5/16 新日本キック(武田引退) 後楽園ホール興行 観戦記 Ver1.0

Mask_Takakura2010-05-18

観戦したのは興行の半分以下だけど、それでも観戦記です

本日は後楽園ホール新日本キックを観戦。


今日の新日本キックの目玉は、ズバリ言ってメインイベントに組まれた武田幸三の引退エキシビジョンだろう。僕は2002年頃に新日本キックをマメに観戦していた時期があり、その時は武田がラジャダムナン二冠制覇を目指していた頃だから観客のノリも物凄くてねぇ。僕も武田には色々と夢を見せてもらったので、彼の引退エキシが組まれた今日の興行は、僕にとって外せないモノなのだ。


…っていうか、ぶっちゃけそれがなければ今の新日本キックなんて観戦しないだろうなぁ。理由は以前に書いたけど「新日本キック協会が採用している3分2R制があまり好きでない」「基本的に鎖国団体なので話題性に乏しい」「試合内容が昔ながらの淡々としたキックボクシングでとっつきにくい」など色々あって、嫌いではないんだけど、どうも苦手なんだよねぇ。そんなモンだから今日は武田の引退エキシ以外はどんな試合があるのかも調べてないし、興行が開始してから一時間半が経過した6時半に会場入りしているわけだ。酷いな。


チケット代は5000円、パンフレットは武田幸三写真集付きで1500円。観客の入りは超満員。まぁ、団体の看板選手の引退とあれば満員になるのは当然だわな。

頭に残りすぎるよ

僕が会場入りした時はちょうど休憩中で、休憩後はお馴染み伊原信一会長の挨拶。満員のお客さんに感謝を示したものの、あとは武田幸三の引退の際にしゃべるのだそうな。う〜ん、相変わらず伊原会長の挨拶は怒気を孕んでいるなぁ。怖いよ。

続いて、K-1 MAX 63kg級トーナメントで大月晴明に勝利した松本芳道が勝利の報告。伊原会長によると、松本はK-1 MAX 63kg級トーナメントの本戦への出場が確定しているようだ。その松本曰く「引退する武田幸三選手の穴は俺が埋めます!」との事。うん、こちらは力強い挨拶でいいねぇ。



第六試合 印象に残らんなぁ

55kg契約 3分3R
○木暮智(ビクトリー/日本ウェルターバンタム級 王者)
●松下隆義(トーエル/日本ウェルターバンタム級 六位)
[判定 3−0]

ぬぬぅ、新日本キックの選手ってわからないので、序文が書けないなぁ…。まぁ、とりあえず。ここからの四試合には新日本キックの現役王者がズラリと揃うようだ。う〜ん、チャンピオンカーニバルだなぁ。まずはバンタム級王者の木暮智が登場。他団体でいうと藤原あらし、米田貴志といった「ムエタイに通用する強豪」が揃っている階級か。新日本の王者はムエタイに届くのか、じっくり見せてもらおう。




1R、お互いの距離が開く中で、松下は右ミドルを重ね、木暮は左ミドルと左ローを返していく。松下はワンツーと右ミドルを武器に前進するも、木暮は後退しながら右の前蹴りで遠ざけ、尚も松下が接近すればクリンチで逃れてしまう。このラウンドは中間距離での蹴り合いに終始。



2R、試合の構図は変わらない。両者が一定の間合いの中で蹴り合う中、松下は1Rで多用した右ミドルに加えて右ローや左ミドルも駆使して攻めるのに対して、木暮は左ストレート〜左ミドルのコンビネーションを繰り出しながら後退。松下はプレッシャーを掛け続けるが、木暮は左ストレートと左ミドルに加えて、左ローを駆使して松下を接近させない。それでも松下は前進を続けるも、木暮は自ら下がって往なしてしまう。巧いなぁ。



3R、松下は今まで以上にプレッシャーを掛けて前進、だが木暮は前蹴りで遠ざけながら左ローを放つ。松下も負けじと右ローを返し、やがて試合はミドルの打ち合いに。松下は右ミドル、木暮は左ミドルという「喧嘩ミドル」の図式の中、終盤、松下は尚も前に出るが、木暮は最後まで下がりながらの前蹴りやパンチでこれを往なしてしまった。



ここで試合は終了。判定の結果、3−0で木暮が勝利。



ふ〜む、先日のTITANS NEOSの時もそうだけど、さすがに王者の木暮は巧いなぁ。でも今日は正直、試合全体の印象が地味で印象に残らなかったけど。まあ、木暮は安全に勝つ術に長けているとは改めて思ったけどね。

