5/9 NJKF 後楽園ホール興行 観戦記 ver0.5

今、キック界でもっとも注目すべき団体です

本日は後楽園ホールNJKFを観戦。


このところは他団体選手とのビッグマッチを組む傾向のあるNJKFだが、今日のメインでは前田尚紀を下して勢いに乗る羅紗陀が「右の殺し屋」山本元気との一戦に挑む。残念ながら、5月2日に行なわれたK-1 MAX -63kg Japan Tournamentの選からは漏れた二人だが、昔からのキック好きであればこの一戦を「裏 K-1 MAX 軽量級」と見ているファンも多いだろう。そして何より、この一戦がキックルールで実現した事に喜びを感じているファンも多いだろう。この試合の勝者は、7月に引退をする事を表明した桜井洋平と対戦することが予想されるが、桜井との一戦に挑むのは、どちらの選手となるのか?


また、今日はその他にも王座戦が目白押し。長島☆自演乙☆雄一郎が返上したNJKFスーパーウェルター級王座を巡って、健太と太陽照明が激突。またNJKFウェルター級王座を巡り、大和哲也の弟分である大和侑也と高橋誠治が争う。NJKFフェザー級、及び、ライト級の王座決定トーナメントの準決勝も行なわれ、更にはNJKF軽量級のカリスマである国崇も出場。う〜む、なかなかカードがいいなぁ。


そんなこんなでチケットを購入、4000円。これだけのカードを、比較的安価で観戦できるのがNJKFの良いところなのだが、観客の入りは約八割程度か。う〜ん、もっと入りそうなモンなんだけどなぁ…。最近はどの興行も、観客動員は苦戦しているなぁ。

第一試合 女子

BONITA BOXEO バンタム級 2分3R
○大石ゆきの(159cm/53.6kg/OISHI GYM)
●大浜芳美(153cm/53.4kg/インスパイヤード・モーション)
[判定 3−0]

大石ゆきのはまだ16歳なのに、なかなか体格がゴツい。対する大浜芳美は「恋のから騒ぎ」にも出演していたアイドル・キックボクサー。もう結構、歳とっちゃったけど(苦笑)。


1R、大浜は蹴りを駆使して距離を作ろうとするも、若い大石はパンチを武器にガンガン前へ出る。ラッシュ&ラッシュで試合をリードする大石、要所で使う左のテンカオも有効打になっているねぇ。


2R、大浜は前にでる大石に右ミドルと左フックを浴びせるも、大石はお構いなしに左ミドル、右ロー、そしてパンチを使い分けて攻め込んでいく。大浜は大きなダメージを負ったわけではないが、ここまでは大石の勢いに呑まれている。大石は終盤に、浴びせ蹴りで宙を舞った。


ところが3R、流れがかわる。ここまで攻め一辺倒だった大石が疲れを見せたのだ。大浜は蹴りを駆使して自分の距離で右ミドルを放っていく。中盤以降、今度は大浜が前に出るようになるが、大石は大浜が接近するとパンチとキックで応戦。


判定の結果、3−0で大石が勝利。う〜ん、16歳かぁ…。若さは大きな武器だねぇ。

第二試合 下位戦線

63.5kg契約 3分3R + 延長3分1R
○畠山隼人(173cm/63.2kg/E.S.G/NJKFライト級 九位)
●宮島教晋(175cm/63.25kg/誠至会/NJKFスーパーライト級 六位)
[2R 3分9秒 KO]
※右膝蹴り

二人ともあんまり知らない選手なので、パンフレットより引用。宮島教晋はこれが後楽園ホールに初進出、そして畠山隼人はパンチ力に定評があるそうな。


1R、両者が距離を取り、宮島は左ミドルを中心に、畠山はワンツー、右ロー、右ミドルを使い分けて打撃を交換。中盤、宮島はクリンチから掛け倒しで畠山に嫌がらせ。終盤に畑山はワンツー〜左ボディのコンビネーションを見せるも、宮島はジャブで距離を作って左ミドルを伸ばす。ここまでは互角。


2R、宮島の左ハイの打ち終わりに、畠山は右ストレートを合わせてダウンを奪うと、追い込まれた宮島が前に出るようになる。首相撲から投げを連発する宮島が、前に出て左ミドルを放つ。

こうして試合は宮島ペースで推移したが、ラウンド終了直前に宮島の首相撲に対抗した畠山が顔面に膝蹴り一閃。一撃で宮島はダウンを喫し、立ち上がることはできなかった。


おおっ!パンチがフィニッシュになると思っていたら、膝蹴りで決着とは。意外だなぁ。

第三試合 対抗戦

55kg契約 3分3R + 延長3分1R
○裕センチャイジム(167cm/54.7kg/センチャイムエタイジム/NJKFバンタム級 五位)
●松本圭一太(172cm/54.55kg/相模原ジム/MA日本バンタム級 四位)
[3R 1分54秒 TKO]
※肘打ちによる額のカットによる

