12/8 全日本キック 後楽園ホール興行「藤原祭」 観戦記

Mask_Takakura2006-12-08

やってきました「藤原祭」、今年も盛大に開催!

本日は後楽園ホールにて全日本キックを観戦。


全日本キック、今年最後の興行は毎年恒例の藤原祭。んで、藤原祭と言えば…お馴染みとなった「藤原敏男スペシャルエキシビジョンマッチ」。意外なビッグネームがドタバタ劇を繰り広げるこのエキシビジョン、今年の敏ちゃんはジョシカク最強ストライカーの渡辺久江、美人キックボクーの岡本敦子とトリオを結成。どういう経緯でこうなったかは各自調査。

しかし二人の美人キックボクサーに忍び寄る「魔の手」。渡辺や岡本にセクハラする為だけに全日本キックに参戦するのは、元WWEのスーパースター・TAJIRI。そしてそのパートナーは…何故かアジャ・コング。ここまでの経緯を知らないと何がなんだかサッパリ理解不能かも知れないが、とにかく今年のエキシビジョンは2 vs 3のハンディキャップマッチとなった。

果たして敏ちゃんはタジリの魔の手から二人を守れるかっ!? その時、アジャはどうするっ!? そして和田良覚レフェリーは今年もボコボコにされるのかっ!?


…まぁ、気を取り直して。


もちろん今日の全日本キックはコレだけではない。肝心なキックボクシングの試合は…山本真弘 vs 岩切博史、濱崎一輝 vs 山本優弥前田尚紀 vs 遠藤智史、金統光 vs 湟川満正といった好カードが揃った。相変わらず駒が多い全日本キック、激闘に期待したい…っていうか、本来はエキシビジョンよりもこっちが本題なんだけどねぇ。


てなワケで当日券でA席を購入、6000円。ちょっと高め。パンフレットも購入、こちらは1000円。観客の入りは超満員。そういえば、前回の興行では藤原ジムのエースである小林聡が突然、引退宣言を行ったが…それでもこの客入り。全日本キックの人気は高いね。

第一試合 今日は藤原祭です

56kg契約 3分3R
△菊地慧(167cm/55.8kg/藤原ジム)
△永野裕典(170cm/55.6kg/和術慧舟會DUROジム)
[判定 1−1]

藤原ジムの菊地慧はまだ二十歳。対する和術慧舟會の永野裕典も二十一歳という若手同士の対戦。しかしまあ、キック界でも「和術慧舟會」の五文字を見るのが珍しくなくなってきたなぁ。


1R〜2Rは永野が攻める。ワンツー、左ミドルキック、右ローキック、首相撲といった打撃を連発。特に首相撲は膝蹴りと投げを巧く使い分けて菊地を翻弄。対する菊地は藤原ジム所属選手らしく、前に出てのパンチとローキックで永野を攻めるも…菊地は距離が開けばキックを喰らい、至近距離では首相撲に捉えられてしまう。ここまでは完全に永野のペースだ。

3R、尚も首相撲からの膝蹴りや投げを繰り返す永野、菊地は疲労困憊の状態だったが…終盤、菊地はカウンターの右ストレートを永野に何発も叩き込んで逆襲。モロに喰らった永野は少々怯るんだが…ワンツー〜ローキックで反撃。だが菊地は足払いで永野をなぎ倒す。菊地が一矢報いてるねぇ。

そして試合終了。「う〜ん、最後は菊地が頑張ったけど試合の大局は変わらないかな?」と思っていたが…実際の判定の結果は1−1、三者三様のドローとなった。え〜っ? 何をどう見たら、この展開でドローとか菊地の勝ちとかになっちゃうのかねぇ。


とはいえ、今日はなんといっても藤原祭だし…大目に見ますか。

第二試合 格闘技は時に残酷

ウェルター級 3分3R
○宮越宗一郎(172cm/66.3kg/宮越道場)
●土本博文(174cm/66.3kg/藤原ジム)
[2R 終了時 KO]
※タオル投入

この試合、本来は宮越宗一郎 vs 荒井崇志というカードだったが、荒井は試合直前に欠場が決定。その代役を務めたのは、この試合がデビュー戦となる藤原ジムの土本博文。突然のデビュー戦となった土本だが、藤原祭で華を開く事はできるか?