第七試合 印象に残らんなぁ

68kg契約 3分3R
○サムランチャイ・96ピーナン(タイ/元タイ国プロムエタイ協会ライト級王者/ルンピニースタジアム認定スーパーライト級 六位)
●緑川創(藤本/日本ウェルター級 王者)
[判定 3−0]

新日本チャンピオンカーニバル、二人目の現役王者は緑川創。ウェルター級王者にしてまだ23歳だから、将来的にはK-1 MAXへの出場もあるのかな?今日の相手はルンピニーの現役ランカーであるサムランチャイ・96ピーナン。なんだかんだで新日本キックの「打倒ムエタイ路線」はブレないなぁ。ちなみにサムランチャイは山本優弥を相手に肘でカットして勝利した実績の持ち主なのだそうな。




1R、緑川は右ローで牽制しつつ、前に出て右フック〜左フック〜右フックのコンビネーションを放つ。フム、パンチが得意な選手なのか。対するサムランチャイ、緑川の圧力を気にする様子もなく全力で右ローを放てば、喰らった緑川が吹っ飛んでしまう。

観客が騒然とする中、サムランチャイは左ミドルを放ち、緑川は正面からのパンチで応戦。サムランチャイの左ミドルはそこまで威力を感じないものだったが、その分は首相撲でカバー。緑川を捕まえては投げていくサムランチャイに対して、緑川は接近戦は不利と見たのか、遠い距離からパンチを放っていく。緑川のパンチは回転力があり、今のところはサムランチャイに引けをとっていない。




2R、緑川はサムランチャイの周りを回りながらパンチで牽制。対するサムランチャイは距離を詰め続け、接近戦では首相撲で投げてしまう。すると、ここで緑川がドクターチェックを受ける。バッティングで左瞼をカットしたようだ。

幸いにして試合は再開、ここからはサムランチャイがよりプレッシャー強める。右ロー、右ハイ、左ミドルと蹴りを駆使し、組み付けば投げを放って緑川の体力を奪っていく。劣勢の緑川はパンチで応戦するも、その圧力は確実に落ちている。




3R、緑川はリングを時計回りに動いてワンツーを放つのに対して、サムランチャイは右ハイと右ローを多用して緑川を攻め続け、組み付けば投げを放って攻勢をキープ。そして左ミドルを多用するサムランチャイに対して、体力を奪われ続けた緑川はカウンターを狙う作戦に切り替えるも、サムランチャイのプレッシャーが強くて思うようにパンチが出せない状態に。う〜ん、やはりムエタイは強い。



試合終了、判定の結果、3−0でサムランチャイが勝利。



ふ〜む、ムエタイは強いなぁ、とは思うけど…。正直、試合全体の印象が地味すぎて印象に残らんなぁ。いや、サムランチャイは強いとは思うけど、手がつけられない感じはしなかったのでね…。

第八試合 印象に残らんなぁ

60kg契約 3分3R
蘇我英樹(市原/日本フェザー級 王者)
△内田雅之(藤本/日本フェザー級 六位)
[判定 0−0]

新日本チャンピオンカーニバル、三人目の現役王者は蘇我英樹。う〜ん、蘇我って昔から王座戦線にいる印象があるんだけど、まだ30戦には手が届いていないのね。あと、蘇我といえば「市原興行で暴動」ってイメージも強いなぁ(苦笑)。まぁ、彼本人はいい選手だと思うけど、応援団がね…。ちなみに蘇我と内田雅之の対戦は二度目で、一度目はドローだったそうだ。決着戦というワケね。
団長 「いっけーいけいけ、いけいけ内田!」
応援団「いっけーいけいけ、いけいけ内田!」




団長 「おっせーおせおせ、おせおせ内田!」
応援団「おっせーおせおせ、おせおせ内田!」
1R、試合開始直後、いきなり組み付く両者。ブレイク後は蘇我がパンチでプレッシャーを掛けていくと。内田は前蹴りと左ローで応戦。蘇我は右ローとワンツーを武器に攻めて行き、中盤に左ボディと右ローがヒットすると、これをきっかけに蘇我は前に出てパンチと右ローで攻めていくが、内田も左ローと左ミドルを返していく。
団長 「いっけーいけいけ、いけいけ内田!」
応援団「いっけーいけいけ、いけいけ内田!」



