5/10 DRAGON GATE 後楽園ホール興行 画像つき観戦記

なんだか随分と変わったようで

本日は後楽園ホールDRAGON GATEを観戦。


僕自身は約半年ぶりの観戦となるDRAGON GATEなのだが、この間に団体内の勢力図は大きく変わった。Blood Generation(リーダーはCIMA)、Final M2K(リーダーは望月成晃)、DoFIXER(リーダーは斎藤了)、Pos.HEARTS(リーダーはB×Bハルク)といった軍団が次々に解散。無所属となる選手が続出する中、「DRAGON GATEのカリスマ」CIMAは、DoFIXERPos.HEARTSに所属していた選手を集結させ、新たにTyphoonを結成。

だが、この一年間CIMAが可愛がってきたB×Bハルクは早々にTyphoonを離脱。これに呼応し、今度はサイバー・コングがMUSCLE OUTLAW'Zを離脱。これに元Blood Generation鷹木信悟Final M2K預かりとなっていた小野寺大和が参加し、若手による新軍団が結成された。

…ってな感じで、昨年までとはまったく違う光景となったDRAGON GATE。今日はカードの布陣を見る限りでは、若手による新軍団が話の中心となるようだ。闘龍門JAPANを経験していない彼らが、DRAGON GATEにどのような新しいストーリーをもたらすのか。注目して観てみたいと思う。


というワケでチケット購入、立見席で3000円。DRAGON GATEをこの値段で観れるのは大変に安いと思う。観客の入りは約九割。う〜ん、満員ではあるんだけど…正直、ちょっと勢いは衰えつつあるのかなぁ。やっぱりDRAGON GATEは超満員でないと調子が狂う、というか。


※オープニングと第一試合は未観戦なので記述しません。あしからず。

第二試合 揃いも揃って、曲者揃い

時間無制限三人勝ち抜けルール 7・1神戸ワールド記念ホール大会 出場権争奪 バトルロイヤル

戸澤アキラ(170cm/80kg/戸澤塾)
ジャクソン・フロリダ(172cm/73kg/SUPER FLORIDA BROS.)
ストーカー市川Z(165cm/42kg/無所属)
しゃちほこマシーン(身長秘密/体重秘密/無所属)
ルパン松谷(172cm/75kg/DRAGON GATE NEX)
APEキマタ(166cm/75kg/DRAGON GATE NEX)
スペル・シーサー(169cm/77kg/Seesaas)
神龍(身長不明/体重不明/無所属)
Dr.マッスル(身長不明/体重不明/MUSCLE OUTLAW'Z)

勝ち抜け一人目

○戸澤アキラ(170cm/80kg/戸澤塾)
●ルパン松谷(172cm/75kg/DRAGON GATE NEX)
[4分4秒 戸澤塾秘伝・岩鬼]

勝ち抜け二人目

ストーカー市川Z(165cm/42kg/無所属)
●ジャクソン・フロリダ(172cm/73kg/SUPER FLORIDA BROS.)
[6分2秒 ラ・マヒストラル]

勝ち抜け三人目

○Dr.マッスル(身長不明/体重不明/MUSCLE OUTLAW'Z)
●スペル・シーサー(169cm/77kg/Seesaas)
[8分0秒 ヨシタニックを切り返してのエビ固め]
※戸澤、市川、マッスルが出場権を獲得

第二試合は、七月一日に行なわれるDRAGON GATEの大一番、神戸ワールド記念ホール大会への出場権を賭けたバトルロイヤルなのだが…、メンツを見れば判る通り、試合に出場したのはDRAGON GATEの中ではオミソ扱いされている連中ばかり。


もちろん試合は、全体的に「お笑い」が散りばめられたものに。キマタはバナナに気を取られ、ジャクソンは意味もなく足を痛め、しゃちほこマシーンはいつも通りにしゃちほこポーズを取る中で、このサバイバルゲームを制したのは戸澤、市川、マッスルの三人。

ちなみにこの三人、二日後のMUSCLE OUTLAW'Z 興行での3WAYマッチが決定しており、試合後はその予告編となった。試合形式は「マスカラ・コントラ・カベジェラ・コントラ・離婚」になるそうな。



ま、マッスルのマスク、戸澤の髪の毛はともかく、市川の離婚っていうのは…どうなんだろ?特に市川は「スト市ボンバイエ」で「引退を賭けて闘った末に負けたのに、なんだかんだで引退しなかった」なんて事があったばかりだしねぇ。どうせ誰かが負けても、ウヤムヤにするんじゃないの?

