4/11 DEEP 後楽園ホール興行 2分の1だけど画像付き観戦記・改

はじめに

最初にアップした文章から、かったるい前半部をカットしてみました。ちょっとはスッキリしたかな?



デカくて1000円

本日は仕事してメシ食ってから、後楽園ホールにてDEEPを観戦。…おかげで半分しか観戦できなかった。せめてメシは観戦後に食えば良かったかなぁ。

メシを食ってからの観戦、という間抜けな事態になった理由は…実は今回のDEEP、僕自身はあまり観戦する気がなかったのだ。理由は単純に「興味を惹くカードがなかったから」だが、腹一杯になりながら対戦カードを見直した時に「ザ スネーク」の名前を発見。その旧名が「シリル ディアバデ」である事を知った瞬間に観戦のスイッチが入ったのだ。…イヤイヤ我ながら、もう少し前に気付けば良かったんだがなぁ。

さてディアバデについてだが、僕は昔、SBにて彼の試合を観戦した。この時は日本人選手を相手に圧倒的な試合展開でKO勝利をおさめているのだが、僕は彼の大きさと強さに驚嘆し、当時「近いうちにまた観たいな」と思っていた選手なのだ。…あれから待つ事、実に四年。今日はキック系のルールで闘うわけではないのが残念だが、また彼を後楽園ホールのような小さい会場で観れるのは嬉しいね。やはり観戦の基本は「デカくて1000円」。ま、実際は立ち見にも関わらず5000円も払わされているわけだが。

今回のパンフレットは以前より紙の質が落ちているにも関わらず、しっかり1000円取られてしまった。細かいかもしれないが、こういうのは結構ガッカリするんだよなぁ。

第六試合 存在そのものが危うくなってきている気がする

契約体重無し 5分2R
ゲガール・ムサシ(186cm/91.2kg/オランダ/ジュロージンジム)
入江大和(182cm/97.0kg/キングダム エルガイツ) ※入江 秀忠より改名
[2R 1分29秒 TKO]
※タオル投入

この試合から観戦。よりによって入江の試合からとはねぇ…。

今日の入江は調整不足の為か無理して体重を上げているのか、お腹の肉がかなり余っていた。対するムサシのセコンドには美濃輪 育久の姿が。何でだろ?

試合では入江がムサシの打撃に成す術なし。1R、開始早々から入江を押し倒しドカドカとパンチを打ち下ろすムサシ。劣勢の入江がタックルを仕掛けるもムサシは倒れず。今度は引き込んでのフロントチョーク。入江は約2分間、絞めの体勢をキープしていたものの…極まる事はなくブレイク。入江はこの絞めで逆にスタミナを消耗、終盤には自分から寝てしまう場面も。再びムサシに倒されてパンチを浴び続ける入江、いよいよ厳しい。

2R、組み付かれた入江はロープを使ってテイクダウンを免れ(もちろん反則)、逆にムサシを押し倒す…が、グラウンドで上になったのはムサシ。ここは展開なくブレイクとなるも、立ち上がった入江はスタミナ切れが著しい。そんな入江にムサシがスタンドでパンチを次々に入れる。もはやフラフラの入江、逃れるようにムサシに組み付くが、逆に倒される。ムサシがマウントパンチを浴びせると入江はグッタリ、セコンド陣がタオルを投入して試合は終了。

う〜ん、今のDEEP…、「PRIDEの下部興行」的な位置づけになったDEEPには入江の入る隙はない気がするなぁ。それはこの試合に負けたから…とかじゃなくて、これまで彼が演じてきた「入江劇場」に居場所が全くない、って事なんだけどね。隙間産業に苦しい時代が来た、というか…。

第七試合 DEEP女子の頂点は、小娘にはまだまだ譲れない

女子48kg契約 5分2R
しなしさとこ(148cm/45.8kg/フリー)
●山戸志保(154cm/47.0kg/禅道会広島支部)
[2R 2分10秒 腕十字固め]
※「グラウンドでの頭部への打撃なし」のルール

選手コール時には赤いテープが大量に投げ込まれる「DEEPのお姫様」、しなしは「今が青春」だ!


