SB 「日本SB vs 北米MMA対抗戦」いよいよ対抗戦

第九試合 「SBの絞首刑人」が華々しい先陣を切る

日本SB vs 北米MMA対抗戦 先鋒戦 エキスパートクラス特別ルール 62kg契約 3分3R + 延長3分無制限R
○石川剛司(170cm/61.8kg/シーザージム/SB日本フェザー級 一位)
●“クレイジードック”スミス(170cm/62.5kg/カナダ/チーム トンプキンズ/MMACカナダライト級 王者)
[判定 3−0]

さてさて、ここからは「日本SB vs 北米MMA対抗戦」。その先鋒戦には「SBの絞首刑人」石川剛司が登場。

「無双」における対抗戦には三連続で出場している石川だが、「SB vs ムエタイ」ではアーリー・イングラムジムと7Rの激闘の末に惜敗、「SB vs 散打」で勝利を得るも、段寒松を相手に最後まで翻弄され続けるなど、今一つピリッとした試合がないのが実状。それを知ってか知らずか、試合前には「究極のド突き合いをする」と公言。う〜ん、確かに石川が短期決戦をする時は一発KOになる事が多いねぇ。期待しますかね。ちなみに自慢のモノは穴の開いたグローブなんだそうだ。今日は穴が開く程のド突き合いを展開できるかな?


その石川と対戦するのは、総合格闘技団体MMACのカナダライト級王者、"クレイジードック"スミス。この選手、その名の通りにかなり狂っており、前日計量では71.5kgという、契約体重を10kg近くオーバーする体重だったにも関わらず、当日計量は62.5kgまで落としたそうな。

ぶっちゃけ、62.5kgじゃ契約体重違反だと思うのだが…、それにしたって、たった1日で9kgも落とすことなど可能なのだろうか?まったく、凄いとしか言いようがない。というか、そんなムチャをやるくらいなら、前日計量までにキッチリと体重を落とせよ。


1R、体重を落としたといえど、元々は70kgを超える体格の持ち主のスミス。石川よりも二回りは大きな体を揺すりながら、「ヒュッ!ヒュッ!」と口にしつつ重そうなワンツーや右ローを放つ。その雰囲気を見るにつけ、思っているよりは立ち技の闘い方に慣れている様子だ。

対する石川は、ズンズンと前に出てくるスミスを捌けずに大苦戦。スミスの打撃の合間に、右ローを重ねるのが精一杯の状態だ。終盤にはスミスのフロントチョークに石川が苦戦する場面も。「SBの絞首刑人」も形なしの状態だ。

2R、スミスは変わらず前に出続けて「ヒュッ!ヒュッ!」と左右のフックを振り回す。更にはボディブローも駆使して石川を圧倒するスミスだったが…。中盤頃から試合の趨勢が逆転。ここまで石川がコツコツと放っていた右ローが、スミスの動きを鈍らせる。段々と前に出るプレッシャーが弱まるスミスに対し、石川は尚も右ローを重ねて動きを止めに掛かる。

3R、序盤からワンツー〜右ローで追い込んで首投げを決め、右フックを叩き込む石川だが、スミスを仕留めるまでには至らない。接近すればスミスのワンツーを喰らうなどで苦戦する石川、ならばと今度はスミスを首相撲に捕らえて、ボディへ膝蹴りを連打する。

露骨に嫌な顔をするスミスに対し、石川はワンツー〜右ローを連発してダウンを奪いに掛かるも…石川は終盤、スミスのバッティングを喰らって左目尻から出血してしまった。

判定の結果、3−0で石川が勝利。今日の石川、内容自体は完勝だが…試合前の公言からは程遠い内容に、勝ち名乗りを受けるその表情は冴えなかった。


う〜ん、今日の石川は相手との体格差に手を焼いたね。僕としては、本人が卑下する程に内容が悪かったとは思わないなぁ。体格差のある相手に対して、よく健闘したと思うよ。とはいえ、もし倒せなかった事が不満だとしたら、やはり昔からの課題である「スタミナの増強」か、打撃の破壊力をもう少し増幅させるしかないと思うんだけどねぇ。

第十試合 「SB次世代のエース」が思わぬ黒星を喫する

日本SB vs 北米MMA対抗戦 副将戦 エキスパートクラス特別ルール 70kg契約 3分3R + 延長3分無制限R
○マーク・ホーミニック(173cm/69.2kg/カナダ/チーム トンプキンズ/元TKO世界ライト級 王者)
菊地浩一(175cm/70.0kg/寝屋川ジム/SB日本ウェルター級 二位)
[判定 3−0]

