4/9 PANCRASE ディファ有明興行 観戦記

「キャバクラ断ち」は成就するのか?

今日はディファ有明PANCRASEを観戦、チケット代は4500円。ディファに来るのは久しぶりだが、僕の好きな2F席は開放されていなかった。残念、ディファはあそこが一番観易くて好きなのだが。

最近は後楽園ホールすら満員にできなくなる程に、団体の体力が落ちているPANCRASE。かつての勢いを思えば寂しい限りだが、さすがにディファを満員にできる体力は残っていた。メイン以外のカードがそんなに強力ではない事を考えると、この入りは「まずは上々」とはいえるだろう。

注目カードは、やはりメイン。元極真会館の野地 竜太とプロレスリング ノアの杉浦 貴が激突。僕としては、杉浦の久々の総合格闘技参戦が楽しみ。プロレスラーとして結構好きなんだよね。

尚、この項のタイトル「キャバクラ断ち」については以下のURLを参照の事。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/column/200602/at00007685.html

ニュースの内容

2カ月後に総合挑戦を控える杉浦は「悪い先輩からの誘いは断らないと(笑)」と、ライフワークのキャバクラ通いも一時封印。「練習でやっていることを試合で出せればいい。もし間違ってベルトを獲ったら(鈴木)みのるに見せびらかします」とパンクラス初勝利とヘビー級王座奪取に意欲を示した。

ちなみに売店では、噂の「トコトコ光留くん人形」が売っていた、のだが…。正直、アレで1500円というのは、ドラマ「TV's HIGH」に出てくる「お湯の叫び(※注)」ばりのボッタクリ、というか。


※注:「お湯の叫び」とは、ヤカンのキュウスの先にくっつけるムンク「叫び」の形をした人形。8500円。

第一試合 金井が勝ったけど感想がでないなぁ

ミドル級 5分2R
○金井 一朗(176cm/80.1kg/PANCRASE ism)
●山田 護之(174cm/81.7kg/チームPOD)
[1R 2分11秒 チョークスリーパー]

お見合いからジャブで牽制する両者。試合開始から1分後、金井の右フックがヒット。崩れた山田の脇を差してテイクダウンを奪った金井がハーフマウントから肩固めのようなチョークを披露、これが極まって試合終了。

ismの選手でありながら、あまりPANCRASEで勝利を得ていない金井の勝利なのだが…。昨年、PANCRASE観戦をサボっていたせいもあってか「早かった」っていう事以外に感想が出てこない、というか。我ながら貧弱だ。PANCRASEに関しては一から出直しだ。

第二試合 村田はどうにもこうにも勝てないなぁ

フェザー級 5分2R
○山本 篤(167cm/63.5kg/KILLER BEE)
●村田 卓実(169cm/63.6kg/和術慧舟會A-3)
[2R 1分37秒 チョークスリーパー]

1Rはスタンドでの打撃戦。寝技を得意とする村田には不利な展開で、山本に追い詰められる場面が多かった。山本は所々で左ストレートを村田の顔面に入れ、コーナー際で組み付いてのパンチ。村田もパンチで対抗するがどうにも劣勢。

2R、前に出てきた村田を逆にテイクダウンする山本。村田は腕を極めようとするも、山本はうまくコントロールしてバックを奪い、体を伸ばしてスリーパーホールド。これが極まって試合終了。

う〜ん、村田は勝てないなぁ。実はDJ.taikiからも、試合内容こそピリッとしなかったけど勝ったりしてるんだけどねぇ。月並みな意見だが、ここから上を目指すのならもう少し打撃対策を徹底した方がいいように思う。

山本はこれでPANCRASEで7戦6勝1敗2KO2S。この実績ならDJ.taikiや前田 吉朗と闘っても面白いし、外国人選手との対戦も観たいね。

第三試合 和田は自力はあるんだけどなぁ

ウェルター級 5分2R
△和田 拓也(171cm/74.9kg/SKアブソリュート/PANCRASEウェルター級 八位)
△小路 伸亮(168cm/74.7kg/KILLER BEE)
[判定 1−0]

1R、和田を睨みながら、硬そうな筋肉がついた体を低く構えてタックルを仕掛ける仕草をする小路。和田はリング中央で様子見。小路は単発のフックで牽制しつつ遠距離からタックルを試みる…が、和田に切られ続ける。反対に和田の左ストレートや組み付いての上段ヒザ蹴りがヒット。ラウンド終盤、ヒザ蹴りを放った時にバランスを崩した和田、上になった小路はパンチを落とす…が、和田は三角絞め & 蹴り上げで小路を遠ざけてグラウンドを脱出。

