9/30 全日本プロレス 後楽園ホール興行 ちょっと長めの観戦記

Mask_Takakura2006-09-30

どうするどうなる全日本プロレス

本日は後楽園ホール全日本プロレスを観戦。


今回の観戦の動機は非常に単純、前回興業で解散を宣言したRO&Dの「その後」が気になったからだ。全日本の人気を支える重要なファクターだったRO&Dが解散を迎えた今、TAKAみちのくは何処へ向かうのか?その時、太陽ケアは?勢力を拡大したVOODOO-MURDER:Sは何をするのか?そして全日本はどうなるのか?ま、これだけ気になる要素があれば生観戦するのも当然、というかね。


チケットを購入、立見席2500円。安い。パンフレットは前回大会(開幕戦)と同じなので未購入。観客の入りは約九割、満員といって差し支えはないだろう。中二週間の後楽園ホール興行なのにこの客入り、全日本人気も中々のものだな。

RO&Dタイム亡き今、オープニングを飾るのは…。

全日本プロレスのオープニングといえばRO&Dタイム、しかしRO&Dは既に解散。代わりにこの枠を乗っ取ったのは、やっぱりVOODOO-MURDER:S。まずは"brother"YASSHIが「オイ、カス野郎共っ!俺たちが全日本最強軍団、VOODOO-MURDER:Sだカス野郎っ!」と観客に挨拶、早速ブーイングを浴びる。YASSHIは続けて新メンバーのRO'Z、ディーロ・ブラウン、ブキャナンを紹介するが、観客から返ってくるのはブーイングばかり。彼らがRO&Dを裏切ったのは二週間前の話、この反応は当然の話だ。

今度はリーダーのTARUが喋る。鈴木みのるVOODOO-MURDER:Sに勧誘したが断られたらしい。「みのるの奴め、これからゆっくりとコテンパンにしてやるからな」と予告するTARU。こんな調子でVOODOO-MURDER:Sタイムはダラダラ続いた。


いい加減グダグダになってきたところでTAKAみちのくが乱入、観客は「待ってました!」と言わんばかりの大歓声だ。TAKAは「やっぱり、俺が喋らなきゃ何も始まらねーなっ!」の一言で観客のハートをガッチリ掴むも、TARUとYASSHIは「飛んで火に入る夏の虫」とばかりにRO&Dの解散を肴にTAKAを罵倒。これを受けたTAKAは「そりゃあ、RO&Dが解散した時は…落ち込んだし、ヘコんだし、泣いたよ…」と告白するも「だけど、いつまでもそんな事でウジウジしてられねぇんだよっ!」と続ける。

観客の大歓声の中、いよいよTAKAが本題を切り出す。「今日のメインのイリミネーションマッチでは、RO&Dでの三年間の集大成を賭ける。その代わりに俺たちが勝った時は…TARUっ、一つだけ俺の言う『要求』を飲めっ!」。TARUはこれを承諾し、RO&D解散後では初となるVOODOO-MURDER:Sタイムは終了。


TAKAの要求とは何であろうか?新RO&Dの結成か?はたまたVOODOO-MURDER:Sの解散か?まあメインイベントまで待つとしよう。

残念なお知らせ

リング上にブルート一生が登場、欠場の挨拶を行った。前回の後楽園ホール興行で鈴木みのるに右腕を破壊された一生は10月4日に手術をする為、年内の復帰は絶望的である事を発表。


大器を持つ選手なだけに残念。一日も早い復帰を望む。

第一試合 荒谷さんは今日も大活躍

タッグマッチ 20分一本勝負
渕正信(183cm/105kg)
 旭志織(175cm/78kg/KAIENTAI-DOJO)
vs
 荒谷望誉(185cm/120kg)
菊タロー(167cm/96kg/フリー)
[10分57秒 首固め]

