1/27 大相撲 平成二十年初場所 千秋楽 結びの一番のみ観戦記

人知れず、挫折しておりました

実は今場所、最初は「一丁、気合を入れて初日〜千秋楽まで毎日、観戦記でも書いてみるか!」と思っていたんだけど、期待していた豊真将がまったく振るわなかったので(今場所は前頭七枚目で4勝11敗)、バッキリと心が折れた上、相撲そのものも見る気が失せてしまった。しっかりしてくれっ、豊真将

ってなワケで、「出場停止処分明けの横綱朝青龍が、果たしてどこまで闘えるのか?」に世間の注目が集まっていた今場所も、僕自身は非常に中途半端な気持ちで観戦していたのでした。正直、ヒイキの力士が負けが込んでいてメゲちゃった(苦笑)。

今思えば、優勝戦線以外は結構ボロボロな場所だった気がする

んで、今場所はどんな場所だったかというと…大関千代大海は本調子には程遠い状態(先場所で負った右肘の怪我のため)で全敗のまま欠場に追い込まれ、他の大関互助会も相変わらずボチボチな星勘定。高見盛十両陥落の危機に晒され(結局8勝7敗で幕内残留)、大器と言われた把瑠都が自身初となる「休場なしの負け越し」に追い込まれる(怪我が多いのが気になるね)という、どうにも締まらない展開が続く中、肝心の優勝戦線だけは「東西横綱による相星決戦」という最高の展開に。う〜ん、こんなことになるなら、ちゃんと見とけば良かったなぁ。


ちなみに千秋楽は今場所七度目の満員御礼。今場所は土日祝はすべて満員になったようだ。といっても、最近の大相撲は東京では、いつも土日は満員御礼って感じなんだけどね。最近の大相撲は、世間が思っているよりは人気が回復してるんだよねぇ。

千秋楽、結びの一番 東西横綱による相星決戦、力と力のぶつかり合い

白鵬(192cm/155kg/宮城野/モンゴル/横綱)
朝青龍(185cm/147kg/高砂/モンゴル/横綱)
[上手投げ]

かたや、朝青龍朝青龍〜っ!

欠場明けで「試合勘が戻らないのでは?」と思われていた朝青龍も、二日目に稀勢の里に惨敗したのを除けば、相変わらずの鬼の強さで、堂々と優勝戦線へと名乗りを挙げた。七日目には、元大関の出島を相手にヒヤリとする場面もあったが…なんだかんだで、しっかりと白星に結びつけるあたりは「さすがは朝青龍!」という感じ。まさに「憎まれっ子、世にはばかる」だな。ちなみに朝青龍は今場所優勝すれば、貴乃花の優勝回数(二十二回)に並ぶという。もうそんなに優勝していたのか。

それにしても…休場明けでこの強さ。朝青龍の強さが突出しているのか、他の力士が本当に弱いのか。ま、最近の大関陣は七勝八敗〜八勝七敗とかのラインで留まることが多いからなぁ。もっと将来有望な大関が出てこないかなぁ。若い琴欧洲が、関脇時代に見せていた「長身を活かした相撲」をもっと見せてくれれば面白いんだけどねぇ。

かたや、白鵬白鵬〜っ!

対する白鵬は十日目に小兵の業師、関脇の安馬に不覚をとるも、それ以外は堂々とした取り口で優勝戦線へと残った。

…といっても、実は僕、白鵬にはあまり注目していなかった。正直、相撲は相撲に関しては好きな力士以外は興味がないんだよね(苦笑)。まあ白鵬も、関脇時代は結構好きだったんだけどさ。

そこで勉強がてら、今場所の決まり手を調べてみたんだけど…ほほぅ。「上手投げ」が三回、「掬い投げ」が二回、「寄り切り」が二回、後は「叩き込み」「下手出し投げ」「引き落とし」「小手投げ」「押し出し」ってな具合。なかなかに多彩だねぇ、普段から練習していないとこんなに色々は出てこないわな。

調べついでに、Wikipediaなんかも読んだんだけど…いい話がありましたぜ、ダンナ。

入幕を果たした際には「親方、一番強い人を倒したときの懸賞を持ってきます。待っていてください」と熊ケ谷親方と約束した。2004年九州場所11日目、白鵬朝青龍を送り出しで破って初金星を獲得。その夜、この一番に掛かった懸賞を持って熊ケ谷親方の前にやってくると、「ここまで来られたのも親方のおかげです。受け取ってください」と差し出した。この懸賞は熊ケ谷親方の自宅の居間の一番見えるところに飾ってあるという。

う〜ん、「正義の横綱」としては、これ以上ないくらいに良いエピソードだな。

「2002年9月の貴乃花戦に敗れた際『怪我をしている左足を狙えばよかった』と発言するなど、当時からその品格が問題視されていた」

なんて書かれている朝青龍とはエライ違いだ(笑)。

時間一杯ですっ!

