7/18 内藤vsポンサク 後楽園ホール興行(地上波) 簡易観戦記

亀田興毅にとって、これはチャンスなのか?ピンチなのか?

当日を迎える直前まで「スポンサーもつかず、テレビ放送もナシ」という危機的状況にあった、今回の世界戦。どうにか地上波はついたものの、その扱いは「27:30からの30分放送」という、ゴリラーマンでいうところの「オマメ扱い」。う〜ん、こういうのってジムの政治力がモノを言うんだろうなぁ。


さてさて。挑戦者の内藤大助にとっては、これが三度目のポンサクレック戦である。一回目は秒殺負け、二回目は7R判定負け。確かにこの戦績だけ見ると「二度あることは三度ある」と予想する人の方が圧倒的に多いのだろう。って、まあ僕も「六年間も王座を防衛し続けている、ポンサクレックが負けるワケがない」と思っていたんだけどさ。


…しかしまあ、こりゃあ大変なことになったねぇ。

夜中にやるにも「もったいないくらい」に、ハラハラさせられた好勝負でした

WBC世界フライ級 タイトルマッチ 3分12R
内藤大助(163cm/50.8kg/宮田/WBC世界フライ級 六位)
ポンサクレック・ウォンジョンカム(161.9cm/50.8kg/タイ/WBC世界フライ級 王者)
[判定 3−0]
※内藤が新王者に

たったの30分という放送枠の中、TBSは「試合中盤を大幅にカットし、終盤から『内藤勝利』のムードを余すことなく放送する」という編集をしていた。4Rから7Rに飛んだ時はちょっと驚いたけど、全体的に見れば、短い枠の中で大健闘しているとは思った。


試合。序盤はややポンサクレックのペースか。3R序盤に得意の飛び込んでの右フックがヒット、中盤には左のカウンター。随所で巧さを見せるポンサクレックだが…。3R終盤に内藤の右がヒット、これでポンサクレック左目尻をカット

そして、このがかなり深かった。インターバル中は止血に専念するポンサクレック陣営、ラウンド開始のゴングが鳴っても引き上げようとしない。大ブーイングの中で陣営の作業は続けられるも、ポンサクレック出血は止まらない。そこへ内藤が次々に右を叩き込めば、観客も徐々に内藤の勝利を確信していく。


常に先手先手で攻め続ける内藤、細かいジャブを返していくポンサクレック。大きなヒットこそないものの、試合はなかなかの好勝負に。そんな中、8R終了時のオープンジャッジは77-75、76-75、76-76と、僅差ながらも内藤がリード


しかし、これを聞いたポンサクレックは9R、失点を挽回すべく一気にラッシュを仕掛けてきた。強烈なフックやボディブローが次々にヒット、内藤は大ピンチを迎えたが…。2分に渡る猛攻を凌いだ内藤は、左右のフックでポンサクレックの動きを止める。観客も大歓声で内藤の攻めを支持。

10Rも左右のフックを入れ続けた内藤は、11Rにもビッグヒットを連発。途中、ポンサクレックの攻めを前に下がる場面もあったが、内藤は最後まで前に出る姿勢を崩さずにパンチを出し続ける。そして内藤は、試合終了のゴングが鳴るのと同時に両腕を突き上げれば、観客も大歓声でこれを支持。


判定の結果は115-113、116-113、116-113。一度目の世界戦でポンサクレックに秒殺された時には、インターネットに「日本の恥」と書かれまくった内藤だが…、屈辱に耐えて勝ち取った「三度目の正直」。新チャンピオンの誕生を、観客は鳴り止まない大歓声で祝福し続けた。


んで、放送はここで終了。う〜ん、内藤の「勝利の声」が聞けなかったのはちょっと残念だなぁ。

雑感

さてさて、今回の王座奪取劇で面白くなるのが…やはり亀田興毅の今後の動向だろうね。


もともとフライ級王座の獲得は、三階級制覇をブチ上げている興毅にとっては必須事項なのだが、WBA王座は7月2日に同門の坂田健史が奪取に成功し。そしてWBC王座は今日、内藤が新王者に。

この結果を受けて、「坂田との同門対決で世界王座戦を!」という狂言を連呼していた亀田史郎氏が、単純に「これからは、内藤大助に照準を絞る!」と言えるのか、どうなのか。


そりゃあ、「世界王座を連続17回防衛、六年間無敗」というポンサクレックよりは楽になったかもしれないが、内藤の戦績だって35戦31勝2敗2分21KOという立派なもの。ポンサクレックにしか負けた事がない彼に、今の亀田は勝つ事ができるのか?どうなのか?

ちなみに内藤は、これまでにも亀田への挑戦を連呼してきた過去がある。その裏には「俺は亀田興毅ごときには負けない!」という確固たる自信があるのだろう。

そして王座を奪取した内藤は早速、防衛戦の相手に亀田を指名。内藤に「世界王者」の肩書きがない時は無視を決め込んでいた亀田だが、今回の指名に対しても無視を決め込むことになるのか?

初防衛戦に亀田興を指名 WBC新王者の内藤

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/headlines/etc/20070719-00000028-kyodo_sp-spo.html

 18日の世界ボクシング評議会(WBC)フライ級タイトルマッチで勝って新チャンピオンとなった内藤大助(宮田)が19日に東京都内で記者会見し、初防衛戦の挑戦者に人気者の亀田興毅(協栄)を希望した。
 内藤はこれまで亀田興との対戦を希望しながら実現しなかった。内藤は「勝つ自信はあるし、正直言ってやりたい。大みそかの生放送で(『亀田のけんか祭り』でなく)『内藤祭り』なんてどう。またうまいこと言って逃げるんじゃない?」と挑発気味に話した。
 ただ前王者となったポンサクレック(タイ)側が2試合の興行権を持っており、亀田戦を実現するにはこれを買い取る必要がある。


ま、「無視を決め込む」っていうのも作戦ではあるよなぁ。というのも、内藤は八月で33歳になるベテランなんだよね。内藤の肉体的に衰えたタイミングで王座に挑戦…っていう作戦もあるか。ま、内藤がそんな日まで防衛記録を重ねられるかどうかは判らないけどさ。


いずれにせよ、亀田陣営の答えは7/28の「亀田の夏祭り」で出てくるだろう。どんな出方をするのか、楽しみだなぁ。


以上、簡単すぎて失礼。