5/14 全日本キック 後楽園ホール興行 観戦記・改

Mask_Takakura2006-05-15

今日は対抗戦、ばちばちばちばちばち!

今日は後楽園ホール全日本キックを観戦。チケットは立見席を購入、4000円。パンフレットは1000円、相変わらず読みやすい。

話題作りの為に「あの手この手」を使う全日本キック、今回は第三試合〜第八試合までを「CROSS BOUT」と呼ばれる「他団体との対抗戦」でカードを揃えた。メインイベントでは「自分大好き」でお馴染み(?)、全日本スーパーフェザー級王者の石川直生が「シルバーウルフのNo.2」大宮司進と闘う。初のメインを務める石川は外敵を相手に勝利を飾れるか?

その他にも黒田英雄 vs 宝樹まもるの「79歳対決」、寺戸伸近 vs 真二の「『MACH55から一年』決戦」等、全日本キック好きとしては見所は満載…なのだが客入りは約7割と今一つ。今回は全日本キック好きにはいいカードなんだけど、抜群の知名度を持つ選手がいないのでこの入りは「やむなし」か。

全然関係ないが、後楽園ホールの隣にある東京ドームではKAT-TUNのコンサートが行なわれていた。おかげでJR水道橋駅は女性ファンだらけに。nar氏(id:nar-_-nar)曰く「いや〜、今日は駅周辺に石川の応援団が沢山いましたよ!どうしてくれるんですかっ!?」…それはない。PON君(id:pon-taro)曰く「この調子ならKAT-TUNを目当てに東京ドームに来た女性の何人かは、間違って後楽園ホールに来ますよ!」…それもない。

第一試合 和田良覚のジャッジング、ぬおおおおぉぉぉぉぉ!

ウェルター級 3分3R + 延長3分1R
金統光(175cm/66.5kg/藤原ジム/全日本ウェルター級 七位)
●森卓(175cm/66.2kg/勇心館/全日本ウェルター級 九位)
[延長判定 3−0]
※本戦判定 0−0/森は延長Rにダウン2

5戦5勝2KOの戦績を誇る森 卓。無敗のルーキーは若いながらも確かな技術を持っている。nar氏も「先日、ウェルター級王者になった大輝よりも潜在能力は上!」と太鼓判。対戦相手は、先日怪我から復帰したばかりの金 統光、こちらも藤原ジム期待の若手だ。


試合では全ラウンドを通して、森がローキック、ワンツー、アッパー、ボディブロー、組み付いてのフック連打等、非常に多彩な打撃で試合を優位に進めた。一発一発は強力ではないものの、臨機応変に打撃を使い分ける器用さを随所で発揮。成程、こりゃあ強い。

対する金、森の打撃に手を焼きながらもワンツーやローキックで丁寧に対抗。…なんて言っているうちに試合は終了。全体的な試合のペースは森が握っていたがお互いに決定打がなく判定結果は0−0、延長戦へ突入。

延長R、ここでも森は多彩な打撃で試合を優位に進める。ワンツースリーフォー、アッパー、カウンターのストレート等が次々にヒット。動きの落ちる金、このまま行けば森が勝つだろう…と誰もが思っていた。

しかし終盤、森の足が揃ってしまったところに金のワンツーがヒット。森はバランスを崩して転倒したが、和田良覚レフリーはこのスリップをダウンと宣告。必死にノーダウンをアピールする森だが受け入れられず。一部観客から怒号が飛ぶ中(我々を含む)、森は失点を取り戻すべく一気にラッシュを仕掛けたが…焦るあまりガードが甘くなり、逆に金のカウンターのストレートを喰らってしまった。森は2度目のダウン、そしてこれが致命傷となり、延長判定3−0で金が勝利。


怒りが収まらない。「どういう事だよ和田レフリー、あれはどう見たってスリップだろ!こうなったら、鈴木みのるが提案するまでもない。和田良覚レフリーは全日本プロレスで鈴木の試合を裁いて、全日本キック和田京平レフリーに裁いてもらうぞ!」と、全日本プロレスファンのPON君が吼える。その隣では、nar氏が森の不本意な敗北を「無敗なら、すぐにでも大輝にも挑戦できる逸材なのに…」と嘆いている。

