5/13 全日本プロレス 後楽園ホール興行 観戦記

Mask_Takakura2007-05-14

何気に久々の全日本プロレス観戦ですわい

本日は後楽園ホールにて、久々に全日本プロレスを観戦。


観戦の動機は、今週(5月第二週)は色々なエンターテイメント系のプロレス団体を観戦していたので(ハッスル、DRAGON GATEDDT、MUSCLE LIVE(DRAGON GATE))、「こうなりゃ、『パッケージプロレス』を提唱する全日本プロレスも観なくてはっ!」と思ったから。あんまりいい理由じゃないな。

っていうか、一週間に5団体か(キックボクシング団体を含めると7団体)。我ながら見過ぎだなぁ。反省。


さてさて。しばらく生観戦をしていなかった全日本プロレスだが、ここ最近はストーリーに色々と変動が起きている。

全日本プロレスの至宝、三冠ヘビー級王座を巡る攻防では、前シリーズでTAJIRIを相手に王座を防衛した鈴木みのるが、次の挑戦者として武藤敬司を指名。だが武藤が呼応しなかった為、「もう全日本プロレスは終わり」という言葉を残して全日本プロレスからの撤退を宣言してしまう。

また、TAKAみちのくは、なんとライバル団体であるPRO-WRESTING NOAHRO&Dの再結成を宣言。するとRO&Dを裏切ってVOODOO-MURDER:Sに加入していたハズのディーロ・ブラウンとブキャナンが、またまたRO&Dに再加入する事になったのだ。…っていうか、ぶっちゃけこの二人の外国人のギャラが払えなくなったんだろうなぁ。厳しいねぇ。

んで、表向きはTAKAのせいで戦力を失なってしまったVOODOO-MURDER:Sは、新たなるメンバーを加入させるべく小島聡を熱心に勧誘中…というのが大まかな流れ。結構、大きな変動が起きてるな。


というワケで、激変の全日本プロレスの今を観戦すべくチケットを購入、立見席は2500円也。パンフレットは1000円。合わせて3500円、改めてプロレス観戦は安いと思うねぇ。観客の入りは七割程度。苦戦しているなぁ。

オープニングを飾るのは、メキシコ三人衆

このところの全日本プロレスのオープニングを務めているのはMEXICO*AMIGOS、ペペ・みちのく、ミゲル・ハヤシJr、エル・ノサワ・メンドーサからなる三人組である。無断欠場中のTAKAみちのくカズ・ハヤシNOSAWA論外に代わって来日しているそうだ。いかにもアホらしいねぇ(笑)。



最近、日本語に慣れてきたというハヤシが「いや〜っ、それでも日本語は難しいですねぇ」と流暢な挨拶をすると、ぺぺは次期シリーズでジュニアヘビー級によるリーグ戦を開催する事を発表し、今日対戦するYAMADAについては「コテコテの日本人の苗字がついているようですが、ルチャ・リブレ殺法で倒します」と勝利を宣言。最後は「ビバッ!メヒコッ!」でマイクを締めた。


…なんで、こんな事になってるの?MEXICO*AMIGOSって、どこから沸いてきたユニットなんだろ?よくわからんが、「VOODOO-MURDER:Sには試合前のマイクは任せられないっ!」って事なんだろうなぁ。

第一試合 千里の道も一歩から

シングルマッチ
○T28(172cm/83kg) ※テツヤ
真田聖也(183cm/88kg)
[8分12秒 片エビ固め]
※ファイヤーバードスプラッシュ

第一試合は…全日本プロレスでは珍しい、若手同士によるシングルマッチとなった。


試合はドロップキックや逆エビ固めといったシンプルな技の応酬となったが、T28はフライング・ヘッドシザースやフライング・エルボーなどの飛び技で真田を追い込み、最後はファイヤーバードスプラッシュで真田をフォール。おっと、最後だけは派手だねぇ。


ちなみにT28はブレイキング(いわゆる『ブレイクダンス』の事。正しい名称はコッチ)が得意らしく、六歩からのウィンドウミル(『ブレイクダンス』でよく見かける、背中で回転するアレの事)を披露していた。でも六歩はちょっとぎこちなかったかな。

第二試合 いつもとは一味違うぜ

タッグマッチ
 渕正信(183cm/105kg)
荒谷望誉(185cm/120kg)
vs
 平井伸和(185cm/110kg)
菊タロー(167cm/96kg/フリー)
[9分15秒 片エビ固め]
ラリアット

