S-CUPリザーブファイト

第五試合 これぞS-CUPメモリアルマッチ

S-CUP 2006 リザーブファイト 3分3R + 延長3分1R
○ライアン・シムソン(183cm/69.7kg/スリナム/バゾーストジム/S-CUP 1997 覇者)
●菊池浩一(175cm/69.7kg/日本/寝屋川ジム/SB日本ウェルター級 一位)
[判定 3−0]

ここからはS-CUPのリザーバーの選出試合が二試合。


その第一試合は、S-CUPのメモリアルマッチ。この試合には、今から九年前に開催されたS-CUP 1997の覇者、ライアン・シムソンが登場。S-CUP 1997ではロニー・ルイス、初開催であるS-CUP 1995の優勝者・吉鷹弘、そしてモハメド・オワリを破ってS-CUPを制覇したシムソンはその後、オランダで行われたラモン・デッカーとの頂上決戦に挑み、デッカーをKOで破って欧州最強の称号を手にしたのだった。そして時はあっという間に流れて、九年後の2006年…つまり今年のK-1 MAX NEDERLAND(K-1 MAX オランダ大会)。八人トーナメント戦に出場したシムソンは見事に優勝し、その実力がまったく錆び付いていない事を証明した。

しかし、その九年の流れは…かつてのライバルである吉鷹が引退し、ブクブクと太ってしまうには充分な時間だった(嘆)。そして今日、シムソンの相手を務めるのは吉鷹の弟子である菊地浩一だ。「SB次世代のエース候補」の菊地は、過去にはあの「WSR軍団ミドル級のエース」ゲンナロン・ウィラサクレックを計7Rに渡る激闘の末に撃破、今年七月には”SHINOBU”ツグト・アマラからダウンを奪って判定勝利している。今日は初代S-CUP覇者である師匠の仇を討てるか?

ちなみにこの試合は、リングアナウンサーが何故か小野ヤスシだった。何故だっ!?


1R、シムソンがリーチを活かした闘いを見せる。どんどん前に出てワンツー、ボディブロー、ローキックを連発するシムソン。菊地は手を出そうとするも、打撃を出した後ですぐにシムソンのパンチが伸びてくる。気がつけば下がりながらミドルキックを出すのみの攻めとなる菊地、懐の深さにはかなり手を焼いている様子。そういえば、菊地は自分より大きい選手との対戦は少なかったっけ。

2R、1Rと同じくどんどん前に出て、リーチの長いワンツー、ボディブロー、ローキックを次々に繰り出すシムソン。菊地は打撃を警戒しているのか距離を詰める事ができない。う〜ん、菊地の方がリーチが短いのに自分から下がってしまっては…余計にシムソンの思う壷だなぁ。

シムソンは尚も、遠距離から長いパンチとローキックを連発して菊地を襲う。時折は単発のパンチやローキックで反撃する菊地、しかしシムソンのパンチを被弾し続けて左目付近を負傷。こりゃあ、勝てんな。

3R、セコンドの吉鷹に何かアドバイスされたか、3Rの菊地は積極的に前に出て左ローキックを連打。シムソンはワンツーを繰り出すも、菊地は怯む事なく距離を詰めて左ローキックを起点にワンツーを繰り出して攻勢。しかし有効打が出る事はなく、シムソンはクリンチを使って菊地の攻めをやり過ごす。

試合終了。判定の結果は2−0でシムソンが勝利しS-CUPの第一リザーバー権を獲得。ありゃ?この展開でドロー裁定のジャッジがいるとは…。


う〜ん菊地、完敗。なんというか、3Rの「距離を詰めての攻め」がもっと早いラウンドで出ていれば、もう少し善戦できたと思うんだけどねぇ…。前回興行での土井広之戦のような鬼神の攻めが見れなかったのは残念だ。再起を求む。

第六試合 キラーローはやや不発

S-CUP 2006 リザーブファイト 3分3R + 延長3分1R
○土井広之(172cm/69.9kg/日本/シーザージム/前SB世界ウェルター級 王者)
●キム・ジュン(180cm/69.2kg/韓国/泰雄會館/韓国ムエタイ協会ウェルター級 王者)
[判定 3−0]
※キムは3Rにダウン1

S-CUPリザーブファイト、第二試合には「キラーロー」土井広之が登場。S-CUP 2002に一度出場している土井だが…S-CUP 2006には参戦意欲を示しながらも査定試合にて菊地浩一に完敗、今回はリザーバーに甘んじている。対戦相手は韓国のムエタイ王者キム・ジュン、KO率は七割を誇る選手だ。土井は勝つ事ができるか?


1R、土井はハイキック、ミドルキック、そして得意のキラーローと警戒に蹴りを連発すると、やがてキラーローの連打で試合を優位に進める。しかしキムも土井をコーナー際に詰めてワンツーのラッシュで反撃、相手の攻めの流れを止める。その後、土井のキラーローとキムのワンツーが淡々と繰り出されたが、終盤になるにつれクリンチが増えていく。どうも、お互いにやりずらいらしいなぁ。

2R、いきなりの二段飛び膝蹴りで観客を沸かせる土井が得意のキラーローを打ち込むが、キムもリーチの長いストレートで反撃。どうにもやり難そうな土井だが、中盤からはようやくキラーローが威力を発揮し始める。前に出れなくなったキムに、土井は尚もキラーローを連打。終盤にはスタンディングの肩固めを極める。長い間キムを極めた土井だがシュートポイントには至らず。

3R、開始早々にいきなりスタンディング肩固めの体勢に入る土井だが極まらず。キムは反撃のワンツーラッシュ、これをしのいだ土井はソバット、右フック、ボディブローを駆使して攻勢を奪うと、再びキラーローを連発。終盤、動きが止まるキムに土井はワンツーやキラーローを入れ続けると、キムのキックをキャッチして左ストレート一閃。キムはラウンド終了と同時にダウンを喫した。

試合終了。判定の結果3−0で土井がS-CUPの第二リザーバー権を獲得した。


う〜ん、土井がダウンを奪って勝ったのは良かったんだけど…。後半こそ土井が一方的に攻めたけど、前半が散漫な試合になった事で、試合全体がピリッとしなかったというかねぇ。もう少し、力強い土井が見たかったというか。