第三試合 ホラーの季節にゃあ、ちょっと早い

六人タッグマッチ 30分一本勝負
新井健一郎(176cm/85kg/戸澤塾)
 岩佐拓(177cm/94kg/戸澤塾)
 大野勇樹(167cm/77kg/戸澤塾)
vs
 K−ness.(174cm/83kg/現場監督)
 ドラゴン・キッド(161.8cm/70kg/Typhoon)
●怨霊(身長不明/0kg/666)
[12分49秒 片エビ固め]
戸澤塾秘伝・こきゅうやま

この一戦は、666所属の怨霊を交えた一戦となった。だが対戦相手の戸澤塾のメンバーが怨霊との対戦を避けようとしている。「『怨霊』という存在が怖い」というのもあるのだろうが、どうやらそれ以上に、怨霊が動くたびに立ち昇る「煙」を嫌がっている様子。「煙?あれは粉だろっ!」なんて無粋な事を言ってはイカン。



んで、いざ試合が始まると…戸澤塾は縦社会、一番年下の大野が怨霊に「やられる」事に。煙に「やられ」、四つん這いになってヌルヌルと動くさまに「やられ」、ホラー映画ばりに顔を近づけられて「やられ」てしまった大野。仕舞いには、味方であるハズのキッドにも怨霊が乗り移ってしまう。春の夜の怪談話だな。



試合の前半はこんな感じで進んだが、さすがに後半は一転してシリアスモードに。勝負処でK-ness.が大野に青き光(横から入るクロスアーム式キャメルクラッチ)を極めるも、これは岩佐がカット。今度は戸澤塾がキッドを攻めるが、キッドはコーナーポストの上でK-ness.が肩車している大野に『超』雪崩式フランケン・シュタイナーを決める。更に必殺ドラゴン・ラナで勝負に出るキッドだが、これも戸澤塾がカット。

息を吹き返した大野は、怨霊にファルコンアローを決めるも、怨霊はカウントを数えるレフェリーの手を掴んで急場をしのぐ。だが、ここを勝負処と見た戸澤塾が勝負に出る。岩佐は立ち上がった怨霊に変形フェースバスターを決め、すかさず新井が戸澤塾秘伝・こきゅうやま(スワンダイブ式フットスタンプ)で続く。この波状攻撃を前に怨霊はピクリとも動けず、そのまま3カウントを聞いてしまった。


うん、良く出来てるね。試合のレベルを高くしつつも、「お笑い担当」である戸澤塾らしさが残っているのがいい感じだね。怨霊も「らしさ」を発揮したし、いいんじゃないですかねぇ。

第四試合 生まれ変わった男がDRAGON GATEを変えるっ!

タッグマッチ 45分一本勝負
○YAMATO(172cm/82kg/New Hazard)
 ジャック・エバンス(173cm/75kg/アメリカ/ROH/New Hazard) ※試合前は「X」と発表
vs
 土井成樹(173cm/80kg/MUSCLE OUTLAW'Z)
吉野正人(172cm/75kg/MUSCLE OUTLAW'Z)
[13分46秒 片エビ固め]
※ギャラリア

アメリカ遠征から帰国したYAMATO(「小野寺大和」から改名)だが、厚みを増したその体を観た観客が騒然となる。う〜ん、これまた短時間で随分と大きくなったなぁ。っていうか、ちょっと肥大化しすぎだろ、コレ。ぶっちゃけ「ジュース」かねぇ。



さてさて。YAMATOのセコンドとして鷹木、ハルク、コングが登場。まずマイクを握った鷹木は、自分達の軍団名がNew Hazardになった事を報告。するとMUSCLE OUTLAW'Zの二人が入場、さっそく土井が「New Hazardだか、Bio Hazardだか知らんが、『X』って誰や?」と言及。これに対して、鷹木は「お前らも、よ〜く知っている男だ」と答える。現われたのは、二ヶ月にMUSCLE OUTLAW'Zに加入したばかりのエバンス。観客も見慣れた選手のNew Hazardへの加入を大いに歓迎。成程、そう来たか。


試合で、飛び技は圧倒的に美しいものの…相変わらず打たれ弱いエバンスを、逞しくなったYAMATOが力強くカバーし続ける展開となった。

先発したYAMATOは土井にチョップを叩き込むが…会場に重い音が響くと、観客は驚きの声を上げる。続いて登場したエバンスは、その場飛びのフェニックス・スプラッシュを決めて観客を沸かせるが、続いてのムーンサルトプレスは自爆。悶絶するエバンスを、ドイヨシの連携が襲う。土井が足を捕まえる → 吉野のギロチン → 土井の逆エビ固め → 吉野の股間蹴り。他にも吉野にジャベを極められる等でピンチを迎えたエバンスだが、どうにかオーバーヘッド・キックを決めて脱出。