前進しての力強い攻めが持ち味の裕センチャイジム、バンタム級としては長身の持ち主で、TOMONORIとも互角の闘いを演じた経験を持つ松本圭一太。…パンフレットにそう書いてあった。まぁ、この辺はコツコツ覚えていくしかないな。


1R、松本が右ミドルを放てば、裕は左ミドルで応戦。そんな中、主導権を握ったのは裕、ワンツーと首相撲、右ローも多用して試合をリードする。特に首相撲からのボディへの膝は有効打となる。


2R、裕は距離が開くと右ミドルで蹴り、接近戦では首相撲を駆使する。対する松本はパンチを武器に前へ出るも、このラウンドも主導権を握ったのは裕。右ミドルと首相撲からボディへの膝蹴り、どちらも松本によく入っている。う〜ん、一方的だなぁ。


3R、ペースを握った裕が仕上げに入る。しつこいまでの首相撲から肘打ちを放てば松本は流血。試合は続行したが、尚も裕の首相撲は続く。松本もパンチで応戦するも、裕の首相撲に阻まれて攻撃が続かない。そして裕は再び首相撲から肘打ち。これで松本の流血が激しくなり、ドクターストップが掛った。


う〜ん、終わってみれば一から十まで裕の試合だったなぁ。ムエタイは強い。

第四試合 逆転劇

NJKFライト級王座決定トーナメント準決勝 3分5R
◯一輝(173cm/61.23kg/OGUNI/NJKFライト級 三位)
●海戸淳(168cm/61.1kg/y-park/NJKFライト級 二位)
[判定 3−0]
※海戸は5Rにダウン2

この試合は、大和哲也が返上したNJKFライト級王座の決定トーナメントの準決勝。頑固なまでに右ローを放つ一輝と、元全日本キック所属でテコンドー仕込みの多彩な蹴りを得意とする海戸淳が激突する。勝った選手は、決勝で宮越慶二郎と王座を争うことになる。


1R、一輝はいつも通りの右ロー、海戸は左ミドルと左ローで蹴っていく。海戸は派手な回し蹴りを繰り出すと、近距離ではワンツーや右ボディといったパンチも駆使。一輝も左フックと右ローで応戦するも、海戸は距離を離して左ミドルと左ローで蹴っていく。手数で上回る海戸だが、ベテラン故にスタミナ切れが心配だ。


2R、序盤に一輝のパンチがヒットするも、海戸は首相撲からの膝蹴りで応戦すると、ワンツー〜左ミドルを連発し、右ローやソバットも駆使。押され気味の一輝だが、得意の右ローから再びパンチを当てると、これが効いた海戸が下がっていく。だが海戸もすぐに回復して反撃。いい形で実力が拮抗しているなぁ。


3R、海戸がワンツー、左ロー、右ミドルを武器に攻め込む。対する一輝はパンチで対抗、前に出て右ローを放つ。海戸はクリンチから足を掛けて一輝を押し倒すとソバットを連発するも、右ローが効いてきたのか動きが鈍り始める。一輝は変わらずパンチを出しつつ前に出て右ローを重ねるが、これをかわした海戸が強烈な左ボディを叩き込む。


4R、流れを掴み始めた一輝が前に出るが、繰り出すパンチや右ローは海戸が受け流す。そして今度はボディに打撃を受け続けた一輝の足が止まる。海戸はすかさず飛び膝蹴りを敢行し、これが外れても左ミドルで追撃。尚も一輝はパンチを繰り出すが、海戸はかわして左ボディを入れる。苦しい一輝だが首相撲で難を逃れるが、海戸は尚も左ミドルで一輝のボディを攻める。う〜ん、一輝は追い込まれたな。


5R、海戸は足を使って一輝のプレッシャーを拡散してパンチで攻める。尚も一輝は前に出るも、海戸の撹乱戦法に翻弄されつつも、自分の武器である右ローとパンチを出し続ける。海戸もパンチで応戦していたが…。

試合終了直前、大逆転劇が待っていた。一輝が海戸を首相撲に捕えて膝蹴りを放つと、モロに喰らった海戸は一撃でダウン。なんとか立ち上がった海戸に一輝はもう一度、首相撲からの膝蹴りでダウンを奪う。思わぬ逆転に観客は大歓声を上げた。