2R、スタンドでワンツーをヒットさせる和田。小路も左フックをヒットさせると、タックルでコーナー際にてテイクダウンを奪いパンチを落とす…も、場所が悪かったせいか何度もドントムーブが掛かり、チャンスを生かせない。ブレイク後、途中で小路の左フックを喰らったが…、和田はアッパー、左ストレート、組み付いての上段ヒザ蹴りをヒットさせる。ちょっと息切れする小路が再びタックルでテイクダウンを奪う…が、和田は下から腕を極めようとする。小路が外してパンチを落としているうちに試合は終了。

判定は一人が和田を支持したものの、二人が「差はなし」とした為、ドローに。小路は質量のありそうな筋肉から出る圧力は凄かったが、和田の前では「圧力は凄かったが…それだけ」って感じになってしまった。後半はスタミナ切れを起こしていたように見えたし、課題は山積みか?

和田は自力では上だと思うが…、今日は小路の威圧感やガラの悪いセコンド陣の野次に気圧されてしまった。度胸負け。

第四試合 瓜田が負けたと思ったけど判定がおかしいなぁ

ミドル級 5分2R
△中西 裕一(180cm/81.9kg/フリー/PANCRASEミドル級 六位)
△瓜田 幸造(174cm/80.9kg/掣圏会館)
[判定 1−0]

バックマウントを奪うのが得意な中西 裕一と、佐山サトル率いる掣圏会館グラップラー 瓜田 幸造の対戦。

1R、中西がタックル。1度目は瓜田に離された、2度目が決まってグラウンドへ。下になった瓜田を持ち上げてバスター、瓜田は脱出を試みるも中西が潰し、半立ちになってパンチを落としていく。終盤、このパンチを受け止めた瓜田が下から腕十字を仕掛けるが失敗。中西はラウンド終了まで鉄槌を落とす。

2R、ローキックで牽制する瓜田、中西はタックルを仕掛けるも瓜田が突き放す。スタンド勝負、フックで攻め口を作った中西が組み付いてテイクダウンを奪い、大得意のバックマウントへと移行。ここから約3分間、中西はバックからパンチを落としたりスリーパーホールドを狙い続ける。瓜田は全く脱出できず。

試合終了、判定は「当然、中西の勝ちだな」と思っていたら、なんとこれが中西の1−0でドローだという。えええぇぇぇ〜っ、ちょっとこの判定はないんじゃないかなぁ?この展開で、どういう点数のつけ方で瓜田と中西を同等の実力と観たのやら。さすがにちょっと呆れさせられた、というか。中西…、無念。

第五試合 ペイジはひたすら力まかせだなぁ

フェザー級 5分3R
○志田 幹(164.5cm/63.8kg/PANCRASE P's LAB東京)
●ダマッシオ ペイジ(165cm/63.9kg/アメリカ/ジャクソンズ サブミッション ファイティング)
[判定 3−0]

初来日のダマッシオ ペイジの雰囲気がちょっとスゴイ。体はナチュラルに力がありそうだし、風貌もどこか野性味がある。「あしたのジョー」に出てくるハリマオがちょっとオシャレしたような感じなのだ。で、試合が始まれば…、ペイジは試合スタイルもハリマオばりだった。

1R、ペイジはメチャメチャ大振りな打撃を振り回しながら志田に組み付き、大きく持ち上げてバスター、テイクダウンを奪う。豪快なペイジの動きに観客が驚きの声を上げた…が、志田は下からのリバースに成功、サイドを奪う。観客の歓声の中で志田は、上半身を起こしてペイジの腕を捻じ切るようなチキンウィングを極める。「極まったな」と思ったが、野生児ペイジは全身を使って強引に脱出。「ならば!」と志田、今度は腕十字に捕らえる…がペイジは蹴りで脱出、上になる。観客からはまたしても驚きの声、何だか凄いなペイジ。

だが上になったペイジは攻めきれず、両者スタンドに。もの凄い大振りなパンチで志田に襲い掛かるペイジ、あまりにも大振りすぎてバランスを崩して転倒、観客は唖然。潜ってインサイドガードを奪う志田、ペイジが下から蹴り上げるも、志田も上から蹴る。1R終了、観客からは今日一番の歓声。

