9/30 K-1 大阪城ホール興行(地上波) 簡易観戦記

今年もこの季節がやってきた


藤原紀香
さあ、年に一度の大一番が始まりました!立ち技世界最強王座決定戦 K-1 WORLD GP 2006 が始まりましたね!

なんで今更、K-1 WORLD GPの観戦記をUPしているのかというと、一度録画した後でまったく見る気が起きなかった為だ。大体、最近の K-1 は、OA中にテレビで見ると観戦中に寝てしまうし、録画してもロクに再生しない事が多い。本当に今の K-1 は求心力が皆無だからなぁ…。

ましてや、今年は本当に話題性に乏しい大会になってしまった。メンバーは例年と同じ常連さんが多くを占め、ボブ・サップのような対視聴率用の飛び道具もない。推薦選手でバダ・ハリを出すくらいならピーター・グラハムを出してくれよ。ボカァ好きなんだよ「爆裂カラテ野郎」がさぁ。

第一試合 不透明決着

2006 K-1 WORLD GP 一回戦 3分3R + 延長3分1R
ルスラン・カラエフ(188cm/95.0kg/ロシア/マルプロジム/2005 K-1 WORLD GP BEST8)
バダ・ハリ(197cm/94.0kg/オランダ/ショータイム/推薦選手)
[1R 52秒 KO]

試合の感想
実際のフィニッシュが何だったのかがサッパリ分からないけど…ひょっとして、フィニッシュのラッシュ前にヒットした左ストレートが効いていたのかな?まあフィニッシュムーブの最中にヒジがヒットしたり、ダウンの後でローキックがヒットしたりでメチャメチャ怒ってらっしゃるハリさんですが、怒る前に避ける技術を磨けよ!って事で、ね。

若くて強いカラエフには期待しておりますです、ハイ。


藤原紀香
うそっ!?
まったく立てないハリさんの様子を見た紀香姉さん、意外な結末を前に声にも張りが出る。情熱の陽炎は、年輪を重ねて激しく燃える

第二試合 技術差歴然

2006 K-1 WORLD GP 一回戦 3分3R + 延長3分1R
レミー・ボンヤスキー(192cm/103.2kg/オランダ/チーム ボンヤスキー/2005 K-1 WORLD GP BEST8)
ゲーリー・グッドリッジ(191cm/108.9kg/トリニダード トバゴ/フリー/推薦選手)
[3R 52秒 KO]
※左ハイキック/グッドリッジは1Rにダウン1

試合の感想
キックボクシングができるボンヤスキー vs キックボクシングができないグッドリッジ。

今回のボンヤスキーのコンディションはバッチリ。ワンツー〜ローキックを基本とし、グッドリッジが足のダメージを気にして構えをスイッチしても、気にせずに自分も構えをスイッチ、もう一方の足を蹴り続けていた。1Rにダウンを奪った飛びヒザ蹴りが注目されているが、僕としては2R後半の左右の蹴りを駆使すボンヤスキーが良かったし、最後の飛びヒザ蹴り〜ワンツー〜左ハイキックのコンビネーションも素晴らしかった。


藤原紀香
メンタル的に昔の、あの、ホントに強いレミー選手を取り戻していると思いますし。繋がってきますね、次の試合にね。
快勝したボンヤスキーを冷静に評価する紀香姉さん。声に張りがなかったところを聞くにつれ、あまりこの試合を楽しんではいなかったようだ。「もっと私を狂わせるような試合をしてっ!」、情熱の陽炎は、年輪を重ねて激しく燃える

第三試合 大器晩成也

2006 K-1 WORLD GP 一回戦 3分3R + 延長3分1R
グラウベ・フェイトーザ(193cm/100.0kg/ブラジル/極真会館/2005 K-1 WORLD GP 準優勝)
ポール・スロウィンスキー(190cm/105.0kg/オーストラリア/ファインダーズ ユニ ムエタイジム/2005 K-1 OCEANIA GP 王者)
[判定 3−0]

試合の感想
強くなったねぇグラウベは。蹴り足の美しさは言わずもがな、何より昔のグラウベにはなかった突きの力強さに魅力を感じた。試合運びも慣れた感じだったし、コンビネーションも綺麗だったし、本当にいい選手になったと思う。惜しむらくは、ここに至るまでに頭がすっかり禿げ上がる程の年月を費やしてしまった事かな。もっと早くこの強さを手にしていれば…と思うと残念でならない。とは言え、今年観た中では一番「何か」を期待できる選手である事だけは確かかな。決勝トーナメントでの番狂わせに期待。