判定の結果、5Rの逆転劇で一気にポイントを奪った一輝が3−0で勝利。


むぅ、まさか最終ラウンドにこんな逆転劇が待っていたとは…。正直、この展開は読めなかった。まぁ、諦めずに攻めた一輝の執念が呼び込んだ勝利ってことかねぇ。

第五試合 逸材

NJKFフェザー級王座決定トーナメント準決勝 3分5R
◯中嶋平八(168cm/57.0kg/誠至会/NJKFフェザー級 一位)
●蓮見龍馬(167cm/57.0kg/y-park/NJKFフェザー級 三位)
[3R終了時 TKO]
※タオル投入

ここからは、国崇が返上したNJKFフェザー級王座決定トーナメントの準決勝が二試合。その一試合目は、心センチャイジムに勝利した経験を持つ中嶋平八と、真二を倒してランキング入りを果たした蓮見龍馬が激突。ふむ、お互いに「そこそこネームバリューを持つ選手」を倒している者同士なだけに、これは注目してみても良いだろう。


1R、中嶋はワンツー〜左ミドルを放ち、蓮見は左ボディで応戦。中嶋のパンチは出も戻りも早い。ワンツー〜左ハイ、ワンツー〜右ローといったコンビネーションでガンガン攻める中嶋に対して、蓮見もワンツーを返すが、中嶋かわしてワンツーを放つ。そして終盤、中嶋は蓮見が前に出たところにカウンターの右ストレートを合わせると、喰らった蓮見がダウンを喫する。


2R、1Rと同じく中嶋がプレッシャーを掛けるも、蓮見も前に出て応戦。中嶋は右ハイを多用しつつ近距離ではワンツー、至近距離では首相撲で蓮見を翻弄。更には鋭い右ローで蓮見を崩しに掛かる中嶋、焦る蓮見が前に出れば、カウンターの左フックで応戦。蓮見も反撃するも、中嶋の方が一枚上手だ。


3R、序盤は中距離でお互いに牽制し合ったが、続いての打ち合いの中で蓮見のパンチが連続でヒット。これが効いた中嶋が下がって一度距離を置くも、回復するとダッシュパンチで距離を詰める。蓮見も近距離からパンチで応戦したが、その中で中嶋が不意に肘を放つと、これがヒットして蓮見は流血、一度ドクターチェックが入る。

ここで3Rが終了。蓮見にはもう一度ドクターチェックが入ったが、ここでセコンドがタオルを投入して中嶋が勝利した。


う〜ん、地味な試合ではあったけど、中嶋のワンサイドゲームだったなぁ。パンチ良し、ロー良し、肘良しだったね。まだ23歳なのに、こんなに渋い試合が出来るとはなぁ。中嶋平八か、その名前は覚えておこう。

第六試合 大苦戦

NJKFフェザー級王座決定トーナメント準決勝 3分5R
◯米田貴志(177cm/57.15kg/OGUNI-GYM/WMCインターコンチネンタル スーパーバンタム級 王者)
●心センチャイジム(168cm/56.6kg/センチャイムエタイジム/WBCムエタイルール 日本フェザー級 王者)
[5R TKO]
※左ストレートで心がダウン後にタオル投入

NJKFフェザー級王座決定トーナメントの準決勝、その二試合目では、フェザー級に階級を上げて以来、なかなか結果が出せていない米田貴志と、岩井伸洋との「俺だけのナガブチ対決」を制して勢いに乗る心センチャイジムが激突。う〜ん、ぶっちゃけこれは、もっと後の試合順で実現してもおかしくない好カードだなぁ。米田の左ミドル&ローと、心の膝蹴り。勝つのはどちらか?


1R、米田は左ミドルで牽制するも、心は二発目をキャッチして逆に右ローを入れる。米田は得意の左ローで様子を伺い、心は距離を詰めての首相撲でコントロール。お互いに様子を伺う展開の中、心は右ミドルで牽制し、米田はやはり左ローを繰り出す。終盤、米田が左ハイを放つも心はブロック。まずは静かな立ち上がりだ。


2R、1Rから展開は一転。心は距離を詰めてパンチを放てば、米田も正面からパンチで応戦。心は更に距離を詰め、米田を首相撲に捕えてはボディへ膝蹴りを放つ。そして距離が離れれば右ミドルを蹴る心に対して、米田は下がりながらの左ローで応戦。ここで試合を優勢に運んだのは心の方、右ミドルが何度も米田のボディを襲う。カットを意識しての首相撲での肘打ちも使う心を前に、米田は体力を奪われていく。


