3/4 K-1 横浜アリーナ興行(地上波) 簡易観戦記

藤原紀香

さあ、2007年K-1 WORLD GPシリーズが開幕っ!ここ横浜から、K-1の歴史が変わりますっ!

ついにK-1が改革に乗り出した。今まで二つしか階級がなかったK-1を五階級に分割、特にヘビー級を「ヘビー級&スーパーヘビー級」の二階級に分けたのは大英断だな。最近は選手の肥大化が激しかったK-1に対して、ついに一本の線を引いたんだなぁ…と思うと中々に感慨深い。これで少しはK-1 JAPANの日本人選手も活躍できるようになるかな?

でも…その中で60kg級が誕生するのはイヤな感じ。折角、キック界がこの体重で盛り上がっているのに、K-1が進出してきたら大荒れに荒れるぞ、マジで。ヒジなしの60kg級なんか見たかぁないんだよ、コッチはさ。

第一試合 大金星、その1

3分3R + 延長3分2R
野田貢(191cm/94.6kg/日本/シルバーアックス)
シリル・アビディ(190cm/104.7kg/フランス/ブリゾンジム)
[判定 3−0]
アビディは2Rにダウン1

試合の感想

まあねぇ、アビディは第一線で活躍するK-1の選手の中では、断トツで穴の多い選手だと思っていたし、ちゃんとした技術のある選手であれば「日本人でも充分に攻略できる」と前々から思ってはいたんだよね。でも…そういう日本人が登場するまで、あまりにも時間が掛かり過ぎちゃったなぁ、って感じ。個人的にはK-1 JAPANがまだ存在した頃に、これが実現していればなぁ…と思わずにはいられない。

もちろん、野田の勝利自体は手放しに賞賛するよ。スタミナが弱点となる事が多い相撲という競技をバックボーンに持つ選手が、スタミナがカギとなる打撃系格闘技で活躍する、というのも感慨深いね。常に前へ前へ、という姿勢も素晴らしかったな。

藤原紀香

ホントにあのぉ〜、恵まれたねぇ、体格を…そのぉ〜、プレッシャー・圧力をドンドンドンドン掛けていってですねぇ、アビディ選手の、あのぉ〜…いいところを消すっていう、闘い方をしたんじゃないですか?

この闘いにおける野田のいいところをピシャリと言い当てる紀香姉さん。


あのぉ〜、まだまだぁ、どんどんぅ、努力してぇ、巧くなってぇ、そしてぇ…ねぇ、これを自信にして、更なる飛躍を期待したいですね。

そして大金星を手にして涙する野田に「ここで満足するんじゃないよ!」と言わんばかりにコメントする紀香姉さん。この貫禄はまだまだ東原亜希西山茉希のような小娘では出せないね。コメントも美貌も「No.1にしてOnly.1」、それが紀香クオリティ。

第二試合(未観戦) いつもの黒星、その1

3分3R + 延長3分2R
グーカン・サキ(180cm/97.0kg/トルコ/ゴールデン グローリー)
天田ヒロミ(185cm/105.0kg/日本/コシ トラスト)
[2R 終了時 TKO]
※タオル投入/天田は2Rにダウン1

試合の感想

TV未放映だが、スポナビの記事を見る限りでは…アウトボクシングから右ローキックを放つサキを前に、天田はほぼ何もできずに攻略されてしまったようだな。


う〜ん、いくら天田がボクシング出身だとはいえ、既にK-1での闘いは長いハズ。ここまで来てローキック対策ができないのであれば、もう天田に未来はないなぁ…。

第三試合(未観戦) いつもの黒星、その2

3分3R + 延長3分2R
アレキサンダー・ピチュクノフ(194cm/95.0kg/ロシア/極真会館)
堀啓(198cm/104.7kg/日本/チームドラゴン)
[1R 2分27秒 KO]
※3ダウン

試合の感想

これまたTV未放映。で、ピチュクノフって極真でも世界大会を制する事できる、と言われた逸材だよ。そうかぁ、ついにK-1に進出してきたのか。ちょっと楽しみだなぁ。


対する堀だが…、かつては「K-1 JAPANの新星」といわれた彼も、段々と影が薄くなっているなぁ。この際、K-1での闘いだけに拘るんじゃなくて、他団体のヘビー級選手と闘うとか、そういう経験が必要なんじゃないかなぁ。

第四試合(未観戦) いつもの黒星、その3

3分3R + 延長3分2R
○ザビット・ザメドフ(183cm/89.0kg/ベラルーシ/チヌックジム)
中迫強(190cm/100.7kg/日本/ZEBRA244)
[判定 2−0]

試合の感想

TV未放映だろうが何だろうが、中迫の試合に何かを書く気にはなれません。あしからず。

第五試合 大金星、その2

3分3R + 延長3分2R
澤屋敷純一(184cm/100.0kg/日本/チームドラゴン/J-NETWORKヘビー級 王者)
ジェロム・レ・バンナ(190cm/119.5kg/フランス/レ バンナ Xトリームチーム)
[判定 3−0]
※バンナは1Rにダウン1、3Rにダウン1

