2/19 みちのくプロレス 後楽園ホール興行 観戦記

ついに初観戦…遅いって

みちのくプロレス。十数年前、この団体が本当に好きだった僕が今日、遂に初生観戦。…遅すぎた。あの頃はデルフィンもTAKAもいないみちのくプロレスの風景など想像もしなかったのだが。

節目節目で主力選手が離脱しているみちのくプロレス。だが東北特有の粘りなのか、今でも団体はしっかりと生きている。しぶとい。今日はそんなみちのくプロレスの生命力の秘密を知る為に観戦する事にしたのだ。…本当は埼玉で開催されるDRAGON GATEに間に合いそうにないから、こっちを観る事にしただけなんだけど。チケット代は4500円、パンフ代は1000円。…出る選手の事を考えると高いねぇ。

で、会場入り。驚かされたのは、その客入り。超満員ではなかったけど、どこの席を潰す事なく満員御礼。何故だか年配客も多かったのが気になるところだが。

第一試合 いじめられて大爆笑

シングルマッチ 30分一本勝負
○マンゴー 福田(177cm/110kg/ロス サルセロス ハポネセス)
●清水 基嗣(170cm/72kg)
[5分54秒 体固め]
※ダイビング ボディープレス

楽天ゴールデンイーグルスのマスコット「Mr.カラスコ」が見守る中、マンゴー 福田が巨体とパワーで細身の清水 基嗣を圧倒。清水にほとんど反撃を許さないまま、ラリアットからダイビングボディープレスに繋いで勝利。

「いい男の清水が、巨漢の福田にやられる」という解りやすい図式という事もあってか、近くに座っていた年配客達の取っ付きも非常に良かったし、第一試合の仕事はこなしていると思う。だが年配客達は、清水がやられる様を観ながら「ドリフのオバハン」ばりにゲラゲラ笑っていた。残酷。

第二試合 下ネタで大爆笑

タッグマッチ 30分一本勝負
○新崎 人生(180cm/108kg)
 マッチョ★パンプ(180cm/89kg/フリー)
vs
●男盛(180cm/97kg)
 男色 ディーノ(179cm/95kg)
[18分46秒 反則]
※男盛の股間が見えそうになった為

拝啓、7年前の僕へ。


あの日、東京ドームで君が涙を流して勝利を喜んだ、その選手は…。
今、目の前でフンドシ姿でプロレスをしています。


それを知った君は失望するのでしょうか?
忘れないでください。あの時の感動は本物である事を。


草々。

マッチョ★パンプの入場時のマッスルポーズがバカウケ。初めて見たけど、完成度高いね。

だが、この試合にとってはほんの「前菜」。メインディッシュは「ふんどし姿」の男盛と「ゲイ」の男色 ディーノ。「最強タッグ」の二人は試合中に解りやすい下ネタを連発しまくり。観客は世代を超えて大爆笑の嵐、ホントにバカウケだった。

最初のお約束、「客席の男性にキス」の時点で観客の心をワシ掴みにするディーノ。ロープに飛ばす…ふりをして、パンプの尻を撫でるようにタッチするディーノ。男盛に独自の「レスリング(バック取って!)」を「具体的(そこで腰振って!)」に指導するディーノ、ナイトメアでパンプの顔に尻を押し付けるディーノ、カメラマンに男盛の尻を写すように指示するディーノ。勿論、得意技の男色ドライバーも人生に炸裂。もう、おいしいところは全部ディーノが持っていく勢いだ。…っていうか、殆どディーノが「試合」を創っていたのだから、持っていくのは当然の話なのだが。

そんな試合のオチは、人生のグラウンドでの股裂きで男盛のふんどしから「具」がはみ出そうになり…。即座にレフリーがゴングを要求、裁定は男盛の「反則負け」。く、く、くだらねぇ(笑)。

