10/20 DRAGON GATE 後楽園ホール興行 観戦記

Mask_Takakura2006-10-20

まいったな、これじゃDRAGON GATEの思うツボだ

本日は後楽園ホールにてDRAGON GATEを観戦。


前回の後楽園ホール興行にてBlood GenerationのCIMAとMUSCLE OUTLAW'ZのGAMMAが提案したコスチュームチェンジマッチ。「お互いのコスチュームを入れ替えて闘う」という試合形式のあまりのバカバカしさにすっかりやられてしまった僕は、今回もまた後楽園へと足を運ぶのであった。WWE以外ではありえない形式による試合のオチはどこへ転がるのか?

またメインイベントでは、やはり前回の後楽園で決起した戸澤塾の旗持ちオヤジが試合を行なう。普段は名前の通り、戸澤塾の旗を持っているだけの謎の男が、試合では何を見せるのか?う〜ん、興味深い。


というワケで、当日券を求めて券売所へ。今日のチケットはかなり売れたらしくRSとSRSしか売っていなかった。正直、値段は高いが後楽園ホールまできて去るのも悲しいのでRSを泣く泣く購入、6000円。んで、パンフレットはいつものように未購入。観客は相変わらずの超満員。さすがだ。

オープニングのマイク合戦に間に合わず

やはり社会人をやっていると、19:00の前に後楽園ホールに到着するのは難しい話なんだよね。

第一試合(未観戦) これまた間に合わず

タッグマッチ 30分一本勝負
堀口元気(173cm/75kg/DoFIXER/オープン・ザ・トライアングルゲート 王者)
 ドラゴン・キッド(161.8cm/70kg/DoFIXER/オープン・ザ・トライアングルゲート 王者)
vs
 B×Bハルク(178cm/78kg/Pos.HERATSBlood Generation)
●スペル・シーサー(169cm/77kg/Pos.HERATS)
[7分32秒 片エビ固め]
※ビーチブレイク

上記と同じ理由で未観戦。そういえば堀口元気ドラゴン・キッドをしばらく観てないなぁ。僕が後楽園ホールで観戦する時はいつも第一試合なので、観戦できない事が多いんだよね。


ちなみにこの試合で、MUSCLE OUTLAW'Z土井成樹が次回の後楽園ホール興行での復帰を宣言。お、いよいよ復帰か。一時期は怪我人が続出したMUSCLE OUTLAW'Zだけど、いよいよ駒が揃ってきたね。あ、そういえばフリーになった谷嵜なおきの復帰はあるのかな?

第二試合 この枠はいつだってお笑いが中心

タッグマッチ 30分一本勝負
○新井信一郎(176cm/85kg/Final M2K)
 K−ness(174cm/83kg/Final M2K)
vs
●戸澤アキラ(170cm/80kg/戸澤塾)
 大野勇樹(167cm/77kg/戸澤塾)
[5分1秒 横入り式エビ固め]
※戸澤がフレー!フレー!戸澤(応援つきフライング・ヘッドバッド)を自爆

DRAGON GATEの第二試合は、どんな時でもお笑い枠。今日は新井信一郎と戸澤アキラの元師弟対決だ。


で、試合内容はずっと飛ばしてフィニッシュへ。交互にコーナーに登っては、フライング・ヘッドバッドを自爆する新井と戸澤。「なにをどうしたら、そういう展開になるんだ?」って話もあるが、ここはそういうややこしい話をするところではない。ともあれ、何度やってもヘッドバッドが決まる事はなく、頭を痛打して両者共にヘキヘキしたところで…戸澤が泣きながら雪崩式ブレンバスターを決める。なんで泣いているかは各自調査。

そしてついに戸澤のフライング・ヘッドバッドが新井にヒット。決まった事に目を丸くして驚く戸澤は、トドメとばかりにまたまたコーナーに登ると、「フレー!フレー!」と大声で叫んでフライング・ヘッドバッドを…新井にかわされて自爆。頭をおさえて悶絶する戸澤、新井がすかさず横入り式のエビ固めを決めてカウント3を奪った。


