6/29 IGF 両国国技館興行 簡易観戦記

なんだかんだで「無事」に開催されました

日本プロレス界の絶対的なカリスマでありながら、ここ最近は「UFO LEGEND」や「イノキボンバイエ 2003」といった迷走興行を連発したアントニオ猪木が、久々に表舞台に登場。その動向にファンの注目が集まったが…、「IGF」と銘打たれた今回の興行は開催当日まで対戦カードはおろか、出場選手までもがまるでハッキリと発表しない…という、ある意味でファン期待を裏切らないような迷走ぶりを発揮。


それでも僕が会場に入ると…、しっかりと8500人を超えるファンが詰め掛けていた。まあぶっちゃけ、僕がここに火星旅行をした時よりも全然、観客は多かったしねぇ。やっぱりなんだかんだいって、猪木の名前は金看板なんだな。とはいえ、この観客の中の何人が実券で入ったのかは判らんけどね。


ちなみに僕はちゃんとチケットを購入しました。3000円だとさ。なんだかんだで、これで「アングル vs レスナー」が観れるなら安いわ。

第一試合(未観戦) 未観戦だけど短いなぁ

シングルマッチ
ケビン・ランデルマン(178cm/92.2kg/アメリカ/ハンマーハウス)
アレクサンダー大塚(182cm/92.0kg/AODC)
[5分9秒 エビ固め]

う〜ん、ふんどし姿ではないアレクサンダー大塚が試合をするのは久しぶりな気がするが…、とりあえずは「見てないものは語れない」って事で。

…っていうか、ランデルマンは本当に試合をしたんだねぇ。意外だな。

第二試合(未観戦) 未観戦だけど短いなぁ

シングルマッチ
小原道由(177cm/110.0kg/フリー)
●タカ・クノウ(176cm/100.0kg/チーム太田章)
[6分5秒 体固め]

伝説の格闘家といわれたタカ・クノウも、プロレスでは首輪を巻いた犬に6分弱で負けちゃいますか、そうですか。

スポナビの記事を読む限りでは、小原はSTOを使ったようで。自分より格上な上、同じ興行のセミファイナルに出場する選手のオリジナル技を平気で使用してしまうのはどうか?どうなのか?

第三試合 ダラダラと長いなぁ

U−STYLE披露試合 タッグマッチ
田村潔司(180cm/88.0kg/U-FILE CAMP.com)
 上山龍紀(181cm/80.0kg/U-FILE CAMP.com)
vs
松田英久(175cm/84.0kg/U-FILE CAMP.com)
 小武悠希(174cm/72.0kg/U-FILE CAMP.com)
[15分47秒 膝十字固め]

この試合の途中から観戦。


プロレス界では「白星乞食」として名高い田村がIGFに出場。「その対戦相手はっ!? そして、勝ってしまうのか?」と、一部マニアの注目を集めた一番だったが…。今回の田村は「U-STYLE披露試合」という、マニアの誰もが「この手があったか!」と思わず納得してしまう策に逃げた。さすがは「白星乞食」、交渉上手というか、星勘定にがめついというか。


さて試合だが、僕は「西調布では結構PUSHされている松田が、意外な活躍を見せる」ってな展開を期待していた。だが実際には、なんだかキレのない試合がダラダラと16分近く続いた末に、最後は田村がその松田から一本勝ち。さすがは「白星乞食」、自分の弟子となると、売り出し中の選手からも白星を奪ってしまうんだねぇ。

しかしまあ、この試合の観客が醒め方といったら…。おかしいなぁ、松田はやれば出来る子なんだけどなぁ。…っていうか、四人の実力のバランスを考えれば、田村&小武 vs 上山&松田ってカードにするのがスジだと思うのだが…。

松田英久が西調布で大活躍!
「10/14 U-Zeal 西調布格闘技アリーナ興行 画像つき観戦記」

http://d.hatena.ne.jp/Mask_Takakura/20061014

一休和尚の詩もこうなっちゃうのね

ここで何故か、TRIPLE-Pなるインディース・アーティストが登場、猪木の名言を取り入れた「道」なる曲を披露。なんだか少年カミカゼぽかった。

第四試合 生で見ても短いなぁ

シングルマッチ
ジョシュ・バーネット(191cm/117.0kg/アメリカ/フリー/PANCRASE無差別級 王者)
安田忠夫(193cm/130.0kg/フリー)
[4分17秒 腕十字固め]

今回のIGFは、対戦カードはおろか参戦選手までもが未発表だったんだけど…その分だけ、カードを発表した時のインパクトは大きく、毎度のように歓声が沸いていた。これって一応はWWEと同じ手法なんだけど、出場選手の発表すらままならないIGFの場合、結果的にこうせざるを得なかったダケのような気がする。

それにしても、久々にバーネットを生で観たなぁ。そして彼は、暫く観ないうちに「名前が出るだけで観客が大歓声を上げる」程の人気者になっていたんだね。観客の生の歓声を聞いて、その事をしみじみと痛感。才能を飼い殺されていた新日本プロレス時代も今は昔の物語。