1Rから大振りなフックで果敢に攻める土本だが…宮越はワンツーで牽制すると左ボディブロー、そして重い左ミドルキックを連打して土本の体力を奪う。そして1R中盤頃には…早くも試合は一方的展開に。あっという間にスタミナを失って棒立ちになる土本を、宮越が容赦なく攻める。

2R序盤、まず宮越は左ボディブローで土本からスタンディングダウンを奪うと、今まで以上にボディへ打撃を集める。宮越の左右のボディブロー、左ミドルキックの連打を前に土本は必死にガードを固めるも、ガードの隙間から宮越の打撃が襲ってくる。フラフラになる土本、しかしダウンはしない。頑張る土本に観客は歓声を上げたが、宮越は尚も打撃を連打していく。格闘技は非情な世界だ。

そして2Rが終了、ラウンドを乗り切った土本に観客が拍手を贈る。しかし、もはや土本に闘う体力が残されていない事は明白、やがて土本のセコンドがタオルを投入して試合は終了した。喜ぶ宮越に対して、土本はガックリ。


う〜ん、土本は何ともほろ苦いデビュー戦となったねぇ。ま、オープニングファイトからの再起に期待したいねぇ。

第三試合 背が高いというだけで俄然有利になるのがキックボクシング、その1

ヘビー級 3分3R
シング・心・ジャディブ(194cm/94.0kg/インド/パワー オブ ドリーム/新空手 '06 全日本重量級 三位)
●谷川紀勝(175cm/115.0kg/SAMURAI SWORD)
[1R 1分48秒 KO]
※左ミドルキック/谷川は1Rにダウン2

毎年、キック界に良質な新鋭をもたらしている新空手から、また一人猛者がデビューする。シング・心(ハート)・ジャディブは今年の新空手で全日本重量級三位となった選手、インド出身なのに何故、全日本大会に出場できるのかは各自調査。ともあれ、194cmという背の高さが目を惹くジャディブに対し、PANCRASE MEGATONを母体に持つSAMURAI SWORDの所属である谷川紀勝は115.0kgというMEGATON体型。ま、平たく言えばこの試合は「ノッポ vs デブ」という訳だ。


んで、試合はあっという間に終了。

試合開始と同時に首相撲からの膝蹴りを連打するジャディブ、対する谷川はこれをまったく捌けずに次々に膝蹴りを喰らう。ならば、と谷川はパンチを連打するも、背の高いジャディブに届かない。ま、ハッキリ言ってこの時点でもう「勝負あり!」というか。

ペースを握ったジャディブは首相撲からの膝蹴りの連打で谷川から最初のダウンを奪う。八方塞りの谷川、左ジャブを連打するジャディブに苦し紛れのタックルを敢行するも焼け石に水。最後はジャディブの左ミドルキック、顔面に喰らった谷川は二度目のダウン。そして谷川が再び立ち上がる事はなかった。


ふ〜む、あまりにも体格差が激しすぎたので、この結果も当然だよねぇ。ところでジャディブが所属するパワー・オブ・ドリームって、あのチームPODの事なのかね?誰か調べてくれい。

第四試合 背が高いというだけで俄然有利になるのがキックボクシング、その2

ミドル級 3分3R + 延長1R
○中村高明(188cm/72.3kg/藤原ジム/全日本ミドル級 一位)
●木塚龍司(174cm/72.4kg/勇心館)
[1R 1分55秒 KO]
※3ダウン

このところはタイ人を相手に二連敗している中村高明、それでも全日本キック・ミドル級の強豪である事には変わりはない。長い間、TOMOに預けているミドル級王座を奪還する為には日本人対決も大事な一戦、今日は木塚龍司を相手に勝利を奪えるか?


第三試合と同じく、試合はあっという間に終了。

久々に身長差を活かせる選手を相手にした中村は、勢い良く左ミドルキックとワンツーを連発、木塚のインローによる反撃など気にも留めずに前進すると、まずは首相撲からの膝蹴りを顔面に叩き込んで最初のダウンを奪う。ますます勢いに乗る中村、立ち上がった木塚に飛び膝蹴りを見舞うと、再び首相撲からの膝蹴りで二度目のダウンを奪う。

もはや木塚に成す術なし、中村のワンツーの連打〜左膝蹴りというコンビネーションを浴びた木塚はあっさりと三度目のダウンを喫してしまった。


うむ、久々に中村がスカッと勝ったねぇ。来年は何かしらの形で肩書きになる結果を残して欲しいね。

第五試合 影の実力者同士による大激闘

ウェルター級 3分3R + 延長1R
金統光(178cm/66.6kg/藤原ジム/全日本ウェルター級 四位)
湟川満正(175cm/66.5kg/AJジム/全日本ウェルター級 二位)
[延長判定 3−0]
※本戦判定 0−1