それにしても本当にウケまくったのだが、僕が印象に残ったのは…、若者達が「子供も見てるってっ!!」と突っ込みながら苦笑している中、その横で年配客達が心の底から「ドリフのオバハン」ばりに爆笑していた事。いや〜、これぐらいの世代の人は笑う事に余計な迷いがなくていいねぇ。羨ましさすらあるよ。

第三試合 いっぱい出てきて大爆笑

時間差バトルロイヤル 東北Jrヘビー級王座 挑戦者決定戦『M−12』
[出場選手(入場順)]
1.ラッセ(165cm/68kg)、2.パイナップル 華井(172cm/80kg/ロス サルセロス ハポネセス)、3.南野 たけし(180cm(モヒカン込み)/86kg/ロス サルセロス ハポネセス)、4.気仙 沼二郎(173cm/90kg)、5.ガルーダ(181cm/90kg/WMF)、6.大間 まぐ狼(174cm/78kg/STONED)、7.景虎(170cm/90kg/STONED)、8.守部 宜孝(173cm/85kg/SUPER CREW)、9.大石 真翔(170cm/75kg/K−DOJO)、10.石森 太二(163cm/70kg/dragondoor)、11.飯伏 幸太(181cm/75kg/DDT)、12.義経(165cm/65kg)

[退場順]
1.大間 まぐ狼、2.大石 真翔、3.ガルーダ、4.守部 宜孝、5.石森 太二、6.気仙 沼二郎、 7.ラッセ、8.パイナップル 華井、9.飯伏 幸太、10.石森 太二、11.義経景虎
[17分33秒 両者リングアウト(義経景虎)]
※1分置きに選手が入場。フォール、ギブアップ、オーバー ザ トップロープで失格。

ロス サルセロス ハポネセス同士ながらも仲の悪いパイナップル 華井と南野 たけしの抗争、景虎と大間 まぐ狼の「STONED」がヒール殺法全開で大暴れ、ラッセ、ガルーダ、大石 真翔によるラ ケプラーダの共演(気仙 沼二郎もヒップ アタックで参加)、石森 太二の弾けるような技の数々、飯伏 幸太の容赦ないキック。これらの展開の中にオーバー ザ トップロープの攻防が挟まれば、観客は大いに盛り上がる。

テンポ良くアングルや名場面が披露されていていく中、最後に残ったのはライバル関係にある義経景虎。両者は景虎のドライバー技で同時にリング外へ。「どちらが先に落ちたか」を協議の結果、再試合が決定。観客大喜び、年配客達もヤンヤヤンヤの大歓声。

僕の感想としては…、
・石森は自分の団体だと水を得た魚のように活き活きしていているな
・以前はふんどし姿だった大間 まぐ狼の変わりよう(ルード転向)に驚いた
・飯伏は大きいのに本当に色々と起用なレスラーだな
ってところかな?

再試合 シリアスな攻防に大爆笑

シングルマッチ 東北Jrヘビー級王座 挑戦者決定戦 時間無制限一本勝負
景虎(170cm/90kg/STONED)
義経(165cm/65kg)
[6分23秒 片エビ固め]
一騎当千

試合開始早々から、美しいみちのくスペシャルを出す義経義経のハイスピードのクリストを強引に止めて、強烈なサイドバスターを決める景虎景虎をも空中で一回転させる超高速のウラカン ラナ、打点の高いソバットから619を決める義経。更にウラカン ラナを狙う義経を途中で止めてパワーボムで叩き付ける景虎。「技術の義経 vs 力の景虎」、互角に闘う両者だったが、最後は必殺 一騎当千景虎義経を下した。勝った景虎、マイクでTAKAみちのくを挑発し「ベルトを取るぞ!」と宣言。

現在のみちのくを代表する二人による対戦だったが、試合のレベルは文句なく高かった。もちろん派手な飛び技で観客を魅了した義経も良いが、それ以上に景虎に目を奪われた。身体は小さいのに凄くパワーがあるし、エネルギーが全身から発散されている。受け身も派手だし、いい選手だと思うね。