3R、2Rと同じく心は前に出て中距離からは右ミドル、至近距離では首相撲からのボディへの膝蹴りと顔面への肘打ちを中心に攻める。対する米田は劣勢を強いられていたが、中盤にパンチを入れると、ワンツーの追い打ちで逆襲。だが心は揺るがず、膝蹴りと肘打ちをあらゆるバリエーションで放ち続ける。米田は終盤にもパンチの連打をヒットさせて応戦したが、心は首相撲からのボディへの膝で対抗。ボディへの打撃で体力を削る心、パンチでダメージを負わせる米田。なかなか凄いことになってきた。


4R、米田が左ローとアッパーを放てば、心はワンツーと右ミドル、首相撲からのボディへの膝蹴りで応戦。だが米田は、接近戦でパンチを連打、左フックが心の顔面にヒットする。更にダメージを負った心だが、首相撲からのボディへの膝蹴りで尚も体力を削っていく。苦しむ米田だが、ここで1Rから放ち続けた左ローが心の右足を蝕む。動きが鈍る心に対して、米田は再びパンチを連打し、そして締めは左ロー!心はこれを耐えられず、ついにダウンを喫した。

ここが勝負処だ。米田は立ち上がった心にすかさずラッシュを仕掛け、ワンツー〜膝蹴り〜左ローのコンビネーションで二度目のダウンを奪う。


5R、フラフラの心だが、それでも逆転を狙って右ミドルを放つ。だが米田は非情の左ロー〜アッパーで通算三度目のダウンを奪うと、この様子を見た心のセコンドがタオルを投入。勝った米田は、観客の歓声の中で「フェザー級で結果が出て嬉しい」とコメント。その表情が嬉しそうだ。


おお、米田がフェザー級でやっと結果を出したね。まぁ、フェザー級で勝ったことがないワケじゃないけど、成長株の心を倒したのは大きな勲章だと思うね。そして、これで決勝は米田 vs 中嶋か。う〜ん、中島は前の試合で渋い闘い方をしていたけど、それが米田に通用するか?が一つの見所だなぁ。

第七試合 伏兵

57.5kg契約 3分5R
◯佐藤政人(169cm/57.0kg/フォルティス渋谷/J-NETWORKフェザー級 王者)
●国崇(168cm/57.1kg/拳之会/WBCムエタイルール インターナショナルスーパーバンタム級 王者&WBCムエタイルール 日本スーパーバンタム級 王者)
[判定 3−0]
※国崇は2Rにダウン1

長年に渡りNJKFの軽量級を牽引し続け、昨年は三冠王となり(現在はNJKFフェザー級王座を返上したため二冠王)、更には年間MVPをも獲得した国崇。前回(今年3月)の試合では、元ルンピニースタジアム認定ミニフライ級一位のチャイポンノーイ・ルークプラバーツに、左フック一発で1RKO負けした国崇、今日はその復帰戦である。対戦相手はJ-NETWORKフェザー級の現役王者である佐藤政人。成程、現役王者対決というワケね。


1R、国崇を中心にして回る佐藤に対して、距離を詰めてパンチを繰り出す国崇。だが佐藤は打ち合いには応じず下がり続ける。苛立つ国崇が前に出ると、佐藤は大振りなカウンターのフックを当て、距離が離れれば右ローをペチペチと重ねていく。国崇が右ローで応戦していく中で1Rは終了。

佐藤の打撃はお世辞にも重いとはいえず、僕は「この人はどうやって王者になったんだっ!?」と思っていたが…。


2R、距離を詰めた国崇が得意のパンチを連打するも、危険を犯さない佐藤は下がって回避。尚も前に出る国崇に対して、佐藤はカウンターの右ストレートを綺麗に当てると、モロに喰らった国崇は棒立ちに。思わぬ展開に観客が騒然とする中、佐藤が右ストレートで追撃すれば、喰らった国崇がダウンを喫する。

NJKFのエースの一人である国崇のダウンに観客が動揺する中、佐藤は立ち上がった国崇との距離を詰めてパンチを連打。一気に決めに来た佐藤だが、国崇が必死に防御して倒しきれず。そして「仕留め損ねた…」と見るや、佐藤は再びリング上を回り始める。対する国崇、失点を挽回すべく前に出てパンチを当てて行く。


3R、2R終盤で流れを掴んだ国崇が前に出るも、そこへ佐藤のカウンターの右ストレートが再びヒット。喰らった国崇が後退すると、佐藤は遠距離からパンチと右ローをチョコチョコと当てていく。国崇は再び前に出て左フックを放てば、佐藤はそれにクロスカウンターの右フックを被せる。