この試合は…今年は活躍を期待されながらも、全日本キックの表舞台に立てなかった選手同士による試合。それにしても長期欠場していた金統光はともかく、「ヒットマン湟川満正が活躍できなかったのは非常に残念、ウェルター級王座決定戦で大輝に敗北したのが悔やまれる。まあ、いずれにせよこの試合に勝利した方が再び全日本キックの第一線に戻れる事は確実だ。となれば…この試合、どちらにとっても負けられない一戦だな。


1R、藤原ジム所属選手らしく、金は積極的に前に出てワンツー〜ローキックを連打。対する湟川はやや距離をとって左ミドルキック、左ローキックで金に対抗。両者の打撃は激しく交差したが…湟川は金の打撃を警戒している様子。2R、金は要所でワンツーを湟川に叩き込み、湟川は左ミドルキックで金のスタミナを奪う。終盤、両者はこれまでの打撃に肘打ちを織り交ぜて攻め合う。お互いに休まず打撃を繰り出すその姿は…まるで軍鶏のようだ。

3R、接近してワンツーやローキックを放つ金、対する湟川は距離を離しての左ミドルキックと至近距離での肘打ち。そして…ここでペースを握ったのは金。ワンツーの連打が湟川の顔面を捉えるようになる。劣勢に立たされた湟川はこれまで以上に肘打ちを連打。何発もヒットしたが…カットするまでには至らない。

試合終了、判定の結果は…金の1−0で延長戦へと突入。うむ、熱い試合はどんどん延長にすべきだな。


延長R、激しさを増す両者の打撃。ここに来て湟川もワンツーを多用して金に対抗。真正面からの殴り合いに観客も歓声を上げる。しかし、ペースを握ったのは…やはり金だった。要所でパンチをクリーンヒットさせると、肘打ちも連発してカットを狙う。対する湟川もワンツー、肘打ち、左ミドルキックで激しく対抗。だが、ペースを奪い返すまでには至らなかった。

延長R終了、判定の結果は3−0のストレートで金の勝利。


今日の湟川は「距離を取る闘い方」をしていたな。だが彼は元々「真正面からの打ち合い」で地位を築いた選手、今日の闘いぶりは何とも「らしくない」ね。対する金は自分の攻めを全面に出しての勝利。来年の飛躍に期待したい。

ちびっこ女子グローブ空手マッチ そういえば藤原祭にはこういのもあったっけ

契約体重なし 2分1R
−大木桃華(122cm/19.0kg/ファイティングスペース ゼロ)
星樹里亜(116cm/19.0kg/極真流武拳会館)
[勝敗無し]

ここで突如、ちびっこによる女子グローブ空手の試合行われた。今日は「お祭り」なのだ。


試合をした二人は共に体重が20kgにも満たない小さな子供。しかし試合では容赦のない打撃の応酬を展開して観客を驚かせた。そんな中でペースを握ったのは体の小さな星、下がる大木に左の上段廻し蹴りや突きの連打を浴びせる。

星の圧倒的な勢いを前に思わず転倒する大木に対して、星は下段の構えで大木が立ち上がるのを待つ。ほほう、小さいのによく覚えているもんだ。

そして規定の二分間はあっという間に終了。観客からはヤンヤの歓声が上がった。


今日の試合が両者にとって、いい思い出になるといいねぇ。

第六試合 本来ならもっと早く、これくらいの地位にいなくてはならない選手なのだが…

ライト級 3分3R + 延長1R
○海戸淳(S.V.G./全日本ライト級 七位)
●藤牧孝仁(はまっこムエタイジム/全日本ライト級 三位)
[判定 3−0]

長い間、全日本キックのライト級で活躍しながらも、ランキングだけは上がらないのが海戸淳という男。テコンドーをベースとした回転技を得意とする海戸の対戦相手は、ムエタイをベースに持つ上位ランカーの藤牧孝仁。最近は試合数が減っている藤牧を相手に、海戸は勝利する事はできるか。