日本SB vs 北米MMA対抗戦」、副将戦には「SB次世代のエース」菊地浩一が登場。

自慢のモノはシルバーアクセサリーだという菊地だが、「無双」における戦績は上々。「SB vs ムエタイ」ではファープラターン・シンマナサックを2RTKOで下し、「SB vs 散打」では姜春鵬の散打殺法に大苦戦するも、首相撲からの膝蹴りの連打で形成を逆転して判定勝利を得た。

SBの新エース」宍戸大樹が留守にする中でSBにおける番付を確実に上げている菊地、今日は総合格闘技の元世界王者にして、修斗日沖発と対戦経験のある元TKO世界ライト級王者のマーク・ホーミニックを相手に勝利を奪えるか?


1R、菊地はいつも通りに中間距離から左ミドル、左ローでホーミニックを牽制するも、ホーミニックはリングを大きく左に周って菊地の蹴りの勢いを殺すと、時折接近してワンツーで菊地の動きを止めて、強烈な左ボディブローを何度も叩き込む。この左ボディブローが本当に強烈で、観客からは一発決まる度にどよめきが起こっていた。それにしてもリングを左に周るあたり、ホーミニックは菊地の動きを研究してきたのかな。こりゃあ、今日の菊地の苦戦は必至だなぁ。

2R、ホーミニックは序盤にタックルで菊地をテイクダウンする。いきなりMMAの洗礼を受けた菊地は、この後もホーミニックの打撃に大苦戦。相変わらずリングを左に周りつつワンツー、左ボディブロー、右アッパーを重ねて菊地にダメージを与える。対する菊地は左の蹴りが有効打にならず、なかなか主導権を握る事ができない。ならばと前に出てパンチを繰り出すも、ホーミニックは余裕のスウェーでかわしていく。あらら、「SB次世代のエース」が完全に遊ばれているよ…。

3R、ホーミニックは変わらずワンツー〜左ボディブロー、右アッパーを連発。対する菊地は得意の左の蹴りを捨て、リングを左に周るホーミニックを追いかけながらパンチを放つ。だが、ホーミニックはスウェーを駆使してかわし続ける。こうして2R後半と同じ光景が3Rも続いたが…終盤、菊地の裏拳がクリーンヒット。観客からは歓声が沸いたが、ホーミニックのダメージは浅い。それどころか試合終了直前にはホーミニックの右アッパーがクリーンヒット。モロに喰らった菊地の腰が落ちれば、観客は落胆の溜息に包まれた。

こうして試合は終了。判定の結果、3−0でホーミニックが完勝を修めた。


う〜ん。まず一つの誤算として、MMAの選手であるはずのホーミニックが、立ち技の闘い方に慣れていた、というのがある。更にはホーミニックが、菊地の闘い方をしっかり研究していたのも誤算だろう。そういう意味では、菊地の敗北は重い。今日の敗因についてはシッカリと反省しないと、同じカードを組まれた時に同じような負け方をするだろう。しっかり反省して欲しいね。

対するホーミニックは、MMAの選手とは思えない身のこなしとボディブローの強さを持つ選手だった。正直、K-1 MAXに出場している日本人でも、彼と対戦すれば何もできずに負けてしまう選手は多い気がするね。う〜ん、日沖はどうやってホーミニックに二連勝したんだろ?

第十一試合 「SBの魂」が、再び一敗地にまみれた

日本SB vs 北米MMA対抗戦 大将戦 エキスパートクラス特別ルール 71kg契約 3分3R + 延長3分無制限R
○アダム・ヒグソン(178cm/69.7kg/カナダ/チーム トンプキンズ/KING OF THE GLADIATORS 王者)
●緒形健一(172cm/70.9kg/シーザージム/S-CUP 2006 覇者SB日本スーパーウェルター級 王者)
[判定 3−0]

日本SB vs 北米MMA対抗戦」その大将戦には、いよいよ「SBの魂」緒形健一が出陣。

SB vs ムエタイ」におけるビッグベン・ケーサージムとの一戦での、悲劇的な敗北から早くも五ヶ月。続く「SB vs 散打」では難敵・徐王炎を相手にKO勝利を修めた緒形だが、これはあくまで通過点。自慢のモノは「S-CUP 2006のチャンピオンベルトだという緒形、高らかに「ビッグベンへのリベンジ」を宣言した今、これまでにも何度も倒してきているMMAの選手に負けるわけにはいかない。

