12/22 MARS 横浜文化体育館興行 画像付き観戦記

クリスマスの三日前に、格闘技界の裏街道へ

本日は横浜文化体育館にてMARSを観戦。

さすがに興行の体力が減ってきたのか。今までに比べて会場の規模を縮小して開催するMARS。その代わりなのか何なのか、今回の興行には日本人選手が大量に参戦する。久々の総合格闘技戦となる藤井克久、最近はキックボクシングでの活躍が目立つ山宮恵一郎、今年は勝ち星に見放されている桜木裕司、そして横浜とは深い縁のある野地竜太

う〜ん、どうにも「かつてはPANCRASEに参戦していた人々」という感じなのが気になるな。MARSは総合格闘技の裏街道、ここは愚か者の酒場さ。

チケット一つをとっても、まさにMARSクオリティー

というワケでチケットを購入、立見席5000円を払って会場入り。「うむ、MARSに対してまともにチケット代を払って会場入りする人など少数派だろうなぁ…」なんて思っていたら、会場に入るとお姉さんが近くに寄ってきて「あ、立見席であればチケットを交換しますよ」と言われ、あれよあれよとRS席のチケットをゲット。

ふむ、この辺のやりとりはいかにもMARSチックだな、なんて思っていたら…さすがにMARSは裏街道興行。チケットに振られた番号を元に席に移動すれば…、席のあるハズの場所には堂々とした花道が。慌てて近くにいたスタッフにこの一件を問い合わせる。

「あ…あ…あ………、ス、スイマセン。この席は存在しないんですよぉ。実は今回、本来は存在しない席まで売っちゃったんですよねぇ…。まあ席は購入して頂いているので…、どっか空いている席に座っちゃって下さい。」

というワケで、僕はSRS席に座って観戦する事にしたのだった。さすがMARS、席一つとっても奥が深い。

ちなみに

今回もMARSは豪華絢爛。会場内には大型モニターが四つも設置され、リングの周りを大きな櫓が取り囲む。相変わらず無駄に金を掛けているなぁ。



客入りは一階席こそ七割の入りだが、二階席〜三階席の入りは一割程度。ま、一階席の七割の入りは…僕と同じく立見席を買ったり、招待券で入った人が座っているんだろうけどね。


※試合は第三試合から

第三試合 すっきり勝ってよぉ

キックルール 無差別級 3分3R
○コウイチ・ペタス(186cm/96.5kg/ザ スピリットジム)
●イ・ゼフン(182cm/101.6kg/韓国/闘神塾コリア)
[判定 3−0]

本日唯一のキックルールでの試合には、K-1で活躍したニコラス・ペタスの弟子であるコウイチ・ペタスが出場。MARSには定期的に参戦しているペタス、今日は韓国のイ・ゼフンを相手に勝利する事ができるか?


1R、ペタスは右ローキックで確実にダメージを与えるも、イはローに合わせてカウンターのフックを返して牽制。ローキック vs パンチはキックでは「よくある風景」、だがは動きは鈍いが体格に勝るイの打撃を前に、ペタスが手こずる場面が目立っている。



2Rも1Rと同じ展開が続く。やがて両者はお互いの相手の打撃を警戒するようになり、試合は散漫な打ち合いとなる。だが終盤、これまで右ローキックを重ねたペタスが、意識が下に向いたイに右ストレートを叩き込んでダウンを奪う。いよいよ試合は一方的になるか?



だが3R、ペタスは右ローキックやワンツー、左ボディブローでクリーンヒットは出すも、ダメージを負いながらも前に出るイに苦戦、ついに二度目のダウンを奪う事はできなかった。

試合終了、判定の結果3−0でペタスが勝利。




う〜ん、相手は体重の重さ以外には特に大きな武器はなかったように思うから、たとえパワー負けしていたとしてもペタスの「スカッとしたKO劇」が観たかったなぁ。

第四試合(中止) 試合をしてよぉ

総合ルール 70kg契約 5分3R
吉田幸治(フリー)
ハファエル・ディアス(ブラジル/アメリカン・トップチーム)
[試合中止]