1R、距離を離しての左ミドルキックと右ローキックを連打する海戸に対して、藤牧の攻めは早くも後手に回る。こうしてあっという間にペースを握った海戸は1R終盤にカウンターのフックを叩き込んでダメージを与えると、2R中盤からは裏拳も使用。そして海戸の左ミドルキックの連打が止まらない。圧倒的劣勢の藤牧、状況を打破すべく首相撲を使おうとしたが、ことごとく海戸に捌かれてしまう。藤牧、いよいよ厳しいな。

3R、海戸は左ミドルキックと右ローキックを連打し、更には要所でワンツーをヒットさせてペースを握る。更にはカカト落とし、回転しての肘打ち、裏拳、ソバットといった派手な技で観客を沸かせる。対する藤牧は防戦一方、終盤頃にはスタミナも失って反撃する事もできなかった。

試合終了。判定の結果、3−0で海戸が勝利。


ふ〜む、これでようやく海戸は全日本ライト級の三位かぁ…。ここまで来るのに時間がかけ過ぎたなぁ。ま、来年はこの地位をベースに王座への挑戦や国際戦も増えるだろう。更なる活躍に期待。

第七試合 意外なほどに「格の差」が存在した

58kg契約 3分3R + 延長1R
前田尚紀(166cm/57.9kg/藤原ジム/全日本フェザー級 三位)
●遠藤智史(174cm/58.0kg/AJジム/全日本フェザー級 七位)
[判定 2−0]

この試合は今大会屈指の好カード。今年四月以来の復帰戦となる「闘う修行僧」こと前田尚紀と、今年は負け続きながらも名勝負を連発、成長著しい遠藤智史が対戦。パンフレットも「激戦必至」と太鼓判を押すこの試合、遠藤は自分の思いを試合で叩きつける事ができるか?


1Rから前田は積極的に前に出て、重い右ローキック、右ボディブロー、そしてワンツーで遠藤を攻める。対する遠藤はリングを回りながら左ミドルキックや左ローキックで蹴り、前田との距離が詰まれば首相撲に捕らえて膝蹴りを繰り出す。1Rは互角の打ち合いとなった。

だが2R、前田が遠藤を圧倒。前田は臆する事なく前進を続けて打撃を連発、遠藤の左ミドルキックには右ローキックを合わせ、遠藤が前進すればカウンターの左右ストレートを叩き込んで試合のペースを握る。遠藤は首相撲で巻き返しを図るが、続く膝蹴りは前田に防御されている状態。厳しいねぇ。

3R、前田は右ボディブローを今まで以上に多用し、左右のパンチをブンブンと振り回して遠藤を攻め込む。遠藤は攻めが後手になり、前田の打撃を首相撲でしのぐのが精一杯の状態。一発逆転を狙う遠藤は肘を振るうが不発。最後は意を決して前田に殴り合いを挑んだが、ここでも優勢だったのは前田だった。

試合終了。判定の結果、2−0で前田が勝利。あれ?この展開でドローって裁定はないと思うけどなぁ…。


それにしても、急成長を遂げている遠藤と欠場明けの前田との間にこれ程の差があるとは思わなかった。遠藤には期待をしていただけに、この敗北は残念だな。再起に期待したい。

藤原祭にはエキシビジョン以外にも「恒例」がある

さてさて興行はここで休憩時間となったが…、ここで藤原祭の休憩時間の恒例、グレートプロレスの面々によるプロレスが行われた。ちなみにこの彼らのプロレスは藤原祭を初めて開催した時から続く由緒正しいものなのだ。ま、毎年あまりにもグダグダになるから観戦記は書かないけどね。

ちなみに今日の面々の中にはやけに背の高いピンクのタイガーマスクがいた。あれは多分、某キックボクサーだな。他には唯我が素顔でプロレスをやっていた。相変わらず森三中村上知子に似ていた。

スペシャルエキジビションマッチ やっぱり今年もこうなった

総合ルール(?) 10分一本勝負
藤原敏男(藤原ジム)
渡辺久江(フリー)
岡田敦子(ドージョー チャクリキ ジャパン)
vs
−TAJIRI(フリー)
アジャ・コング(フリー/元ミス日本)
[ノーコンテスト]
※レフェリーが選手に襲われて収拾がつかない為


レフェリー:野口大輔/サブレフェリー:和田良覚/リングアナウンサー:藤原喜明

さあさあ今年もやってきた!全日本キック、年に一度のお楽しみ!「藤原敏男スペシャルエキジビションマッチ」だ!

