2/2 K-1 MAX 日本武道館興行(TV) 簡易観戦記・改

終わってみれば、なかなか内容の濃いトーナメントでしたね

う〜ん、実際にTVで見るまでは、まったく気づきもしなかったんだけど…よくよくトーナメント表を見ると、「優弥vsアンディ、城戸vs尾崎」の方はキック枠として作られていて、「前田vsTATSUJI、HAYATOvs龍二」の方はパンチ枠として編成されていたんだねぇ。フレッシュな選手が多く登場する中、試合が噛み合うカード編成をしていた事を、実際に試合を見てから気がついたのは、キック好きとしては不覚だったなぁ。


さて、今回はmixiをチャット代わりにPON君(id:pon-taro)、psyzohさん(id:psyzoh)、そしてD氏とワイワイ観戦しておりました。今日はそこで出てきた感想なんかも観戦記に織り交ぜております。

オープニングファイト第三試合 放送されたけど、見てません

K-1 WORLD YOUTH 2008 大将戦 60kg契約 3分3R
○HIROYA(167cm/60.0kg/フリー)
●ロビー・ハヘマン(175cm/60.0kg/オランダ/チーム グンヤー)
[2R 2分7秒 KO]
※左フック

正直、この試合はまったく見ていません。それは、この観戦記を書く為に録画映像を見返している今でも同じです。イヤ、正直なんだか退屈だったんだよね。この試合を日本代表決定トーナメントの決勝戦の前に放送するTBSの気が知れん。マジな話、緊張感に水を差されてしまったよ。


…っていうか、HIROYAって年末に雄大に負けちゃったジャン!「この位置(K-1 WORLD YOUTH 2008の大将戦)には本来、雄大がいるべきじゃないの?」…と、15歳の選手に文句を言うのは大人気(おとなげ)ないか。

第一試合 お茶の間に「真の『我龍Time』」が流れるのはいつの日か

スーパーファイト 3分3R + 延長3分1R
アルトゥール・キシェンコ(172cm/72.0kg/ウクライナ/キャプテン オデッサ/K-1 WORLD MAX 2007 BEST4)
我龍真吾(178cm/75.0kg/ファイティングマスター/M−1ミドル級 王者)
[1R 3分00秒 KO]
※3ダウン

「ローとボディで倒れる奴は根性のない奴だ!」我龍さん、言うことがカッコ良すぎ(笑)。


しかし、しかしだ。K-1 MAXにおける「我龍Time」とは「我龍さんが試合前に睨みを利かせてから、マットに倒れるまでの時間」のことを指す。いや、我ながら惨いことを言っているとは思うけど…、我龍さんの相手があのキシェンコと聞いたら、誰だってそういう事を考えるでしょ。マッチメークが酷すぎるっちゅーかさぁ。


…ほら見ろ、実際にそうなっちゃったじゃねぇか(苦笑)。


psyzohさん曰く「キシェンコさん綺麗だなぁ」。「美しき死神」の異名は伊達じゃないね。

第二試合 いつも見ている選手が負けてしまうのは悔しいね

K-1 WORLD MAX 2008 日本代表決定トーナメント 一回戦 3分3R + 延長3分1R
アンディ・オロゴン(181cm/70.0kg/ナイジェリア/チーム オロゴン)
山本優弥(175cm/70.0kg/青春塾/全日本ウェルター級 王者)
[判定 3−0]

う〜ん。優弥、負けちゃったかぁ…。応援していたんだけどなぁ。まあ判定については、キックボクシングルールならドローだと思うけど…K-1 MAXはダウンを重視する傾向があるから、僕なりに納得しているんだけどね。


「増量してから、持ち味のコンビネーションが少なくなった」と指摘されていた優弥だけど、この日は打撃も上中下に打ち分けていたし、勝負処ではラッシュも出ていたし、今までTVに映った山本の中では一番良かったように思う。特に左ミドルと左ボディはかなり有効打になっていたね。全ラウンドを通して、遠距離戦は完全に山本が制していたねぇ。全体的には「良い感じ」だったんだけど…。

それだけに、2R序盤のダウンがもったいない、本当にもったいない。あの時の優弥は「変に打ち合いに拘っていた」ように見えた。試合が終わった今、「あの時、冷静に距離を置いてくれれば、勝敗は逆転していただろうに」と、どうしても考えてしまうなぁ。


