8/27 PANCRASE 横浜文化体育館興行 観戦記

Mask_Takakura2006-08-27

選択肢はこれだけあった

2006年8月26日。僕は気になる興行が四つあった。


後楽園ホールは昼夜で興行を開催。昼はDDT、夜は全日本キックである。両国国技館では全日本プロレスがビッグマッチを行い、そして横浜文化体育館体ではPANCRASEが四大タイトルマッチを開催。

他のはこんなに面白そうなのに

この日の興行を振り返る。

両国の全日本プロレス。今回は近藤修司 vs カズ・ハヤシJr.ヘビー級選手権、太陽ケア vs 川田利明三冠王座のタイトルマッチに加え、グレート・ムタ vs TAJIRIのドリームマッチ、そして馳浩引退試合…と、話題をギッシリ詰め込んだ勝負興行だ。

結果は大盛況、特に馳の試合は大いに盛り上がった。サプライズとしては、YASSHIに「悪そうな顔しとるな!」と挑発された森喜朗前首相が場外乱闘時に椅子を持ち出したそうだ。なんだかわからんがすげえ。


PON君による、8/27 全日本プロレス観戦記
http://d.hatena.ne.jp/pon-taro/20060901

昼の後楽園はDDT後藤達俊が蛇界入り、ゲイ・ボーイズ vs ゲイシャ・ボーイズではゲイになった鈴木健想に浩子夫人がキスをして真人間に戻し、メインイベントの大鷲透 vs KUDOは試合に観客(?)が乱入する大騒ぎ。

字面だけ見るとなんだかサッパリわからんが、相変わらずDDT「あの手この手」でコアなファンを転がしているねぇ。そのうち、生で観ないとなぁ。


PON君による、8/27 DDT観戦記
http://d.hatena.ne.jp/pon-taro/20060827

夜の後楽園は全日本キック。メインイベントの金沢久幸 vs 石黒竜也におけるガチンコ大乱闘騒動は既に多くの格闘技ファンの知るところだろう。レフリーから提示されたレッドカードは金沢が一枚、石黒が三枚。こりゃ、悪い意味で全日本キック史上に残るなぁ。こんなグチャグチャな展開、今時の格闘技ファンの琴線には触れるのかねぇ?僕はこういうのは嫌いじゃないけど…最近のファンは格闘家に正しい人間性を求めるからねぇ。

その他には、密かに注目していた金統光 vs 宝樹まもるも壮絶な試合になったらしい。正直、この一戦だけは観たかった。


ミオリンさんによる、8/27 全日本キック観戦記
http://blog.livedoor.jp/mio6919/archives/50704317.html

この日僕が注目していた四興行のうち、上記の三つに関しては良しにつけ悪しきにつけ大変に盛り上がったようだ。

なんで僕はこれを選んだんだ?

で、僕が選択した残りの一つである横浜文体のPANCRASEについて記述していく。まず結論。


まったくダメだ!
何もかもがダメだ!


なにがダメって、まず客入りがダメ。折角の横浜文体の興行だというのに、この興行の為に今年の初めからずっとトーナメントを続けていたのに、そして「四大タイトルマッチ」まで組んだのに…観客のはたったの2000人弱、約四割の入り。う〜ん、PANCRASEを観戦してから五年にはなるが、文体でこんな不入りは初めてだな。

そして、それ以上にダメだったのが試合内容。観客の熱のなさに煽られるかのように、覇気のない選手がやる気のない試合を展開していくのだ。この様子を観せられた観客は更に興行に対する集中力を失い、会場の空気はどんどん白けたものに。…最悪のスパイラルだな、救われねぇ。


だが。正直、今日の興行に関しては「こういう風になるべくしてなった」と思うね。なんと言っても、今日の興行の売りである「四大タイトルマッチ」にまったく魅力がないんだから。

こんなにダメな要素が満載なのに

その「四大タイトルマッチ」について、階級毎にその問題点を考察。


エースの近藤有己が王座を防衛したライトヘビー級。タイトル自体は既に形骸化しているのは熱心なPANCRASEファンでなくともご存知だろう。四〜五年前は花形の階級だったライトヘビー級だが、GRABAKAの離脱やismに所属する選手の相次ぐ退団により一気に選手が不在となった。近藤の挑戦者探しは、今や農村の若者の花嫁探し並に大変なのだ。

