5/3 世界三大タイトルマッチ 有明コロシアム興行(地上波) 簡易観戦記

ふ〜ん、「本物がここにいる」ねぇ

某三兄弟への『あてつけ』としか思えないようなフレーズを掲げ、ゴールデンウィークの最中に行なわれた、ボクシング・世界三大タイトルマッチ。コレ、誰が考えたフレーズなんでしょうなぁ、わざわざ腫れ物に触れる事もなかろうて。

第六試合 ムニョスは打ち合いには強そうだなぁ

WBA世界Sフライ級 タイトルマッチ 3分12R
アレクサンデル・ムニョス(166cm/52.0kg/ベネズエラ/WBA世界Sフライ級 一位)
名城信男(164cm/52.1kg/六島/WBA世界Sフライ級 王者)
[判定 3−0]
※ムニョスが新王者に

辰吉丈一郎と並んで、たったの8戦で世界王者になっている名城信男インファイトを得意とする選手だ。前回の王座戦はド深夜の放送だった名城だが、今日はゴールデンタイムでの防衛戦に挑む。対するは、元世界王者のアレクサンデル・ムニョス、日本人キラーなのだそうだ。


1R、やや大振りなパンチを連発するインファイターの名城。対するムニョスも左ストレートがよく伸びる。

2R、懐の深いムニョス、名城はなかなか懐に入れない。それでも数発、名城の右フックがヒット。

3R、懐に潜ろうとする名城を、ムニョスはクリンチでやり過ごす。だが終盤、前に出る名城の右ストレートがヒット。終了直前には左フックもヒット。

4R、ムニョスの左ストレートは、相変わらず伸びる。これにより名城が飛び込めなくなってきた。懐に入ってもコンビネーションで迎撃されたりしている。

序盤戦の感想は「徹底したアウトボクシングを展開するムニョスの左ストレートが、名城を苦しめているなぁ」という感じかな。


5R、左ジャブで牽制しつつ、接近戦では右アッパーをヒットさせるムニョス。終盤には連打も出てきたが、名城も連打で応戦。

6R、左を伸ばして試合をリードするムニョスに対し、名城は終盤はプレッシャーを強める。そろそろ両者に明確な差が出てくるかな?

7R、テレビではカット。あらあら。

8R、名城をロープ際に追い詰めて連打を入れるムニョス。右ボディブローがいやらしい。名城は左ボディフックで挽回を図るも、ムニョスは再び連打で反撃。このラウンドは明らかにムニョスだな。

中盤戦の感想としては…インファイターの名城に対して、遠距離戦だけではなく接近戦でもムニョスがリードする場面が多くなってきたように見える。こりゃあ、名城は判定になると厳しいなぁ。


9R、テレビではカット。おやおや。

10R、序盤に名城の左ボディや右フックがヒットするも、名城はムニョスの懐に飛び込めない。対するムニョスは左ストレートを伸ばすスタイルを崩さない。終盤、ややスタミナを失ったムニョスに、名城が近距離でパンチを何発かヒットさせる。接近すれば名城にも勝ち目はあるか?

11R、ムニョスはプレッシャーを強めて、体力の衰えをカバー。近距離での闘いが増える中、インファイトで力を発揮する名城のパンチが数発ヒットするも…、ムニョスに致命傷を与えられない。徐々に流れを掴みつつある名城だが、ちょっと遅すぎるなぁ。

12R、もう後がない名城は、どんどん前に出てパンチを連打するが…、バテ気味になりながらもムニョスがパンチを返してくる。終盤、ムニョスのパンチが数発ヒットしてしまう。う〜ん名城、ダメだったかぁ…。


判定の結果は3−0で、ムニョスが勝利。僕の判定もムニョスの勝利だったので、この結果には納得。


徹底したアウトボクシングとよく伸びる左ストレートで、名城のインファイトを封じたムニョスの戦略勝ちですな。名城は10戦目にして、初めての黒星。だが年齢は25歳とまだまだ若いので、これに腐らず再び王座に挑戦して欲しいねぇ。