ま、「お前ら、ダイナマイト・キッドに謝れ!」って事で。ちなみにK-nessと大野は一回リングに登場しただけだった。おいおい。

第三試合 どの団体の観客も番狂わせは大好き

タッグマッチ 30分一本勝負
望月成晃(175cm/90kg/RenaissanceFinal M2K/IJタッグ 王者)
 神田裕之(175cm/88kg/Renaissance)
vs
 横須賀享(173cm/88kg/Final M2K/オープン・ザ・ドリームゲート 王者)
小野寺大和(172cm/82kg/Final M2K(預かり))
[8分25秒 ドラゴンスープレックスホールド]

この試合はRenaissance vs Final M2Kなのだが、なんといっても望月、横須賀、神田といえばOriginal M2K、お互いに熟知しあう仲である。となれば、若手の小野寺がこの三人にどこまで喰い込めるかに注目しよう。


試合では、やはり若手の小野寺がRenaissanceに捕まった。特に望月のキックが苛烈を極めており、ミドルキックやサッカーボールキックがもの凄い音を立てて小野寺に決まる度に観客から悲鳴が上がる。神田も張り手で小野寺を追撃、しこたま打撃を喰らった小野寺は青息吐息。だが、どうにか横須賀とタッチ。

Final M2Kの反撃が始まった。横須賀はジャンボの勝ち!(ラリアット)を連発してRenaissanceを追い込むと、小野寺はブレンバスター〜腕十字の連携で望月を苦しめる。更には小野寺、カットに入った神田にアンクルホールドをガッチリと極めた。苦しそうな神田、尚も絞り上げる小野寺、観客は番狂わせを期待して今日一番の大歓声を上げる…が、これは望月が三角蹴りでカット。

それでも大ダメージを負った神田に、横須賀はジャンボの勝ち!を放つが…これは小野寺に誤爆。フラフラになった小野寺をRenaissanceが見逃さない。まずは神田がジャーマンスープレックスホールドを決め、フィニッシュは望月の秘技・ドラゴンスープレックスホールド。磐石の連携の前に小野寺はついに力尽きたが、観客はその健闘ぶりに大きな拍手を贈っていた。


ん、試合時間は8分だって?そうかぁ…、この内容で10分やってないんだ。随分と内容の濃い試合だったように思うね。ま、それだけ望月のキックの重さに説得力があったって事かな。

第四試合 天龍源一郎、今日も元気です

龍魂十番勝負 シングルマッチ 45分一本勝負
天龍源一郎(189cm/120kg/フリー)
ドン・フジイ(175cm/105kg/RenaissanceBlood Generation/IJタッグ 王者)
[7分31秒 片エビ固め]
※グラウンドでのグーパンチ

最近はRenaissanceとしての活躍が目立つドン・フジイ、今日はあの天龍源一郎と対戦。日本プロレス界のLiving Legendを相手に、DRAGON GATEの闘い模様に革命を起こすべく激しいファイトを繰り返すRenaissanceのスタイルが、「プロレス革命の祖」にどこまで通用するか?


試合開始と同時にフジイがいきなり奇襲。ジャンピングニーパットやエプロンからのダイビングボディアタックを浴びせるなどで猛攻を見せるが…。待っていたのは天龍の手痛い洗練。こちらも場外でダイブを敢行し、容赦のないイス攻撃がフジイを襲う。グッタリするフジイ、しかしリングに戻ってからはニーパットやシャイニングウィザードなど膝を使った攻撃で天龍を攻めていく。

やがて始まったチョップ合戦、ここで試合を優位に進めたのは…やはり天龍。もうすぐ還暦を迎える選手とは思えない程の重い音を発するチョップが、フジイの胸に叩き込まれる毎に観客から驚きの声が上がっていた。更にはそのチョップを喉元へ叩き込む天龍、フジイは何度も呼吸困難に陥る憂き目に合う。最後は倒れたフジイにグーパンチを叩き込む天龍、フジイは一回目のフォールはクリアしたものの、二回目のフォールは返す事ができなかった。