全日本の第一試合といえば「菊タロー劇場」なのだが今日は「荒谷さん劇場」も加わり、試合は一層グダグダに。


相変わらずコーナーに立っているだけなのに渕に蹴られる荒谷さん。しかし今日の荒谷さんはロープにしがみついて場外に落ちないように踏ん張っている。観客は「今日の荒谷さんは一味違うぜ!」と彼の挙動に注目したが…。

そんな彼の小さな意地を菊タローが崩していく。菊タローと旭の合体ブレンバスターを喰らってフラフラになる荒谷さん、「菊タローは味方じゃないか!」という話もあるが、ここはそういう話をする場所ではない。他にも要所で菊タローの攻撃を喰らい続けた結果、いつもの荒谷さんが帰ってきた。対角線攻撃の餌食になる荒谷さん。渕に蹴られて場外へと落ちていく荒谷さん。最後はお約束の首固めで渕が菊タローを丸め込み一件落着。


試合終了後、菊タローは荒谷さんの健闘を称える…フリをして股間に一撃。悶絶する荒谷さんを尻目に渕や旭と一緒にガッツポーズを取る菊タロー。一人リングに残された荒谷さん、流れてきたのはいつもの曲。

元祖天才バカボンの春

http://www.youtube.com/watch?v=Pz7J-UTdhEg


ま、第一試合はこんなモンでしょ。

第二試合 予期せぬバチバチファイト

シングルマッチ 30分一本勝負
土方隆司(175cm/95kg)
雷陣明(183cm/105kg)
[6分35秒 片エビ固め]
※サッカーボールーキック

今日の全日本は第二試合〜第四試合までがシングルマッチ。第二試合は土方隆司 vs 雷陣明という、今一つ焦点の定まらないカードだったが、雷陣のお陰でその内容は熱いものとなった。


試合開始と同時に、気合の入った張り手、頭突き、スピアーで土方を追い込む雷陣。思わぬ展開に観客から歓声が沸いたが、これで土方の闘志に火がついた。雷陣の左足をめがけて強烈な右ローキックを連打する土方、「バッシーン!」という音が会場に響く度に観客からは驚きの声が上がる。モロにキックを喰らい続けた雷陣は左足を押さえて悶絶、しかし土方はお構いなしにキックを連打する。鬼だな。

雷陣は張り手やアバランシュ・ホールドで反撃したが、土方は尚も容赦なく右ローキックを連打。左足が言う事が効かない雷陣は立ち上がる事もできずに絶叫、最後は土方のサッカーボールを喰らってダウン。土方が片エビ固めでカウント3を奪った。

観客は目の前で起きた出来事に戸惑い気味だったが、それでも両者が握手した時には暖かい拍手が贈られた。


これがPON君が言うところの「雷陣の『中堅活性化運動』」か。う〜ん、確かに今日は土方の良さが出ていたとは思うが、肝心な雷陣がもっとしっかりしないとね。それにしても、80年代後半の全日本天龍源一郎がやっていた事を若手の雷陣がやるとは関心だ。ガンバレ。

第三試合 熟練 vs 実直

シングルマッチ 30分一本勝負
中嶋勝彦(175cm/82kg/フリー/アジアタッグ 王者(パートナーは佐々木健介))
●MAZADA(172cm/87kg/フリー/みのる軍団(仮))
[13分16秒 片エビ固め]
※R−15

第三試合は、世界を飛び回る百戦錬磨のMAZADAと実力急上昇中の中嶋勝彦が激突。今一つどんな試合になるかが想像できないカードだな。


序盤はレスリング勝負を展開した両者、試合をリードしたのは経験豊富なMAZADAだ。低空ドロップキックで中嶋の左足を蹴ると、ここからネチネチと足攻めを展開。レッグブリーカー、マフラーホールド、噛み付き、膝十字。更には中嶋を挑発してミドルキックを誘発し、蹴り足をキャッチして裏アキレス腱固めを極める。いやらしい攻めだな。