さて試合。図式としては「バーネットが展開する格闘技ベースのプロレスに、調整不足の安田がついていけずに大苦戦」ってな展開だった。やる気のない安田が場外に逃げて観客のブーイングを浴び、怒ったバーネットがフロントチョークやマウントパンチを連発し、最後は腕十字固めでバーネットが安田からギブアップを奪った。


観客の反応は、全体的に鈍かった。試合後、ふがいない安田の姿を見た藤原組長が、安田に張り手を一閃。「この瞬間が一番盛り上がった」と書けば、試合の盛り上がりがどの程度だったかはお判りいただけると思う。

第五試合 これまた短いなぁ

シングルマッチ
小川直也(193cm/115.0kg/フリー)
マーク・コールマン(182cm/108.0kg/アメリカ/ハンマーハウス)
[6分44秒 レフェリーストップ]
※スリーパーホールド

セミファイナルは見ての通り、意外な大物同士の対戦となった。で、ハッスル以外では久々の試合となる小川は、盟友・橋本真也の入場曲「爆勝宣言」で入場。観客の反応は非常に良かったものの、一部のコアなファンが強烈な拒絶反応を示す。僕も、小川がこの入場曲で入場するのは嫌だね。


さて試合についてだが…なんというかねぇ。「豪快な投げを武器としながらも、まだまだプロレスでは荒さの目立つ」コールマン。そして「ハッスルでは『しょっぱい』でお馴染み」の小川。そんな二人が闘えば…「まあ、こうなるわな」って程度の展開だった。あとは推して知るべし。まあ、コールマンの投げは豪快だったけどね。

どうにもふがいない試合の末、試合は小川のスリーパーで終了。試合後、自分が落ちた事に気がつかないコールマンが大暴走。PIDEのコールマン vs ゴエスを思い出すな。そして小川は猪木に勝利の報告をするも、待っていたのはやっぱりビンタ。なんだかベタ〜ッな感じの展開だったが、観客は結構満足していたようで。


ちなみに、この試合で一番目立っていたのは…、暴走する二人を制止しようとし、リング上で一回転受け身をとりまくった平直之レフェリーである事を追記しておく。シュートボクシングの魂、そしてシーザー魂がここにある。

第六試合 長いようで、意外に短かったなぁ

シングルマッチ
カート・アングル(188cm/100.0kg/アメリカ/TNA)
ブロック・レスナー(193cm/134.0kg/アメリカ/フリー)
[13分6秒 アンクルロック]

元WWEのスーパースター同士の激突となったこの試合は、さすがにまともなプロレスになっていた。シングル戦では一番、試合時間も長かったのだが…それでも13分弱。今日の興行は、どの試合もやたらと試合時間が短いねぇ。普段は、観客を満足させる事に重点を置いた「パッケージ・プロレス」ばかり観戦している僕からすると…正直、選手が手を抜いているよう見えちゃうよ。


試合では、お互いにスープレックスを連発する中、どちらが先に必殺技を決めるか?という、今のアメリカン・プロレスの主流の展開となった。

レスナーのバーディクト(a.k.a. F5)をスイング式DDTで切り返すアングル、アングルのアンクルロックを蹴りで返すレスナー。観客がその攻防に注目する中、ついにレスナーがバーディクトを完璧に決めもカウントは2。これに対して、アングルはアングルスラム(a.k.a. オリンピックスラム)で巨体のレスナーを投げ捨てるが、やはりカウントは2。

お互いに切り札を使っても相手を仕留められない中、レスナーは掟破りのアンクルロックでアングルの足を絞め上げるも、アングルは切り替えして正調アンクルロック。グラウンドへ移行して足を絞め上げれば、レスナーはたまらずタップ。観客の歓声の中、IGFはアングルの勝利というハッピーエンドで幕を閉じた。


ふ〜む。他の試合が随分とアッサリしていたので「この試合は、20分近い激闘になるのかなぁ」と思っていたんだけどねぇ。ま、常識で考えれば…、アメリカが主戦場の二人が、一発もののリングで全力で闘うような事はしないか。

ちなみに試合終了後、アングルとレスナーがガッチリと握手。この行為が意味しているのって…、ようは「仮にIGFに二度目があったとしても、アングルとレスナーが再来日する事はない」って事だな。ハァ…。

エンディングを締めるのは…やっぱりこの人

全試合終了後、謎の能の演舞が披露された後、二階席に猪木が登場。「今宵はプロレスか?はたまた狂言か?」と、相変わらず判ったような判らないような言葉で観客を煙に巻く。で、最後はやっぱり「1、2、3、ダアアアァァァーッ!」。

う〜ん、締まったような締まらんような。

雑感

事前に何も正式発表されなかった分だけ、カード発表時のインパクトが強く、試合はややグダグダ気味で印象に残らず…っていうのが素直な感想で、それ以上のインパクトは何もなかったなぁ。それよりも、この興行に二度目があるのかどうか、の方が気になるな。

ま、我ながら随分とアッサリした感想だけど、今日はこれ以上は絞り出しても何も出てこないや。ま、こんなモンでしょ。


以上、長文失礼。