ってなワケで、三役の相撲のうち二番を経て(○琴欧洲魁皇●、○琴光喜安美錦●)、いよいよ結びの一番へ。溜まっていたものが一気に爆発したかのように、ガラリと変わる両国国技館の空気。気がつけば、僕自身も手に汗をかいていた。こんなに緊張して相撲を見るのは本当に久しぶりだ。そして今日に関しては…結びの一番以外は本当にどうでもいいな(苦笑)。

で、僕が応援するのは…昔から好きな朝青龍だ。観客の期待と憎悪を一身に背負い、「正義の横綱白鵬に向かってメンチを切る。制限時間が一杯になれば気合を入れて腹を叩いた後で、塩を掴んでカメラを睨みつける。見慣れたハズの「朝青龍の光景」も、今日はいつも以上にふてぶてしく見える。掛かった懸賞は48本、手取りで144万円也。

はっけよ〜い、のこったっ!

まずは立ち会い。白鵬は右の張り手で奇襲を掛けるも、朝青龍は動じずに四つの体勢へ。だが先に上手を取ったのは白鵬。下手もガッチリと掴み、朝青龍を引き付けつつ土俵際へと寄っていく。だが、その過程の中で上手を掴んだ朝青龍は土俵際で逆に白鵬を引き付けて五分の体勢へと戻す。力と力のぶつかりあい。期待に違わぬ大相撲に、観客も大いに沸く。

両者は土俵中央でガップリ四つの体勢のまま様子を伺う中、先に仕掛けたのは朝青龍。強引に白鵬を引き付けると、そのまま高々と吊り上げた。白鵬の両足が宙に浮き、「このまま強引に巻けば朝青龍が勝てる」という状況になったが…やや強引な攻めが祟ったか、朝青龍は力尽きて白鵬を降ろしてしまう。

そして白鵬は、この隙を見逃さなかった。強引な吊りが失敗して腰高になった朝青龍に対して、白鵬が左から豪快な上手投げで投げ捨てれば、朝青龍は土俵の上を一回転。あらゆる意味で国民が注目した大一番は「勧善懲悪」の結末を迎えた。この「判りやすい展開」に、観客は物凄い大歓声を上げ、座布団は「これでもか!」というくらい飛びまくった。


三場所連続となる幕内最高優勝を果たした白鵬は、優勝インタビューの中で自身が口にしていた「休んでいた横綱には負けられない」の一言をインタビュアーに振られると、堂々と「そういう気持ちだけです」と答えた。「正義の横綱」の有言実行ぶりに、観客が再び大歓声を上げた。

ただ今の決まり手は上手投げ、上手投げで白鵬の勝ち

横綱同士の相星決戦」という看板に偽りのない、力のこもった素晴らしい一番だった。残念ながら応援していた朝青龍は負けてしまったが、この一番に関しては勝った白鵬の強さを賞賛すべきだろう。

振り返れば朝青龍は、この一番の全局面で攻めが後手に回っていた。先に上手を引いたのも白鵬なら、引き付けを仕掛けたのも白鵬。終盤の吊りは攻めというよりは奇策に近く、最後はその吊りが災いしての敗北。なんだかんだで今日の朝青龍は、完敗だったと思う。

だが「角界一の負けず嫌い」として知られる朝青龍が、これで終わるワケはない。この一番で負けた悔しさをバネに、来場所では鬼のような強さの朝青龍が復活するだろう。少なくとも、僕はそれを期待している。


…でも、あんまり他の力士を壊さないでね(苦笑)。

雑感

来場所以降の展望について、nar氏(id:nar-_-nar)から「(今場所は)朝青龍の復帰やらで成立したけど、これが毎場所の構図となるとツライね」というメールが届いた。確かに今場所の最大の関心事は「朝青龍の星勘定」であったことは事実だね。

でも「今場所は、朝青龍が休み明けで、いつ負けるか〜って関心で最後まで盛り上がっただけだから、来場所以降は…」と懸念するほど、僕は相撲の人気が低迷していると思わないんだけどなぁ。このところは九州場所を除けば、休日興行は必ず満員になっているし。逆に今場所を切欠に「もっと相撲を見よう!」と考えるようになる人はいると思うんだけどね。大関互助会とかはともかく(苦笑)、今の相撲は「日本人力士」に拘らなければ、力士のバラエティも富んでいると思うしさ。


そりゃそうと…豊真将よ、来場所こそ勝ち越してくれぇ〜っ!(涙)


以上、長文失礼。どすこ〜い!