5/9 ハッスル 後楽園ホール興行 画像つき簡易観戦記

Mask_Takakura2007-05-09

ま、ものは試し、って事で

たまたま仕事が早く終わったので「後楽園で何かやっていないかなぁ」と調べたところ、ハッスル・ハウスを開催していた。


「芸能人とプロレスラーが、一丸となって取り組む『お笑い劇場』」という印象のハッスルを、僕はあまり好きではない。僕は「笑い」という要素は嫌いじゃないけど、それ自身がプロレスの中心である必要はないと考えているんだよね。だから、試合の最初から最後までが「笑い」で構成されているハッスルには抵抗がある、というかねぇ。

なので、今日は「じゃあ、試しに観戦してみるか」というのが動機。ひょっとしたら、僕の「食わず嫌い」かもしれないしね。百聞は一見にしかず、というか。


チケット代は、一番安い席が売り切れていて、次の席は5000円。後楽園ホールでやるプロレスとしては、ちょっと高いなぁ。これも芸能人価格なのかねぇ。

そして、観客は超満員。PRIDEの地上波打ち切り騒動に巻き込まれる形で、お茶の間から「ハッスル!ハッスル!」という言葉も姿を消してまったハッスル。「もう、人気は堕ちたのではないか?」と思っていたんだけど…、意外にまだまだ健在のようで。

オープニング 全日本プロレス四天王の「♪なんでだろ〜」

この日のオープニング担当は、 "モンスターK" こと川田利明。ハッスルの中での川田は最近、プロレスよりも歌に力を入れているのだが…、本人曰く、紅白はおろかCDデビューの話もないらしい。「こんなに歌を愛しているのに、紅白から声が掛らないのは、何でだろう」。嗚呼、全日本プロレス四天王。


すると、「何でだろう」の一言に反応し、「♪なんでだろ〜、なんでだろ〜」と登場したのはテツ&トモ。「♪"セレブ小川"が、あんなにしょっぱいのは、なんでだろ〜」など、ひとしきりネタを披露した後は、川田も黄色いジャージ姿で「なんでだろ〜」に参加。嗚呼、全日本プロレス四天王。


ちなみに。テツ&トモ曰く、川田がお笑いに積極的なのは、ダチョウ倶楽部などでお馴染み太田プロ所属の所属だからだそうだ。う〜ん、このネタそのものが、何だかテレビっぽいなぁ。あんまりライブを見ている気がしないよ。

第一試合 放送禁止

タッグマッチ
○TAJIRI(172cm/85kg/高田モンスター軍)
 "モンスターK'" 佐藤耕平(193cm/105kg/ZERO-1 MAX/高田モンスター軍)
vs
 KUSHIDA(175cm/80kg/ハッスル軍)
●\(^o^)/チエ(168cm/64cm/ハッスル軍)
[10分13秒 片エビ固め]
※カウンターのバズソーキック

大型スクリーンには、前説でバカウケだった川田に嫉妬する高田総統の姿が。アン・ジョー司令長官は、横から「最近のオープニングは総統と代行のギャグ合戦。こういつも、ネタばかりやっていては、モンスター軍の士気に関わりマス!」と牽制するも…結局、総統はトークを「ゲッツ!」で締めてしまった。観客は爆笑、ネタが古いのが逆に味になっているな。


さて第一試合は、内容よりも「イン乳(インリン様の母乳)に固執するTAJIRI」のキ○○イっぷりがヤバかった。地上波が遠のいた分だけ、TAJIRIも遠慮せずに演じているって事なのかなぁ。少なくとも、地上波では放送できない程にはイカレていたんだけど…観客があまり引いた様子がないのは、なんだかんだでTAJIRIの絶妙なサジ加減は働いているのか、ただ単に観客が鈍いのか。

あとはボチボチって感じ。「\(^o^)/チエ(『バンザイ・チエ』と読む)がデカい」とか、「総合格闘技の試合しか観た事がないKUSHIDAが、飛び技をやっている事に違和感を覚えた」とか、「佐藤耕平の蹴りは重いなぁ」とか。

第二試合 色々と寒い

シングルマッチ
○"モンスター・セレブ" 小川直也(193cm/115kg/高田モンスター軍)
 島田二等兵(高田モンスター軍) ※セコンド
vs
崔領二(190cm/105kg/ZERO-1 MAX/ハッスル軍)
[7分34秒 横入り式エビ固め]
※イス攻撃から

