプロレスや格闘技を観ている人間のうち、何人が直接DREAMに金を払っているのやら…。


んで、試合自体は「既に海外で実績を積んでいるガレシックが、ようやく日本で真の実力を発揮した」って感じ。テイクダウンを奪われてもリバースを決め、スルタンアクメドフのフロントチョークを逃れると下から腕十字。スルタンアクメドフは極められた腕一本でガレシックを持ち上げてのバスターを狙うが、ガレシックは逆に持ち上げられた時にできた空間を利用して腕十字を極めてしまった。あえなくスルタンアクメドフがタップして試合は終了。


本来ガレシックは打撃の選手なんだけど、「寝技の魔術師」と呼ばれたヴォルク・ハンの弟子からタップを奪ったって事は、関節技もイケるのかな?…違いますか、ただのスルタンアクメドフの経験不足ですか、そうですか。ま、スルタンアクメドフも本来は立ち技の選手らしいからねぇ。そういえば名前だけ見れば、掣圏道に出ていてもおかしくない感じもするけど…。

第五試合 陰の優勝候補、ついにベールを脱ぐ

DREAM ミドル級GP 一回戦 1R10分 + 2R5分(インターバル90秒)
ホナウド・ジャカレイ(181cm/83.8kg/ブラジル/ブラザ柔術)
●イアン・マーフィー(183cm/83.9kg/米国/フリー)
[1R 3分37秒 スリーパーホールド]

ジャカレイの顔は朴訥としていてノゲイラ兄弟みたいだったが、その実力までもがノゲイラ兄弟ばりだったのには驚いた。イヤハヤ、世界にはまだまだ強豪ってモンがいるんだねぇ。


確かに今回の対戦相手であるマーフィーは総合に関しては「素人」かもしれないが、それでもグラウンドでヌルヌルと動くジャカレイの姿は「寝技の実力者」としての片鱗を伺わせた。そして関節技の仕掛けも早いジャカレイ。腕十字、オモプラッタからのキーロック、そしてバックからパンチを入れつつスリーパー。ガッチリ極めてタップを奪えば、ジャカレイは嬉しそうに両腕をワニの顎に見立てたパフォーマンス。これは本人の代名詞なんだそうな。


ウム、DREAMはミドル級戦線に良い選手を招聘したねぇ。トーナメントに参加している日本人だけを見ると今一つ感の強いトーナメントだったけど、外国人の方は意外に充実してるのね、いいことだ。それにしても、ジャカレイはグラウンドではイキイキしていたなぁ。銭の獲れるムーブというかねぇ。

第六試合 1991年1月、あれからもう17年か…

DREAM ミドル級GP 一回戦 1R10分 + 2R5分(インターバル90秒)
田村潔司(180cm/83.4kg/日本/U-FILE CAMP.com)
船木誠勝(182cm/83.5kg/日本/ARMS)
[1R 57秒 TKO]
※レフェリーストップ(鉄槌の連打)

ぬぬぬぬぬぅ。第四試合のRINGSファン向けの演出ですらイヤなのに、それよりも古いU.W.F.をアングルに持ってくるとはねぇ…。時代錯誤も甚だしい、というか15年以上も前の遺産を使おうとするDREAMの焼畑ぶりには呆れるばかりだし、それが今でも商売となっている格闘技界の基盤の弱さは嘆かわしいばかり。


で。僕は試合前に「ロクに試合もないのに体だけはグッドシェイプを保っている田村に対して、39歳にしてGRABAKAで出稽古して一から強くなろうとする船木が勝てるわけがない」と思っていて、まあ結果だけ見れば「ほら、実際にそうなっただろ」というダケの事なのだが…。僕が目を見張ったのは、この試合での船木の動きの良さだ。正直、コロシアム2000でヒクソンと闘った時よりも強くなっていると思うよ、マジで。ま、グラウンドになってからは呆気なさすぎたけどね(苦笑)。


しかしまあ、田村の蹴りのキレは衰えないなぁ。試合のブランクは長いはずなのに、なんであんなに体格や実力をキープできるんだろ?モチベーションの管理とか、どうやっているんだろうなぁ?なんとも不思議だな。

