4/27 PANCRASE 後楽園ホール興行 観戦記

Mask_Takakura2007-04-27

久々に明るいPANCRASEです

本日は後楽園ホールにてPANCRASEを観戦。


今日の興行の見所は、前回の興行で業務提携を発表したbodogから送られてくる二人の刺客の存在だろう。かつてはMARSで猛威を振るったbodogからの刺客達だが、このPANCRASEでは実力を発揮する事ができるのか?特にセミファイナルに出場するブライアン・ラフィークは、MARSのミドル級トーナメントで準優勝を果たしている存在だ。そんな彼が佐藤光留を相手にどのような闘いをするのかは、初期MARSを欠かさず観戦していた僕にとっては非常に楽しみだ。

また本日の興行では『荒鷲二世』坂口征二がついにプロデビュー。昨年九月のプレデビューを果たした坂口、正式なデビューとなる今日の試合で勝利を飾ることはできるのか?


…と、このところは暗いニュースが続いていたが、今日は明るいニュースが満載のPANCRASE。ならばならば、この勢いで試合内容にも熱戦を期待したいところだな。


チケット代は5500円、観客の入りは約七割。この辺の数字はいつもと変わらず。

第一試合 もっともっと上に行ける選手でしょ

ライト級 5分2R
昇侍(171cm/69kg/K.I.B.A.)
●武重賢司(170cm/68.9kg/PANCRASE 稲垣組)
[1R 2分28秒 KO]
※ニースタンプ

得意のグラウンドに持ち込もうとする武重に対して、昇侍はテイクダウンされてもすぐに立ち上がり、スタンドでは右ストレートを連発でヒットさせる。観客の歓声の中、昇侍はパンチでダウンした武重の顔面に、躊躇なく膝を落とす。武重はグッタリ、これを見たレフェリーが試合を止めた。


昇侍の最後の膝の落とし方は、かなりエグくて怖かった。それにしても昇侍は強いな。もう少し、上の選手と当てた方がいいんじゃないの?

第二試合 もっと丁寧な方がいいんじゃねぇの

ウェルター級 5分2R
和田拓也(171cm/74.9kg/SKアブソリュート)
山田崇太郎(175cm/77.0kg/TEAM JUNKiey)
[判定 3−0]

『方々で』『色々な』噂を聞いていながらも、なかなか生で観戦する機会がない山田崇太郎を始めて観戦したが、その関節技は非常にアグレッシブだ。


1R、2R共に山田は、和田を積極的にグラウンドに引き込んでは、下からラバーガードやアームロックを仕掛けていく。攻撃的なグラウンドでの動きには好感触を持ったが…、やはり『攻め重視』の関節技は諸刃の剣。和田は山田の仕掛けを凌ぐと、パスガードを決めつつ上からパンチを落としていく。

迎えた2R終盤、山田のしつこいグラウンドを脱出した和田は、ストレートでダウンを奪うと、すかさずグラウンドで上になってパンチで追撃。応援団の歓声の中、劣勢の和田はラバーガードでなんとかしのごうとするも、和田はこれを逃れてパンチを落とす。

んで、これが決定打となり、判定の結果3−0で和田が勝利した。


う〜ん、和田の関節技はちょっと捨て身すぎるねぇ。もう少し、グラウンドの攻めはじっくりしていた方が勝ち星に結びつくと思うんだけどなぁ。

第三試合 こんなにも差があったとはねぇ

フェザー級 5分3R
志田幹(164.5cm/63.9kg/PANCRASE P's LAB東京/PANCRASEフェザー級 二位)
井上学(167cm/62.0kg/U.W.F.スネークピットジャパン/PANCRASEフェザー級 三位)
[判定 3−0]

このところはPANCRASEが誇る「フェザー級四天王」の存在に迫りつつある井上学が、四天王の一角である志田幹に挑戦。ふ〜む、ここで井上が志田に勝てれば、フェザー級戦線も随分と面白くなるねぇ。


試合はダイジェストで。『立ち技のジム』としての印象の強いU.W.F.スネークピットジャパン所属の井上は、リングを回りながら右ローや右ミドルを放つ。だが志田は、回る井上を追いかけつつ、キックに合わせてフックやワンツーを放ち、少しづつ井上を追い詰めていく。