この試合はハファエル・ディアスの出国手続きに不備があった為に来日が不可能となり、興行の前日に中止になる事が発表された。MARSではこういう事は気にしてはいけない…のだが、本日の興行では唯一の「未知の強豪」であったディアスの試合が中止になったのは非常に残念だね。

第五試合 全然ダメじゃねぇかよぉ

総合ルール 95kg契約 5分2R
○濱田順平(182cm/94.9kg/CMA誠ジム)
藤井克久(183cm/94.7kg/フリー)
[判定 2−1]

この試合では今年三月に小川直也と袂を分けた藤井克久が久々に総合格闘技の試合に挑む。PRIDEではなくDEEPでもな、PANCRASEでもなく、いきなりMARSというのが今の藤井の立場の苦しさを現しているかもね。




1R、序盤では二度に渡ってタックルを敢行、濱田からテイクダウンを奪う藤井。そこまでは良いのだが…グラウンドで上になっても細かいパンチ以外の攻撃が出てこない。その上、攻めあぐねた挙句に濱田に脱出を許してしまう。何とも煮え切らない展開が続いたが…ラウンド終盤、濱田の右フックをモロに喰らった藤井はフラフラの状態に。う〜ん、厳しいねぇ。



2R、序盤はスタンドでの打撃戦となった。両者のパンチが交差する中、藤井はパンチを喰らって倒れてしまう。濱田は上になってパンチをコツコツと落とす。それでも藤井は、ラウンド中盤からタックルでコツコツと濱田からテイクダウンを奪う。だが藤井は相変わらず、上になっても攻撃が続かない状態。ダメだこりゃ。

試合は判定へともつれ、2−1で濱田が勝利。藤井のテイクダウンを評価した審判がいたようだが、それ以上に濱田の攻撃の姿勢が評価された形だね。




それにしても藤井はこの先、厳しいだろうなぁ。技術的に見ても、すっかり今の総合格闘技界から置いて行かれている感じがしたんだよねぇ。RINGS参戦時代から、あんまり進歩がないというか。

第六試合 体格差が激しすぎるよぉ

総合ルール 73kg契約 5分2R
雷暗暴(165cm/72.3kg/アメリカ/雷道場)
●ヘンリ・カキウチ・ヴォルベリン(172cm/69.9kg/ブラジル/ハードコンバット)
[1R 1分20秒 KO]
※タオル投入

今年に入ってDEEPで二試合をこなした雷暗暴が、今日は何故だかMARSに出場。このところは負け続きの雷暗だが、今日は勝つ事ができるか?




試合では、明らかに下の階級から体重を上げて試合に挑んでいるヘンリを雷暗がパワーで圧倒した。

試合開始してから間もなく、あっさりとテイクダウンを奪った雷暗はあっという間にパスガードを決めてサイドをキープ、ヘンリの顔面にパンチを連打。線の細いヘンリではこの体勢から脱出するのは難しいだろう…と思ったら、セコンドがタオルを投入。いや〜っ、早かったねぇ。




っていうか正直、体格差が違いすぎたなぁ。雷暗には悪いが、この結果も当然というか。

第七試合 なんともグダグダだよぉ

総合ルール 85kg契約 5分2R
山宮恵一郎(177cm/89.6kg/GRABAKA)
△カルロス・トヨタ(183cm/87.7kg/ブラジル/ハードコンバット)
[判定 1−0]

最近は全日本キックでの試合が目立つ山宮恵一郎だが、彼の本業は総合格闘家。今年三月以来となる総合の試合がMARSというのもなんだか悲しい話だなぁ。ところで二人の体重が契約体重を大幅にオーバーしているようだが…MARSではこういう事は気にしてはいけない。