正直、全日本キックのジャッジはどこか藤原ジムびいきなところがあるな。よろしくないね。

第二試合 中園貴宏の髪型、どかあああぁぁぁぁん

71kg契約 3分3R + 延長3分1R
○佐藤皓彦(182cm/70.6kg/JMC横浜GYM/全日本Sウェルター級 六位)
●中園貴宏(174cm/70.7kg/S.V.G.)
[判定 3−0]
※中園は2Rにダウン2、3Rにダウン1

この試合は、ウェルター級王者の大輝と同門、最近は成長が著しい佐藤 皓彦と、元新極真会ワールドカップ第三位の実績を持つ「ボンバーヘッド」中園 貴宏の対戦。二人は昨年5月の興行でも対戦しており、その時は中園が辛勝している。この一年で実力を伸ばしたのはどちらか?


1R、開始早々「未完の大器」佐藤のワンツースリーがクリーンヒット、効いた中園の腰が早くも落ちる。ペースを握った佐藤はワンツー、ミドルキック、組み付いてのヒザ蹴り、前蹴りで攻勢。押され気味の中園だがミドルキック、ワンツー〜ローキックで対抗。

2R、開始早々中園のワンツーに佐藤がカウンターの左フックを合わせるとこれがクリーンヒット、中園はダウン。立ち上がる中園、しかし佐藤はすかさず右ストレートを喰らわせて二度目のダウンを奪う。

勢いに乗った佐藤が3ダウンを狙って積極的に打撃を繰り出す。得意の組み付いてのヒザ蹴りを連打、カットを狙うヒジ打ちも飛び出した…が、粘り強い中園は持ち直し、得意のローキックを連打して対抗。

3R、試合の図式は「佐藤のパンチ vs 中園のローキック」、勝ったのは佐藤。乱打戦の中でストレートがヒット、中園は三度目のダウン。しかしタフな中園はまたしても立ち、フラフラながらも必死にボディブローやワンツーで佐藤を攻める。中園の根性に観客も歓声を贈るが、佐藤はストレートやヒジ打ちをヒットさせ必要以上に攻めさせない。

試合終了、判定の結果3−0で佐藤が勝利し一年越しのリベンジを達成。


でも僕としては、「未完の大器」佐藤に苦言。彼は「ここが勝負」という場面で打撃が大振りになる傾向がある気がするな。まあ経験の問題だとは思うけど、もっとコンパクトにまとめる事を覚えればKO率は上がるんじゃないかなぁ?

第三試合 宝樹まもるのKO、ぐわあああぁぁぁぁぁ!

ウェルター級 3分3R + 延長3分1R
○黒田英雄(172cm/66.5kg/アクティブJ/J-NETWORKウェルター級 三位)
●宝樹まもる(171cm/66.5kg/勇心館/全日本ウェルター級 六位)
[1R 40秒 KO]
※左フック

ここからは他団体との対抗戦である「CROSS BOUT」が連続で六試合。まずは「勝っても負けてもKO男」もうすぐ四十路になる宝樹と、四十路のキックボクサーである黒田の「79歳対決」。宝樹はこれが復帰戦、今日は勝って「KO男」を証明できるか?


開始早々から強烈なミドルを放つ宝樹に対し、黒田はワンツースリーで対抗。尚も前に出た宝樹は右フックで黒田をグラつかせるが…。

すぐに持ち直した黒田がお返しの左フック、これがモロにヒット。宝樹は一発でダウン、何とか立ち上がったが足元はフラフラ、レフリーが試合を止めた。応援団の大歓声の中、黒田が自分の年齢と同じ秒数(40)で戦慄のKO勝利を修めた。


ぬあああぁぁぁ〜っ!宝樹は欠場期間が長くなりそうな負け方しちゃったなぁ。こりゃ年齢も年齢だし、ヘタしたら引退かもなぁ…。

第四試合 山田健博の慢心、がっしゃあぁぁぁぁん!

