4/16 全日本キック 新宿FACE興行 昼の部(女子) 観戦記
やっぱり選手層が薄いんだよねぇ
本日は新宿FACEという小さい箱で昼夜の連続興行を打ってきた全日本キック連盟。贔屓団体なので「通し観戦」をした。で、これは昼の部の観戦記。
昼の部は全日本キックとは久しぶりとなる「女子のみ」による興行。しかも鎖国している新日本キック協会の協力も仰いでの興行…なのだが、試合数は六試合とちょっと少なめ。それでもチケット代は3500円 + ドリンク代500円、オープニングファイトを含めて全十試合となる夜の部と同じ値段というのは…明らかに高いねぇ、もう少しなんとかならんのかいな？
そんな小規模興行でも「山椒は小粒でヒリリと辛い」、メインイベントにはタイトルマッチが組まれている。WINDY智美が東洋王座に挑むのだ。20代最後の年に初戴冠なるか？
ちなみにこの日の観客の入りは120〜150人程度。新宿FACEの箱の規模としては約半分くらいかな。ちょっと苦戦してる。
ルールについて
試合はメインを除いて２分３Ｒの２ダウン制。時間については一見短いように感じるが、レベルが低い上に両者バテバテになりながら闘う姿をずっと見せられるよりは全然いいルールだと思う。そして女子キックに「ヒジ打ちはなし」。本当はキックは「ヒジ打ちもあり」の方が好きなんだけど、女性同士で顔を切りあう姿はあんまり観たくないからこのルールでいいや。
第一試合 如何ともし難い
フライ級 ２分３Ｒ
○田中佑季(160cm/50.4kg/BOOCH BEAT)
●SHIBANAMI(155cm/50.2kg/伊原ジム)[新日本キック]
[３Ｒ １分１８秒 ＫＯ]
※２ダウンによる
※１Ｒ、SHIBANAMIにダウン１
最初から最後まで、ひたすら田中 佑季が一方的にパンチのラッシュでSHIBANAMIを押し込み続けた。SHIBANAMIは防御を固めるばかりで本当に全く反撃ができない。田中は１Ｒはラッシュの末の右フックでスタンディングダウンを奪うと、３Ｒにもラッシュの末の左ストレート、立ち上がった直後にワンツーをヒットさせて２ダウンを奪いＫＯ勝ち。圧勝。
う〜ん、田中が圧倒的に強い…のではなく、SHIBANAMIが本当に守ってばかりって感じ。何というか…如何ともし難いなぁ。ま、ここは平谷法之や山本優弥が離脱してしまったBOOCH BEATから新たな選手が誕生した事を喜んでおくか。
第二試合 アイドルっているんだねぇ
フライ級 ２分３Ｒ
○林田昌子(154cm/50.2kg/藤原ジム)
●大浜芳美(153cm/50.8kg/OGUNI GYM)[NJKF]
[判定 ３−０]
大浜 芳美って選手は初めて観たんだけど…、可愛らしい顔立ちで髪は二つ結び、白地でスカートの着いたコスチュームに身を包み、背中に掛けているのはピンク色のキティのタオル。ぬぅ、NJKFにはエラく「アイドル」な選手がいるもんだな、侮れねぇ(但し24歳)。
そんな「アイドル」大浜、ミドルキックやローキックを駆使しつつ、時折ソバットや裏拳を繰り出して林田 昌子を牽制。意外とキックの選手らしいところを観せる。だが時間が進むにつれて林田がワンツーをヒットさせて確実に大浜を追い込んで行く。劣勢の大浜、裏拳等の大技を連発したのも手伝い１Ｒ終盤には早くもガス欠。２Ｒ以降もミドルキックと裏拳を放っていくも攻撃が単調で林田にいなされる。結局、林田が全ラウンドを通して前に出ながらのワンツーで攻め続け、３−０で判定勝利を修めた。
う〜ん、正直大浜に強さは感じなかったが、闘う姿を含めて妙にアイドル性を感じたなぁ…と思って調べていたら、「恋のから騒ぎ」に出演経験があった事が発覚。某武士道への進出を狙うあの人よりもＴＶはこの人を取ったって事かねぇ？それはそれでわかる。
第三試合 ちょっとレベルが上がりました
フライ級 ２分３Ｒ
○四十内としえ(155cm/50.4kg/青春塾)
●勝山舞子(155cm/50.2kg/上州松井ジム/MTIA世界女子フライ級王者)[NJKF]
[判定 ３−０]
※３Ｒ、勝山にダウン１
四十内 としえのセコンドには、山本優弥と石川直生の「仲良しコンビ」がついていた。
石川直生のブログ。山本優弥との仲良しっぷりを堪能せよ
http://blog.livedoor.jp/soruto_nt/
試合は１Ｒからお互いに威勢よくワンツーとローキックを繰り出す「鍔迫り合い」となったが、ラウンド終盤に四十内が優位に立つと、その後もワンツー、ボディブロー、ローキックと上中下に打ち分けて勝山 舞子を攻め立て、３Ｒ終盤には右ストレートでスタンディングダウンを奪い、判定３−０で勝利した。
ズバリ言って、この試合からちょっとレベル上がった。勝った四十内も負けた勝山もいい打撃を繰り出しながらも最後までスタミナは切れなかったし。
第四試合 明るい人を観ていると、こちらも明るくなる
６２ｋｇ契約 ２分３Ｒ
△たま☆ちゃん(165cm/61.4kg/SOD女子格闘技道場)
△高田結(167cm/60.9kg/峯心会)
[判定 ０−０]
SMACK GIRLでお馴染みのたま☆ちゃん、アウェーとなるこのリングでも入場時には相変わらずのハイテンション。いいね、こういう姿勢は。
