4/7 ZERO1-MAX 靖国神社相撲場 ピンボケ画像付き観戦記

今年もこの季節がやってきた

本日は靖国神社相撲場にてZERO-1MAXの「奉納プロレス」を観戦。


昨年の興行が好評だったらしく、今年も開催する運びとなった「奉納プロレス」。

これを読んでいる人の中には「奉納プロレス」という言葉の堅さから、無意味に肩肘を張る人もいるかもしれないが…、実際にはそんなに難しく考える必要はない。だいたいにして靖国神社の入り口には、参拝客狙いの「出店」がビッシリとひしめいているワケで、こうなれば「奉納プロレス」だって「祭りの余興」として楽しめばいいだけの話なのだ、と、川崎球場でプロレスを観戦するのが大好きな僕は思うわけだ。

というのは、僕が昨年「奉納プロレス」を観戦した時の観戦記に記述した文章。んで、今年も上記の精神に則り、PON君(id:pon-taro)を誘って気楽に観戦する事にした。チケットは自由席を購入、2500円。安いなぁ。

今年のこの季節にはガッカリだ

さてさて、今年の「奉納プロレス」は開催前から大きなハンデを背負う事なった。それは…、昨年は見事に咲いていた相撲場の一本桜が、今年は寒さと雨のせいで葉桜化していたのだ。



これは「奉納プロレス」を観る上で、致命的な出来事だと言っていいだろう。イヤ、他の人はともかく、少なくとも僕には致命的だったのだ。「満開の桜の花の下、ご陽気にプロレス観戦」っていうのが「奉納プロレス」の醍醐味といっても過言ではないのになぁ…。本当に残念だ。

第一試合 四半世紀も変わらぬ伝統

タッグマッチ 30分一本勝負
 高橋奈苗(167cm/75kg/PRO-WRESTLING SUN)
○Hikaru(170cm/70kg/PRO-WRESTLING SUN)
vs
 夏樹☆たいよう(152cm/55kg/PRO-WRESTLING SUN)
前村早紀(152.6cm/51kg/PRO-WRESTLING SUN)
[13分00秒 エビ固め]
※Lanakila-H

高橋やHikaruに比べると、夏樹や前村の身体がなんとも小さい。「う〜ん、選手の大きさのバランスが悪いなぁ」なんて思いながらボンヤリと観戦していたが、やっぱり高橋&Hikaruがパワーで圧倒。

あっという間にピンチを迎えた夏樹&前村だが…夏樹は気合い一発、巨体の高橋を持ち上げてパワージャックを決める。前村もHikaruをジャーマン・スープレックスで投げ捨ててこれに続いた。

…が、絶対的な体格差はどうにもならなかった。Hikaruは急角度のバックドロップ二連発で前村を頭から落とすと、丸め込みを連発する前村にスピアー、ミサイルキックと畳みかけ、最後はLanakila-H(みちのくドライバーのような技)で3カウントを奪った。


…とまあ、淡々の試合の模様を書いたんだけど…正直、あんまり面白くなかった。一言だけ言わせてもらえば…、女子プロレスはいつまで「『バカヤローッ!コノヤローッ』の世界」を続けるんだろう?男子レスラーが観客に水を撒いたり、素人にキスをかましたり、笑いながら蛍光灯で殴り合う時代にあって、四半世紀以上も観客に対するアピールが変わらないというのも、どうなんだ?

第二試合 どうにも伸び悩んでいる若手

タッグマッチ 30分一本勝負
浪口修(174cm/84kg)
 高西翔太(170cm/83kg)
vs
菊地毅(175cm/99kg/PRO-WRESTLING NOAH)
 谷口周平(183cm/105kg/PRO-WRESTLING NOAH)
[11分46秒 ジャーマン・スープレックス・ホールド]

この試合は「ZERO1-MAX vs PRO-WRESTLING NOAH」なんだそうで。プロレスといえど、菊地のタイツの旭日柄を奉納してしまうと、それこそ近隣諸国がギャーギャーうるさそうな気もするが、話がややこしくなりそうなので先に進める。




最近、たまに日テレのNOAH中継で菊地を見ても、あまり真面目に試合をしている様子がないので、僕はこの試合を勝手に「今時の第二試合にありがちな『お笑い試合』」になるのかなぁ?」と思っていたが、意外にも内容は真面目なものだった。

で、感想としては…正直、あんまり面白くなかった。谷口の身体の大きさが目を惹いたくらいかなぁ。試合の図式が、第一試合とあんまり変わらなかった(巨体 vs 小柄)のが原因かな。