タッチを受けたYAMATOはパワースラムと強烈なラリアットでドイヨシを蹴散らすと、エバンスもサスケ・スペシャル2号(側転を切ってのトペ・コンヒーロ)で追撃。だがドイヨシも反撃、エバンスに合体式フェースバスターを決めると、エバンスの630゚を吉野が膝を立ててカット。すかさず土井のバカタレ・スライディングキックが決まるも、これはエバンスが自力でクリア。



流れを取り戻したNew Hazardの二人は、ターゲットを吉野に絞る。まずYAMATOがジャーマン・スープレックスを決めると、エバンスは630゚で追撃。最後はYAMATOの新必殺技・ギャラリア(リバース・ブレーンバスター・ボム)。吉野から完璧な3カウントを奪えば、観客は生まれ変わったYAMATOを支持する大歓声に包まれた。



う〜ん、YAMATOは見た目以上に強くなった。顔つきも精悍だし、試合ぶりも堂々としているし。New Hazardは良い選手を仲間に引き入れたね。これからも期待して見ていこうと思う。ただ、「大きくなり過ぎた身体」はちょっと心配だけどね。




第五試合 「新しい力」がDRAGON GATEを変えるっ!

オープン・ザ・トライアングルゲート選手権試合 六人タッグマッチ 60分一本勝負
 CIMA(174cm/82kg/Typhoon)
 横須賀享(173cm/84kg/Typhoon)
斎藤了(170cm/80kg/Typhoon)
vs
鷹木信悟(178cm/88kg/New Hazard)
 サイバー・コング(178cm/120kg/New Hazard)
 B×Bハルク(178cm/78kg/New Hazard)
[26分18秒 片エビ固め]
※ラスト・ファルコンリー/鷹木組が新王者に

今日のメインイベントは、六人タッグ王座であるオープン・ザ・トライアングルゲート選手権。現在の王者はCIMA&横須賀&斎藤、Typhoonの三人だ。Blood GenerationFinal M2K、そしてDoFIXERのトップ選手による最強の布陣に挑むのは若武者集団New Hazard、鷹木&コング&ハルクの大型トリオだ。



実績はTyphoonの三人が遥かに上、しかし体格的にはNew Hazardの三人が勝っている。そして何より、New Hazardには新興勢力独特の勢いがある。現にセミファイナルでは、メンバーのYAMATOが格上のドイヨシを一蹴。鷹木組はYAMATOに続く事ができるか?



だが。New Hazardの相手はDRAGON GATEの看板選手のCIMA、そう簡単には勝たせてくれない。「小生意気な後輩には、絶対に負けられないっ!」とばかりに、試合そっちのけで鷹木を襲撃し続けるCIMA。ハルクには普段は使わないミドルキックを乱れ打ち、コングのスリーパーをペットボトルを投げつけてカットすると、自分よりも40kg近くも重いコングをボディスラムで投げ捨てた。物凄いテンションで試合を続けるCIMAに、観客は驚きの声を上げる。

そんな中、ハルクがTyphoonの連携に捕まった。横須賀は重いキックを叩き込み、CIMAは珍しくバタフライロックを極める。更にはCIMAのフットスタンプ+横須賀の横須賀カッター、斎藤のボディプレス+横須賀の裏DDT、Typhoonの合体攻撃がハルクを襲う。この様子を見た鷹木はカットに入ると、返す刀でハルクに詰め寄り…気合いのビンタ一閃。厳しいなぁ。

だが、これで気合いの入ったハルクはTyphoonのメンバーにニールキックを見舞い、鷹木にタッチ。ここからNew Hazardの猛反撃が始まる。鷹木はスリーパースウィングでCIMAを振り回し、ハルクはラ・ケブラーダで宙を舞う。コングは斎藤のボディプレスをキャッチしてブレーンバスター、更にはコーナーに振ってのボディアタック。だが、Typhoonもやられてばかりではない。斎藤はコングにジャーマン・スープレックスを決め、横須賀は雪崩式エクスプロイダーで続く。お互いの意地が交差する展開に、観客の歓声が止まらない。



試合は終盤戦へと突入すると、全員が惜し気もなく必殺技を披露。ハルクとの技の読み合いを制したCIMAがパーフェクト・ドライバーを決めると、これに斎藤の高角度ジャーマン・スープレックスが続く。大ピンチのハルク、だがカウント2。観客の大歓声の中、今度は横須賀のジャンボの勝ち!が入り、そしてCIMAのシュバインが決まる。大ピンチのハルク、だがNew Hazardがカット。観客は歓声とストンピングでこの熱戦を支持。女性客は、凄まじいばかりの黄色い声で大CIMAコールを贈る。凄え人気だ。