絶妙なカウンターで国崇に接近を許さない佐藤、左ジャブを伸ばして距離を置きつつ右ローを連打。国崇も右ローを返すが、動きが直線的で佐藤に読まれているように見える。


4R、佐藤が中距離から左ローを重ねる中、追い込まれた国崇がプレッシャーを強めて前に出る。佐藤は素直に下がっていき、国崇が更に接近すればクリンチ。そしてブレイク後、佐藤は両者の距離が開いたところに左右のローを繰り出す。

いやらしい攻めを見せる佐藤に対して、国崇は遠距離から右ストレートを叩き込む。観客の歓声の中、怯んだ佐藤に国崇は右ローを連発。佐藤は喰らいながらもストレートと右ローで応戦していく。う〜ん、国崇の右ストレートは綺麗に入ったように見えたのだが、思ったよりダメージがないなぁ。


5R、最早KO以外に勝利はあり得ない国崇が更にプレッシャーを強めるも、前に出たところに佐藤がワンツーをヒットさせる。それでも前に出る国崇に再びワンツーを当てた佐藤が、更にワンツー〜ミドルで攻め込む。

国崇は尚も前に出てパンチを繰り出すも、佐藤はスウェーでかわして大振りなフックを返し、組み付けば倒したりで国崇のプレッシャーを殺してしまう。う〜ん、いやらしいなぁ。


判定の結果、3−0で佐藤が勝利。


う〜ん、佐藤は面白い選手だな。観た目にはまったく強くなさそうなんだけど、今日はその特徴的な闘い方が見事に嵌った印象だ。対する国崇、ポイントで追い込まれてからは攻めが単調になってしまい、そこを佐藤に付け入られてしまった。動きが直線的だったからなぁ…。

第八試合 完勝

NJKFウェルター級 王座決定戦 3分5R
◯大和侑也(173cm/65.95kg/大和/NJKFウェルター級 三位)
高橋誠治(172cm/66.2kg/町田金子/NJKFウェルター級 二位)
[4R 45秒 TKO]
※高橋が右まぶたをカット/大和が新王者に

この試合は、前王者の健太が返上したNJKFウェルター級の王座決定戦。…っていうか、何気にNJKFって王座返上ブームだったのね。その王座を争うのは、準決勝で為房厚志を相手に激闘を繰り広げた末に辛勝した大和侑也と、準決勝では上田龍之介を相手に二度のダウンを奪って完勝した高橋誠治。パンチを得意とする大和に対して、テコンドー出身の高橋は蹴りが得意技。ちなみに両者は昨年11月に対戦しており、この時は高橋が肘打ちを決めて2RにTKO勝利。大和としてはリベンジを果たしたいところだ。


1R、まずは距離をとる両者。大和は右ローで牽制し、高橋は放った後で距離が伸びる独特の左ハイを放つ。この後、高橋の右フックがヒットするも、大和も左ボディをヒットさせて応戦し、得意の右ハイを繰り出す。だが、この日の大和は普段は連発で繰り出す右ハイを封印し、右ローを中心に攻める。蹴り技を得意とする高橋を警戒したか?


2R、高橋が前に出たところに、いきなり大和の左ストレートがヒット。観客の歓声の中、高橋はクリンチで逃れた後で左ミドルを繰り出すも、大和は負けじと左ミドルを放つ。大和のペースを乱したい高橋は、組み付きを多用したが、大和は距離が離れるとワンツー〜左ボディのコンビネーションを決める。

高橋も右ミドル、パンチで押し込んでからの左ハイで対抗。だが大和は、終盤にワンツーを高橋の顔面に叩き込み、更に左ボディで追い打ちを掛ける。これらの打撃はかなりのクリーンヒットだったが、高橋は割と平然としてるのには驚かされた。ポーカーフェイスか?


3R、高橋が右ハイに対して、大和はワンツー〜左ボディで応戦。大和は左ジャブを当てて高橋の動きを牽制。それでも高橋は尚も前に出たが、大和は右ローを連打して高橋の動きを止めに掛かる。ワンツーの後にも右ローを放って左脚を攻め込めば、ダメージを蓄積した高橋が脚を気にし始める。大和はラウンド終了前にも右ボディを放つなどでペースを掴んだが、高橋はまったく表情を変えない。不気味だなぁ。


4R、高橋の左脚を攻めるべく大和がワンツー〜右ローを放ち、高橋もまたワンツー〜右ローで応戦したが…。試合は唐突に終了。大和が組み付いてきた高橋に対して肘打ちを一閃すれば、右ローのダメージでガードが下がっていた高橋はモロに食らってしまった。この一撃で高橋は額をカット。ドクターチェックが入るも、アッサリと試合はストップした。ふ〜む、フィニッシュは狙っていたな。