試合中、菊池は自ら放ったダイビング・ヘッドバットで自ら出血。そういえば菊地のタイツの旭日柄って、ダイナマイト・キッドに憧れからこの柄にしたんだったなぁ。

その菊地、浪口にジャーマン → 火の玉ボム → ジャーマン → ジャーマンと連続で畳み掛けてフォール勝ち。


大ベテランの菊地がピンを奪うというのもどうか?と思うが…、このメンバーだと菊地が取るしかない、か。それにしても…高西も浪口も伸び悩んでいるなぁ。見ていて「おっ!?」と思ったシーンが一つもないというのはキビしいねぇ。二人ともプロである以上、身体が小さい事は言い訳にはならないのだから、もう少し身を入れてプロレスをして欲しいね。

第三試合 CAGE FORCEのメインを務めた男が、ZERO1-MAXの第三試合に登場

タッグマッチ 30分一本勝負
佐々木義人(176cm/95kg)
 関本大介(175cm/110kg/大日本プロレス)
vs
門馬秀貴(182cm/80kg/和術慧舟會A-3)
澤宗紀(173cm/80kg/バトラーツ)
[18分17秒 エビ固め]
ラリアット

今やインディー界では欠かせない選手となった関本大介ランジェリー武藤としても活躍する澤宗紀。会場人気の高いメンバーの中にあって、総合格闘家の門馬はどんなプロレスをするのかなぁ…と注目していたが、これが意外に大活躍。華麗なフランケン・シュタイナーを決めたり、佐々木にオモプラッタを極めながらローリング・クレイドルで回してみたり…と、かなりプロレスに順応していた。成程、上井文彦氏が絶賛するのも頷けるな。

でも観客が一番沸いたのは…、門馬が佐々木腕十字を極めたところを、関本が引っこ抜いてジャーマンで投げ捨てた場面だな。さすがはインディー界随一のパワーファイターだねぇ。試合中に何気なく放っていたブレンバスターも美しかったしね。PON君がファンになるのも頷けるな。

そんなこんなで試合は終盤戦へ。関本を場外へと追い出した澤&門馬は、シャイニング・インパクト(ダブル・インパクト式のシャイニング・ウィザード)を決める等で佐々木を追い込むも、最後は佐々木が地力を発揮。ラリアットで澤を吹っ飛ばした佐々木は、必殺のアルゼンチン・コースターを挟み、もう一度…澤に強烈なラリアット一閃。喉元にモロに喰らった澤に返す力は残っていなかった。


ま、試合ぶりには定評のある関本や澤が絡んでいるので、試合内容はある程度は保障されたも同然ではあったと思う。でも、この試合で興味深かったのは門馬だな。プロレスの試合で、ここまで活き活きと動く事ができると思わなかったよ。あと佐々木は、もう少し自信を持って試合をして欲しいなぁ。でも最後のラリアットは、フィニッシュとしての説得力充分だった。


この試合は、なかなか面白かったです。

第四試合 ちょっと珍しいからといって、マスコミがギャーギャー騒ぐ程の事ではない

異種格闘技戦 20分一本勝負
○石天龍(截拳道)
●王拳聖(酔拳)
[5分35秒 TKO]
※ミドルキック

一昨年くらいに突如ZERO-ONEに来日、一部マニアに酔拳ブームを巻き起こした王拳聖が、今年も奉納プロレスにやって来た!今年の対戦相手は謎の截拳道使い・石天龍という事もあり、観客は「いかがわしさ」を求める大歓声に包まれたが…結論から書くと、クソつまんなかったなぁ。ま、実は毎年の事なんだけどね。


普段はプロレスをやらない拳法家同士の対決という事もあり、内容はグダグダ方面へ一直線。ブルース・リーばりのトラックスーツに身を包んだ石は、半身の構えをとりながら当たらない飛び蹴りを連発するだけで、截拳道には程遠い…という感じ。ヌンチャクを持たせりゃ、振り回している途中でスッポ抜ける始末。ハッキリ言って、お金を取れる選手じゃない!というかね。

対する王も、今回は対戦相手がプロレスラーではないせいか、思い切った攻撃を繰り出す事ができない状態。石が殆ど攻撃してこないせいで、酒を呑むタイミングも唐突になってしまった。ま、相手が技を受けてくれない事には、プロレスは成立しないわな。九節鞭(チェーンの先に小剣のついた武器)を鮮やかに振り回したシーンが、唯一の見せ場かな。

相撲場をヌルい空気が包む中、試合はフィニッシュへ。石はヌンチャクで絞め落とそうとするも、王はこれを脱出。「逃がしてなるものか」とばかりに石は中段蹴りを放つと、王は吹っ飛んで失神、試合は終了。あまりのグダグダぶりに観客から「えええぇぇぇ〜っ!?」という不満の声が上がった。


ま、王絡みの試合にこれ以上の内容は求められない、というか。強いて言うなら、せめてもう少し段取りとか決めて試合をしてくれ…って感じかな。まかりなりとも、お客さんからお金を貰って試合をしているんだから、さ。

