4/2 PRIDE武士道 有明コロシアム興行(PPV) 簡易観戦記

PRIDE武士道は色々な団体の刺客で支えられております

本日は龍頭亭にてPRIDEのPPV観戦。参加者は龍頭氏、フリジットスター(id:frigidstar)氏、PON(id:pon-taro)氏、グリフォン(id:gryphon)氏。本日の「おみや」は卵焼きとコロッケと一口餃子とたこめし。この中ではたこめしがそこそこ旨かったんだが…、結局おかずと一緒に食うとたこの風味が消えちゃうんだよなぁ。勿体無い食い方をした、というか。

第一試合 REALRHYTHMのエース、UFCのベテランの牙城を崩せず

ライト級 1R10分 + 2R5分
○イーブス エドワーズ(175cm/72.7kg/アメリカ/サード コラム ファイトチーム)
●池本 誠知(180cm/72.8kg/TEAM Boon!)
[判定 3−0]

戦前の予想

エドワーズがパウンドで1R勝利。いくらエドワースがこのところ連敗してたとしても、過去の実績を見るにつけ池本よりは強いとは思うので。スタンドパンチではなくパウンドにしたのは…あんまり理由はない。

試合の感想

打撃戦中心の消耗戦。思いのほか池本が喰らいついたのでなかなかの好勝負になったと思う。2Rのエドワースのヒザ蹴りで勝敗が決定的になったかな。池本はもっとインローを多用して打撃を上下に分けた方が良かったように思えるが、エドワースのカウンターのパンチが怖くてあまり出せなかったのだろう。

第二試合 もう一人の修斗ウェルター級 世界王者、癒しと戦慄のデビュー戦勝利

ライト級 1R10分 + 2R5分
○石田 光洋(168cm/70.8kg/T-BLOOD/修斗ウェルター級 世界一位 環太平洋王者)
●ポール ロドリゲス(173cm/70.9kg/アメリカ/アメリカン トップチーム)
[1R 2分29秒 フロントネックロック]

戦前の予想

石田がグラウンドパンチで1R勝利。判定勝利の線も考えたが「石田、PRIDE武士道初進出」という事への景気づけや、ロドリゲスがそこまでの強さを持っていないであろう事を予想して。

試合の感想

入場曲が森山 直太郎の「さくら(独唱)」…ではなかったのが残念。石田の性格から考えると、自分から曲を変えた可能性が高いかな?(サビまで入場してこないから)
試合は何もかもが石田のペース、修斗で何度か見た「いつもの石田」の試合。一つ違ったのは最後のフロントチョーク。相手の首根っこを丸ごと持ち上げてのソレはどうみてもネックロックでかなりヤバい極まり方だった。ともあれ彼の勝利は妙に嬉しい。好青年だしね。

第三試合 PANCRASEの若武者、初代UFCライト級 王者にあと一歩届かず

ライト級 1R10分 + 2R5分
○ジェンス パルバー(170cm/71.7kg/アメリカ/チーム エクストリーム)
●アライ ケンジ(176cm/70.0kg/PANCRASE)
[1R 3分59秒 KO]
※鼻先へのサッカーボールキック

戦前の予想

パルバーがスタンドパンチで1R勝利。アライは好きな選手なので「アライの勝利」を予想したかった…のだが、どう考えてもアライが最後に喜んでいる姿を想像できなかったので。スタンドパンチによる勝利…と予想したのは博打。

試合の感想

「足関十段」今成 正和の欠場で突如出場することになったアライ。でも、このカードを見て「あ、確かにこっちの方が噛み合うな」と予想した人は多いかもしれないが、アライがここまでパルバーの牙城を崩しにかかるとは誰も思っていなかったのではないか?モチロン、僕も予想していなかったワケだが。
短い時間ながらもなかなかに壮絶な試合でアライの株は上がったように思える。ただ、最後のサッカーボールキックでかなりの大怪我を負ったように見えた。次にPANCRASEで試合をするのが先になりそうで心配。
それにしても打撃のフィニッシュを予想するのは難しいね。この試合は左右のフック、つまりスタンドパンチで決着がついていたようには思えるんだが、フィニッシュはサッカーボールキックなんだよなぁ…。

