10/14 PANCRASE ディファ有明興行 観戦記

う〜ん、ヘビー級王座戦に関するゴタゴタ劇はひどすぎるなぁ…

本日はディファ有明にてPANCRASEを観戦。


今日の興行の目玉は、なんといっても「PANCRASEのエース」である近藤有己の復帰戦だろう。これが十ヶ月ぶりのPANCRASE参戦となる近藤だが、最近は他団体での敗戦が込んでいる状態。今日はホームのリングで「近藤有己、ここにあり!」という姿を披露して欲しいところだな。

ちなみにこの興行では、アルボーシャス・タイガー vs アスエリオ・シウバPANCRASEヘビー級王座防衛戦がもう一つの目玉カードとして準備されていたが…、なんとこの興行の二日前に「アルボーシャス・タイガーが消息不明、生きているかどうかもわからない」という、とんでもないニュースが舞い込んだ事で中止になってしまった。なかなかに前代未聞な試合中止理由なワケだが、今はただアルボーシャス選手の無事を祈るのみである。

※筆者注:その後、アルボーシャス選手の無事が確認されています。本人曰く「眼のけがで試合をキャンセルした旨を、九月にマネージャーに連絡しているハズ」との事。対するマネージャーは「聞いていない」だってさ。なんだか、いい加減だなぁ。しっかりしてくれよっ!

チケットを購入、本日は6500円也。う〜ん、高いよ、高すぎるよ。そろそろ僕も「総合格闘技は、前売りのチケットで買う」という習慣をつけなきゃダメだなぁ。んで、観客の入りはというと…後楽園ホールでは観客動員に苦戦しているPANCRASEも、ディファ有明なら超満員。まあ今日が日曜日っていうのもデカいんだろうけどさ。もうPANCRASEは、ディファ有明を中心に興行をやった方がいいんじゃないのかなぁ。


ちなみに今日は、第四試合からの観戦だったんだけど…第三試合には「荒鷲二世」坂口征夫が試合を行っていた。んで、その結果はというと…。

第三試合(未観戦) う〜ん、なかなか勝てない日々が続くねぇ…

○本田朝樹(171cm/80.0kg/PANCRASE P's LAB横浜)
坂口征夫(177cm/74.2kg/TEAM坂口道場)
[1R 52秒 ヒールホールド]

あれま、また坂口は負けちゃたのか。しかも秒殺ねぇ。まあ確かに坂口のプロデビューは決して早くはないので、こういう事もあるのはわかるんだけどね。まあ、これはもう「次は頑張ってっ!」というしかないね。

第四試合 う〜ん、そんなに勝ち星から遠ざかっていたのかぁ…

ライト級 5分2R
アライケンジ(176cm/73.0kg/PANCRASE ism)
●平山貴一(177cm/79.0kg/和術慧舟會RJW)
[判定 2−0]

師事していた高橋義生PANCRASEを離脱したことにより、弟分であるアライケンジPANCRASE ismの所属に戻ったようだ。へ〜っ、僕は「高橋の後を追う」と思っていたよ。


んで、今日はこの試合の1R途中から観戦したが、試合は一方的なアライペースになっていた。バテ気味の平山に対して、アライはコーナーに追い詰めてパンチや膝蹴りを入れていた。う〜ん、この調子が続けば白星は間違いないんだろうけど、どうにも決定打が出てこないなぁ。

2Rも1Rと同じく、スタンドの展開でアライが押し気味に試合を進めると、ラウンド中盤にはヒールホールドを仕掛ける。アライのアグレッシブな攻めを観た観客から歓声が上がる中、アライはこれが極まらぬと見るや、再びグラウンドの上の体勢をキープしようとするが…。

待っていたのは平山のフロントチョーク。思わぬ逆転劇に、観客からは悲鳴が上がっていた。う〜ん、このチョークは極まらなかったんだけど、アライの攻めはどこか危なっかしいねぇ。

こうして試合は判定へともつれたが、2−0でアライが勝利。


ちなみにGBRによると、アライが勝ったのは昨年2月のMARS以来らしい。オイオイ、どんだけ古い話だよ(苦笑)。

第五試合 う〜ん、ここまで露骨な金魚マッチも珍しいよなぁ…

ミドル級 5分2R
佐藤光留(174cm/79.0kg/PANCRASE ism)
阿部健太郎(178cm/83.0kg/ハイブリッドレスリング山田道場)
[2R 2分27秒 チョークスリーパーホールド]