第二試合は全日本プロレスではお馴染み、菊タロー&荒谷劇場。息抜きタイムだね。


渕の股裂きに苦しむ菊タロー、対角線攻撃を返される荒谷、菊タローのご挨拶付きブレーンバスター(但し必ず返される)等、お約束のムーブが次々と並べられる。

そんな中、今日は長州力を真似たストンピング天龍源一郎を真似たグーパンチ&逆水平チョップ、そして蝶野正洋を真似たシャイニング・ケンカキックで荒谷を攻め続けた菊タロー。トドメをさすべく橋本真也を真似た垂直落下式DDTを仕掛けるも…、これは当然持ち上がらず。

無理に抱えようとした影響で腰を痛めた菊タローに荒谷がラリアットを決めてフォールすると、なんとこれが3カウント。観客が意外な展開に驚く中、会場内には「ロッキー勝利のテーマ」が流れていた。

Bill Conti「Going the distance」(「ロッキー勝利のテーマ」は、この曲の後半部分)


う〜ん、今日はオチを変えてきたか。色々と手段を変えてくるねぇ。ま、良かったねぇ荒谷さん、って事で。

あ、そういえばロッキーのエンディングの台詞に「結果なんてのは専門家が判定するもんだっ!俺はただ全力でやっただけだっ!エイドリアーンっ!」っつーのがあるなぁ。まさにプロレスの面白さを表現する言葉かもしれんな。

第三試合 彼は間違いなく日本人なのだろう、多分

タッグマッチ
 MAZADA(172cm/87kg/フリー)
YAMADA(身長不明/体重不明/日本?)
vs
 ペペ・みちのく(175cm/90kg/MEXICO*AMIGOS)
●エル・ノサワ・メンドーサ(180cm/87kg/MEXICO*AMIGOS)
[8分24秒 卍固め]

試合前には「リバプールの風」になったアノ人の参戦も噂されたYAMADAだが、MAZADAが連れてきたのは…白い胴着に身を包み、髪は金髪、肌は黒という、どこからどう見ても日本人とは思えない風貌の男。

すかさずペペが「オイっ、ちょっと待てっ!アンタ、誰っ!?」と突っ込めば、YAMADAは「ワタシノ、ナマエハ、ジャマダデス!」と返答、華麗なるヌンチャク捌きを見せる。そもそも、ヌンチャクというアイテムも日本を勘違いしている気もするが、真新しい白い胴着には「侍魂」と書かれているし、彼は間違いなく日本人なのだろう。

というワケで、MEXICO*AMIGOSが混乱する中、YAMADAが「今夜ガ、ジャマダー!」と叫んで試合はスタート。日本の某TV番組を見ていないと判らないネタを出すくらいなのだから、彼は間違いなく日本人なのだろう。…誰だよ、こんなギャグを仕込んだのはっ!?


で、試合が始まると、YAMADAはトペコンヒーロやヒップアタックといった技を繰り出しつつ、随所で「イチ、ニー、サン、ジャマダー!」を連呼。試合のテンポを無視したYAMADAの自己主張に、MEXICO*AMIGOSはおろか観客までもが大混乱する中、MAZADAはノサワに必殺技である正田落としを決めると、これを受けてYAMADA卍固めをガッチリと極めた。これでノサワはあえなくタップ。日本をよく知る選手でしか使えない卍固めをスムースに使うあたり、彼は間違いなく日本人なのだろう。



週刊プロレスより借用(もちろん無断)

…まあ、どっからどう突っ込めばいいのかわからなくなったのが、今日のMEXICO*AMIGOSの敗因だな。ちなみにMAZADAはメキシコで頭角を現した選手だが、そのメキシコの母国語であるスペイン語では「YA」の発音が「ジャ」になる事をさりげなく書いておく。

第四試合 デカい事は良い事…ばかりもないようで

タッグマッチ 雷陣明&ブルート一生 海外修行壮行試合
諏訪魔(188cm/120kg/VOODOO-MURDER:S)
 ブードゥーマスク(身長不明/体重不明/VOODOO-MURDER:S)
vs
雷陣明(183cm/105kg)
 ブルート一生(194cm/140kg)
[15分57秒 体固め]
ラストライド

この試合は、肩の怪我で欠場していたブルート一生の復帰戦であると同時に、ブルート一生と雷陣明の海外修行壮行試合でもある。


だが…メンバーを見れば判る通り、やや動きの鈍い大型選手ばかりが揃ってしまった為、非常にモッサリした展開になってしまった。

という事で試合内容はほぼ全面的にカット。雷陣は得意の頭突きの連打で、一生は巨体を活かしたパワー殺法で諏訪魔をあと一歩のところまで追い詰めたが、やはり地力に勝る諏訪魔には勝てなった。最後は諏訪魔の完璧なラストライドで雷陣がフォール負けを喫した。