第七試合 バレロはとんでもない選手でした

WBA世界Sフェザー級 タイトルマッチ 3分12R
エドウィン・バレロ(170cm/58.9kg/帝拳/WBA世界Sフェザー級 王者)
本望信人(171cm/58.7kg/角海老宝石/WBA世界Sフェザー級 二位)
[8R 1分54秒 TKO]
※本望が右目上を負傷

デビュー以来、21戦21勝無敗21KOだというエドウィン・バレロ。更にはデビューから18戦連続で1RKOという記録も持っている。いるところにはいるもんだねぇ「本物の怪物」って。対するは、ここ7年間は無敗だという本望信人。肩書き的にはバレロと吊り合っているかな。


1R、試合前、なんと「ファーストパンチによるKO」を予告していたバレロだが…さすがにそれはナシ。プレッシャーを掛けつつ前に出るバレロ、繰り出すワンツーには破壊力がありそう。対する本望も、ガードを固めながらワンツーを返す。


んで…2R、3R、4Rはカット。こらこら。


5R、この時点で本望は顔の三箇所をカットしていたらしい。1Rを見ただけで『超攻撃型』だとわかったバレロだが、カットされたラウンドの中で、そのパンチが何度も本望を襲ったのだろう。

んで、このラウンドでも、バレロは前に出てパンチを連打。出血が激しくなった本望にドクターチェックが入る。追い込まれる本望、だが試合再開後に右ストレートが数発、バレロの顔面を襲った。挑戦者はまだ死んではいない。


6R、相変わらずカウンターを恐れずに前に出て、本望に打ち合いを挑んでいくバレロ。ほぼ休まずにパンチを打っているのに、スタミナが切れる気配がないのが凄い。対する本望もよくパンチを返すも、バレロの左ストレートをパシパシと喰らっている。この時点で本望の顔の傷は五箇所に増えていたそうな。バレロ、強し。


7R、このラウンドは本望が冴えていた。やっぱり前に出るバレロを相手に、要所でカウンターを当てる本望。特に序盤の「前に出るバレロの懐に潜っての右フック」は見事。しかし終盤、不慮のバッティングにより、本望の眉間の傷口が開いてしまう。う〜ん、これは不運。


8R、流血の激しい本望に対して、ラウンド開始後まもなくドクターチェックが入る。いよいよピンチの本望は「残された時間は短い」とばかりに、試合再開後は積極的に前に出て、バレロとの打ち合いに挑む。

お互いのパンチが顔面を捉えあう激しい展開に観客が熱狂する中、バレロのパンチを喰らった本望の傷口が更に開いてしまった。再びドクターチェックが入り、やがてレフェリーが試合を止めた。


デビュー以来12年、36戦目で掴んだチャンスをモノにできなかった望月はリング上で号泣。だが、実況曰く「かつて、バレロをここまで追い詰めた挑戦者はいなかった」そうな。


ちなみに望月は30歳。年齢的な問題から、これを引退試合にするらしい。う〜ん、残念。顔面を傷だらけにして、尚も王者に向かっていく姿はなかなかカッコ良かったんだけどなぁ。正直、「もう一丁!」が見たかった。

第八試合 今日の長谷川はおとなしかった

WBC世界バンタム級 タイトルマッチ 3分12R
長谷川穂積(169cm/53.5kg/千里馬神戸/WBC世界バンタム級 王者)
シンピウェ・ベチェカ(172cm/53.4kg/南アフリカ/WBC世界バンタム級 四位)
[判定 3−0]

今日の長谷川穂積の挑戦者は、これまで16戦16勝無敗9KOのシンピウェ・ベチェカ。「あまり情報のない選手」だという事だが、長谷川よりも一階級上に見えるくらいの体の大きさ、そしてそれ以上にリーチの長さが厄介そうだ。実際、腕の長さは長谷川よりも8cmも上(長谷川169cm、ベチェカ177cm)。これは長谷川、難敵を迎えたか?


