7/16 HERO’S 横浜アリーナ興行(地上波) 簡易観戦記

ξ ゚∀゚)ξは、すっかり格闘技への興味を失ったようです…

今回のHERO'Sをテレビ観戦していて、真っ先に感じたのは。

1Rは5分〜10分という時間で区切られているハズなんだけど、いざテレビを見ていると…どうにも短く感じる。そこで、右上の時間表示に注目すると…どうもディアボロが、何度もキング・クリムゾンの能力「エピタフ(墓碑銘)」を連発していたらしい((C)ジョジョの奇妙な冒険「第五章 黄金の旋風」より)。

ま、そんな小ネタはさておき。どうも僕は、今回のような放送の仕方は好きになれないね。カットだらけのダイジェスト放送なら、その旨がわかるような番組作りをして欲しい。正直、つまらない試合がテレビの力よって名勝負に変えられてしまいそうでイヤだ。ま、格闘技に興味のない人にしてみれば、その方が良いんだろうけどさ。


さてさて、そんな「影の努力」も虚しく、今回のHERO'Sは大苦戦。視聴率は二桁のキープが危うくなり、興行の内容でも宇野の勝利以外はHERO'Sが望む結果とはまるで正反対に。

ふ〜む、「興行は水もの」とはいうけれど、なんとも「泣きっ面に蜂」というかねぇ。こりゃあ次回HERO'Sは、とんでもない秘策か入念な宣伝がない限りは、視聴率も二桁割れするんじゃないのか?う〜ん、大ピンチやね。

第一試合 できれば、契約体重はもっと軽い方が…

70kg契約 5分3R
アレッシャンドリ・フランカ・ノゲイラ(170cm/69.8kg/ブラジル/ワールドファイトセンター)
勝村周一朗(172cm/68.0kg/Team ZST村道場)
[2R 1分55秒 KO]
※右フック

久々に登場の小ノゲイラは、以前に比べて大幅なウェイトアップ。かなり強引な増量だったらしく、お腹の贅肉は余り気味。やはり急なオファーで、調整しきれなかったのかねぇ?それとも単純に、この体重での闘いはムリのある体格なのかな?

う〜ん、HERO'Sがちゃんと65kg級を新設すれば、小ノゲイラももっと活躍できるだろうに。あ、そういえば勝村も本来は65kg級だな。


さて試合。今まで幾多の選手に「スタンドでの打撃戦」で金星を献上してきた小ノゲイラだが、今回は右フックを勝村の顔面に叩き込んでKO勝ち。試合全般において小ノゲイラがヒヤリとする場面は皆無。非常にシンプルな結論だが、実力差があったって事だね。

そういえば試合終了後にテレビカメラが、勝村が働く施設の子供達の表情をチラっと映していたな。なんともエゲツない事をしている気もするが…、テレビとしては「欲しい絵」である事も事実だな。ま、テレビに大映しになっていた子供達が、勝村の敗北を理解できる年齢の子ではなかった事は幸いだけどね。


んで。全然関係ないけど。ZSTって活動規模を縮小しているよねぇ。最近はアマチュアが中心だし。興行の資金に関して色々と謎が多いZSTだが、いよいよ運転資金がなくなってきたのかな。そんなZSTも、11月23日に五周年を迎えるそうで。久々に観戦しに行こうかな。試合中に流れるトランスのメロディーが妙に懐かしいよ。

第二試合 元スペツナズも母の愛には勝てなかった

70kg契約 5分3R
アンドレ・ジダ(172cm/70.0kg/ブラジル/シュートボクセ アカデミー)
ウマハノフ・アルトゥール(170cm/70.0kg/ロシア/SKアブソリュート ロシア/PANCRASEライト級 一位)
[1R 1分20秒 KO]
※右フック

「お母さんが勝ってくれた"adidas"のシューズを擦り切れるまで履いた結果、真ん中の"dida"の字が残った」というジダのリングネームの由来は素直に「ξ ;∀;)ξ < なんていい話なのっ!」と思ったけれど、この時点でウマハノフは悪役になっちゃったね。ま、「元スペツナズ」というウマハノフの肩書きを知れば、ますます悪役のイメージが確定するだけなんだけどさ。


それにしても、試合がここまで一方的になるとは思わなかった。ジダの右フックをノーガードで喰らい続けるウマハノフ、フラッシュダウンを繰り返しつつも何度も立ち上がったが…、その後も一方的に右フックを浴び続けたのなら、レフェリーが試合を止めるのは必然でしょ。う〜ん、昼間のCAGE FORCEのテレビ放送を含めて、ウマハノフ幻想は完全崩壊だなぁ。


