1/26 PANCRASE 後楽園ホール興行 観戦記

こ、これが、パ(船木 誠勝:談)

今日は後楽園ホールPANCRASEを観戦。チケット代は5500円…って高いな!一番安い席のチケットを売り切れになっていた為にこのような値段になったワケだが…。案の定、客席は6割〜7割の入り。リングサイドが一列であるにも関わらずこの入りでは明るい未来が見えない…、んなぁこたぁどうでもいい!一番安い席売りやがれっ!

衰退著しい昨今のPANCRASEGRABAKA・MEGATONの相次ぐ離脱、生え抜きであるismの選手も離脱者が続出、新しいライバルが華のないSKアブソリュート…、客を集められる要素が皆無、観客動員にモロに響いている。外に向かってのアピールも薄いし、総合不況といわれる今、これからPANCRASEはどこに向かっていくのか?…ぶっちゃけ、どこかに向かう体力もないような気もするが。

第一試合(未観戦)

ライトヘビー級 5分2R
川村亮(PANCRASE ism)
渡辺悠太(A-スクエア)
[判定 0−0]

観てないのだが、観た人曰く「辛かった」との事。ドロドロの泥試合だったそうな。最近はPANCRASE GATEと前半戦の間にあるはずの境目が悪い意味でなくなっている気がする。もう少しなんとかならないものか、観てないけど。

第二試合 近い将来、ムエタイ戦士は総合を席巻する日が来る…のか?

ミドル級 5分2R
△アザード・アスガロフ(アゼルバイジャン/アリエフ コンバット チーム)
△ターボ・フェアテックス(タイ/フェアテックス ジム)
[判定 1−0]

ターボ・フェアテックスはあのガオグライ・ゲーンノラシンにも勝った事がある程のムエタイ戦士。っていうか「フェアテックスジム」って事は、いわゆる「ウィラサクレック・フェアテックスジム」って事だろ。何で総合やってんだろ?

で、この試合の2Rより観戦したのだが、観た時にはお互いにスタミナを切らしていたようで既に泥試合になっていた。強いて言うなら、ターボは本業はムエタイ戦士なのにアザード アスガロフのタックルにしっかり対応していた。う〜ん、ウィラサクレック恐るべし。

試合は判定へともつれ込み、判定はドロー。

第三試合 頑張ったけどドロドロ

フェザー級 5分2R
井上学(167cm/63.9kg/U.W.F.スネークピットジャパン)
△村田卓実(167cm/63.7kg/和術慧舟會A-3)
[判定 1−0]

この試合はPANCRASEのランキング選考試合なんだそうだ。そりゃ大事な試合…なハズなんだが。

1R、井上学は村田卓実をコーナーへ押し込みながら足を抱えてテイクダウン、長い間上をキープするも村田をなかなか攻めれないでドロドロ。それでも何とか腕を取って極めようとする…が、その過程の中で村田に上を取られてしまった。村田はマウントを奪いパンチを落としつつスリーパー狙う…が、これまた極まらずにドロドロ。

2R、井上が引き込んでグラウンド、村田は攻めようとするも井上はガードが固くてドロドロ。逆に上になった井上、インサイドガードから上半身を起こしてパンチを落とす。村田も腕を狙ったり下からラバーガードに移行したりで粘りつつも何とかグラウンドを脱出、最後は寝ている井上を踏みつけようとしていた。ドロドロの展開ではあったが村田が一本を極めようとする姿勢は買えるね。

ドロドロの泥試合の判定はドロー(ココ、笑うトコロですよ!)。グラウンドであまり打撃を出さない村田はZSTの方が向いていると思う…けど、あの団体は本戦出場となると途端に敷居が高くなるんだよねぇ。

第四試合 ちょっと大きくなってガチガチ

フェザー級 5分3R
砂辺光久(172cm/61.6kg/HYBRID WRESTLING 武∞限)
●ラス・ミウラ(170cm/63.7kg/アメリカ/エイペックス柔術)
[判定 3−0]

この試合もPANCRASEのランキング選考試合。そんな舞台に懐かしの砂辺光久が登場。久々に観た砂辺の身体は以前に比べてうっすらと筋肉をついていた。だが発表体重は61.6kg。この人は多分、増量しようとしてもなかなか体重が増えない体質なんだろうな。

1R、試合を優位に進めたのはプチマッスル砂辺。柔術や柔道がベースとなっているグラップラー、ラス ミウラの意外に鋭いローキックを喰らいつつも、ラウンド中盤に右フック、右ストレートをクリーンヒットさせ、ラウンド終盤にもワンツーがヒット。