第五試合 プロレス職人達が集まったが、盛り上がりは今一つ

6人タッグマッチ 30分一本勝負
 高岩竜一(178cm/95kg)
 日高郁人(172cm/80kg)
藤田ミノル(181cm/131.5kg(?))
vs
 ディック東郷(170cm/90kg/フリー/FEC)
 折原昌夫(175cm/92kg/フリー/FEC)
●マッチョ★バンプ(180cm/89kg/フリー/FEC)
[17分32秒 エビ固め]
※サスケだましセグウェイ

ZERO1-MAXが誇るジュニア戦士達 vs 復活したFEC(ファー・イースト・コネクション)」、メンバーの中には日高や東郷といったプロレス職人が含まれている…となれば、試合内容にも期待したくなるのが人情。

んで、試合は…FECの流れるような連携に藤田が捕まるが、脱出した後はZERO1-MAX軍が反撃。終盤は各人の得意技が爆発。東郷のダイビング・セントーン、日高のアイル・ビー・バック、マッチョのノーザンライト・ボム、折原のスパイダー・ジャーマンといった技が飛び出す中、最後は藤田がサスケだましセグウェイでパンプをフォールした…という、まぁ言ってしまえば「お決まりのパターン」の中に納まった感じ。


正直、面子の割には試合は今一つ盛り上がらなかったなぁ。期待していただけに残念だ。

相撲場の天井が低いせいで、高さのある飛び技を出すことができなかったのが敗因かなぁ。東郷なんて、シルバー・バレットやダイビング・セントーンを敢行する際に、いちいち天井を気にしていたしねぇ。

あと、FECがソツなく連携をこなしていくのに対して、日高&藤田はあまり連携技を使わなかったのも一因かな。相手は百戦錬磨なのだから、出し惜しみして欲しくない…というかね。

第六試合 どんなに真面目にプロレスしても、「笑い」はそのすべてを吹き飛ばす

6人タッグマッチ 30分一本勝負
 大森隆男(190cm/110kg)
 村上和成(186cm/105kg/BIG MOUTH LOUD)
●神風(186cm/107kg)
vs
 佐藤耕平(193cm/105kg)
高山善廣(196cm/120kg/高山堂)
 スティーブ・コリノ(183cm/100kg)
[19分44秒 ジャーマン・スープレックス・ホールド]

「紳士」大森隆男、「キレる男」村上和成、「アニキ」神風、「次期エース候補」佐藤耕平、「いじめっ子」高山善廣…とまあ、なんだかキャラが非常に濃いメンバーが揃っている試合だが…。結局、おいしいところを全部もっていったのは「バカ外人」スティーブ・コリノだった。




試合が観客を巻き込んだ場外乱闘から始まろうとも、村上がどれだけキレた表情を作ろうとも、佐藤の蹴りがどれだけ重くても、大森や高山がどれだけノーフィアー対決をしようとも…、コリノの一言が相撲場の空気を一変してしまう。

冷やかしのブーイングには「皆サン、ウルサイ!」と茶目っ気たっぷりに怒り、「コリノ、バカッ!」の声が聞こえりゃ「コリノ、アタマイイッ!」と返す。この試合で一番盛り上がったのは、神風とコリノによる金的攻撃合戦。観客が試合に笑いを求めている以上、その笑いの空気に乗れない選手は記憶から消えていくだけだ。


最後は高山が神風をニーリフトで突き上げた後、必殺のエベレスト・ジャーマンで3カウントを奪った…のだが、ハッキリ言ってそんな事はどうでもいい。一見さんの観客にとって、この試合で一番印象に残ったのはコリノである事は明白なのだから。ま、「奉納プロレスセミファイナルの内容が、こんなんでいいのか?」という文句は、ZERO1-MAXのスタッフにでも言ってくれ。

まあ、序盤から「観客に声を出させる」という意味でも、コリノはもっと前の方で試合をしても良かったと思うんだけどね。

第七試合 最後はZERO1-MAXのシリアスなプロレスを見せますが、何か?

シングルマッチ 30分一本勝負
大谷晋二郎(181cm/105kg)
崔領二(190cm/105kg)
[21分20秒 ドラゴン・スープレックス・ホールド]

本日のメインイベントは、エースである大谷晋二郎と、若手のホープによる崔領二が激突。明日のZERO1-MAXを占なう一戦となったが、さすがにZERO1-MAXも「締めるところは締めよう!」という考えだったのか、この試合はじっくりとプロレスをしていた。




序盤は得意の顔面ウォッシュでペースを握った大谷ではあったが、中盤は崔の厳しい膝攻めに苦しめられた。アキレス腱固め、ドラゴン・スクリュー、そして膝十字。エースである大谷の苦戦を目にした観客からは声援が贈られたが…尚も崔のペースが続く。得意のキックの連打に、必殺技・シドマス(だるま式で垂直落下するバックドロップ)までもが炸裂。

