5/12 DRAGON GATE(MUSCLE LIVE) 新宿FACE興行 観戦記

PON君は初めてDRAGON GATEを観戦します

昼間のDDT観戦(http://d.hatena.ne.jp/Mask_Takakura/20070512)の後は、PON君(id:pon-taro)にDRAGON GATEを観せるべく大森から新宿へ移動、そして新宿FACEへ直行。MUSCLE OUTLAW'Z自主興行、題して「MUSCLE LIVE」の観戦だ。


僕はヒールが好きだ。理由は簡単で、悪いから。僕は悪い事をして、ブーイングを一身に集める選手が好きなのだ。それも、ベビーフェイスとしての一面を持たない、純正のヒール集団が好きなのだ。という事は、僕がDRAGON GATEの中ではMUSCLE OUTLAW'Zが好きになるのは必然、というワケである。ま、最近は大分、愛される部分も出ちゃったけどね。

ってなワケ、いつもは悪事の限りを尽くす彼等が、自分達のファンが集まるこの興行でどのような振る舞いを見せるのか。地味に今後のDRAGON GATEの方向性をも占なう興行だなぁ、なんて思ったのが観戦の動機である。あと、昼間は僕はDDTを初観戦したから、夜はPON君にDRAGON GATEの初観戦を強要した、というのもあるか。


チケットは3000円の立見席を購入、更にドリンク代の500円がプラスされる。ふむ、DRAGON GATEにしては安いな。観客の入りは超満員で、全日本キックの「青春塾祭り」と同じくらい入ってた。床が抜けるぞ、マジで。

第一試合 掴みはTyphoon vs MUSCLE OUTLAW'Zで鉄板

タッグマッチ 時間無制限一本勝負
堀口元気(173cm/75kg/MUSCLE OUTLAW'Z)
 金丸義信(173cm/85kg/PRO-WRESTING NOAH)
vs
斎藤了(170cm/80kg/Typhoon)
 横須賀享(173cm/84kg/Typhoon)
[13分49秒 バックスライド・フロム・ヘル(逆さ押さえ込み)]
※玉岡レフェリーが高速カウント

今日は第一試合から、いきなり斎藤了横須賀享が出場。気合が入っているなぁ。ちなみに、この試合を捌くのはMUSCLE OUTLAW'Z所属の悪徳レフェリー、玉岡金太。この時点で、試合の決着が見えた人も多いだろう。



試合は、堀口の残り少ない髪の毛を巡る攻防が中心となった。先発した斎藤に黄色い声が集まる中、堀口はファンに「Hっ!Aっ!Gっ!Eっ!」を強要。そんな中、斎藤と横須賀は堀口の髪の毛を掴んで投げ飛ばす。「髪に触るなあああぁぁぁ!」と叫ぶ堀口、観客は爆笑。

そんな攻防に金丸もソツなく試合に参加する中、試合は終盤戦へ。まずは金丸がタッチアウトでTyphoonを追い込むも、横須賀のジャンボの勝ち!と齋藤のドラゴン・スープレックスが堀口に決まる。大ピンチのMUSCLE OUTLAW'Zだが、玉岡レフェリーは超スローカウントでカウントを数える。怒りを露にして玉岡に詰め寄る齋藤だが、玉岡は金的を蹴り上げると、その背後から堀口がバック・スライド・フロム・ヘル。すかさず玉岡が超高速で3カウントを数えた。毎度のお約束ながらも、黄金の連携だな。


試合を観戦していたPON君曰く、「驚きましたね。『試合のレベルが高い』とは聞いていましたが…ここまで高いとは思いませんでしたよ」。そうなんだよ、この団体の凄いところは、なんだかんだで試合のレベルが高い事なんだよね。

第二試合 ハードコアマッチはやや不発

シングルマッチ 時間無制限一本勝負
マグニチュード岸和田(175cm/105kg/MUSCLE OUTLAW'Z)
●Hi69(175cm/85kg/アパッチプロレス軍)
[15分3秒 片エビ固め]
ラストライド

第二試合は、現在はアパッチプロレス軍の所属であるHi69と、MUSCLE OUTLAW'Zの重鎮であるマグニチュード岸和田が対戦。ちなみにHi69は自分専用の椅子を持ち込んで入場し、試合はDRAGON GATEでは珍しいハードコアマッチとなった。

リング内に次々にイスが投げ込まれ、二人はイスの山の上で、バックドロップやブレーンバスターを仕掛けあう。観客の歓声の中、Hi69は椅子を持ってのトペスイシーダや、椅子を抱えてのムーンサルトプレスで岸和田を追い込むが、岸和田は椅子の山の上でのノーザンライトボムを決めると、最後は完璧なラストライドでHi69を葬った。