いきなり結果を書くが、このところは迷走が続いている佐藤光留が、今日は力強く勝利。…っていうか、さすがにデビュー二戦目の阿部健太郎と、負け続きでも三十戦以上を経験している佐藤とでは、実力が吊り合わなかった。


1Rは首投げなどを決め、阿部をグラウンドでガチガチに固めながらコツコツとパンチを落とす佐藤。2Rは阿部が上になる場面もあったが、この場面でも何もさせなかった佐藤は、逆にタックルでテイクダウンを奪うと、ガッチリとチョークスリーパーを極めて阿部を仕留めた。

勝った佐藤は、年末恒例のPANCRASE ism主催興行にて、ガジエフ・アワウディンへ挑戦することを表明。ほほぅ、これは実現すれば試練の一番になるなぁ…っていうか、今日はこれを力強く宣言するために、こんなマッチメイクにしたように見えるなぁ。



やっぱりこの試合、マッチメイクに問題がありすぎだよ。実績に大きな差のあるカードを組んじゃイカンでしょ。ま、この試合の評価はアワウディン戦の結果が出るまで保留にしますかね。

※筆者注:結局、年末のism興行では「佐藤光留 vs ガジエフ・アワウディン」は実現しませんでした。あしからず。

第六試合 う〜ん、試合はこれからだったのになぁ…

ウェルター級 5分3R
和田拓也(171cm/74.9kg/SKアブソリュート)
●キム・ヒュンクワン(174cm/75.0kg/韓国/チーム タックル)
[2R 1分40秒 負傷判定 2−0]

PANCRASE参戦当初はなかなか白星が挙がらなかったワダタクも、気が付けば5勝3敗5分1Sで白星先行。今回は韓国のキム・ヒュンクワンを相手に試合を行なったが…。


1Rはテイクダウンを奪い、グラウンドにてパンチと鉄槌を連打。更には立ち上がってサッカーボールキックを浴びせるなど、圧倒的に優位な場面を作る。終盤にヒュンクワンにリバースされる場面もあったが、このラウンドは和田がとっただろう。

しかし2R、スタンドにてローで牽制する和田に、ヒュンクワンの左ストレートがヒット。観客が驚きの声を上げる中、ヒュンクワンはパンチのラッシュで和田を追い込む。この時、頭を下げて突進したヒュンクワンの頭と和田の頭と激しくバッティング。これによりヒュンクワンは右の目の上から出血、試合の続行が不可能となった。

協議の結果、ここまでの試合展開で判定が行なわれ、1Rで優位に立っていた和田が2ー0で勝利した。



う〜ん、「これから、試合が面白くなる」って場面でのストップはなんとも残念だねぇ。再戦するのであれば是非、観てみたいんだんだけど…。和田の相手はPANCRASEのランカーってワケでもないし、そんな話は出てこないかなぁ…。

第七試合 う〜ん、ビル・ロビンソン氏の膝はかなり悪そうだったなぁ…

フェザー級 5分3R
井上学(167cm/62.0kg/U.W.F.スネークピットジャパン/PANCRASEフェザー級 三位)
●ジョン・ジンソク(170cm/68.0kg/韓国/ウルフ チーム マックス)
[2R 1分47秒 肩固め]

セミファイナルには、パンクラスフェザー級戦線で活躍している井上学が登場。今年四月の試合では「PANCRASEフェザー級 四天王」の一人である、志田幹を相手に完敗を喫した井上だが、今日は所属ジムのU.W.F.スネークピットジャパンの顧問である「人間風車ビル・ロビンソン氏も応援に駆け付けているだけに、絶対に負けたくないところだ。対戦相手はキックボクサーの村山トモキを打撃でKOした強豪、ジョン・ジンソク。


1R、対戦相手のジョン・ジンソクが打撃系の選手だった為か、それとも御大ロビンソンが観戦していた為か。今日の井上は得意の左ミドルを封印し、確実にテイクダウンを奪ってグラウンドで主導権を握る。だが、ジンソクも引き込んでのフロントチョークを極めるなどで応戦。

一進一退の攻防に、ロビンソン氏も興奮気味の様子。身振りを交えながら井上に声援を贈っているではないか。う〜ん、若いなあ。



迎えた2R、井上はタックルでテイクダウンを奪うと、パスガードに成功してマウントに。観客の歓声の中、井上はジンソクに密着すると、そのまま肩固めを極める。体勢は万全、程なくしてジンソクがタップして試合は終了した。