□何いってるの!私は「いつだって青春」よ!
http://blog.shinashi.com/images/card01.jpg


試合は終止、しなしのペースで進む。1R序盤こそ山戸の粘り腰に苦戦したが…一度倒せば「こっちのもの」、仕掛けの早い足関節技が何度も山戸を襲う。だが山戸、若さと根性と体の柔らかさで技から逃れていくと、逆に上になってしなしにスリーパーを仕掛ける場面も。観客は山戸の頑張りに大歓声を上げる…が、しなしはこれを外すとお返しとばかりにバックからスリーパー。やはり強い。



2R、組み付いて腰投げで山戸を倒したしなし、マウントから腕十字の速攻。傍から見ると山戸の腕は「への字」になっており、どこをどう見ても極まっているのだが…、ここでも若さと根性と体の柔らかさを発揮した山戸が強引に逃れてしまう。再び観客から大歓声が上がった…が、尚も続くしなしの腕十字、一度くらい外されても何度も何度も極めに行く。山戸は尚も必死に逃れ続けたが…何度目かの腕十字が極まってしまい、試合は終了。しかし山戸の大健闘に、観客からは惜しみない拍手が贈られていた。

う〜ん、最後はスッキリ勝ったものの、最近のしなしは極めるまでに苦戦している印象があるね。女子格闘技界全体のレベルの上昇が原因なのだろうなぁ。それでも最終的には一本を取るのだから、さすがは女子格闘技界のトップ、というか。

でもまあ、この試合の主役は山戸だろう。急なオファーにも関わらずかなり頑張ったと思う。まだまだ若いし、この先にも期待したいところ。

第八試合 柔術の選手同士のMMAはこうなりがち

70kg契約 5分2R
○BarBaro44(171cm/69.5kg/クラブ バーバリアン)
●シセーロ・コスタ(170cm/69.2kg/ブラジル/バルボーザ柔術)
[判定 3−0]

単調な展開だったのでダイジェストで。タイトルにある通り、お互いに柔術の選手なのだが…この試合は殆どがスタンドでの打撃戦となった。しかもその打撃は一方的、BarBaroのストレートやローキックが何度もクリーンヒット。劣勢のコスタは苦し紛れにタックルを入れるも、その全てをBarBaroに切られてしまった。2Rの最後にはコスタのタックルを潰して上を取ったBarBaro、試合終了まで上からパンチを落とし続けた。判定は3−0のストレートでBarBaroが勝利。



「最近の『柔術系選手同士の試合』はどうにもこうなってしまう」って感じの試合。それにしてもコスタの打撃の技術はまるでダメだった。いい言い方ではないが、今日のBarBaroは労せず勝利したように見えた。

第九試合 横田の事は、そろそろちゃんと覚えた方がいいな

73kg契約 5分2R
横田一則(172cm/72.1kg/GRABAKA)
△ミルトン・ヴィエイラ(182cm/72.5kg/ブラジル/ブラジリアン トップチーム)
[判定 1−1]

ここのところDEEPの舞台で頭角を現しているのがGRABAKA所属の横田 一則。デビュー以来負けなしで、DEEPデビュー戦では長岡 弘樹をも撃破している。「GRABAKAの総帥」菊田 早苗もその実力に太鼓判を押す横田、今日の対戦相手は…、今日のメインイベントに出場する帯谷 信弘とも引き分けている強豪、ミルトン ヴィエイラ



1R、パンチを出しながら前に出たヴィエイラ、早々とグラウンドでバックを奪い、バックマウントからスリーパーを狙ったりパンチを落としたり。劣勢に立たされた横田だがここは何とかしのいでブレイク。今度は横田が逆襲、首投げでテイクダウンを奪う…も、ヴィエイラは下から腕十字〜三角絞めの速攻。ガッチリ極まった…かに見えたが、横田はこのピンチをもしのぐと、ヴィエイラを潰して上になりパンチを落としていく。ヴィエイラは何とか上体を起こして横田に抱きつくも、横田は突き放してパンチをドカドカと落とす。