2R、ミウラが片足タックルからテイクダウン、インサイドガードから攻めようとするも砂辺は腕をカンヌキに取ってガチガチに防御。試合が膠着してブレイクするも、再びミウラが片足タックルで倒し、今度はハーフマウントから密着してボディへパンチをコツコツ。砂辺がガチガチに防御を固めてやや膠着気味の展開となるも、ミウラはマウントを奪う。だが砂辺は脱出、立ち上がってきたミウラにワンツーやミドルキックを叩き込む。

3R、やはりタックルで砂辺をグラウンドへと誘うミウラだが、ここでもインサイドガードからパンチをコツコツ当てるのみ。ガチガチの展開で膠着ブレイク、スタンドでは砂辺がワンツスリーとパンチを当てる。と、ここで疲れを見せるミウラ、砂辺はそこへヒザ蹴り一閃。ダメージは大きくダウンするミウラ、砂辺は上になってパンチを落とす。ミウラは起死回生のラバーガードを狙うも、砂辺が外して上から踏みつけようとする。

試合は判定へともつれ、ガチガチの展開ながらも3−0で砂辺が勝利。久々の参戦での勝利という事もあってか、砂辺はコーナーでガッツポーズをとり勝利をアピール。

PANCRASE 稲垣組の前田 吉朗が出現する以前は軽量級のエースだった砂辺。沖縄から東京に来るのは大変かもしれなが、まだまだ若いし、この先を期待したいところ。まずは増量だな。

第五試合 ♪ローラーヒーロー、ローラーヒーロー!

ミドル級 5分2R
瓜田幸造(174cm/81.3kg/掣圏会館)
福田力(182cm/81.6kg/KILLER BEE)
[1R 40秒 KO]
※左ストレート

見た目はかなりワルそうな福田力(元WJ所属)が積極的に攻めるも、そのパンチはフック系のいわゆる「総合の打撃」。打ち終わりのガードはかなり甘めで、対する瓜田幸造は最初からカウンター狙いのストレートで反撃。「こりゃ、いつかは綺麗にカウンターが決まるな」と思ってたら、開始40秒で決まっちゃった。瓜田のストレートが福田の顔面を捉えて、福田は一発でダウン。会場に「ムテキングのテーマ」が流れる中、瓜田は敬礼押忍(掣圏道の挨拶)をしてリングを降りた。

掣圏道」というと打撃のイメージがあるけど、僕は瓜田は本来グラウンドの選手なだけにこの勝ち方は意外だった。今日の福田はKILLER BEEの総大将の山本 "KID" 徳郁みたいな打撃の放ち方をしていたけど、あの打撃は振り回すスピードがないとキツイと思うな。

第六試合 根性は凄まじい、のだが…

ウェルター級 5分3R
石毛大蔵(176cm/74.8kg/SKアブソリュート/PANCRASEウェルター級 九位)
大石幸史(171cm/74.8kg/PANCRASE ism/PANCRASEウェルター級 三位)
[判定 2−0]

この試合は全ラウンド通してスタンド勝負となった。空手を習ってからの大石幸史は本当に打撃一辺倒、以前はアマレスの技術をベースに寝技一辺倒だった事を考えると…本当に変わってしまったなぁ。

で、打撃の技術自体は大石が上だったように思えるのだが、空手ベースの為か上体を振らずに打撃を撃を出すので石毛のパンチを顔面に喰らいまくてしまった。更には石毛の首相撲からのヒザ蹴りは全く捌けずにいる。1R終盤あたりから鼻血が出てきた大石、その流血はラウンドを増す毎に増えていく…のだが、大石は決して後ろに下がらずパンチを繰り出していく。2R中盤には右ストレートを連続でクリーンにヒットさせた。

これを不気味がる石毛、3Rからは首相撲からのヒザ蹴りを多用しダメージを与えていく。まずます大流血の大石、ドクターチェックが入るも試合続行。大歓声が沸き起こる中、尚も前に出る大石。石毛は明らかに気圧されている…が、それでもストレートを立て続けにヒットさせる。さすがに動きが落ちてきた大石、だが最後まで後ろに下がる事はなかった。反対に露骨に気持ちが折れていた石毛、これには近くに座っていたSKアブソリュート関係者も「大石すげぇなぁ。石毛さん、明らかに気迫に押されてるよ…」と大石の執念に脱帽していた。

とはいえ、試合を優勢に進めていたのは石毛である事に変わりはなく、判定2−0で石毛が勝利。今日の大石は根性を見せたが…、願わくはレスリングと空手をミックスしたスタイルに落ち着いて欲しいところ。レスリングはそんなに弱くないんだし、倒してからのパウンドを磨けば、もっといい選手になれると思うんだけどなぁ。

第七試合 ♪ポアイ ザ セーラマン!

