3/25 SB 後楽園ホール興行 観戦記

今日は試合以上に、「興行の改革」という点に注目しております

本日は後楽園ホールにてSBを観戦。立見席を購入、チケット代は3500円。いつもと変わらない値段だが、最近の格闘技興行の中では格段に安い。パンフレットも購入、これは1000円で他団体と変わらないのだが、以前に比べて表紙のデザインが向上していた。イイネ。

今回の興行には試合よりも注目するポイントがある。演出面の改革に本格的に乗りだしている事だ。前回からUWFを思わせるレーザー光線を使用し会場を盛り上げているが、今回は更に「興行のスリム化」にも着手、前座を2分3R制にして興行を圧縮。4時間超えの興行を連発するSBが生まれ変われるのか?

試合は第六試合に注目。元全日本フェザー級の強豪竹村が、SBフェザー級王者及川とどういう闘いをするのか、が楽しみ。しかし他の試合はボチボチ、外国人ルートが不安定になってからのSBは興行に軸がなくて不安になる。

第一試合 SBの前座は「後半は両者バテバテ」という展開が多い

スターティングクラス 57kg契約 2分3R
○中森 保貴(170cm/56.5kg/シーザージム)
●岩崎 晃久(170cm/56.2kg/大村ジム)
[判定 3−0]
※中森は1Rにシュートポイント1

今回より使用される2分3R制、興行時間の短縮に一役買えるか?試合では、アマチュア王者の中森 保貴が積極的に攻める。ミドルキックを基点に前に出てワンツーを放ち、首投げでシュートポイント1を奪う。岩崎 晃久は攻めが後手に回る一方で苦戦。しかし後半は両者バテバテでクリンチが多くなった。判定で中森が勝利、デビュー戦を白星で飾った。

第二試合 この試合もやはり「後半は両者バテバテ」

スターティングクラス 58kg契約 2分3R
○中西 卓也(171cm/57.7kg/大阪ジム)
●センカン 大和(165cm/57.8kg/湘南ジム)
[判定 3−0]
※中西は1Rにシュートポイント1、3Rにシュートポイント1

ワンツーとミドルキックを威勢よく放つ中西 卓也が1Rと3Rに首投げでシュートポイントを1づつ奪って優勢を保つも、どのラウンドでも後半になると攻め過ぎでバテてしまう。対するセンカン 大和、全ラウンドを通して大振りなパンチを放ち、ところどころでクリーンヒットを出しつつも結局は攻めきれず。後半は両者バテバテ、打撃もガードも雑になっていた。判定で中西が勝利したが、大味な内容。

第三試合 ヘビー級といっても、その体格は十人十色

スターティングクラス ヘビー級 2分3R
○西脇 恵一(184cm/98kg/チームドラゴン)
●炭谷 直紀(175cm/103kg/シーザージム)
[2R 1分39秒 TKO]
※3ダウンによる

SBとしては珍しいヘビー級決戦だが、両者の体格は全く違う。身体がデカくて筋肉質な西脇 恵一 vs 身体がひたすらデブな炭谷 直紀の対戦。

1Rから圧力に任せてひたすらワンツーで前に出続ける炭谷を西脇が丁寧に崩していく。ローキック、ワンツー、ヒザ蹴りで少しづつ炭谷の動きを封じていくと、2Rにはローキックが効いて動けなくなった炭谷にパンチの連打を浴びせる。打撃にクリーンヒットこそなかったが炭谷は防戦一方で下を向けば、ダウンと見なされカウントが進む。炭谷はファイティングポーズをとるも、西脇は再びパンチを連打、同じ事の繰り返し。こうしてスタンディングダウンを3回奪った西脇がTKO勝利を収めた。

第四試合 渡るキック界の鬼退治…、えなりじゃちょっとムリかな

フレッシュマンクラス 55kg契約 3分3R
○えなり のりゆき(162cm/55.7kg/シーザージム) ※今井 教行から改名
●江口 光治(165cm/56.0kg/チームドラゴン)
[判定 3−0]
※江口は契約体重をオーバーした為、グローブハンデあり/えなりは2Rにシュートポイント2