今度はNew Hazardが必殺技を連発。斎藤にターゲットを絞った鷹木は、まずラリアットで吹き飛ばし、F5風の投げ技で斎藤を振り回す。鷹木のカバーはカウントは2、続いてコングが強烈極まりないサイバーボム(両手を縛ってのランニング・ライガーボム)を決める。斎藤の敗北を確信する観客、だがカウントは2。観客から驚きの大歓声&ストンピングが発生する中、斎藤は起死回生のドラゴン・スープレックス。一転してピンチを迎えた鷹木、だがカウント2でクリア。観客の『超』大歓声の中、鷹木が新技のラスト・ファルコンリーを決める。頭から真っ逆さまに落ちた斎藤がついに力尽きた。鷹木が堂々と先輩からカウント3を奪えば、超熱戦を制したNew Hazardに観客が割れんばかりの大歓声を贈る。


マイクを握った鷹木は、新しい世代の人間がベルトを獲れた事を高らかに宣言すると「俺達は、誰の挑戦でも受ける!」と言い放った。

この一言に黙っていられないのが、お馴染みMUSCLE OUTLAW'Z。マイクを持った土井が「俺らはこんな奴ら、認めんぞ!」と叫び、鷹木は「やってやるぞ、オラッ!」と応える。ここで登場したのは、DRAGON GATEの現場監督であるK-ness.。まずは「毎回毎回、盛り上がってますねぇ」と牽制を入れると、7月1日ワールド記念ホール興行にて、新王者の鷹木&ハルク&コングに、MUSCLE OUTLAW'Zの岸和田&土井&吉野を挑戦させる事を決定。



だが、ここは東京のリング、神戸の話をしてもしょうがない。しかも、この話の蚊帳の外となったTyphoonも、新王者にリベンジする機会が欲しいところだ。そこでK-ness.が提案したのが、次回6月5日の後楽園ホール興行でのNew Hazard vs Typhoon vs MUSCLE OUTLAW'Zによる3WAYマッチ。満を持して投入してきたDRAGON GATEの名物、3WAYマッチ。これを聞いた観客が大歓声を上げたのは言うまでもない。

3WAYマッチに納得したTyphoonMUSCLE OUTLAW'Zが引き上げると、興行を締めるべく鷹木がマイクを握る。「DRAGON GATEでデビューした俺達が、DRAGON GATEを面白くする!」と力強く宣言すると、観客の歓声にはNew Hazardのメンバー全員によるマッスルポーズで応えた。



いや〜っ、凄い試合だったなぁ。プロレスで「いつ決着がつくか、まったくわからない展開」を観たのは久しぶりだなぁ。そして後楽園ホールで、あれだけの大歓声、そしてストンピングを聞いたのは本当に久しぶりだった。さすがはDRAGON GATE、試合のレベルだけなら、間違いなく国内最高峰だろう。本当に、恐れ入りました。

そして、プロレスで「試合内容を素直に楽しむ観客」を観たのも久しぶりかも。最近は、やたらと試合を弄ろうとしたり、ウケを狙ったりする観客が増える中、DRAGON GATEの観客は純度が高い気がするね。ま、それが「本当に良い事なのか?」と言われると、難しいところなんだけどね。

雑感

今日はとにかくメインイベントに尽きるだろう。観客のボルテージはバースト状態。重ねて書くことになるが…あれだけの大歓声に包まれた後楽園ホールを観たのは、本当に久しぶりだった。

今日は、観客動員でやや苦戦したDRAGON GATEだけど(いや、満員なのは確かなんだけどさ)、他団体の力を借りずとも、純メンバーでこれだけの「力」を発揮できたのは、団体にとっても大きな財産になるハズだ。ましてや、メインに出場した選手の半分は若手。DRAGON GATEは、今日のメインの大歓声を大いに誇って欲しい。

昨今、いわゆる「パッケージプロレス」ではトークが重要視される傾向がある。実際、色々な団体で面白い喋りを聞いてきた。だが「パッケージプロレス」のベースは、あくまでプロレス。トークが盛り上がろうとも、試合で魅せられればそれが一番なのだ。そして今日の興行は、「プロレスを盛り上げるものは『プロレス』」という、当たり前の事を思い出させてくれたなぁ。


ありがとう、DRAGON GATE


以上、長文失礼。