ライト級 3分3R + 延長3分1R
○藤原王子(173m/66.5kg/レグルス池袋/J-NETWORKライト 三位)
●山田健博(175cm/60.9kg/高橋道場/全日本ライト 三位)
[判定 3−0]
※山田は3Rにダウン1

第一試合の森 卓が「全日本キック 期待のホープ」なら、この藤原 王子は「J-NETWORK 期待のホープ」。戦績は6戦6勝3KO、ここまで無敗。今日は敵陣での試合、相手は戦績28戦16勝10敗2分10KOのベテラン、山田健博。


1R、藤原はジャブや左ミドルキックを多用して積極的に攻める。対する山田は打撃が重い。時折ミドルキックを出す程度で完全に様子見モード。序盤はガードを固めて藤原の打撃をしのぎ、終盤はじりじりとプレッシャーを掛けハイキック〜フックのコンビネーションをヒットさせていく。実力は山田が一枚上手か。

2R、いよいよ山田が本格始動。ミドルキックやストレートを繰り出す藤原に、山田は要所でミドルキックを散らしながら、相手の打撃に合わせて狙い済ましたカウンターのストレートを次々に入れていく。試合が進めば進む程、カウンターのヒット数が多くなっていく。藤原には苦しい展開。

だが3R、ペースを握った山田に落とし穴が。序盤からテンポ良くローキックを放つ山田だったが、そこへ藤原のカウンター、右ヒジがヒット。藤原応援団の歓声の中、山田は一撃でダウン。

何とか立ち上がった山田は一発逆転を狙ってパンチを放つも、一発一発が大振りに。それでも中盤〜終盤にかけてはストレートやボディブローで藤原を必死に攻めるが、藤原はヒジ打ちやヒザ蹴りで応戦。特にヒジ打ちは、山田が対応できていないように見えた。

試合終了、判定は3−0で藤原が勝利。


nar氏曰く「こりゃあ、2Rに簡単にカウンターを取りすぎた山田が慢心を起こしましたね。3Rの山田のローキックは単調でしたし」。う〜ん、確かに山田は「勝てる試合を落とした」印象はあるなぁ。ヒジ打ちにも脆かったし、他にも色々と敗因はありそうだけどね。

第五試合 中村高明の身長、ずおおおおぉぉぉぉぉ!

ミドル級 3分3R + 延長3分1R
○中村高明(188cm/72.2kg/藤原ジム/全日本ミドル級 一位)
●貴之ウィラサクレック(177cm/72.2kg/ウィラサクレック フェアテックス ジム/J-NETWORKミドル級 二位)
[2R 2分22秒 KO]
※ヒザ蹴り/貴之は1Rにダウン2、2Rにダウン1、2度目のダウンでKO

全日本キック随一の長身の持ち主、中村 高明。やや層の薄い全日本キックのミドル級で長年トップを走り続けてきた選手だが、昨年行なわれた「全日本キック ミドル級最強トーナメント」では、決勝戦正道会館所属の外敵、武蔵の実弟TOMOに完敗。あれから約一年、今日は久々の復帰戦。対戦相手はこのところキック界では猛威を奮う「ウィラサクレック フェアテックス ジム」所属の日本人選手、貴之 ウィラサクレック。ヒジ打ち、ヒザ蹴りを得意とする選手だ。


1R、貴之が仕掛ける。強烈なミドルキックを叩き込み、ワンツーの連打で一気に中村を追い詰める。早くもピンチの中村だが隙を突いて接近しワンツーで反撃、長身を生かした首相撲からのヒザ蹴りで流れを取り戻した。「接近戦では分が悪い」と見た貴之は前蹴りで距離を離そうとする。中盤、中村はロープを背負った貴之を押し込み、反動で戻ったところに右ストレートを一閃。モロに喰らった貴之が浮き上がりながらダウンを喫する。綺麗に決まった一撃に会場は騒然。

立ち上がった貴之はお返しのハイキックをヒットさせたが、中村はコーナー際でラッシュを仕掛ける。ヒザ蹴りと左ストレートがヒットし貴之は再びダウン。それでも立ち上がった貴之、ストレートをヒットさせたが…中村はワンツー、ヒザ蹴り、ヒジ打ちで貴之を倒しに行く。貴之はガードを固めて耐えしのぎ1Rは終了。

2R、組み付けば強い中村、序盤から貴之を何度も押し倒す。大振りなヒジ打ちを放つ貴之だが、中村はパンチで畳み掛け左フック、組み付いてのヒザ蹴りを決める。反撃の右ストレートをヒットさせる貴之だが、中村は再び組み付いてヒザ蹴りを連打、そして右のヒジ打ちを決めて三度目のダウンを奪う。

いよいよ厳しい貴之。それでも立ち上がって右ストレートをヒットさせたが…、中村は怯む事なくワンツーで攻め、飛びヒザ蹴りで一気に接近、至近距離でヒジ打ちを連打。右ヒジがヒットし崩れる貴之、最後はヒザ蹴りのダメ押し。倒れる貴之を見たレフリーが試合をストップした。


う〜ん、試合自体は終始中村のペースだったが、貴之がダウンから立ち上がった後で必ず強烈な反撃を喰らっていたのが気になる。もっと集中しないと逆転負けも充分あり得る結果だったように思える。

第六試合 増田博正の闘志、めらめらめらめらめら!

