5/20 大日本プロレス 六角橋商店街興行 画像付き観戦記

商店街の空き地でプロレス




六角橋!



ふれあい通り!



たいやき旨い!



コロッケ旨い!



そしてプロレス!

神奈川の空に雨

今日は白楽にある六角橋商店街にて大日本プロレスを観戦。

六角橋商店街…という単語を聞いてピンと来る人もいるだろうが、今日観戦するのは「商店街プロレス」である。実は今年、僕はプロレスに関しては「屋外プロレス」というモノに拘って観戦しているのだが、この手の興行の大敵は、やはり雨。当日になるまでどうなるか判らない上、いざとなったらすべてを台無しにする『天候』という存在。世に「屋外プロレス」が少ないのも頷ける、というか。

で、本日の神奈川の空には厚くて低い雲が。う〜ん「いつでも雨の準備OK!」という感じだが大丈夫かね?…なんて言っているソバから夕立ちだ。風も強く降りも激しい。大丈夫かぁ、今日のプロレス?

白楽の街に虹

この夕立、僕が白楽に着いた後も止むことはなく激しく降り続けていた。観客が商店街のアーケードを利用して雨をしのいでいるが…、今日の観戦環境にかなりの不安が残る。本当に大丈夫かぁ、今日のプロレス?

…と思っていたところ、チケット売り場にはレインコートが売られていた。これは大日本プロレスの準備の良さか?それとも商店街プロレス実行委員会の気遣いか?いずれにせよ、用意周到で素晴らしいな。値段も100円で文句なしだ。ちなみにチケット代は、1000円と実に格安。すべてのプロレスがこれくらいの値段になればいいんだけどねぇ。そんなこんなで客席は文句なしの満員、500人近くいるかな?雨が降っていたのによく集まったなぁ。



んで、悩みの種の雨は試合開始の頃には大分治まり、第二試合が始まる頃に完全に上がっていた。あの夕立の降り方を思えば嘘のような話なのだが、それ以上に奇跡的だったのが、登坂部長の前説中に空に虹が架った事。なんとも粋な演出、神様はデスマッチがお好きらしい。



第一試合 大日本の客席に水しぶき

タッグマッチ 30分一本勝負
大黒坊弁慶(190cm/150kg)
 井上勝正(170cm/80kg)
vs
 谷口裕一(179cm/120kg)
●豹魔(170cm/86kg)
[11分50秒 片エビ固め]
※ダイビングヘッドバット

第一試合は、掴みの試合という事でお笑い中心の展開に。僕自身はプロレス界で頻発している「お笑いの試合」自体はあんまり好きじゃないんだけど、屋外プロレスで「見知らぬ観客の前で声を出させる」という目的でやられるソレは結構好き。



ネタもかなり判りやすい。巨漢の大黒坊を谷口と豹魔をボディスラムで投げようとしたり(もちろん投げられない)、谷口が大黒坊の顔面に尻やら股間やらを押し付けたり。試合の最大のハイライトは、「若作り」井上を谷口と豹魔がツープラトンのブレンバスターで水溜りに落としたシーン。バッシャーンと弾ける水しぶき、客席にも掛かってしまって大迷惑…かと思いきや、全員レインコートを着ているので大丈夫、みんな笑ってる。今日の大日本はお客さんに恵まれている。

フィニッシュは大黒坊が豹魔をチョークスラムでリングに叩きつけ、そこへ井上のダイビングヘッドバットが炸裂。大黒坊がフォールしてカウント3。

第二試合 大日本のリングにJWP

シングルマッチ 30分一本勝負
米山香織(150cm/56kg/JWP)
KAZUKI(155cm/67kg/JWP)
[9分2秒 前方回転エビ固め]

第二試合は「JWP提供試合」という事で女子の試合。第一試合とは打って変わってシリアスな試合になるのかなぁ…と思ったら、ところどころに笑いを散りばめた展開に。お互いの顔の鼻に指を突っ込んでは「観るなぁ!」「撮るなぁ!」ってな具合。最近のレスラーは観客を笑わせたがるねぇ。



それでも締めるところは締めてきた、KAZUKIが米山をコーナー際のセカンドロープに寝かせて、腹にヒザを落とすシーンは圧巻だった。米山はノーザンライト & ジャーマンの各種スープレックスで反撃、ダイビング・セントーンと畳み掛ける。KAZUKIはハワイアン・スマッシャーで食い下がったが、最後はリングの端から端まで進む程の前方回転エビ固め。米山が勝利。

観客の反応はおおむね良好。先ほどは「レスラーが観客を笑わせたがる」とは書いたが、そもそも屋外という場所は「笑い」が良く合う場所なのだ、と思う。プロレスよ、大衆娯楽たれ。

第三試合 大日本の夕暮れに有刺鉄線チェンソー

タッグマッチ 30分一本勝負
○MEN’Sテイオー(170cm/80kg)
 アジアン・クーガー(174cm/90kg)
vs
 “黒天使”沼澤邪鬼(174cm/94kg)
近藤博之(175cm/89kg)
[13分38秒 エビ固め]
※顔面スタンプチェアー

大日本の人気者、「黒天使」沼澤は有刺鉄線チェンソーを振り回しながら入場。しかし「さあ大変!客席は大パニックだ!」なんて事はなく、観客は大喜びで歓迎していた。沼澤がなんともやり難そうな表情をしていたのが印象的だった。



試合は…これまたお笑い中心の展開に。沼澤がテイオーとクーガーの首&足4の字固めで捕らえられているところに近藤の腕サソリ固めが炸裂!一斉にひっくり返る三人に観客は爆笑。腕サソリは最初は嫌いだったけど、何度も観ているうちに「味のある技だなぁ」と思えるようになってきた。僕もインディーに毒され始めているのか?