だが、今日の緒形の相手は見るからに難敵である。本来出場するはずだったサム・スタウトに変わり、急遽この試合に出場する事になったアダム・ヒグソンは、KING OF THE GLADIATORSの王者というだけではなく、ISKAやWKAカナダ等のキックのベルトも保持している選手である。パッと見る限り、178cmという身長以上に長そうな手足が厄介そうなのだが、その心配を裏付けるように彼のキック及びMMAにおけるKO率は90%を超えるという。う〜ん、大丈夫なのかねぇ。


1R、ナチュラルな体格なら緒形よりも一階級は上の選手であろうヒグソンが、長いリーチを活かして遠距離からパンチを放つ。対する緒形はいつものように右ローで牽制し、おもむろに接近するとヒグソンと真正面からのド突き合いを展開。観客は「待ってましたっ!」とばかりに大歓声を贈る中、緒形のワンツーが次々にヒット。観客の歓声は更に大きくなったが…。

ラウンド終了直前、前に出ようとする緒形にヒグソンの左ストレートがカウンターでヒット。緒形が力なくダウンすると、S-CUP 2006覇者の力ない姿を目撃した観客から悲鳴が上がる。おおおぉぉぉ〜っ、これは「ビッグベン戦の悲劇、再び」なのかぁ?

2R、ヒグソンは手負いの緒形にトドメを刺すべく、積極的に前に出て顔面への蹴りやワンツーで追撃。対する緒形、序盤はヒグソンの勢いに押されて下がり気味だったが…ワンツー、右ローを放ってヒグソンの勢いを殺していけば、徐々にヒグソンの動きが落ちていく。さすがは緒形といったところだが…、1Rの失点を挽回するには3Rに勝負を賭けるしかない状況になったのも事実。さあ緒形、どうする?

3R、ヒグソンは動きが鈍りつつも、前に出て緒形を追い詰めていく。ワンツー、左ボディブロー、右アッパーなどを駆使して緒形を追い詰めていく。対する緒形は下がりながら右ローを重ねて応戦していたが…。

このままでは敗北が確定する緒形は終盤、意を決して真正面からヒグソンに立ち向かう。ガードを固めながら左右のパンチとテンカオを連発すれば、やや疲労のあるヒグソンに次々にクリーンヒット。観客の誰もが緒形の大逆転を期待する中、緒形はヒグソンをダウン寸前まで追い詰める。どんどん脳を揺すられてフラフラになるヒグソン、緒形は尚も攻撃の手を緩めなかったが…。

なんとここで試合終了のゴングが鳴る。その瞬間、観客からは緒形の健闘を讃える歓声と、緒形の敗北を確信した落胆の声と、あと少しでダウンというところで試合を止められた悔しさの声が入り混じった、何とも言えない空間が出来上がっていた。

判定の結果は3−0、1Rにダウンを奪ったヒグソンが勝利を修めた。


う〜ん、この緒形の敗北は重いなぁ。

正直、今日の緒形はあと5秒もあれば判定をドローに持ち込んだ末、延長戦でキッチリと倒せる相手だと思うが…。歴史に『たられば』は存在しない、というか。

ビッグベンへのリベンジを宣言した矢先に、あまりに痛すぎる黒星を喫した緒形。まあ緒形であれば、この敗北を糧に更に強くなるとは思うが…。ハッキリ言ってビッグベンへのリベンジの道は一旦、閉ざされたと言えるだろう。仮にこのままビッグベンとのリベンジ戦に挑んでも、緒形は勝てない気がするなぁ。

ならば、閉じた扉は再び開くより道はない。その方法はただ一つ、ヒグソンへのリベンジだ。


雑感

最初はあまり注目していなかった「日本SB vs 北米MMA対抗戦」だが、終わってみればSBの1勝2敗と初の負け越し。う〜ん、SB陣営としては…、北米MMA軍団の選手が立ち技慣れしていたのは誤算だっただろうな。


それにしても、今日のSB勢はよく負けた。菱田先生、えなり、山口、菊地、そしてS-CUP 2006覇者の緒形…。人気選手や実力者がこぞって敗北とはねぇ…。特に緒形と菊地の敗北は重い。「SBの新エース」宍戸大樹も他団体で連敗中だし、これは再び「SB日本最弱」って事なのかねぇ。いや、宍戸は日本人に連敗しているから…、もはや「SB最弱」って言い方になっちゃうなぁ。頼みの綱はアンディ・サワーただ一人という状況も、なんだか悲しいねぇ。


う〜ん、今日負けた選手が全員勝っていれば、今日の興行はさぞかし華やかな雰囲気になっただろうに…。やはり「興行は水もの」ですな。「この先、SBはどこへ向かっていくのだろうか…」と、ファンとしては、その行く末が不安になる興行でしたとさ。


以上、長文失礼。