…っていうか、心なしか今日は試合時間が全体的に短めだな。せわしないねぇ。

第五試合 オレがアイツでアイツがオレで

コスチュームチェンジマッチ タッグマッチ 60分一本勝負
 AMMA(170cm/82kg/MUSCLE OUTLAW'Z)
ケビン・スティーン(185cm/125kg/PWG/MUSCLE OUTLAW'Z)
vs
 CIMA(173cm/83kg/Blood Generation)
●ジャック・エバンス(173cm/75kg/アメリカ/ROH/Blood Generation)
[14分29秒 片エビ固め]
※パッケージパイルドライバー

前回の後楽園ホール興行にて、CIMAGAMMAは「お互いのコスチュームを入れ替えて試合をする」というコスチュームチェンジマッチで闘う事を約束。そしてそれはこの試合で実現する。果たして、この試合のオチはどこへ転がるのだろうか?う〜ん、まったく想像がつかん。


まずはCIMAが入場、手にはしっかり黒い竹刀が握られているが、観客のウケはイマイチ。そして今度はGAMMAが入場、顔にしっかりと「ワケのわからん、ウルトラマンみたいなメガネ」が。嫌味なくらいに張り切って大見得を切るGAMMAに、観客はバカウケ状態。普段は斜に構えているGAMMAが妙にハジけていたのが、面白味に拍車を掛けていた。


さて試合だが…コスチュームを入れ替えた事で使う技までもが入れ替わってしまった。

GAMMAの反則技の数々をコピーするCIMAGAMMAを竹刀で殴るCIMAGAMMAの目をサミングで潰すCIMA、手に唾をつけてGAMMAの顔面を揉むCIMA、そして水を口に含んでGAMMAの顔面に垂らすCIMA。いつもは自分が浴びせている汚水攻撃を喰らったGAMMAは悶絶、リングの外で大声で「オエ〜ッ」と叫んで不快感を露にする。その狼狽ぶりに会場は大爆笑に包まれた。CIMAは他にもフラッシュバック(ツームストンパイルドライバーの体勢から決めるハイアングルフェースバスター)も使っていた。なかなか徹底してるな。

対するGAMMAは、もちろん、CIMAの技を連発。スティーンと連携してのフットスタンプ、コーナー際での背後からの股間蹴り、パーフェクトドライバー、スーパードロルを決めて観客を驚かせる。更にはCIMAの必殺フルコース、ヴィーナス〜アイコノクラズム〜マッドスプラッシュまでも拝借したGAMMA。マッドスプラッシュはCIMAが膝を立てて防御したが、決まっていればCIMAは自分の技でフォールされていただろう。それにしてもまるで自分の技のようにスムーズにCIMAの技を使うGAMMAは器用だ。


とまあ、こんな調子で両者はBlood Generation vs MUSCLE OUTLAW'Zという枠を外れて意地を張り合っていたが…、実はこの試合の本当の主役はスティーンだったりする。

185cmの身長、115kgという体重。DRAGON GATEでは最巨漢のマグニチュード岸和田を軽く上回る数字の持ち主のスティーンだが…この体で空中で一回転するその場飛びのギロチンドロップや、華麗なるムーンサルトプレスなどの飛び技を使うのだから恐ろしい。軽量のエバンスもリングで側転をきってから場外でヘッドシザースを決めるという離れ技を披露するも…やはりスティーンとのパワーの差は歴然。エバンスの側転キックをキャッチしたスティーンは投げっぱなしジャーマンスープレックスで軽く投げ飛ばし、スイング式十三不塔でエバンスを頭から落とす。やりたい放題だ。

最後は恐怖の必殺技・パッケージパイルドライバー、これを決められてはエバンスは3カウントを聞くしかなかった。わからない人に説明すると、技の形状としてはキン肉マンスーパーフェニックスのマッスルリベンジャーに似ている。つまりエバンスは受身も取れずに頭から落ちたのだ。三沢の初期のタイガードライバー'91並にヤバイ技だなぁ、下手したら死人が出るぞ。


試合終了後はGAMMAが大暴走、またしてもハサミを持ってきてCIMAの髪を切ろうとしたが…、これに待ったを掛けたのが「DRAGON GATEの闘う社長」こと岡村隆志。社長として毅然とした態度でGAMMAと向き合い、完全決着の方法として「髪切りデスマッチ」を提案。


CIMA
オレのコスチュームを身につけたからお前に声援が集まったんや!
やはりDRAGON GATEで一番、カッコいいのはこのオレや!


