1/15 キングスロード 後楽園ホール興行 観戦記

あんまりキッカケはないんだが

今週の日曜日は非常にヒマでヒマでしょうがなかった。「兎に角なんでも良いから興行が観たい」と思いながら後楽園ホールの興行を調査したところ、「『キングスロード』旗揚げ戦」と「NJKF」がある事を知る。プロレスとキックの二者択一、「正月にキックを観たしなぁ」と考えてキングスロードを観戦する事に。

キングスロードは現在の全日本プロレスを離脱したフロントが中心になって立ち上がった団体、なのだが…、エースは海外で身体を大きくしてきた宮本 和志、所属選手は相島 勇人と新人一人、という陣容の薄さ。「少ない利権を争って、無理矢理に団体を旗揚げ」というのはマット界には少なくない話だが、この団体も見切り発車の感は否めない。イヤイヤ、大丈夫かね?

まあ、ぶっちゃけ僕はこの団体にはあまり期待はしていないのだが、今日は昔から好きな「全日本プロレス」からの派生団体という事もあり、ご祝儀も兼ねての観戦だ。ちなみにこの日のキングスロードは、満員といえるだけの観客動員に成功。北側は大型モニター使っていたから席を潰していた、とは言え大健闘の入りだろう。

旗揚げの挨拶

まずは団体のエースである宮本和志がリング上から旗揚げの挨拶。「明るく、楽しく、激しく」とか「王道」とか、いわゆる全日本プロレスの営業用フレーズを連呼した後、「僕に三年、時間を下さい!三年後には、日本武道館で試合します!」と宣言。大きく出たね。皮肉っぽいかもしれんが、個人的にはとりあえず団体の一年後の心配をした方がいいと思う。

第一試合 デビュー戦は甘くない

シングルマッチ 15分一本勝負
石川雄規(178cm/98kg/バトラーツ)
●高西翔太(170cm/83kg)
[6分46秒 胴絞めスリーパー]
※高西 翔太はデビュー戦

まだ高校生の高西翔太のプロレスデビュー戦。さすがに身体に厚みがない上、身長がない(170cmもないかも)ので見映えがしない。試合の方もベテラン・石川雄規レスリングで蹂躙されまくった末、バックドロップ〜胴絞めスリーパーで何もできずに敗北。

高西の技らしい技はドロップキック、逆エビ固め、エルボーくらいだったのだが、デビュー戦という事で緊張していたのか動きに「若さ」や「活き」を感じなかった。ただでさえ身体が小さいんだから、せめて動きは大きくねぇ。若いんだからもっと「前へ前へ」の姿勢を出してもいいんじゃないかな?

第二試合 波風立たず

シングルマッチ 30分一本勝負
池田大輔(180cm/105kg/フーテン プロモーション)
相島勇人(178cm/105kg)
[7分53秒 大ちゃんクラッチ]

序盤は池田大輔がレッグラリアートや大ちゃんボンバーで試合を優位に進めるも、相島勇人ラリアットダブルアームスープレックス、バックドロップで反撃、相島がトドメを刺そうと動いたところを、池田が一瞬の大ちゃんクラッチでフォールを奪った。

…というのが試合全体の流れなのだが、う〜ん、試合全体の印象は…特筆する事ナシ。特に相島は全日本からの移籍組、数少ないキングスロード所属なのに全く意気込みが感じられなかった。これでいいのか、キングスロード?いや、相島にそれを求めるのが間違いなのか?

第三試合 「王道」なんて商売用の言葉、そうはわかっていても…

シングルマッチ 30分一本勝負
ブルー・ジャスティス(不明/不明)
ターザン後藤(178cm/150kg/ターザン後藤一派)
[5分34秒 ノーコンテスト]
※両軍セコンド乱入

ブルー・ジャスティスといえば「ケンドー・カ・シン」な訳だが、リング上にいるブルーはやけに身体が小さい。「こいつは誰だ?」と観客が注視する中、ブルーが正体を明かすと…おっと、これは久しぶりの愚乱・浪花。ファンもこの復帰を素直に喜んでいたが、結局はあっという間にターザン後藤一派に捕まってしまった。

