2/9 全日本キック 新宿FACE興行 観戦記

Mask_Takakura2008-02-09

今日はメインとセミ以外の試合は、どんなカードかも知りませんでした(苦笑)

今日は新宿FACE全日本キックを観戦。


本日の全日本キックはランキング下位の選手が中心の「CUB☆KICK'S」なのだが…、そのメインイベントを務めるのは、スーパーフェザー級王者の石川直生だというから驚きだ。メインイベントで「NAOKICK試練の七番勝負」に挑む石川の対戦相手は、キック界では曲者として知られる赤羽秀一だ。打たれ強さに定評のある赤羽に対して、石川は試合前にKO勝利を宣言。第一戦はファイヤー原田を相手にKO勝利を奪った石川、今日も快勝を上げる事はできるのか?

また、セミファイナルには昨年の全日本新空手K-2の中量級王者である、卜部弘嵩が登場。迎え撃つは藤原ジムの若手のホープ、鈴木真治だ。卜部は18歳、鈴木は22歳。将来は全日本キックの未来を担うであろう二人は、今日の対戦で何を見せてくれるのか?


ってなワケでチケットを購入。立見席は3500円、ドリンク代は500円。最近は椅子席を購入する事が多いけど、新宿FACEの場合はどこにいてもリングサイドみたいなモンだから、どうしても立ち見で済ませたくなるんだよね。パンフレットも購入、100円。1000円じゃないよ、100円だよ。カラー紙一枚というシンプルな作りだが、必要な情報はギッシリと詰まっている上、選手のインタビューまで載っている。この作りの良さには頭が下がる。観客は満員。椅子席には若干空きもあったが、立見席はギッシリ。「新宿FACEはどこにいてもリングサイド」という考えは、皆も同じらしい。

第一試合 全日本キックは時折、不可解な判定をするよなぁ

ライト級 3分3R
△ソルデティグレ・ヨースケ(165cm/61.2kg/U.W.F.スネークピットジャパン)
△ユウキ(173cm/60.8kg/AJジム)
[判定 1−0]

リーチの短いヨースケは(身長差8cm)、試合全般において前に出続けて左右のストレート、右ミドル、右ローといった打撃を連発。対するユウキは下がりながらワンツーや右ローを繰り出すも、ヨースケはこれらを喰らっても下がることなく自らの打撃を連発。2Rには右ストレートが数回クリーンヒットし、試合終了直前にはワンツーの連打がユウキの顔面を何度も捉えるなど、終始試合をリードした。対するユウキは終始押され気味、攻めは常に後手に回っていた。


だが、判定の結果はヨースケの1−0でドロー。う〜ん、この試合は素人が観たって「ヨースケの勝ち」である事は明白だと思うんだが…。

第二試合 そういえば元田中塾の田中健一塾長って、何してるんだっけ?

スーパーウェルター級 3分3R
○星野大介(175cm/68.0kg/津田沼道場)
●中園貴宏(176cm/69.5kg/S.V.G.)
[判定 3−0]
※中園は2Rにダウン1、3Rにダウン1

この試合に出場する星野大介は、修斗ライト級世界王者の田村彰敏も所属する津田沼道場の選手だ。「そういえば津田沼道場は以前、全日本キックのルートを経て本場ミャンマーでラウェイの試合に挑戦していたっけ」と思いつつ調べてみたら、星野自身も日本でラウェイの試合を経験していた。対する中園貴宏は、トレードマークのアフロヘアーを坊主頭にしていた。どういった心境の変化なんだろ?


1R、星野は右腕をダラリと下げたデトロイトスタイルから右のジャブで牽制しつつ、左ミドル&左ハイで中園にダメージを与える。対する中園はオーソドックスの構えからの左ローと右ミドルで対抗。星野はアゴを引いて相手を睨む姿が、まるで蛇のようだった。

互角の展開で迎えた2R、中盤頃に中園の左ローが効いてきた星野の身体が流れるようになる。チャンスと見た中園は更に左ローを連発、更には右ミドルとボディブローで星野の体力を奪う。だが、その打撃の終わり際、何の予告もなく不意に放たれた星野の右フックがクリーンヒット。中園はこの一撃でダウンを喫してしまった。

3R、序盤に星野の右ストレートが前に出ようとした中園にクリーンヒットし、中園は二度目をダウンを喫する。こうなると試合は星野のペースになる…と思われたが、中園はダウンによる失点を挽回すべく、臆する事なく前に出てパンチと左ローを連発。右足にダメージのある星野はやや手を焼き、終盤には中園の右ストレートをモロに喰らったが、最後は中園のパンチに対して真っ向から応戦していた。