前回は相手から喰らって負けた技でリベンジを果たした上、NJKFウェルター級王座を獲得した大和は「今日は緊張しすぎて、相手の高橋選手も強かったんですが、(この試合で)スタミナがないと思いましたので、次はちゃんと走ってやりたいと思います。先週、哲也さんがK-1(-63kg級)で山本真弘選手に勝ったので、僕もそれに続いて世界一強い男になりたいと思います!」と力強くコメント。大和応援団からは歓声が沸いた。


う〜む、終わってみれば大和の完勝だったなぁ。っていうか、高橋は見た目には体力を温存しているように見えたのだが、結局ポーカーフェイスのままジリジリと沈んでいったね(苦笑)。先輩の大和哲也とは、また違う闘い方を身につけている大和侑也。う〜ん、大和ジム恐るべし!だな。

第九試合 接戦

NJKFスーパーウェルター級 王座決定戦 3分5R
◯健太(174cm/69.5kg/E.S.G/NJKFスーパーウェルター級 一位 & 前NJKFウェルター級 王者)
●太陽照明(180cm/69.85kg/インスパイヤード・モーション/NJKFスーパーウェルター級 二位)
[5R 1分1秒 TKO]
※太陽が眉間をカット/健太が新王者に

この試合は、前王者の長島☆自演乙☆雄一郎K-1 MAX 日本代表トーナメントを制覇した為に返上した、NJKFスーパーウェルター級の王座決定戦。う〜ん、本来であれば長島に健太が挑戦するハズだったんだがなぁ…。


そんなこんなで、自演乙との直接対決は実現しなかったものの…紆余曲折を経たものの、ようやく健太がスーパーウェルター級の王座に手を掛けた。このところは山内裕太郎TATSUJI、大野崇、北山高与志と他団体で活躍する選手との対戦が続いた健太。元全日本スーパーウェルター級王者の山内裕太郎には際どい判定で辛勝するも、K-1 MAXで活躍したTATSUJIとの一戦ではパワー負けを露呈、判定で敗れてしまった。これにより健太の評価が下がった時期もあったが、SBで活躍していた大野崇の現役最後の相手を務め、激闘の末に判定で破ると、続いてMAキックで活躍する北山高与志を判定で下し、その実力を再アピールした。


行く末はK-1 MAXへの進出も狙っているであろう健太と王座を争うのは、かつて長島☆自演乙☆雄一郎に敗れ、NJKFスーパーウェルター級王座を明け渡した苦い経験を持つ太陽照明(当時は古川照明)。あの時の長島は初音ミクのコスプレで入場し、長島が秒札KOした直後にはリング内に大量の長ネギが投げ込まれて関係者を激怒させたんだよなぁ。まぁ、確かに初音ミクにネギというのは重要な要素なのだが…。事前の打ち合わせもなく、神聖なリングに生の長ネギを投げ込む長島応援団の神経は「どうかしている」と思う。

閑話休題。そんなこんなで太陽もまた、この王座戦を待ち焦がれていた選手なのだ。王座獲得の先には長島との再戦も見据えているであろう太陽は、今日も天空の城ラピュタの主題曲である「君をのせて」に乗って入場。う〜ん、ちょっと前であれば健太の方がこの曲に乗って入場しそうだし、何より長島がこの曲で入場しそうだな(笑)。


1R、体格に勝る太陽がプレッシャーを掛けるも、健太はワンツー〜右ハイのコンビネーションを返す。それでも太陽は前へ出るも、健太は右ストレートを顔面に叩き込み太陽からダウンを奪う。

観客の歓声の中、勝負所と見た健太はラッシュを仕掛け、もう一度太陽から再びダウンを奪う。観客の歓声は更に大きくなり、健太は三度目のダウンを狙って前に出たが、太陽は健太の猛攻をしのぐとパンチで逆襲に出る。ノーガードのまま太陽のパンチをモロに喰らった健太がグラつく中で1Rは終了。う〜ん、これは面白い展開になりそうだな。


2R、1Rの流れを反省したのか、健太は距離を離してコツコツと右ローを重ねる戦法に切り替えた。1Rに受けたダメージが、まだ抜けていないらしい。対する太陽は、組み付いての肘打ちや膝蹴りで健太を攻めていく。健太は右ローを重ねて応戦したが、太陽はアカンベーで健太を挑発すると遠距離からパンチを繰り出す。健太はアッパーから右ローで対抗するも、ここからは徐々に太陽がパンチで健太を押し込む展開に。健太のダメージはまだ回復していない様子だ。