ライト級 3分3R + 延長3分1R
○増田博正(170cm/61.1kg/スクランブル渋谷/全日本ライト級 二位)
●海戸淳(167cm/61.2kg/S.V.G./全日本ライト級 七位) ※凱斗亮羽から改名
[判定 2−0]

テコンドー殺法を武器に全日本キックで活躍してきた凱斗 亮羽が改名、本名の海戸 淳に戻して今年最初の試合に挑む。その海戸の入場曲がKAT-TUNの「Real Face」だったものだから、さあ大変。PON君、nar氏が揃って騒ぎ出したのだ。「ホラ!KAT-TUNの曲が流れてるんだから間違って後楽園ホールに来てる女性がいますって!」だとさ。うるさくてかなわん。

対戦相手は元全日本フェザー級王者、今回はJ-NETWORKからの刺客として闘う増田 博正。ちなみに33歳の増田だが女性ファンは多い。以前は試合前の花束贈呈で女性の列ができ、5分くらい待たされた事があるくらい。現在の全日本キックは時短のために花束贈呈が廃止されているので待たされる事はないけどね。


1R、リングを左回りしつつローキックを中心にカカト落とし、ハイキック、ミドルキックを混ぜていく海戸。増田はローキックで反撃、中盤に海戸をコーナーへ追い詰めて左ストレートをヒットさせダメージを与えると、終盤にもフックをヒットさせる。1Rは終了したが…、ちょっと気になったのが、終盤に海戸が組み付いて倒した時に増田が嫌そうな顔をした事。怒っているのか?

2R、試合のペースを握った増田はミドルキック、ローキックで海戸を蹴る。更には組み付いてのヒジ打ち、ヒザ蹴り、押し倒し。だが海戸は中盤以降は流れを掴む。ローキックを中心に、ハイキック、カカト落とし、後ろ廻し蹴りの連発し一気に攻め込む。やや押され気味の増田だが、ローキックを海戸に叩き込んで反撃。

3R、開始早々に増田が組み付いて押し倒す…のだが、ここでアクシデントが。下になった海戸が足をバタつかせ、その足が増田にヒットしたのだ。1Rにも怒りの表情を浮かべていた増田はこれで完全にブチ切れた。物凄い形相で海戸に向かっていく増田、再び海戸に組み付き豪快に押し倒す。

今度は海戸に火がついた、ワンツーの連打をヒットさせて得意の後ろ廻し蹴りを放つ。増田は相変わらず何度も海戸に組み付き浴びせ倒す。キックじゃねえ(笑)。終盤、海戸は回転してのバックへのヒジ打ち、ヒザ蹴り、後ろ廻し蹴りを繰り出す。対する増田の打撃は一発KOを狙う余りに大振りに。そんなに怒っているのか?

試合終了、判定について僕は「やや増田が押していたけど、ドローもアリかなぁ」とも思っていた。で、結果は2−0で増田が勝利。


う〜ん、今日の増田は怒って…いやブチ切れていた。アゴが弱い選手なので、キレすぎるあまりにガードが甘くなってパンチを喰らったりしたらどうするんだろ?危なっかしい事この上なし。

第七試合 寺戸伸近の技術、きらあああぁぁぁぁん!

55kg契約 3分3R + 延長3分1R
寺戸伸近(166cm/56.9kg/BOOCH BEAT/全日本バンタム級 一位)
●真二(160cm/55.8kg/OGUNI GYM/NJKFバンタム級 三位)
[判定 3−0]

セミファイナルは「『MACH55から一年』決戦」、昨年のMACH55に出場した二人が対戦。


多彩な打撃を武器に、着実に勝ち星を重ねる寺戸 伸近。戦績は12戦10勝1敗1分4KO、唯一の1敗は昨年のMACH55でバンタム級 最強の一角であるNJKFの国崇につけられたもの。あれから一年、タイではムエタイ選手をKOし、3月には割澤 誠を相手に秒殺勝利。先に見えるは国崇へのリベンジか?