GAMMA
やかましいっ!みんな、このオレ様から溢れる魅力に惚れたんじゃ!
このオレ様が何を身につけようが、カッコ良さはお前よりも上なんじゃ!


CIMA
なんでもええわ!社長っ!オレはその条件で全然問題ないですよっ!
GAMMA!お前のキューピーさんみたいな頭を一休さんに変えたるわっ!(観客爆笑)


GAMMA
ちょっと待てっ!オレは「髪切りデスマッチをやります」なんて一言も言っとらんぞっ!
大体なぁっ!そんな条件を証明書もなしに飲めるか、アホッ!


CIMA
おい、この期に及んでビビッとるのかい(苦笑)。
それに証明書なんていらんのや。ここにいるお客さんが何よりの「証人」やないかい(観客拍手)。


GAMMA
畜生っ!こうなったら髪切りでもなんでもやってやるわっ!
お前の髪を丸坊主にしてやるから、覚悟しとけっ!(観客大歓声)


というワケでこの両者、今度はシングル戦で髪切りデスマッチで勝負する事となった。近親憎悪に決着はつくのか?


さて感想をば。初見のスティーンの凄まじさは伝わってきたけど…、コスチュームチェンジマッチ自体はイマイチだった。もう一捻りは面白い事が起きると思ったんだけどねぇ。あと、試合の中にBlood Generation vs MUSCLE OUTLAW'Zという概念が抜けていたのも拍子抜けの一因かな。乱入のないMUSCLE OUTLAW'Zなんてサビ抜きの寿司だよ。で、一人バカがいてCIMAの格好をしたGAMMAに一撃…とかいう展開があってもいいと思うんだけどねぇ。

やっぱりこの試合形式は、婦女子しか喜ばんかったなぁ。

第六試合 このタイミングでなぜこの試合っ!?

シングルマッチ 60分一本勝負
オースチン・エイリース(171cm/88kg/アメリカ/ROH/Blood Generation)
斎藤了(170cm/85kg/DoFIXER/オープン・ザ・トライアングルゲート 王者)
[11分19秒 片エビ固め]
※450゜スプラッシュ

本日のセミファイナルは、ROHの強豪で、先日Blood Generation入りを果たしたオースチン・エイリースがDoFIXER斎藤了とのシングル戦に挑む。斎藤にとっては今年七月に行われた同カードのリベンジ戦となる…のだが、正直、この試合は今日の興行の流れからは浮いている気がする。


試合では、相変わらずエイリースが髭面に似合わない程に器用さを披露。バックブリーカー〜バックドロップ、スワンダイブ式トルニージョで斎藤を追い込む。対する斎藤は力任せにベアハッグで絞め上げ、バックブリーカーや逆片エビ固めでエイリースの腰を攻める。

しかし終盤、エイリースはエルボー合戦をローリングエルボーで制すると、斎藤のドラゴンスープレックスホールドをカウント2でクリア。虎の子のドラゴンを返されて動揺する斎藤、エイリースは垂直落下式ブレンバスターを決めると…最後は華麗に450゜スプラッシュで宙を舞いカウント3を奪った。


う〜ん正直、いたって普通の試合すぎてまったく印象に残らないなぁ。本当に間の悪いカードだった、というか。これはカード編成した人が悪いと思うな。

あと、この試合ではエイリースのセコンドについたCIMAがやたらとエイリースの応援を促していた。まさか黄色い声で「オースチン、エイリース!(手拍子で)チャッ・チャッ・チャチャチャ」が聞けるとは思わなかった。DRAGON GATE、恐るべし。