今年の敏ちゃんは美人キックボクサーの二人とトリオを結成。対するはセクハラする事しか考えていないTAJIRIと、まるで事情を飲み込めていないアジャ・コングのコンビ。ちなみにリングアナは藤原組長こと藤原喜明が、レフェリーは野口大輔がそれぞれ務め、サブレフェリーとして和田良覚が付く。果たして今年の和田レフェリーは、どのタイミングで敏ちゃんに蹴られる事になるのだろうか。注目しよう。


まずは敏ちゃん組が入場、美女二人に腕を組まれた敏ちゃんはご満悦の様子。妙に渡辺がノリノリなのが印象的だな。続いてTAJIRIリングインするとリング上の雰囲気は一転。渡辺と岡田がTAJIRIを露骨に嫌悪しているなぁ。最後にアジャが登場、リングインしてからも戸惑い気味だったが…藤原組長に「青コーナー、元ミス日本、アジャ・コングッ!」と呼ばれると満面の笑みを浮かべて観客にアピール、会場のあちこちから「江利花ちゃ〜ん!」の声援が飛ぶ。知名度のあるレスラーは得だね。


試合の先発はTAJIRIと敏ちゃん。思わぬ組み合わせに観客から驚きの声が上がるが、TAJIRIは「男には興味ない」とばかりにすぐにアジャにタッチ。観客の爆笑の中、敏ちゃんはアジャに容赦のない打撃を連打。「痛い痛いっ!」と叫ぶアジャに観客はまたまた爆笑したが、アジャはスティンクフェイスで反撃。大きなお尻を顔面に押し付けられた敏ちゃんは「オエーッ」と悶絶しながら渡辺とタッチする。

これを見たTAJIRIは猛然とアジャにタッチを要求、そして始まるTAJIRIの「セクハラショー」。渡辺がチョークスリーパーを極めれば尻を撫で回し、マウントを奪えばハッスルポーズ。岡田が出てきても同じようにセクハラの嵐。観客が爆笑する中、怒った敏ちゃんがリングインするが…TAJIRIはアジャとタッチしたり、場外で敏ちゃんの大好きなビールをプレゼントしたりで、敏ちゃんとの直接対決を避けていく。やりたい放題のTAJIRIに対して、渡辺と岡田はセクハラされ放題。全日本キックはかなりサービスの良い店らしい。

セクハラ三昧のTAJIRIに対して、ついに渡辺と岡田の怒りが爆発。二人がかりで股裂きを兼ねてのダブルの膝十字固めをガッチリと極める。あまりの痛みに悶絶するTAJIRIだが、カットに入ろうとするアジャには「イヤ、このままでいい!このままでいい!」と告げる。そして次の瞬間、TAJIRIは迷う事なく両者の胸を撫で回す。「キャッ!」という黄色い悲鳴を上げながら膝十字を解く渡辺と岡田、観客の爆笑の中でTAJIRIはご満悦の様子。いいなぁTAJIRI、この店いくらなんだろ?


続いてアジャ vs 渡辺&岡田が勃発。ミドルキックを連打する美女コンビに対し、アジャはボディアタックで二人を蹴散らす。場外で悶絶する二人を見たアジャは勝ち誇った様子だったが、続く敏ちゃんとの対決ではまたまたボコボコにされて場外へ。女性三人がリング外で悶絶する中、敏ちゃんはエプロンに立っているTAJIRIに「来い!」と指示。

観客の歓声の中、ついに敏ちゃん vs TAJIRIが実現。まずは敏ちゃんが掌底とミドルキックで先手を取る。だがTAJIRIは華麗なハンドスプリングエルボーで逆転すると、続いて息を吹き返したアジャがボディプレス。敏ちゃんは悶絶、TAJIRIはトドメとばかりに胴絞めスリーパーを極めるが、敏ちゃんは得意の噛み付きで脱出する。一進一退と言えば、一進一退だな。


そしてリングは大混乱。まずは藤原組長がリングイン、体格差に任せてTAJIRIをボコボコにした後で、近くにいた渡辺を抱きしめる。何故だっ!? 思わず悲鳴を上げる渡辺、敏ちゃんは慌てて助けに入るも…藤原組長は敏ちゃんにはビンタを放ち、返す刀で野口レフェリーにも得意技の一本足頭突きをお見舞いする。周りの選手に比べると断トツで体が大きい藤原組長、その暴走が止まらない。ならば、と大柄な体を持つ和田サブレフェリーが藤原を止めようとしたが…。