中嶋が反撃を開始。フロントネックチャンスリー、右足によるミドルキック連打、ブレンバスター、ソバット〜ハイキック。MAZADAがトップロープに登れば打点の高いニールキックで迎撃。中嶋は足を攻められながらも得意のキックに活路を見い出したが、息を吹き返したMAZADAのコンプリートショットや正田落としを喰らって大ピンチに。

しかし中嶋はハイキック、R-15と必殺技を連発。モロに喰らって意識を失ったMAZADAを押さえて強引にカウント3を奪取した。


う〜ん、意外に普通の試合だったな。もう少しMAZADAの味が出るかなぁ、と思っていたんだけどね。

第四試合 かったるい

シングルマッチ 30分一本勝負
○バンピーロ(188cm/113kg/カナダ)
平井伸和(185cm/110kg)
[12分25秒 エビ固め]
※ジャンピングボム

この試合に出場するバンピーロは先日、メキシコでRXLLという新団体を立ち上げたばかり。WCWではグレート・ムタとタッグを組む事が多かったバンピーロ、興行の前には全日本プロレスとの業務提携を発表した。というわけで、その試合ぶりに注目したが…。


試合ではバンピーロのルチャ殺法が全開…なんて事はなく、非常にモッサリとしたテンポで進んだ。特に見所のない試合だったので詳細な展開については省略。場外でチョップ合戦をやったり、リング上で首固め合戦をやったりしながら、最後はバンピーロがチョークスラム、回転ミドルキックと繋いで、豪快なジャンピングボムで平井からカウント3を奪った。

勝利を収めたバンピーロだが観客の反応はイマイチ。これがお気に召さなかったのか、バンピーロは観客席に雪崩れ込んで大袈裟に勝利をアピールしていた。


正直、印象の薄い試合だな。この試合の前は休憩時間だったんだけど、休憩時間の直後にトイレタイムを用意してどうする?って感じ。

第五試合 世界一性格の悪いベビーフェイスが誕生!

タッグマッチ 60分一本勝負
 鈴木みのる(178cm/102kg/PANCRASE MISSION/みのる軍団(仮)/三冠ヘビー級 王者)
○NOSAWA論外(180cm/87kg/フリー/みのる軍団(仮))
vs
 近藤修司(173cm/103kg/フリー/VOODOO-MURDER:S/世界ジュニアヘビー級 王者)
●“brother”YASSHI(173cm/80kg/フリー/VOODOO-MURDER:S)
[16分56秒 腕十字固め]

前回の後楽園ホール興行ではブルート一生の右腕を完膚なきまでに破壊した鈴木みのるだが、三冠ベルトを手に姿を現せば観客は歓迎ムードの歓声。観客の「かっ!ぜっ!にっ!なれ〜っ!」の大合唱と共にリングインするみのる、パートナーのNOSAWA論外人気と相まってベビーフェイス扱いされているなぁ。

続いてVOODOO-MURDER:Sの名タッグ「コンブラ」が入場。前回の後楽園ホール興行での小島聡との死闘も記憶に新しい近藤修司が姿を現すとこちらも大歓声が。ふ〜む、こちらもベビーフェイス扱いか。ま、どうせ"brother"YASSHIが煽るからすぐにヒールになると思うけど。


試合開始。先発は…なんとみのると近藤、三冠王者 vs 世界ジュニア王者だ。観客の歓声の中、両者はレスリングで勝負。まずはみのるの脇固めを腕力だけで返す近藤に歓声が集まったが、先に主導権を握ったのはみのる。腕固め、マウントからボディへのパンチ、腕十字、アームロックと腕殺しで攻めるみのるを前に、近藤は劣勢を強いられる。しかし下からの三角絞めを腕力で強引に持ち上げれば観客からは歓声が沸く。近藤からタッチを受けたYASSHIはいきなりみのるを罵倒、直後に怒ったみのるの張り手一発でダウンする。これぞYASSHI仕事の真骨頂。