しかしまあ、PANCRASEは窮地に追い込まれているな。

出資元のセガサミーはスポンサーを離れ、元ウェルター暫定王者の井上克行&現ウェルター級王者の石毛大蔵CAGE FORCEのトーナメントで揃って一回戦負け。頼みの綱の近藤有己の幻想も半壊し、ウマハノフスペツナズ幻想も本日崩壊。負のスパイラルが止まらない、というかね。

「負けないPANCRASE」を実践しているのが、三冠王座を防衛し続けている鈴木みのるだけ、という状態もどうか?どうなのか?噂ではbodogとの提携も、そんなに旨みのある話じゃないようだしね。マジな話、PANCRASEは来年あたりで沈没するかも。船木誠勝HERO'Sで復帰宣言する前に、古巣を助けてあげろよ。その点においては、みのるは偉いと思うよ、マジで。

第三試合 グレイシーは続くよどこまでも

90kg契約 1R10分 + 2R5分
ハレック・グレイシー(188cm/90.0kg/ブラジル/グレイシー柔術アカデミー)
柴田勝頼(183cm/87.1kg/ARMS)
[1R 3分5秒 腕十字固め]

どうも僕は、この柴田勝頼というプロレスラーが好きじゃない。「幻想」が最大の売り物であるプロレスラーでありながら、山本宜久戦で勝利した後の雄叫びの声が裏返っていたのがねぇ…。「ウぅホォ〜っ!ウぅホォ〜っ!」ってなんだよ。プロレスラーなら、人前では度胸の良いところを見せないと。まずはビール瓶を割って食べるところからやり直しだな。そして、そんな柴田と闘うのは「グレイシー第三世代」ことハレック君。これが総合初戦だそうで。


試合が始まれば…。成程ねぇ、ハレック君はあんまり立ち技の練習をしてないのね。立ってている佇まいだけで危なっかしさを発揮するハレック君に、柴田の右ストレートがヒット。バランスを失うハレック君に組み付く柴田だったが、これはハレック君が逆にテイクダウン。う〜ん、これは明らかに柴田のミス。組み技を自分の土俵とするグレイシー一族に安易に組み付いちゃイカンよ。無理せず、打撃で牽制し続けりゃ良かったのに。

んで、グラウンドでは水を得た魚のようなハレック君。テイクダウンと同時にマウントを奪い、あとはジックリと腕十字。ハレック君のマウントを返せる気配がない時点で、柴田の負けは確定していたね。


しかしまあ、今更「グレイシー vs プロレス」のアングルっていうのもなぁ…。年末にはヒクソン・グレイシー vs 船木誠勝の再戦も噂されているけど、それに合わせてこのカードもリベンジ戦とかやるのかな。だったらついでに、ホイス・グレイシー vs 曙の再戦もやってくれ(鼻クソをほじりながら)。

第四試合 もう少し世間に知られて良い存在、それが「少林」

HERO'S ミドル級世界最強王者決定トーナメント 一回戦 5分3R
○ビトー“シャオリン”ヒベイル(173cm/70.0kg/ブラジル/ノヴァ ウニオン)
宮田和幸(172cm/70.0kg/フリー)
[2R 1分54秒 肩固め]

1Rは強豪シャオリンを相手に、互角以上の闘いを見せる宮田。シャオリンのタックルを喰らっても倒れる気配がないどころか、右ローを重ねて試合を優位に進めてしまう。

正直、1Rが終了した時点では「こりゃあ、テリーマンよりも強いぜ!((C)キン肉マン「六人の悪魔騎士編」より)」と思わせた宮田だったが、2Rは見事にガス欠を起こしてしまった。シャオリンは難なくテイクダウンを奪い、あっという間に肩固めを極めてしまった。


宮田のスタミナ不足は本人にとって大きな課題なのだろうが、それ以上に実戦経験が少ないのが、非常にもったいなく感じるね。本当は、CAGE FORCEあたりで闘いの経験を積んだ方が、良い選手になれると思うんだけどね。ま、実現するには色々と難しい壁があるんだろうけどさ。

第五試合 このリベンジ戦は、前回以上に「力の差」が出た気がする

HERO'Sミドル級世界最強王者決定トーナメント 一回戦 5分3R
○ブラックマンバ(183cm/69.6kg/インド/フリー)
所英男(170cm/70.0kg/Team ZST)
[1R 4分47秒 KO]
※グラウンドでのパンチ連打