試合終了。判定の結果は3−0で星野の勝利。


キックボクシングにおけるデトロイトスタイルってチョコチョコ見かけるけど、僕はこのスタイルはキックボクシングに向いていると思うんだよね。ミドルも打ちやすそうだし。蛇のような見た目も相まって、星野にはよく合っているスタイルのように思えたよ。カッコイイことは良いことだ。

第三試合 なかなか熱い試合だったなぁ

フェザー級 3分3R
○遠藤智久(178cm/57.1kg/スクランブル渋谷)
●永野裕典(170cm/56.9kg/和術慧舟會DUROジム)
[判定 3−0]

この試合の前に「キック界の問題児」石黒竜也を見かけた。噂には聞いていたが、顔面にはタトゥーを施していて、これがなかなか似合っていた。ちょっと怖かったけど。んで、この試合の時にジャッジの芹沢健一氏が僕の隣で観戦していた。プレミアム・チャレンジで一回、彼のファイトを生観戦したことがあったなぁ。


この試合は、いきなりダウンの応酬でスタート。1R開始早々に永野のワンツーが遠藤の顔面を打ち抜き、これで遠藤がダウン。観客の歓声の中、永野は追い討ちを掛けようとしたが…今度は遠藤の右ストレートが永野の顔面を打ち抜き、今度は永野がダウン。「いきなり、ダウンの応酬っ!」という熱い展開に、観客は大きな歓声を上げる。

で、この後はリーチに優る遠藤(身長差8cm)が距離を置いて、ワンツーと右ローで攻める。対する永野は強気に前に出てのワンツーで応戦。展開自体は互角だったが、2R中盤に遠藤の左ストレートが顔面を打ち抜き、永野がグラつく場面も。3Rは両者の戦法が噛み合わずにクリンチが多くなってしまったが、永野は要所で右フックをクリーンヒットさせ、遠藤は頑固にワンツー〜右ローを打ち続ける。最後は接近戦での殴り合い、熱い展開に観客が歓声を上げる中で試合終了。両者は抱き合って健闘を称えあう。

判定の結果は3−0で遠藤の勝利。う〜ん、僕はドローだと思ったんだけどなぁ…。2Rの左ストレートが大きな差になったのかなぁ。


最後は多少ガチャガチャになっちゃったけど、全体的に熱い試合だったと思うね。ちなみに永野はこれが初黒星。う〜ん、僕自身はドローを見ていただけに、こういう形での黒星はなんだか残念だなぁ。

第四試合 同じ体格でありながらも、こんなに差が出るとはねぇ

ウェルター級 3分3R
板倉直人(181cm/66.5kg/スクランブル渋谷)
●清水武(181cm/66.5kg/藤原ジム)
[判定 3−0]
※清水は3Rにダウン1

試合開始早々に前に出る清水にカウンターのパンチを当てた板倉は、以降も左ロー&左ミドル、そして組み付いてのボディへの右の膝蹴りで試合をリード。特に左ミドルと膝蹴りは清水を大いに苦しめた。清水は序盤こそワンツーと右ローで応戦するも…再三再四に渡るボディへの攻撃で、どんどん勢いが落ちてしまう。

迎えた3R、前に出る清水にカウンターの左ストレートを当ててダウンを奪った板倉は、尚も組み付いての膝蹴りと左右ミドルで清水を苦しめた。試合終盤、板倉は多少攻め疲れたのが動きが鈍る場面もあったが、最後まで清水のボディへ右の膝蹴りを猛連打。清水は板倉以上に苦しそうな表情を浮かべていた。

試合終了。判定の結果は3−0で板倉が勝利。


これまた、なんとも一方的な試合だなぁ。清水は藤原ジムらしさがまったく出ないままの敗北。リングサイドでは、ジムの大先輩である「野良犬」小林聡GMも観戦していたけど、清水の試合ぶりに対してどんな感想を持ったんだろ?

第五試合 かなり鮮やかなKO劇

フェザー級 3分3R
○九島亮(170cm/57.1kg/AJジム)
●梅原ユウジ(174cm/57.1kg/REX JAPAN)
[1R 2分13秒 KO]
※右フック

九島の所属がAJジムということもあり、山内祐太郎が僕の隣で観戦していた。相変わらず、普段の彼はオーラがまるで出ていない。「近所のお兄さん」みたいな感じというかねぇ。ま、実際には僕の方が全然年上なワケだが(苦笑)。


試合開始。九島は右左のストレートと右ローで勢い良く梅原を攻める。対する梅原は左右フックと右ローで応戦するも、手数で九島の後塵を拝んでいる。

「…とはいえ、タイプが似ているから勝敗がつくまで時間が掛かるかなぁ」なんて思っていた瞬間、九島の右フックが梅原の顔面を打ち抜いた。梅原はその場に倒れこみ、ピクリとも動かず。どんな素人が見てもわかる一撃KO劇。観客の歓声の中、九島は上機嫌に勝利者撮影に応じていた。


九島の圧勝劇に、隣で観戦していた山内祐太郎もご満悦の様子。もう一戦、勝利を重ねれば…いよいよランキング戦に挑むことになるのかな?