今日の興行、観戦目的を「近藤の試合」にしている人が大半だろうが、果たしてその試合がタイトルマッチである事に魅力を感じた人はいるのか?仮に挑戦者である松井大二郎が王者になったら、この団体はどうするつもりだったんだ?ま、これは近藤が王座を防衛したから今となっては笑い話だが。


アルボーシャス・タイガーが戴冠したヘビー級。これはライトヘビー級よりも深刻だ。PANCRASEのヘビー級といえば、ヘビー級王者でありながらもコロコロと負け続けた高橋義生と、白星そのものを掴むのもままならない玉海力だ。正直、今の彼らではタイガーには勝てないのは明白。

じゃあアルボーシャスが王者であり続けたとして、現状の最強の挑戦者であるポアイ菅沼を倒した彼に、この団体は次の挑戦者を準備できるのだろうか?タイガーを王者にして、ベルトをどう転がしていくのだろうか?そういったプランがまったく見えない以上、このベルトはすぐに形骸化するだろうな。


石毛大蔵が新王者となったウェルター級。これは上記二階級に比べれば、まだ希望の持てる階級だ。なんといってもismには、ベルトを狙えるだけの実力を持つ北岡悟大石幸史がいる。彼らが頑張れば本隊に王座が戻る可能性もあるだろう。

しかし長い間、井上克也暫定王者のままにしてしまった事、昨年から今年にかけて何度も北岡にベルト絡みの試合をさせた事で、PANCRASEファンの間では王座の価値はガタ落ち。今日の王座戦にしても「どうせどっちがチャンピオンになっても、また北岡に挑戦させるんだろ?」ってな感じで、最初から白けた目で観られている。正直、最近負けが混んでいる大石がスランプから脱出しない限り、あんまりこの階級は盛り上がらないんじゃないかなぁ、というのが僕の意見。


今日、前田吉朗という新王者が誕生したフェザー級。この階級だけは希望が持てる。前田を始め、山本篤志田幹DJ.taiki、砂辺光世士などのいい選手がズラリ。とりあえずはこのメンバーを総当りにするだけでも安泰だろう。

しかし身体のサイズが小さい事、まだまだ制定したばかりの階級という事もあり、選手の充実度に比べてまだまだ観客動員には繋がっていない。この辺は地道にやっていくしかないね。


とまあ、色々と御託を並べたが「何が言いたいか」というと、今日の興行は「四大タイトルマッチ」をやったところで、外の要素から話題を作らない限りは「そりゃ観客動員に繋がらないわな」という要素がパンパンに詰まっていた大会だったのだ。

なんで僕はこれを選んだんだっ!

しかしまあ今回、ヘタに四大タイトルマッチなんざぁやったもんだから、PANCRASEとしては次がない状態になってしまったなぁ。今ある「内」の要素を、それこそ忘れ去られた「竹内出 vs 佐藤光留」まで引っ張りだしてた結果がこの客入りとこの盛り上がり


PANCRASEは、いつからこんな団体になっちまったんだ?


確かにGRABAKAは抜け、MEGATONは廃止になった。ismの選手も次々に離脱…そんな中、この団体は危機感を持って興行を開催していたんだろうか?「次の一手」を考えていたのだろうか?

確かに「本隊であるismの選手が致命的に弱い」というのはPANCRASEにとっては一番の癌ではあるが「それでもショーは続く」というか、団体としてはそれ背負いながら興行を続けなくてはならない宿命なのだ

ならば。最初からismの選手では盛り上げようがない事がわかっているんなら、今日のようなビッグマッチだって、もっと他にマッチメイクはなかったのか?見劣りするとはいえ一応は、GRABAKAの穴はSKアブソリュートが埋め、MEGATONの穴はチーム玉海力が埋めているんだから、彼等をもっと有効に活用できないのか?

金を払って、心底「損したっ!」って思うのは久しぶりっ!