…のだが、正直、観客の反応はイマイチだった。ふ〜む、DRAGON GATEの観客に、ハードコアの水は合わないのかなぁ。

第三試合 成程、そういうオチで来たか

マスカラ・コントラ・カベジェラ・コントラ・離婚 3WAY負け残りマッチ 時間無制限一本勝負
Dr.マッスル(身長不明/体重不明/MUSCLE OUTLAW'Z)
vs
戸澤アキラ(170cm/80kg/戸澤塾)
vs
ストーカー市川Z(165cm/42kg/無所属)

勝ち抜け一人目

○戸澤アキラ(170cm/80kg/戸澤塾)
●Dr.マッスル(身長不明/体重不明/MUSCLE OUTLAW'Z)
[6分50秒 エビ固め]
戸澤塾秘伝・岩鬼

勝ち抜け二人目

○Dr.マッスル(身長不明/体重不明/MUSCLE OUTLAW'Z)
ストーカー市川Z(165cm/42kg/無所属)
[9分36秒 エビ固め]
※ラ・マヒストラルを押し潰す/市川Zが負け残りが決定、離婚届に調印するも…?

DRAGON GATEの中では『お笑い』担当の選手が一同に集まったこの試合は、Dr.マッスルのマスク(『マスカラ』)、戸澤アキラの髪の毛(『カベジェラ』)、そして市川の離婚(『離婚』)を賭けた一戦となった。「なんで、こんな事になったのか?」については各自調査。


んで、試合はメンバーがメンバーなだけに『お笑い』の内容になる…と思いきや、多少の笑いの要素こそあれど(市川のお約束の『ロープ渡りを失敗して、股間を打ちつける』等)、全体的には比較的シリアスなものに。それぞれに大事なモノが賭かっているせいかねぇ?

というワケで、試合内容には触れてもしょうがないので省略。んで、最後に負け残ったのは…やっぱり市川。うん、お約束だな。



試合終了後、MUSCLE OUTLAW'Z土井成樹が先陣を切って離婚届(既に、奈美子夫人の判子は押されていた!)を市川に突き出すと、意外にも市川は「これでDRAGON GATE最弱の称号が手に入るなら…」と潔く離婚届に判子を押す。だが、この様子を見た戸澤は大激怒し、「お前、結婚を何だと思っているんだあああぁぁぁ〜っ!」と荒れ狂いながら離婚届を引き裂いてしまう。妙に興奮した様子の戸澤に、MUSCLE OUTLAW'Zのメンバーはおろか、味方であるハズの戸澤塾の面々までもが困惑している。

そんな中、ただ一人冷静になったのは戸澤塾の岩佐拓。「この試合は、正しくは『負けた人が、賭けたモノの権限を失う』んだよなぁ。だから、この試合で市川は『離婚する権限』を失ったんだよ。つまり、市川は離婚なんかする必要がないんだよ。コイツを離婚させたいのなら『カベジェラ結婚』にするべきなんだよ」と発言。非常に説得力のある説明を前に、MUSCLE OUTLAW'Zの面々も思わず納得してしまった。

だが、これでは試合のオチがつかない。落としどころを探るべく敵味方のボーダーを越えて全員が思案に暮れる中で出た結論は…一番最初に勝利した戸澤が、自慢のリーゼントにバリカンを入れる事。なんだか良くわからない解決方法だが、少なくともリング上はこれで丸く収まったのだからしょうがない。戸澤はまったく納得していなかったが、結局は仲間であるハズの新井健一郎に髪の毛を剃られていた。


この様子を観たPON君、「ダメですよ、市川はちゃんと離婚しないと。だって、奈美子夫人は判子を押しているんでしょ?夫人だって覚悟を決めてたんだから、ダンナだって腹を決めて離婚しないとねぇ。やる事が中途半端だなぁ」と、何故か『おかんむり』の状態に。ま、言っている事は…、正論と言えば正論かねぇ。

第四試合 CIMA vs Gamma劇場、本日も営業中

タッグマッチ 時間無制限一本勝負
 Gamma(170cm/92kg/フリー/MUSCLE OUTLAW'Z)
○玉岡金太(169cm/77kg/MUSCLE OUTLAW'Z/レフェリー)
vs
 CIMA(174cm/82kg/Typhoon)
●大宅龍則(163cm/70kg/レフェリー)
[15分6秒 エビ固め]
※スタイルズ・クラッシュ

第四試合は、普段はレフェリーとして活躍する大宅龍則が、CIMAの力を借りてMUSCLE OUTLAW'Zに挑む一戦となった。例によって、何でこんな事になったのかはサッパリ分からないのだが…さしずめ、玉岡金太あたりに虐められたのだろう。