第六試合 なかなか鮮やかなTKO劇

ライト級 3分3R + 延長3分1R
○翔太(174cm/61.1kg/S.V.G./全日本ライト級 十位)
●畑尾龍宏(172cm/60.8kg/REX JAPAN/全日本ライト級 九位)
[1R 2分21秒 TKO]
※畑尾が左目蓋をカット

ここからはランキング戦。ところで翔太は以前、チームドラゴンに所属していたような。いつの間に所属ジムが変わったんだろ?対する畑尾龍宏はトランクスを履いて入場。カンフースタイルで闘う彼が、キックのトランクスを履いているのには、何だか違和感を感じる。


試合開始。相変わらず畑尾は中国拳法のような独特の低い構えを保つも、翔太は右ローを放って畑尾をスリップさせる。更にプレッシャーを掛けた翔太は、畑尾をコーナー際に追い詰めて一気にラッシュを仕掛ける。これに畑尾も応戦したが、流れの中で翔太は畑尾に右肘を叩き込み、畑尾を左目蓋をカットする事に成功。畑尾が負った傷は深く、レフェリーが試合を止めた。


う〜ん、僕としては密かに畑尾を応援していたんだが…。彼の試合のスタイルは彼にしかない独特なものなだけに、こういう負け方をするのは残念だね。

第七試合 「若い力」同士による大激闘

ライト級 3分3R + 延長3分1R
○鈴木真治(174cm/60.8kg/藤原ジム/全日本ライト級 八位)
卜部弘嵩(169cm/61.0kg/西山道場 ISUMI GYM)
[延長判定 3−0]
※本戦判定 1−0

デビュー以来3戦全勝の卜部弘嵩は、昨年の新空手の中軽量級王者である。年齢は18歳と大変に若く、その体重を含めてK-1 WORLD YOUTHから声が掛からないのが不思議なくらいだ。う〜ん、フライ級で活躍する久保賢司を無理矢理参戦させるくらいなら、卜部を参戦させればいいのになぁ。

そんな彼が、早くも全日本キックのランキング戦に挑む。対戦相手は鈴木真治、藤原ジム所属の若手のホープだ。昨年末の「藤原祭」では、テコンドー出身の海戸淳を相手にいいところなく敗れた鈴木。今日の試合はスカッと勝利を上げたいところだ。



1R、卜部は遠距離では重い左ミドルで鈴木のボディを蹴り、接近戦ではワンツーで鈴木を攻め込む。対する鈴木はワンツー〜右ローを連発するという、いかにも藤原ジム所属選手っぽい攻めで応戦。試合は互角の展開のまま2Rを迎えたが…卜部の左ミドルが、徐々に鈴木を苦しめていく。だが鈴木も右ローを効かせて応戦、卜部の左足が蹴られるたびに流れてしまう。う〜ん、ここでも互角だ。

3R、卜部は左ミドルに加えて左ローも連発して前に出る。対する鈴木は下がりながら、右ローに変わって左ローを使って応戦。要所でパンチも交差する熱い展開の中、卜部の右ストレートが鈴木の顔面を捉える。だが鈴木もすぐにパンチを返して印象点を回復。う〜ん、喰らいついてくるなぁ。

こうして3Rはあっという間に終了。判定の結果は鈴木の1−0でドローとなり、試合は延長戦へと突入。う〜ん、僕はドローと見ていたけど…ここまでの展開で「鈴木の勝ち」というのは正直、よく判らないね。



延長R、卜部はこれまでと変わらずワンツーと左ミドルで鈴木を攻める。特に左ミドルは1Rと変わらぬ破壊力で放たれており、決まれば観客から歓声が沸いていた。対する鈴木もワンツー〜右ロー、そして左ローで真っ向から応戦。ここでも試合は互角だ。

卜部は飛び膝蹴りを繰り出したりして勝利への執念を見せるも、鈴木は尚も前に出る卜部にカウンターのパンチを叩き込む。最後は壮絶な殴り合い、観客の歓声の中で延長Rは終了した。