井上の鮮やか一本勝ちに、ロビンソン氏も大満足の様子。一緒に観戦していたグリフォン氏(id:gryphon)が「Congratulation!!」と声を掛ける中、ロビンソン氏はいてもたってもいられない様子で立ち上がると、リングに向かって歩き始めた。その脚はかなり悪そうだったが、それでも杖を突きつつ井上に歩み寄り、笑顔で声を掛けるロビンソン氏。今日は直接、その労をねぎらいたかったのだろう。観客はその光景に対し、温かい拍手を贈っていた。


うむ。今日の井上は良かったな。今や「打撃のジム」の印象が強いU.W.F.スネークピットジャパンだけど、今日はグラウンドでもいける事を証明できたね。もっとも、この試合を観たフリジッドスター氏(id:frigidstar)は「井上は元々、グラウンド系の選手ですよ」と連呼していたんだけどさ。最近の試合ぶりを観ていたら、そんなことなんてすっかり忘れちゃってたよ…。

第八試合 う〜ん、もっと派手な試合が観たかったなぁ…

ライトヘビー級 5分3R
近藤有己(180cm/87.0kg/PANCRASE ism/PANCRASEライトヘビー級 王者)
桜木裕司(180cm/95.0kg/掣圏会館)
[判定 3−0]

本日のメインは、PANCRASEの精神的支柱とも言える存在、近藤有己の復帰戦。どうでもいいが、元々たまにしか試合をしない人が試合をする度に、大袈裟に「復帰戦」呼ばわりされるようになったのは…なんとなく桜庭和志のせいな気がするのは気のせいか。PANCRASEでの試合は昨年十二月のイアン・ナイ戦以来で、実に十ヶ月ぶりとなる近藤。対戦相手の桜木裕司は、近藤にとって格下の相手。ここは確実に白星を得たいところだ。


さて、試合なのだが…。残念ながら今日の近藤の試合は非常に単調だったのでダイジェストで記述。

主導権を握っていたのは、やはり近藤。全てのラウンドにおいて近藤は、打撃を得意とする桜木には一切付き合わずに、テイクダウンを奪ってはパンチや鉄槌を落としていく。グラウンドで上になることを至上とする掣圏道の選手である桜木は、下になると「成す術なし」の状態になる中で、近藤はマウントを奪ってパンチを落としたり、バックを奪ってスリーパーを狙うなどで、終始試合をリードした。

だが今日の観客は「近藤の一本勝ち」を期待していたため、いかに近藤が優位に試合を運ぼうとも、あまり盛り上がることはなかった。むしろ、マウントやバックを奪っているにも関わらず、いつまで経っても「一本勝ち」を想像させる場面がないことに苛立っていた。スリーパーを仕掛ける場面では何度も「極めろっ!」という声が飛び交ってもいたが…、近藤は最後まで自分のペースで桜木を攻め続けた。

試合終了、判定の結果は3−0で近藤が手堅く勝利を得た。



う〜ん…。確かに僕は、冒頭で「確実に白星を得たいところ」とは書いたけど…、まさかここまで「確実に白星を得る」内容の試合になるとはなぁ。今更、こんなことを書くのはナンなんだけど…、やっぱり今日は「PANCRASEのエースが、鮮やかな一本勝ち!」…ってな感じの光景が観たかった。

とはいえ、昨年末の「PRIDE男祭り」では郷野聡寛に判定で敗れ、今年七月のbodog 初代ミドル級 王者決定戦でもトレバー・プラングリーにドクターストップで負けている近藤。今日はどうしても白星が欲しかったんだろうなぁ…。

それを考えれば、この展開もやむなし、か…。

雑感

う〜ん、全体的な満足度でいえば、やっぱり「今一つ」だよなぁ。アライも、佐藤も、そして近藤も…スッキリしない勝ち方だったしなぁ。和田の試合は不完全燃焼だったし。う〜ん、今一つどころか、今二つくらいな気がしてきたぞ(苦笑)。まぁ唯一、井上だけはいい勝ち星を上げたと思うね。ビル・ロビンソン氏もいい笑顔を見せていたしね。今日はこの一試合でかなり救われたかな。


以上、長文失礼。