1/14 ボクシング(スリラーin横濱) 横浜文化体育館興行 TV観戦記

今年二本目の観戦記は…やっぱりボクシングです

日本テレビで放送された「バンタム級二大タイトルマッチ」から中三日。今度はテレビ東京にてSバンタム級のタイトルマッチが放送された。う〜ん、最近は打撃系に興味があるせいか、ボクシングの観戦記はスラスラと書いちゃうんだよなぁ。この前の新日本プロレス全日本キックの観戦記も書かなきゃいかんのだけど…。


さてさて、「世界王座戦の二本立て〜三本立て」という放送形態をとる日テレに対して、テレ東は世界王座戦は一本でも、余った時間で「その日の興行で出てきたKO劇」を入れてくることが多いようだ。そういえば、あの「コロシアム2000」でもヒクソン・グレイシー vs 船木誠勝の前に、近藤有己の秒殺劇を放送してたっけなぁ。

第四試合 こういう試合を放送することで、視聴者の観戦熱を温めているのかな?

ウェルター級 3分4R
○松岡政(大橋)
●中島大介(足利JK)
[1R 1分40秒 KO]
※左ストレート

松岡は高校野球の名門、横浜高校の野球部からボクサーに転進したという事もあり、選手紹介映像の中には松坂大輔の姿も。戦績は2戦2勝2KO、まだまだデビューしたてなワケね。


んで、試合はあっという間に決着。

ラウンド数が短いこともあり、両者は序盤から激しく打ち合っていたが…。中盤、松岡をロープ際へと押し込んだ中島が前進したところに、松岡の左ボディが炸裂。一撃で動きが止まる中島に対し、松岡は前進してストレートを連打し、最後はロープ際での左ストレート一閃。リングに倒れて悶絶する中島に対して、松岡は不敵に笑顔を浮かべていた。


まあ、なかなか鮮やかでしたなぁ、という以上の感想はないかな。

第十試合 ちゃんと放送すれば、面白そうな試だったんだけどね

フェザー級 3分10R
細野悟(大橋/OPBFフェザー級 三位)
●真鍋圭太(石川)
[5R 2分23秒 TKO]
※レフェリーストップ(パンチの連打)

細野の戦績は9戦9勝無敗7KO、対する真鍋の戦績は26勝3敗1分22KO。高いKO率を誇る者同士の対戦ってワケね。ちなみに、TVでは触れていなかったけど、この試合は「1RKO賞金マッチ」として行われていたそうな。その賞金は50万円也。なかなかデカいね。


だが、テレビで放送されたのは5Rのみ。ありゃりゃ、1RKOはなかったのね。

その5R、既に主導権を握っていたのは細野の方だった。インとアウトを繰り返しつつ、小刻みに左ジャブと右ストレートを入れていく細野。対する真鍋は攻めが後手に回っている。かなり疲れているようだ。

そんな中で迎えた終盤、細野は左ボディと右フックの連打で、真鍋の膝をリングに着かせてダウンを奪うと、立ち上がった真鍋に更に右を叩き込んだ。傍目には真鍋にダメージはなさそうだったが、これを見たレフェリーは試合をストップ。「まだ、やれるよ!」と言わんばかりの真鍋を他所に、細野を含む大橋ジム陣営からは笑顔がこぼれていた。


う〜ん、5Rだけ放送されても…どんな試合だったのか判断できねぇよ(苦笑)。まあ、最後のストップはちょっと早いと思ったなぁ、という以上の感想はないかな。とりあえず、細野はこのまま勝ち進めば、年末には王座に挑戦!とかいう話もあるかもね。

第十一試合 世界にまで「あと一歩」、その一歩が遠すぎる…

WBA世界Sフライ級 タイトルマッチ 3分12R
アレクサンデル・ムニョス(166.2cm/52.1kg/ベネズエラ/WBA世界Sフライ級 王者)
川嶋勝重(164.3cm/52.1kg/大橋/WBA世界Sフライ級 七位&元王者)
[判定 3−0]
※ムニョスが防衛に成功

川嶋がこの王座に挑戦するのは三度目なんだけど、僕が川嶋の王座戦を見るのはこれが初めてかも。年齢が33歳であることを考えると、これが最後の王座挑戦になるんだろうなぁ。対戦相手となるムニョスは、昨年五月に名城信男に勝利して王者となった選手で、これまでに同王座を二度も手にしている強豪。これまでの戦績は33戦31勝2敗27KO、恐ろしい選手だな。


んで、僕はムニョスの試合は一度、観戦している。前述の名城戦だ。この時は、オーソゾックスの構えから左ジャブを連発してインファイターの名城を近づけず、接近戦では破壊力のありそうなパンチをブンブン振り回して前半にポイントを稼ぐと、後半はスタミナを失い失速しつつも巧みなインサイドワークで名城を寄せ付けず、判定で王座を手にしている。

この時の僕の印象は「自分の勝ちパターンをしっかりと持っている選手だなぁ」という感じ。川嶋はこのパターンに嵌ると負けるだろうな。


序盤。ムニョスは名城戦と同じ戦法。リングを回って左ジャブを連発して川嶋との距離を離し、川嶋が接近すれば右ストレート、右アッパー、右ボディをブンブンと振り回す。対する川嶋もムニョスと一定の距離を保ちつつガードを固め、時折前に出て強烈な左右のフックと左ボディを放つ。

ハードパンチャーを相手に互角の打ち合いを展開する川嶋、ラウンドの要所でハードヒットを連発するなど、ここまでは上々の試合ぶり。特に左ボディは「減量で苦戦した」というムニョスに対して有効打となる。更に4R終盤、川嶋は左ボディがクリーンヒットしたのを皮切りに、大振りな左ボディと右フックを連発でヒットさせると、ダメージの大きいムニョスがやや棒立ちになる場面も。おおおおおっ、勝てるぞっ、川嶋っ!