2R、スタンドでのお見合いが続いたが、横田に組み付いたヴィエイラが引き込んでグラウンドへ。上になった横田のパンチを長い手足で防御するヴィエイラ、ならばと横田はじわじわとコーナー際へと運んでいき、ヴィエイラの上体をコーナーへ立てかけてパンチやヒザを浴びせる。GRABAKA応援団は大歓声だ。しかしヴィエイラ、コーナー際から低いタックルで横田の片足を取り、ここを基点に崩してテイクダウンを奪う…、ここで試合はストップ。ヴィエイラのグローブがズレたらしい。

どうでもいいが…このストップ、結構長くって退屈だ。しゃーないので、ラウンドガールのオネーチャンでも観るか。



ようやく試合再開。ハーフマウントになったヴィエイラ、逃げる横田を逃がさずバックマウントを奪い、パンチを落とす…が、横田は立ち上がって脱出すると、しつこく組み付いてくるヴィエイラの上になってパンチを落とす。GRABAKA応援団の大歓声の中、試合は終了。判定は1−1、三者三様の判断でドローに。

う〜ん、極めっ気がないのが菊田を想わせる…のだが、こんな試合をされたのであれば横田の実力は認めなきゃいかんなぁ。ただ今日の相手は、積極的に極めに来るタイプの選手だったのでグラウンドでの逆転も多かったものの、これがアマレス系や柔道系の「押さえ込みが滅法強い選手」だったら苦戦しそうな気がするなぁ。まあ、まだまだデビューして間もないし、気長に強くなるのを待ちますかね。

第十試合 デカくて1000円!

90kg契約 5分2R
○ザ・スネーク(198cm/89.2kg/フランス/TEAM Boon!)
滑川康仁(181cm/88.4kg/TEAM M.A.D)
[2R 2分22秒 KO]
※グラウンドでの鉄槌の連打



いや〜、四年ぶりに見るザ スネーク(シリル ディアバデ)だけど相変わらずデカイ!そして細い!見るからに「キックボクサー体型」のスネーク、露骨に腰が軽そうだな。

対するは…結構久々な感じがする滑川 康仁。セコンドには何と美濃輪育久松井大二郎、そして横井宏孝の姿。おお、ここに来てRINGS、PANCRASE高田道場の大連結が見れるとは!…それにしても松井は高田道場を離脱したとかいう噂があるけど本当なのかね?

1Rは滑川がグラウンドで圧倒、腰の据わらないスネークは何度も倒される事になる。スネークに組み付いて投げを放ちテイクダウンを奪う滑川、ニー イン ザ ベリーのような体勢から首を取ってフロントチョークを極める…が、スネークが脱出しスタンドへ。再び組み付いて横を取った滑川が腰の粘りが弱いスネークをテイクダウン、サイドを奪って押さえ込む。スネークは長い足を利用して下からヒザ蹴りを繰り出す…も、DEEPではグラウンドでの頭部への蹴りは反則、スネークにイエローカード



試合再開、マウントを奪う滑川。スネークはどうにか逃げる…も、尚もサイドをキープする滑川。スネークはガードポジションへ戻すも、滑川はハーフマウントから肩固めを極めようとする。1R終了、滑川はここまではいい感じ…だったのだが。

2R、スネークの高いミドルキックをかわしつつ滑川が組み付く…も、スネークはヒザ蹴り。これがクリーンヒット、嫌がる滑川が離れる。これを見たスネークはローキックやワンツーで前に出る。下がる滑川がもう一度タックルでスネークの片足を取る…が、スネークはここを堪えてヒザ蹴り。再び離れて下がる滑川、最初のヒザ蹴りはかなり効いていたようだ。

流れを掴んだスネーク、長いリーチから繰り出すパンチで滑川にプレッシャーを与え、コーナー際へと追い込むとワンツーをヒットさせる。ダウンする滑川、インサイドガードを奪ったスネークは追い討ちの鉄槌を連打。例えマウントを奪わなくても、長いリーチから繰り出される鉄槌は滑川の顔面を捉え続ける。滑川グッタリ、レフリーが試合を止めると、セコンドの美濃輪と松井が慌てて滑川の元へと走っていった。



スネーク、勝つには勝ったが…やはりその体型を観ると、キックボクシングでの試合が観たくなる。とはいえ、日本のキック界は75kg〜95kgくらいの体重って空洞地帯なんだよなぁ。せめてK-1 JAPANK-1 GPとちゃんと差別化されて、85kg〜90kgくらいの選手の活躍の場になっていればなぁ。

第十一試合 何気に初めて観たんだけど…、強いな帯谷って!