団長 「おっせーおせおせ、おせおせ内田!」
応援団「おっせーおせおせ、おせおせ内田!」
2R、やはり蘇我はパンチと右ローでプレッシャーを掛け、内田は前蹴りと左ローで応戦。キック主体の内田が左ミドルを連発すると、蘇我はこれに合わせて打撃を返していく。内田は距離を詰めてくる蘇我を前蹴りで遠ざけて、右ミドルで追い撃ち。それでも終盤、蘇我のパンチがヒットすると、怯む内田に連打を仕掛けていく。
団長 「いっけーいけいけ、いけいけ内田!」
応援団「いっけーいけいけ、いけいけ内田!」



団長 「おっせーおせおせ、おせおせ内田!」
応援団「おっせーおせおせ、おせおせ内田!」
3R、序盤に内田の左ハイがヒット。怯む蘇我を内田が追撃するも、しのいだ蘇我は逆にプレッシャーを掛けてワンツーを放つ。だが内田は、前蹴りなどを駆使して蘇我の圧力を抑えると、それでも前に出てきて右ローを放つ蘇我に対して再び左ハイを叩き込む。う〜ん、1R〜2Rとは一転して蘇我が苦戦する場面がが目立つな。
団長 「いっけーいけいけ、いけいけ内田!」
応援団「いっけーいけいけ、いけいけ内田!」



団長 「おっせーおせおせ、おせおせ内田!」
応援団「おっせーおせおせ、おせおせ内田!」
ここで試合終了。応援団の後押しもあって「自分が勝者!」とばかりにパフォーマンスを行なう内田だったが、判定の結果は0−0のドロー。



ふ〜む、典型的なパンチ vs キックの展開だったけど…。正直、試合全体の印象が地味すぎて印象に残らん。印象に残るのは内田応援団の応援ばかりという…。他団体でいうとNJKF岩井伸洋の応援団とか、総合格闘技高谷裕之の応援団に引けを取らないレベルだったなぁ。よく喉が潰れないモンだな。

第九試合 印象に残らんなぁ

日本ミドル級タイトルマッチ 3分5R
△宮本武勇志(治政館/日本ミドル級 王者)
△喜多村誠(伊原道場/日本ミドル級 一位)
[判定 1−0]
※宮本が王座を防衛

新日本チャンピオンカーニバル、最後の現役王者は武田と同じ治政館の所属の宮本武勇志。ちなみに武勇志はムサシと読む。読めんわ。そんなこんなで今日はタイトル防衛に挑む宮本、対戦相手の喜多村誠とは四度目の対戦だという。その戦績はなんと宮本の1敗2分。ふ〜む、王者が負け越しているのか。それは興味深いな。




1R、距離が空く中で両者は左ミドルを打ち合うが、やがて挑戦者の喜多村がワンツーと左ミドルを武器にプレッシャーを掛ける。左ミドルで宮本を転ばせ、更に左ローと左ミドルを重ねて攻める喜多村に対して、宮本はリングを時計周りに回って様子を伺うが、ここまでは喜多村に詰められる場面が目立つ。ここまではややパワーに優る喜多村が淡々と攻め込んでいる感じ。



2R、喜多村は距離を詰めて、左右のミドルで攻めていくのに対して、宮本は完全に攻めが後手に回る。主導権を握った喜多村は宮本の腹にテンカオを入れると、続いて右ハイがヒット。観客の大歓声の中、宮本はワンツーや左ストレート〜右ローを繰り出して応戦したが、喜多村は尚も距離を詰めてくる。宮本はコーナー際で入れ替わりつつワンツーを繰り出すなどの巧さを見せるが、ラウンド終了直前に喜多村のパンチがヒットするとちょっとグラついてしまう。う〜む、王者の宮本が押されてるなぁ。



3R、ここまで劣勢の宮本が戦法を変える。一転してプレッシャーを強めて前に出た宮本、パンチも蹴りも積極的に繰り出して攻め込んで行くが、喜多村は至近距離で右フックをヒットさせて応戦。ダメージのある宮本は前蹴りで距離を稼ごうとしたが、チャンスを迎えた喜多村が機会を逃さず前に出る。今度は宮本がカウンターの右ストレートを入れたが、喜多村は怯まずにコーナー際で宮本に組み付いて肘打ちを連打。ぬぬぅ、宮本は攻め込もうとしているけど、流れは変わらず、か。