試合の中で大宅は、華麗にコルバタを決め、美しいムーンサルト・プレスで宙を舞う。他にもCIMAとのトペによる編隊飛行、更にはCIMAと一緒にシュバインを決める等、おおよそ素人離れした動きを披露してMUSCLE OUTLAW'Zを追い詰める。っていうか…素人じゃないな、あの動きは。

だが、今日はMUSCLE OUTLAW'Zの主催興行。勝負処でメンバー全員が試合に介入し、CIMAを場外へと引きずり出す。リングに残された大宅に対し、Gammaがブルッツェン(ハイジャック・バックブリーカーの体勢から前方へ落とすフェースバスター)を決める。必殺技を前に一撃でフラフラになる大宅、続く玉岡のラリアットはスクールボーイで切り返したが…、もはや大宅に闘う体力は残っていなかった。最後は玉岡のスタイルズ・クラッシュ(バイソン・テニエルと同型)でカウント3。


試合後は、Gammaと玉岡は大宅の健闘を讃える…と見せかけて、合体バックドロップ一閃。Gammaはお人好しの大宅をコケにすると、獣神サンダー・ライガーの持つオープン・ザ・ドリームゲート選手権への挑戦をアピール。そして、これを聞いたCIMAが黙っているワケがない。


Gamma
オレはCIMAにシングルで二連勝している。アイツはオレ様に勝てないんや。
なのに、なんでアイツが先にライガーに挑戦できるんやっ!?
いいかっ! ライガーに挑戦するのは「DRAGON GATEのエース」のGamma様やっ!


CIMA
まあ、確かにオレはオマエに連敗している。
だが、いまやったらどっちが勝つかは、お客さんも分かっているやろ(観客歓声)。
大体、団体の威信がかかっているのに、Gammaが挑戦したらドリームゲートの品が落ちるんや。
格がおちるのとちゃうぞ、 品が落ちるんやでっ!(観客爆笑)


こんな調子でいつも通りに揉める二人。果てはCIMAが「オマエとは息子の代、孫の代まで、ずーーーっと揉めてやるからなっ!」と言い出す始末。

そこに現われたのは、DRAGON GATEの現場監督であるK-ness.。Gammaが「お前、今日はMUSCLE OUTLAW'Zの自主興行だぞっ! 仕切るのはオレらやっ! タダ見してるんじゃねぇぞコラッ!」等と凄むも、K-ness.はいつも通りのマイペースでGammaをあしらうと、今後の予定を淡々と発表していく。

そしてサプライズが起きる。K-ness.は二人に「ところでお前ら、本当にライガーから、ドリームゲートを取り返す気はあるのか?」と問いただすと、次回6月5日の後楽園ホール大会にてCIMAとGammaにタッグを組ませ、ライガー&X組と対戦させる事を発表。

誰もが耳を疑うようなトンデモカードを聞いたCIMAは「オイ!オレはさっき、コイツに『孫の代まで揉めるぞっ!』って言うたばかりやぞ!」と不快感を表せば、同じくGammaも怒りを隠さない。だが二人とも、現場監督の言う事には逆らえなかった。渋々このカードを了承したCIMAは「いいかっ!オレの足は絶対に引っ張るなよっ!」と、タッグ結成前からGammaを牽制していた。


んで、この二人のやりとりを観たPON君曰く「いや〜っ、仲が良いですねぇ!」、確かにね。喧嘩するほど仲がいい、の典型のような二人だからなぁ。こりゃあ、6月5日の後楽園ホール興行が楽しみになったな。でもこの日って火曜日だろ。行けるのか、僕は?

第五試合 試合後、会場に衝撃が走る!

GHCジュニアへビー級タッグ選手権試合 タッグマッチ 60分一本勝負
鈴木鼓太郎(173cm/83kg/PRO-WRESTING NOAH/GHCジュニアへビー級タッグ 王者)
 リッキー・マルビン(169cm/79kg/メキシコ/GHCジュニアへビー級タッグ 王者)
vs
土井成樹(173cm/80kg/MUSCLE OUTLAW'Z)
 吉野正人(172cm/75kg/MUSCLE OUTLAW'Z)
[27分9秒 片エビ固め)
※ブルーデスティニー/鈴木組が防衛に成功

本日のメインイベントは、MUSCLE OUTLAW'Zのビジュアル担当である土井成樹吉野正人ことドイヨシが、プロレス界の至宝の一つ、PRO-WRESTING NOAHGHCジュニアへビー級タッグに挑む一戦となった。ふ〜む、GHCという冠に挑むには、ドイヨシはやや実績不足のような気がするがねぇ。ま、このメンバーなら試合内容はかなり期待できるとは思うけどね。