対するは「NJKFの重戦車」真二。彼の闘い方は至ってシンプル、ひたすら相手の打撃を耐えつつローキックを連打、寺戸とは好対照だ。MACH55では決勝戦まで進んだが、最後は藤原あらしに判定負け。その後で国崇と「NJKFバンタム級 頂上決戦」に挑み、やはり判定負け。再び頂点を目指す為にも、この試合での勝利は必須といえよう。


1R、早くも寺戸の多彩な打撃が冴える。ミドルキック、ローキック、ワンツー、テンカオと打撃を上中下に分けて攻めている。真二はガッチリとガードを固めて打撃をしのぎ、ひたすらローキックを連打する。これぞ真二の真骨頂。だが寺戸は終盤、アッパー、ワンツーの連打、ミドルキックの連打、ボディブローを次々にヒットさせて試合のペースを握る。

2R、寺戸が攻める。ワンツー〜ローキックの連発、ストレート、ボディブロー連打。更にはアッパー、ローキック〜ワンツー、ワンツー〜ミドルキック、アッパー…と矢継ぎ早に打撃を繰り出す。徐々に真二の動きが落ち始めるが、それでも真二はガードを固めてローキックをひたすら連打。終盤、寺戸は飛びヒザ蹴り、ヒジの連打、ワンツースリーフォー〜ローキックを繰り出して攻勢。それでも真二はガードを固めてローキックの連打。頑固だ。

3R、やはり主導権は寺戸、パンチの連打とローキックが止まらない。真二もワンツーの連打〜ローキックで対抗。中盤、寺戸はアッパー〜テンカオ〜ローキックの連打、飛びヒザ蹴り、フックをヒットさせるが…ここに来て攻め疲れを起こす。チャンスと見た真二が攻める。ボディブロー、ストレート、そして得意のローキック。だが寺戸は、気力を絞ってローキック、ボディブロー、ワンツー〜ローキック、アッパーと反撃、付け入る隙を見せない。

試合終了、判定は3−0で寺戸が勝利。


nar氏が昔からイチオシしている寺戸は今日は危なげなく勝利したが、PON君が好きな真二も「らしさ爆発」な闘い方。真二はこの闘い方を曲げるつもりがないのであれば、もっとローキックの破壊力を増やすしかないかな?寺戸の方はそろそろ海外の強豪との対戦とか、ムエタイ越えなんて観てみたいね。

第八試合 後楽園、ごおおおおぉぉぉぉぉっ!

60kg契約 3分3R + 延長3分1R
大宮司進(168cm/62kg/シルバーウルフ/ISKA世界スーパーフェザー級 王者)
石川直生(176cm/62kg/青春塾/全日本スーパーフェザー級 王者)
[判定 2−0]
※石川は1Rにダウン1/大宮司は3Rにドクターチェック1

全日本スーパーフェザー級王者の石川 直生が初のメインイベントに挑む。甘いマスクと長身を持つ石川の得意技はヒジ打ちとヒザ蹴り。特にヒジ打ちは、このところ対戦相手を次々に流血KOへと追い込んでおり、本人もその切れ味には自信を持っている。リングに上がればシャドーボクシングから水を天井へ噴くパフォーマンス、「自分大好き」は今日も健在。

対戦相手はK-1 MAX 世界王者にもなった魔裟斗が率いる「シルバーウルフのNo.2」ISKA世界スーパーフェザー級王者の大宮司 進、シャープなパンチを武器に持つ選手だ。セコンドには魔裟斗の姿、そして今日は応援団も大量に駆けつけた。選手コール時には、アウェーであるにも関わらず石川に負けない大声援が。


1R、初のメインで緊張しているのか、どこか動きの堅い石川。大宮司に接近されまいと前蹴りを連打するが、大宮司は緊張する事なくミドルキックとローキックを放ちつつ、フックやワンツーを繰り出す。モロに喰らった石川がグラつく。

精神的に優位に立った大宮司は、その後もストレートやワンツーで石川を攻め立てる。ヒジ打ちに合わせてカウンターのフックを入れる大宮司。焦る石川は前蹴りを放つが、そこへ大宮司の右ストレートがクリーンヒット。喰らった石川がダウンすれば、大宮司応援団からは大歓声が、石川応援団からは叱咤激励が飛ぶ。