この試合は終始、スタンドでの打撃戦となった。山宮はいつものアウトボクシング、リングを回りながら右ストレートを中心にパンチで牽制。トヨタは追いかけながら伸びる右ストレートを刻む。そして両者の距離が近付けば、山宮がコーナーへ押し込んで首相撲からの膝蹴りをコツコツと入れる…という展開が2Rを通して続いた。しかし、お互いに相手の間合いに踏み込んでパンチを出さないので…正直、観る側には辛い内容だったね。2R、前に出た山宮が右ストレート〜左アッパーをヒットさせたのが唯一の見せ場というのも、どうだろう。



結局、両者共に有効打らしい一発もないまま試合は終了。判定は山宮が審判一人の支持を得るも、残り二人はドローの裁定。まあドローが妥当だね。




山宮はこのところは全日本キックが主戦場なのだから、もっとスカッとした打撃が見たかった。まあ山宮らしい試合と言えば…そこまでなんだけどね。

第八試合 印象に残らないよぉ

MFCチャレンジ ライト級トーナメント 決勝戦 70kg契約 総合ルール 5分2R
○キム・ドヒョン(174cm/69.3kg/韓国/闘神塾コリア)
坪井淳浩(167cm/69.6kg/GSB)
[1R 4分26秒 腕十字固め]

この試合は、僕が観戦していない第一試合と第二試合で行われた「MFCチャレンジ ライト級トーナメント」の決勝戦。優勝した選手にはMARSとは提携関係にあるMFC(アメリカの総合格闘技興行)への挑戦権を得るのだそうな。んで、ここまで勝ち上がったのは韓国のキム・ドヒョンと、元SBスーパーライト級一位の坪井淳浩。おおっ、坪井は懐かしいなぁ。




んで、試合ではキムが坪井を圧倒。

試合開始から間もなく、キムはタックルで坪井からテイクダウンを奪い、立ち技格闘技のSBには存在しないグラウンドで攻め続ける。バックを奪って腕十字を仕掛けるキム、リバースした坪井は上からパンチを落とすも…キムはすかさず足を捕ってヒールホールドを極めようとする。坪井はなんとか脱出したが、もはや実力差は歴然だ。

ラウンド終盤、坪井から再びテイクダウンを奪ったキムはハーフマウントの状態から坪井の腕を掴んでアームロック、そして腕十字がガッチリと極まった。坪井がタップして試合終了、キムがMFCへの挑戦権を獲得した。




う〜ん、ハッキリ言って特に感想らしい感想はないなぁ。

第九試合 もっとスッキリ勝ってよぉ

総合ルール 97kg契約 5分3R
桜木裕司(180cm/92.1kg/日本/掣圏会館)
ファビアーノ・サイクロン(187cm/96.0kg/ブラジル/TARGET)
[2R 1分55秒 ドクターストップ]
ファビアーノが左膝を負傷

この試合は十月に行われた同カードの再戦。前回の試合では試合開始早々、ファビアーノのローキックが桜木の股間にヒット。モロに喰らった桜木は悶絶した挙句に担架で運ばれ、結局は試合は無効となった。今年に入って5戦1勝3敗1無効試合1KOとまったく戦績が奮わない桜木としては、今年最後の試合くらいはスッキリと勝ちたいところ。




だが試合はファビアーノのペースで進んだ。1R、ファビアーノは桜木の様子を伺いつつも、時折ガンガン前に出てワンツーや首相撲からの膝蹴りで桜木を圧倒。中盤にはタックルで桜木からテイクダウンを奪い、アキレス腱固めを極めようとする。対する桜木、打撃を浴び続けたその表情は弱気なものに。桜木には厳しい展開が続いたが、ファビアーノとの距離が開けば左ミドルキックを蹴り、ラウンド終了直前に右ストレートでファビアーノをグラつかせた。おおっと、これは逆転できるか?