ここからは3分3R、いつものSB。

さて「シーザージムの前座男」、後でデビューした歌川 暁文にも水を空けられてしまった今井 教行が突然「えなり のりゆき」と改名。「渡る世間は鬼ばかり」のテーマと共に入場、観客はどっと沸く。問題の「今井がえなり かずきに似ているか」についてだが…、顔はそんなに似てないんだけど、醸し出す雰囲気は似てる。

試合では1Rからワンツーとボディへのフックが強烈な江口 光治を、えなりが積極的に前に出てローキックで蹴り続け、確実にフットワークを奪っていく。2R、えなりは江口に組み付き、豪快なエクスプロイダー(!)で正面から後方へと投げ捨てシュートポイント2を奪うと、1Rから続けてローキックで蹴り続ける。江口は殆ど前に出れなくなったが…3R、ワンツーでえなりを追い込んで反撃。ピンチを迎えたえなりだが、ローキックだけは蹴り続けた。

勝負は判定に委ねられ、3−0でえなりが勝利、その目には涙。そういえばえなり(今井)が勝つのって久しぶりな気がする。決め手には欠けたものの、ローキックの連打からは勝利への執念を感じた。こういう「執念」をいつも出せるようになれば、もっと白星を出せると思うんだが…。

第五試合 金井はもっと上にいける選手だと思うんだけどなぁ…

エキスパートクラス特別ルール 68kg契約 3分3R
○ファピカート クロスフェニックス(168cm/66.5kg/タイ/クロスフェニックス)
●金井 健治(172cm/66.5kg/ライトニングジム/SBスーパーウェルター級 四位)
[1R 1分11秒 TKO]
※金井が左目尻をカット

ファピカート クロスフェニックスは元ラジャダムナン スーパーフェザー級のランカー。土井 広之譲りのローキックを得意とする金井 健治にしてみれば「勝てば金星」とも言える試合だったんだが…、やはり現実は甘くない。

試合開始直後からローキックとパンチのコンビネーションでプレッシャーを掛けてくるファピカート、金井もローキックやミドルキックで反撃するも…。ファピカートがボディブローとストレートのコンビネーションの中にヒジ打ちが混ぜると、金井は目尻から出血。ドクターチェックが入り、やがて試合がストップ。

う〜ん金井、無念。実力はそこそこあると思うのだが…どうにも上がり目がない、というか。勝ったファピカートについては…パンチのコンビネーションは良かったけど、もう一戦くらい見ないと真の実力はわからないねぇ。

第六試合 遅咲き(31歳)のSB軽量級の(ダーティー)エース、今日はキッチリ勝利

エキスパートクラス特別ルール 59kg契約 3分3R
○石川 剛司(170cm/58.8kg/シーザージム/SB日本フェザー級 一位)
●梅下 湧暉(169cm/59kg/湘南ジム/J-NETWORKフェザー級 三位)
[判定 3−0]
※石川は1Rにシュートポイント2/梅下は1Rにダウン1、2Rにダウン1を喫する

今やすっかり人気者、得意のスタンディング スリーパーで何人もの選手を絞めてきた石川 剛司。しかしその裏では相手選手を全く尊敬しない行動を繰り返しており、SBファンの中にはアンチが多いのも事実。今日の対戦相手はJ-NETWORKフェザー級 三位の梅下 湧暉。U-FILE CAMPにも籍を置いていた選手を相手に石川の「絞首刑」は炸裂するか?

試合では石川が「やはりこのルールなら強いな」と思わせる試合ぶりを発揮。1R開始早々から破壊力のあるワンツーでいきなり梅下からダウンを奪うと、尚もワンツー、ボディブロー、ミドルキックを出し続け、首投げを連発してシュートポイントも2回獲得、極まらなかったが得意のスタンディング スリーパーも見せた。

すっかりペースを乱された梅下は2Rにワンツーやヒジ打ちで逆転を狙うが、石川はワンツー、ボディブロー、ミドルキック、ローキックで反撃、前に出てくる梅下の顔面にカウンターの右ヒジ一閃、ダウンを奪う。

俄然強い石川、こうなるとファンならずともKO勝利を期待するが…。3R、ワンツーとローキックを繰り出しつつ前に出て、梅下に組み付いて押し倒す…という事を繰り返していた。SB流の流す展開、決して若くない石川がまたしてもスタミナ切れか?