3R、2Rとは一転、健太が前に出て打ち合いに挑む。太陽も打撃を返し、両者は正面から打ち合いを展開。そんな中、太陽のボディへの膝蹴りが健太の腹にエグくヒットする。両者の距離は離れ、健太は再び右ローを地道に重ねて行く。何度も何度も右ローを繰り返す健太に対し、太陽は前に出てのパンチ連打とボディへの膝蹴りで体力を奪う。

試合は「右ローで太陽を崩す健太 vs パンチで体力を削っていく太陽」という図式となり、両者の我慢比べが続く中、均衡を破ったのは太陽。再び健太をパンチで押し込む太陽に対して、健太は下がりながらの右ローで対抗するも、疲労は貯まっている様子。


4R、このラウンドも太陽が前に出る。対する健太は、相変わらず左右のローを連発して太陽の動きを止めに掛かる。だが太陽は苦しい展開となっても、前に出て攻める姿勢を崩そうとしない。やがて組み付き、ボディへの膝蹴りを連発すれば、健太の動きが鈍っていく。尚も膝蹴りを連打する太陽、対する健太は接近してくる太陽にワンツー〜アッパーのコンビネーションを返す。だが太陽は怯まず、やはり組み付いての膝蹴りを猛連打。凄まじい勢いの太陽に対して、苦しくなった健太も確実に右ローを返していく。


5R、突如、流れが変わる。ここまでは攻められっぱなしだった健太が、一転して前に出てガンガン攻め始めたのだ。ワンツーと右ローを猛連打する健太、パンチが一発クリーンヒット。グラつく太陽に対して、チャンスと見た健太はパンチを連打しつつ太陽に接近、至近距離から右の肘打ちを一閃。これまでは右ローを打たれていたので意識が下にあった太陽は、この一撃を不用意に浴びて出血。肘打ちをアピールする健太に対して、レフェリーの指示でドクターチェックを受ける太陽。やがてドクターストップが掛かると、健太はコーナーへ登って勝利をアピールした。


勝った健太は「僕の今後の目標とかけまして、合コンでモテる大学生と解きます!(観客「そのこころは?」)KO(慶応)です!」と、何故か謎かけで喜びを現していた。ねずっち、ブームだなぁ。


う〜ん、今日の健太は逆転劇での王座獲得か。太陽には失礼な言い方になるが…意外な程、苦戦したなぁ。TATSUJI戦の時も感じたんだけど、ひょっとしてパワーで押し込むパンチ主体の選手には弱いのかなぁ。新王者にはなった健太ではあるけれど、課題は残る一戦だと言えるだろうね。

第十試合 無念

60kg契約 3分5R
◯羅紗陀(170cm/59.8kg/キングジム/WBCムエタイルール 日本フェザー級 王者 & NJKFスーパーフェザー級 王者)
山本元気(166cm/59.6kg/DTSジム/元全日本フェザー級 王者)
[3R 2分59秒 TKO]
※山本が額をカット

本日のNJKFのメインイベントは、立ち技ファンが「裏 K-1 MAX 軽量級」として注目している一戦。今年1月に前田尚紀を撃破して勢いに乗る羅紗陀が、前田と同じ「全日本キックフェザー級四天王」の一角である山本元気に挑む。


「右の殺し屋」の異名を持ち、今は亡き全日本キック、そしてKrushで活躍する山本元気。特にKrushでは「Mr. Krush」と呼ばれ、これまで桜井洋平、梶原龍児尾崎圭司前田尚紀といった選手を撃破している。特に桜井洋平との一戦は当時「日本キック界 60kg級 最強決定戦」と呼ばれた試合で、山本はその期待に違わぬ暴れっぷりを見せてKOで撃破している。この時、山本は桜井に対して「今度はキックルールでやりましょう!」と声を掛けた。

そんな中、桜井は今年7月に引退する事が決定。「前田(尚紀)がやられたなら俺が行かなきゃと。『報復』ですよね」と語る山本だが、この一戦の向こうには桜井との約束を見据えているだろう。


対するのは、今年1月に前田尚紀を逆転で下した羅紗陀。独特の間合いから重い打撃で相手を近付けず、相手が弱れば一気にラッシュで相手を倒すスタイルで、ここまで13戦10勝2敗1分3KOの戦績を誇る羅紗陀。日本キック二冠王でもある羅紗陀は、他にも中須賀芳徳や末広智明を下し、Krush ライト級GP 2009や、K-1 MAX -63kg級トーナメントに出場した"狂拳"竹内祐二とはドロー。前田との一戦では、前田の強烈なプレッシャーには大苦戦したが…、5Rも残り20秒というところで、羅紗陀は右フックを叩き込んでダウンを奪い、判定で逆転勝利を得た。

自分の試合が出来ずとも、勝負を諦めない姿勢を見せた羅紗陀。対戦相手は前田以上に強烈なプレッシャーを掛けてくる選手だが、「桜井選手がやられているので、NJKFとしては勝たないといけない相手ですね」と語る羅紗陀は、どのようにして闘うのだろうか?