と思ったら、2Rもファビアーノのペースで試合は進む。左ストレート、首相撲からの膝蹴りの連打が桜木を襲う中、ファビアーノは右飛び膝蹴りを繰り出す。桜木はどうにかこれをかわし、ファビアーノは転倒。そしてファビアーノが立ち上がる事はなかった。スリップした際に左足を負傷してしまったのだ。やがてドクターが両手を振って試合は終了。う〜ん、桜木はラッキーな形で勝利を拾ったなぁ。

んで、勝った桜木はマイクを持ち、野路との対戦を熱望。う〜ん、こんな勝ち方で言われても説得力がないねぇ。




それにしても桜木はピリッとしなかったなぁ。マイクで何かをアピールするなら、もっとスカッとした勝ち方をしてからにして欲しいね。ま、せめてこの勝ち星で、これまでの敗戦の楔が断ち切れればいいけどね。

第十試合 エースなんだからシッカリと締めてよぉ

総合ルール 無差別級 5分3R
エドモンド・カバウカンチ・ジュニオール(192cm/95.0kg/ブラジル/ハードコンバット)
野地竜太(186cm/107.5kg/TEAM GARO)
[判定 3−0]

本日のメインイベントには、元極真会館野地竜太が登場。前回のMARSの試合では自分より大きいセルゲイ・シュメトフをグラウンドのパンチでKOした野地だが、今回の相手は同じ興行で高森啓吾をグラウンドで圧倒して一本勝ちを修めたエドモンド・カバウカンチ・ジュニオール。恐らく自分より強いであろう事は間違いない相手に、野地は勝利する事ができるか?




と思っていたが、試合ではカバウカンチが野地を圧倒。

1R、カバウカンチは次々にタックルを敢行。野路は1R序盤こそ粘りを見せ、スタンドではローキックを重ねて互角の展開を見せたが…終盤にカバウカンチの豪快な投げを前にテイクダウンを許してしまった。そしてグラウンドはカバウカンチの領域、野地はアッサリとマウントを奪われ、腕十字を仕掛けられる。どうにか逃げた野地はスタンドで膝蹴りを繰り出すも…1Rはここで終了。観客からは「野地、何をやっているんだ!」の声が。う〜ん、色々な意味で厳しいねぇ。

2R、ややスタミナを失った野地に対してカバウカンチはタックルを敢行、テイクダウンを奪っては腕十字やスリーパーを仕掛けていく。野地はピンチの連続、それでもどうにか関節技からは逃れていく。やがてブレイクが掛かる。

ここでカバウカンチの様子が急変。ハイペースで関節技を仕掛け続けた結果、攻め疲れを起こしたのだ。千載一遇のチャンスを得た野地、どうにかスタンドで攻めたいところだったが…結局はカバウカンチのタックルを捌けずに再び倒されてしまった。マウントを奪うカバウカンチ、野地はどうにかリバースして上になるも…有利な体勢を作っても有効な打撃を出す事ができない。野地も疲れているのだ。



3R、カバウカンチはバテバテの状態だったが、それでもタックルを仕掛けて野地を倒すとあっさりとバックマウントを奪い、何度も何度もスリーパーを狙う。約三分間、カバウカンチのグラウンドに捕まった野地だが、どうにかリバースを決めて上になると、立ち上がってカバウカンチに「立て!」と指示。

残り1分、野地にとっては最後のチャンス。それを自覚している野地は大振りなパンチを振り回しながら突進したが、この一撃が当たる事はなかった。対するカバウカンチはタックルを敢行、野地はこれを潰して上からパンチを浴びせるも…、ここで試合は終了。観客からは「野地、ガッカリだよっ!」との声が。確かに。

判定の結果、2−0でカバウカンチが勝利。なんでこの展開でドローと判断した審判がいたのかは各自調査。ちなみにカバウカンチはかなりバテバテの状態で、セコンドに担がれながら退場していた。どっちが勝ったんだかわからんなぁ。




野路にいいところはまったくなかった。やっぱりグラウンドに難があるのは今も変わらないのか。う〜ん、これではこの先の闘いも厳しそうだなぁ…。

雑感

う〜ん、ここ数回のMARSの中ではダントツで内容が凡庸だった、というか。色々な意味で話題を提供してきたMARSだけど、今回の興行は今まで比べれば特筆するような事はないし、試合内容も平凡な試合ばかり。

ズバリ言ってハズレでしたな。


以上、長文失礼。