S-CUP一回戦 第三試合

第三試合 SBの古豪はボクシングを身につけて更に強くなっていた

S-CUP 2006 一回戦 3分3R + 延長3分1R
○ダニエル・ドーソン(176cm/70.0kg/オーストラリア/SBオーストラリア ファイブリングス/PABAスーパーウェルター級 王者)
ヴァージル・カラコダ(176cm/70.0kg/南アフリカ/スティーブズジム/IBF世界ミドル級 王者)
[判定 3−0]

「突然フラリとやって来た」ダニエル・ドーソンのS-CUPまでの道

宍戸大樹や緒形健一がSBでの闘いの中でS-CUPへの道を模索したのに対し、ダニエル・ドーソンは予告もなくフラリS-CUPにやって来た。


現在はボクシングの試合に専念しているが、ドーソンのキックボクサーとしての実力は一級品。かつてラジャダムナンとルンピニー、ムエタイ二大スタジアムに同時ランクインを果たしているドーソン。緒形健一、ジョン・ウェイン・パー小比類巻貴之シェイン・チャップマンを倒した実力は本物だ。

そんなドーソンだが、S-CUPには苦い経験を持つ。四年前のS-CUP 2002、優勝候補の一角と見られていたドーソンは一回戦で後藤龍治に勝利するも、粘る後藤のローキックの連打を喰らい続けて右足の靭帯を負傷。そして準決勝では散打代表のジョン・イーゴと対戦、ジョンが放ったローキックをスネでカットした際に右足の負傷箇所が悪化。膝を抱えて倒れるドーソンを見たセコンドはタオルを投入、無念のTKO負けを喫しているのだ。

だが、ボクシングでは24戦24勝無敗16KOという素晴らしい戦績を持つドーソンにとって、S-CUP 2002での屈辱など「過去の話」のようにも思える。今回のS-CUP参戦も単なる気分転換かもしれないし、ひょっとしたらキック界再進出の試金石かも知れない。その真意がどこにあるかはまるでわからないが、いずれにせよ約二年ぶりにドーソンが帰ってきた。対戦相手はドーソンと同じくボクシングを得意とするヴァージル・カラコダ。同業者が相手だが、ここはS-CUPの舞台。SBルールでは一日の長があるドーソンとしては絶対に負けられない。

試合の内容

1R、早くもドーソンがカラコダを凌駕。様子見の打撃が交差する中、ドーソンは組み付いての投げを放つ。SBの洗礼を受けたカラコダに、ドーソンの回転の早いコンビネーションが襲う。ワンツースリーフォーとテンポよくパンチを放ち、距離が離れればローキック、ミドルキックを繰り出す。さらにはボディブローも駆使するドーソン、カラコダのジャブはスウェーでかわす。ドーソンはボクシングに専念した事で、以前よりも更に強くなっている気がするなぁ。


2R、1Rとは一転してカラコダが前に出るがリードを奪ったのはドーソン。自ら後ろに下がりつつ、カラコダが接近すればフックの連打、ワンツー、ミドルキックを叩き込み、カラコダの反撃はクリンチでやり過ごす。自分の試合ができないカラコダ、ドーソンの打撃の合間にワンツー、ボディブロー、ローキックといった打撃を割り込ませるも有効打はなし。ドーソンは更にワンツーの連打を浴びせ、終盤には得意の二段蹴りを顔面に叩き込む。老獪だなぁ。


3R、パンチを叩き込もうとするカラコダだが、ドーソンはクリンチからの膝蹴りでその目論見をすかし、自らはワンツースリーとパンチを連発、離れればミドルキックを放つ。

と、ここまでまったく良い所がないカラコダだが…終盤、ドーソンは攻め疲れたのか手数が激減。カラコダはここぞとばかりにパンチのラッシュを仕掛けたが、ドーソンはガードを固めてダメージを最小限に食い止める。う〜ん、それにしてもドードンは強いなぁ。


試合終了。判定の結果、3−0でドーソンが準決勝へ進出。

ヴァージル・カラコダの総括

僕は密かに「首相撲がないK-1 MAXでは活躍しているカラコダが、首相撲はおろか投げすら認められているS-CUPのルールでどれだけ活躍できるのか?」というのに注目していたのだが…、今日はドーソンのボクシングテクニックにすべてを封じられてしまった感じ。完敗ですな。

僕としてはSBルールに限らず、K-1 MAXやボクシング以外での立ち技競技でカラコダがどれだけやれるのかは一度は観てみたいんだけどね。