さてさて再判定だが、僕としては左ミドルのダメージと、より積極的な攻めを評価して卜部の勝利を確信していた。だが実際の判定結果は鈴木の3−0による勝利だった。う〜ん、ローによるダメージと、延長Rのパンチのクリーンヒットが評価されたのかなぁ。



しかしまあ、卜部は惜しい試合を落としちゃったな。試合内容は正直「マストシステムでなければドロー」って感じの展開だし。若き力に、こういう形で黒星がついちゃうのは残念だ。…といっても、鈴木も充分に若手(22歳)なんだけどさ。

第八試合 「勝っているのに、勝っている気がしない」そんな心境だったのではないだろうか

NAOKICK試練の七番勝負 第二戦 59kg契約 3分5R
石川直生(176cm/58.9kg/青春塾/全日本スーパーフェザー級 王者)
赤羽秀一(172cm/58.9kg/ウィラサクレック フェアテックスジム/全日本フェザー級 七位)
[判定 3−0]

今年の1/4よりスタートした「NAOKICK試練の七番勝負」が、早くも第二戦を迎える。石川直生はその第一戦で、誰と闘っても泥試合に持ち込んでしまうファイヤー原田を、2RにハイキックでKO。決して強い選手ではないが、なかなかKO負けもしない実績の持ち主である原田をKOしたのは、もっと評価されていいと思う。この試合の石川は本当に強かった。

だが、第二戦の相手は非常に厄介な選手だ。ウィラサクレック・フェアテックスジムに所属する赤羽秀一は、知る人ぞ知る超曲者。「ガードが非常に甘い」という弱点の持ち主である赤羽は、前半は相手にボロクソに攻められる事が多いが…異様な打たれ強さでこれを耐えると、遠距離からジワジワと右ローと右ミドルを効かせ、動きの鈍った相手を首相撲からの膝蹴り&肘打ちでメッタ打ちにして致命傷を与えてしまうのだ。つまり、試合が長引けば長引く程、対戦相手は彼のペースに巻き込まれる事になるのである。

そして、そんな赤羽の厄介さを知っている石川は、試合前インタビューの中で「なるべく長引かせたくないかなぁ」とコメント。だが「『石川って、ヒザ・ヒジだけの選手じゃないんだ』ってところを見せたい」「自分としてはヒジで『あれっ』っていう形でストップっていうのは避けたい」ともコメントしている。う〜ん、僕としては相手のガードの甘さを突いて、早い段階で身長差を利用した肘打ちでドクターストップに追い込んだ方がいいと思うんだけどなぁ…。



試合は…圧倒的な石川ペースで進みながらも、赤羽の不気味な強さが煌々と輝く一戦となった。


1R、試合前から応援団の声援に「はーい」と応えるなど、力の抜けた様子を見せる赤羽に対し、石川は前蹴りを駆使して距離を置き、原田戦でも猛威を振るった左ミドルを連発、そして右ローなども使って赤羽にダメージを与える。対する赤羽は右ローを中心に、時折ワンツーを繰り出すなどで応戦するも…。石川は前に出ようとする赤羽に、カウンターの右ストレートを顔面に叩き込む。まずは石川、上々の出だしだ。

2R、石川は序盤から右ローを繰り出して、顔面には右ストレートを叩き込む。だが、赤羽の動きはまったく落ちない。ならばと石川はワンツーや左ミドルで更に攻め込むが、やはり赤羽は意に介する事なく前に出ると、石川を何度も首相撲に捉えてヘッドロックのような体勢から強引に顔面へ膝蹴りをコツコツ放つ。あまりに強引な体勢ため目立ったダメージはないのだが、石川は首相撲に捉えられると赤羽の思うがままにされる為、どうにも印象が非常に悪い。それでも石川は終盤、右ストレートや右の肘打ちを赤羽に叩き込むが…、赤羽の首相撲&顔面への膝蹴りは一向に収まる様子がない。

赤羽は、得意の消耗戦に持ち込もうとしているようだ。石川はこれをどう打破するのか?