色々と噂に聞いていた"セレブ小川"を初めて見たが、「セレブ」というキャラよりも「しょっぱい」というキャラが先行しているのね。会場に響く野次の嵐は、かつては「しょっぱい」のにハッスルのエースだった小川を、散々に観せられたファンの恨み節なのかねぇ。


でもねぇ。正直、試合を野次でいじろうとする、一部のハッスルマニアもかなり「しょっぱい」のよ。

小川のやる事に乗り切れないというか、小川を完全には弄り切れないというかねぇ。確かに小川も…やることなすこと、すべてが「しょっぱい」んだけど…。「どうせなら、『そういうのをすべて超えるくらいのパワー』で弄ってみろよ!」と、かつて日米レスリング・サミットで、当時は「しょっぱい」という烙印を押されていたアルティメット・ウォリアーの試合を弄り倒したファンをリアルタイムで見ていた僕なんかは思うわけで。


弄りきれないなら、声を出すなよ。試合の最後で、ハッスルマニアは小川に向かって、崔と一緒に「しょっぱいのはお前だっ!」と叫んでいたけど…違うな。しょっぱいのはお前「ら」なんだよ。

第三試合 全体的に印象が薄い

タッグマッチ
○"モンスター大将" 天龍源一郎(189cm/120kg/高田モンスター軍)
 "モンスターK" 川田利明(183cm/110kg/高田モンスター軍)
vs
●キンターマン(171cm/123kg/無所属)
 クロダーマン(180cm/100kg/無所属)
[8分55秒 片エビ固め]
※ダブル延髄斬り

どう見ても正体はバレバレのマスクマン、キンターマン&クロダーマン。まずはお約束のブリブラダンスで観客を沸かせるが、一緒になって踊る観客の数は低かった。ハッスルの観客は、インディー・プロレスを観る層とはカブッてないのかなぁ。


試合では、簡単にマスクが外れてしまうキンターマン&クロダーマンが、天龍源一郎川田利明にボコボコにされてしまった。それでも二人は、場外で天龍を机の上に乗せてダイブするなどのハードコア殺法で反撃するも、天龍は折れた机の破片でキンターマンをメッタ打ち。最後は川田とのW延髄斬りで、キンターマンがあっさりと敗北。

試合後のやり取りは、あまり印象に残らず。川田の「なんで大将は、そんな大人ぶった話し方をするんですか?」という振りに対して、天龍が「♪なんでだろ〜」と返したのが印象に残ったくらいかな。嗚呼、天龍同盟

第四試合 人は年をとる

シングルマッチ
アブドーラ・ザ・ブッチャー(186cm/150kg/高田モンスター軍)
●RG(177cm/76kg/ハッスル軍)
[5分30秒 エルボードロップホールド]

インリン様がバカンス先で拾ったという魔法のランプ。中には魔神が住んでいるというが、対戦相手のRGは「俺はタイガー・ジェット・シン天龍源一郎川田利明と互角に渡り合ってきた新生ハッスル軍のエースだ!」と強気な姿勢。ならば、とインリン様が「ハタリハタマタ」と唱えながらランプを擦れば…、大量のスモークと共に現れた「黒い魔神」はアブドーラ・ザ・ブッチャー。思わぬレジェンドの登場を、観客は今日一番の大歓声で迎える。しかしまあ、「黒い呪術師」と呼ばれたブッチャーが魔神という立場になるのは、ちょっとヘンな話だよなぁ。


だが、現実は厳しい。とっくの昔に還暦を迎えてしまったブッチャー、肉体の衰えは隠せない。胸は「コレでもか!」というくらいに垂れ下がり、足も細くなってしまった。リングに登る階段で四つん這いになっていたりで、見ていて気の毒なくらいだった。う〜ん、昭和は遠くなりにけり。



なので、試合はRGの「リアクション芸」と化していた。何もせずに立っているだけのブッチャーを相手に、色々なバリエーションでビビるRG。走ってタックルを仕掛け、自ら倒れるRG。ブッチャーの地獄突きを喰らい、一回転で受け身を取るRG。しかも倒れた場所はご丁寧にリング中央。ブッチャーが一生懸命に走りながら、毒針エルボーを落として試合は終了。