判定は3−0で石川が圧勝、今日は反則もなかったしダウンを奪った上での勝利なので文句なしだ。それにしても石川の試合って「前半に破壊力のある打撃や絞め技を連発、後半はタックルや押し倒しを連発して流す」って展開が多いな。やっぱりスタミナに難があるって事なのだろうか?このままでは5R戦に復帰するのは難しいだろう。

シーザー会長の挨拶

「♪シィ〜ザァ〜、シィ〜ザァ〜」と来ればこの人。シュートボクシング創始のシーザー武士会長がリングイン。お馴染みの会長挨拶タイムである。


※下記は会長の挨拶の大意です。忠実な再現ではありません。

皆様、本当にお忙しい中お越しいただき、誠にありがとうございますっ!(観客歓声) 今年は11/3に両国国技館S-CUPをやらせていただく事になりました。これもSBを支持してくださるファンや協賛会社各位の皆様のお陰です。感謝の気持ちで一杯です。

感謝のできない人間は「いざ」という時には頑張れない、と私は思います。感謝の気持ちがあればこそ、人は頑張ることができるのです。私は、SBを通して「感謝のできる人間」を育てていこうと思います。(観客拍手)

そして、そんなSBを、末永く応援していただければ、と思います。今日は本当に、ありがとうございますっ!(観客歓声)

ちなみに、この挨拶が終わった時点での時刻は19:40。興行開始は17:30なので、ここまで六試合で2時間強。今日はどうにか3時間半には収まりそうな気配があるな、ヨシヨシ。

第七試合 正直、意外な結末

エキスパートクラス 60kg契約 3分5R
○及川 知浩(164cm/59.7kg/龍生塾/SB日本スーパーフェザー級 王者)
●竹村 健二(170cm/60.0kg/名古屋JKF/元全日本キックフェザー級 一位)
[3R 2分49秒 TKO]
※竹村が額をカット/竹村は3Rにダウン1を喫する

この試合は僕としては今日一番の注目カード。元全日本フェザー級 一位でW山本(山本 元気&山本 真弘)、石川 直己、前田 尚紀に引けをとらない実力者である「マッドドッグ」竹村 健二と、現SBフェザー級王者である及川 知浩が激突。意地悪な見方になるが「層の厚い」全日本キックの強豪たる竹村が「層の薄い」SBフェザー級の王者である及川と対決する事は、ひいては「SBフェザー級とは?」という疑問に明確な答えが出るのだ。近年は少しづつだが層が厚くなってきているSBフェザー級、王者たる及川としては負けられない一戦だ。

試合では1Rから竹村が前蹴りを多用、距離があけばローキックを連発。絶えず出るローキックのせいで及川は近づく事もできず、パンチも空を斬るばかり。続く2Rも竹村はローキックを乱打、そして得意の組み付いてのヒジ打ち。対する及川、時折パンチを放つも…殆ど反撃できていない。試合のペースは完全に竹村、伊達に激戦区・全日本キック フェザー級戦線で上位をキープしていたわけではない。

「このままでは敗れる」と見た及川も中盤からヒジ打ちを多用、カットを狙う作戦だ。竹村も呼応するかのようにヒジ打ちを多用、お互いの縦ヒジが交差する場面も。しかし竹村はローキックを放つ事は忘れず、終盤にはバックへの投げを放つ。SB戦士のお株を奪う竹村の活躍、SBフェザー級 王者が大ピンチ。

3R、やはり試合は竹村ペース。ローキックとミドルキックで及川を蹴りまくり、組みつけば得意のヒジ打ち。相変わらず竹村の打撃は止まらず、及川は如何ともしがたい状態…だったが。

パンチを放ちつつ前に出た及川、竹村にロープを背負わせながら圧力を掛け…下がる竹村がロープの反動で返ってきたところにカウンターのヒジ打ち一閃!「ガツーン!」と入ったこの一撃で竹村はダウン。大逆転劇に観客は騒然。僕も驚いた。