1R、距離を置きながらワンツーを放つ長谷川。対するベチェカも様子見モード。かなり静かな立ち上がり。

2R、まだまだ様子見モードの二人。打ち合わんのお。ベチェカはリーチでリードしているのなら、もっと遠距離からパンチを散らせばいいのに。中盤〜終盤、長谷川のパンチが数発ヒットするも、大局は変わらず。

3R、やっぱり様子見モードの二人。レフェリーが打ち合いを促すも…お見合いは続く。終盤、長谷川のパンチが何発かヒット。長谷川は判定勝ち狙いなのかねぇ…っていうか、ベチェカが守りすぎなのか。

4R、序盤に長谷川の右フックがヒットするも…このラウンドもまた、お見合いが続いた。それでも徐々にプレッシャーを増す長谷川、しかし手数は少ない。ラウンド終了後、観客からはブーイング。ま、じれったい展開ではあるよね。

ここでWBCルールに基づき、このラウンドまでの裁定結果が発表される。ジャッジは三人とも長谷川を支持。う〜ん、ベチェカの手数は少なすぎるよ。「長谷川のカウンターを警戒して」の事らしいけど…、とても挑戦者とは思えない試合ぶりだな。


5R、再びレフェリーが打ち合いを促すと、ようやくベチェカからパンチを出るようになる。コンビネーションはなかなかいい感じ。ここからは打ち合いになるかな?

6R、パンチを打つ場面が増えてきた。長谷川が右ストレート一発を出すのに対し、ベチェカはコンビネーションを返す。パンチを交換する中、終盤にはお互いに顔面パンチを入れ合う場面も。手数ではベチェカが上だったけど、試合全体のペースは長谷川が握っていたように思う。

7R、今回の長谷川は7R〜10Rが「KO予告ラウンド」、しかし…。中盤、長谷川はベチェカの強烈な右フックを喰らってしまう。それでも長谷川は終盤、左ストレートでベチェカを追い込むと、終了直前には右フックもヒット。長谷川が動き出したな。

8R、徐々にリズムに乗ってくる長谷川、8cmのリーチ差もなんのその。中盤には長谷川の左フック〜右ストレートがヒット。終盤、ベチェカの右ストレートを喰らう場面もあったが、長谷川はベロを出して挑発。

再び、このラウンドまでの裁定結果が発表される。ポイントで少々ベチェカに追いつかれるも、尚もジャッジは三人とも長谷川を支持。試合の主導権も長谷川が握っているし、判定になれば長谷川が勝つだろうね。


9R、打撃を交換する中で終盤、長谷川の左ストレートが連続ヒット。しかしベチェカに大きなダメージは見当たらない。KO予告ラウンド終了まで、あと1R。どうする長谷川っ!?

10R、接近するベチェカに対して、長谷川が距離を稼ぐ。「こりゃあ、KOは諦めたのかな」と思ったら、終盤にパンチのまとめ打ちでベチェカを防戦一方に追い込む。KOは奪えず。長谷川、予告達成ならず。

11R、ベチェカはこのラウンドは、距離を離しつつ左ジャブ、右ストレートを出していた。う〜ん、もっと早くからこの攻め方をしていれば良かったのに。対する長谷川は終盤に積極的にパンチを繰り出す。左ストレートが連続でクリーンヒットし、ラウンド序盤の失点を挽回する。


いよいよ、最終12R。


「プツッ!」


ここで突然、友人に録画してもらったビデオが切れてしまった。んで、試合の残り分が録画されているという二本目を見せてもらったら…。試合時間は残り10秒、長谷川はどんどん前に出てのラッシュでベチェカをボコボコにしていた。

ぬおおおぉぉぉ、この試合で一番いいシーンを見逃したあああぁぁぁ!


というワケで、試合の結果は判定に委ねられ…3−0で長谷川が勝利。


感想としては…、「長谷川が労せず王座防衛」って感じ。僕の勉強不足もあるのだろうが…今日のベチェカは、どういう戦略で闘おうとしていたのかが判らなかったなぁ。長谷川がベチェカの攻めを封じていたようにも見えないし。到底、挑戦者とは思えない消極的な闘い方だった、というか。

ま、試合内容はどうあれ、長谷川が王座を防衛した事には変わらない。これでまたアメリカに、統一王座戦に一歩、近づいたな。

雑感

全体を通して、面白さは「まあまあ」でした。それにしてもボクシングは難しいなぁ。これからも勉強ですな。


あと、観戦記のスタイルも、もう少し読みやすくしていかないとダメだなぁ。こういう「ラウンドを追うスタイル」であれば、もっともっと短く書かないと読みにくい気がするなぁ。


以上、簡単すぎで失礼。