DEEPライト級 王者決定戦 5分3R + 延長3分1R
帯谷信弘(170cm/69.9kg/木口道場レスリング教室 TEAM RASCAL)
雷暗暴(165cm/69.7kg/アメリカ/PUREBRED大宮 雷道場)
[判定 3−0]
※帯谷が新王者に
※「グラウンドでの蹴りを認める」ルール

本日のメインイベントは、三島 ド☆根性ノ助が返上して空位になったDEEPライト級の王者決定戦。そのタイトルを争うのは…2003年の修斗ウェルター級 新人王トーナメントを圧倒的な強さで優勝している帯谷 信弘と、ちょっと懐かしい名前になってしまったものの、かつては修斗ウェルター級 世界一位まで昇り詰めた雷暗 暴の二名だ。う〜ん、昨今の軽量級の総合格闘技界は本当に修斗勢が席巻している、というか。



試合については、かなり一方的だったのでダイジェストで。観るからに太い足とバランスの良い上半身を持つ帯谷、1Rから積極的に前に出て重いローキックを中心に、アッパー、ヒザ蹴り、フックと多彩な打撃で雷暗を追い込んでいく。対する雷暗は顔面をすっぽりと覆うピーカブースタイルのガードで、しかも上体を振る事もない為、帯谷のパンチのラッシュを一方的に受けてしまう。またローキックに対するガードも皆無でロクな反撃ができず、時折単発のストレートを繰り出すのが精一杯の状態。

2Rになると上記の傾向は更に顕著になり、雷暗の動きはどんどん鈍っていく。帯谷が手を抜く事なくパンチのラッシュを繰り出し続ければ、早くも勝利を確信した帯谷応援団が大歓声を上げる。



しかし3R、敗色が濃厚な雷暗が組みに行く。グラウンドに活路を見出したいのだろう。対する帯谷、最初の組み付きはコーナー際でブレイクを誘い、スタンドでワンツー、ヒザ蹴り、ボディブロー、ローキックと次々に打撃をヒットさせる。…が、雷暗はここに来てタックルで強引にテイクダウンを奪った。



意気消沈していた雷暗応援団が大歓声を贈る中、雷暗はバックマウントを奪う…も、乗りすぎてしまったが為に帯谷に振るい落とされてしまった。更には踏みつけの憂き目にあう。

だが雷暗は諦める事なく、雷暗は残り1分の時点で帯谷を倒し、執念でマウントを奪う。雷暗応援団の大声援の中、雷暗が乱暴にパンチを落とす。帯谷応援団からも悲鳴と激励の帯谷コールが交差、しかし帯谷は決定打を許す事はなかった。

試合終了、判定は3−0のストレートで帯谷がDEEPライト級の新王者となった。マイクを持った帯谷は「自分が、第二代DEEPライト級王者の帯谷 信弘です! これからもっとDEEP代表、そして日本代表として世界の強い奴とやっていきたいと思いますので、応援よろしくお願いします!」とアピール、そんな帯谷を仲間達が胴上げで祝福。



タイトルにも書いたんだけど、初めて見たんだけど…帯谷は強いねぇ。ローキックは強烈だったし、パンチについてもコンビネーションは細かいし、アッパーの使い方も巧かったし。あれならもっと強い外国人との対戦も観てみたいし、PRIDE武士道での活躍も期待したいところだなぁ。

雑感

半分しか試合を観戦していないけど、満足度は高いなぁ。今日はメイン以外の試合が「5分2R制」なのが上手く回っていたと思うね。内容も好勝負が多かったし。その中でも目を惹いたのは「スネークの巨大さ」と「帯谷の強さ」。二人共、もう少し大きい舞台でも充分に活躍できるように思うし、そういう姿を観てみたい。



その反面、入江の惨敗劇は古くからDEEPを観る者にとっては小さな一大事。「過去のDEEP」と「現在のDEEP」の違いを見せられた感じがした。もう「ルチャリブレ vs 日本選抜」の頃のDEEPには戻れないんだろうなぁ…。何となく寂しい感じがするのは何故だろう?


以上、長文失礼。