とにかく最近のPANCRSEの興行は、知恵を絞っている感じが皆無。そのくせ、チケット代はどんどん高くなる一方。客が少ないときは当日券では安い席を出さない…なんてことも当たり前。しかし蓋を開ければ、リングサイドを一列しか作っていない後楽園ホールを満員にできないのが実態。

まずは「何をすれば後楽園ホールが満員になるか」を考えるべき。それをちゃんと考えられなければ、PANCRASEはもう「おしまい」だろう。低迷しつつも底力は充分な修斗や、いよいよ表舞台で活躍するWK系の興行に淘汰されるのがオチだろう。

もっとも、僕はもう今更なにをしようとも「PANCRASEは、もう助からない」と思っている。なんとかできるんだったら、とっくになんとかしているハズだしね。今回の横浜文体は「まったく手を打たなかった事に対する結果」という風に捉えた方が自然な気もするしね。


というワケで、ここからは観戦記。



第一試合 未観戦だ、この野郎っ!

スーパーヘビー級 5分2R
戦闘竜(175cm/114kg/アメリカ/ファイティング ドラゴン)
●小椋誠志(198cm/140kg/PANCRASE チーム玉海力)
[1R 1分37秒 スリーパーホールド]

未観戦だったが、なんでも戦闘竜は小椋を小手投げで投げて、バックを奪ってスリーパーを極めたらしい。う〜ん、文句なし。

是非、生で観たかったなぁ。っていうか、中華街の中にあった某有名店の焼きソバの出来上がりが遅かったのが悪いんだ!味も全然ダメだったしなぁ。

「どの店の事なのか」が気になる人は、googleで「中華街 焼きソバ 新館」とでも調べてくれ。

第一試合、試合後のインタビュー(オフィシャルサイトへのリンク)

戦闘竜
http://www.pancrase.co.jp/tourarchive/2006/0827/itv2/sentoryu.html

凄く希望に満ちている感じが伝わってくるね。勝った事が素直に嬉しいんだろう。



第二試合 全然つまんねぇよ、この野郎っ!

ウェルター級 5分3R
○ロバート・エマーソン(177cm/74.1kg/アメリカ/ノーリミッツ&チーム オーヤマ/PANCRASEウェルター級 十位)
アライケンジ(176cm/73.8kg/PANCRASE)
[判定 3−0]

試合は遠距離での打撃戦が半分、エマーソンがインサイドガードを奪う場面が半分。打撃戦は激しい打ち合い…には発展せず、ただただエマーソンの遠距離からのパンチにアライが打ち負けるばかり。で、エマーソンがテイクダウンを奪った後は、アライにベッタリとくっついてパンチを放つばかり。パスガードする気配も強烈なグラウンドパンチもなし。

この試合は全ラウンドを通してこんな感じで進んだ、と思ってくれ。盛り上がりようのない展開のまま判定へ。3−0でエマーソンが勝利。


どうしようもない。なにがしょうがないって、こんな外国人をアライに当てるPANCRASEが悪い。この試合はアライの復帰戦だろ?ジェンス・パルバーと激闘を繰り広げた後の復帰戦だろ?この際、もっと弱い選手を当ててでもアライをプッシュしろよ。つまんねえ選手を当てやがって。

第二試合、試合後のインタビュー(オフィシャルサイトへのリンク)

ロバート・エマーソン
http://www.pancrase.co.jp/tourarchive/2006/0827/itv2/emerson.html

「つまんない試合をしてる」って自覚はあったのね。「あと二、三試合でタイトル戦を」とか言っているけど、今日みたいなつまんない試合を続けるのであれば、その前に声が掛かんなくなるぞ。



第三試合 アッサリしすぎだよ、この野郎っ!