1R序盤、強引に足に絡み付いた所が、グラウンドで足関節を狙う。と、ここまで鮮やかな動きだったが…、マンバに上を許してからは、一方的にボコボコと殴られてしまう。特にマンバがボディシザースを決めてからは所が大苦戦。必死に立ち上がろうとする所だが、マンバは強引に胴絞めを続ける。う〜ん、マンバの足は長いねぇ。

所が残り1分を前にして、ようやくリバースに成功。所は起死回生の足関節を仕掛けたが…マンバに外されて万事休す。マンバが一方的に殴り続ければ、ボコボコにされる所の様子を見たレフェリーが試合を止めた。


ふ〜む、前回の対戦(所が膝蹴り一発でKO負け)と比べると、今回は露骨に「力の差」が出ちゃったね。ま、実力云々というよりは「体格の差」って感じだけどさ。所が今の体格である以上は、多分三度目の同じ対戦があってもマンバには勝てないと思うなぁ。


それにしても所は「お茶の間のヒーロー」でありながらも、勝ったり負けたりが激しいね。正直、ある程度は継続して白星を上げていかないと、ファンの体力がもたないと思うんだけどさ。一喜一憂を繰り返し、すっかり疲弊した「やさぐれた所ファン」というのは想像もつかないよ。ま、いたらいたで結構、面白そうな気もするけどね。

いずれにせよ、所は古巣のZSTにでも上がってもらって、もう少し気楽な試合に挑んで欲しい。その方が所らしい気がするしね。

第六試合 HERO'Sが望んだ結果を残したのは、この人だけ

HERO'Sミドル級世界最強王者決定トーナメント 一回戦 5分3R
宇野薫(172cm/70.0kg/和術慧舟會東京本部)
永田克彦(170cm/69.8kg/新日本プロレス・NEW JAPAN FACTORY)
[判定 3−0]

今日はこの試合が、テレビ放送のトリ。なんていうか、HERO'Sのファン層は、メインイベントの田村潔司 vs 金泰泳に期待を寄せるような人々じゃないんだから、この試合をメインにすればいいのに。なんでまあ谷川貞治Pは、いまだにプロレスを引きずるようなカード編成をするんだろ?今一つ、HERO'Sの狙い目がわからん。


試合は主にスタンドでの勝負となったが、お互いになかなか決定打が出てこない。永田は何度か宇野に組み付ついたが、コーナー際で粘られてテイクダウンを奪えない。やや煮え切らない展開のまま、試合はあっという間に2Rが終了。正直、僕は「お互いに首相撲が使えれば、もう少し違う展開を望めるんだけどなぁ」と思ってしまった。なんていうか、攻防に妙な古臭さを感じちゃったなぁ。う〜ん、宇野の試合でこういう感覚を味わう事になるとはなぁ。

3R、永田はついにテイクダウンに成功するも…宇野は尻で立ったり、スイープを決めたりで逆に永田を翻弄。スタンドでもパンチを顔面にヒットさせて、勝敗を決定づけた。う〜ん、永田も決して弱いとは思わなかったけど、最後は経験の差が露骨に出たね。ま、HERO'Sにしてみれば、順当に宇野が勝ち残ってホッと一安心、といったところだろうけどね。


さてさて、今年のHERO'Sミドル級世界最強王者決定トーナメントだが…、日本人の生き残りは宇野一人だけ。んで、他のメンバーを見ればマンバ、シャオリン、そしてJ.Z.カルバンと、いずれも強豪。宇野にとっては非常に苦しいトーナメントになりそうだな。

HERO'Sとしては、準決勝戦は実力で劣るマンバを宇野に当て、強豪のシャオリンとカルバンを潰し合いをさせたいんだろうけど、宇野とマンバは昨年、対戦済みだしなぁ。う〜ん、カルバンが今回のHERO'Sを怪我で欠場した事が、準決勝のカードのキーワードになりそうだな。

第七試合 「今日は海の日」、こういうのが正しいサザエさん

87kg契約 1R10分 + 2R5分
○メルヴィン・マンホーフ(177cm/85.9kg/オランダ/ショータイム)
●ベルナール・アッカ(184cm/85.2kg/コートジボワール/フリー)
[1R 2分13秒 KO]
※左フック

「マス夫、華々しくデビュー」「マス夫のアメリカンドリーム」ときて、本日は「マス夫、猛獣と闘う」ときたモンだ。う〜ん、どれもサザエさんのタイトルには程遠いな。

…っていうか、今日もマス夫さんを強調していたアッカだけど、前回の試合でアメリカン・ドリームを手にしたんじゃなかったのかぁ? Dynamite!! でアナウンサーが必死に連呼していたあの台詞はウソだったのか? やれやれ…、TBSはまたしても捏造したな(苦笑)。