GHCタイトル管理委員長のジョー樋口氏がタイトルマッチ宣言を行なった後で試合開始。まずはドイヨシが鈴木に、土井のブレーンバスター → 吉野のギロチンドロップ → 土井のスライディングのローブロー → 合体顔面ドロップキックという連携で王者組みを先制。だが王者組は吉野にターゲットを絞ると、鈴木の鎌固め → マルビンの顔面ドロップキック、マルビンの連続ロメロ・スペシャル、そしてパワーボムで一気に追い込む。

んで、いつもならこのタイミングでMUSCLE OUTLAW'Zが試合に介入するのだが…、プロレス界の至宝が賭かった一戦だからなのか、今日のMUSCLE OUTLAW'Zはリング上の二人を黙ってじ〜っと見ている。空気を読んでいるというか、意外に真面目な連中なのね。


タッチを受けた土井は、王者組と張り手合戦やエルボー合戦を展開。更には息を吹き返した吉野がロープ際を利用したタランチュラ式の首4の字固め、フロム・ジャングル(飛び付き回転式の卍固め)で反撃すると、吉野はマルビンに打点の高いミサイルキックを決めた後、必殺技のソル・ナシエンテを極めて勝負に出る。これは鈴木にカットされるも、ドイヨシはその吉野のローリング・セントーン、土井のバカタレ・スライディングキックで尚も王者組を追い込んでいく。観客はドイヨシの攻勢にイケイケの歓声を贈るが…。

さすがに王者組は強い。土井に合体ファンネル(619)を決めると、鈴木のジャーマンスープレックスマルビンのハイジャック・シャイニングウィザードと大技を連発。更には鈴木のツームストンパイルドライバー、そしてブルーディスティニーが炸裂。虫の息になった土井をカバーする鈴木、だがこれは吉野がカット。これを見たマルビンはキークラッシャー風の落とし技を土井に決めると、最後は鈴木が二度目のブルーディスティニーを決めた。土井にこれを返す力は残っていなかった。


王座を防衛した王者組が早々に引き上げる中、リングに残ったドイヨシに不穏な空気が流れる。土井が「吉野、オレら全然結果がでぇへん。もうドイヨシはええんとちゃうか?」と、タッグの解散を示唆。この言葉を聞いた女性ファンは「え〜っ!」「や、やだっ!」という声を上げる。観客の声の質が随分とマジだ。

これに吉野は「土井、オレら、こんなところで終わってええんか?負けたまま終わってもええんか?ドイヨシはまだまだ、数える程しかタッグを組んでへん。オレらのタッグは、これからとちゃうんか?」と返答。女性客から拍手が起こる中、土井はあっさりと「そうやなっ!オレら、まだまだこれからやなっ!」と趣旨を返すと、吉野に向かって「やっぱ、オレはお前が好きやっ!」と叫ぶと、ドイヨシの二人は友情を確かめ合うように抱き合った。



週刊プロレスより借用(もちろん無断)

キャーーーーーーーーーッ

その瞬間、女性客の黄色い叫び声が会場中に響き渡った。そして僕の横にいたPON君が、僕に向かって「高倉さんっ!これはなんの『やおい』なんですかっ!?」と詰め寄ってくる。い、い、いやぁ…、僕に言われてもなぁ…。プロレス界でこんな露骨な『やおい』ネタは僕も初めて観た、というかねぇ…。

最後はMUSCLE OUTLAW'Z全員がリングイン。今回の成功を受けて、年内に再び自主興行を行なう事を約束し、MUSCLE LIVEは大団円のうちに幕を閉じた。



週刊プロレスより借用(もちろん無断)

試合に関して言うのなら、そこそこ名勝負ではあったんだけど、正直「この四人ならもっと上の事ができるだろうなぁ」と思ってみたり。PON君曰く「僕はどうも、マルビンという選手が好きになれませんねぇ。『失敗してもいいから、自分がやりたい技をやりたい』っていう姿勢がどうも好きになれなくて」との事。確かに「技が荒いなぁ」と思う場面はちょこちょことあったような。

でもねぇ。そんな事はどうでも良くて、本当は僕もPON君と同じ事が言いたいワケ。


土井と吉野が抱き合って
キャーーーーーーーーーッ
って…。

雑感

まあ正直、全体的に今一つな感は否めないかなぁ。


第二試合のハードコアマッチが不発だったり、第三試合があんまり笑えなかったり、第四試合での大宅レフェリーの活躍に感情移入できなかったり…とまあ、とにかく全体的に乗り切れなかったなぁ。試合のレベルも、DRAGON GATEならではの高さまでには至らなかった気がするし。正直、PON君にはもう一度、後楽園ホールDRAGON GATEの本戦を見せにゃあならんなぁ。


それにしても、メイン終了後のマイクは…。DRAGON GATEは基本的に「婦女子向きのコンテンツ」だという事を思い出したよ。『やおい』がオチとはねぇ…。


以上、長文失礼。