ふむ。動けないブッチャーに芸人であるRGを当てたのは「正解」だね。でも、学生プロレスもやっていたRGの試合ぶりもちょっと観たかったような。



第五試合 プロレスラー以上に頑張るゲイ人

ハンディキャップマッチ
○HG(185cm/88kg/ハッスル軍)
 坂田亘(175cm/88kg/ハッスル軍)
vs
 ACHICHI(181cm/105kg//高田モンスター軍) ※旧・大谷晋二郎
●アン・ジョー指令長官(180cm/98kg/高田モンスター軍)
 ジャイアント・バボ(196cm/113kg/高田モンスター軍)
[6分51秒 昇天ドロップ]

試合前に大型スクリーンに映し出された、高田総統大谷晋二郎のやり取りが笑えた。髪の毛を巡り、大谷をコケにしまくる総統。本当に小学生レベルの罵倒の仕方をするのだが、リキむあまり声が裏返る感じが絶妙なんだよね。いや〜っ、総統は芸達者でいらっしゃるなぁ。


んで、肝心な試合についてだが…特に感想はなく。モンスター軍のACHICHIと化してしまった大谷も、今までと特に試合ぶりが変わったワケでもなく。

まあ、あのHGがかなり普通にプロレスをやっていたのは驚いたねぇ。学生プロレス出身の彼ではあるが、本職のプロレスラーを相手に意外とハードな受け身もこなしいたしねぇ。あと、何より彼はシルエットがいい。背が高いので、飛び技も豪快に映るしね。どうにも「しょっぱい」と評判だった小川直也から、ハッスルのエースの座を奪ったのも頷けるわ。

フィニッシュは、トップロープから股間を顔面に押し付ける「昇天ドロップ」。新技だそうで。



エンディング 高田総統の独演会

最後の試合が終了すると、坂田とHGに促される形で西側バルコニーに高田総統が登場。喉に悪そうな独特の喋り方をキープしつつ、随所でアドリブを効かせたトークを展開。



観客を「GWは終わったばかりなのに、何でここにいるの?明けたばかりだよ、GWは?」と弄り、ハッスル軍の坂田を「『ぶっ潰す!』という前に、キミが経営する居酒屋が潰れないよう、メニューでも考えてた方がいいんじゃないか?」と弄り、味方である高田モンスター軍)の川田を「そんなに歌が好きなら、『川田利明とモンスター5』でも結成したらどうなんだ?」と弄る。八面六臂の活躍で弄って、弄って、弄り倒す総統。もちろんトークの間に、次の興業に向けての宣伝を挟むことも忘れない。

う〜ん、生のトークを聞いて感じたが…、総統はかなり弁が立つなぁ。観客からの予期せぬ言葉にも、的確な言葉を返しているしねぇ。この喋りは銭が取れるわ、マジで。そりゃあ、これだけ観客をドッカンドッカン沸かた上、「バットラックだ!」と言って先に去られたら、取り残されたHGが「こんなの、さんまさんレベルじゃないと処理できませんよ!」とボヤくのもわかるね。



しかしまあ、総統に野次を飛ばす一部のハッスルマニアのやかましい事といったら…。たいした面白くもないのに、「自分がハッスルを作ってる」くらいの勢いで、次々に野次を飛ばしやがる。ま、静かに見ろとは言わん。せめて「我者顔」で叫ぶのはやめてくれ。目障りだ。

雑感

う〜ん、正直、意外と面白かったなぁ。うん、面白かった。面白かったんだけど…。


やっぱり面白いのはトークの部分であって、試合は自体は「並」でしたわ。ま、ハッスルの方向性から考えれば、そうなるのは当然だと思うけどね。そして、そのトークの内容は、ライブで観るよりもテレビで見た方が楽しめそうな印象も持った。ネタを大衆向けにしている分だけ、ちょっと薄めというかねぇ。わざわざライブを楽しむ必要はないかなぁ、と。

ただ、高田総統トークだけは出色の出来。恐らくファンの多くは、総統のトークが聞きたくてリピーターになっているのだろう。高田があんなに器用な人だとは思わなかったよ、マジで。


あとは…、観戦記の要所にも書いたけど、一部のハッスルマニアが邪魔だったなぁ。浮かれた感じで次々に野次る、あの感覚がどうにもこうにも。もう一度書くよ、しょっぱいのはお前「ら」だ。


以上、長文失礼。バットラック!