ウェルター級 5分3R
北岡悟(168cm/74.9kg/PANCRASE ism/PANCRASEウェルター級 二位)
ポール・デイリー(175cm/74.8kg/イギリス/チーム ラフハウス)
[1R 2分54秒 フロントチョーク]

なんだか勢いのありそうなデイリー、試合前にはワイクーのようなダンスで北岡を挑発。しかし試合では北岡の必殺技が炸裂。デイリーのストレートにタックルを合わせる北岡、まずは順調にグラウンドで上になる。これは下から崩されるも、北岡はデイリーの動きに合わせて巧くガブって…出ました、必殺フロントチョーク。ガッチリ極まってデイリーがタップ。


ま、北岡が秒殺した事は素直に良かったと思う。これで北岡はウェルター級王座の次期挑戦者に決定したも同然、というか(皮肉)。

第三試合、試合後のインタビュー(オフィシャルサイトへのリンク)

北岡悟
http://www.pancrase.co.jp/tourarchive/2006/0827/itv2/kitaoka.html

本人は「今はコツコツと実績を積み上げる時」という風に考えているのね。確かに無理にPANCRASE王者に押し上げるより、その方がいいかもしれないね。これは大石についても言える事だけど。



第四試合 タイミングを外しすぎだよ、この野郎っ!

ミドル級 5分3R
竹内出(180cm/81.8kg/SKアブソリュート/PANCRASEミドル級 一位)
佐藤光留(174cm/81.8kg/PANCRASE ism/PANCRASEミドル級 六位)
[判定 3−0]

しかしまあ、なんだって今更こんな因縁を持ち出してきたんだか。旬を外しているにも程があるだろっ!…という訳で、この二人の因縁については各自調査。


試合について。スタンドでは佐藤のローキックが冴えていたが、あとはすべて竹内ペース。テイクダウンしてパスしてコツコツと鉄槌。佐藤がグラウンドを脱出しても、スタンドでバックをとってコーナーに押し込んでコツコツとパンチ。佐藤は前から腕を捕るも、それ以上は何もできずにブレイク…って展開が全ラウンドを通して続いた、と思ってくれ。判定は3−0で竹内が勝利。


とにかく竹内の覇気のなさが目立っていた。もう佐藤に対しては嫌悪感以外は何もないんだろうな。対する佐藤も、この試合からは必死さが観えなかった。秋葉原でメイド服を着て公開スパーリングをするくらいなら、そのワケのわからんやる気を少しでも試合で観せてみろよ。

第四試合、試合後のインタビュー(オフィシャルサイトへのリンク)

竹内出
http://www.pancrase.co.jp/tourarchive/2006/0827/itv2/takeuchi.html

佐藤に対しては本当に嫌悪感しかないんだねぇ。それにしても、この試合を「100点中、5点」と評価してたけど、だとしたら竹内が試合で赤点以上の点数を取った事なんてないんじゃないの(苦笑)。



第五試合 意外だったぞ、この野郎っ!

PANCRASEヘビー級 第二代王者決定トーナメント 決勝戦 5分3R
アルボーシャス・タイガー(180cm/95.7kg/リトアニア/ラトビア士道館/PANCRASEライトヘビー級 四位)
ポアイ菅沼(188cm/94.7kg/アメリカ/TWIST/PANCRASEヘビー級 一位)
[3R 34秒 TKO]
※菅沼が顔面をカット

この試合は、PANCRASEが今年一月から行っていた「ヘビー級 第二代王者決定トーナメント」の決勝戦。勝ち上がったのはアルボーシャス・タイガーポアイ菅沼の二人。まあPANCRASEとしては、PANCRASE GARO野地竜太や「無差別級男」の佐藤光留に頑張って欲しかったんだろうけどね。ま、野地は頑張ったところで解雇される運命だったんだろうけど。


この試合、僕はトータルファイターである菅沼の方が優勢だと思っていた。ところが蓋を開けてみれば、菅沼はアルボーシャスの遠距離からのストレートに大苦戦。菅沼にとってはタックルを切られ続けたのも誤算だったのではないか。単発の右ストレートを当て続けるアルボーシャス、菅沼は1Rに二度、2Rに一度テイクダウンを奪ったが、いずれもアルボーシャスに立たれてしまう。特に2R、折角マウントを奪ったのに乗り過ぎて、下から崩されてしまったのは痛かった。

3R、しこたまストレートを喰らい続けた菅沼はアルボーシャスの穴を突くべくタックルを敢行、待っていたのはアルボーシャスのヒザ蹴り。モロに喰らった菅沼は顔面をカットし、そのままドクターストップ。士道館応援団の歓声の中、アルボーシャスがヘビー級王者となった。