2R、とにかくペイジが何事も力任せ。ワンツーから組み付いてテイクダウンする志田、ペイジは強引に返して上になる。志田は下からフロントチョーク、ペイジは半身を起こしてグラウンドで強引に志田を投げる。両者スタンド、またしても大振りすぎるパンチで勝手に倒れるペイジ、労せず志田はサイドを奪い、ヒザ蹴り、鉄槌、腕を極めに行く…等で攻めてバックマウントへ移行、ジワジワとパンチを落としたりスリーパーを狙ったり。ペイジは亀になったり伸ばされたりを繰り返す。亀になるのはスリーパー対策だろう。

3R、パンチを連打して猛突進するペイジに志田のカウンターのストレートがヒット。ダウンするペイジ、被さる志田だがペイジが逆転して上に。パスガードを狙うペイジ、立ち上がってフットスタンプ。だが志田は下からペイジを捕まえて三角絞めを狙う。「ならば」とペイジは上から腕を捕る…も、進展なくブレイク。残り1分、ペイジは右フックをヒットさせるとタックルでテイクダウンを奪い、パンチを落としたりパスガードを狙ったり。志田は色々な場所を抱えてペイジを攻めさせない。

試合終了、判定は3−0で志田が勝利。いや〜、よくわからんがペイジは凄かったなぁ。なんでもかんでも強引な力だけで志田の攻めをしのいでいたのには驚いた。スタミナも最後まで切らせなかったし、こりゃあもう一回観てみたい選手だな。

そんなペイジを攻め続けた志田も見事。この人はハマると本当にいい試合をするねぇ。

噂のアレを食ってみた

休憩時間中、前々から噂に聞いていた「ディファカレー」を食ってみた。味は…ギャーギャー騒ぐ程には旨くなかったが、とりあえずデカい肉が多いのが嬉しかった。何も期待しないで食うと意外と嬉しいかもね。

第六試合 久松先生の久々の勝利は嬉しいなぁ

ミドル級 5分3R
○久松 勇二(177cm/81.5kg/和術慧舟會TIGER PLACE/PANCRASEミドル級 九位)
●渡辺 大介(180cm/81.3kg/PANCRASE ism)
[判定 3−0]

「久松先生」こと久松 勇二は、実力はあるのだが何故かPANCRASEでは10戦1勝7敗2分と奮わない。「11PMのテーマ」にのってピンクのビキニを穿いた「J-Boys」を従え入場する久松先生、今日は自らもスパッツを新調。もちろん色はピンク。

1R、中距離を保つ両者の単発の打撃が淡々と交差。久松先生はローキックを中心にワンツー、ミドルキックをヒットさせていく。特にローキックが効果的で早くも効いている様子。渡辺もストレートを返していくも手数で圧倒的に久松先生に劣る。

2R、久松先生はローキックとミドルキック、渡辺はワンツーをヒットさせる。組んだり離れたりを繰り返す両者、中盤に久松先生がカウンターの右ストレートがヒット、倒れた渡辺の上になる久松先生が上からパンチを落とす。渡辺が逃れて両者スタンド、渡辺のストレートにめげず久松先生はミドルキックを叩き込んでいく。

3R、序盤では渡辺のワンツーが何度かヒット、しかし久松先生はミドルキックやストレートをヒットさせるとコーナー際でテイクダウンを奪う。下から渡辺が腕十字を仕掛ける場面もあったが、久松先生はじっくりとパスガードしてサイドを奪う。だが立ち上がって蹴りを放った以外には目立った攻めがなくブレイク。立ち上がった渡辺はバテバテの状態、久松先生がミドルキックを入れる。フラフラしている渡辺のパンチが空を切る中、試合は終了。

判定は3−0で久松先生が久々にPANCRASEで勝利。勝った久松先生はマイクで「ミドル級戦線を荒らします」と宣言し「J-Boys」と共に記念撮影に応じていた…が、「J-Boys」は立ち位置が定まらず右往左往していた。ポーズくらい決めておけよ…とは思ったが、悪い選手ではないのでこれからも勝ち続けて欲しいところ。

渡辺については…、ノーコメントでお願いします。

第七試合 金ちゃんのボヤキが聞こえてきそうだなぁ

ヘビー級王者決定トーナメント一回戦 Bブロック 5分2R
○アルボーシャス タイガー(180cm/95.0kg/リトアニア/ラトビア士道館)
●金原 弘光(178cm/90.1kg/U.K.R.)
[判定 3−0]