第四試合 韓国の隠れた強豪、Cage Rageのベテラン戦士を撃破

ウェルター級 1R10分 + 2R5分
○デニス カーン(180cm/82.9kg/韓国/スピリットMC)
●マーク ウィアー(188cm/82.8kg/イギリス/グロスター レンジ ファイティング)
[1R 4分55秒 ギブアップ]
※グラウンドでの顔面への膝蹴り

戦前の予想

ウィアーがパウンドで1R勝利。この試合は予想が難しかった。カーンの実績は無視できないし、かといってウィアーの秒殺の山も無視できない。隠れた強豪同士の対戦、色々考えた挙句ベテランのウィアーの勝利を予想。決め手になるものは、ズバリ「勘」。

試合の感想

色々考えた挙句、考えるのが面倒くさくなってウィアーを勝者にしたんだが…ハズレたなぁ(笑)。
でもウィアーも凄い選手ではあったと思う。特に最初の左ハイはスピード・パワー共に申し分なしで、とても「もうすぐ40代」の選手には見えなかった。パンチにもキレがあったし、もう少し見ていたい選手ではあるなぁ、と。
でもねぇ…カーンは地味に強いね。首相撲からのヒザ蹴りで一気に流れを自分の方に持ち込んで、あとは上から強烈なパンチ。ヒジ打ちっぽい技もあったのは引っかかるが、グラウンドでは圧倒的な圧力を出していたし、まあ完勝といっていいんじゃないかな。PRIDEも韓国市場は視野に入れているだろうし、カーンはこの先もっと扱いが良くなっていきそうだな。見た目が韓国っぽくないのが致命的だけど。

第五試合 元修斗ウェルター級 王者の「伝家の宝刀」がCBAの暴れん坊を一刀両断

ライト級 1R10分 + 2R5分
○ヨアキム ハンセン(175cm/70.8kg/ノルウェー/フロントライン アカデミー/修斗ウェルター級 世界二位)
●ルイス アゼレード(177cm/71.0kg/ブラジル/シュートボクセ アカデミー)
[1R 7分9秒 KO]
※膝蹴り

戦前の予想

ハンセンがパウンドで1R勝利。いわゆるシャーク同士による決戦でマニアの中では一番注目度が高かった試合なのではないか?アゼレードは僕はかなり好きな選手なのだが、それでもハンセンを勝者にしたのは、ズバリ「決め技をもっているか?」という点かな。決まり手をパウンドにしたのは、打撃が入って相手が伸びたところにパンチを入れそうだから。

試合の感想

予想通りのハイレベルな好勝負、一進一退の攻防。スタンドでもグラウンドでも互角、素早い仕掛けに観客にも緊張感が走っていたが、その勝敗を決めたのはハンセンの「伝家の宝刀」。ハイを予想したのかカウンターのタックルを狙ったのかはわからないけど、潜ってしまったアゼレードの顔面に戦慄のヒザ蹴り一閃。う〜ん、ハンセンは相手がアグレッシブになる程、強さが出てくるというか。冨樫 慶一郎に大苦戦したハンセンと同一人物とは思えん。
対するアゼレード、いい選手なのだが勝ち星に恵まれない。これを機にもう少し格下と試合してもいいんじゃないの?動いているだけでも銭が取れる選手だとは思うので、どんどん使って欲しいんだが…。

第六試合 BTT vs CBA、それでも「総合無敗」の看板は降ろさない

ウェルター級 1R10分 + 2R5分
パウロ フィリオ(172cm/82.5kg/ブラジル/ブラジリアン トップチーム)
●ムリーロ ニンジャ(181cm/82.7kg/ブラジル/シュートボクセ アカデミー)
[判定 3−0]

戦前の予想

フィリオが判定勝利。フィリオ絡みの試合はこれ以外の勝利予想が出来ない。無敗だし。ただ、別にニンジャも弱い選手ではないと思うので、判定まではいっちゃうかな、と。

試合の感想

一から十までフィリオがリードしていたように思う。グラウンドになると本当に強いね。惜しむらくは、やはり極めっ気のなさ。PON君曰く「『敵に塩を贈る』っていうのはこういうのをいうんだな」だとさ、巧いな。ヒカルド アローナみたいに本格的にパウンド覚えてくれんかねぇ?