試合自体はまあまあ面白かった。アルボーシャスの打撃はかなり重そうで、ちょっとその辺の日本人では勝てないんじゃないかな…という雰囲気が漂っている。まあ前述の通り、その強さが逆にPANCARSEの首を絞めるわけなんだけど。

第五試合、試合後のインタビュー(オフィシャルサイトへのリンク)

アルボーシャス・タイガー
http://www.pancrase.co.jp/tourarchive/2006/0827/itv2/arbocius.html

今後の展望とかは特にないようなので「王座が他団体へ転出!」という事はなさそうだ。僕はアルボーシャスという選手自体は嫌いじゃないが、やはり「現状では彼のベルトに挑戦できるPANCRASEのランカーが皆無」というのは痛い。



第六試合 やる気がないぞ、この野郎っ!

PANCRASEウェルター級 第二代王者 決定戦 5分3R
石毛大蔵(176cm/74.8kg/SKアブソリュート/PANCRASEウェルター級 一位)
井上克也(175cm/74.7kg/和術慧舟會RJW/PANCRASEウェルター暫定王者)
[判定 3−0]

この試合は、長い間「正式な王者」が存在しなかったウェルター級王座の王者決定戦。対決するのは昨年五月のウェルター級王者決定トーナメントの決勝戦北岡悟に不戦勝して以来、同階級の「暫定王者」という中途半端なポジションを与えられている井上克也と、今年五月の次期挑戦者決定戦で北岡を判定で下した石毛大蔵。ちなみに井上は今年一月に北岡とタイトル戦を行ない、ドロー防衛を果たしている。…っていうか、どれだけ北岡プッシュなのよ。


んで、試合は全ラウンドを通してのスタンド勝負となり、四肢の長い石毛が放つパンチを前に井上が大苦戦。伸びる石毛のストレート、そして左のボディブロー。1R〜2Rは一方的に打撃を喰らっていた井上だが、3Rからは打撃が出るようになり、得意のアッパーで石毛をグラつかせる場面もあったが…正直、エンジンの掛かりがちょっと遅かった。最後は乱打戦、お互いのパンチが交差する中で試合終了。判定の結果3−0で石毛が勝利、SKアブソリュートに初めてのベルトをもたらした。


井上はカウンター待ちに徹しすぎたせいか、打撃が殆ど出なかった。う〜ん、「和製カレリン」の異名の通り、組めば強い選手のハズなのになぁ。どうして最近の選手はこうも打撃に拘るんだろうか。ぶっちゃけ、モチベーションが低いように観えたなぁ。PANCRASEを離脱しても、慧舟會の所属である以上は色々な受け皿もあるだろうしねぇ。もし抜けたらPANCRASEはどうするんだろ?

第六試合、試合後のインタビュー(オフィシャルサイトへのリンク)

石毛大蔵
http://www.pancrase.co.jp/tourarchive/2006/0827/itv2/ishige.html

SK総帥・松本天心がいう「メジャーのリングでもっとパンクラスの価値が多くの人に理解されるような舞台でやらせてあげたいなと思います」って言葉が心配だ。今のPANCRASESKアブソリュートはなくてはならない存在、離脱したら本当にPANCRASEは苦しくなるだろう。



第七試合 唯一の好勝負だったぞ、この野郎っ!

PANCRASEフェザー級 初代王者決定トーナメント 決勝戦 5分3R
前田吉朗(170cm/63.7kg/PANCRASE 稲垣組)
DJ.taiki(172cm/63.3kg/K.I.B.A.)
[マスト判定 2−1]
※通常判定 0−0/前田が新王者に

他の階級の失墜ぶりとは反比例するかの如く、今PANCRASEの中で充実している階級がフェザー級だ。反面、長い間王座が設置されないまま運営されており、ファンの間でも「早く王座を」という声が挙がっていた。そして今日、ようやく念願のフェザー級王者が誕生する。遅いよ。

今年六月に行われたフェザー級初代王者決定トーナメントの一回戦を勝ち上がったのは、飛びヒザ蹴りで山本篤を一発KOした前田吉朗と、左ストレートで何度も志田幹からダウンを奪ってKOしたDJ.taikiPANCRASEファンには有名な話だが、この二人は今年三月に対戦しており、この時はtaikiが左ストレートを何度もヒットさせてKO、前田にPANCRASEでの初黒星をつけている。早くもに訪れたリベンジの機会、前田はPANCRASEの意地を見せれるのか?