対するスロウィンスキーも、太い二の腕から繰り出されるパンチはなかなかに力強かった。ここで消えてしまうのはもったいないかもね。


藤原紀香
ホントに昔に比べてね、自信と安定っていうのがついてきて、存在自体も大きくなってきていますよね。
グラウベの成長ぶりを貫禄たっぷりにコメントする紀香姉さん。十年を超えるキャリア、K-1の解説陣における姉さんの存在自体だってかなり大きい。情熱の陽炎は、年輪を重ねて激しく燃える

第四試合 体格差歴然

2006 K-1 WORLD GP 一回戦 3分3R + 延長3分1R
セーム・シュルト(212cm/130.4kg/オランダ/正道会館/2005 K-1 WORLD GP 優勝)
ビヨン・ブレギー(202cm/114.3kg/スイス/マイクスジム/2006 K-1 EUROPE GP王者)
[1R 2分21秒 KO]
※3ダウン

試合の感想
予想以上の体格差に心底驚いた。10cmの身長差よりも、15kg以上も離れた体重差の方が顕著だったような気がするねぇ。試合については…、積極的に攻めるブレギーを見て「やはり技術はシュルトより上だったか」なんて考えてた時に入った、突然のカウンターの左ストレート。ブレギーは一発でダウンし、立ち上がっても足元がふら付いて、あとは野となれ山となれ。う〜ん、ブレギーには密かに番狂わせを期待していたんだがなぁ…残念だ。

対するシュルト、今日は一発の強さの両方を顕示。トーナメント最巨漢のチェが一回戦で姿を消した今、残りの面子を見るにつけ「向かうところ敵なし」かもしれないな。それにしても、それほどのテクニックを持っていないシュルトが勝ち上がる事も「K-1モンスター路線」の延長線って感じ。昔は彼を「もっと技術のある選手」だと思っていたんだけどねぇ…。


藤原紀香
強い!(苦笑)
シュルトの強さを目の当たりにして、思わず苦笑する紀香姉さん。シュルトは長い間、K-1を見ている姉さんが苦笑してしまう程の強さの持ち主…という事か。「強い男だけが好きっ!」、情熱の陽炎は、年輪を重ねて激しく燃える

第五試合(未放送) 消極的展開

2006 K-1 WORLD GP 一回戦 3分3R + 延長3分1R
○ステファン・“ブリッツ”・レコ(187cm/98.0kg/ドイツ/ゴールデン グローリー/2006 K-1 世界最終予選 優勝)
レイ・セフォー(180cm/103.1kg/ニュージーランド/レイ セフォー ファイトアカデミー/2005 K-1 WORLD GP BEST8)
[延長判定 3−0]
※本戦判定 0−0

試合の感想
スポナビの記事を読むにつけ、未放映も納得の消極的な試合だったようだ。限界説が囁かれているセフォーは兎も角、比較的好調をキープしているレコが何故?とも思ったが、記事を読み進めて納得。この二人、友達同士なのね。まあ、そういう事情があるなら、なかなか闘いにくいだろうね…っていうか、マッチメイクで回避できなかったのかねぇ?

第六試合 王者絶不調

2006 K-1 WORLD GP 一回戦 3分3R + 延長3分1R
アーネスト・ホースト(189cm/107.9kg/オランダ/ボスジム/推薦選手)
藤本祐介(178cm/97.8kg/日本/MONSTER FACTORY/2006 K-1 ASIA GP 王者)
[3R 2分9秒 KO]
※右ローキック

試合の感想
う〜ん…敗れはしたが、藤本の活躍は隠れファンとしては嬉しい限り。「日本人が外国人に勝つには、まずパワーだ!」とひたすら筋肉を増強した結果、ルール改正の追い風も吹いて、レベルこそ低かったがついに日本人初地区予選優勝。そして今日はホースト相手に大健闘、10年近く試合してるのにローキックをまったく捌けないのも「どうか?」とは思うが、大振りながらもパワー溢れる打撃のコンビネーションは存在感をアピールするには充分だったのではないだろうか?ズブの素人だった彼がここまでやれたのは、隠れファンとしては嬉しい限りだ。

しかし、あえて言う。ホーストは、あんな素人の打撃に苦戦するような選手だっただろうか?谷川氏は「ホーストは攻めが直線的で圧力を掛けてくる選手に弱い」と言っていたが、それはウソ。まだ体重がK-2だった頃、自分よりも何十kgも重いフーベルト・ヌムリッヒを芸術的なカウンターのストレート一発でKOしていたのを僕は忘れていない。今、怪物化したホーストに同じものを求めるのは酷な話かもしれないが、せめて決勝までには体調をしっかり整えて欲しいところだね。