1R、まずは山本が前に出てプレッシャーを掛けるも、羅紗陀は落ち着いて強烈な左ミドルと左ハイを返していく。恐らく羅紗陀を初めて見た山本のファンなのだろう、羅紗陀の打撃の破壊力に観客の一部が騒然となる。

だが山本は、羅紗陀の打撃を恐れずに接近して強烈な左ボディを放つ。そして羅紗陀もこれに動揺することなく、接近してくる山本に「近付くな!」とばかりに右フック、左ミドル、左ハイを放って行く。だが、どんなに打撃を喰らっても、山本のプレッシャーも弱まらない。うん、ここまでは予想通りの展開だ。


2R、山本がもう一つの得意技である左ボディを入れるも、羅紗陀も下がりながらの左ミドルで応戦。山本はプレッシャーを弱めずに前に出続けるも、羅紗陀はアッパーで山本の動きを牽制。それでも接近を続ける山本が左ボディやフックを放って行く。羅紗陀はこれに合わせて確実に打撃を返し、左ハイを放つ。下がりながらも勢い良く打撃を放つ羅紗陀、だが山本も前進を止めない。

終盤、いよいよ羅紗陀が肘を使い始める。そうだった、羅紗陀には肘打ちがあるんだよなぁ。すると山本は、距離を離して左ミドルで応戦。あぁ、山本は肘打ちがちょっと苦手なんだよなぁ…。


3R、試合の流れが変わる。序盤に羅紗陀の強烈な前蹴りがヒット。ダメージを受けた山本が後ろに下がると、羅紗陀はこれに鋭く反応してパンチの連打を浴びせる。勿論、山本も打ち合いに応じたが、ここでの打ち合いは互角。ここは山本が一旦離れて左ミドルを放った。

やがて、再びプレッシャーを掛けて前に出る山本。だが、これまでの流れで自信を持った羅紗陀は、接近戦で山本と打ち合いを演じるようになる。ここで山本が引かずに前に出たところ、今度は羅紗陀が下がって行った。山本は接近で左ボディを効かせて前へ出たが…、そこで待っていたのは羅紗陀のカウンター、右の肘打ちだ!

この一撃で山本は額をカットして出血。この様子を見たレフェリーがドクターを要請。山本応援団からは悲鳴が上がったが、やがてドクターストップが告げられると、羅紗陀応援団からは大歓声、山本応援団からは落胆の溜息が上がった。


勝った羅紗陀は、桜井洋平の引退相手として名乗りを挙げた。すると桜井がリングに上がり、観客の前で羅紗陀の宣言を快諾。こうして7月に行なわれる桜井の引退試合の相手は羅紗陀に決定した。


う〜ん、羅紗陀は凄いなぁ。前田との一戦では、前田のプレッシャーに押し込まれる場面が目立っていたのに、前田以上にプレッシャーを掛けてくる山本を相手に完勝かぁ。どんな練習を続けたのかは分からないけど、ここ数ヶ月で弱点の対策をキッチリとやったのだろうか。正直、僕はもっと接戦になると思ったのだが…。いや〜、やっぱり羅紗陀には注目せざるを得ないなぁ。

対する山本、これで桜井との「男の約束」は幻となってしまった。僕としては再戦を是非見てみたい一戦だっただけに、これは非常に残念だなぁ。

雑感

こんな時代にあって、試合のレベルを高い水準でキープしているNJKFだけど、今日もまたチケット代以上に堪能させてもらったなぁ。ありがたい話だ。


僕が印象に残ったのは米田貴志vs心センチャイジム、佐藤政人vs国崇、健太vs太陽照明、そして羅紗陀vs山本元気の四試合かなぁ。米田は激闘を制しての勝利、佐藤は曲者ぶりを発揮しての勝利、健太は劣勢の状況を覆しての勝利、そして羅紗陀は予想外の完勝。印象に残った選手の勝ち方がまったく違うというのも面白いなぁ。


そんなNJKFだが、次回はいよいよエースの一人である桜井洋平の引退試合。羅紗陀との一戦は激闘になることは間違いないだろう。う〜ん、今から楽しみではあるが…。やっぱり、山本元気との一戦が実現しないのは残念だなぁ(苦笑)。


以上、長文失礼。