いや、前田以上に気合が入っていたのはtaikiの方だ。予告映像では「前田を倒して、俺がPANCRASEを名乗る!」と言い切り、漫画「デスノート」に登場するリュートが「前田吉朗 KO負け」と記述されたノートを持参して登場、そしてtaikiの入場曲はパンクラスのテーマ曲である「ハイブリット・コンシャス」の旧バージョン。なんというか、なにかというと佐藤光留のオタクぶりや言動が取り上げられるPANCRASEだが、正直この人の方が色々な意味で遥かに上を行っていると思う。外様の人間が、少しでも試合を盛り上げるべく話題を提供する姿にちょっと感動。


1Rは打撃戦、優位に立ったのはtaiki。強烈で早い右ミドルキックを連発し前田を完全に圧倒する。前田は距離を詰めれず一方的にミドルキックを喰らい続けてに大苦戦、ラウンド終了直前にテイクダウンを奪ったの唯一の攻めらしい攻めか。やはり立ち技では元キックボクサーのtaikiの方が一枚も二枚も上手だな。

2R、序盤はやはりtaikiの右ミドルキックが試合を支配、前田は一か八かの飛びヒザ蹴りを出すも空振り。グラウンドで上になったtaikiがドカドカとパンチを落とせば、前田の鼻からは出血が。前田は下から起き上がり、ガブるtaikiを押し込んでテイクダウンを奪うが、鼻からの出血が激しくドクターチェックが入る。

…と、ここまでがtaikiが攻勢の場面。


試合再開、グラウンドで上になった前田はパスガードに成功しバックマウント、マウントとポジションを移行。taikiはブリッヂで脱出、だが前田はその動きに合わせて、前から飛び付きフロントチョークを仕掛ける。これを振り落としたtaikiは上からパンチやキックを落とすも、ここで2Rが終了。

3R、このラウンドで前田は、タックルで三度のテイクダウンに成功。一度目は下からの三角絞めですぐに逃げられたが、二度目はヒールホールドを仕掛け、三度目はインサイドガードから夢中になってパンチや鉄槌を落とす。正直、有効打はなかったが「これ以上、taikiを攻めさせない」という意味では有効だな。taikiがグラウンドを脱出したところで試合終了。

判定は事実上は0−0のドローだがマスト判定により前田が勝利、フェザー級の初代王者となった。


微妙な判定だけど、僕は前田の勝利でいいと思うな。フロントチョークやヒールホールドなど派手な仕掛けもあったし、taikiのミドルキックは主導権は握っていたけどダメージに繋がっているようには観えなかったし。

第七試合、試合後のインタビュー(オフィシャルサイトへのリンク)

前田吉朗
http://www.pancrase.co.jp/tourarchive/2006/0827/itv2/maeda.html

DJ.taiki
http://www.pancrase.co.jp/tourarchive/2006/0827/itv2/djtaiki.html

う〜ん、さすがに勝者と敗者のインタビューなだけあって、両者の間には随分な温度差があるなぁ。前田は次の防衛戦の相手に砂辺を指名、新旧フェザー級のエース対決だな。本人のコメントにあった「もう僕はDEEPを背負っている」っていうのはちょっと気になるけどね。taikiの方は離脱を匂わせるコメントとも読み取れるなぁ。意気込んで試合に臨んだ分、こんな決着のつき方になったのが悔しいのだろう。



第八試合 近藤だぞ、この野郎っ!