あとはグダグダの乱闘劇。リング上の後藤も影武者だったらしい、どうでもいいけど。浪花が後藤一派に苛められる中、何故か石狩太一がカシンの居場所をアピール。…煽り方が一本調子でまるで会場が盛り上がる気配がない。正直、素で寒い。

石狩が寒くてもさすがにカシンは千両役者、いざ動きだせば八面六臂の大活躍。イスで後藤一派を散々に蹴散らした後、ニセ後藤の上に浪花をかぶせてカウント3。美味しいところを全部もっていって試合終了。さすがだ。ちなみに後藤はこの後、マイクでカシンを追いかける事を宣言していたが(観客はドン引き)、カシンは本気で後藤と関わる事を嫌がっているようだった。それで正解だと思う。

…それにしても、前の二試合がインパクトが薄い中でのグダグダ乱闘劇。営業用の言葉でしかない、とはわかっていても、思わず「『王道』って何よ?」と聞き返したくなるな。

第四試合 尻

タッグマッチ 30分一本勝負
大森隆男(190cm/110kg/ZERO1-MAX)
 越中詩郎(185cm/105kg/Office K2)
vs
 木村浩一郎(183cm/98kg/DDT)
橋本友彦(183cm/120kg/DDT)
[16分55秒 片エビ固め]
※アックスボンバー

エッチューさんは今日も元気でした。僕はあんまり好きじゃないんだけどね、エッチューさん。

第五試合 今時の若者は…

シングルマッチ 60分一本勝負
天龍源一郎(189cm/120kg/フリー)
宮本和志(182cm/102kg)
[16分9秒 片エビ固め]
※53歳

天龍源一郎と互角に闘う宮本和志、旗揚げ戦という事もあり大健闘!…という事なのだろうが、正直、宮本の試合ぶりから自己主張が感じられない。どこか天龍に遠慮しているようにも見えたのだが、「三年後に武道館で興行を」と考えているのであればもっと前に前に出て行かないと。

気になったシーンが一つ。偶然なのかもしれないが宮本が試合終盤に歴代三冠王者の技を並べたシーンがあった。エルボー、ストレッチプラム、ムーンサルトパワーボムシャイニングウィザード。個人的には自己主張できない選手が安易にストーリーを組み立てているみたいで気分が悪かった。

そんな宮本に、天龍はメチャクチャにエグい角度で53歳を決めて試合は終了。宮本はマイクで「これが今の僕の姿です。チクショーッ!」と叫び、「僕に三年、時間を下さい!三年後には、日本武道館で試合します!」と再び宣言。花道では石狩 太一、河野 真幸、宮本 和志、全日本離脱組三名で手を挙げていた。

…どうにも最近のレスラーはすぐにマイクを持ちたがってイカンな。敗者であればその負けを受け入れて、何も言わずに黙って四方に礼をして欲しかったね。

それにしても、大ベテランの天龍相手に善戦マン以上の活躍ができないまま「三年後…」とか言われると、「三年後に還暦近い天龍と武道館でやる気かっ!」とツッコミを入れたくなる。やはり今日の試合から自己主張できなかったのは致命的な気がするんだがねぇ…。

雑感

何というか、非常にブルーな気分にさせられた興行でした。誰が誰の為に旗揚げしたのか、そういうモノが全くわからない興行、というか。唯一、素直に喜べたのは浪花の復帰くらい、というのもどうなのかなぁ、と。

「三年後の目標よりも、まずは一年後の自身の団体の心配をして欲しい」というのは、試合開始前の宮本の挨拶を聞いての感想でしたが、試合を観戦し終えた後もこの感想は変わりませんでした。…う〜ん、本当に大丈夫かねぇこの団体?

おまけ

帰りに何故か靖国神社を参拝。で、靖国神社は九段下にあり、九段下といえば日本武道館もある訳だが、遠めに見ても日本武道館は大変に大きな建物だった。

キングスロードが三年後にここで興行を打つの…、正直ムリっぽいなぁ。


以上、長文失礼。