第四試合 東北のバカ社長で大爆笑

タッグマッチ 時間無制限一本勝負
○ザ グレート サスケ(180cm/98kg)
 ディック 東郷(170cm/102kg)
vs
 佐藤 秀(169cm/73kg/STONED)
●佐藤 恵(168cm/70kg/STONED)
[20分43秒 片エビ固め]
※サスケスペシャル Xヴァージョン10.2 セグウェイ(ものまね禁止)
 平たく言うと、寝ている相手へのライダーキック
※敗北した佐藤 恵はリング上で坊主に

この試合は「マスカラ デスティエロ イクスプルシオコントラ カベジェラ」形式なんだそうな。ようわからんので解説すると…、この試合でザ グレート サスケはマスクを、ディック 東郷はみちのくプロレスへの出場権を、佐藤兄弟は二人とも自らの髪の毛を賭けているんだそうな。そして刑の執行は、フォールかギブアップした選手に対してのみ行われる、らしい。どういうアングルでそうなったのかはよくわからんが、サスケがマスクを脱ぐハメになったら一大事だな。

さて試合。まずは佐藤兄弟が奇襲攻撃、闘いの舞台は早くも場外へ。そんな中、佐藤兄弟のどちらかが持ち込んだ自転車を奪ったサスケ、南側席2Fの通路を利用して、佐藤兄弟のどちらかに向かって自転車で体当たりを決行…するも、あっさりとニールキックを喰らって横転。挙句の果てには、自転車に乗った状態で階段から突き落とされる。年配客達は「ダーハッハッハッハッハッ!」と「ドリフのオバハン」ばりに爆笑。

その後も佐藤兄弟が持ち込んだハシゴでいいように攻撃されたサスケ、自ら更に高いハシゴを持ち込む。東側の壁に立て掛け、苦労しつつもハシゴを登り、さあ攻撃…という段階でまぐ浪にハシゴを倒される。哀れサスケは、ハシゴの上から東側客席へと真っ逆さま。…コレ、結構マジで危ないなぁ。年配客達は「デァーハッハッハッハッハッ!」と「ドリフのオバハン」ばりに爆笑。笑い事じゃねぇ。

そんなダメサスケを東郷を好フォロー。トップロープで逆立ちしてからの場外セントーンという「秘策」も飛び出して観客も大歓声。そして最後は東郷謹製ダイビングセントーン、サスケのサンダーファイヤー パワーボムと繋いで、最後はサスケが倒れた景へ、必殺「サスケスペシャル Xヴァージョン 10.2セグウェイ(ものまね禁止)」。…長いよこの名前、ただの「倒れた相手へのミサイルキック」なのに。ともかくこれでサスケ組が勝利。

早々に去っていく佐藤兄弟をサスケ組が連れ戻し、景の頭をバリカンで刈っていた。これを観た年配客達の一人「これ以上、坊主が増えたら誰が誰だかわからんくなるよ」と爆笑。それに答えた年配客、「それにしても佐藤兄弟は前に比べて随分と大きくなったねぇ」。

ぬおっ、常連客だったのかっ!? 一体、みちのくプロレスの客層ってどうなってるんだっ!?

雑感

今日はご年配の客層に混じっての観戦となったわけだが、とにかく彼等のパワーには圧倒されたなぁ、と。

途中にも書いたが、彼らは笑う事に迷いがない。デブの福井が清水にボディプレスを決めても、男色ディーノが観客を捕まえてキスしても、サスケが登っているラダーが危険な角度で倒されようとも、全てを笑い飛ばしてしまう。しかし、その笑いには最近のマット界にありがちな「俺だけがわかる笑い」というような雰囲気は皆無。聴いていて非常に気分がいい笑い、というか。

昨今のマット界は「エンターテイメント」の看板の元で、到底一般性があるとは思えないマニアックなネタに走っているところをよく見かけるが、こういう年代の観客にも素直に笑ってもらえる方向性を模索するのも、「エンターテイメント」の追求なのではないのだろうか?

…う〜ん、全然みちのくプロレスの感想になってないな(笑)。


以上、長文失礼。