対するアンディ、接近戦では山本に優るパンチの回転数で襲い掛かり、至近距離では必ずテンカオ又は首相撲からの膝蹴りを放つ。最後まで、自分の闘い方をしっかりと出来ているのが強いよなぁ。PON君曰く「山本より、アンディの方がパンチが真っ直ぐなのが気になりますなぁ」。もう全然、素人じゃないよ、ホント。

ただ今日は「優弥の距離」で闘うことが多かったせいか、いつもより打撃を被弾することが多かったように思う。もう少し手数が出ていれば、またはもう少し積極的に接近戦を挑めば、あんなに優弥の左ミドルをあんなに喰らうことはなかったんじゃないかなぁ。


それにしても、優弥は惜しかった。惜しかった…けど、次に繋がる闘いはできていたと思うね。まだまだ若い選手なので、これに挫けずに頑張って欲しい。正直、今日の闘いぶりは谷川Pにも評価されたと思う。

第三試合 尾崎はK-1 MAXに出場したことで、かえって壁にブチ当たってしまったなぁ

K-1 WORLD MAX 2008 日本代表決定トーナメント 一回戦 3分3R + 延長3分1R
城戸康裕(181cm/70.0kg/谷山ジム/MA日本ミドル級 王者)
尾崎圭司(169cm/68.0kg/チームドラゴン/R.I.S.E. Dead or Alive Tournament 2006 優勝)
[判定 3−0]

尾崎は全日本キックで優弥に負けた事実が、無かったことになっていた。まあまあ、わざわざ選手を貶めるような映像を使う必要もないんだけどさ。あと、尾崎の紹介映像、城戸の紹介映像共に、宍戸大樹からダウンを奪うシーンを使っていたのが…SBファンとして悲しかった。どちらの試合も、ダウンした直後の宍戸の猛チャージが凄まじかったんだけどね。


回転技を得意とするテコンドー戦士の尾崎に対して、城戸はローキックを得意とするキックボクサーという感じ。1Rは大きな動きはなく、2RはTV放送がカットされた(苦笑)が、3Rは城戸がリーチ差を活かして尾崎を崩しにかかる。距離を離して左ミドルと膝蹴りを連打する城戸に対して、尾崎は距離を詰めての左ロー&パンチ&回転技。

試合は根性比べの消耗戦となったが、ここで「城戸の気持ちの強さ」が爆発。勝負処では尾崎の距離に入り、尾崎のラッシュに真正面から挑む。そうでありながらも、至近距離では膝蹴りを出すなどで「自分の闘い方」を忘れない。最後は右ハイをヒットさせて尾崎からダウンを奪い、根性で判定勝利をもぎ取った。そういえば城戸は宍戸との試合でも、追い込まれながらも5Rに根性を発揮して勝利を手にしていたっけなぁ。


対する尾崎だが、やっぱり彼の身長や闘い方ではK-1 MAXでの闘いは難しいのかなぁ、という気がする。今日の闘いを見るにつけ、城戸だけではなく小比類巻、佐藤、そしてオロゴン弟と闘っても同じ展開で負けていく気がした。頑張っているとは思うんだけどねぇ…。

第四試合 伏龍、ついに覚醒

K-1 WORLD MAX 2008 日本代表決定トーナメント 一回戦 3分3R + 延長3分1R
前田宏行(178cm/73.0kg/BUKUROジム/元プロボクシング日本 三階級王者)
●TATSUJI(174cm/70.0kg/アイアンアックス/R.I.S.E. Dead or Alive Tournament 2005 優勝)
[1R 1分10秒 KO]
※2ダウン

前田の煽り映像を見たPON君は「『ボクシング三階級制覇』って普通にすごいのに、『父』と『男』にばっかり針を振って、まるで『選手』として紹介しようしない」と苦笑。成程、なかなか鋭い指摘だな。そして、TATSUJIがSBで宍戸に惨敗した事実が、無かったことになっていた。


試合では、以前よりnar氏(id:nar-_-nar)がイチオシだった前田の強さが大爆発。試合開始と同時に積極的に距離を詰めて、TATSUJIとの打ち合いに挑む。右ローを喰らと体が流れてしまうなど、キック対策はイマイチの前田だったが…TATSUJIの左フックに左ストレートをと合わせてダウンを奪うと、尚も立ち上がるTATSUJIにラッシュを仕掛けて、アッサリと2ダウンを奪った。


う〜ん、これは相性の問題もあるんだろうなぁ。TATSUJIは右ローも得意技だけど、攻めの主体はやはりパンチだしねぇ。「日本の三階級を制覇したプロボクサー vs 北京五輪を断念したアマチュアボクサー」じゃあ、そりゃあパンチの技術は雲泥の差ってことになっちゃうしねぇ。