試合の図式は「井上のキック vs 志田のパンチ」、プレッシャーを掛けたのは志田だった。井上をジリジリと追い詰め、テイクダウンを奪った後も常に上のポジションをキープしつつパンチを落としていく。

試合終了。判定の結果、3−0で志田が勝利。


う〜ん。意外な程、井上と志田の間には実力差があったなぁ。もう少し井上が健闘すると思っていたのだが…、残念だな。

第四試合 こりゃイカンなぁ

ウェルター級 5分2R
○チェ・ヒュンソク(179cm/80.0kg/韓国/チームタックル)
坂口征夫(177cm/74.2kg/TEAM坂口道場)
[1R 1分51秒 KO]

世界の荒鷲坂口征二の息子にして、二枚目俳優の坂口憲次の兄である坂口征夫。そんな超大物が、このPANCRASEの舞台でプロデビューする。昨年九月のPANCRASE GATEでの試合では、相手の打撃に苦戦しつつも見事なKO勝利を飾った坂口。この日も前回と同じく、大量の応援団を引き連れて入場してきた。僕もこの試合には大いに注目したが…。


試合が開始すると、坂口は右ミドルを放つ。だがチェはお構いなしにプレッシャーを掛けると、よく伸びる右ストレートを一閃。モロに喰らった坂口は一撃でダウンし、そのままKO負けとなった。

スター候補選手のKO負けに凍りつく会場。だが「そんな場の空気など関係ない」とばかりに、チェはセコンドのチェ・ムベと一緒にBABAMANIAの「SUMMER BOOGIE」に合わせて、カクカクとポップダンスを踊っていた。

BABA MANIA「SUMMER BOOGIE」(視聴)

http://www.barks.jp/watch/?id=1000009055


ありゃりゃ、坂口負けちゃったよ…。彼はPANCRASEに観客を呼び戻す希望の一つだったんだけどねぇ。まあ「負け」という結果自体は仕方がないかもしれないけど、よりによってパンチ一発で負けてしまうとはねぇ…。

第五試合 なんでそうなっちゃうの

ミドル級 5分3R
竹内出(180cm/81.9kg/SKアブソリュート/PANCRASEミドル級 一位)
渡辺大介(180cm/85.4kg/PANCRASE ism)
[判定 3−0]

第五試合には、PANCRASEの古参メンバーである渡辺大介が久々に登場。その対戦相手は、事実上PANCRASEミドル級の頂点に立つ竹内出だ。う〜ん、グラウンドでは強さを発揮しながらも極めっ気は皆無の竹内と、実力そのものが決め手に欠ける渡辺の対戦かぁ。こりゃあ、観る側にとっては試練の一戦になりそうだなぁ…。


と思っていたら、試合内容は案の定だった。

全ラウンドを通して渡辺は前進を続けて竹内にプレッシャーを掛けているハズなのに、いざ竹内が動き出せば、あっという間にコーナー際に追い詰められてしまう。そして竹内の崩しにはまったく反応できない渡辺、グラウンドでは一方的にコツコツと殴られるばかりである。

そんな展開が3R続いた末、判定3−0で竹内が順当に勝利した。


正直、特に感想もない試合かなぁ。しかしまあ、前進する意思を見せながらも、あっさりとコーナー際へ追い詰められる渡辺の姿は悲しかったなぁ。

第六試合 ところでMARSさん、Bブロックのトーナメントはいつやるの?