4R、喜多村は右ローを放つと、なんと後ろ上段回し蹴りの大技をヒットさせた。だが宮本はワンツーと右ローを返すと、尚も右ローを放ちつつ距離を詰めてくる喜多村に対して右のボディストレートを叩き込む。モロに喰らった喜多村だが、後転しつつ立ち上がるパフォーマンスで観客を沸かせる。挑発された格好になった宮本はワンツーで積極的に攻め込み、喜多村は右ミドルや右ロー、そして首相撲からの肘打ちで応戦。ただ、両者ともに一発一発の破壊力を感じない。試合は淡々と進んでいく。



5R、喜多村は右ローを連発して攻め込み、宮本はこれにカウンターの右フックを合わせる。尚も右ローを繰り出す喜多村に対し、宮本はワンツー〜左ミドルのコンビネーションを入れ、中盤には右ストレートを連続でヒットさせると、尚もも細かい左ジャブも次々に当てた。これまでとは一転して劣勢に回った喜多村は右ストレートを返すも、宮本は組み付いての膝蹴りで喜多村の勢いを殺していく。う〜ん、宮本は最後の最後に隠していた爪が出てきた感じだけど、ちょっと遅すぎる感があるな。



そんなこんなで試合は終了。両者ともに余力が充分に残っているのか、両者はあらゆる腕立て伏せのパフォーマンスを披露してジャッジに自らの優位勢をアピールしたが、判定の結果は宮本の1−0でドロー。勝った宮本は「ドロー防衛には納得してないですけど、武田さんの引退興行でベルトを守れたことはよかったと思います」と語ると「これからは自分が治政館を引っ張っていきたい」と宣言、応援団の拍手を受けていた。



う〜ん、今日は武田が引退する日だから、結果は治政館補正で助けられた感じかなぁ。正直、普通に判定したらどう見ても「喜多村の勝利」という展開だしなぁ。それにしても正直、試合全体の印象が地味すぎて印象に残らんなぁ。なんか選手のモチベーションが王座戦らしからぬ淡白さだった気がするしね。



っていうか、新日本チャンピオンカーニバルの試合はどれも「相手をKOする!」という気概が全然見えなくて印象に残らんなぁ、というか。

第十試合 インパクトが強過ぎる…

武田幸三引退エキシビジョンマッチ 3分1R
武田幸三(治政館/元ラジャダムナンスタジアム認定ウェルター級 王者)
佐藤嘉洋(名古屋JKF/K-1 MAX 2008 世界三位 & 2006、2007 日本王者)
[勝敗無し]

K-1 MAXの舞台ではアルバート・クラウスを相手に引退試合を行ない、観戦していたファンを引かせる程に壮絶な最期を遂げた武田幸三だが、今日は古巣である新日本キックでの引退試合に挑む。「引退試合をした選手の引退試合って何だよ!」とか怒ってはいけない。何故ならこんな事は、いかにも伊原会長が考えそうな事なのだから。




右ローと右ストレートのみを武器に、これまで72戦を闘い続けた武田。2001年1月にはチャラームダム・シットラットラガーンを右ストレートでKO、ムエタイ史上四人目も外国人王者として君臨したが…。その長い闘いの歴史の代償はあまりにも大きかった。素人が見ても「プロとしては致命的」とすぐにわかる落ち癖に加え、一時期は片目の視力を失っていたという武田(現在は手術により回復)。正直、彼がこの時期に引退することを「遅すぎる」と感じているファンも多いだろう。



それでも武田は、最期の最期まで自分らしく闘うことを望んだ。新日本キックでの引退の対戦相手は、自らが「日本人で世界に通用するのは彼だけ」と認めている佐藤嘉洋を選び、試合前にはエキシビジョンと銘打っているにも関わらず、佐藤に「真剣勝負で来て下さい」と伝えたという。晩年のライバルであるジョン・ウェイン・パーとの引退試合も観たかったが、これだけのお膳立てがあるのなら、佐藤という選択も俄然、面白くなるな。



だが、その引退試合はクラウス戦以上に壮絶なものとなった。


試合が開始すると、武田の心を汲んだ佐藤が本当に容赦なく武田を攻め込む。武田の左右のフックをガードした佐藤は右ロー、左ミドル、そして右ボディといった打撃が次々に繰り出して攻め込む。その鋭い打撃の軌道に観客から驚きの声が上がる中、佐藤は左右のテンカオからの左ハイで武田からダウンを奪う。





一撃で崩れる武田に観客が必死に声援を贈る中、立ち上がった武田に佐藤は尚も容赦のない打撃を浴びせ続ける。特に左テンカオと右ボディはかなりエグく入り、喰らった武田は何度もダウンを喫した。カウントを数えられなかったものを含めると三度、最初のダウンを合わせると計四度。