試合の感想

う〜ん…あんまり「番狂わせ」って感じはしないんだよね、この試合。大金星ではあると思うけどね。


正直、左腕にプレートが入ってからのバンナは全盛期の本調子には程遠い試合内容が多かったけど、今日ほどカウンターをバシバシと入れられてしまうシーンが多かった事はなかった。あれじゃ、いくら距離を詰めてもパンチが出せなくなるわ。イヤイヤ、バンナは堕ちるところまで堕ちちゃったなぁ…。蹴りが出ていれば、また結果は違ったものになっていたかもしれないけどね。

反対に、この試合における澤屋敷は本当に度胸が良かったなぁ。バンナが相手だというのに、徹頭徹尾、自分自身の闘い方を貫き通した…というのが素晴らしい。レフェリーに警告を与えられても、お構いなしのアウトボクシングっぷりを発揮、それでいいんだよ、それで。んで、武蔵以上に足を巧く使っているのが好感を持てたね。これぐらい徹底してやんなきゃいけないんだよ、アウトボクシングは。


それにしても…少しづつ、そして確実にキック界やK-1を席巻しつつある「チームドラゴン」。恐るべし、だね。

藤原紀香

素晴らしいですねぇ!あの「SRS」でもねぇ、「脅威の大食い」だったり「脅威の肝っ玉」だったり、「大化けするかもしれない」っていう風にね、特集していましたけどぉ…これはKの将来にとって、おうんもしろい(面白い)選手が出てきましたねっ!

「澤屋敷の勝利」という材料に「SRS」の放送内容を絡めて、より視聴者に親しみ易い形にして賞賛する紀香姉さん。このちょっとした気遣いが、井上和香あたりには出来ない仕事っちゅーかねぇ。コメントも美貌も「No.1にしてOnly.1」、それが紀香クオリティ。

第六試合 大金星、その3

3分3R + 延長3分2R
○マイティー・モー(218cm/160.0kg/アメリカ/シャークタンクジム)
チェ・ホンマン(185cm/127.0kg/韓国/フリー)
[2R 50秒 KO]
※右フック

試合の感想

今年最初のK−1中継、一発目の試合はコレ。大きな男が崩れるシーンというのは、それだけで見栄えがするねぇ。ま、ホンマンはそんなにテクニックがある選手じゃないし、いつかはこういうシーンが来るとは思っていたけど…ここで来ましたか、そうですか。それにしても観客の盛り上がりが半端ではなかったなぁ。まだ怪物だった頃のピーター・アーツが、マイク・ベルナルドにKOされた時と同じくらいの盛り上がり方だったねぇ。


さてホンマン。今日は今まで味わった事のない「KO」という経験を得たワケだが、これを踏まえて今後、彼がどういう選手になっていくのかが見物だね。ま、サップのような「痛がり」になられると困るけど…この人はそういう風にはならないだろうな。

藤原紀香

当たった…素晴らしいっ!

ここ最近、ちょっと記憶にない程の豪快なKO劇を前に思わず絶句、そしてモーを讃える紀香姉さん。


本当に入ってきた時から執念を感じましたけど…、弟さんに届きましたね、この勝利が!

上記コメントの後、アナウンサーに振られた紀香姉さんは、我を取り戻すと紀香節を全開。5日前に交通事故で亡くなったモーの弟さんにもさり気なく触れているところが良いね。コメントも美貌も「No.1にしてOnly.1」、それが紀香クオリティ。

第七試合 超大逆転劇、その1

K−1ヘビー級タイトルマッチ挑戦者決定戦 3分3R + 延長3分2R
バダ・ハリ(197cm/94.0kg/モロッコ/ショータイム)
ルスラン・カラエフ(188cm/95.0kg/ロシア/フリー)
[2R 2分46秒 KO]
※右ストレート/ハリは2Rにダウン1

試合の感想

まずはこの試合、最後の大逆転劇がどうのこうの、という以前に試合内容が良かったな。これくらいのクオリティを常にキープしていれば、K-1人気も復活するんじゃないのかな?それにしてもハリ、試合ぶりを見ていると、来日当初の乱暴な感じは無くなってきたねぇ。カウンターを当てるのが巧かったなぁ。

そして触れなくてはならないのは、最後の大逆転劇。ハリのダウンは、カラエフの速射砲が段々と防げなくなってのダウンだっただけに「こりゃ、3ダウンも時間の問題かな?」と思っていたんだけど…、まさかあのタイミングでカウンターが飛び出すとはなぁ。ま、カラエフがKOを焦るあまり打撃が大振りになった、というのもあるんだろうけど…ここはハリの集中力を賞賛したい。

藤原紀香

いや、もう、あの…今日のK−1は凄いですねっ!ビックリしましたっ!