3R、石川は左ミドルと右ストレートでガンガン攻め込むも、やはり赤羽がダメージを追った様子はなく、相変わらずマイペースに首相撲から顔面に膝蹴りをコツコツと連打。試合自体は優位に進めながらも試合のペースは赤羽に握られてしまった石川は、赤羽の左目の上にできた大きなコブに焦点を絞り、右の肘打ち、右ストレート、そして膝蹴りでそのコブを破壊する。

コブから出血した赤羽に対してドクターチェックが入ったが、試合は無事に再開。赤羽応援団は歓声を上げたが…終盤、石川の右ストレートが赤羽の顔面にクリーンヒット。アゴが上がる赤羽だが、やはり大ダメージを負った様子はない。う〜ん…どれだけ打たれ強いんだよ、赤羽。

4R、このラウンドでも石川の右ストレートが赤羽にクリーンヒットしたが、赤羽は右ローを放ち、首相撲から強烈な投げを放って健在ぶりをアピール。石川は尚も右ストレートを中心に左ミドル、そして肘打ちを駆使するも…どんなに打撃を喰らっても赤羽の前進は止まらず、首相撲からの強引な顔面への膝蹴りも止まらない。中盤、赤羽の膝蹴りによって、今度は石川が左の目の上から流血。更には終盤、赤羽のワンツーが石川の顔面を捉える。いよいよ赤羽の「真の強さ」が出てきた。大逆転なるか?


混沌とした状況で迎えた5R、赤羽は石川の顔面の出血部分を狙ったワンツーや、これまでもチョコチョコと放っていた右ローを繰り出す。対する石川は、序盤に左アッパー〜右ストレートを赤羽の顔面に叩き込んで優位に立つが、赤羽は打撃を喰らっても怯まずに首相撲からの顔面への膝蹴りをコツコツと連発。

石川は尚も左ミドルや右ストレートを何発も顔面に叩き込み、更には右ハイをもヒットさせたが…赤羽はお岩さんのような顔になりながらも最後まで臆する事なく前に出て、石川を首相撲に捉え続けた。根負けした石川は、首相撲をクリンチで逃げてしまう。

試合終了。試合を圧倒的に優位に進めながらも、最後は完全に赤羽にペースを握られた石川は敗者のような表情を浮かべ、反対に赤羽は観客に「みんなぁ、楽しんだぁ?」と気楽に声を掛け、腕立て伏せのパフォーマンスで心身の充実ぶりをアピールしていた。


判定の結果は3−0で石川が勝利。だが石川はマイクを持つ事もなく、足早にリングを後にした。



う〜ん、この試合で改めて「赤羽は曲者だ」という事を思い知らされたよ。ジャッジの判定結果は全員50−46の大差だったけど、「赤羽にダメージがない」と判断して石川のクリーンヒットを「無効」と判断すれば50−48くらいに見えるしね。

試合後、試合を見た宮田充氏(興行本部長)は「赤羽はピラニア軍団の川谷拓三のイメージで、カッコいい石川と殴られてなんぼの試合をするのが面白いと思ったんですが…逆に4R、5Rで彼の持ち味が出てしまいましたね」とコメント。成程、川谷拓三とは巧い事を言うなぁ。「殴られてナンボ」というところは、まさにイメージにピッタリだしね。

ただ、僕が観ていて判らなかったのは「赤羽が顔面への膝蹴りに拘った事」かな?いつもはボディへ膝蹴りを連打して相手のスタミナを奪う選手なんだけどねぇ。ひょっとして、石川が「オスカー所属のモデル」だという事を知って、「その顔に傷をつけてやろう」とか考えていたのかな?ちょっと意地悪な見方かもしれないが、赤羽って、本気でそういう事を考えていそうな感じがするんだよねぇ…。


んで、今日は赤羽にしてやられた石川だが…とりあえずシッカリと結果は残しているワケだし、これで肩を落とさずに次戦に挑んで欲しい。本人は自身のブログの中で「ボディにも顔にも倒れてもおかしくない感触の攻撃が入ってるのに、相手の動きが変わらない…。打たれ強いとは聞いてたけど、これほどとは」と、自らの心境を明かしていたけど…まあアレは、赤羽の打たれ強さが異常なダケだし。

そういった心境に追い込まれながらも、最後まで左ミドルや右ストレートといった自分の打撃を出し続ける事ができた事には自信を持ってもいいと思うね。ナルシストは自分に酔ってナンボ、というかね。

雑感

全体を振り返れば、KOこそ少なめだけど内容が充実していて面白い興行だったんだけど…。正直、メインの印象があまりにも強すぎて、他の試合の印象が薄れちゃうんだよねぇ。


確かに第五試合の九島のKO劇はかなり鮮やかだったし、第七試合の鈴木vs卜部は激闘だった。しかし…。異様な打たれ強さを見せる赤羽。そして試合をリードしながらも、徐々に心理的に追い詰められていく石川。「選手の心理が分かりやすい試合」というのは、心の中にも残りやすい、というかね。

赤羽という選手が持つ、底なし沼のような曲者ぶり。その深遠をまざまざと見せ付けられた興行だった。



以上、長文失礼。



おまけ、川谷拓三「負け犬の唄(ブルース)」

いつ聴いても、景気の悪くなる歌だなぁ。