試合は互角。ワンツーを中心にミドルキックとローキックを数多く繰り出す高田結に対して、たま☆ちゃんはガチガチにガードを固めつつ相手の打撃の終わり際にワンツーを返していく。攻めこそ後手となったが、たま☆ちゃんのパンチは時折ハードヒット。手数の高田、クリーンヒットのたま☆ちゃん…という展開の中、３Ｒはガンガン前に出てのパンチの打ち合い。お互いのパンチがヒットし、終盤は両者共にガス欠に。試合終了、判定は０−０で差はなし、ドローとなった。
なかなか良い試合。特にたま☆ちゃんは、闘いに自分の感情を乗せるのが上手い。その明るい表情を観ていると、こちらもついつい乗せられる。
第五試合 女性の年齢ってどうなんでしょうな？
フェザー級 ２分３Ｒ
△桜朋梨惠(160cm/56.4kg/伊原ジム)[新日本キック]
△真(168cm/56.1kg/峯心会)
[判定 １−０]
今回の興行では入場時に対戦カード表が無料で配られたのだが、この表にはSMACK GIRLではパンフレットでも隠している「選手の年齢」がバッチリと書かれていた。その中で、特に真の年齢については関係者やファンの間で波紋を呼んでいるようだ。どうなんだろう、女性の年齢って隠すべきか？出すべきか？う〜ん、扱いが難しい問題だなぁ…。
試合は全ラウンドを通して「距離を離してリング廻りながら左ミドルキックを当て続ける真に対して、突進して飛び込んでのパンチを繰り出す桜朋 梨惠」という図式。ヒット数が多かったのは真だが、桜朋のパンチも時折ハードヒット。パンチのダメージからか２Ｒ終盤に真が疲れを見せると、３Ｒでは桜朋はボディブローを打ち込んで真のスタミナを削ろうとする。しかし真も最後までミドルキックで対抗、意地を見せる。試合終了、判定は桜朋がジャッジ一人の支持を得るも、残り二人は「差はなし」と判断しドローとなった。
この試合、第三試合〜第四試合より更にレベルが一つ上がったように思う。攻防も噛み合っていたし、このレベルなら素直に３分３Ｒで観たい。
第六試合 「姐さん」から「東洋の魔女」へ
IKMF東洋女子バンタム級 王座決定戦 ３分５Ｒ
○ＷＩＮＤＹ智美(158cm/53.5kg/AJジム/WPKL世界女子スーパーバンタム級 五位)
●シン・ミンヒ(164cm/53.5kg/韓国/IKMF韓国女子フェザー級＆バンタム級 王者)
[判定 ３−０]
※ＷＩＮＤＹが新王者に
メインイベントは「無冠の女王」WINDY 智美のタイトルマッチ。二冠王のシン ミンヒを相手に、新設されたIKMF東洋女子バンタム級のタイトルマッチを争う。
両者の戦績だが、WINDY姐さんが戦績は20戦11勝6敗3分2KOと意外にKO数は少ないのに対し、シンは20戦16勝2敗2分5KOでWINDY姐さんの戦績を上回っている。年齢についてもWINDY姐さんが29歳、シンは20歳。数字の上ではWINDY姐さんが若干不利、だが格闘技は数字だけで計れるものではない。
タイトルマッチ宣言の後、韓国国歌、日本国歌が吹奏されて試合開始。シンは１Ｒから細かいパンチのコンビネーションで積極的にWINDY姐さんを攻め立てる…が、WINDY姐さんのローキックは捌く事なくまともに受けている。キックに対する耐性はあまりなさそうだ。
そんなシンにバシバシとローキックを入れていくWINDY姐さん。最初は前に出てのワンツースリーフォーのパンチが冴えていたシンも、しこたまローキックを喰らい続けた結果、徐々に動けなくなっていく。３Ｒ頃には一方的な展開、KOを狙うWINDY姐さんは積極的に前に出続けてワンツーとローキックを連発し、シンを何度もコーナーに追い詰めてラッシュを仕掛ける。だがシンも腿を赤くしながらも時折パンチのコンビネーションを繰り出してくる。相手は韓国王座の二冠王、油断は禁物。
それでも５Ｒ、WINDY姐さんが相手から一つでもダウンを奪おうと気力を振り絞ってシンを攻める。ワンツー、ミドルキック、ローキックをガンガン叩き込めばシンは防戦一方で殆ど反撃もできない。WINDY姐さんの勝利を確信した観客からは歓声が沸いていた。
試合終了、判定は３−０のストレートでWINDY姐さんが晴れて東洋バンタム級の新王者に輝いた。マイクを持ったWINDY姐さんは「判定だったけど、やっと腰にベルトを巻く事ができました。今までベルトというプレッシャーに負けてきましたが、今日は勝つ事ができました。今日はベルトの喜びに浸りますが、明日からはまた世界のベルト目指し頑張ります」とコメント。
う〜む、WINDY姐さんの自力がよく出た試合…だと思うが、僕としては敗れたシンの方が目を惹いたなぁ。女子の選手であれだけ細かいパンチのコンビネーションを繰り出す選手は初めて見たからだ。年齢もまだ20歳だし、これから先が楽しみだ。また一年後〜三年後にでも「更に強くなった姿」が観たい、というか。
雑感
さすがに「２分３Ｒ制×５試合」＋「３分５Ｒ制×１試合」だと…、ちょっと食い足りないなぁ、という感は否めない。だが後半はいい試合が続いたので満足度はそこそこ。ただ、やっぱり3500円という料金設定はちょっと高く感じたなぁ。新宿FACEの場所代が高い事を考えたとしても、せめて500円引きして欲しかった、というか。
以上、長文失礼。