不覚をとった竹村だがダメージは浅く、再びローキックと組み付いてのヒジ打ちで及川を攻める…が、及川はダウンを奪った事で精神的に楽になったのか、前に出てくる竹村を蟹挟みに捕らえる余裕もできた。そして終盤、再び及川のヒジ打ちが唸り、今度は竹村の額を切り裂く。傷は深そうで竹村にドクターチェックが入り…、そのまま試合終了。竹村が無念の表情を浮かべる中、及川が大逆転でSBの牙城を守った。

いや〜、及川は本当に危なかったし、正直負けるのは時間の問題だと思っていた。打撃の手数なら大袈裟でなく10:1程度だったし。それだけに普段は使わないヒジ打ちでの勝利には驚いたなぁ。昨年はIKUSA GP-U60で現全日本キックフェザー級 王者の山本 真弘(当時二位)に惨敗した及川、今日のヒジがあれば真弘に復讐できるかもしれん。ヒジありで再戦しないかな?

第八試合 緒形 健一、ここにあり

エキスパートクラス 70kg契約 3分5R
○緒形 健一(174cm/69.9kg/シーザージム/SB日本Sウェルター級 王者)
●キム ヨンジョン(174cm/67.4kg/韓国/チョンアン チョンムジム)
[4R 1分35秒 TKO]
※タオル投入

さてここからは、お馴染み「SBの三大エース」の揃い踏み。選手は3F南側の奥より入場、レーザー光線が選手の名前を照らし出す。派手だね。

先鋒は緒形 健一。前回の興行では対戦相手が急病で倒れ、試合中止となる憂き目にあった。中止の挨拶の中で緒形は「この悔しさはS-CUPにぶつけますっ! それまでは絶対に負けませんっ! 」と宣言。対戦相手は韓国ムエタイ世界大会の金メダリスト。どうにも怪しい肩書きな上、S-CUPを前にした緒形が何故、韓国人選手を相手にしなくてはならないのかサッパリわからないのだが、とりあえずは負けられない。

1R、ハイキック、ミドルキック、ローキック、ワンツーとあらゆる打撃をフルスイングで放つキム、圧力が凄まじい。意外に強いキムがガンガン前に出る姿に観客が驚きの声を上げるが、緒形は下がりながらキムの打撃を冷静に捌きつつローキックを放つ。そしてストレートをヒットさせるとキムが後退。チャンスと見た緒形がワンツーのラッシュで攻め立てるが…、これをしのいだキムがニヤリと笑えば、観客はドーッと盛り上がる。魅せるねぇキム。

しかしラウンドが進むにつれ、試合は緒形のペースに。2R、相変わらず圧力に任せて前に出て大振りな打撃を繰り返すキムに対して緒形はボディへ打撃を集める。ボディへのストレート、ミドルキック、ヒザ蹴り。じわじわと体力を奪われたキムは1Rの勢いもどこへやら、終盤には逃げ腰に。3R、緒形はやはりボディへ打撃を集めつつローキックを織りまぜればと、キムがいよいよ動きけなくなる。終盤には緒形のワンツーがクリーンヒット。怯むキムにラッシュを浴びせる緒形、観客は大歓声…なのだが、棒立ちながらもキムはまだ倒れない。

4R、ダメージの抜けないキムは立っているのがやっとの状態。そんなキムに緒形は容赦のない打撃を浴びせる。ストレート、ボディへのストレート、ミドルキック、ローキック、アッパー。それでもキムは倒れない。観客も驚きの声を上げる。しかし緒形の打撃は止まらない。中盤、ミドルキックの連打からワンツー〜ボディへのワンツー〜ワンツーと次々に叩き込む。全く打撃をガードできないキムだが尚も倒れない。観客は更なる驚きの声を上げた…が、この様子を見たキム陣営がタオルを投入、試合終了となった。

「エース」緒形の勝利に観客が歓声を上げる中、マイクを持った緒形は「今年はS-CUPに集中します。心を込めて魂を込めて闘います!」と改めて宣言。う〜ん、今日の緒形は特徴である「器用さ」が全面に出ていたように思う。最近は精細を欠いていたけど、これならまた強豪との対戦が見たくなるね。