ヘビー級王者決定トーナメント ヘビー級 5分2R
ポアイ菅沼(188cm/96.8kg/アメリカ/TWIST/PANCRASEヘビー級 一位)
●李世学(183cm/96.7kg/和術慧舟會RJW/PANCRASEヘビー級 三位)
[1R 3分58秒 KO]
※スタンドパンチ連打

この試合は、初代王者 高坂剛の王座返上に伴い開催される事になった「ヘビー級王者決定トーナメント」の一回戦。李世学は入場曲にサンボマスターの「美しき人間の日々」を使ってた。いい曲だ。

さて試合。スタンドでもグラウンドでも李の粘っこくて、しつこくて、極めっ気のないレスリングに苦しむポアイ菅沼。グラウンドでもサイドを奪われて大ピンチだったが…。膠着ブレイクを誘ってこれを凌ぎ、スタンドでワンツーを繰り出せばこれがクリーンヒット。一度でも打撃を当てればこっちのもの、怯んだ李に対して一気にパンチのラッシュを叩き込んで勝負を決めた。

まだまだ荒削りな菅沼だが、ここまで3戦3勝1KO1Sと上々の戦績。こりゃあ、PANCRASE次世代のヘビー級エース候補といえるかな?

第八試合 「メイド服」は何のモチベーションの表現だったのか

ヘビー級王者決定トーナメント ヘビー級 5分2R
桜木裕司(180cm/92.2kg/掣圏会館)
佐藤光留(174cm/90.8kg/PANCRASE ism)
[1R 55秒 KO]
※顔面への蹴り

無差別級への挑戦だの、竹内出の挑戦表明だの、猛獣王だの、メイド服だの…と、何かと話題を作ってくれる佐藤光留。今回は自分のフィールドであるヘビー級王座のトーナメント。普段はミドル級の体重を思いっきり増量し、パンレットではメイド服を着て(?)まで意気込んでいた…が。

試合では桜木のソバットに吹っ飛ばされてダウン。直後に顔面に蹴りを喰らい、あっという間にKO負け。

無惨。どうにも無惨。なんというか無惨。かける言葉もねぇ。

第九試合 「暫定王者」ってどういう扱いなんでしょ?

ウェルター級タイトルマッチ 5分3R
北岡悟(168cm/74.8kg/PANCRASE ism/PANCRASEウェルター級 一位)
井上克也(175cm/74.9kg/和術慧舟會RJW/PANCRASEウェルター暫定王者)
[判定 1−0]
※井上は暫定王者のまま2度目の防衛
※2Rサミングにより井上にイエローカード減点1

最近はフロントチョークやヒールホールドでちょこちょこ一本勝ちを取るようになった北岡悟と、ウェルター級のPANCRASE所属選手を総ナメにしている井上克也の対戦は、本来なら2005年5月1日に第二代ウェルター級王者決定戦として行われるはずだった試合。

試合は全体を通してスタンドでの攻防が中心。北岡は全ラウンドを通して何度もタックルを仕掛けるも…グラウンドで優位に持ち込めたのはわずかな回数。井上はそのタックルの殆どを捌き、潰し、持ち上げようとした。1Rに北岡がグラウンドで上になり、かなり強引にフロントチョークを仕掛けるシーンがあったが…北岡の攻められたのはここだけ。

試合の殆どを占めていたスタンドの打撃戦では、7cmの身長差で優利な井上がリードして試合を進める。2R序盤あたりはフックを次々に叩き込む…が、その指が北岡の目に入りイエローカード。しかしこれに怯むことなく、井上は単発のパンチで北岡を近づけない。対する北岡もタックルの合間にストレートをヒットさせたりで引かない。こうして3R序盤くらいまでは打撃のヒット数としてはあまり差のなかったが、3R中盤頃から井上のパンチが次々にヒット。鼻血が出る北岡、井上は試合終了まで単発ながらもパンチをガンガンヒットさせていった。

試合は判定までもつれ込み、結果は…試合途中のサミングが判定結果に響いてドロー、井上は暫定王者としての王座防衛となった。だが試合全体を観れば井上が試合を支配していたのは明白で、「暫定王者のまま」というPANCRASE側の処置を含めて井上応援団は不満を顕にしていた。僕も減点があっても井上の勝ちだと思っていたし、たとえドローでも井上を本王者にしても良かったのではないか?と思う。

雑感

1試合は未観戦だったものの、前座の何試合かが辛かった。が、それ以降はそこそこ一本勝ちも出てまあ面白かった。
その裏でismが一勝も出来ない事実は痛い。特に大石はレスリングには定評があるのに空手を覚えてからは打撃一辺倒の闘い方。勝てれば官軍になれるが負けていたのではしょうがない。メインの北岡は攻めのバリエーションが少ないように感じたし、佐藤の試合は語るに及ばない。人気回復はismを含めたレベルの底上げにある…と思う。まずはみんな勝ってくれ、キャラクターはその後でついて来るからさ。


以上、長文失礼。