ミドル級 5分3R
○ブライアン・ラフィーク(175cm/82.0kg/フランス/ジュカオ アシル チーム/bodog)
佐藤光留(174cm/79.0kg/PANCRASE ism/PANCRASEミドル級 二位)
[2R 2分16秒 KO]

本日のセミファイナルとメインイベントは、業務提携をしているbodogとの対抗戦となった。セミファイナルに登場するbodogからの刺客は、あのMARSが開催したMARS WORLD FIGHTING GP ミドル級トーナメントのAブロックで準優勝を果たしているブライアン・ラフィーク。グラウンドを得意とする選手だ。これに対抗するのは、これはお馴染み佐藤光留。今日はメイド服に身を包んでの入場だ。う〜ん、佐藤はどこへ行こうとしているのやら…。


1R、先手を取ったのは佐藤。ラフィークに首投げを決めてテイクダウンを奪うと、早い段階でマウントへと移行。佐藤の善戦ぶりに観客からは歓声が沸いたが、ラフィークは上に乗りすぎてしまっている佐藤を振り落とすと、すかさずバックを奪ってスリーパーを狙っていく。観客の歓声が悲鳴へと変わっていくも、佐藤はどうにかピンチをしのぐ。


だが2R。スタンドで佐藤のバックについたラフィークは、そのまま後ろへと佐藤を投げ捨てた。観客が落胆の声を上げる中、ラフィークはバランスを崩した佐藤を引き込んでフロントチョークを極める。しかし佐藤はこれを脱出すると、すかさず腕を取って腕十字の体勢へ。観客はこの逆転劇に歓声を上げる。

しかし佐藤は、勢い良く腕十字を極めようとするあまり、掴んでいた腕がスッポ抜けてしまった。観客の歓声が落胆の声へと変わる中、ラフィークは上になって鉄槌を落としていく。徐々にグッタリする佐藤、「これ以上の試合は無理」と見たレフェリーが試合を止めた。


ぬぬぅ、佐藤はもう少し丁寧にラフィークを攻略すれば、もっと違った結果になったかもしれないのになぁ…。まあ佐藤らしい試合と言えばそうなんだけど、やっぱり格闘技は白星を上げてナンボというかねぇ。特に今日は勝つチャンスが何度もあっただけに、非常に残念だなぁ。

第七試合 意外と苦戦はしたものの、終わってみれば「さすがはエース」

フェザー級 5分3R
前田吉朗(170cm/64.0kg/PANCRASE 稲垣組/PANCRASEフェザー級 王者)
●ダニー・バッテン(175cm/68.0kg/イギリス/bodog/ケージ ウォリアーズ フェザー級王者)
[判定 3−0]

今日の興行のメインを務めるのは、PANCRASE軽量級のエースの前田吉朗である。「フェザー級四天王」の頂点に立ち、稲垣組の顔となっている前田。そんな彼が、今日は「bodogからの刺客」ダニー・バッテンを迎え撃つ。ここは得意の打撃で、KO勝利を奪って欲しいところだな。


…なんて思っていたら、バッテンは厄介な選手だった。前田を上回る身長に加え、長い手足の持ち主でもあるバッテンは1R、下がりながら前田の足にローを放つ。対する前田はなかなか自分の間合いで闘えずに苦戦するも、どうにかテイクダウンを奪って上からパンチを放つ。だが大ダメージを狙って放った踏みつけはバッテンにかわされてしまった。

実力拮抗の状態で迎えた2R、徐々に前田のワンツー、左ミドル、ボディストレートがバッテンを捉えるようになる。終盤にはテイクダウンを奪ってパウンドを落とした前田は、3Rでも左ミドルを叩き込み、グラウンドでは上の体勢をキープしつつ打撃を叩き込んだ。

試合終了、判定の結果は3−0で前田が勝利。


う〜む、序盤こそやや苦戦した前田だけど、終わってみれば判定ながらも完勝か。まあスカッとした勝ちではなかったけれど、難敵を相手によくやったと思うね。

雑感

う〜む。書き出しには「明るいニュースが多い興行」と記したけど、終わってみれば「残念な結果」が残る興行だったかなぁ。井上の完敗ぶり、坂口の秒殺負け、竹内 vs 渡辺のグダグダぶり、そして佐藤の勝ちを焦るが故の敗北劇…。特に井上と坂口の敗戦は本当に残念だなぁ。

そんな中、メインの前田が判定でも何でも、勝ってくれたのが救いかな。さすがは「PANCRASE軽量級のエース」というかね。他団体ではなかなか勝ち星が上がらない前田ではあるけど、せめてホームのPANCRASEでは連勝街道を突き進んでほしいね。


以上、長文失礼。