これに反応したのが敏ちゃんだ。和田サブレフェリーがリングインするなり猛然と突進、掌底やミドルキックの連打を叩き込む。そして始まる毎年恒例の「和田いじめ」。アジャは一斗缶で脳天に一撃、TAJIRIは毒霧攻撃で顔面を緑に染める。猛攻撃を喰らった和田サブレフェリーは悶絶、もはやリング上は無法地帯。観客が爆笑する中、事態を重く見た野口レフェリーがグッタリしながらノーコンテストの裁定を下した。


試合終了後、全選手による記念撮影を挟んで敏ちゃんが挨拶。「今年も面白おかしくやりましたが、きっとみなさんに楽しんでいただけたと思います。ボディプレスは効きました(笑)」とエキシビジョンの感想を語ると「世の中には恵まれない人々も沢山います。世知辛い世の中ですが、来年は人と人とが助け合えるような明るい一年にしていきたいと思います」と真面目にコメント、観客の歓声を浴びた。


イヤイヤ、毎年の事ながら…藤原会長、お勤めご苦労様です。今年も楽しませていただきました。…それにしても、試合はTAJIRIの独壇場だったなぁ。

第八試合 判定の難しい試合だなぁ

スーパーウェルター級 3分3R + 延長1R
○濱崎一輝(171cm/69.1kg/シルバーアックス/全日本Sウェルター級 二位)
山本優弥(175cm/69.6kg/青春塾/全日本Sウェルター級 三位)
[延長判定 3−0]
※本戦判定 0−0

本日のセミファイナルは、今年一年で層が厚くなった全日本スーパーウェルター級の明日を占なう一戦であると同時に因縁のリベンジ戦でもある。

濱崎一輝と山本優弥、この両者は昨年六月にK-1の舞台で対戦。この一戦で人生初のKO負けを味わった上、肩まで脱臼してしまった山本はこの後、長いスランプを経験する事になる。今年十月の青春塾祭りでやっとスランプを脱出した山本、今日はスランプの元凶を倒す事はできるか?


濱崎は全ラウンドを通して前に出て、得意の鋭いパンチの連打やボディブローを繰り出して近距離戦を支配。対する山本は、一定の距離を保ちながら左ミドルキックや左ローキックを連発して中〜遠距離戦を支配。更に山本、濱崎が接近すれば組み付いて肘打ちや膝蹴りを連打、至近距離戦も制していく。

で、試合は基本的に中〜遠距離戦(山本の左ミドルキック) → 近距離戦(濱崎のパンチ) → 至近距離戦(山本が組み付いて膝蹴り) → ブレイク → 中〜遠距離戦 → … という事が繰り返された。単調な展開が続いたが、3R終盤は山本がひたすら濱崎に組み付いて膝蹴りを連打する。判定を前に印象点を稼ごうとしているのだろうが、有効打が出ないのではポイントには繋がらないねぇ。

というワケで、あっという間に本戦の3Rが終了。ここまでの印象では「手数は互角」「打撃がヒットした時のダメージやインパクトは…ストレートやボディブローを連発した濱崎が上」「試合を支配した時間が長いのは…『組み付いての膝蹴り』を連発した山本」という感じ。非常に判定が難しい状態だったが、実際の結果は0−0、試合は延長戦へと突入。


延長R、試合の図式は大きくは変わらない。濱崎は得意のパンチを連打し、山本は組み付いての膝蹴りを連打。手数の上では山本が上だったが…中盤、有効打が出ない膝蹴りを繰り出す山本に対して「消極的なクリンチを繰り返した」としてレフェリーが山本にイエローカードを提示。これで後がなくなった山本に対して、濱崎は中盤以降で右フックを連続で山本の顔面に叩き込む。クリーンヒットを許して劣勢に回る山本だが、今までと同じく左ミドルキックと組み付いての膝蹴りを繰り返した。この戦法が勝利に結びつくと確信しているのだろう。

延長R終了、試合の結果は判定へと委ねられた。僕は「試合全体の運び方は山本の方が上だけど…、その運び方自体にイエローカードが出たのでは山本の敗北だろうなぁ」と思っていた。んで、実際の判定は…予想通り3−0で濱崎が勝利。負けた山本は憮然とした表情、「なんでオレの負けなんだよっ!」と言わんばかりだ。