負けた雷陣&一生はカナダで大きくなって、必ず諏訪魔を倒す事を宣言。観客の拍手を浴びた。


ま、海外修行が彼らにとって肥やしになるといいねぇ。二人とも器は大きいし、逞しくなって帰ってきて欲しいところだねぇ。なにせ全日本プロレスは選手の離脱が激しいし…。

第五試合 最近は東郷を観る機会が増えて嬉しい限り

タッグマッチ
 ディック東郷(170cm/102kg/フリー)
土方隆司(175cm/95kg)
vs
●ミゲル・ハヤシJr.(173cm/83kg/MEXICO*AMIGOS)
 中嶋勝彦(175cm/82kg/フリー/世界ジュニアヘビー級 王者)
[14分30秒 片エビ固め]
※フィッシャーマンバスター

この試合は、中嶋勝彦の持つ世界ジュニアヘビー級王座を巡る一戦。中嶋とは世代を超えたライバル関係にあり、今シリーズ中に王座への挑戦が決定している土方隆司が、「インディープロレスの雄」ディック東郷をパートナーに迎えての前哨戦に挑む。そして中嶋のパートナーはかつての東郷の盟友、カズ・ハヤシ…の代わりに来日中のミゲル・ハヤシJr.。ま、とりあえず役者は揃ったな。


試合では、やはり中嶋と土方が激しい意地の張り合いを見せる。お互いにキックを得意とする者同士という事もあり、要所でミドルキックの応酬が見られた。

そして東郷とハヤシJr.は、まるで元同門のような手のあった攻防を見せる。そんな中、東郷はシルバーブレット、フライング・セントーン、トペ・コンヒーロなど、随所で観客の視線を一身に集める技を披露。なんというか、この人の仕事ぶりは安定しているなぁ。

試合は終盤を迎えると、土方のベルトへの意地が爆発。ニールキックやオーバーヘッドキックなど、まるでカズ・ハヤシのような軽快な動きを見せるハヤシJr.に対して、土方があらゆるキックを使って追い込つめていく。ハヤシJr.にシャイニング・ウィザードを放った土方は、満を持して必殺のフッシャーマンズ・バスターを決めてカウント3を奪った。

ハヤシJr.から堂々とフォール勝ちを修めた土方は中嶋を睨みつけながら、ベルトを巻くポーズで来たるべき王座戦での勝利をアピールした。


う〜ん、このメンツで土方がピンフォールを奪うのは意外だった。まあ、王座挑戦に向けていいアピールになったんじゃないかな?そして東郷は…相変わらずいい仕事をするね。惚れ惚れ。これからも定期的に、全日本プロレスに参戦して欲しいね。

第六試合 確かに、TARUの言う通りではあるかな

シングルマッチ
佐々木健介(180cm/115kg/フリー)
小島聡(183cm/112kg)
[16分5秒 無効試合]
VOODOO-MURDER:Sの乱入による

ここ最近、VOODOO-MURDER:Sへ勧誘されている小島聡TARU曰く、VOODOO-MURDER:Sへの勧誘の為に5000万円を準備しているらしい。とりあえず、そんな金があるならRO&Dへと転出したディーロとブキャナンを買いもどせばいいのに…という発想は無粋なのかねぇ?



試合では、健介が小島の迷いを払拭すべく、要所で本当に容赦のないチョップを叩き込んでいく。胸に、後頭部に、そして頚動脈にチョップを刻んでいく健介。試合の前半はチョップだけで組み立ててしまった健介だが、その一発一発の音の重さは、耳の肥えた後楽園ホールの観客ですら騒然となる程だ。スゲエなぁ、今日の健介。マジで容赦がないぞ。対する小島は足攻めや腕攻めで反撃するが…全体的には健介の方が一歩リードしていた。それにしても健介、昔はしょっぱいレスラーの代表格だったのにねぇ「男子三日会わざれば、刮目して見よ」ってヤツだな。

試合終盤は、お互いに得意としているラリアットで勝負。先に決めたのは小島、サポーターを外しての一撃で健介はダウンするも、フォールをカウント2で返した健介は逆にラリアットノーザンライトボム、そしてラリアットと繋いだ。完璧な布陣で小島をフォールする健介、誰もが勝利を確信したが…。

ここで突然、VOODOO-MURDER:Sが乱入。近藤修司や"brother"YASSHIが健介をボコボコにする中、マイクを握ったTARAが「こんなおいしいカード、後楽園で決着がつくはずないやろ!」と叫ぶ。観客のブーイングの中、諏訪魔はさり気なく小島を連れて控え室へと消えていった。小島、ついにVOODOO-MURDER:Sに加入かっ!?