もっとも、そういう「肩書きの違い」をヒシヒシと感じていたからこそ、TATSUJIもパンチの打ち合いに挑んだのかもしれないけど…、やっぱりボクシングをやっているワケじゃないんだから、もう少し足を使って距離を稼いで、右ローを連発していっても良かったんじゃないかな。

第五試合 「後のない男」の強さが出た

K-1 WORLD MAX 2008 日本代表決定トーナメント 一回戦 3分3R + 延長3分1R
○HAYATO(180cm/70.0kg/FUTURE_TRIBE/UKF世界スーパーウェルター級 王者)
龍二(177cm/70.0kg/リアルディール/R.I.S.E. Dead or Alive Tournament 2007 優勝)
[判定 2−0]

「反逆のベビーフェイス」も、気がつけば三十歳。煽り映像は「もう後がない」という感じの内容だったが、一昨年〜昨年の彼の生の発言を拾ってみても、映像の内容に偽りがないのがわかる。故に、僕としては今年のHAYATOの闘いには大いに注目している。…でもまあ、このカード自体は「R.I.S.E.でやれよ!」って感じなんだけどね(笑)。


パンチを得意とする両者の一戦は、お互いに一歩も引かない打ち合いに。積極的に接近して顔面にパンチを集中し、至近距離では膝蹴りを多用する龍二に対し、HAYATOは接近戦では顔面パンチで対抗するも、中距離では左ミドルと左ボディを多用。そして2R、HAYATOはガードを下げて不用意に接近してきた龍二に右ストレートを叩き込んでダウンを奪う。このダウンを見たD氏曰く「振り回したところに、勝手に龍二が入ったような」。成程、映像を改めて見てみても…この時の龍二はあまりにも不用意すぎたような。集中力が切れていたのかなぁ?

龍二のダウンの後も打ち合いは続いたが、3Rになると龍二のスタミナが切れてきた。HAYATOが序盤から効かせていたボディへの打撃が功を奏したのもあるのだろうが、PON君曰く「やはりアルコールはよくない、ということ?」。ま、どんなモノで採り過ぎは体に良くないよね。


ってなワケで、試合は判定2−0でHAYATOの勝利。う〜ん、HAYATOの消耗度も大きいように見えるなぁ。一回戦で圧勝した前田との体力差は歴然だろうし、「今年のHAYATOは準決勝で負けちゃうかな?」と、この時点では思っておりました。

それにしても今日は尾崎が負け、TATSUJIが負け、そして龍二が負け…。歴代のDead or Alive Tournamentの優勝者が揃って一回戦負けしたR.I.S.E.にとっては、なんとも受難の日だな。


第六試合(未観戦) 「リザーブファイト」っていう事実を差し引いても、このカードは地味だなぁ

K-1 WORLD MAX 2008 日本代表決定トーナメント リザーブファイト 3分3R + 延長3分1R
白須康仁(170cm/70.0kg/花澤ジム/WMAF世界スーパーウェルター級王者)
●蜜山剛三(175cm/70.0kg/ファイブリングスドージョー)
[2R 2分46秒 KO]
※2ダウン

見てないものは語れない…んだけど、蜜山はオーストラリアのキックジムである「ファイブリングスドージョー」の所属だそうで。どんな選手かはわからないけど、スポナビの記事を読む限りでは白須のワンサイドゲームだったっぽいなぁ。でもまあ、白須は実力者だとは思うけど、いかんせん闘い方が地味なのがねぇ…。

第七試合 優勝候補を蹴り続け、正統派のキックボクサーが決勝へ進出

K-1 WORLD MAX 2008 日本代表決定トーナメント 準決勝戦 3分3R + 延長3分1R
城戸康裕(181cm/70.0kg/谷山ジム/MA日本ミドル級 王者)
アンディ・オロゴン(181cm/70.0kg/ナイジェリア/チーム オロゴン)
[判定 3−0]

試合を見ていて思ったのは「ひょっとしてアンディは『しっかりと距離を取って、蹴りを中心に闘うタイプ』の選手には弱いのかな?」ってこと。一回戦の優弥戦も露呈していたけど、とりあえず左ミドルに対する耐性はかなり低いみたいだねぇ。これは今後、アンディを攻略する上で大きなヒントになりそうだ。


そんなこんなで、一回戦でのダメージが大きい状態のアンディに対して、城戸は「5Rルールでの闘い」であるかの如く、1R〜2Rは安全運転に終始。そして3R、城戸は一回戦と同じく一気に勝負に出る。優弥と同じく右ローを連打すれば、アンディは手も足も出ない状態に。試合時間が残り30秒になると、城戸はパンチによるラッシュを仕掛けて印象点を稼ぐ。う〜ん、城戸は判定での勝ち方を知っているなぁ。