今度はYASSHIが捕まった。みのるには髪の毛を掴んでのフライングメイヤーで投げ飛ばされ、NOSAWAの腕十字を極められ、みのるのアキレス腱固めがこれに加わる。更にみのるは逆エビ固めで攻めるが…。

ここで突如、試合とは関係のないVOODOO-MURDER:SのRO'Zが乱入、みのるを場外へ連れ出して猛然と襲い掛かる。予想外の襲撃でみのるは防戦一方。RO'Zはみのるをボコボコにして悠然とバックステージへと戻ったが、「ここまでされて、黙っていられるか!」とばかりにみのるは血相を変えてこれを追いかける。試合中にも関わらず、だ。


という事で、必然的にローンバトルを強いられる事になったNOSAWAは「コンブラ」の合体攻撃で青息吐息に。ビッグボーイ(YASSHIの前方回転ネックブリーカー + 近藤のパワーボム)、バビロン(YASSHIが近藤の上に乗ってのファンタスティックフリップ)、近藤のキングコングラリアットまで喰らってしまった。大の字になるNOSAWA、もはや「コンブラ」の勝利は動かない、と思われた。

だがNOSAWAはYASSHIにファルコンアローを決めて形成逆転、「コンブラ」の龍原砲(サンドイッチ・ラリアット)の同士打ちを誘い、悶絶するYASSHIを捕まえてラ・マヒストラル〜腕十字という連携を決めた。大逆転劇に観客が絶叫する中、腕十字がガッチリ極まってYASSHIがタップ、観客の歓声は最高潮に達した。戻ってきたみのるも「やるじゃねぇか!」とばかりにビンタと抱擁で勝利を祝福。


マイクを持ったNOSAWAは「近藤っ!次のジュニア王座の挑戦者は俺だっ!弱い俺から逃げるなよっ!」とアピール、観客の歓声を浴びる。

次にみのるがマイクを握り「オイ、VOODOO-MURDER:S!俺はオメーらみたいに、強い奴には多勢に無勢で来る奴、弱い女子供は一人で追いかける奴は大嫌いなんだよっ!」と絶叫。思わぬみのるの大ベビーフェイス発言に観客は大歓声。「オイお前ら喜べ、次の三冠王座の防衛戦が決まったぞっ!防衛の相手はあのデブだっ!全日本関係者は日取り決めとけっ!」というみのるの発言に観客は狂喜乱舞。最後はNOSAWAが「やるぞーーーっ!」と叫び、大歓声の中でみのる軍団(仮)劇場は幕となった。


凄いなぁ、全日本。あの「世界一性格の悪い男」が、「パッケージプロレス」にかかれば大ベビーフェイスに変身してしまうのだから凄い、本当に凄い。主力選手の離脱が相次いだ全日本だが、それでも安定した人気をキープしているのは、こういった選手の使い方の妙にあると思うねぇ。NOSAWAにしても昨年までのお笑いキャラがウソのような大活躍ぶり。みのるとくっつけた采配がいい方向に転がっている、という…。

イヤイヤ、恐れ入りました。

第六試合 ゼンッ!ニッ!ポンッ!マザーッ

五対五 「オーバー・ザ・トップロープ」ルール採用 60分イリミネーションマッチ
武藤敬司(188cm/110kg)
小島聡(183cm/112kg)
太陽ケア(185cm/106kg/アメリ世界タッグ 王者(パートナーはジャマール))
カズ・ハヤシ(173cm/83kg)
TAKAみちのく(175cm/90kg/KAIENTAI-DOJO)
vs
TARU(185cm/100kg/フリー/VOODOO-MURDER:S)
諏訪魔(188cm/120kg/VOODOO-MURDER:S)
RO’Z(196cm/163kg/アメリカ/VOODOO-MURDER:S)
ディーロ・ブラウン(185cm/138kg/アメリカ/VOODOO-MURDER:S)
ブキャナン(197cm/140kg/カナダ/VOODOO-MURDER:S)