そして、この試合は「3分5R制」の醍醐味が出たと思う。「『突進を繰り返す選手』がラウンドを追う毎に手数が減り、最後に力尽きる」というのは、残酷なようだが見ていてオモロイ。これが「3分3R制」だと「手数が減り」の段階で試合が終了するパターンが多い。ローキックやミドルキックはラウンドを増す毎に真価を発揮する打撃、やっぱり「キックは3分5R制に限る!」というか。

第九試合 相手のタフさには手を焼いた

エキスパートクラス 70kg契約 3分5R
○土井 広之(172cm/69.6kg/シーザージム/前SB世界ウェルター級 王者)
●キム パンスー(170cm/69.6kg/韓国/ソウル ジョンムジム/KOMAウェルター級 王者)
[判定 3−0]
※土井は4Rにシュートポイント1

「SBの三大エース」の中堅は「キラーロー」土井 広之。完全復調は難しい体になった土井だが、前回の興行では総合の選手を得意のキラーローで1R葬。対戦相手は緒形の相手と同じく韓国人ファイター、若干20歳ながらも前回のK-1 MAX 韓国予選のワンマッチでアンディ サワーと激闘を繰り広げたキム パンスー。その打たれ強さはサワーも舌を巻くほどで「何を食べたら、あんなにタフになれるんだっ!?」と驚いたほど。そんなキムを、土井のキラーローは切り崩す事ができるのか?

1R、キムは破壊力のありそうな打撃を連発、ローキックを基点にワンツーで前に出てくる。対する土井は相手に合わせて下がりながら重いミドルキックとキラーローを連打、特に今日はミドルキックが冴えている…が、まだまだキムの勢いは衰えない。2R、キムはどんどん前に出てワンツーの連打、ローキックも威力充分だ。対する土井は徹底したキラーローの連打。勢いはキムだが手数は互角、両者のつばぜり合いが続く。

3R、このラウンドもつばぜり合いは続いたが…、中盤になるとキラーローが効いてきたキムの動きが落ちてくる。観客は歓声を上げる…も、それでもキムは前に出る。タフだな。そうこうしているうちに土井も動きが落ちてきた。攻め疲れだ。そんな土井だが4R、キラーローを基点に右フックやミドルキックで必死にキムを追い込み、フロント スリーパーでシュートポイント1を獲得する…が、キムはバテバテながらも、時折は前に出てワンツーのラッシュの出す。これが「サワーも舌を巻いたタフ」である。厄介な相手だ。

迎えた5R、さすがに土井が手数で圧倒。キラーローを中心にミドルキック、ストレート、ボディへのストレート、首投げが次々に決まる。しかしキムは倒れない、どころか前に出てワンツーを出す場面も。どうにも「難攻不落の城」なキム、土井も最後の気力を振り絞ってキラーローを連打。終盤、キムのストレートが土井にヒットしヒヤッとしたが、どうにか試合は終了。

判定は3−0で土井が勝利。う〜ん土井、今日は倒せなかったかぁ。相手が鬼のようにタフな選手という事もあるけれど、そういう選手こそしっかりとキラーローで倒して欲しかった、というのは高望みなのかな?

第十試合 宍戸の強さの一端が見えた

エキスパートクラス 70kg契約 3分5R
○宍戸 大樹(174cm/69.0kg/シーザージム/SB日本ウェルター級 王者 & S-CUP 2004 準優勝)
●マルフィオ カノレッティ(182cm/69.5kg/ブラジル/シッチマスター ロニー/K-1 MAX 2002ブラジル王者)
[判定 3−0]

「SBの三大エース」の大将は「SBの新エース」宍戸 大樹。昨年は強豪を次々に撃破した宍戸、特にオーレ ローセンを4RにハイキックでKOした試合は熱かった。しかし前回の試合では逃げ回る相手に「トドメの一撃」を入れる事ができなかった。今日は是非KO勝利を奪いたい…が、今日の対戦相手は強豪。

K-1 MAXから放たれた刺客は「子連れK-1戦士」マルフィオ カノレッティ。K-1 MAXの舞台で、宍戸の先輩である土井から判定勝利を奪っている男だ。恵まれた体格から繰り出される打撃はかなり強烈。宍戸は勝てるのか?