PANCRASEライトヘビー級 タイトルマッチ 5分3R
近藤有己(180cm/85.3kg/PANCRASE ism/PANCRASEライトヘビー級 王者)
松井大二郎(177cm/85.3kg/フリー/PANCRASEライトヘビー級 五位)
[判定 3−0]
※近藤が防衛に成功

PRIDE武士道にてフィル・バローニにまさかの敗戦を喫して以来、長い間ファンの間で保たれていた「近藤幻想」が崩壊の危機を迎えている。まあ正直「事実上は勝ちだろう」といわれているダン・ヘンダーソン戦と中村和裕戦が正しく勝ちにされていれば「そんなに危機感を覚える程の戦績かなぁ」という気もするのだが…、実際にはこれらの試合は負けという事になっているし、年齢も31歳と決して若くない。やはりこの敗北はタイミングが悪いのだろう。僕としては、それよりもKO勝利が減っている事の方が深刻だと思うのだが…。

んで、今日は自身が保持しているライトヘビー級のタイトルマッチ。その対戦相手は、なんと松井大二郎。近藤にとっては何にも美味しくない相手だねぇ。逆に言えば、勝っても負けても判定に持ち込む松井をKOすれば、「近藤幻想」も一発で復活するだろうけどねぇ。


1R、試合は打撃戦となった。松井はソバットで近藤を牽制するも、近藤はアッパーをヒットさせて優位に立つ。ならばと松井はタックルを仕掛けたが、これをガブった近藤は顔面にパンチを入れる。松井は立ち上がって脱出するが、近藤はラウンド終盤に飛びヒザ蹴りでヒットさせて攻勢。

2R、近藤は打撃を入れつつ松井をテイクダウンし、パスガードに成功しマウントを奪う。しかし松井は脱出して亀の体勢、近藤は上から顔面にパンチを入れる。松井は振り落として立ち上がり、立ってくる近藤にミドルキックを放つが不発。

スタンドでの打撃戦、松井の真っ直ぐに伸びる右ストレートがヒット、近藤がグラつく。思わぬピンチに近藤ファンから悲鳴が上がるが、すかさず左フックを当てて反撃。タックルを仕掛ける松井、近藤はこれを捌いて亀の体勢にし、横にまわって顔面にパンチ。立ち上がった松井がバックについた近藤に奇襲、前転しながら足を捕る。だが近藤はアッサリと脱出、真っ直ぐに伸びる松井のパンチを捌きながら首相撲に捉えてヒザ蹴りを連打。

3R、前に出る松井に、近藤の左ストレートがヒット。その後は打ち合いとなったが、不意に放った近藤の飛びヒザ蹴りは不発。しかしこれで亀になった松井、近藤は再び顔面にパンチを入れる。松井はなんとか脱出し、再びタックルを繰り出す。近藤はまたしてもこれを捌くと、インサイドからのパンチや立ち上がっての踏みつけを挟み、ラウンド終盤にマウントを奪った。これは松井にリバースを許したものの、まあ試合内容は近藤の完勝といって良いだろう。

試合終了、判定は3−0で近藤が完勝。


…とはいえ。今日の試合で僕が感じたのは「近藤の打撃って、ひと昔前の技術だなぁ」って事。特にストレートは、松井の方が真っ直ぐに伸びていたように感じる。もし松井が全ラウンドを通してスタンド勝負を望んだとしたら、2R中盤のような真っ直ぐなストレートが近藤の顔面を何度も捉えたら、果たして勝敗はどうなっていただろうか?

第八試合、試合後のインタビュー(オフィシャルサイトへのリンク)

近藤有己
http://www.pancrase.co.jp/tourarchive/2006/0827/itv2/kondo.html

近藤自身は相変わらずのマイペースのようだ。「月一で試合をしたい」っていうのはなんとも近藤らしいというか。しかしまあ、自身の団体の中にはもうライバルが不在…っていうか、選手がいない状態だしねぇ。折角切り札のエースを持っていても「宝の持ち腐れ」だよなぁ。なんとかしろよPANCRASE



いい加減にしろっ!

ちなみに今後、PANCRASEでは「年内にビッグマッチを開催」する予定らしい。


高望みも
いい加減にしろっ!


横浜文体がこの程度の入りなのに、よくもまあこんな事が言えるなぁ。ま、その大会はヨソからの選手を大量投入しないと満員にはならないだろうな。


以上、長文失礼