今日のメインイベントは、前回の後楽園ホールでのRO&Dの解散劇を受けての編成となった。この試合で元RO&DTAKAみちのく太陽ケア全日本SUPER STARSと結託、RO&Dを裏切った外国人を招き入れて戦力を増強したVOODOO-MURDER:Sと正面から激突する。


試合方式は十人タッグによるイリミネーションマッチ。この形式では通常の一本勝負とは違って、試合に負けた選手が順々に退場していき、最終的に選手が残った方が勝利チームとなる。つまりお互いのチームの総合力が具体的な数字になって出るルールというワケだ。しかし「オーバー・ザ・トップロープ」ルールを採用しているのは気になるところ。トップロープを越えて場外に落ちた選手は失格、というゲーム性の高いルール、真っ向勝負に水を差さなければ良いのだが。


全日本SUPER STARSという力強いパートナーを得たTAKA&ケアは仇を討てるのか!? そしてTAKAがTARUに突き付ける「要求」とは!? 試合の行方に注目しよう。

一本目 早くも社長が消えた

武藤敬司(188cm/110kg)
諏訪魔(188cm/120kg/VOODOO-MURDER:S)
[8分36秒 両者オーバー・ザ・トップロープ]
諏訪魔ラストライドを、武藤がフランケンシュタイナーで切り返して

試合はお約束の乱闘劇からスタート。選手が場外で大暴れする中、リング上ではTAKAがVOODOO-MURDER:Sに捕まった。ディーロのスイング式スクラップバスター、ブキャナンのビッグブーツ、RO'Zのギロチンドロップ、TARUの紐を使っての首絞め、諏訪魔のパワースラム。自分より大きな選手の波状攻撃でボロボロのTAKA、それでもなんとか反撃し武藤にタッチ。


武藤は諏訪魔と真っ向から勝負。武藤は低空ドロップキック〜シャイニングウィザード〜4の字固めの「定番ムーブ」で観客を沸かせるが、諏訪魔ラリアット、アンクルホールド、ジャーマンスープレックスで武藤の動きを止める。グッタリする武藤、諏訪魔はトドメとばかりにラストライドを仕掛ける。これを武藤がフランケンシュタイナーで切り返すと、二人の体は揃ってトップロープを越えて場外へ。全日本SUPER STARS + 元RO&Dは開始10分を待たずにリーダーを失う事に。


う〜ん、「パッケージプロレス」の前には社長ですら脇役に徹するのね。今の全日本はこの辺の線の引き方が徹底しているんだよなぁ。

生き残り

全日本SUPER STARS + 元RO&D
小島聡太陽ケアカズ・ハヤシTAKAみちのく

VOODOO-MURDER:S
TARU、RO'Z、ディーロ・ブラウン、ブキャナン

二本目 元四冠王者も消えた

○RO’Z(196cm/163kg/アメリカ/VOODOO-MURDER:S)
小島聡(183cm/112kg)
[15分58秒 体固め]
※ライオンサルト(セカンドロープからのムーンサルトプレス)

武藤に続いて登場したのはハヤシ。得意のトルネードキックで会場を沸かせたが、体の小さいハヤシは巨漢揃いのVOODOO-MURDER:Sに大苦戦。ブキャナンのアイアンクローに引っ張り回され、ボディプレスに潰される。RO'Zのスティンクフェイスも喰らってグッタリするハヤシだが、何とか反撃して小島とタッチ。


小島の猛反撃が始まった。巨漢のRO'Zを相手にコーナー際でエルボーとチョップを猛連打、久々の「いっちゃうぞバカヤロー!」からのフライング・エルボードロップ。乱入してきた面々にはコジコジカッターを決めまくったが…。