セミファイナルは士道館のヘビー級戦士 アルボーシャス タイガーと、元U.W.F.の「ボヤキング」金原 弘光による対戦。PANCRASEでもなんでもない。

1R、組み付いた金原がテイクダウン。ハーフマウントからパンチを落としてパスガード、サイドを奪って腕を極めに行くがアルボーシャスが強引に立ち上がる。スタンドではアルボーシャスの左フックがハードヒット、金原は一撃でダウン。だがアルボーシャスは深追いせず、金原が立ち上がるのを待つ。両者スタンド、金原はローキック、アルボーシャスは左ミドルキック、ヒザ蹴りをヒットさせる。終盤、アルボーシャスの右フックがヒット、金原は二度目のダウン。待つアルボーシャス、再びスタンド。そしてアルボーシャスの右フックが再びヒット、金原は三度目のダウン。またまた待つアルボーシャス、ラウンド終了。金原の三度のダウンに観客は騒然。止めてもよかったんじゃないの?

2R、金原がタックルに行くも失敗。打撃戦の中、アルボーシャスのストレートに合わせて金原がもう一度タックル、テイクダウンに成功。ガチガチのクロスガードで防御するアルボーシャスに金原は鉄槌やパンチを落としならがパスガードを狙うが失敗、再び両者スタンド。終盤、アルボーシャスの左ストレートがヒット、崩れる金原。再びアルボーシャスの左ストレートがヒット、またしても崩れる金原。だが最後は金原がストレートをヒットさせてアルボーシャスを崩していた。

判定は3−0でアルボーシャスが勝利、準決勝戦へと駒を進めた。う〜ん、金原はダウンを認めているかなぁ?「グラウンドでは圧倒していたのに、あれをダウンみたいに扱われたらたまったものじゃないよ!だってオレ、立ち上がってるジャン!」とか言いそうだなぁ。対するアルボーシャス、相手をダウンさせてからイチイチ様子を見ていたのはなんでだろ?空手の癖かね?

第八試合 杉浦敗北は悔しいなぁ

ヘビー級王者決定トーナメント一回戦 Bブロック 5分2R
○野地 竜太(186cm/98.0kg/PANCRASE GARO/PANCRASEヘビー級 二位)
●杉浦 貴(178cm/93.2kg/PRO-WRESTLING NOAH)
[1R 3分25秒 KO]
※踏みつけ

今日のメインは元極真の野地と、NOAHの杉浦による対戦。セミ以上にPANCRASEでもなんでもない…のだが、知名度のある両者の対戦に観客は盛り上がっていた。

まずはタックルで野地を潰した杉浦、コーナー際に押し込んでパンチを浴びせる。バックを奪ってジャーマン スープレックスを狙うも野地がこらえる。杉浦は再びコーナー際で潰してパンチを落とす。…と、ここまでは杉浦のペース。

流れが変わったのは、コーナー際で潰されていた野地がバランスよく立ち上がった時から。ヒザ蹴りと胴への突きを見舞うと、杉浦の顔から苦悶の表情が浮かぶ。嫌がる杉浦が自ら離れて下がり苦し紛れのタックル。野地が切っても杉浦は寝たままで立とうとしない。疲れているのだ。これはレフリーがブレイク。

立ち上がっても苦しそうな杉浦。野地は一気呵成に中段蹴りと前蹴りで杉浦にダメージを与え、顔面に蹴り。心が折れた杉浦が自ら倒れ、野地は上から突きの連打、顔面への踏みつけ。杉浦はグッタリ、レフリーが試合を止めた。

ぬぅ…、負けたかぁ杉浦。PRIDEで活躍する姿を見る限りでは「潜在能力は充分!」という感じで、今日の試合でも勝利を期待していたんだが、悔しいねぇ。僕の中のプロレスラー幻想がまた一つダメになってしまった、というか。

反対に言えばそれだけ「野地が強くなった」って事なのだろう。以前に比べて倒されても立ち上がる時のバランスが良くなっていたのは、杉浦を応援していた僕でも認めるところ。準決勝の相手は第七試合で勝利したアルボーシャス。「元極真会館 vs 士道館」、これまたPANCRASEでもなんでもないな。

雑感

全体的にはやや低調だったが、第五試合と第八試合でモトがとれた。だが正直、杉浦が負けたのが悔しい、非常に悔しい。自分でも何故だかわからないが、PRIDE武士道で近藤 有己が負けた時よりもずっと悔しい。プロレスラーを名乗りながらもプロレスをしてない選手が多い昨今、杉浦は地方巡業を重ねていながら総合格闘技に進出している最後のレスラーだったからなぁ…。悔しい、ああ悔しい。


以上、長文失礼。