第七試合 全日本キックヘビー級 王者、久々にグラウンドで勝利

ウェルター級 1R10分 + 2R5分
○郷野 聡寛(176cm/82.7kg/GRABAKA/全日本キックヘビー級 王者)
●キム デウォン(180cm/82.8kg/韓国/正進MMA GYM)
[1R 9分00秒 腕十字固め]

戦前の予想

郷野がスタンドパンチで1R勝利。郷野が自分の勝ちパターンを崩さないまま勝利すると予想。まあ正直、相手がどういう選手か、サッパリわからないからこういう予想になっているんだけど。

試合の感想

意外に郷野が手こずった。特に最初の小外刈りは全く予想していなかったのではないだろうか。コーナー際で倒されてたし、相手がもっと総合慣れしていたら勝敗は反転していたかもな。ただ、二度目のグラウンドをひっくり返して上になってからは「郷野の試合」という感じではあったが。最後の流れ、「顔面にヒザを入れる〜顔を抑えて嫌がるキム〜その腕を取って腕十字」は綺麗だった。マイクもさすが。

第八試合 PANCRASEライトヘビー級 王者の「死角」

ウェルター級 1R10分 + 2R5分
○フィル バローニ(180cm/82.6kg/アメリカ/ハンマーハウス)
●近藤 有己(180cm/82.1kg/PANCRASE ism/PANCRASEライトヘビー級 王者)
[1R 25秒 KO]
※左ボディフック〜右フック

戦前の予想

バローニがパウンドで1R勝利。かなり意外な予想かもしれないが、今回、近藤については「脱・不動心宣言」をする事にしたのだ。これは「近藤のキャラクターである『不動心』という幻想に惑わされず、等身大の近藤を評価する」という事なんだけど、近藤ってマイペースに試合をする選手だから、そのペースを無視して真っ直ぐに向かってくる連続的な圧力には案外弱いんじゃないかなぁ…と。あと近藤はスロースターターな一面も持っているので、早い段階で決着がつくのでは、と。ちなみにバローニは一回目の美濃輪の時のようなバテバテな感じではなく、長南と試合した時のイメージで勝敗を予想。

試合の感想

いや〜、当たった当たったこれは嬉しい。近藤が負けた事自体は悲しいけどね。
それにしてもフィニッシュの左ハンマーボディ〜右ハンマーパンチのコンビネーションは予測していなかった。あんなのが当たったらシャレにならん。ちなみにバローニは普段100kgくらいあって、そこからこの体重まで落としてくるそうだ。成程、破壊力抜群だな。
近藤は最初に正面から闘うのではなく、序盤は圧力を捌く事に専念していれば勝てたと思うんだけど…なんか真正面から受け止めようとして倒されたって感じ。グリフォン氏が僕の横で茫然自失になっていたのが印象的だった。

第九試合 「PANCRASEのエース」から「PRIDE武士道のヘブン」へ

契約体重無し 1R10分 + 2R5分
○美濃輪 育久(175cm/87.4kg/フリー)
ジャイアント シルバ(230cm/180.0kg/ブラジル/フリー)
[1R 2分23秒 TKO]
※グランドでのボディと顔面への膝蹴り

戦前の予想

シルバがパウンドで1R勝利。この予想はズバリ「美濃輪ではあの足を極めきれない!」と見たのだ。パウンドの部分は適当。シルバが何の技で勝利するかを予想するのは難しいってば。