待っていたのはVOODOO-MURDER:Sの必殺技フルコース。試合の権利がない諏訪魔ハーフネルソンスープレックスを皮切りに、ブキャナンのアンアンボム、ディーロのローダウンと続き、最後はRO'Zのライオンサルト。美しく宙を舞う巨漢に観客が驚く中、小島は3カウントを聞いてしまった。


イヤイヤ、「パッケージプロレス」の前には元四冠王者ですら脇役に徹するのね。っていうか小島はちょっと脇役に徹しすぎている気がするなぁ。もう少し活躍させてあげてもいいと思うんだけどねぇ。

生き残り

全日本SUPER STARS + 元RO&D
太陽ケアカズ・ハヤシTAKAみちのく

VOODOO-MURDER:S
TARU、RO'Z、ディーロ・ブラウン、ブキャナン

三本目 VOODOO-MURDER:Sもボスを失った

カズ・ハヤシ(173cm/83kg)
●TARU(185cm/100kg/フリー/VOODOO-MURDER:S)
[19分45秒 メキシカンクラッチ]

武藤&小島という大駒二人を失い、俄然不利な全日本SUPER STARS + 元RO&Dからはハヤシが出陣。対するVOODOO-MURDER:Sからは大将のTARUが登場、小さいハヤシにローキックやミドルキックを打ち込む。しかしハヤシはクロスフェース、ムーンサルトプレスTARUを痛めつけると、一瞬のメキシカンクラッチTARUから3カウントを奪った。呆然とするTARUを尻目にハヤシがガッツポーズ、観客が歓声でこれを歓迎する。


この流れであれば、TARUは「消えるべくして消えた」って感じだな。

生き残り

全日本SUPER STARS + 元RO&D
太陽ケアカズ・ハヤシTAKAみちのく

VOODOO-MURDER:S
RO'Z、ディーロ・ブラウン、ブキャナン

四本目 さすがに体が違いすぎた

○RO’Z(196cm/163kg/アメリカ/VOODOO-MURDER:S)
カズ・ハヤシ(173cm/83kg)
[20分39秒 体固め]
サモアンドライバー

VOODOO-MURDER:SからはRO'Zが登場。ハヤシとは身長差23cm、体重差2倍。ハヤシは体格差を埋めるべく、スクールボーイや回転エビ固めでフォールを狙うが、RO'Zはちょこまかとうるさいハヤシを捕まえてサモアンドライバー一閃。脳天をマットに突き刺されたハヤシは一発で昇天、あっさりと3カウントを奪われた。


この時点で残っているのは全員が元RO&Dメンバー。成程、今日はそういうストーリーラインなのね。

生き残り

全日本SUPER STARS + 元RO&D
太陽ケアTAKAみちのく

VOODOO-MURDER:S
RO'Z、ディーロ・ブラウン、ブキャナン

五本目 世界一性格の悪い正義の味方が参上!

TAKAみちのく(175cm/90kg/KAIENTAI-DOJO)
●RO’Z(196cm/163kg/アメリカ/VOODOO-MURDER:S)
[21分13秒 オーバー・ザ・トップロープ]
※TAKA&ケアの合体スーパーキック

いよいよ試合は「元RO&Dメンバー同士による決戦」となったが、ここでケアとTAKAに予期せぬ「味方」が現われた。突如、セミファイナルでVOODOO-MURDER:Sに不快感を表したみのるが姿を現したのだ。観客は大歓声でこれを歓迎。


これを見たRO'Zは激高、リング上からみのるに向かって悪態をついたが…。その隙にTAKAとケアはRO'Zの背後にまわりスーパーキック一閃。哀れRO'Zはトップロープを越えて場外へ。観客の大歓声の中、指を差してゲラゲラ笑うみのる。激怒したRO'Zは、アカンベーしながら逃げるみのるを追ってバックステージへと消えていった。