息を飲みながら、素のままのコメントを出す紀香姉さん。確かにK-1の歴史上、こんな大逆転劇は見た事がないわな。それでも…コメントも美貌も「No.1にしてOnly.1」、それが紀香クオリティ。

第八試合 金星、その1

K−1ヘビー級 タイトルマッチ挑戦者決定戦 3分3R + 延長3分2R
藤本祐介(178cm/97.8kg/日本/MONSTER FACTORY)
●武蔵(185cm/102.2kg/日本/正道会館)
[延長R 1分23秒 KO]
※左ハイキック
※本戦判定 1−0

試合の感想
スポナビの記事より

延長戦開始前、角田統括ディレクターからよりアグレッシブに試合を進めなければ両者失格にするとの警告が与えられる。

まず。上記の角田信朗K-1競技統括プロデューサーの横槍は…余計な行為だし、あまりにも無粋。選手以上に目立とうとする姿勢が気に食わない。あなたの行った行為も充分に失格行為でしょ。わざわざリングに上がって大見得切って言う事じゃないよ、マジで。


さて試合についてだけど…ようやく「この時が来た」って感じかな。思えば二人は「対外国人」を意識しながらも、その方法論はまったく正反対なんだよね。アウトボクシングから、徹底してポイントを稼ぐ…という戦法を選択した武蔵に対して、藤本の選択は外国人に負けないパワーを身につけることだった。この選択肢の違いが試合に出てば「面白いなぁ」なんて思いながら観戦していた。

両者の試合は、かつては同じ釜の飯を食った仲である事もあり、なかなか手の出ない一戦となった。観客もややフラストレーションを溜めていたようだが、雌雄を決した藤本の左ハイキックは誰もが納得する一撃だった。っていうか…ズバリ言って、あれだけ手数が出ててば本戦だけで充分に藤本が勝ってたと思うなぁ。相変わらず、K-1はちょっと怪しい判定を下すなぁ。


それにしても藤本、お見事でしたな。早すぎたK-1版TUFこと「K−1 モンスターファクトリー」出身、僕は彼を「K-1 JAPANでは唯一の『金の卵』だろう」と思って見続けていたので、ここに来てアジアGPを制したり、武蔵を倒したりしているのが感慨深いんだよね。年齢的にこれ以上、実力が伸びる事はないように思うんだけど…単純にその活躍を、もっともっと見たいね。

藤原紀香

因果は回って、歴史は繰り返し、そして歴史は変わるんですね…。

佐竹正雅が武蔵に敗れた時、佐竹は34歳。そして武蔵が34歳の時、藤本に敗れる…という日本人エース交代劇を哲学的に語る紀香姉さん。コメントも美貌も「No.1にしてOnly.1」、それが紀香クオリティ。

第九試合 あわや金星、その1

K−1スーパーヘビー級 初代王者決定戦 3分3R + 延長3分2R
セーム・シュルト(212cm/130.4kg/オランダ/正道会館/K-1 WORLD GP 2005 & 2006 王者)
レイ・セフォー(180cm/103.1kg/ニュージーランド/レイ セフォー ファイトアカデミー)
[2R 24秒 KO]
※左ストレート/シュルトが初代王者に/シュルトは1Rにダウン1

試合の感想

TVでは、すっかりヒールテイストで紹介されるシュルト。でもシュルトもその状況を楽しんでいるようだし、これはこれでいいのかな。


んで、試合。「最近のセフォーは、手数が出なくなっちゃったなぁ。なんか昔のカッコ悪い頃のセフォーみたいだ」とか思っていたら、1R終盤に左フックでダウンを奪う大波乱。横浜アリーナが揺れるのなんのって。「今日のK-1は『何かが起こる!』」って空気が充満していたんだろうな。

しかし迎えた2R、カウンターの左ストレートが一発入って一撃KO。天井を向いてダウンするセフォーなんて初めて見たよ。なんというか、さすがは現役王者っちゅーかねぇ。

藤原紀香

夢を、ね…。

あまりに強烈な、最後のセフォーのダウンシーン。現実を前にした紀香姉さんが、1Rにセフォーが奪ったダウンについてボソッと一言。どうやら姉さんもあんまりシュルトが好きじゃないらしい。

で、なんでこんな一言を拾っているのかと言われれば…その前に姉さんが発した「試合の総括」が、姉さんがあまりにも高揚し過ぎてて何を言っているかサッパリわからないから。コメントも美貌も「No.1にしてOnly.1」、それが紀香クオリティ…なのだが、その紀香姉さんをこんな状態にしてしまう程に、このKO劇は凄かったって事かな。

雑感

ここ数年のK-1から考えられない程、クオリティの高い大会だったとは思う。大金星や豪快なKO劇が「コレでもか!」とばかりに飛び出した今回の大会、横浜アリーナという今のK-1の身の丈にあった会場で、こういう興行が開催できたのは、今のK-1にとっては血となり肉となるだろう、確実にね。

ただ正直、僕がオンタイムで見ていた時は…これだけの素晴らしい内容を見せ付けられながらも、緊張感を持つ事なくダラダラと見てしまったんだよねぇ。やっぱりここ数年、カードや内容で純粋なK-1ファンを裏切り続けた代償は、この一興行くらいで返済できるようなモノではない、というかねぇ。

そういう意味では、次の興行はK-1にとって非常に大事な興行になるんじゃないかな?「継続は力なり」、生まれ変わろうとしているK-1に対して、力を抜きつつ期待したいね(力を抜くのは、裏切られた時が怖いから)。


以上、長文失礼。