試合の感想

いやねぇ、ボカァ予想自体は絶対的な自信があったんだが、「勝つためには別に足関節に拘らなくてもいい」って事には気付かなかった…。今考えると、巨人の星の最終回の星 一徹のような迷予想(※注)だった、というか(照)。
イヤイヤ、それにしても絵に描いたような試合の流れだった。


※世代のギャップを埋める為の注
星 飛馬の大リーグボール3号を打つ作戦として、星 一徹は伴 宙太に打席に立つまで逆立ちをする事を命じる。これは伴から腕力を奪うことでバットから生じる風圧を封じる為で、これにより伴は大リーグボール3号を打つ事に成功する。しかし長時間の逆立ちで体力を失っていた伴は一塁まで走る事ができなかったのだった。…そりゃそうだわな、アホか。

第十試合 PRIDEウェルター級 王者、GRABAKAの若武者を寄せ付けず

ウェルター級 1R10分 + 2R5分
○ダン ヘンダーソン(180cm/82.9kg/アメリカ/チーム クエスト/PRIDEウェルター級 王者)
●三崎 和雄(178cm/82.6kg/GRABAKA)
[判定 3−0]

戦前の予想

ヘンダーソンがスタンドパンチで1R勝利。郷野戦で見せた「大人気ない圧力」がこの試合でも爆発、そして三崎はその圧力を捌けないであろう、と予想。

試合の感想

まあ試合自体は想像通り、ヘンダーソンのパンチは巧いなぁ…って感じだったが、ヘンダーソンはスタミナ切れるのが段々早くなってきているのが気になる。もう歳だしねぇ。三崎はカウンターを待ち過ぎ、っていうかヘンダーソンを崩すだけの武器がないのか。これじゃ何しても勝てないだろうさ。第一試合の池本みたいにキックをもっと織り交ぜたらよかったのかな?でも相手は立ちレスリングが得意だし、難しいか…。

第十一試合 PRIDEライト級 王者、第一回ZST-GP優勝者に敗れる

ライト級 1R10分 + 2R5分
○マーカス アウレリオ(178cm/72.8kg/ブラジル/アメリカン トップチーム)
●五味 隆典(173cm/72.9kg/木口道場レスリング教室/PRIDEライト級 王者)
[1R 4分34秒 肩固め]

戦前の予想

アウレリオが判定勝利。これはもう「勘」である。ハンセンやアウレリオの存在を無視してPRIDE武士道は「五味にライバルはいない」と銘打っていたが、「世の中、輝き続ける星は存在しない」というか。アウレリオは強豪だと思うし、今の五味の輝きを忘れれば実力自体は五分五分だと思っている。「それなら、勢いで五味が勝つ!」…という見方もあるが、何となくその「勢い」に「穴」があるような気がしたのでアウレリオで。

試合の感想

う〜ん、予想以上にアウレリオが強かったのか、予想以上に五味が動けなかったのか?アウレリオの勝利を予想した僕ですら、こんな圧勝劇になるとは夢にも思っていなかった、というか。タックル、押さえ込み、パスガード、肩固め…その全てが一方的だった、というか。この人にギリギリでも判定で勝った三島ド☆根性ノ助って凄いのね。

雑感

前回のPRIDEに続いて「波乱続き」の大会となった今回のPRIDE武士道。しかし前回と違うのは「PANCARSEのエース」である近藤と「PRIDE武士道のエース」である五味が成す術なく敗れる、というファンには悲しい波乱が続いた事だろう。五味の敗北は非常に厳しく、じわじわと今後のPRIDE人気にも響きかねないように感じた。ライト級王者として再戦は必至だろうが、今日の内容では同じ負け方をするだろうな。
反面、上向きの材料もあるな。石田の勝利は強烈だったし、アライも敗れたとはいえ大健闘だったといっていい。ウェルター級に目を移せば郷野と美濃輪は自分の仕事をしたって感じもするし、そんな彼らが大一番で活躍できれば武士道は安泰、といったところか。特に石田には期待大、なんなら五味やアウレリオとやってくれ。


以上、長文失礼。