成程ね、セミファイナルの乱闘劇はこの試合の伏線になっていたのか。よく出来てるねぇ。それにしてもみのるは、今日一日だけでベビーフェイスとしての地位を不動のものにしたな。裏を返せば、それだけVOODOO-MURDER:Sのヒールっぷりが徹底してるって事だね。

生き残り

全日本SUPER STARS + 元RO&D
太陽ケアTAKAみちのく

VOODOO-MURDER:S
ディーロ・ブラウン、ブキャナン

六本目 ここで元RO&Dリーダーが力尽きた

○ブキャナン(197cm/140kg/カナダ/VOODOO-MURDER:S)
TAKAみちのく(175cm/90kg/KAIENTAI-DOJO)
[23分3秒 体固め]
※アイアンボム

ディーロ&ブキャナン vs ケア&TAKA。この四人は前回の後楽園ホールで「裏切った二人」と「裏切られた二人」という関係にある。RO&Dという名の因縁に決着はつくのか?


TAKAは裏切り者に制裁を加えるべくディーロにスーパーキックを三連発で決める。しかし残りメンバーではTAKAはダントツの最小兵、すぐに裏切り者コンビに捕まった。ディーロのパワーボムを喰らってグッタリするTAKA、最後はブキャナンのアイアンボムの前に力尽きた。


う〜ん、意外にTAKAに粘りがなかったなぁ。もっと長く裏切り者コンビを攻め込むと思っていたのに。

生き残り

全日本SUPER STARS + 元RO&D
太陽ケア

VOODOO-MURDER:S
ディーロ・ブラウン、ブキャナン

七本目 いよいよ物語は佳境へ突入

太陽ケア(185cm/106kg/アメリカ/世界タッグ 王者(パートナーはジャマール))
●ブキャナン(197cm/140kg/カナダ/VOODOO-MURDER:S)
[27分44秒 片エビ固め]
※バックドロップをボディプレスで切り返して

いよいよ全日本SUPER STARS + 元RO&Dは残り一人。孤立無援のケアだがケアラッシュを決めて奮戦。

しかし二対一は圧倒的に不利、場外に落とされたケアはTARUの鉄パイプ攻撃で流血。観客から悲鳴が上がる中、リングに戻ればブキャナンのカカト落とし、ディーロの顔面へのフィストドロップやラリアットを喰らって大ピンチ。顔を真っ赤に染めて天を仰ぐケア、もはやここまでか?


しかし、さすがにケアは前三冠王者。トドメを刺すべくバックドロップで持ち上げたブキャナンに、そのまま体を入れ替えてボディプレスを決めて強引に3カウントを奪った。意地を見せるケア、思わぬ出来事にレフリーに詰め寄るブキャナンだが判定が覆る事はない。観客が逆転劇に歓声を贈る。


いよいよ一対一。長い物語の結末がどうなるのか注目しよう。

生き残り

全日本SUPER STARS + 元RO&D
太陽ケア

VOODOO-MURDER:S
ディーロ・ブラウン

八本目 勝利に導いたもの、それは「信頼」

太陽ケア(185cm/106kg/アメリカ/世界タッグ 王者(パートナーはジャマール))
ディーロ・ブラウン(185cm/138kg/アメリカ/VOODOO-MURDER:S)
[31分53秒 片エビ固め]
※TKO 34th

ついに試合は最終局面を迎えた。ブキャナンを退けて勢いに乗るケアは気合一発チョップの連打でディーロを攻め込む。しかしディーロはパワーボムで投げ捨てると、STFでギブアップを狙う。顔を絞めるだけでなく顔面の傷口も攻撃するディーロ、ケアの顔面はどんどん赤くなる。会場に大ケアコールが響き渡る中、ケアがなんとかロープを掴んだ。