まそれはさておき。あのマンホーフを相手にノーガードのまま正面から突っ込むとは、アッカの肝の太さも大したモンだ。おおよそマス夫さんらしからぬ「度胸の良さ」で勝負に出るアッカだが…、結局はマンホーフのパンチを喰らい続けてKO負け。


終わってみれば、一方的な展開だったワケだが…。ま、冷静に考えれば…。なんだかんだで経験不足のアッカが勝てる相手じゃないよ、マンホーフは。

第八試合 「PRIDE vs K-1」? これはどう見てもRINGSでしょ!

ライトヘビー級 1R10分 + 2R5分
金泰泳(180cm/85.0kg/正道会館)
田村潔司(180cm/81.7kg/U-FILE CAMP)
[延長判定 3−0]
※本戦判定 1−0

ふむ。テレビでいかに「PRIDE vs K-1」を煽ろうとも、この試合にその価値を見い出すファンはいないだろう。第一、古田信幸リングアナが選手をコールし、前田日明SVが見守っている時点で、こりゃRINGでしょ。金泰泳の所属も正道会館だしね。


テレビ放送は1Rと延長Rのみ。ま、内容を見る限りでは、この編集は正解だと思う。

1Rは、金はグラウンドへ誘おうとする田村を捌き続けると、スタンドでは右ミドルを叩き込む。たとえテイクダウンを許しても、金は尻で立つ技術を駆使して完全なテイクダウンを許さない。それでも強引に倒す田村だが、金はキツいクロスガードで田村のグラウンドを阻止。

んで、試合は展開する事なくブレイクが掛かれば、再び金がスタンドでリードし、田村が倒しにいくも金のディフェンスが冴える…という展開が繰り返される。鑑賞するにはちょっと退屈な内容だったが、残念ながら延長Rでもこのリズムは崩れない。そんな中、スタミナを失いガードの下がった田村に、金がバキバキとパンチを叩き込んで勝敗を決定づける。ほほぅ、田村がこんなにバテバテになるのは珍しい。練習不足かねぇ?


ってなワケで、延長判定の結果は3−0で金が勝利。


ファイターとしてのイメージを大事にする田村だけど、立ち技出身の金を相手に黒星を喫するとは予想していなかっただろう。ハッキリ言って、金のことを舐めていたんだろうさ。こんな試合をしていたのでは、復帰が噂されている秋山成勲の相手なんかして欲しくないねぇ。

第一、金の方が秋山と闘う理由はあるんだし(「疑惑の腕十字&謎の1R判定」)、復帰戦は秋山成勲 vs 金泰泳の方がいいんじゃないのかねぇ?少なくとも僕は、このカードの方が見てみたいよ。


追伸:グラウンドでの展開に乏しいこの試合を見て、「RINGSルールの方が、テンポ良く見れただろうに」と思ったのは僕だけではないハズだ。

雑感

正直、あんまり面白くなかったなぁ。ぶっちゃけ、あんまり観戦記を書く気にもならんかったしね。それでもこうして書いているのは…、単に興行があった事を忘れないようにしているダケなんだけどさ。

しかしまあ今日の興行は、やっぱり結果が悲惨だよなぁ。その狙いはことごとく外れ、次に繋がる要素をすべて断たれた状況の中、HERO'Sの次回興行はどんな盛り上げ方をする気なんだろ?ま、秋山成勲の復帰という「飛び道具」もあるにはあるけど、あんまり視聴率には繋がらない気がするよね。


んで、これは書かねばなるまいて。

観戦記の中にも書いたけど、今回の興行で船木誠勝総合格闘技への復帰を宣言したそうで。正直、かなりタイミングを逸している気がするけど、それが船木らしいといえば船木らしいか。でもまあ、総合格闘技では大きな実績を残していない船木が、七年ものブランクを経て復帰してもねぇ。その対戦相手を探すのは、かなり大変だと思うなぇ。マジで、どうするんだろ?

そして、僕の中で船木の復帰以上のサプライズが、あの中井祐樹が解説席に座っていた事。あの悲劇から、もう12年かぁ。時が時なら、大ヒーローになっていた選手なんだけどね。ま、偉大なる先人に対して、こういった「活躍の場」を与える事はいいことだと思うよ、マジで。


以上、長文失礼。