う〜ん、確かに「山本の勝ち」という判断がされてもおかしくない試合ではあったと思う。惜しむらくは、試合中にクリーンヒットが一発でも出ていればねぇ。あるいは、組み付いての膝蹴りの連打が濱崎にダメージを与えている事が明確に分かれば良かったのだが。いずれにせよ、今日は作戦ミスだったと思う。これに腐らず再起に期待したい。

対する濱崎、今日は全日本ウェルター級のエース格の一人である山本を撃破。この一戦で「全日本キック内の番付」は確実に上がっただろう。しかしこの試合では、山本のクリンチに対してあまりにも無策すぎたように思う。これから海外の強豪やムエタイ選手と対戦するに当たって課題を残したと言えるだろう。奮起に期待。

第九試合 若き新鋭の打撃が、フェザー級四天王の一角を苦しめた

58kg契約 3分3R + 延長1R
山本真弘(165cm/57.8kg/藤原ジム/全日本フェザー級 王者)
●岩切博史(174cm/58.0kg/月心会/全日本フェザー級 五位)
[延長判定 3−0]
※本戦判定 0−0

本日のメインイベントは…小林聡が引退宣言した今、藤原ジムの新エースとなった山本真弘が登場。年齢は23歳とまだまだ「若大将」という単語が似合う山本だが、全日本キックではフェザー級王者として君臨している。キック界随一のスピードの速さを持つ山本、今日は半年ぶりの復帰戦に挑む。対戦相手は、今年に入って4戦3勝1敗3KOと好調の新鋭、岩切博史。


試合では岩切が山本に肉薄する活躍を見せる。

1R、山本は欠場前と変わる事のないスピードを披露して岩切を攻める。中距離からは重い左ミドルキックが岩切を襲い、距離を詰めての近距離戦では体をブンブンと振りながらワンツーを繰り出す。岩切のパンチはスウェーでかわし、反対にパンチを繰り出す。これぞ山本の真骨頂、こうして試合はこのまま山本のペースで進んでいく…かに見えた。だが岩切、例え自分のパンチが避けられても、山本のワンツーが襲ってきても…臆する事なく前に出続けて右ミドルキックを連打、更には右ストレートを叩き込んで互角の打ち合いを見せる。

続く2R、山本はスピードのギアを一つ上げて攻めるが、岩切はあくまで前進を続けて己の打撃を繰り出す。互角の打ち合いが続く中、山本に異変が起きた。どういうワケかスタミナを失った山本、2R中盤頃からは口が半開きの状態になる。チャンスと見た岩切はワンツーを連打し、3R終盤には肘打ちや左フックをヒットさせて攻勢に出る。対する山本は苦しい展開となったが、山本はワンツー、ボディストレート、スウェー、クリンチ、首投げとあらゆる技術を総動員して岩切の攻撃をしのいでいく。必死だなぁ。

ここで試合終了。判定の結果は…なんと0−0のドロー、試合は延長戦へと突入。いや〜っ、今日は延長戦が多いねぇ。


延長R、ここでペースを握ったのは山本。前蹴りを距離を取りつつ、左ストレートを岩切の顔面に刻んでいく。岩切も必死にワンツーを返したが、山本は流れるようなスウェーでかわしてしまう。ここに来てようやく自分のぺースを掴んだ山本に対して、岩切は前進を続けてワンツーを繰り出す。しかし試合終了直前、山本は強烈な右フックを連続ヒットさせて勝敗を決定づける。

延長R終了、判定の結果は3−0で山本が勝利。


う〜ん、山本は辛勝だったなぁ。欠場明けという事もあってか…試合の途中でスタミナ切れを起こす等、らしくない場面が多かったというか。ま、次回の試合は体調を万全に整えて試合に挑んで欲しいね。

対する岩切は敗れはしたものの、この試合では「文句のない活躍を見せた」と言えるだろうね。まだ山本との差はあるように思うが、来年に向けていい試合が出来ていたと思う。今後の活躍には大いに期待したい。

雑感

延長続きの今回の興行、名勝負は多かったけど…ちょっと疲れてしまったなぁ、というのが正直なところかな。もう少しKO劇が多ければ…ねぇ。

そんな中、毎年恒例のエキシビジョンマッチは…今年もこちらの期待を外さないグダグダっぷりを発揮。まあ今日に関してはTAJIRIが一人で試合を作っていたけどね。さすがは元WWEのスーパースターというかねぇ。


以上、長文失礼。