4R終了。ここまでの僕の判定は39-37でムニョス。ムニョスの戦法は「手数を出して、手堅くポイントを稼ぎつつKOを狙う」という感じなのに対して、川嶋のそれは「小手先のパンチをすべて捨て、KOパンチで相手に大ダメージを与えてポイントを奪い、最後はKOを狙う」という感じ。川嶋は判定になるとかなり不利になる戦法を使っているが、4R終盤のラッシュはかなり効いていたように見えたし、ここから先は川嶋がポイントを挽回するんじゃないかなぁ。


中盤。やはり4Rのラッシュが効いていたのか、ムニョスの動きが若干落ちる。それでもムニョスはこれまでと戦法を変えずに、左ジャブを連発しつつ手数多く川嶋を攻める。対する川嶋もまた戦法を変えず、ガードを固めて機会を伺い、チャンスとあれば大振りな左ボディと右フックを連発。

全般において試合のペースを握っていたのは手数の多いムニョスだったが、川嶋は5R終盤にパンチを連続でヒットさせると、7Rには左ボディの連打でスタミナを奪いつつ左右のフックを次々に叩き込み、8Rにも左右ボディを連続でハードヒットさせる。完全にスタミナがなくなったムニョスの口が大きく開いている。よ〜しっ!勝てるっ!勝てるぞっ!川嶋っ!

8R終了。ここまでの僕の判定は77-75でムニョス。ここまでは手数やヒット数でムニョスがポイントをリードしているが…ハードヒット数と与えたダメージなら、明らかに川嶋が上だ。川嶋は終盤を取りこぼさなければ、世界王座も奪取できるだろう。あと少しだ、川嶋っ!


だが…。迎えた9R、試合は「まさか!」の展開を迎える。

8Rのラッシュで疲れたのか、川嶋はこのラウンドで足を使って休んでしまったのだ。自分からは攻めずに様子を見るばかりの川嶋に対して、ムニョスはプレッシャーを強めて前に出て左を連打、自らも休みつつキッチリと判定のポイントを奪ってしまった。

うわ〜っ!ここに来て、この展開は痛すぎるっ!! 僕の判定だと、このラウンドで川嶋は「ダウンを奪わない限り勝てない」ことが確定しちゃったよ…。多分、本人は披露困憊だったんだろうけど、ここは勝負に出て欲しかった…。


ってなワケで、試合は終盤。ムニョスはこれまでとは作戦を変更し、クリンチを交えてスタミナを回復しつつパンチの連打で印象点を稼ぐ、いわゆる「逃げ切りモード」に突入。対する川嶋は、これまでと同じく大振りな左右のフック応戦するも…ムニョスのクリンチを突き放すことができない。川嶋は11Rにはカウンターの右ストレートを喰らってグラつく等、勝負処で大苦戦。それでも川嶋は、最後の最後まで自分のスタイルを崩さずにムニョスを何度も追い込んだ。

…だが。僕の判定では115-113でムニョスの勝ち。う〜ん、川嶋のスタイルは、ダウンを奪わなければ判定勝ちは望めないもんなぁ。


試合は判定へと委ねられ 115-114、115-113、117-111 の3−0でムニョスが勝利。実況席でしきりに「川嶋有利」を連呼してきたガッツ石松は、この裁定に「納得がいかない」と憮然。う〜ん、この人は序盤は「わずかにムニョスが有利」と認めておきながら、6R終わった時には「僕の裁定でへ、川嶋が2Pリードしてますね」と言ってたんだよなぁ。9Rも川嶋がとったと言い切るし。正直、どんな判定をしたんだよ…。

試合後、川嶋は引退を表明。う〜ん、やっぱりそうなっちゃったかぁ。今日の試合内容は「もう一回やれば勝てるかもしれない」と思わせるモノではあったけど、本人に時間が残されていないんだよなぁ…。本当に残念だ。


川嶋選手、試合は負けたけど、間違いなくあなたは強い男でした。お疲れ様です。

雑感

いや〜っ、世界王座戦は本当にいい試合だったと思うけど…川嶋の敗北は本当に残念だ。もし…もしも…この試合がWBAではなく、WBCであれば。「4R毎にジャッジの裁定結果を発表する形式」であれば…川嶋はあの9Rでも発奮し、勝者は逆転していたかもしれないのになぁ…。とはいえ、世界王者のムニョスは強かった。後半は完全にスタミナを切らしながらも、やるべき事をキッチリとやる姿は「さすがは王者っ!」と思わせるモノがあった、というかねぇ。


さてさて。この階級といえば、忘れてはならないのが元王者の名城信男、そして三階級制覇を狙う亀田興毅だろう。これで対日本人七連勝のムニョスを止めるのは一体、誰なのか。ムニョスが王者のうちに是非、日本人に撃破して欲しいところだなぁ。


以上、長文失礼。