第七試合 観客は本当に番狂わせが大好き

六人タッグマッチ
 岩佐拓(180cm/85kg/戸澤塾)
 森隆行(171cm/70kg/戸澤塾Pos.HERATS)
○宍戸幸之(172cm/70kg/戸澤塾) ※旗持ちオヤジ
vs
 マグニチュード岸和田(175cm/105kg/MUSCLE OUTLAW'Z)
 吉野正人(172cm/75kg/MUSCLE OUTLAW'Z/オープン・ザ・ブレイブゲート 王者)
●玉岡金太(169cm/73kg/MUSCLE OUTLAW'Z)
[17分00秒 体固め]
※森がエレガントーン(スワントーンボム)を決めた後、倒れた宍戸を玉岡に被せて

今日のメインイベントは前回の後楽園ホール興行で因縁が勃発した「二人の素人」の決着戦。

二人の素人とは、戸澤塾の「旗持ちオヤジ」こと宍戸幸之と、MUSCLE OUTLAW'Zの玉岡金太レフリーの事。「普段レフリーとして試合に絡む玉岡はともかく、「リングの外で軍団旗を掲げるだけ」の役回りの宍戸がどういう試合をするのだろう?」という観客の疑問は、同時にこの試合への期待感でもある。そして戸澤塾の先発は宍戸、会場からは万来のオヤジコールが発生。人気者だなぁ


対するMUSCLE OUTLAW'Zは玉岡が登場、早くも因縁の対決となったが…、玉岡はあっさりと岸和田とタッチ、観客はブーイングを浴びせる。意地になって岸和田にエルボーを叩き込む宍戸、だがあっさりと岸和田に投げ捨てられる。フォローするべくリングインした岩佐、岸和田とのタックル合戦に勝利し気合を入れる。う〜む、とても以前はFLORIDA BROS.をやっていた選手とは思えん。

この後は宍戸が活躍。教科書に出てきそうな程に華麗なアームホイップやヘッドシザースを披露し観客の喝采を浴びる。そして森はコーナー越えの場外ダイブを敢行。まずは戸澤塾が主導権を握った。

しかしMUSCLE OUTLAW'Zは場外戦で流れを引き戻す。岸和田は宍戸に容赦のないイス攻撃でダメージを与えると、リング内では宍戸を集中攻撃。岸和田のボディアタック、吉野のハイアングルドロップキック、岸和田の重爆ミサイルキック&その場飛びのムーンサルトプレス。玉岡は悪口でアシストし、吉野はサイで宍戸の首を絞め、岸和田はセントーンを落とす。すっかり大ピンチに陥った宍戸だが、岸和田に低空ドロップキックを決めて自力で脱出、岩佐とタッチ。


戸澤塾による反撃が始まった。まずは岩佐がラリアットで次々にMUSCLE OUTLAW'Zを蹴散らし、岸和田にバックドロップを敢行。続いてのブレンバスター合戦ではMUSCLE OUTLAW'Zが総出で対抗するも、戸澤塾はセコンドについた戸澤と大野までもがブレンバスターに加勢、全員でMUSCLE OUTLAW'Zを一気に投げ捨てた。観客の歓声の中で宍戸は、倒れた玉岡に向かい…コーナーポストに登ってムーンサルトプレス!誰よりも美しいフォームで放たれたその一撃に観客は騒然。いや〜っ、あんなに綺麗なムーンサルトは中々観れんぞ。どんな素人だっ!?

尚も続く戸澤塾の攻勢。森が吉野に回転式のフェースバスターを見舞えば、岩佐は岸和田とラリアット合戦を展開。これは宍戸の好フォローにより岩佐が勝利、宍戸は勢いに乗って岸和田をボディスラムで投げようとするが…、岸和田は体重を浴びせて潰してしまう。これに乗じた玉岡はサイを手にして宍戸を襲うも、宍戸はそのサイを奪ってしまう。一瞬、サイを見つめた宍戸。誰もが宍戸の反則攻撃を予感した直後、宍戸はサイを投げ捨てた。そのクリーンファイトぶりを観客は大歓声を上げて支持。ベタベタだなぁ。