…と思われた瞬間、メインに出場する武藤敬司たち三人が健介を助けるべく乱入。試合はそのまま第七試合へと流れていった。

第七試合 小島よ明日は何処へ行くっ!?

六人タッグマッチ
 武藤敬司(188cm/110kg)
 太陽ケア(185cm/106kg/アメリカ)
○ハワイアン・ライオン(180cm/110kg/アメリカ)
vs
 TARU(185cm/100kg/VOODOO-MURDER:S)
 近藤修司(173cm/103kg/フリー/VOODOO-MURDER:S)
●“brother”YASSHI(173cm/80kg/フリー/VOODOO-MURDER:S)
[17分8秒 体固め]
※ボルケーノボム

前の試合でのVOODOO-MURDER:Sの暴挙を目にした武藤組は試合前から怒りを露にする。これに対して、マイクを握った「VOODOO-MURDER:Sの広告塔」YASSHIは初来日のハワイアン・ライオンを見るなり「見慣れん奴がいるなぁ!。ハワインアン・ライオンかぁ?なら…この全日本でライオン狩りやっ!」と宣言。相変わらず、YASSHIの憎まれ口は好調のようだ。


試合はいきなり場外乱闘から始まったが、やがてケアがVOODOO-MURDER:Sに捕まった。TARUがイスやジェラルミンケースでケアを痛めつけると、興奮した武藤が同じ武器を持ち出すが…これはレフェリーに止められてしまう。じれったい展開を目撃した観客の声援は大きくなる一方だ。

だが、ケアがピンチを自力で脱出すると、ライオン&武藤の怒りが大爆発。ライオンは三連続ブレーンバスターでTARUを投げ飛ばすと、武藤はドラゴンスクリューでVOODOO-MURDER:Sを蹴ちらす。復活したケアは波乗りスープレックスでYASSHIを投げ飛ばすと、ライオンはアンクルホールドでYASSHIを追い込む。

味方のピンチにTARUが乱入、まるで小島のようにサポーターを投げ捨ててからラリアットを決めようとするが、これはYASSHIに誤爆。敵からの絶妙なアシストを得たライオンは、すかさず必殺・ボルケーノボムが決め、ライオン狩りを宣言したYASSHIを返り撃ちにした。


だが試合後、怒りの収まらないVOODOO-MURDER:Sが大暴れ。諏訪魔やブードゥーマスクも介入し、五人がかりで武藤組を襲いまくる。そこへ渦中の人・小島が登場。近藤は武藤を羽交い絞めにすると、TARUは小島に向かって「小島ぁ。今までの恨みつらみ、このハゲにいったってや!」と一声。小島の挙動に観客は注目したが…。

小島は武藤を襲うことなく、VOODOO-MURDER:Sの面々に向かって次々にコジコジカッターを喰らわせる。観客の大歓声の中、這う這うの体(ほうほうのてい)でリングを後にするVOODOO-MURDER:S。だがTARUは帰り際、「ますます気に入った!この5000万円で、絶対にお前を勝ちとるからな!」と、今後も小島を勧誘する事を宣言。

そしてリングに残った武藤は、小島に向かって握手を求める。再び観客は小島の挙動に注目したが、小島はこれを無視してリングを降り、振り返る事なく花道を後にした。どうやら小島を巡る物語はTo Be Continueのようだ。



週刊プロレスより借用(もちろん無断)

う〜ん、最近の全日本プロレス後楽園ホール興行は、セミ〜メインに必ず劇的なドラマが起こるんだけど…今回は大きな進展はなし、か。まあ、今日は新シリーズの開幕戦だし、こんなモンなんのかなぁ。

雑感

つまらなくはなかったけれど…面白くはなかったなぁ。正直ね。ストーリー的には「中継ぎ」でしかなかったし。かといって、試合で凄いモノがあったワケでもないし。まあ、ま、第三試合のYAMADAは笑わせてもらったし、セミの健介の容赦のなさは際立っていたけどねぇ。


あと、試合中は感じる事はなかったけれど、いざ興行が終わってみると…まあブキャナンはともかく、やっぱりディーロ・ブラウン鈴木みのるの不在を感じてしまったなぁ。第四試合のモッサリ感したプロレスが、「全日本プロレスの純血選手同士の試合(ブードゥーマスクの中身は知らんが)」とか思うとねぇ…。せめてみのるだけでも、早く帰ってこないかねぇ…。


以上、長文失礼。