藤原紀香
これがあの、ホーストの攻め方というか。着実に的確にローを狙っていって、仕留めたというか。本当にビックリしましたけど…、繋ぎましたね、次へ!
ホーストの勝利を分析する紀香姉さん。そこまでローを慎重に狙っていた印象はないが、情熱の陽炎は、年輪を重ねて激しく燃える

第七試合 武蔵流崩壊

2006 K-1 WORLD GP 一回戦 3分3R + 延長3分1R
○ハリッド・“ディ・ファウスト”(179cm/93.3kg/ドイツ/ゴールデン グローリー/2006 K-1 USA GP 王者)
●武蔵(185cm/102.2kg/日本/正道会館/2005 K-1 WORLD GP BEST8)
[判定2−1]

試合の感想
判定がどうのこうのという前に、まずは休まずにパンチで攻め続けたハリッドの姿勢に賞賛を贈りたい。近年は勝つにせよ負けるにせよ「武蔵流」と呼ばれる闘い方を貫き通した武蔵を相手に、まったくそれをさせなかったところが素晴らしい。そして、パンチとローキックで前に出続けているにも関わらず、トンコツドロドロファイトにならなかった事も素晴らしい。体格の小ささから、決勝トーナメントを勝ち上がるのは至難の業だと思われるけど、非常に注目したい選手だ。決勝での活躍に期待しよう。

対する武蔵だが、暫くこういうタイプと試合をしていなかった事で自分のペースを作れなかったのは痛い。3Rに出ていたミドルキックがもっと序盤から出ていれば、試合はまた違った展開を見せていただろうに。いずれにせよ、誰を相手にしても自分流を貫いていた武蔵が相手のペースに巻き込まれたのは、武蔵的には厳しいのではないだろうか?僕は一から出直すくらいの気持ちで「武蔵流」を見直して欲しいところだが…、年齢も年齢だし、彼に多くを期待するのは厳しいかな?


藤原紀香
頑張ってっ!10秒、10秒っ!
試合時間も残り10秒、判定による敗北を確信しながらも、最後の最後まで健気に武蔵を応援する紀香姉さん。そんな姉さんも、試合終了後に高々と腕を上げた武蔵には呆れていたに違いない。情熱の陽炎は、年輪を重ねて激しく燃えるのに、艶のある姉さんの声に応えないファイトを披露する武蔵。これぞ武蔵流。

第八試合 巨漢泥試合

2006 K-1 WORLD GP 一回戦 3分3R + 延長3分1R
ジェロム・レ・バンナ(190cm/119.5kg/フランス/レ バンナ Xトリーム チーム/2005 K-1 WORLD GP BEST8)
チェ・ホンマン(218cm/160kg/韓国/フリー/2005 K-1 WORLD GP BEST8)
[延長判定 3−0]
※本戦判定 1−0

試合の感想
ライバルのマイク・ベルナルドが引退するくらいにK-1は月日を重ねているワケで…やっぱり、今のバンナに昔の面影を求めるのは「酷な話」なのかねぇ。確かに左腕にプレートが入っている今のバンナに往年の突進力を求めるのは難しい話だとは思うけどね。とはいえ、月日を重ねてフジの煽りの映像はどんどん洗練されていく一方だから始末が悪い、というかねぇ。

それにしてもグダグダな試合だった。経験不足で動きがスローモーなチェ、巨漢と当たった事がない故に大苦戦するバンナ。そういえばバンナは、トーナメント抽選会でサップを避けた過去があったっけ。元々巨体を活かしてガンガンプレッシャーを掛けていくタイプの選手なだけに、逆にプレッシャーを掛けられるのは苦手なのかもなぁ。


藤原紀香
いこう、いこう!
延長R、攻めあぐねたバンナを見た紀香姉さんが思わず漏らした一言。思えば、アグレッシブなラッシュを得意とするベルナルドが大のお気に入りだった姉さん、今日のバンナでは物足りないらしい。情熱の陽炎は、年輪を重ねて激しく燃える

雑感

全体的に印象が薄いなぁ、というのが正直な感想。谷川P得意の「対視聴率用の飛び道具」となるハズだったバンナ vs チェが不発だったのも大きいが、メンバーのマンネリ化という慢性的な問題も顕著だったし、紀香姉さんが期待するような鮮やかなKO劇が皆無だったのも痛い。このままでは、決勝の視聴率はかなり苦戦するんじゃないかなぁ?


決勝では、カラエフやハリッドといった新勢力の台頭に期待したい。


以上、長文失礼。