ケアが反撃開始。まずはケアラッシュでディーロを蹴り、ここ一番でしか見せないランニング・ネックブリーカードロップを決める。そして必殺TKO(ブロックバスターの体勢から決めるエメラルドフロージョン)が炸裂、観客の誰もがケアの勝利を確信したが…、カウントを入れようとしたレフリーの足をブキャナンが引っ張る。


観客の大ブーイングの中、ついに全日本SUPER STARS + 元RO&Dが怒った。まずはTAKAとハヤシがプランチャの編隊飛行で場外にいるVOODOO-MURDER:Sを蹴散らすと、小島と武藤がリングイン。小島はディーロにラリアットを決め、武藤がシャイニングウィザードで続いた。観客のブーイングが大歓声へと変わる中、グロッキー状態のディーロにケアは二発目のTKOを決めた。武藤はプロレスLOVEポーズを決めて勝利を確信、そしてケアはディーロから3カウントを奪取。この瞬間、ケアの一人勝ち残りで全日本SUPER STARS + 元RO&Dの勝利が決定した。


観客がケアコールで勝利を祝福する中、マイクを握ったTAKAはTARUに向かって「1つだけ、俺の『要求』を聞くって言ったよなっ?」とVOODOO-MURDER:Sタイムでの約束事を確認、「俺の『要求』はただ一つ!次は俺とお前、サシで勝負だっ!」と絶叫、観客の歓声を浴びる。これにTARUが「そんなに早よう死にたいのか?やってやるよっ!」と応えた為、次回後楽園ホール興行での両者のシングル戦が決定した。

続いてTAKAは「RO'Z、ディーロ、ブキャナン。お前らにこの言葉を贈るぜ。『SA・YO・NA・RA, Mother F●cker!!』」と絶叫。裏切り者三人は激怒するも退場、観客の大歓声は鳴り止まない状態だ。

最後にTAKAは「オイ!武藤…さん、小島…さん、カズ…お前は呼び捨てでいいや(観客笑)」と三人の名前を呼び感謝の意を表すと、この試合を最後に全日本を去るつもりだった事、この試合を経験してもう少しだけ全日本で暴れる事を表明。最後は「ウィアーーーッ!ゼンッ・ニッ・ポンッ、マァザァーーー!」と絶叫し、興業を締めた。


いや〜、本当に凄い五対五マッチだった。まさか武藤全日本が標榜する「パッケージプロレス」の完成形を、曙やジャマールの存在しない全日本のリングで観る事になるとは思わなかったな。過去の話と未来の話がガッチリと噛み合って今を紡いでいく…っていうかね。よく出来てるよ、ホント。

正直、今の全日本のやり方について、僕は心のどこかで「DRAGON GATEの模倣」だと思っていたけど、今日のセミとメインに関しては完全にDRAGON GATEを越えたな。本当に無駄がないっつーかねぇ。凄いよ。


全日本後楽園ホール興行は今、自信を持って他人に薦められるコンテンツです。オススメです。

生き残り

全日本SUPER STARS + 元RO&D
太陽ケア

VOODOO-MURDER:S
なし


※5−4で全日本SUPER STARS + 元RO&Dが勝利

雑感

今日はもうセミとメインに尽きるなぁ。凄すぎッス。


それにしても「パッケージプロレス」かぁ。誰が考えた言葉かわからないけど、この言葉の前には社長や元四冠王者ですら脇役に徹し、あのみのるですら大ベビーフェイスに変身させてしまうのだから凄い。「多勢に無勢で来る奴、弱い女子供は一人で追いかける奴は大嫌いなんだよ!」なんて台詞、みのるのどの口で言ったんだかねぇ(笑)。


こうなると、悔やまれるのは「生え抜きの選手がなかなか育たない事」だな。今はフリーランスに支えられている全日本だけど…彼らが去る日もやがては来るのだから、もう少し自分の団体内に選手を抱えたいところ。その点を考えたならRXLLとの提携はプラスの材料だね。小さい選手はドンドン送り込んで欲しい。


以上、長文失礼。