試合終了、判定の結果3−0で城戸が勝利。地味な闘い方をする選手ではあるけれど、真っ当なキックボクサーがこうして勝ち上がって行く様は、キック好きとしてはなんか嬉しいね。

第八試合 前田の執念、そしてHAYATOの信念

K-1 WORLD MAX 2008 日本代表決定トーナメント 準決勝戦 3分3R + 延長3分1R
○HAYATO(180cm/70.0kg/FUTURE_TRIBE/UKF世界スーパーウェルター級 王者)
前田宏行(178cm/73.0kg/BUKUROジム/元プロボクシング日本 三階級王者)
[1R 終了時 TKO]
※ドクターストップ(右腕骨折の疑い)

一回戦での圧倒的な強さが鮮烈だったのか、チャットに集まっていた人々は口々に前田を絶賛。psyzohさん曰く「いや前田強いわ!フックもアッパーも凄すぎて、観ていて笑えてくる」。D氏曰く「(前田とHAYATOとでは)アスリートとしての格が違いすぎる。前田の構えはムダな動きがなくて格好ええなあ」。鬼のような強さを発揮する前田に惜しみない賞賛が贈られたが…。


密かにHAYATOを応援していた僕ですら、前田のアッパーには惚れ惚れ。1R終盤にHAYATOからダウンを奪った左右のフックも凄かったし、1R終了直前のラッシュも素晴らしかった。特に最後のラッシュは、1R終了直前じゃなかったらHAYATOは2ダウン目を取られていただろう。これに対してHAYATOは、前田の勢いに押されながらも…距離が離れると左ミドルと右ローを多用。今思えば、この蹴りが前田の腕を破壊していたんだな。前田のドクターストップも「HAYATOの技術の成せる技」というワケか。「どんなに追い詰められても、打撃を出す事を忘れない選手」というのは、見ていて信頼ができるね。


最後は「1R終了時のドクターストップ」という、ちょっと拍子抜けするフィニッシュだったけど、HAYATOの勝利は決して偶然ではない。前田はもう少し…ほんの少しだけでもいいから、キックに対する対策を考えた方がいいと思う。

第九試合 三強まであと一歩、その一歩があまりにも遠すぎる

スーパーファイト 3分3R + 延長3分1R
ブアカーオ・ポー・プラムック(174cm/70.0kg/タイ/ポー プラムックジム/K-1 WORLD MAX 2004&2006 王者)
佐藤嘉洋(184cm/70.0kg/フルキャスト/名古屋JKファクトリー)
[延長判定 2−1]
※本戦判定 0−0

ドラゴンクエストのBGMをバックに、なんとも勇ましい煽り映像を作ってもらった佐藤だが…、肝心な試合の方は相変わらず「3Rから」の放送。「これぞ佐藤クオリティ!」というかねぇ。それにしても、K-1 MAXも佐藤に黄色い声援が飛ぶようになったんだな。いいことだ。


んで、3Rは自分の間合いを保ちつつ細かい打撃を当て、ブアカーオのスタミナを奪った佐藤だが、決め手には欠けてしまい、残念ながら試合は延長戦へと突入。恐らくは1R〜2Rも、このラウンドと同じような展開だったのだろう。

迎えた延長R、ブアカーオは1分間のインターバル中に自らのスタミナを回復させると、かつて佐藤を秒殺KOしたパンチのラッシュで一気に佐藤を追い込む。防戦一方となる佐藤に対して、ブアカーオは尚も距離を詰め続ける。D氏曰く「延長Rでこれができるブアカーオは妖怪だな」。まったくその通りで。

だが延長Rも残り10秒という時点で、佐藤はブアカーオの右ボディを喰らいながらも、カウンターの左フックを叩き込む。一発で効いてしまったブアカーオが後退すれば、佐藤は右ストレートを叩き込んで追撃。そして佐藤は一気に勝負に出たが…、残念ながらここで試合は終了。う〜ん、こういう展開であれば再延長戦が見たいなぁ。っていうか、5R制でやれよ。


判定の結果は2−1のスプリットながらもブアカーオの勝利。psyzohさん曰く「魔裟斗の壁は厚くて高い」、PON君曰く「やっぱ、魔裟斗は日本人の中ではレベルが違うんだなぁ…」。う〜ん、この試合での佐藤は、惜しいところまでは行ったと思うけど…やはり魔裟斗との差はまだ大きいように見えたな。

第十試合 派手な展開ではあったけど…正直、どうなんでしょ?