それでも立ち上がる武田に観客が歓声を贈る中、武田はローを蹴り続け、佐藤もこれにローで応える。そして迎えた試合終了、観客は大きな拍手で両者の健闘を称えた。



う〜む、この試合は色々と考えさせられるなぁ。確かに、選手としての武田幸三を考えると、最期に相手が容赦なく攻めてくれたというのは嬉しいんだろうけど…。正直、この試合で伝わってきたのは、一緒に観戦していたMr.Yさん(http://ksisback.blog.shinobi.jp/)の言っていた「武田は引退試合をやってはいけない人」という言葉、そのままだった。


確かに異例のエキシビジョンだったのは事実。佐藤は容赦なく武田を攻めていたが、かといって全力で潰しにきたわけでもない。にも関わらず、武田は打撃を喰らうたびに簡単にダウンを喫していた。長年の闘いで蓄積したダメージはこちらの想像以上であり、そしてそのダメージはK-1 MAXでのアルバート・クラウス戦でより深刻になったのではないだろうか。そう思わせるくらい、この試合での武田はボロボロだった。たとえ今日が最期であっても、こんな武田の姿をファンは本当に望んでいたのだろうか?


武田と時を同じくしてブレイクした魔裟斗小林聡引退試合と比べてしまうと、試合内容に素直に感動できない自分がいる、というのが正直な感想だ。



余計なものがついてきたなぁ

試合終了後は武田の引退セレモニー。


まずは最期の相手を務めた佐藤がマイクを持った。「武田幸三という選手は引退しようがしまいが、僕の中で色気のある、本当に魅力的な選手」と語り、「武田選手のファンの皆様も、二番目で良いので(僕を)応援していただけたら有り難いです」と挨拶、観客から笑いと大きな拍手を受けていた。う〜む、佐藤は言葉のチョイスが巧いな。




続いて、現存するキック団体の源流である日本キックボクシング協会を設立し、沢村忠で一大ブームを築き上げた野口修氏、そしてお馴染み伊原信一代表が挨拶を行ったが、ぶっちゃけ聞くに堪えない内容だったので割愛。ちょっとだけ触れておくと、野口氏は「新日本キックこそ、日本のキックボクシングの正当な後継団体だ」と強調しつつ武田に感謝状、伊原氏は野口氏の言葉を必要以上に強調しつつ武田との思い出を語った感じ。『いいから』。そういうの今日は『いいから』((C)ハトのおよめさん)。




ホラ見ろ!治政館の館長であり、武田の第二の父親とも言える長江国政氏が会場の空気を察して、挨拶を手短に済ませちゃったじゃないか!今日みたいな大事な日に、武田の師匠にこういう気の使わせ方をさせるなよ!



最後は武田の挨拶。対戦相手になってくれた佐藤に感謝の言葉を述べた武田は、最後にもし来世の人生を選ぶことができるのなら、また同じ親のもとに生まれ、また同じ治政館の門を叩き、来世もキックをしてみなさんのために頑張りたいと思います」と涙ながらに語り、観客の拍手喝采を受けた。



会場が暗くなり、引退の10カウントゴングが流される。どんな選手であっても、この瞬間に立ち会うのは寂しいものだが、現役時代にファンとして夢を貰った選手であれば、ゴングの音がより悲しく聞えてくるものだ。



こうして、武田の15年間に及ぶ格闘家人生は終わりを告げた。花道を引き上げる時にリングサイドを一周し、観客にもみくちゃにされる武田。みんな、武田幸三が好きなのだ。う〜ん、いい絵だ。シンプルながらも、いい引退セレモニーだねぇ。

ま、それだけに途中の野口氏&伊原氏の挨拶が残念過ぎるわけだけどさ(苦笑)。




武田幸三 2009年10月26日 引退
元泰国 ラジャダムナンスタジアム認定ウェルター級 王者
通算戦績:72戦45勝20敗7分34KO

雑感

とにかく、武田幸三引退試合インパクトが強過ぎた。「引退試合をやってはいけない人」というのは言いえて妙だよなぁ。武田はいい選手だった。ラジャダムナンの王者にもなった選手だ。それだけに…。

武田に対しては悪い言い方になるが、キックボクシング界はこれ以上「武田のような悲劇」を生み出してはいけない。特にK-1甲子園で闘う若い選手が、30代になって武田のようにならないよう、安全面には細心の注意を払ってほしい。


あとは「伊原会長の独演会」はもうコリゴリ。だから僕は、新日本キックからは足が遠のいちゃうんだよ…。


以上、長文失礼。