第七試合 一寸先は闇

DREAM ミドル級GP 一回戦 1R10分 + 2R5分(インターバル90秒)
ゲガール・ムサシ(186cm/83.7kg/オランダ/team Mousasi/レッドデビル インターナショナル)
デニス・カーン(180cm/83.6kg/カナダ/アメリカン トップチーム)
[1R 3分10秒 三角絞め]

この試合、誰もがカーンの勝利を予想していたと思うし、かく言う僕もカーンが勝利するものだと思っていた。んで、実際に試合ではカーンが「ムサシよりも一枚上手」なところを見せる。


一度はグラウンドでサイドを奪ってアームロックを仕掛けたカーンだったが…。ムサシの抵抗にあって立ち上がり、半立ちの状態からパウンドを落としたところ、ムサシはその腕を捕らえて一気に三角絞め。ムサシの懐に深く潜り込んでいたカーンは、この三角を逃れる事ができずにタップ。


う〜ん、カーンはムサシの実力を侮っていたのか、それとも実力者だと判っている上で一気に勝負に出たのか…。何れにせよ、最後のシーンのカーンはかなり不用意だったように見えるなぁ。とはいえ、その実力が広く知られているカーンからの一本勝ちは、ムサシにとっても大きな勲章になるだろうね。いや〜っ、それにしても今回のミドル級GPは、外国人に関しては充実しているなぁ。

第八試合 「プロレス vs 極真」というギミック自体は、30年前ならドル箱カードなのにねぇ

DREAM ミドル級GP 一回戦 1R10分 + 2R5分(インターバル90秒)
桜庭和志(180cm/83.6kg/日本/LAUGHTER7)
アンドリュース・ナカハラ(183cm/83.3kg/ブラジル/極真会館)
[1R 8分29秒 フェースロック]

今回の桜庭は黒いストロングマシンのマスクを被って、三人で入場。う〜ん、これってPRIDE GP 2000でのホイス戦のギミックとまったく同じ。ふ〜む、いよいよネタ切れかぁ?獣神サンダーライガーとか宇宙パワーとかアステカとか、まだまだマスクマンは沢山いるのにねぇ。


今日の相手は「極真空手出身の総合格闘家」という肩書きを持つナカハラ。僕は勝手に「今回の桜庭は『噛ませ犬』が相手か…」と思っていたが、これが「なかなかどうして」という実力の持ち主。桜庭の片足タックルに耐えきって、右のインローを放つナカハラ。さすが空手家なだけあって、蹴りのキレ味はなかなかものの。ふ〜む、パンチのキレを磨けば、もっと強い選手になるかもね。この先が楽しみだ。


で、桜庭はやや苦戦しつつもナカハラをグラウンドへ誘い、最後はバックを奪ってガッチリとフェースロック。首を捻じ切らんばかりの力が入った荒業を前に、ナカハラはタップせざるを得なかった。おお、これぞ「プロレスの関節技」って感じだな。ちなみにフェースロックといえば三沢を思い出す人も多いんだろうけど、最近の三沢は繋ぎ技程度に出すだけだったりする。知ってたぁ?

では、桜庭の久々の快勝を記念して
桜庭和志の入場曲、小室哲哉「SPEED TK RE-MIX〜TK CLUB MIX」

雑感

RINGS・U.W.F.・マシン軍団といった「昔のプロレス界の遺産」を使おうとする姿勢は気に食わなかったけど、ミドル級戦線の外国人選手達が粒ぞろいだったお陰で、全体的には楽しく観戦することができた。ジャカレイ、ムサシ、ナカハラといった選手の今後には大いに期待したいところだね。

反面、彼らに対抗しうる日本人が桜庭、田村、正道会館の方の金ちゃんといった「昔の名前」なのが痛い。もう40歳に手が届くところにいるこの三名に、DREAMの明日を期待するのは酷というもの。かといって、中小の興行がガタガタである今となっては、日本人でこの階級の大物が育つ土壌がないのが実情。来年、そして再来年のこの階級の事を思うと、気が滅入るよ…。頑張れ、もっと頑張れDEEP、修斗PANCRASE


以上、長文失礼。