1R、宍戸が距離をあけてのローキックとミドルキックで崩しにかかる…が、カノレッティが体格差に任せて前に出て打撃を連打。多少大振りだが、ちゃんと上下に打ち分けている上、スピードもある。中盤にはボディ〜ワンツーの連携がハードヒット、終盤にもパンチのラッシュが宍戸を襲う。しかし宍戸もローキックを連発、必死に食い下がる。1R終了、まずはカノレッティが体格差を利用して有利に立った。

2R、1Rにカノレッティの猛攻を浴びた宍戸は「ならば」と離れてはローキック、近付いては細かいパンチの連打からローキック。イン〜アウトを繰り返しつつローキックを基点とした打撃を放つ。対するカノレッティもワンツーで対抗するも…1Rで掴んだ試合のペースを失っている。3R、乱戦模様を作り出した宍戸の打撃が冴える。ローキックを連打しつつイン〜アウトを繰り返し、インであればワンツー、アウトならミドルキック、時折ソバット。中盤、カノレッティのストレートを喰らい大きく怯む場面もあったが、それ以外は宍戸のペース。前蹴り〜ワンツースリー、ワンツ〜ハイキック、そしてローキック。終盤、カノレッティはローキックが効いてきて前に出れなくなる。

4R、宍戸が攻める。インから繰り出されるパンチは手数を増し、アウトからは容赦のないミドルキックとソバット。そして絶え間なく放たれるローキック。バテバテのカノレッティが反撃ができず、観客がここぞとばかりに歓声を上げる。終盤には飛びヒザ蹴りも出した。5R、宍戸がラストスパート、アウトからヒザ蹴り〜接近してワンツーラッシュ、接近してからの前蹴りの連打、アウトからハイキックやソバット、インから細かいパンチの連打。宍戸はこのラウンドはローキックに拘らず変幻自在な攻めを見せる。カノレッティは力なくストレートで反撃するが…、最後まで試合のペースを取り戻す事はできなかった。

決着は判定に持ち越されたものの3−0で宍戸が勝利を収めた。強豪を完封した宍戸に歓声が贈られる中、マイクを握った宍戸の口から、次の興行での対戦相手が発表された。「5/26の後楽園大会で、正道会館の安廣 一哉選手と対戦しますっ!」。観客の歓声の中、宍戸はリングに上がった安廣とガッチリ握手をして写真撮影に応えていた。

宍戸の強さって今一つ解りにくかったのだが、今日はその一端が見えた。相手のペースを崩すのが巧いのだ。「近づいての攻撃」と「遠い距離からの攻撃」を切り替えつつ、どちらの距離からでもローキック。多彩な打撃で相手を混乱させ、ローキックのダメージばかりが溜まるっていく、と。体格に勝るカノレッティがラウンドを増す毎に動きが落ちていく様は凄かった。いや〜なんというか…、宍戸は強い!

雑感

今回はカードの弱さの割には試合内容が良く、僕としては「面白かった」と言えると思うし、ましてやSBファンであれば大満足の内容だとも思う。ただ、やはり興行全体から出てくる「テーマ不足」という事実が、熱狂している会場と僕の距離をどこかで引き離してしまう。やはり今のSBに必要なのは「明確な興行のテーマ」。観客の入りも7割とやや停滞している事実を踏まえても、これは是非考えてほしいところ。

ちなみに今日の興行は約4時間。どんなに時間短縮に取り組んでもこういう長さになってしまうのはSBの宿命なのだろうか?「全十試合でこの時間にまとめてきている」という事は評価できるが、「インパクトのあるカードを提供する代わりに試合数を減らす」とか、「『10分休憩』と謳いながら『20分休憩』になってしまう時間管理のユルさを改善する」とか。まだまだ切り詰められる部分はあると思う。改善求む。


以上、長文失礼。