やられてばかりではいられない、MUSCLE OUTLAW'Zの大逆襲だ。岸和田は森をラリアットで吹き飛ばし、岩佐を投げっぱなしのジャーマンスープレックスで放り捨てる。更に岩佐は吉野の飛びつき回転式のアームブリーカーと岸和田のボディプレスを喰らって悶絶、森も岸和田のダブルインパクトを喰らってダウン。残るは素人の宍戸だけ、観客が悲鳴を上げる中でMUSCLE OUTLAW'Zの面々がニヤニヤと笑う。

そして公開処刑が始まった。宍戸に向かってパンチや張り手を次々に浴びせるMUSCLE OUTLAW'Z、対角線に振って吉野のエルボー、玉岡のエルボー、そして岸和田のボディアタックが宍戸を襲う。そしてトドメは玉岡のフロッグスプラッシュ。誰もが戸澤塾の敗北を予感したが…、宍戸はカウント2でクリア。ならばと今度は玉岡のパワーボムが炸裂、しかし宍戸はこれもカウント2で返す。その頑張りに観客から歓声が沸き、やがてオヤジコールが発生。この試合の主役はどこまでオヤジだ。

しかしMUSCLE OUTLAW'Zの攻勢は続く。吉野はプロテイン攻撃で宍戸の視界を奪い、そこへ岸和田がラリアットで突っ込む。しかし寸前で宍戸がかわすと…これが見事に玉岡に誤爆。観客は大逆転を予感しての大歓声だ。


その頑張りに戸澤塾が応えた。ダウンした玉岡に対して宍戸と森はダブルのブレンバスターで、岸和田を玉岡の上に投げ捨てた。セントーンを喰らった格好となりグッタリする玉岡に、森はエレガントーンでトドメを刺した。最後は森が先に力尽きた宍戸を玉岡の上に覆い被せてフォール。カウント3が入った瞬間、観客の歓声は最高潮に達した。


試合に勝利した宍戸はマイクを握ると、自身がかつてプロレスラーを目指していた練習生であった事、今はDRAGON GATEの裏方をやっている事、両親にはこの職業の事を内緒にしている事を告白。最後に「諦めない勇気があれば、いつかきっと夢に到達できます!」と涙ながらに訴えかけて、観客から万来の拍手を浴びていた。


う〜ん。いい攻防だった。いい攻防だったんだけど…。


最後のオチは正直、白けたなぁ。


僕はどうもこの団体がオチとしてよく使う「諦めなければ、夢はかなうっ!」ってヤツがどうにも苦手なんだよね。啓蒙臭がするというか、押し付けがましいというか。イヤ、試合は面白かったし、よくもここまで選手全員で宍戸をバックアップしたとは思うんだけど…。

僕が観たいのは「夢を叶えて満足している宍戸」じゃなくて「宍戸が夢の先に見据えているもの」なんだよなぁ。「裏方として」でも「レスラーとして」でもいいから、「この次に何をしようとしているか」が欲しかったね。なんというか、これだけお膳立てしてもらって、出てきたのが「僕は夢をかなえました!皆さんも諦めないで!」っていうのもねぇ。

ま、これは宍戸個人というよりは、DRAGON GATEが作る世界に対する批判だな。

雑感

「正直、DRAGON GATEはしばらくは観なくていいや」っていうのが素直な感想ですなぁ。


相変わらず試合のレベルは高いしマイクも巧いけど、PRO-WRESTLING NOAHにおける丸藤正道 vs KENTAや、全日本プロレスでの小島聡 vs 近藤修司を見てしまうと、DRAGON GATEのプロレスが妙に前時代的な光景に映ってしまった。いや、本当に凄いプロレスをやっているとは思うんだけど、なんというか…もっと、こっちが考えている事の上を行く攻防が観たい、というかねぇ。ま、東京で振りまいていた数々のアングルが今日、殆ど決着がついたのも、こちらにとってはキリが良いんだよなぁ


DRAGON GATEほどの攻防を繰り広げていても、その落とし穴にスッポリとはまるのだから「マンネリ」って単語は本当に恐ろしいね。


以上、長文失礼。