K-1 WORLD MAX 2008 日本代表決定トーナメント 決勝戦 3分3R + 延長3分2R
城戸康裕(181cm/70.0kg/谷山ジム/MA日本ミドル級 王者)
●HAYATO(180cm/70.0kg/FUTURE_TRIBE/UKF世界スーパーウェルター級 王者)
[1R 1分7秒 KO]
※3ダウン/城戸は1Rにダウン1/城戸が日本代表決定トーナメントを制覇

K-1 WORLD MAXの日本代表決定トーナメントもいよいよ決勝を残すのみとなったが…、両者のここまでの道は対照的だった。自分のペースで試合を続けた上、勝負処でのみ力強い攻めを見せていた城戸に対して、HAYATOの一回戦は激闘となり、準決勝はボコボコにされながらの勝ち星。この時点で、両者の体力は大きな差があった、といえるだろう。


勝戦のゴングが鳴ると、まずはHAYATOが左ジャブ〜右ローで牽制し、続けざまに大きな左右のフックを繰り出す。だが城戸はこれに左右のカウンターを合わせてダウンを奪うと、立ち上がったHAYATOに更なるラッシュを浴びせた。左ストレートがガードを貫き、HAYATOは二度目のダウン。う〜ん、HAYATOは体力自体は残っていたと思うんだけど、これまでの試合のダメージで集中力が切れていたように見えたなぁ。

「ここが勝負処」と見た城戸のラッシュに対して真っ向から打ち返し、左フックでフラッシュダウンを奪い返したHAYATOではあったが…ガードをするのも忘れて前に出ては、城戸の右ストレートを喰らうのは必然だった。モロに喰らったHAYATOは大の字。今年のトーナメントは、「正統派のキックボクサー」城戸康裕の優勝という形で幕を閉じた。


う〜ん、今年はHAYATOを応援していたんだけど…この敗北には正直、悪い意味でガッカリだ。いくらなんでも、あんなノーガードの状態で前に出たのでは、ストレートをモロに喰らうのも当たり前でしょ。一日三試合で集中力が切れていたのかもしれないけど、「今年がラストチャンス」と腹を括っているのなら…最後まで神経を研ぎ澄まして試合に挑んで欲しかったなぁ。

んで、優勝した城戸だが、一回戦から決勝戦まで「自分のペースで闘うこと」を貫いていたように思う。身長といい闘い方といい、基本的には佐藤嘉洋と同じタイプの選手だとは思うけど、我慢する場面では我慢を続け、勝負処では前に出る。最後まで淡々としている佐藤とは、違う魅力の持ち主だと思う。アルバート・クラウスヴァージル・カラコダといったパンチ主体の選手とやらせれば、彼のいいところが出るような気がするね。でも彼の場合、ドラゴみたいなタイプは苦手な気がするなぁ。なんとなくだけど、ね。

雑感

すべてを見終えた感想としては…。優弥、アンディ、城戸の三人は実力が拮抗していたように見えた。たとえ城戸が負けたとしても、残りの二人のどちらかが優勝していたんじゃないかなぁ。そしてその枠とは別に、前田のパンチの技術は素晴らしかった。彼には敢闘賞を与えてもいいんじゃないかな。ま、そんな賞をもらっても彼自身は嬉しくないだろうけどね。

そんなこんなで、興行自体は結構楽しく観戦できたんだけど…トーナメントを制覇した城戸を含めて、今日出場した選手達が世界の舞台で通用するかというと…。まあ、ある程度のところまでなら行けそうな気がするけど、三強(魔裟斗、ブアカーオ、そしてアンディ・サワー)には勝てないんだろうなぁ…。


それを見越してなのか、キックボクシング・マニアのnar氏からメールが届いた。「あのレベルであれば、K-1 MAXよりもS-CUPの方が面白い」。う〜ん、これはなんとも手厳しい…。


以上、長文失礼。



スッカリ忘れていた事実

そういえば昨年、生観戦したM-1で我龍さんが、壮絶な打ち合いの末に城戸からダウンを奪って勝っていたよなぁ。この日のK-1 MAXを見た後だと、とても信じられない話なんだけどね。ひょっとして城戸は、勝負処でより強い勝負を仕掛けてくる選手には弱いのかな?

これがその証拠の記事。他にもいいカードが実現してまっせ

http://www.boutreview.com/data/reports05/070924m1mc.html