終盤では、それぞれが得意技を披露。沼澤が雪崩式フランケンシュタイナーを決めれば、近藤は本日二度目の腕サソリ固め。クーガーがマスクマンらしくセントーンアトミコで宙を舞えば、テイオーは必殺ミラクルエクスタシー(チョークスラムの要領で持ち上げてのパワーボム)でリングに叩きつける。プロレスらしい展開に観客が歓声を上げるなか、最後はテイオーが顔面スタンプチェアー(肩車式フェースバスター)で近藤から3カウントを奪った。

笑いを中心とした試合展開が続いたせいもあり、観客の視点は随分と軟化し、たくさん声が出ていた。『笑い』の良いところは、人と人との間にある敷居を低くするところにある。見知らぬ者同士の間に一体感が生まれ、『屋外』という要素がそれを後押しする。メインへのお膳立ては揃ったな。



第四試合 大日本の夜に蛍光灯

蛍光灯六人タッグデスマッチ 時間無制限一本勝負
伊東竜二(185cm/95kg)
 シャドウWX(180cm/115kg)
 アブドーラ小林(175cm/130kg)
vs
 佐々木貴(177cm/90kg)
 関本大介(175cm/110kg)
●MASADA(185cm/100kg)
[15分13秒 体固め]
※ドラゴンスプラッシュ with 蛍光灯

「商店街プロレス」のメインは、大日本プロレスが生み出した一番のヒット商品である「蛍光灯デスマッチ」。まず観客は六人の選手が持ち寄る蛍光灯の数に驚きの声を上げる。近くにいるおばさんが、まだこの蛍光灯の意味するところが理解できずに「なんだろうね?」なんて暢気な事を言ってる。




で、試合開始…と同時に伊東が蛍光灯を持ったままプランチャ。「ガシャーン!」と割れる蛍光灯に観客が驚きの声を上げる。そして始まる「商店街プロレス」、混乱のなか各選手が試合を場外へと移し、MASADAと伊東が六角橋ふれあい通り方面へと消えていく。「あの、店を一軒破壊した大乱闘が!」と期待する観客がドーッと一斉に大移動…と思ったら、ものの数十秒で帰ってきてしまった。今日はあの惨劇を踏まえて店を閉めるところが多かったのだ。



だがリングでは、それ以上の惨劇が。小林が蛍光灯でメッタ打ちにされていたのだ。無造作に「ガシャーン!ガシャーン!」と割られ続ける蛍光灯、小林は全身から流血。なかなかに凄惨な光景なのだが、観客は引く事なく食い入るようにリング上の出来事を見つめている。やがて小林が反撃、得意の「このバカチンがー!」から放たれたバカチンガーエルボーに、観客から笑いと歓声が同時に起こる。『流血』という事実の凄惨さよりも、バカバカしい事にも笑って取り組む彼らの『明るさ』が観客を魅了する。


リング上の光景はますます凄惨さを極める。「大日本のエース」伊東が得意のキックを連発すれば、関本は蛍光灯の破片の残るリング上に何の迷いもなくバンプを取る。更には伊東が華麗にムーンサルト・プレスで宙を舞う。シャドウが佐々木をブレンバスターで蛍光灯の山の上に投げ飛ばす。伊東と佐々木が蛍光灯で殴り合う。佐々木が伊東をパワーボムで蛍光灯の破片の残るリングに叩きつける。気が付けば全員が流血、それでもショーは終わらない。「これは本当に凄いなぁ!」「うわっ、刺さったまま試合してるよっ!」「一体、蛍光灯って何本あるんだっ!」。「大流血試合」なのに目を背ける人は一人もいない。観客はみんな、目の前の光景を素直に楽しんでいる。



最後は倒れたMASADAの上に蛍光灯が山のようにつまれ、その上に伊東がドラゴンスプラッシュ。破片が白い煙と化すなかでカウント3が数えられると、大日本マニアの「ダイニッポン!」コールに合わせて、観客が一斉に「ダイニッポン!ダイニッポン!」と声を上げた。多くの一見さんがこのコールを上げるのだから、「商店街プロレス」は大成功としかいいようがない。試合後、伊東がマイクを持ち「僕達はこんな試合ばっかりしていますが…、もし良ければ、また大日本プロレスを観に来てください!」と叫べば、観客も歓声でこれに応える。プロレスでは見慣れた光景だが、今日に限っては嘘偽りない反応だな。

ちなみに小林は、試合を終えた後、体中から流れた血を拭う事なくグッズ売り場へ足を伸ばし、威勢の良い声を飛ばしていた。元気だなぁ、大日魂ここにあり。



雑感

荒削りながらも、パッケージとして完成された世界を観せられた気分だ。

特にメインはなかなか凄惨なデスマッチで、選手が全員血だるまだったにも関わらず、一般の人々が引いたりせずに素直な驚きをもって観戦していたのが印象的。試合を行なっている連中の明るい表情と要所で笑いを取る姿勢が、デスマッチが持つ悲惨さを和らげる効果があるのだろう。プロレスのなかで笑いを取るのは簡単というが、その簡単なツールが感動への伏線になっていたのが素晴らしい。

最近は新日本プロレスが小会場で興業を行なっていると聞くが、ハッキリ言ってやめた方がいい。この規模のプロレスの完成度は、今の新日本では彼らインディーには絶対に勝てないだろう。

おまけ

帰りは六角家でラーメン。味はイマイチ。

●六角家
http://www.rokkakuya.com/




以上、長文失礼。


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