大ピンチを迎えた大谷、その窮地を救ったのはZERO-ONEだった。フラフラになった大谷、それでも袈裟切りチョップを連発して反撃を開始。鬼籍に入った橋本真也の得意技で崔に一矢報いた大谷は、続いて欠場中の田中将斗の技である雪崩式ダイアモンド・ダストを放つ。う〜ん、まさに「ZERO-ONE リスペクト」だね。

試合の流れを掴んだ大谷は、ドラゴン・スープレックス、スパイラル・ボムと必殺技を連発。これらをフラフラになりながらも必死にクリアする崔に声援が集まったが…、彼に二度目のドラゴン・スープレックス・ホールドを返す力は残っていなかった。



勝った大谷はマイクを持って、いじめの撲滅を訴えた後、観客と一緒にプロレスの教科書を唱和。だが最後は、観客に促される形でマイクを握った崔が音頭を取り、参加レスラー全員で「3、2、1、ZERO−1、Ummmm…MAX!」と叫んで興行を締めた。


う〜ん、この試合は…若手の崔よりもエースの大谷に声援が集まっていたのが気になったねぇ。ZERO1-MAXファンはまだまだ政権交代を期待していないのか?それとも、崔の中盤の膝攻めの組み立て方が今一つなせいで、観客が乗ってこなかったのか?ま、理由は色々とあるだろうが、これは崔というレスラーに課せられた試練だと思う。まずは声援の面で大谷に並ばないと、ね。

そして大谷だが…、いじめ撲滅を声高々に謳うのであれば、まずは自身の顔面ウォッシュをやめるべきだろう。あと、試合終盤の「ZERO-ONE リスペクト」ムーブの中に星川尚浩の流星キック(ダイビング延髄蹴り)を入れて欲しかった…。

しかし、それよりもなによりも。一見さんのいる前でプロレスの教科書を唱和して欲しくなかったね。ああいうマニアックな煽りは、試合終了後に熱狂的な大谷ファンと一緒にやるべきものであって、一般客に強要するようなモノじゃないだろ。アレで試合を締めようとする大谷の神経がわからんよ、マジで。

雑感

う〜ん、なんだか今年の奉納プロレスは正直、全然面白くなかったなぁ。


一見さんを相手に、あまりにもマニアックなZERO1-MAXの世界を曝け出し過ぎ。もっとお祭りイベントっぽい方が、一見のお客さんとかの「とっつき」がいいと思うなぁ。前座の方に一試合くらいは、何も考えずに楽しめる「息抜きの試合」が欲しかった、というかね。

っていうか、今回は前座で観客を温めるのに失敗したのが、悪い方向へ転がっていったように見えたなぁ。そこそこ盛り上がった第三試合は除いて、観客を温めきれない第一試合(女子プロレス)、若手の伸びを感じない第二試合(ZERO1-MAX vs NOAH)、グダグダな内容となった第四試合(酔拳 vs 截拳道)。観客から沸き始めたのが「セミファイナルあたり」というのも…いかがなものなのか?

ま、今日は観客動員的には成功なんだろうけど…。この内容で一見さんからプロレス好きになる人の数が何人いる事やら…。


あと、これはPON君へ。多少は散っていても、この日は桜の木の下で観戦すべきだったかもね。

最後に

では最後に、大谷が叫んでいたプロレスの教科書を記述して、この観戦記の締めとしよう。ま、こういう言い方はしたくないのだが、コレって「奉納プロレス」でやるような事なのかなぁ…。


大谷:「プロレスの教科書っ!」
観客:「プロレスの教科書っ!」
大谷:「275ページっ!」
観客:「275ページっ!」
大谷:「プロレスを愛する者はっ!」
観客:「プロレスを愛する者はっ!」
大谷:「たくさんいるだろうっ!」
観客:「たくさんいるだろうっ!」
大谷:「しかしながらっ!」
観客:「しかしながらっ!」
大谷:「プロレスを守る者は数少ないっ!」
観客:「プロレスを守る者は数少ないっ!」
大谷:「その数少ない中のっ!」
観客:「その数少ない中のっ!」
大谷:「最大のプロレスの伝導者はっ!」
観客:「最大のプロレスの伝導者はっ!」
大谷:「ZERO1-MAXっ!」
観客:「ZERO1-MAXっ!」
大谷:「そして大谷晋二郎だっ!」
観客:「そして大谷晋二郎だっ!」


やっぱり、「粋」じゃないよね、こういうのって。桜の木の下で見るようなモンじゃないというかね。


以上、長文失礼。



一緒に観戦したPON君が書いた観戦記はコチラ