そしてこの声援が凄い。今までの試合も激闘続きで歓声が大きかったが、この試合はもう根本的にレベルが違っていた。今年の歓声でいえばDEEPでの「桜井隆多 vs 長南亮」並。凄いなぁ石川、こんな声援を貰える選手に成長したんだなぁ。

2R、1Rにダウンを喫した石川だったが、これで目が醒めたのか堅さがなくなった。テンポ良くヒジを連打、ハイキック等も繰り出す。ローキックを出せば大宮司がスリップ、石川応援団から歓声が沸く。得意の組み付いてのヒザ蹴りの連打も炸裂、失点を取り戻すべく石川が攻める。

ペースを乱されつつある大宮司が接近してストレートを繰り出す…が、石川は前蹴りを多用し大宮司の距離を撹乱。終盤には飛びヒザ蹴り、組み付いてのヒザ蹴りの連打も飛び出した。もはやペースは完全に石川のもの。今度は大宮司応援団から叱咤激励、石川応援団から大歓声。1Rとは逆の展開だな。

3Rは「会場の中で声を出さない人はいない!」というくらいの大歓声の中でスタート。そして、ここで石川得意のヒジがフル回転。大宮司が前に出れば前蹴りで突き放し、自ら組み付けば掴んでのヒジ打ちを猛連打し、ボディへはヒザ蹴りを連発。そんな中、ストレートやフックをヒットさせる等、パンチも忘れていない。大宮司はヒジ打ちから身を守るのが精一杯の状態、石川の逆転勝利が見えてきたこの展開に会場は上や下やの大騒ぎ。


そして…中盤。ついに石川の右ヒジが大宮司の額をカット。


流血する大宮司をレフリーがチェックする中、石川は自らの右ヒジをアピール。石川応援団は今日一番の大歓声、大宮司応援団からは「まだ、やれるぞ!」「止めるな!」という怒号が飛ぶ。やがてチェック終了、試合は…続行。会場が再び大歓声に包まれる。

試合は最終盤、石川はトドメを刺すべく大宮司に組み付き、その傷口に拳やヒジをゴリゴリ押し込む。残酷な光景だが、興奮しきった石川応援団からは「いけーっ!やれーっ!」という声援で後押し、大宮司応援団からは「やめろーっ!汚ねぇぞ!」の怒号が飛ぶ。すっかり劣勢の大宮司だが大振りなパンチで反撃、石川も応じて最後は壮絶な殴り合いに。会場の興奮が醒めないうちに試合は終了、最後まで歓声が途切れる事はなかった。

さて判定だが、僕は「1Rは石川がダウンを取られているが、2Rと3Rは石川が取っている」と見て28−28のドローと予想した。で、実際の結果は…。レフリーの一人は28−28としたが、残り二人は2Rの石川の優勢を「有効打なし」と判断、29−28で大宮司の勝利とした。これで2−0、大宮司の勝利だ。

ガックリとうなだれる石川の横で、大宮司は応援団と共に喜びを分かち合う。試合後にマイクを持った大宮司は「K-1に60kg級を作り、俺がエースになります!」と力強く宣言していた。


横にいたPON君が「後からあんなに一生懸命になるくらいなら、なんで1Rにダウンしちゃうんだよ!」と本気で悔しがっている。本当に「1Rの堅さがなければ…」と思うと残念でならない。それでも、この試合を観れば石川の成長は誰もが認めるところだろう。この試合を糧に更に強い選手になって欲しい。


石川、惜かった。

雑感

今日は他団体のお客さんを取り込んでいるせいか、観客の沸点が全体的に低く、ちょっとした事で「ワーッ」と盛り上がっていた。そういう意味では「CROSS BOUT」というコンセプトは大成功だといえる。また今日は、好勝負が続出していたこともあり、会場は最初から最後まで沸きっぱなし。いや〜、凄かった。

その中でも特筆すべきはやはりメイン。全日本キックのライト級の選手達が次々に離脱する中、試合の中心をフェザー級へと移した全日本キック。初期の頃は観客動員にも苦労し、今日の入りも決して満足のいくものではなかったが、他団体に出場したりして話題を提供してきた石川がホームでこれだけの大歓声を受けるというのは本当に感慨深い。今日の試合をバネに、再び後楽園ホールのメインを張れる、そして勝てる選手に成長して欲しい。


以上、長文失礼。